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<『レベッカ』4月30日(金)午後1:30開演 @帝劇>いや~、今日の公演は熱くてとても素晴らしかった!4月の最終日として締めくくるのにふさわしい出来でした。もちろん、みなさん連日の公演で、喉が御疲れの部分もあり、ときどき割れそうになる声を力ずくで1本に纏めて・・(笑)という感じの部分(ビーとか・・祐一郎さんもたまに・・)もありましたが、それぞれの人の心情がびんびんとダイレクトに伝わってきた!席が10列目前後のセンターということもあり、場所がよかったのか、また音響の調整でもあったのか、とても音の響きが深くてバランスもよかった!とくに祐一郎マキシムの切れのよい、ちょっと硬質に響く声には終始うっとり・・。偶然前の列にのんさんが、その前の列にはやまりんさんが。お隣さんも祐さんファンらしく、オペラ上げ下げがわたしと合ってました(笑)ので心強かった(?)です(^^)。また、いつもあまりにも完璧で素晴らしくて可愛いので、つい褒めるのも忘れてしまって、空気のようなあたりまえな存在になっている大塚さん。安定はしているのに、毎回せつない心がよく届きます。声がよかったり強かったり存在感があったり綺麗なだけの舞台女優さんはいるかもしれないけれど、上手さ誇示での憎々しさなどもまったくなく、観ている者の気持ちをしっかりと掴んで共感させる、この持ち前の素直さ、まっすぐでピュアなところ、ほんとに舞台女優さんとして素晴らしいなあ、と毎回感心させられます。声もはずみがあるのに情感もこめられて凄いです。大塚さんのイッヒがここまで素晴らしいから、ほかの役者さんも相乗的によくなるんだな、と最近思います。最初はおどおどと猫背気味に歩き、爪噛みをしたりスカートの裾をひっぱったり、どこか自信のなさをまとっていた彼女、マキシムの苦悩を共有し、彼を支えるという使命感のような気持ちを覚えてからの変化が実に素晴らしい!なぜ警察に届けなかった?というイッヒの質問に対して、「わからない、わからない、もうお仕舞いだ!」と嘆くマキシムの姿は、母親の胸に頭をうずめてなきじゃくる、三歳児坊やのように見えました(笑)。初見の方も多かったのか、あるいはヴァンホッパーさん(寿さん)の「ちょっと見てっ!!」とマキシムを呼び止める声が迫力あふれていたせいか、客席は結構笑い声で沸きました。そういえば、今日は珍しく男子高校生の団体が1F後方にずらっと座っていたせいか、新鮮な拍手が後ろから厚く聞こえてきて、頼もしかった!ウィーンミューを観る企画をしてくれる高校って素敵!そういう学校に通いたかったわ(笑)。幸せの風景♪(新曲)は今日は多少ブツギリ気味に戻っていた気もするけれど、声が甘くてソフトで愛といっても父性的なものがあふれていて、この抑えた声の魅力もなかなか聞きなれてくるといいものです!「家族も無い・・一人っきりだ・・」のところ、ほんとうに絵を描いてあげたくなるほど、寂しげで、きゅんときます(笑)。結婚を申し込む台詞は相変わらず間がなくて早すぎかな。御花を受け取ったちひろちゃんの頬は今日はそれほど涙で濡れてなかったので、マキシムはぬぐわず、ぬぐう振りだけして、今日は手をちひろちゃんのセーターの腕で拭く事はなかったです(笑)(いつもはぜったいに拭いてますよね~!)ビンに詰めて~♪と歌うイッヒをそっと見守るマキシムの表情もとっても暖かでそれでいて、真面目な感じもでていて、とても素敵でした。こんな素敵なら、ビンの中身が悪魔でも許せますよね~!(笑)しかしどうして祐一郎さんは、「朝食」というのを、「ちょぉーーしょく」って伸ばしていうんでしょう?愛しています!とちひろちゃんに言われて振り返るときの顔も好き。シルビアダンヴァース登場!今回はWキャストのせいか、声が枯れてくることもなく絶好調!それでいて髪形がひっつめ+軽いウェーブも加わったことやメイクの変化もあって、ほんのり女らしい色気が初演より増し、観ていて美しいなと。張りのある朗々とした声で歌い上げるこの声はやはり誰にも真似できないでしょうね。やはりこの方あってのバリエーションなんだな、この人がスタンダードなんだあ、としみじみ感じた今日でした。まるでどんな場所もブルドーザーでガガガガといやおうな掘り返しちゃうようなスーパーパワフルな地声でうぉおおおお!!!となると、聴いていてスカーっとくるものがある。「どんなぁ~!!男もひれ~伏す~♪」とか・・・聴いていてこちらもひれ伏しそうになります(笑)最後の「あの方のものよぉーー」も声割れしてなかったと思う。ほんと、完璧な出来栄えでした。カテコの拍手も今日はシルビアが一番大きかったような気がしました。カトレアの歌も涼風さんの影響があるかどうか分からないけれど、しっとり感がどんどん増している気がする。涼風さんは歌のあとカトレアにうっとりとしているときにイッヒが入ってくると、ハッ!と恥ずかしそうに身を正しますが、シルビアは平然としています。こういう違いも面白いですね。マキシムの祐一郎さん、すごくメイクがしっかり入っていて、ちょっと浅黒く凛凛しくて、なんだかときどき横顔がレット・バトラーみたいな雰囲気も入ってたような・・。鬘がまさか同じじゃないでしょうね・・?(笑)ときどき、光が当たってマキシムの横顔のシルエットが後ろに映るのですが、そのときの鼻筋の角度の美しさといったら・・本人よりシルエットに惚れ惚れしてました(笑)。わたしって結構な鼻筋フェチかもしれない・・。モンテカルロとマンダレイとで確かに新聞は違っているように見えるけれど、マンダレイ以降は表紙がなくて、なんだか最初のObserverという新聞の上の1枚を剥ぎ取っただけだったりして・・なーんてね。どんどん新聞が薄くなっていくような気がして。チェスのシーンのおでこチュっ!は今日は控えめで奥ゆかしいキスでした。「きみのやりたいようにやりなさい」はとっても優しい声なのに、そのあとダンヴァースが来るから声がこわばってしまって残念(って、役だから仕方ないけれど)でも、涼風さんのときと違って、わりとクールを保った声です。甲走った声さえも、素敵な今季の祐一郎さん。「逮捕監禁」などという言葉も歯切れよくって、今日はどこだったか、「○○して、いる」という切るようにいう言い方が、あ、やっぱりちょこっと四季っぽいな、と感じました。そうそう新聞といえば、悪い噂という言葉に反応して切れてしまってイッヒに「わたしにそれを聞くな!」と新聞を読むポーズをするところだったかな?新聞が上下逆向きになっていて、祐一郎さんは、冷静にすばやく上下を正してました。娘が彼氏を連れてきて動揺し、新聞を読む振りするけど「おとーさん、新聞が逆さですよ」と言われてあわてて直す、そんなおとーさんのでてくるドラマなどを思い出して、なんだか可笑しくなってしまいました。「こんな夜こそ」はほんとにマキシムも「わたし」も丁寧で心を吐露するようにせつなく歌っていて、デュエットもばっちりですね。2幕最後の「夜を越えて」よりもずっと音楽としては素敵に感じる。デュエットはいいけれど、ユニゾン部分になるとちょっとぶつかり合う声質同士なのかな?やっぱり声の相性でいうと祐一郎さんと保坂さんが最高だったなあ、とPQをなつかしく思い出したりも。ファヴェールのシーンになるとこの前の東京會舘のイベントで、吉野さんが「ファヴェールっていつでも、すぐ「出てって!」って言われちゃうんです。シルビアさんとの最初のシーンも「出てって、ファヴェール!」だもん」とユーモアたっぷりに話していたことを思い出していました。マキシムにも出てけ!って言われるし・って(笑)。「神よなぜ」もすごいアップテンポになってますよね。でもシャープで硬質で切れのよい祐一郎さんの声だと魔法のように吸い込まれてしまう。音程もリズムも難しい曲です。刻むようなメロディーなので、途中の「けなげな瞳が希望に見えた~♪」のあたりの歌い上げの声が伸びやかで嬉しい。1幕最後舞踏会での衣装の披露の前、マキシムは寸前までは結構なご機嫌で、「ふーむ、妻はどーんな姿でくるのかにゃ?」みたいなことを考えていそうな表情をしていてキュートでした。だからこそ、その後の豹変が初演以上に怖いです。2幕の「凍りつく微笑」1編のストーリーを凝縮したかのようなこの曲、レベッカとの甘いはずがすっぱく辛く苦く終わった日々を薄皮をめくりながら思い出すように痛々しく、そして劇的に語りまさに一人芝居!彼の場合は演技だけでなく、声の張りや表情やニュアンスを変えていくことでの一人芝居でもあり、複雑な心境を載せて聞くものを誘導し、レベッカがマキシムに対する導きのように、そのままの流れであちこちに連れていかれるのがすでに痛みを伴う快感に近い。受け継ぐマンダレイ!!の響きの広がりはそのままマンダレイの広さを思わせ、その劇的なこと!マキシムは歌い終わってうなだれ、まだ私を愛していると言ってくれるのか?とイッヒに問うとき、自分の爪が自分の膝に食い込まんばかりにギュっと力を入れており、そのあとイッヒに腕を廻すのですが、膝の手が離れた瞬間が今まで自分を縛りにかけていたものからの解放とシンクロするように見えたんです。なんだか今までにない感動を覚えました。しかし憎まれても死に至らしめられても、レベッカはマキシムに何度も名前を連呼(笑)されるんですね。イッヒは名前を呼ばれることがない。このことは愛ではないかも・・だけれど、情念の深さ、感じていた気持ちの触れ幅はやはりレベッカに対するものは尋常でなかったことを感じさせますね。夜明けじゃない!あれは、マンダレイだ!というマキシムの表情は、やけに嬉しそう。ちょっと早すぎかな?って(笑)禅さんが歌い、そしてさあ、俺の歌う番だ!と周りを避難させるようにどかせ(笑)、一気にマンダレイの燃え上がる炎のように歌い上げるこの瞬間からだにもロケットが突き抜けるようです。消えてしまえ~!!今季最大の迫力の歌い上げですかーっとしました!(笑)待ち受ける、試練にも・・と途切れたように歌いイッヒに寄り添うマキシム。この祐一郎さんの歩いてくる時間が楽しみでなりません。「絆」とはなんだろう?難しいです。
2010.04.30
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全然ブログを更新する時間がもてず、書くのが遅れましたが、この前の日曜日(25日)、『レベッカ』のマチネを観て、夜はその足で東京會舘に行き、吉野圭吾さん&石川禅さんのミュージカルサロンVol.24に参加してきました。ほんとは夜だけの予定でしたが、とくに予定がなかったこともあり、急遽ご一緒した祐友さんと「昼はレベッカを観ない?」ということになり、2階の一番後ろで急遽『レベッカ』を観ることにしたのでした。2階のB席の補助席というのは初めて座ったのですが、これが思っていたよりずっと素敵なお席♪前に座席がないので視界が開けていて、足も伸ばし放題!簡素な折りたたみ椅子でしたが、固すぎることもなく簡単な肘掛はついていますし、とにかく景色が最高!!私も祐友さんも今回1階席が多かったのですが、2階席から見える『レベッカ』の世界はホントに照明が美しく、こんなに多くの場面で、色分けされたカラフルなチェスボードが床に映し出されていたなんて・・これを知らずに『レベッカ』を何度も観た・・と言うのはちと恥ずかしかったな、と思うほど。ベン登場のシーンから「神よなぜ」のシーンの床に映し出される模様も劇的で、自分も海の荒波に取り込まれてしまうほどの迫力でした。そして1F席では人とかぶって見えない部分なども出てくるのですが、2階後方では、見えない部分はほとんどなく、ストレスなし。まさに『レベッカ』の全世界を見届けているようなそういう俯瞰的な見方ができ、気持ちが落ち着きます。祐一郎マキシムも1階前方から観るとやけに頭でっかちで顎が長く見えたり(笑)する場合もありますが、遠くから見るとバランスのよい英国人らしい長身の紳士なんだな、端正な顔だちだな、とあらためてその美的部分が落ち着いて堪能でき、とてもよかった!これは、超前方席とは別の意味で、癖になりそうだね、と祐友さんと話しました。リピートしていて、ストーリーや場面展開など細かい部分が把握できている場合は、実に美味しく美しさが味わえる素敵な席なんですね!マキシムの大きな振りもこの距離ではちょうどいい、というか、極自然!(笑)やっぱり祐一郎さんは大劇場向きなんでしょうね。ちゃんと2階後方でも、チェスのソファでのチュッというオデコへのキスの音も響き、またダンヴァースとイッヒのレベッカの寝室シーンでも、あのドアだけのパーツもそれほど不自然に見えなかったのが不思議。まあ、どちらにしてもあのドアはなくてもいいかな、とは思うけれど。祐一郎さんは21日よりは集中力が高く見えました。2幕の凍りつく・・は、かなり気合が入っていて、ボートハウスのドアをたたきつけるように締めたとき、はずみでドアが開いてしまい、そのままになりました。中が白く灯りが点くため、あいたままのドアから白い亡霊でもふわりと出てこないか・・とちょっと不安でしたが、大丈夫でした(笑)。1階で見ていたときは、視線は低めかな、と思っていたけれど、祐一郎さんをはじめ皆さんちゃんと2階の遠方にも視線を配りながら演技されているのですね!!12時半開演なので、3時半には終わってしまい、ちょっとお茶などして時間をつぶし、6時からは東京會舘へGO!!美味しいディナーが待っているので、あまりつまらないものでお腹を充たしたくないけれど、小腹は空くし・・・で悩むところ・・(笑)。禅さん&圭吾さんのペアのミュージカルサロンに参加するのは2回目です。場所は帝劇からすぐ近くの東京會舘の9Fローズルーム。ファヴェールの吉野さんの髪形とか色は、ちょっと爬虫類ぽくて(役柄だから仕方ないけれど)、実はあんまり好きじゃないんですが、事前にでているチラシの写真の吉野さんがとっても素敵なので、期待で胸がいっぱいでした。ファヴェールもこの髪形でやればいいのに、とさえ思ったほど(笑)。前回は長いテーブルでしたが、今回は丸テーブル。真ん中あたりの通路そばのとても観やすいいいお席でした。前半は美しく盛り付けられた繊細なお味のコース料理を味わい、いよいよ照明が落とされ、トーク&歌のお時間に。シーンとしたなか、流れたのは『レベッカ』の潮騒の音・・そして、レベッカのイントロ(外国のCDかな?)そして、いきなり音楽は『ダンス・オブ・ヴァンパイア』のオーバーチュアに変わり・・・このへんで、変なナレーションが入りました。「違うでしょこれ?」「これは今はやってないし・・^_^;)」みたいな声は禅さん&吉野さんらしい。と思ったら、なんと次はレミゼの囚人ソングが・・。と最初からボケツkッコミトーク全開で、新しい芸人ペアかと思う息の合い方で、後方からいきなり登場したおふたりでした。ちゃんとこういう登場の練り歩きかたも気がきいていて、ひとつの通路だけでなく、あちこちと万遍なく蛇行(?)しながら来るのですね。素敵!おふたりともモノトーン系のロックな若々しいスタイルで、禅さんは細身の皮パンツだったかな?吉野さんも細身の黒デニムにシルバー系のペイント?が入ったもので、トップスもノースリーブのおしゃれなベスト風な上着で、腕が見えていて超かっこよかった!そしておなじみの山内さんの司会でトークが始まりました。お客さんは多分レベッカのファンも多いだろうということか、初っ端から舞台上で最近、こんな失敗をしちゃったよ、というお話が。噛みそうになったちひろちゃんに吊られて吉野さんも・・ということがあったのですね。また『レベッカ』でほかにやりたい役は?というQで、マキシムやらベンやらが候補に上がりました。ほんとのところはどうなんでしょうね(笑)。とにかく、ふたりの掛け合いが面白すぎて、細かいところすっ飛びました。歌は禅さんはポップス系を2曲、そして圭吾さんはサンセット・ブルバートとタン・ビエットの唄。マチネには『レベッカ』に出ているのをしっかり見届けているので、そのあと、こうして全然関係のない歌をしっかり仕込んでいらっしゃっているのを観ると、すごく感動しますね。そしていつもと違ったおふたりを観られたことがとても嬉しかったです!祐一郎さんのお話も少し出ました。マキシムはイン(陰)に篭る役だから、とてもしんどいときがある、という事をよく口にされる、ということでした。ダンス・オブ・ヴァンパイアだったら、きっとまた違う茶化し方などもしたかもしれませんが、今回はいたってシリアスなイメージのようです(笑)今回は遅めのホワイトデーということで?おふたりのサインが入った白いプレゼントがあり、ということで、開けてみたら、白トトロと白アルパカということで、どちらもゼンマイ仕掛けでジージーと動くんですよ、これ!打ち合わせしてないのに、すごい偶然!ということでしたが・・ほんとだとしたら凄いです(笑)・。長い毛が密集しているから、サインするのが、大変でしたよね、というジェスチャーもまた愉快で・・。それとほかにもサイン入りプログラムなどもあり、クジ引きをご本人たちが引き、何名かの方がその場でチケットNo.を呼ばれ、おふたりは呼ばれたNo.の人の席まで走っていき、プレゼントを手渡し握手、というほんとに夢のようなシーン。当たったきっとその夜は眠れない興奮だったことでしょう。そしてアンコールとして・・なんと消えたはずのおふたりがまた後方から登場し、中島美嘉さんの「雪の華」をデュエットしながら、それぞれ違う通路をまたゆっくり練り歩き・・このとき、吉野さんが近くの通路を通ったのですが、なんと流し目を送りながら歩いてくださったため、その流し目光線に見事魔法をかけられてしまい・・ちょっと1日の記憶が吹き飛んでしまうほどのドキドキを味わってしまいました。なんだか目力の強さとか、流し目の仕方が、とっても父上に似ていらっしゃるのですよ。ほんとにドッキリしました。たぶん、この日はおふたりのビームにバタバタと倒れかけた方、たくさんいらしたはずです(笑)。そんなこんなで、お腹も胸も心も、ぜんぶほっかりと満たされて、素晴らしいミュージカルハーツな(?)素敵な一日でした。
2010.04.28
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初めての涼風ダンヴァースでしたので、涼風さんにフィーチャー!です(笑)。シルビアさんとのあまりの違いに、ドキドキと心拍数上がりこう来たか!?と、かなりの衝撃を受けました。涼風さんは、まるで家政婦にはみえない、家政婦には似合わない人でした。そして、自分は地味で華がない→妖艶でなにものにも負けないレベッカを崇拝、自分は埋没・・というシナリオにもまったく沿ったキャラクターでもありません。個人の感想では、涼風さんはやはりレベッカ自身っぽいイメージだったのです。わたしは細いウェストと吸い込まれるような大きな瞳をきらつかせながら、空(くう)を見据えるような狂気を帯びていく涼風さんを観ているうちに、いつのまにかこの「レベッカ」のストーリーとは全く別のオリジナルストーリーを自分の脳内に描いていました。そして自分の中に芽生えてしまったそのシナリオに独り興奮してしまいました。そのストーリーとは・・。(以下妄想話ですので、ごめんなさい)レベッカには双子の妹がいた。2人は決して間に何者をも入れることが許されないような濃い関係にあり、崇拝もし、束縛もしあっていた。互いに好きな男を作ることもなかった。いわば禁断のふたり・・。ところがその2人の運命を分かつ時がついに来た。レベッカは突然大富豪のマキシム・ド・ウィンターと結婚してしまった。そして結婚生活に愛があったかどうかは定かではないが、レベッカはある日突然謎の死を遂げてしまった。残された双子の妹は、屈辱感とともに、まるで体の半分を失ったかのように喪失感を覚え、虚無状態に陥ったが、どうしてもレベッカを自分から奪ったマキシムが許せず、ついにダンヴァースという名の家政婦に化け、ウィンター家に雇われることに・・。色香を削ぎ落とし、顔も微妙に変えていたが、心の闇に囚われ鋭敏になっていたマキシムは、現れたダンヴァースという女にレベッカと同じ匂い、空気を感じとり驚愕するが、なぜか心のどこかで拒むことができず、雇いいれてしまう。ダンヴァースはレベッカの死が事故だったことに疑問をもち、ついには独自に調査を始め、真相に近づいていく。そして亡くなった双子の姉の復習を果たすべく、ダンヴァースはウィンター家に呪いをかけはじめるとともに、レベッカがまるで屋敷にまだ息づいているようにと屋敷内を模様替えする。姉を奪ったマキシム、そしてちゃっかりと再婚して連れてきた若い女・・・すべて許せない。ダンヴァースは姉の好きだったカトレアを屋敷じゅうに飾り、追慕の気持ちを示すとともに、レベッカの死に関わったと見られるマキシムがレベッカを過去のものにしたいと思う願いや、マキシムの愛、平安を得たいと望む新妻を脅かしていこうとする・・が、自分がいつのまにか狂ってしまっていることにダンヴァースは気づかなかった。シルビアの服は家政婦の服に見えますが、涼風さんの黒づくめは、美しい喪服姿に見えます。髪の結い方もシルビアは女性らしさを除去したストイックな形にみえますが、涼風さんは、女の復讐心に萌えた、エロスをより強く感じさせます。自分=レベッカ自身という意識があるため、レベッカの色気はどこか消そうとしても消しけれない、そんな多色づかいなダンヴァース。シルビアはモノトーンのイメージです。どうして、こんな妄想ストーリーが浮かんだかと申しますと、涼風ダンヴァースに対するマキシムの怯え方、いらだち方が、シルビアダンヴァースに対するときとまるで異質のものだったから。シルビアがくつろぐ2人のときを邪魔するように部屋に入ってきたときは、ああ、やっかいだ、うざいな、と邪魔に思って普通に不快感を表す感じでしたし、下がってよろしい、などのセリフも割りとコントロールが効いていた。しかし涼風ダンヴァースがすぅっと入ってきたときには、マキシムはまずその姿、顔をみて、一瞬ぎょぎょっとし、それはまるでレベッカの亡霊をみたかのような恐怖感が隠れているようにも感じたのです。そして、下がってよろしい、も、ただの不快感でなく、コントロールできない苛立ちがむき出しになり、目の前からその姿を消し去りたいという、心のざわつき加減が大きく感じたのです。涼風ダンヴァースは美しく妖艶です。とくに濃いアイメイクもありますが、大きく見開いたとき、その目には狂気に満ち、なまめかしく恐ろしい光を放ちます。これは、ただの家政婦の目でありません。家政婦という姿に化けた、蛇の化身のような呪いをもつ女の姿なのです。演出の山田さんは、ふたりのダンヴァースを比較して「シルビアさんはドライで、涼風さんはウェット」と表現しました。しかし、わたしの受けた印象は、「シルビアはどこかデンと構えていて、頭はクリアでクール、涼風さんは、頭の先からつま先まで、煮えたぎる狂気の熱い血に充たされている。」そんな印象を受けました。シルビアダンヴァースはクールで爬虫類のような(ゴジラとも・・?(笑))甲羅に覆われている、そして、涼風ダンヴァースはmad(狂った)化身のようであり、くねくねと柔らかだが、毒ヘビのようなあるいはぬめっとした両生類のような、相手を絡め取る武器をもっている。シルビアさんの目はぼっかりあいた穴のように空虚をあらわし、色がない。死人のようで恐ろしい。l涼風さんの目はらんらんと狂気に燃え、相手を焼き殺しそうに呪い殺しそうに恐ろしい。 これらの印象は、自分が観ていて創り上げた上記のストーリーをあてはめると、実にすっきりします。(と、勝手なことを言ってます(^^))涼風さんは歌声はシルビアと比べると声質が細めで、地響きのようなシルビアとは違う響きですが、ぐわーっと体の中心から搾り出すような恐ろしい声が目の奥から出てくる感じでした。シルビアが声と存在感で押すならば、涼風さんは、狂気に満ちた目の力と粘液のように相手を絡めとろうとする見えない武器で押してくる、という感じでしょうか。だから涼風ダンヴァースがレベッカを慕うのも、家政婦→主人という関係にはまるで見えなくて、全然違う人間関係に見えてしまったのでした。レベッカの部屋着を抱きしめるあたり、「倒錯」という臭いがむんむんしました。マキシムは1幕はちょっと声が出にくい感じの箇所もあり、そういうときは、がーっと気合を入れて叫ぶ感じを混ぜていて、なるほど、という迫力にもっていってました。でも、どうしても「神よ何故」のトレンチ+帽子姿がなんだか暑苦しい感じがしちゃうんですよね。歌詞の内容からしても、もっと取り乱していって、帽子やコートなど掻き毟っちゃう、脱ぎ捨てちゃうような迫力があればいいのに。そこまで行かずとも、どこかにちょこっと「抜け」があるといいなと思うんですが・・。大塚さんは割りと早いうちから涙がぼろぼろ・・でも歌にも影響せずほんとに強い子です!(笑)新鮮さはまるで失うことがなく、成長具合も自然で毎回あっぱれで言うことがないくらいです。噂という言葉をきいて激昂してしまったマキシムの、ああ、やってしまった、悪かった!という自分を責める思いは、初日より強く感じられました。チェスのシーンの「ご褒美」のでこちゅーの音ははっきり聴こえました。初日は控えめだったのか、音が聴こえなかった気がするけれど、席のせいもあるのかしら?コーンウォール駅での抱擁のときのキスは、背中を舞台側に見せるのでセンター下手側席からは細部(笑)は見えませんでしたが、数秒は2人の顔がじぃーっとくっついていたようです(^^)。レベッカの幻影のような白いドレス姿のシルエットですが、初日は1回しか確認できてなかったけれど、今日意識して観て来たところ、3回は映されてました。1.ダンヴァースのカトレア&レベッカを愛でる歌。2.レベッカI、そして、3つめはマキシムの「凍りつく微笑」でした。もしかしたら、他にもあったのかもしれません。涼風さんの目が熱く大きく見開かれることが多いせいか、祐一郎マキシムの目も、シルビアさんの日より、かぁーっと白目をむき出しにして見開く表情がやけに多く感じました。特に2幕の長いソロ。女性のセリフを思い出して語り歌う箇所、なんだか涼風ダンヴァースの影響でマキシムまで軟体動物になったみたいで、艶かしくて、こちらまで骨がぐにゃっとなりそう。正面からマジマジと見ると、ああ、祐一郎さんて凄い切れ長で舞台向きの大きい目をしているなあ、と久々に目力の強さを感じましたね(笑)。今日はお肌の調子がよかったのか、メイクもよくのっていて、最初はわりと白っぽくてカサっとしていても、2幕あたりなどいいホルモンがたっぷり出てきたのか?(笑)、とってもツヤツヤとホッペが綺麗だったマキシム。うーん、惚れ直しちゃいますよね~。50過ぎてもこんなにかっこよくって、しかも気配りに満ちているとなると、ちひろちゃんが「もう、山口さん大好きです!!」と月刊ミュージカルのインタビューで真っ先に答えたくなるのも、分かる気がします。そういう相手に対する親愛の情、信頼が増したことが、今回ほんとに相手の存在をお互いに大きく感じさせる自然な演技になったのだろうな、と想像します。最後よぼよぼと杖をつきながら上手から出てきて、それに気づいたイッヒが寄り添っていく姿を観て、苦しみから解放されて安らぎを得たふたりの姿をみていたら、昨日書いたマキシムのしたこと・・・ミステリーとしては・・?についても、マキシム風に「もぉ~、どうでもよくなった」という感想になりそうでした。人間はやはり「エゴ」というのに一生囚われた存在です。思いやり、愛と唱えてみても、やはり心にひっかかる不快なことや思い出があるかぎり、本当の意味の安らぎは得られない。なんらかの罪になる行為があったとしても、人生の最後に安らぎ、幸福感を得たもの勝ちなのかもしれません。幸せというのは、富や外見でなく、目に見えないものなんだなあ、と崩れ落ちた屋敷を見ながら、思ったりしたのでした。火のなかに崩れ落ちる屋敷とともに、我を投じるダンヴァースのシーンですが、額縁が電光のように、チカチカと光を放って崩れ落ちるので、なんだかダンヴァースは感電死したのか?と思ってしまいそうでした(笑)。シルビアは最後の最後、レベッカの死の事実を聴いて初めて「狂う」ように見えるので、この冷徹な自分を殺した人が選んだ最後の選択の意外さ、というものも感じさせますが、涼風ダンヴァースはもう最初から狂っているので、最後のシーンの狂気のほくそえみも、普通にナチュラルな流れ、という気がしました。目に狂気を帯びたマッド・ダンヴァース涼風!ちょっと虜になりそうです。今日は割りと落ちついた年代、初見の客が多かったのか、新鮮な笑いもあり、マキシムやフランクなど、演技や体の使い方がより大きく分かりやすくメリハリをつけて顕示するように動いていたように思いました。火事のシーンのマキシムはカウントをすでにしなくなっていて、祐友さんと「それでいいはずなんだけど、なんだかどこか寂しいわね~」と勝手なことを言ったりしてますが、今日はどこか別の部分で、片手で自分指揮をしていて、おお!それでこそ祐一郎さん!とまたお馬鹿な心の叫びをしてしまったわたしでした。今日は独りかなと思っていたら、普段あまりゆっくりお話できない祐友さんとご一緒することができて嬉しかったです。ちょっと困ったこと。近くの席の方が、曲が終わるたびにあまりにも早く(フライング気味の)高速拍手を始めること。本当にブラボーな曲だけならいいけれど、全部の曲でやられて、ああ、なんだか余韻がだいなし。あとカーテンコールで狂ったように俳優さんの名前を叫ぶ女、久々に出現で、周りもざわついて苦笑していました。こういう環境っていうのが生の舞台では、ほんとに感動に影響するから、なんとかして欲しいですわ~。
2010.04.09
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