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フレッドハーシュの新譜を聴く。今回は弦楽四重奏との共演で、FREE FLYINGという聞きなれないレーベルからのリリースで、このアルバムが記念すべき第一作とのこと。レーベルのオーナーは関口滋子という方で、日本でハーシュについて最も詳しい方の一人だそうだ。関口滋子さんは、キングインターナショナルRESONANCE RECORDSに所属していた(現在も?)ようだ。A&Rマン的な役割だったのだろうか。ハーシュはクラシック作品の作曲も行っていて、「CONCERT MUSIC 2001-2006 」というアルバムをNaxosから出している。管理人も聞いたことがあるが、彼の人柄が現れた穏やかな曲調の曲集だった記憶がある。なので、弦楽四重奏を使った曲もお手の物だろう。プログラムは“8曲からなる「サティ組曲」とエピローグである「Pastoral」からなる。題名のサティは作曲家の名前ではなく、古代インドの言語パーリ語の気づきという意味。CDにはフレッド・ハーシュによるセルフ・ライナーノーツが付いているが、この音源にはブックレットが付いていないので、詳しいところは分からない。ネット情報によると、ハーシュはこのアルバムについて次のように語っている。「この音楽を創るのは、まさに喜びだった。皆様に心の覚醒と平静と安らぎが訪れますように。」現在の状況で、聴き手がそのような心境になるのはなかなか難しいが、せめて聞いてほしいという心からの願いだろう。それにしては、結構騒々しいと感じるのは管理人だけだろうか。饒舌すぎるように感じられる。特に、ドラムスの細かい動きが時に煩わしく感じられる。Crosby Street String Quartetという団体についても詳しいデータは分からなかった。メンバーのディスコグラフィーを検索すると、ユリ・ケイン、エスペランサ・スポルディング、サラ・マッケンジーなどの著名ジャズメンとの録音があり、ポピュラー音楽に慣れているミュージシャンたちであることが分かる。そのためか、トリオに積極的に絡んでいく姿勢が垣間見える。ただ、サウンドが濃厚で、時に饒舌に聞こえることが多く、トリオのカラーとは微妙にずれているように感じる。静かな曲が多いが、その中で中近東の音楽を思い出させる「Mara」が面白い。弦のピチカートとパーカッションの複雑に絡み合ったサウンドが効果的で、その中をピアノのモノローグが続くというもの。安らぎを感じるのであれば、テンポのゆっくりした静かな曲がいい。「Awakened Heart」冒頭の美しい弦のあとの清冽なピアノ・ソロが心に染み入る。タイトルチューンの「Breath By Breath」では、ベースの心臓の脈拍のようなリズムに、弦楽四重奏の弦が優しいメロディーを奏でる。その後のベース・ソロも、そのムードを引き継いで、いい感じだ。続く慰めに満ちたピアノ・ソロに心を癒される。エンディングでは最初のベースの鼓動と弦のメロディーが再現される。素晴らしい構成と演奏で、聴き手の心が優しくなることが実感できる。「Monkey Mind」は気分を変えて、フリーフォーム的なトリオに弦のピチカートが絡むという構成。ここでは手数の多いドラムスが有効だ。後半はトリオと弦の対話の形になっていて、なかなか面白い。「Rising, Falling」はスローなワルツ。美しいが、内省的で暗いので、聴き手の気分は晴れない。弦楽四重奏のみの「Know That You Are」はゆったりとした悲しみを帯びたメロディーが心に染み入る。リズミックで楽し気な「Worldly Winds」で組曲を締めくくる。気の利いたフレーズが聞こえる弦のコンピングもいい感じだ。シューマンに捧げられた「Pastorale」でほのぼのとした温かみの感じられる曲で、穏やかにアルバムを締めくくられる。録音はいいのだが、通常の前に張り出すジャズ的な音場が重ったるく、こういう音楽なら、リバーブを減らした処理のほうが、ふさわしかったような気がする。おそらく、繰り返し聞くことにより、味わいが深まっていくようなアルバムになりそうな気がする。Fred Hersch Breath By Breath(Free Flying FFPC 001)24bit96kHz FlacFred Hersch:1.Begin Again2.Awakened Heart3.Breath by Breath4.Monkey Mind5.Rising, Falling6.Mara7.Know That You Are8.Worldly Winds9.Pastorale (homage a Robert Schumann)Fred Hersch (p)Drew Gress (b)Jochen Rueckert (ds)Rogerio Boccato (perc. Track 6)Crosby Street String Quartet
2022年01月30日
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ルノー・カピュソンは2021年秋のシーズンからローザンヌ室内管弦楽団芸術監督に就任した。その第1作は、アルヴォ・ペルト作品集。「タブラ・ラサ」「鏡の中の鏡」など有名な曲を集めているらしい。というのは管理人はペルトの作品は不案内だからだ。いくつかのアルバムを聞いているのだが、まだしっくり来ていないというのが正直なところ。「タブラ・ラサ」の代表的な演奏はクレーメルの演奏だろう。カピュソンのアルバムを車で聞こうとして、間違ってクレーメルの演奏もUSBに入れてしまった。クレーメルの演奏も聞いたが、カピュソンの演奏を聞いたら、クレーメルは線が細く、貧血気味の音楽に聞こえる。ガーっと前面に出てくるのではなく、部屋の片隅でささやかに鳴っているような印象だ。このアルバムでのカピュソンの演奏は豊麗な録音の影響もあるが、総じて、血色がよく、訴求力も強いように思う。「タブラ・ラサ」Ⅰのクライマックスは、文字通り痛切な響きだ。「フラトレス」は独奏ヴァイオリンと弦楽オーケストラとパーカッションのヴァージョンが使われている。ヴァイオリンのカデンツァのあとの拍子木と太鼓の音が大きめで、なんとなく日本のお囃子のように聞こえる。持続音が結構強めで、印象に残る。この曲を参考までにパーヴォ・ヤルヴィの弦楽オーケストラとパーカッションの版を聞いてみた。冴え冴えとした空気が感じられるが、あくまでも静かで、弦も押しつけがましくない。従来のペルトのイメージそのものの演奏。「スンマ」はパーヴォ・ヤルヴィのアルバムにも収録されている。「フラトレス」と同じように、エストニアの荒涼とした風景を感じさせるのはヤルヴィ盤。カピュソン盤は総じて音が大きめで、アグレッシブな姿勢が感じられる。低音を含めぐいぐいと迫ってくるのは、ヤルヴィ盤では感じられない。「鏡の中の鏡」は少し速めのテンポ。ヴァイオリンのヴィブラートは少なめ。ギヨーム・ベロンのピアノの音量が大きすぎて、この曲の気分がやや損なわれているのは惜しい。「レナルトの追憶に」は2006年の作品。ペルトの友人で、1992年から2001年までエストニア共和国の大統領を務めたレナルト・メリの葬儀のために作曲された深い祈りの音楽。ペルトの音楽にしては、生の感情に近いものが表されている。ローザンヌ室内管弦楽団は澄んだ音色と豊かなハーモニーで、大変美しい。管理人の今までのペルトの演奏のイメージからは、(いい意味で)かなり離れているが、今後の彼らの活躍が大いに期待できるアルバムだった。Renaud Capucon Arvo Part: Tabula Rasa(Erato 9029.502957)24bit96kHz Flac1-2) Tabula rasa(1977) for 2 violins, string orchestra & prepared piano3) Fratres(1992) for violin, string orchestra & percussion4) Summa(1991) for string orchestra5) Silouan’s Song(1991) for string orchestra6) Darf ich…(1995) for solo violin & string orchestra7)Spiegel im Spiegel(1978) for violin & piano8) Für Lennart in memoriam(2006)for string orchestraGuillaume Bellom(p,track7)Renaud Capucon(cond,vn track 1-3,6-7)Lausanne Chamber OrchestraRecorded: 30.XI.–2.XII.2020, Salle Métropole, Lausanne
2022年01月28日
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bandcampで知ったブラジルのギタリスト、ジアン・コレアの一昨年にリリースされたビッグバンドのアルバム。qobuz usaから税込み$4.31でダウンロード。こちらによると、ジアン・コレアは7弦ギタリスト、作曲家、アレンジャー、音楽プロデューサーで、今回のアルバムは3枚目のアルバムで初のビッグ・バンド・アルバムとのこと。また、ディストリビューターの資料によると、『ピアノとエレキ・ギターの代わりに7弦アコースティックギター、カヴァキーニョ及びバンドラというブラジルのリズムセクションを持ち込んでいるのだ。サンバ、ショーロ、フリーボ、マラカトゥといった伝統的なジャンルに新しい風を吹き込み、新鮮さと現代性を感じさせるサウンドは、聴く人に新しい感覚を与えてくれるだろう』とのこと。wikiによると、カヴァキーニョは『ポルトガルから渡ってきた移民たちが持ち込んだブラギーニャという民族楽器を起源とする、サンバやショーロ等に使われるブラジルの4本のスチール弦が張られた楽器』またバンドラは4本のナイロンが張られた楽器で、柔らかい音ながら、ピックを使うのでしゃきっとした音が出るそうだ。ピアノが入っていないし、ベースもあまり目立たないので、音楽の重心がだいぶ高くなっている。その代わり、ブラジル音楽の熱狂的な側面が際立っていて、聴いていて大変楽しい。全曲コレアの作編曲によるもの。メロディアスでリズミックな曲ばかりで、踊りたくなるほどだ。アンサンブルが主体で、本人はもちろん他の楽器のソロもそれほど多くはない。大変難しいスコアのようだが、突き抜けるような明るさとブラジルの哀愁が感じられ、しかもビッグ・バンドの醍醐味も味わえるという大変な優れもの。通常のラテン・ビッグバンドと言えば、リズムが表に出て来て、ホーンはそれほどでもないという印象が強い。ところが、このバンドはホーンが半端なく強力で、かなり難しいスコアを涼しい顔でこなしている。文字通り一糸乱れぬアンサンブルで、スリリングな時が味わえる。分厚く柔らかなハーモニーも魅力的だ。なるほど、『ブラジル音楽界の偉大なインストゥルメンタリスト20人がこのアルバムに集結』というコピーは伊達ではない。ホーンの中ではCesar Roversiのバリトン・サックスが目立っていた。気になるのは四人のパーカッション。時々流れている音楽と少し距離を置いたようなプレイに感じたのは、気のせいだったろうか。「Jazzman no Morro」ではナイロール・プロベータのスインギーなクラリネット・ソロが楽しめる。「No Boteco do Pará」ではモニカ・サルマーゾの爽やかな歌声が聴かれる。彼女はサンパウロ出身で、ブラジルでは有名な歌手らしい。急速テンポの「Trançando as Pernas」はスピード感が堪らない。最後の「O Tema Tá Chegando」ではサンバなどで使われるクイーカとメストリーニョのアコーディオンが活躍し、熱狂のうちに大団円を迎える。例によって24bit192kHzにアップコンバートしての試聴でロスレスながらエネルギー感が半端なく素晴らしい。40分に満たない演奏時間であるが、全曲聴きどころ満載で、文句なしに楽しめる。是非続編を期待したい。Gian Correa Big Band ()16bit 44.1kHz FlacGian Correa:1.Jazzman no Morro2.No Boteco do Pará3.Trançando as Pernas4.Gênese5.Remistura 76.O Tema Tá Chegandoall tracks composed by Gian CorreaGian Correa7 string g)Nailor Proveta(as,ss,cl)Josué dos Santos(as,fl)Vitor Alcântara(ts,fl)Jota P. Barbosa(ts)Cesar Roversi(bs,cl)Paulo Malheiros(tb)Conrado Bruno(tb)Eduardo Johansen(tb)Jaziel Gomes(b.tb)Bruno Soares(tp)Paulo Jordão(tp)Rubinho Antunes(tp)Raphael Sampaio(tp)Henrique Araújo(Cavaquinho)Marcelo Martins(Cavaco bandola)Bruno Migotto(b)Edu Ribeiro(ds)Alfredo Castro(perc.)Rafael Toledo(perc.)Julio Cesar(perc.)Kabé Pinheiro(perc.)Monica Salmaso(vo track2)Mestrinho(accordion track6)
2022年01月25日
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ジョナサン・ノット指揮スイスロマンド管弦楽団によるメーテルランクの「ペレアスとメリザンド」によるドビュッシーとシェーンベルクの音楽を組み合わせたアルバム。税込みC$17.16でprostudiomasters(加)からダウンロード。ドビュッシーは歌劇を管弦楽に編曲した組曲版で、ノットの編曲による世界初録音。管理人はこのオペラはあまりなじみが薄く、何回聞いてもなかなか体に入ってこなかった。アカデミー賞を受賞したデュムソー指揮ボルドー国立歌劇場の演奏を聞き始めてから、少しづつ分かり始めているところだ。そのため、このアルバムは11月に手に入れていたが、アップするのが2か月以上過ぎてしまった。このオペラは起伏があまりなく、ぼんやりと聴いていると、すっと通り過ぎていくことが多い。その中では劇的な第4幕第1場の城の中でペレアスがメリザンドに「旅立つ前にもう一度会いたい」と頼む場面や第4場で二人がいるところにゴローが現れペレアスを刺す場面など、緊迫した状況がよく分かる。この曲は、組曲ながら切れ目なく演奏される。曲毎にタイトルが付いているので、自分の好きなトラックを選択出来てとても便利だ。ノットの編曲は大変優れていて、筋が全く分からなくても、普通の交響詩として聞いて楽しめる。スイス・ロマンド管弦楽団演奏は大変優れている。サウンドは少し重いが、なるほどこの楽団がアンセルメ時代にフランス物を多く演奏してきたことを思い出させる演奏だった。シェーンベルクは管理人のデフォルトはカラヤン盤で、今回の演奏は少し遅めのテンポながら、カラヤン盤と同じような傾向の演奏。大編成であり、響きが整理されていないと聞きたくない音まで聞こえる場合があるが、今回の演奏はその心配がないのが助かる。パート5の「Im Zeitmass」などの、入念な表情付けや、絶妙な間が印象的なシーンも見受けられる。この曲では管のソロが頻繁に出てくるが、若干弱く感じられることがあるのが惜しい。濡れたような木管の響きは、大変魅力的だ。金管は、ここぞというシーンでのパワーが不足していて、少しがっかり。この曲の場合にもトラックが細かく切られていて、詳細なタイトルがつけられているので、聴きたいところが簡単に見つかるのが助かる。テュッティでも混濁しない(特にシェーンベルク)録音も素晴らしい。Nott Debussy & Schoenberg:Pelleas et Melisande(Pentatone PTC5186782)24bit 96kHz Flac1.Debussy(arr.Not):Pelleas et Melisande: Suite symphonique16.Schoenberg: Pelleas und Melisande, Op. 5Orchestre de la Suisse RomandeJonathan NottRecorded June、2019(Debussy) November,2020(Shoenberg)
2022年01月23日
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ヒラリー・コールのアルバムが出ていたことを偶然知った。最近はハイレゾへ興味が移り、情報も、もっぱらハイレゾ配信サイトからのメールのお知らせからしか仕入れていない。また雑誌の中身もあまりよく読んでいないので、見逃すことも多い。今回も、ふと思いついてspotifyでチェックしたら彼女の新譜が出ていたことを知ったのだ。ロスレスはハイレゾの配信サイトから情報は来ない。なので、普段からチェックしていないと見逃すことになる。ロスレスなので配信されているサイトも限られて、今回のアルバムはqobuzでしか見当たらなかった。それでも、税込み約¥900なので、かなり安く手に入れることが出来た。今回のアルバムは6年ぶりとのことで、自身のレーベルからのリリース。全曲安定した歌唱。清潔感があり、力のこもったヴォーカルと時折入るスキャットは聞きごたえ十分。高音まで伸びきった声が素晴らしく、フレージングも滑らか。プログラムは殆どがスタンダード。ポール・ウイリアムズ(1940-)の「Love Dance」が異彩を放っている程度。ボサノヴァ・タッチのアレンジで、軽快で粘らない歌唱が心地よい。ジョン・ウイリアムスの「Make Me Rainbows」はコメディ映画Fitzwilly(1967)(邦題 ニューヨーク 泥棒結社)のナンバー。ウォーキング・ベースから始まるアレンジがブルージーな雰囲気を醸しだす。「In a Sentimental Mood」は声を震わせていて、ジェーン・モンハイトの歌い方にどことなく似ている。バーリンの「Let's Face the Music and Dance」もボサノヴァ・タッチのアレンジがいい。「Round Midnight」はギターとのデュオだが、ギターはかなり控えめで、ヒラリーの情熱的なヴォーカルが存分に楽しめる。ギターのジョン・ハートは「The Sweetest Sounds」でもいいソロを展開している。「It's You or No One」では美しいバース、一転明るくリズミックなコーラスのコントラストが鮮やか。ブルージーな「The Sweetest Sounds」は後半のスキャットとドラムスの4バースから熱を帯びた情熱的なヴォーカルへと続く。クリス・バイアースの管が時折入っているが、サックスはともかく、クラリネットやフルートは音楽が甘くなるようで気に入らない。ヴァイブも管理人好みではない。コールが初めて執筆したライナーノートによると、クリス・バイアースによるアレンジは、音に柔らかさとふくよかさが加わるので、ホーンを入れる代わりにヴァイブを入れたとのこと。バックでは先に触れたギターのジョン・ハートの他、ピアノのアダム・ビンバウムの趣味のいいバッキングが光っていた。ベースのポール・ギルのどっしりとした低音と、アーロン・キンメルのリムショットを多用したラテン風なプレイも印象的だ。試聴は、例によって192kHzへアップ・コンバートした音源。元がロス・レスながらクリアな録音で、ハイレゾでなくとも満足度が高い。ということで、大変すばらしい録音だったが、自主レーベルを立ち上げなければならないというのも、この業界の厳しさを表しているのだろう。次回作はもう少し早くリリースされることを願う。youtubeHilary Kole:Sophisticated Lady (Hilary Kole Music 19526909566)16bit 44.1kHz WAV1.Duke Ellington:Sophisticated Lady2.Burton Lane:Old Devil Moon3.Irving Berlin:The Best Thing for You4.George Gershwin:Somebody Loves Me5.John Williams:Make Me Rainbows6.Paul Williams:Love Dance7.Duke Ellington:In a Sentimental Mood8.Irving Berlin:Let's Face the Music and Dance9.Thelonious Monk:Round Midnight10.Sammy Cahn:It's You or No One11.Richard Rodgers:The Sweetest SoundsHilary kole: Vocals Arrangements for tracks 2 and a Chris Byars: Arrangements for all tracks except 2 and Orchestrator tracks 2 and 8/ woodwinds on all tracksHilary kole(vo)Chris Byars (ts,cl,fl)Tom Beckham(vib)John Hart(e-g)Adam Bimbaum(p)Paul Gill(b)Aaron Kimmell(ds)Recorded New Jersey, 2020.
2022年01月21日
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アンナ・ネトレプコ(1971-)の新譜を聴く。ディストリビューターのコピーによると、タイトルは「闇に抱かれ」。『愛、絶望、死、希望をテーマにした感動的なオペラ・アリア集』とのこと。ジャケ写は口から首のまわりや指先が黒く塗られていて、少し不気味だ。ブックレットにも似たような化粧をした写真があるが、それらはもっとキモイ。アルバムタイトルのイメージを化粧で表現しているのだろうか。昔はネトレプコのことを結構気に入っていて、アルバムが出るのを待ちわびていた時があった。最近は新譜が出た後すぐ聞くことも少なくなってしまった。五十歳を過ぎているので、声は年相応に太く、ダークなものになっているし、表現はネットリ系。レパートリーもそういう役柄の曲が選ばれているのかと思いきや、蝶々夫人やマノン・レスコーが取り上げられていて、役柄にそぐわない気がした。『感動的』かどうかは分からないが、相変わらず強靭な声で、声量も凄い。デビューしたての頃の可憐な声が懐かしく思い出される。曲はいろいろな作曲家のアリアが取り上げられているが、ちょっとまとまりがないような気がする。ドイツ物と重厚なヴェルディに絞るとかしたほうがよかったように思う。時折ロシア風の発声が気になることがあるが、もうそこから脱することは不可能だろう。全て重厚でネットリ系の歌なので、口直しに軽い歌も入っていればと思った。初のバロックものであるパーセルの「ディドとエアネス」からのナンバーがその役割なのかもしれないが、ロマン派的な解釈で、バロック特有の軽さや繊細さが感じられない。チャイコフスキーの「スペードの女王」から「ああ、もうすぐ真夜中」は、さすがにはまっていて、なかなか感動的だ。ヴェルディの「ドンカルロ」のエリザベッタのアリア「あなた様は空しさをご存じです」も暗めの声が、役柄にあっている。マノン・レスコー第4幕の「捨てられて」も迫真的な歌唱で迫ってくるが、いまいち殺伐とした雰囲気が感じられないのが不満だ。「ある晴れた日に」のエンディングのGesの伸ばしが異常に長いので、スコアを確認したところ、フェルマータは付いていない。今まで聞いてきた録音で異常に感じたことはなかったので、長く伸ばした理由を知りたいところだ。トリスタンの「愛の死」は前奏曲から連続で続いているが、特に違和感なし。肝心の歌だが、声の威力に任せて歌いすぎていて、肝心の悲しみが全く伝わってこない。ハイレゾでは、通常のCDでは未収録のトリスタンの前奏曲も含まれている。弱音が少し大きいが、遅めのテンポで始まり、後半少しテンポを上げて情熱的に盛り上げていく。クライマックスでトランペットやトロンボーンが聞こえないで、何故かチューバの音が聞こえるという不思議なバランス。バックのスカラ座管はあまり突っ込んだ表情は見られない。シャイーならもうやれそうなものだが、少し物足りない。それにサウンドは引き締まっているものの、特にドイツ物での厚みが不足している気がする。なお、ハイレゾではアリアが始まる前の部分を別のトラックとして分かれている曲が何曲かあり、曲数は全部で18曲になっている。どういう意図(歌の部分だけ聞きたい人向け?)か分からないが、再生ソフトにより、トラック間で瞬間的に切れる場合があるので、親切ではない。Anna Netrebko:Amata dalle tenebre(DGG )24bit 96kHz Flac1.Cilea: Adriana Lecouvreur - Poveri fiori2.Purcell: Dido and Aeneas, Z. 626 - Thy hand, Belinda3.Purcell: Dido and Aeneas, Z. 626 - When I am laid in earth "Dido's Lament"4.Tchaikovsky: Pique Dame, Op. 68, TH. 10 - Uzh polnoch blitzitsya5.Tchaikovsky: Pique Dame, Op. 68, TH. 10 - Akh, istomilas ya gorem6.R. Strauss: Ariadne auf Naxos, Op. 60, TrV 228 - Es gibt ein Reich7.Verdi: Aida - Ritorna vincitor!8.Verdi: Aida - Numi, pietà9.Wagner: Tannhäuser, WWV 70 - Dich, teure Halle – Introduction10.Wagner: Tannhäuser, WWV 70 - Dich, teure Halle11.Puccini: Madama Butterfly, SC 74 - Un bel dì vedremo12.Wagner: Lohengrin, WWV 75 - Einsam in trüben Tagen13.Verdi: Don Carlo - Tu che le vanità – Introduction14.Verdi: Don Carlo - Tu che le vanità15.Puccini: Manon Lescaut, SC 64 - Sola, perduta, abbandonata – Introduction16.Puccini: Manon Lescaut, SC 64 - Sola, perduta, abbandonata17.Wagner: Tristan und Isolde, WWV 90 - Prelude to Act I18.Wagner: Tristan und Isolde, WWV 90 - Mild und leise wie er lächelt "Isoldes Liebestod"Anna NetrebkoOrchestra del Teatro alla Scala di MilanoRiccardo ChaillyRecording: Milan, Teatro alla Scala, 10/2020 & 4/2021
2022年01月19日
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ハロルド・メイバーン(1936 – 2019)のアルバムがハイレゾのセールにあがっていたので、spotifyでちょい聴き後qobuz usaで税抜き$5.99で購入。この録音は2017年末から2018年1月にかけてNYの「Smoke」で行われた「カウントダウン2018- ジョン・コルトレーン・フェスティバル」と題された「ハロルド・メイバーン・カルテット・フィーチャリング・エリック・アレキサンダー」の21日間連続ライヴの最後の3日間に収録されたもの。華やかな雰囲気の中での熱気のこもった演奏で、さながらライブ会場の観客の一人になったような気分になる。全編メイバーンの強靭な打鍵が印象的だ。アルト、テナー、トロンボーンの3管編成。トロンボーンの入った「Blue Train」や、コルトレーンとドルフィーのコンビを思い出させる「Impression 」を意識したのだろうか。気に入ったのは疾風怒濤の「Impressions」。ヴィンセント・ハーリングのアルト・ソロに触発されたかのようにスティーブ・デイビスのトロンボーン、エリック・アレキサンダーのテナーも火の出るようなソロを展開する。メイバーンはソロもさることながらバッキングでのずっしりとした重みのあるブロックコードが印象的だ。トロンボーンが入っているので「Blue Train」はおあつらえ向きな選曲。アレキサンダーのコルトレーン・ライクなソロが、相変わらずのテナー・サイボーグ?ぶりを感じさせる。スティーブ・デイビスのメロディックなトロンボーン・ソロもなかなかの聞き物。ビンセント・ハーリングのねっとりとしたアルトもいい。ジョー・ファンズワースのドラムスは活気がありフロントを盛り立てている。「Dahomey Dance」はアトランティックの「Olé Coltrane」収録。冒頭のジョン・ウェーバーのベースのウォーキングからして圧倒的なサウンドが展開される。最後の「Straight Street」はコルトレーンの初めてのリーダーアルバム「Coltrane」収録曲。いかにもハードバップというメロディー。ソロはいずれも強力。演奏はいいのだが、アレンジが?の曲がいくつかあった。気に入らなかったのは、バラードの「Dear Lord」が速いテンポのラテン・ナンバーになってしまったこと。コルトレーンの演奏を聞くと、いつも心が浄化されるような気持ちになるが、このアレンジではそれが台無しになってしまう。「My Favorite Things」のイントロのピアノ・ソロに「愛のコリーダ」が引用されていたのも、あまり趣味がいいとは思えない。「Neima」もアップ・テンポのお気楽なムードに変わってしまってがっかり。その場にいれば違った感じかもしれないが、録音で聴く限りお気楽な感じは否めない。ライブながら鮮明な録音で各楽器の分離がよく、彼らの演奏がビビッドに伝わってくるコルトレーン・フェスティバルの録音は「The Iron Man」(SSR-1807)と「Mabern Plays Mabern」(SSR-2001) が既に発売されているので、そちらもチェックしたい。official videoHarold Mabern:Mabern Plays Coltrane (Smoke Sessions SSR2107)24bit 96kHz Flac1.Dahomey Dance2.Blue Train3.Impressions4.Dear Lord5.My Favorite Things6.Naima7.Straight StreetHarold Mabern (p)Vincent Herring (as)Eric Alexander (tn)Steve Davis (tb)John Webber (b)Joe Farnsworth (ds)Recorded Live January 5, 6 & 7, 2018 at SMOKE, NYC
2022年01月17日
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イザベル・ファウストが参加しているので買おうとしていたバッハのブランデンブルク協奏曲集。高いので、しばらく様子を見ていた。この前eclassicalをチェックしていたら、なんと$11.83という価格で、速攻でダウンロードしてしまった。ダウンロードしたファイルを見たら192kHzFlacで二度びっくり。演奏はベルリン古楽アカデミーで、曲によりイザベル・ファウストとアントワン・タメスティが参加している。ベルリン古楽アカデミーはダークなサウンドで透明度はそれほどないが、骨太のドイツらしいサウンド。この団体は1997年に録音している(未聴)ので、今回は再録にあたる。この曲の今どきのイタリアのようなからっとして明瞭なサウンドからすると、正反対の音だ。この団体の芸風は、温和な表現とは真反対のアクセントのきついガシガシと迫ってくるものだ。また、この曲では柔和な表現が主流だろうが、今回の演奏を聞くと、速めのテンポと相まって、本来、曲の持っている力強さを感じる。なので、これらの曲に優雅さやを求める向きには、期待が裏切られるかもしれない。この演奏を聞くと、既存の演奏が刺激のない、のんびりとした演奏に聞こえるから不思議だ。エンディングもスパッと切っていて、潔い。第1番のナチュラル・ホルンの素朴ではあるが荒々しい表現は聴く者に強い印象を与える。第2番は躍動的な表現で、聴いているだけで体が動き出すようだ。トランペットは、バックとうまく溶け合っているのはいいのだが、もう少し表に出てもいいような気がする。他のソロ楽器はアンサンブルも含め、いい感じだ。第3番の第1楽章は5分10秒とかなり速く、歯切れの良い表現。低弦の鋭く切れ込む表現も新鮮だ。驚くのは第3楽章。何とも凄い速さで、それも流麗ではなくガシガシと迫ってくるところは見事だ。表現も、のっぺりしているのではなく起伏がある。アンサンブルも強固で、大変スリリングな演奏。この速さなら、二人のソロ奏者を起用したのも頷ける。第4番の2本のリコーダーも通常の女性的な表現ではなく、力強い表現。ファウストの、きれきれのソロ・ヴァイオリンに唖然とする。プレストは既存の演奏の中ではおそらく最速に近い部類。4分55秒くらいが標準的な速さだろうが、今回の演奏はそれに比べると30秒も短い。ただし、第3番の第3楽章のような猛烈な速さは感じられない。第5番で活躍するハープシコードはテュッティでは楽器の特性とはいえ、すこしバランスが悪い。第1楽章のハープシコードのカデンツァはテンポを落としてじっくりと弾いていて印象的だ。ヴィオラの活躍する第6番ではタメスティがゲスト出演している。タメスティの輝かしい音色に比べると、2番ヴィオラが少し地味だ。第3楽章でソロの応酬でゴリゴリと迫ってくるのは面白い。とうことで、全体を通して力強く躍動感に満ちた演奏で、通常だとあまり面白くない4番以降の曲も大変面白く聴くことが出来た。Akademie für Alte Musik Berlin:J.S. Bach: Brandenburg Concertos(Harmonia Mundi 90268687DI)24bit 192kHz FlacBrandenburg Concerto No. 1 in F major, BWV 1046 Brandenburg Concerto No. 2 in F major, BWV 1047 Brandenburg Concerto No. 3 in G Major, BWV 1048Brandenburg Concerto No. 4 in G major, BWV 1049 Brandenburg Concerto No. 5 in D major, BWV 1050 Brandenburg Concerto No. 6 in B-Flat Major, BWV 1051 Akademie für Alte Musik BerlinIsabelle Faust、violin Jacobus Stainer (1658)(No.3、No.4 only)Antoine Tamestitviola、viola Stradivarius ‘Gustav Mahler’ (1672)(No.3 No.6 only)
2022年01月15日
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presto musicで特集されていた、ウガンダ出身でロンドンを拠点に活動するトランペット奏者、マーク・カヴューマの三枚目のリーダーアルバム「嵐のあとで」を聴く。qobuz usaから税込み$7.01でロスレスをダウンロード。沢山の人の顔が描かれているアルバムカバーはKasia Zaitzによるもの。このレコーディングに参加した24人のメンバー全員が描かれているそうだ。1曲目から昔ながらのハードバップの音楽が流れてくる。ノスタルジーを感じさせるサウンドながら、古臭い感じはしない。最後のゴスペルなどかなり黒っぽい。昨今のシャープなジャズではなく、温もりを感じさせる。最近のイギリスのジャズは神経がすり減りそうな音楽が多く、これは、ほっとする音楽だ。The Banger Factoryはマーク・カヴューマを含め総勢10人の大所帯だが、曲により入れ替わりがある。プログラムは、4曲がメンバーのオリジナルで、他はユービー・ブレイク、エリントン、ジェイムズ・クリーブランドの作品。この3曲の選曲もジャズマンとしてはかなりユニーク。ブレイクはミュージカルナンバー、エリントンの「David Danced(Before the Lord With All His Might)」は宗教音楽、クリーブランドはサム・クック & ソウル・スターラーズというグループのゴスペル・ナンバーだ。タイトルチューンの「Arashi No Oto」は原題は括弧書きされた「After the Storm」で、この日本語訳の「Arashi No Ato」の響きが好きなのだという。この曲はクリフォード・ブラウンの影響を受けたバラードという。なるほどクリフォード・ブラウンが好きそうな曲で、カヴューマのソロの端々にブラウンのフレージングが感じられる。ハーモンドオルガンのバッキングが、通常のバラード演奏とは一味違った、ほのぼの感を醸し出している。「Eluid」は典型的なハードバップのサウンド。他の曲もそうだが、メロディックで親しみやすいテーマがいい。ブレイクの「Love Will Find Away」ではチューバがソロをとる。素朴なサウンドだが、暖か味がある。リズミックなラテン・ナンバーの「Brother James」では、Deschanel Gordonのピアノ・ソロがある。パーカッシブなソロで、決してメロディックでないところが新鮮。ミディアムテンポの「Hedz」はコミカルなテーマとまったり感がいいナンバー。David Mrakporのヴァイブのソロの後のカヴューマの独り言のようなトランペット・ソロが面白い。後半エレクトリック・ピアノの短いソロがあるがクレジットは見当たらなかった。エリントンの「David Danced」は速いテンポで、ゴスペル色は薄い。ピアノ・トリオに、ギターとヴァイブが加わり、ヴァイブのノリのいいソロが展開される。さらっとした仕上がりで、聴後感はとてもいい。最後は「ゴスペル音楽の王」として知られるジェームス・クリーブランドの「One More River(to cross)」ハモンドオルガンから始まる音楽はゴスペル・ムード満点。後半には8人編成の聖歌隊が入り、本格的なゴスペルの世界が展開される。リードはMarcina Arnoldだろうか、澄んだいい声だ。この方は南アフリカとアイルランドのハーフのようだが、本場アメリカの雰囲気がむんむんとする。他はイギリスのミュージシャンらしいが、とてもイギリスのミュージシャンによるゴスペルとは思えない。全体にベースのMichael Shrimplingの太いサウンドが安定感を与えている。今どきの録音にしてはノイズが多いのが惜しい。Mark Kavuma & The Banger Factory:Arashi No Ato (After the Storm) (Banger Factory BF001)16bit 44.1kHz Flac1.David Mrakpor :Arashi No Ato2.Trevor Edwards :Eluid3.Eubie Blake :Love Will Find Away4.Reuben James :Brother James5.Brian Edwards :Hedz6.Duke Ellington :David Danced7.James Cleveland :One More RiverMark Kavuma (trumpet), The Banger Factory, Dylan Jones, Misha FoxMark Kavuma (tp)The Banger FactoryTheon Cross(tub track3,7)Dylan Jones(ts track 7)Misha Fox(tb track 7)
2022年01月13日
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正月に子供が帰省した。その時に椅子に座っている管理人の姿勢が猫背だと指摘された。子供は仕事柄その方面は詳しい。指摘されたのはipadをキッチンのテーブルの上に置いて見ていた時のこと。管理人はずっと肩が痛くて、おまけに首が後ろに傾けるのがなかなか難しい。以前リハビリをしているときにもその部分の施術をしていただいたが、リハビリを止めたら元に戻ってしまった。子供から言われたのは、ipadを見る姿勢が悪いことにある、とのこと。なるほど、仕事を辞めてからはipadを見ている時間がかなり長くなった。youtubeを見ている時間が長いのが原因のようだ。ipadを立てて見ろと言われたが、スクリーンタッチがやりにくい。取りあえず、ストレッチポールを使ったストレッチの方法を教えてもらったので、やってみた。朝起きた後はいつも肩の後ろが痛いのだが、それが軽くなったような気がする。ネットにも同じ症状のスマホ首の治療方法がいくつか載っている。それも試したが、器具がいらないので、その方法がいいようだ。子供は帰ったが、次回まで猫背を直しておくようにと言われてしまった。期待にこたえられるように、せいぜい頑張りたい。ipadやスマホを立てて見る器具がいろいろ出ているので、高さを変えることが出来る物を買うことにした。iPadなどタブレット使用で首の痛み、女性の発症率は男性の2倍によると、「iPad首」になりやすい姿勢は下記の通りで、管理人の場合は3が該当する様だ。1.背もたれのない椅子に座る2.膝の上にタブレットを置いて使う3.椅子に座り、平らな机の上にタブレットを置いて使う予防としては、下記の3つの方法が紹介されている。1.背もたれのある椅子に座る2.姿勢リマインダーを使う3.スタンドの使用この中では2の姿勢リマインダーを使うというのが面白そうだ。背中に張り付けて、姿勢が悪くなるとお知らせするという優れものらしい。他には姿勢矯正ベルトなるものもいろいろ売られている。一番いいのは根治することなので、このベルトも買うことにした。まあ、こういう器具が出来るというのも、悩んでいる人が多いからなのだろう。管理人は、器具を買うことによって満足してしまう傾向があるので、毎日のルーティーンに組み込んでいきたい。追記午後に荷物が届いたので、早速使ってみた。スタンド:慣れないせいか違和感があるが、姿勢が伸びるのは実感できる。ただ、入力は腕の支えがないため、短時間でも疲れる。問題はiPadのケースが外れなかったので、ケースごとホールドしたので、外れないか心配なこと。その後、PCを置いてある机にのせたところ、これがしっくりくる。管理人は腰痛を防ぐためPCを立って操作できるように机を高くしている。これがipadスタンドの高さにマッチして、さながら工場のラインでipadを操作しているような感覚になる。スクリーンタッチも違和感がない。姿勢矯正ベルト :確かに姿勢が良くなる。妻にも若返ったようだとお褒めの言葉?をいただいた。ただ、腕の付け根が締め付けられて、長時間付けるのはきつそうだ。
2022年01月11日
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レコード・アカデミー賞管弦楽部門受賞のロトのリヒャルト・シュトラウス集を聴く。eclassicalから$8.68で購入。9月のリリースだが、現在でも価格は変わっていないので、今後も同じ価格だろう。ドン・キホーテは個人的にはそれほど面白いと感じたことはなかった。ところが今回の録音は克明な表情付けで、普通なら、最後のほうになるにつれて尻すぼみになるはずが、最後まで充実していた。また、各変奏の内容を頭に入れておくと、曲の面白さが一層楽しめる。驚いたのはタベア・ツィンマーマンのヴィオラの雄弁なこと。この曲は通常チェロのソロは腕の立つソリストを起用するが、ヴィオラはその楽団の首席あたりでお茶を濁す?ことが多い。ところが大物を起用したため、それが見事にあたったようだ。今まで、ほとんど気にならなかったソロ・ヴィオラの動きがよく分かり、いままで何をきいていたのかと思ってしまった。チェロのケラスも無論素晴らしく、艶のあるサウンドと表情が克明。全体におとぎ話にふさわしい、のどかな気分が感じられる。第3変奏での言い合いの場面でのチェロとヴィオラの絶妙な間合いは、名人の落語を聞いているような洒脱な感じがする。「ティル」はオケの実力が最大限に発揮される曲だが、表現がやや平板で、パワーにも欠ける。特にキーとなるホルンのサウンドがいまいち気に入らないし、弱い。ティルが絞首台に上る前の盛り上がりもいまいち。最後の「ロマンツェ」はリヒャルト・シュトラウスが15歳の時の作品。穏やかな曲調の小品ながら起伏もあり、なかなか気持ちのいいい作品と演奏だった。François-Xavier Roth Richard Strauss: Don Qvixote. Till Eulenspiegel(Harmonia Mundi 902370DI)24bit 96kHz FlacRichard Strauss:1.Don Quixote, Op. 35 14.Till Eulenspiegels lustige Streiche, Op. 2815.Romanze for Cello and Orchestra, TrV. 118François-Xavier RothGürzenich-Orchester KölnJean-Guihen Queyras(vc track 1-13,15)Tabea Zimmermann(va track 1-13)Recorded janvier, février et juillet 2019, Orchesterprobenzentrum, Cologne (Allemagne)
2022年01月10日
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トランペッターのニコラス・ペイトンの新作を聴く。ディストリビューターによると『音楽を真剣に取り上げるきっかけとなった最初のアルバムであるマイルス・デイビスの「Four & More」(1966)に参加していたロン・カーター(1937-)とジョージ・コールマン(1935-)をゲストに迎えて録音した』という。ベースのロン・カーターは全曲、ジョージ・コールマンは「Big George 」、「Turn-a-Ron」の 2曲に参加している。ペイトンはトランペットの出番はそれほど多くはなく、ピアノとフェンダーローズでの活躍が目立つ。なので、トランペットのプレイを期待する向きにはがっかりされるかもしれない。前作ではキーボードの腕前に驚いたが、今回は肩の凝らない演奏でキーボードの腕前も知っているため目新しい驚きはなかった。トランペット、キーボードともそれほど音数は多くないが、なかなか味がある。彼も50歳に近づいて、いよいよ円熟味を増してきたということかもしれない。全体に少し懐古的な内容だが、古臭い感じはしない。かえってそのウォームなムードが心地よく感じられる。プログラムはペイトンのオリジナルが8曲、ほかにキース・ジャレットの「No Lonely Nights」とハービー・ハンコックの「Toys」という構成。 ベースのロン・カーターが全曲に、ジョージ・コールマンが 2 曲にゲスト参加、ドラムにはデトロイトのヒップホップ・プロデューサー&レジェンド・ドラマーの カリーム・リギンスが参加している。気に入ったのはジャレットのバラード「No Lonely Nights」ブルーノートでのライブのboxセットに含まれている曲だった。Spotifyでチェックしたところによると、カバーしている演奏は二つぐらいしかない。音数の少ない端正な表現が心に染み入る。途中からテンポを速めている部分もリズミックで爽やか。1曲目の「Hangin’ in and Jivin’ 」は前半がピアノ。スイギーでアーシーなテイストも感じられるナンバー。昔どこかで聞いたことのあるような懐かしさがある。ペイトンのトランペットはリー・モーガンを思い出させるコミカルなフレーズも飛び出す。コールマンが入った「Big George」でのバッキングは本職はだしの優れたものだ。「Levin’s Lope」のフェンダーローズのプレイも悪くない。途中トランペットとフェンダーローズを頻繁に変えながらプレイしているが結構大変だろう。「Lullaby for a Lamppost (for Danny Barker)」は2つに分かれている。最初はピアノで、後半はフェンダーローズを使っている。パート1は原曲で、少し暗めの抒情的な作品。ピアノはシンプルだが、なかなか味わい深い。パート 2はテンポが速く、リズミックで原曲のイメージはない。フェンダーローズの音がノイジーで、聴きづらい。「Q for Quincy Jones」はミディアムテンポ。リズミックで小粋ないテイストが小気味良い。トランペットのプレイもピアノと同じ傾向で、ここでも、リーモーガンを思い起こさせるプレイ。「toys」の冒頭のフェンダーローズによるノイジーなソロは1970年代のジャズの香りがする。ペイトンのキーボードは引き出しが多く、とても余儀とは思えないほどだ。コールマンはバリバリと吹くのではなく、音数が少ないが、なかなか味わい深い演奏。最近のプレイは聞いたことがないが、マイルス時代の芸風とさほど変わっていないと思う。ペイトンのトランペットとの絡みは、ハンコックの「toys」共々マイルス・クインテットの雰囲気を思い出させる。ロン・カーターは音は大きいが、派手なプレーはないかわり、ずっしりとした低音が存在感を示している。時折聞かせるスラップ奏法もかっこいい。カリーム・リギンスはヒップ・ホップのプロデュースもしているそうだが、ここではオーソドックスなプレイに徹している。シンバルが多用されるのが目につく。録音はとてもよく、特にドラムスがリアルに響く。 Nicholas Payton:Smoke Sessions(Smoke Sessions SSR2106DIG)24bit 96kHz Flac 1. Hangin’ in and Jivin’ 2. Big George 3. Levin’s Lope 4. Keith Jarrett :No Lonely Nights 5. Lullaby for a Lamppost (for Danny Barker) Part 1 6. Lullaby for a Lamppost (for Danny Barker) Part 2 7. Q for Quincy Jones (Payton) 8. Gold Dust Black Magic (Payton) 9. Turn-a-Ron (Payton) 10. Herbie Hancock) :Toys all composed by Nicholas Payton(except track4、10)Nicholas Payton (tp,p,fender rhodes) Ron Carter (b) Karriem Riggins (ds) George Coleman (ts track 2、9) Recorded April 29 & 30, 2021 at Sear Sound, Studio C in New York City
2022年01月08日
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今までiPadで聞くspotifyをコンポに繋げて聴くことはあまりなかった。理由はair playでDACに接続すると音質がいまいちだったからだ。それに、このことについて、あまりつきつめていなかった。pcをDACに繋げればいいのだが、ノート・パソコンとはいえそれが面倒くさい。ネットワーク・プレーヤーがストリーミングに対応していれば一番いいのだが、狙っているネットワーク・プレーヤーがAmazon Music HDに対応していないこともあり、購入を引き延ばしていた。ところが、偶然にLightning -USBカメラアダプタ経由でDACにつなげると音質の劣化がないことを知った。我ながら間が抜けている。iPadなら接続するのもあまり抵抗がないので、早速USBに給電出来るLightning -USB 3カメラアダプタを購入。そうするとだいぶ音質が改善されたが、音が細身のままなのはDACのせいだろうと思っていた。ところが、念のためDACのバランス出力をアンプに接続したら見違えるほど逞しい音に変わった。アンバランスはバランスに比べると音が小さく、マイルドな音に聞こえる。ロスレスのAmazon Music HDだけでなくSpotifyまで音がよく聞こえる。これだと、ハイレゾ音源をネットワーク・プレーヤーで聴くのと、それほど大きな差はないように思う。当面ストリーミングでいい音で聴きたいときはこの組み合わせでいきたいが、困るのはアンプにバランス入力が一系統しかないこと。セレクタは市販されているが、音質がどうなるか不安で、購入に至っていない。ところで、Youtubeの音も良くなると思って、この組み合わせで、ライブの動画を再生したら、これがいい音だった。これで楽しみが増えたのはいいのだが、聴く方が追いつかないのは困ったものだ。Youtubeで視聴したソースは以下の2つで、特に海兵隊バンドの「The X‘mas Song」が楽しめた。 LIVE: "The President's Own" Brass and Percussion Holiday Concert - Dec. 19,2021 フルトヴェングラーのシューマン交響曲第4番(リマスター)その他幾つかツマミ聞きしたが、最近のクラシックのコンサートのライブは概ね音がいい。
2022年01月06日
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最近はまっている変態音楽。今回は変態音楽にはまる前にダウンロードしていたグーセンスの「Antill: Corroboree/ Ginastera: Panambi」について一言。この録音は以前アップした「幻想」と同じエヴェレストが行っていた35mmフィルムでの録音。オーディオ評論家の故長岡鉄男氏が激賞していたことを覚えていて、最近リリースされたことを知り購入した。ノイズがほとんど聞こえないのにもかかわらず、音の先鋭度が失われていない。これは、もともとの録音がいいことだけが理由だろうか。とても60年以上前の録音とは思えないリアルな臨場感だ。音が太くエネルギー感も半端ではない。ヒナステラの最後の曲などは聴いているだけで、実に恐ろしく感じてしまう。故長岡氏の書いていること(オーディオA級ライセンス)は本当だった。曲はこういうHiFi録音のデモにふさわしい、ダイナミックな曲で、音だけ聞いても楽しい。エキゾチックな曲なので、音楽自体もなかなか面白い。海外からのダウンロードでも価格は大変高いが、価格に見合うだけの価値はある。ところで、この稿を書いているときに検索で知ったのだがrecochokuでは24bit 96kHz Flacが何と¥1375と激安価格でダウンロードできる。recochokuではグーセンスの他のストラヴィンスキー、ヴィラ=ロボスの2枚のアルバムも同じ値段。他のエヴェレスト原盤のハイレゾはレギュラー価格なので、グーセンスだけが安い理由は分からない。e-onkyoでは同じflac 96kHz/24bitが¥2,831だった。ご興味のある方はこの機会にお求めになられてはいかがだろうか。Sir Eugene Goossens - Antill: Corroboree/ Ginastera: Panambi (Everest Records 4803306643)24bit 192kHz Flac1.John Antll(1904–86):Corroboree - Suite from the Ballet6.Alberto (1916–83)Ginastera: Panambí - ballet suite, Op. 1aLondon Symphony OrchestraSir Eugene Goossens
2022年01月04日
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最近聴くことが多くなったジャズ・ピアニストのカーステン・ダールが参加していることから知ったアルバム。リーダーはデンマークのドラマー、アレックス・リールで、ベースはボ・スティーフというデンマーク出身者で固めたトリオ。彼らは音楽的な「遊び仲間」だそうだ。https://ventoazul.shop-pro.jp/?pid=164791205カーステン・ダールの演奏は、管理人が聞いてきたアルバムの中で最も納得のいくものだったのは皮肉だ。リーダーという責任ある役割がないために、のびのびとやれたのだろうか。全11曲で、2分半から長くても5分ほどなので、さらっとした仕上がり。リリカルな曲が多い。最初のタイトルチューンはキース・ジャレットの「My Song」で、名前を変えただけ。ダールの声がうるさいがそろの切れ味がよく、フェイドアウトするのが惜しいほど。「Høstdansen」は三人のオリジナル。速いテンポの、荒々しいケルト音楽が展開される。「ムーン・リバー」はミディアムテンポで、さらっとした仕上がり。オーソドックスなアプローチだが、重厚で悪くない。「Den Milde Dag Er Lys Og Lang」は、デンマークの作曲家カール・ニールセンの独唱者、合唱と管弦楽のために書かれた「フューンの春」の第3曲。タイトルはデンマーク語で「穏やかな一日は明るく長く」という意味。原曲は聞いたことがないが愛らしい小品だ。スタンダードは「ムーンリバー」以外は「My Funny Valentine」と「Stella By Starlight」の2曲。どちらもミディアム・テンポで、「My Funny Valentine」でのダールの熱を帯びたソロが実に素晴らしい。「Stella By Starlight」では冒頭の骨太なベース・ソロが聴かせる。ソロの後はテンポが少し速くなり、中間にドラムスのソロが入り、前後に軽快で流麗なピアノ・ソロがくる。コルトレーンの「Giant Steps」はミディアムテンポで、メロディーの断片が出てくるだけで、そこにピアノとベースのソロが入る。なかなか斬新な解釈だ。トラディショナルが3曲含まれている。「Vem Kan Segla Forutan Vind」は硬質な叙情とても言える雰囲気から、一転ケルトのダンス音楽に変わる。「Jag Vet En Dejlig Rosa」は抒情的な民謡。アドリブを含めシンプルな演奏なのだが、感動してしまった。最後の「Drømte Mig En Drøm」は冒頭にクジラの鳴き声を模したようなアルコ・ベースの音が聞こえる。エコーの多い不思議なサウンド空間が、異次元の体験をしているような感じだ。リーダーの切れ味抜群のドラムスと、ベースの存在感が印象的だ。録音は音が太く鮮度、ダイナミック・レンジとも素晴らしい。Alex Riel, Bo Stief & Carsten Dahl:Our Song(STORYVILLE 101 4336)24bit 96kHz Flac1. Keith Jarrett:My Song2. Riel, Stief, Dahl:Høstdansen3. Henry Mancini:Moon River4. Carl Nielsen:Den Milde Dag Er Lys Og Lang5. Carsten Dah:The Poet6. Trad.:Vem Kan Segla Forutan Vind7. Richard Rodgers:My Funny Valentine8. Victor Young:Stella By Starlight9. John Coltrane:Giant Steps10. Trad.:Jag Vet En Dejlig Rosa11. Trad.:Drømte Mig En DrømCarsten Dahl (p)Alex Riel (ds)Bo Stief (b)Recorded On June 8&9, 2021
2022年01月02日
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