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ユージン・コーポロン指揮のノース・テキサス・ウインド・シンフォニーのGIAのWind Project シリーズの最新作「Hope」を聴く。新作と古典という組み合わせではなく、新作ばかりのプログラムになったのはいつからだろうか。今回は、すべて2010年以降の作品。ロバート・バックリーの「Undercurrents」は暗いムードの曲だが速いテンポで進行する。ディストリビューターいよると、魚の群れが海の流れと共に泳ぎ、また鳥たちが空気の流れと共に飛んでいる姿からインスパイアされたとのこと。アトランタ生まれの黒人作曲家Carlos Simonの「Amen!」はポピュラー的な曲想で、出だしのトロンボーン・アンサンブルが印象的。タイトル通りゴスペル調の曲で、暗いムードやメロディー・ラインはシュワントナーに似ている。後半テンポが速くなる部分はリズミックな要素が多く、ノリがいい。ヴァルチックの交響曲第4番は武蔵野音大ウインド・アンサンブルの委嘱作品で、この団体による録音は昨年リリースされている。一昨年のこのバンドの盛岡公演でも演奏されている。一年以上前のことなので、記憶は殆ど薄れていて、全体に悲しみの色合いが強いと思ったことしか記憶にない。今回は繰り返し聴くことが出来るので、曲に対する理解は進んだと思う。切れ目なく演奏されるが、大きく分けると急(スケルツォ)緩(讃美歌)急(スケルツォ)の3楽章か。悲しみの色合いは感じられるものの、うっすらと感じられる程度。それよりも、日本の音階が使われている。ブックレットから推察するに、琴の調弦の配列である、曙調子、平調子、岩戸調子などを使っているようだ。当ブログには速い部分での快活な旋律は、どちらかというと中国風に聞こえるホルンのソロから始まるゆったりした中間部の暖かく穏やかな表情が、心に沁みる。シンディ・マクティー(1953-)の「Notezart」は原曲が管弦楽で、吹奏楽版はコーポロンに献呈されている。モーツアルトの「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」にインスパイアされた曲だそうで、聞き覚えのある旋律の断片がそこかしこで聞こえてくる。スタイリッシュな曲だが、あっさり終わってしまうのが惜しい。James Stephensonのトランペット協奏曲第3番「Hope]はソロが元カナディアン・ブラスのRyan Anthony.彼は2000–2003年に在籍していた。トランペット協奏曲は、音の抜けがあまり良くなく、ピッコロ・トランペットに似たサウンドが聞こえる。サウンドがあまりきれいでない。第2楽章「Adagio」の2分15秒ほどのところのクライマックスのあとにヴァイオリンとホルンのデュオが聞かれるのがなんともシュール。昔の戦争映画での爆撃された廃墟のあとを見ているような気分にさせてくれる。第3楽章「Speranza」(希望)は快活な楽章で、最後は漫画チックに終わってしまう。最後のブルース・ブロートン(1945-)の「New Era Overture」は明快で親しみやすいテーマが颯爽としたテンポで演奏され、スカッとする曲。作曲者のブルース・ブロートンは映画、テレビドラマ、テレビアニメなどの音楽を多数作曲していて、吹奏楽用のスコアも10曲以上作曲している。出典ノース・テキサス・ウインド・シンフォニーの演奏は手慣れたもので、刺激的な表現はないものの、曲を味わうには最適。指揮のコーポロンは1946年生まれで、今年73歳になる。毎年新譜が出るたびに今年も出たと安心しているが、長生きして今後もこのプロジェクトを継続してほしいと思っているのは、当ブログだけではないだろう。North Texas Wind Symphony:Hope(GIA CD-1055)1 . Robert Buckley:Undercurrents(2016)2 . Carlos Simon:Amen!(2017)3 . Kevin Walczyk:Symphony No. 4: Unforsaken(2016)4 . Cindy McTee :Notezart(2018)5 . James Stephenson:Concert for Hope: Trumpet Concert No. 3(2018) Moderato Adagio Speranza8 . Bruce Broughton:New Era Overture(2010)Ryan Anthony(Tp solo track 5-7)North Texas Wind SymphonyEugen Migliaro Corporon(cond)Recorded April 6-9,2081,University of North Texas Winspear Performance Hall,Murchinson Perforing Arts Center
2019年01月30日
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今年で第4回目の「いわて吹奏楽祭」を聴いた。岩手県内の中学、高校の吹奏楽部と県外の招待バンドのジョイントコンサートで、水準の高い県外バンドを聴くことが出来るのが有難い。なので、某オーケストラの定期とバッティングしてしまったが、こちらを優先した。結果は後半の県外バンドの出来がよく楽しませてもらった。特に習志野高校の桁外れのパフォーマンスに度肝を抜かれた。前半は県内の学校の演奏。最初は盛岡第三高校のステージ。最初のゴールドマンの「木陰の散歩道」は古典に属する曲だが今でも取り上げられていると思っていなかった。改めて聞くといい曲だ。3曲目のピンクレディーでは踊りも加わってまずまずの出来。最後は自称十八番の「エル・クンバンチェロ」演奏もさることながら、最初の掛け声が堂に入っている。黒沢尻北は3曲最初のシェルドンの「Fight Of The Piasa」は初めて聞いたが、なかなか面白い曲だった。オーボエをフィーチャーした「風笛」はNHKの朝ドラの主題曲。オーボエ・ソロは美しいサウンドと安定した演奏だったが、フレーズの処理にもう少し気を使って欲しかった。北陵中学校は34名に3人の3年生を補強。濁りの少ないサウンドでなかなか気持ちのいい演奏。最初の「Carnegie Anthem」も初めて聞いた曲だったがなかなかいい曲だった。「オーメンズ・オブ・ラブ」はテンポが速めだったがノリノリの演奏で、後半のクラリネットの速いパッセージのソリでは、客席に移動して場内を沸かせていた。前半最後は上野中学。前回は未聴だが2回目のプログラムも最初にクラシックを選曲していた。指揮者のポリシーだろうか。「天国と地獄」序曲は演奏時間の関係か優美な第2部がカットされていたのは残念。また、途中のえげつない表現はあまりいただけない。29名と出演団体で一番少ない人数だったが、サウンドは立派。ただ、音を割り気味のチューバが気になった。また、全体に力で押していく傾向があり、今後はそこのところを改善していってほしい。後半の最初は北海道の北斗市立上磯中学校の演奏。昨年も出演していたそうだ。プロフィールを見ると最近台頭してきた学校で、前半のどの団体よりもスケールが大きい。技巧的にも安定していて破綻は見られなかった。オーボエが太くてつややかな響きで、とてもいい音だった。アンコールに昨年度の自由曲アッペルモントの「ベルギー・レクイエム」を演奏していた。難曲で、恐らく1,2年を鍛えるための選曲だったと思うが、大きな穴はなく素晴らしい演奏だった。最後は習志野高校の演奏。名門高校だけに期待が大きかったが、演奏もさることながら、パフォーマンスに度肝を抜かれた。ジャパニーズ・グラフィティでの女子のトライアングルを使った踊りやタンバリンを使った男子の踊りがなかなかユニーク。今回のハイライトはなんといって最後の野球応援メドレーだろう。メドレーというから単に応援歌のメドレーと思ったのだが全然違っていた。野球応援を想定して9回裏1点差で習志野の攻撃というシーンを再現?していた。キャストはピッチャー、キャッチャー、バッターその他ボールを動かす係や曲を知らせる係など、細かなところにもこだわっている。まず太鼓の音が馬鹿でかい。高校の野球応援のレベルではない。大学だと吹奏楽部は応援部に所属していることがあるが、この高校はまるで大学の応援のようなノリだ。ステージ前のコントに加えバックの人たちも振付があり、実際の野球の試合でこれを長時間やるというのは並大抵ではない。自称体育会文化部といっているくらいなので、スタミナには自信があるんだろう。顧問の教育方針が、演奏会などは120%の力で、応援は200%の力というのだから半端ない。聴いていると、石津谷一座という芸能団体を見ているような気になる。プロ根性ではないが、ある意味アマチュアの域を超えたサービス精神が感じられ、いいものを見せてもらったと思う。第4回いわて吹奏楽祭1.盛岡第三高等学校 ゴールドマン:木陰の散歩道 プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」から誰も寝てはならぬ ピンクレディー・メガコレクションより エルナンデス(岩井直溥編):エル・クンバンチェロ2.黒沢尻北高等学校 Robert Sheldon:Fight Of The Piasa 大島ミチル(遠藤幸夫編)風笛~あすかのテーマ 槇原敬之(樽屋雅徳編):世界に一つだけの花3.盛岡市立北陵中学校 William Owens:Carnegie Anthem Desmond Dyer/Clive Scott(建部知弘編):Sky High 和泉宏隆(真島俊夫編):オーメンズ・オブ・ラブ4.北上市立上野中学校 Offenbach(arr. A.Hibbert):喜歌劇「天国と地獄」序曲より A.Claudio/C.Donatella/G.Anna Mari(山下国俊編):U.S.A 米津弦師:Lemon 宮沢和史:風になりたい5.北斗市立上磯中学校(北海道) 久石譲(森田一浩):交響組曲「風の谷のナウシカ」3章 グリエール(田川伸一郎編):バレエ音楽「青銅の騎士」より Richard Sherman/Robert B.Sherman(江原大介編):メリー・ポピンズ・メドレー グリーグ(天野正道編):アニトラの踊り 三木たかし(郷間幹男編):心の瞳 北海道民謡(星出尚志編)アンコール:アッペルモント:ブリュッセル・レクイエム6.習志野市立習志野高等学校(千葉県) 上岡洋一:行進曲「秋空に」 youtube リード:序曲「インペラトリクス」youtube エルガー(石津谷治法編):行進曲「威風堂々」第一番 岩井直溥編:JABBERLOOPメドレー(イナズマ~シロクマ) 三浦秀秋編A・RA・SHI~Beautiful daysミニパフォーマンス わんこ三兄弟 高橋優:合唱「明日はきっといい日になる」 野球応援メドレー アラバマ、ベンハー、タッチ、アフリカン・シンフォニー2019年1月27日 岩手県民会館大ホール1階9列41番で鑑賞
2019年01月28日
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ネットを見ていたら、作曲家のミシェル・ルグランがお亡くなりになったことを報じていた。86歳だった。高齢とはいえ最近まで音楽活動をしていたので、とても残念だ。ルグランといえば映画音楽の巨匠で数々の名曲を書いている。アカデミー賞も3回受賞している。管理人が最も好きな映画音楽の作曲家のひとりだ。また作曲だけでなくピアノでの活躍もめざましく、ジャズにも造詣が深かった。当ブログが好きな曲は「思い出の夏」、「マクサンスの唄」、「Les feux de la Chandeleur」(雪解け」などだ。「マクサンスの唄」は映画「ロシュフォールの恋人たち」の挿入歌で、バーグマン夫妻の歌詞による「You Must belieb In Spring」というタイトルのスタンダードとして有名だ。ポピュラー・シンガーやジャズ・ミュージシャンにもよく取り上げられる曲だった。これほど多方面で活躍する映画作曲家も、これからはなかなか出ないかもしれない。個人的には若い頃の才能に溢れていて、溌剌とした姿が、とても印象に残っている。その姿は、「ロシュフォールの恋人たち」の完全版 のボーナストラック「双子姉妹の歌(デモ)&ミシェル・ルグランのコメント」でピアノを弾きながら歌うトラックによく表れている。しかもスキャットまでしているのだから驚く。単なる作曲家の余技とは思えないほどだ。ちょうどデセイの歌で「Between Yesterday And Tomorrow」を聴き始めたところなので、これを聴いて彼の業績を偲びたい。なお、映画音楽を俯瞰するなら、値は張るが画像リンクを張った「Le Cinema de Michel Legrand」(廃盤)がいい。
2019年01月26日
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ピアニストの小菅優が最近続けているFour Elementsのシリーズの愛書の要素である「水」の録音がリリースされた。CDを買おうとしたが、eclassicalでハイレゾがリリースされていたので$21.6でゲットした。いつも購入するダウンロード音源は10ドル台が殆どだが、今回はソニー・ミュージックからのリリースと勘違いして買ってしまった。その結果、高い買い物にならなかったのは不幸中の幸い。このCDは最近はやりのコンセプト・アルバムで、テーマに沿った曲が並んでいるというもの。こういうアルバムは聴き手にとってもなかなかハードルが高い。普段なら何も考えないで聴けばいいだけだが、演奏はもちろん選曲がコンセプトにあっているかも考えなければならない。まあ、何も考えないでも聴くことはできるが。。。演奏者も大変だ。演奏する前にコンセプトにあった選曲をするというのもなかなか難儀なことだろう。以前、その大変さを産経個性的な選曲で、藤倉大や武満の「雨の素描」を取り上げているセンスも光る。「水の戯れ」は水がしたたり落ちるような情景が見えるようだ。太陽にあたって煌めいている様子も見えるようだ。ショパンの舟歌やリストのバラード第2番などの大曲はスケールが大きく、名盤に伍して、存在感を見せてくれる。バラード第2番が選曲されている理由を知るために調べてみたら、こちらに興味深いことが書かれていたクラウディオ・アラウが『アラウとの対話』の中で、この“バラード第2番”に、へーローとレアンドロスの神話を重ねていると語っている。『アラウ-この曲は神話本来の筋書きに従っています。レアンドロスは、毎夜ヘレスポント海峡を泳ぎ渡ってへーローの許に通い、翌朝また泳いで帰りました。その往復が毎回困難になっていく様子を、この曲のなかで現実に聴くことができます。4日目の夜に彼は溺れ死にます。そして、最後の数ページは変容です。』因みに舟歌の演奏では真っ先に取り上げられることの多いツィメルマンの演奏を聴いてみたが、全く遜色のない出来だった。録音は低音はさほど量感はないものの、水の流動感や輝きが美しく捉えられている。 Four Elements,vol.1:Water(Orchid Classics ORC100092)1.メンデルスゾーン(1809-1847):無言歌 Op.30-6 嬰ヘ短調「ヴェネツィアのゴンドラの歌 第2番」2.フォーレ(1845-1924):舟歌 第5番 嬰ヘ短調 Op.663.メンデルスゾーン:無言歌 Op.62-5 イ短調「ヴェネツィアのゴンドラの歌 第3番」4.フォーレ:舟歌 第10番 イ短調 Op.104-25.メンデルスゾーン:無言歌 Op.19-6 ト短調「ヴェネツィアのゴンドラの歌 第1番」6.フォーレ:舟歌 第11番 ト短調 Op.1057.ラヴェル(1875-1937):水の戯れ8.藤倉大(1977-):Waves9.ショパン(1810-1849):舟歌 嬰へ長調 Op.6010.武満徹(1930-1996):雨の樹素描 I11.武満徹:雨の樹素描 II オリヴィエ・メシアンの追憶に12.リスト(1811-1886):巡礼の年 第3年より「エステ荘の噴水」S163-413.リスト:バラード 第2番 ロ短調 S17114.ワーグナー(1811-1883)=リスト:楽劇《トリスタンとイゾルデ》-イゾルデの愛の死小菅優(ピアノ)録音 2018年5月8-10日 ドイツ ベルリン、b-sharpスタジオ
2019年01月24日
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最近知ったイタリアのピアニスト、アントニオ・ファラオ(1965-)の「Take On Pasolini」を聴く。CAMJAZZのサイトからwavファイルを9.5€(\1180)で購入。国内盤CDが\1800なので、かなりお得だ。ただし、カバーアートやライナーノートはついていないので、自分で調べなければならないのはこのサイトでダウンロードするときのお約束。タイトル通りピエル・パオロ・パゾリーニ(1922-1975)の映画音楽を特集したものだ。ミロスラフ・ヴィトウス(1947-)のベースとダニエル・ユメール(1938-)のドラムスという強力な布陣。お互いに火花が飛び散っているような緊張感がたまらない。俗に「インタプレイ」といわれるものだが、お互いが寄り添うというインタープレイと競い合うという「インタープレイ」という二つの生き方があると思う。今回は後者の意味での「インタープレイ」が最高度に発揮されたパフォーマンスだろう。実にスリリングで、ジャズを聴く醍醐味がたっぷり味わえる。特にヴィトウスのあおりが半端ないが、ファラオは悠然と立ち向かっている(感じがする)。ファラオはビル・エヴァンスやキース・ジャレットの影響が感じられるリリカルなピアニストだが、打鍵が強力で、アドリブでも曖昧さがないので、聴いた後スカッとする。これほど打鍵が強いイタリアのジャズ・ピアニストは聴いたことがない。パゾリーニの映画音楽は聴いたことがないが、ヴァラエティに富んでいて聴いていて飽きない。ファラオのピアノに圧倒的される。特にテンポの速い曲でのパフォーマンスが聞きもの。ダニエル・ユメールはヴィトウスが静かな時に存在感を発揮する。当時70歳近いが、年を感じさせない若々しいドラミングを聞かせている。ヴィトウスはちょっと出しゃばりすぎる場面もあるが、「Medea」でのベースのソロは美しい。Antonio Faraò:Takes On Pasolini(CAMJAZZ )16bit 44.1kHz Wav1.Mamma Roma (Cha Cha Cha)2.Mamma Roma (Stornello)3.Una Vita Violenta (Serenata Cha Cha Cha)4.Medea5.Porcile (Julian E Ida)6.Teorama7.Stella8.Oedipus9.Una Vita Violenta (Irene)10.Una Vita Violenta (Theme Song)Antonio Faraò(p)Miroslav Vitous(b)Daniel Humair(b)Recorded in Cavalicco, Udine on May 10-12, 2005 at Artesuono Recording Studio
2019年01月22日
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プラハ国立歌劇場の盛岡公演を観る。この曲はだいぶ昔に二期会の公演で見た記憶があるが、あらすじをそれほど把握しているわけではない。それで、ベームのDVDかネトレプコのザルツブルクでのライブで学習しようと思っていたが、結局観ることができなかった。入りは8分ほどでまずまず。運よく一番廉価なB席が取れたのはラッキーだったが、双眼鏡を持って行かなかったので歌手の顔など細部が確認できなかったのは残念。寝るかと思っていたが、演出が面白く、結局寝ないで済んだ。演出はマグダレーナ・シュヴェツォーヴァ(Magdalena Švecová)という女性の演出家で、主にチェコ国内で活躍しているようだ。第一幕と第二幕、第三幕と第四幕は連続して演奏された。この2つの幕間にはちょっとした寸劇が演じられたが!言葉がわからないので、面白いかどうかは判断できないが、2幕の前の寸劇ではフィガロやケルビーノがストッキングにガーターベルトという、あまりみたくない格好で登場していた。演出は今はやりの読み替えではなかったのは良かったが、キャストのキャラクターの描写が浅く物足りない。昔流行った重唱のときに一列に並んで歌うシーンが何回かあり、とても懐かしく思い出された。またストップモーション的に人物が彫刻のように配置されているのもおもしろかった。ストーリーには出てこない小間使いが5、6人出ていて、小道具の移動なども行っていて、効率的だった。2幕と3幕にリモコンで動く孔雀?の雄(3幕のみ)と雌が出ていた。一羽は羽を広げていたが、あれはどういう意味だったのだろうか。また、ケルビーノが二人いる演出はどういう意味なのかよく分からなかった。歌はまずまず。悪くはないが、これはというアピールポイントが感じられなかった。その中ではタイトルロールのフィガロを歌ったフランティシュク・ザフラドゥーニチェク (František Zahradníček)の朗々とした歌唱が素晴らしかった。スザン役のヤナ・シベラ(Jana Sibera)やアルマビーバ伯爵のイージー・ハーエク(Jiří Hájek)はまずまず。ロジーナのアルジュベータ・ポラーチコヴァー(Alžběta Poláčková)はあまり声がよくない。ケルビーノ役のヴァーツラヴァ・クレイチー・ホースコヴァー(Václava Krejčí Housková)のVa-turava は細い声だったが、透明度の高い歌唱で第2幕の「恋とはどんなものかしら」では清楚な感じになってしまっていて、役の性格からしたら、どうだろうか。また、兵隊の衣裳がきつきつで、この役のイメージから外れていた気がする。アンドレイ・ドゥリークの装置はシンプルで、総すりガラス張りの外壁や仕切りが、洗練されて落ち着いた雰囲気を出していた。最初は室内を表し、第4幕でガラスの向こう側に照明をつけて、その場が庭になるようにしていたのは、いいアイデアだった。登場人物がすりガラスの向こう側にいて、シルエットがぼんやり見えるのもいい。演奏はミスもなく安定した演奏ぶり。編成は2管編成ではっきりとは確認できなかったが、コントラバスが1プルトでサウンドからして弦はかなり刈り込まれている感じがする。なので、低音は薄く全体に軽く、管が優勢のサウンドがする。時折歌をマスクするシーンが見られたのは残念。とくに古楽を意識した演奏ではなかったが、ティンパニは堅いバチを使っていて、時折強奏されるホルン(ウインナホルン?)共々古楽器の雰囲気を感じさせる程度。解釈も特に変わったところはなく、最近の演奏の傾向からしたら、微温的で中途半端という感じはする。この歌劇の生命であるウイットや活き活きとした感じもあまり感じられず、全体の印象を弱くしてしまっている。プラハ国立歌劇場オペラ モーツァルト:フィガロの結婚フィガロ:フランティシュク・ザフラドゥーニチェクスザンナ:ヤナ・シベラ伯爵:イージー・ハーエク伯爵夫人:アルジュベータ・ポラーチコーヴァーケルビーノ:ヴァーツラヴァ・クレイチー・ホースコヴァープラハ国立劇場合唱団・管弦楽団・バレエ団演出:マグダレーナ・シュヴェツォーヴァ指揮:ズデネク・ミュラー2019年1月19日 盛岡市民ホール 大ホール 3階5列10番で鑑賞
2019年01月20日
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レゾナンス・レコードから出たエリック・ドルフィーの発掘音源を聴く。エリック・ドルフィーが1964年にミンガスのヨーロッパ・ツアーに発つ前に、親しいスミス夫妻に託して行ったスーツケースの中に収蔵されていた7時間半の音源のテープなかから、推測5、6時間あったとされるプロデューサー、アラン・ダグラスの63年のセッションを中心に作品された。既発売はFM Recordsの『Conversations』(1986-4曲)とDouglasの『Iron Man』(1986-5曲)それに上記二枚のCDの未発表テイク集Marshmallow Exportの『MUSES』(2013)これらもドルフィー自身が所蔵していた別テープを使用してマスタリングしている。完全未発表は8曲で75分ほど。「Out to Lunch」(1964)直前のドルフィーの演奏の全貌をまとめて知ることが出来るので、マニアにとっては垂涎の音源だろう。当初CDで買おうとしたが、HDtracksのバーゲンで15%引きの$31.86で購入。CDは100ページ余りのブックレットが付くし、import_CDだと$19.15なのだが、24bit 192kHz Flacに惹かれてしまった。この音源のブックレット(PDF)は30ページに満たないが、英語なので当ブログにとっては猫に小判状態なので、大勢に影響はあまりない。とにかく音質優先ということでの選択だったが、おおむね満足できた。音は当然ながら人数が少ないほどいい。特に、アルト・ソロの「Love Me」とバス・クラとベースのデュオの「Alone Together」は現在の録音といってもおかしくないほどビビッドで、ドルフィーの底知れない技量に今更ながら驚くばかりだ。「Love Me」は二つの別テイクも遜色のない演奏で圧倒される。「Alone Together」の別テイクは本テイクとは全く傾向の違う演奏。本テイクは前衛的で日本的な間が印象的だが、別テイクは始めからメロディーをまともに演奏している分月並みといえないこともない。全編にわたってドルフィーのアルトの超絶的な速吹きやバス・クラの驚異的な高音など聴きどころ満載。特にバス・クラの高音は軽いカルチャー・ショックを覚えた。他のミュージシャンでは、出番の多いリチャード・デイヴィス(1930-)の端正なベースが光っていた。ボーナストラックの「A Personal Statement」はデヴィッド・シュワルツのヴォイス入りの前衛的な作品で、他の曲に比べてちょっと異質だ。なお、「Burning Spear」のみ2ベースでの演奏。録音が近いためか「Out to Lunch」の雰囲気に最も近いのはこの曲だ。大人数の曲はもともとの録音の分離があまり良くなく、ざらついていて古臭く聞こえる。特に1曲目の「Jitterbug Waltz」は良くない。そのためかソロやベースとのデュオに比べるとあまり楽しめない。2xDHDのRené Laflammeniによる原テープから入念にマスタリングされた音は、ノイズがなく今までで最高の音質だろう。ラインナップとしては他にDSD(2.8/5.6)も取り揃えられている。Eric Dolphy :Musical Prophet: The Expanded 1963 New York Studio Sessions(2xHD HX711841744229) 24bit 192kHz FlacConversations:01. Jitterbug Waltz02. Music Matador03. Love Me 04. Alone Together05. Muses for Richard Davis (Previously Unissued 1)*06. Muses for Richard Davis (Previously Unissued 2) *Iron Man:01. Iron Man02. Mandrake03. Come Sunday04. Burning Spear05. Ode to Charlie Parker06. A Personal StatementPreviously Unissued Studio Recordings:01. Music Matador (Alternate Take) *02. Love Me (Alternate Take 1) *03. Love Me (Alternate Take 2)04. Alone Together (Alternate Take)05. Jitterbug Waltz (Alternate Take) *06. Mandrake (Alternate Take) *07. Burning Spear (Alternate Take) * * 完全未発表Eric Dolphy(as, fl, b-cl),William ”Prince” Lasha(fl), Huey ”Sonny” Simmons(as),Clifford Jordan(ss), Woody Shaw(tp),Garvin Bushell(bassoon), Bobby Hutcherson(vib),Richard Davis(b), Eddie Kahn(b),J.C. Moses(ds), Charles Moffett(ds)*Bonus Track:DISC2 track6”A Personal Statement” is a Bob James composition that was recorded at WUOM studios in Ann Arbor, MI on March 2, 1964 withEric Dolphy (alto saxophone, bass clarinet, flute),Bob James (piano), Ron Brooks (bass),Robert Pozar (percussion) and David Schwartz (vocals).Recorded on July 1 & 3, 1963 at Music Maker's Studios in New York City,, except 2-6, which was recorded in Ann Arbor, Michigan on March 2, 1964.
2019年01月18日
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moraでハイレゾ配信が始まるらしく、メールマガジンに登録しておいたら、早速1/1にメールが来た。このサービスは「mora qualitas」と呼んでいる。「qualitas」(クオリタス)とは聞きなれない言葉だが、ラテン語で「品質」という意味だそうだ。なので、「mora qualitas」は「mora 品質」ということで、××品質て昔よく聞いた言葉のような気がする。恐らく、このサービスに絶対の自信があるのだろうが、世界では、ハイレゾでのストリーミングを行っているのは、スエーデンのTIDAL(タイダル)やフランスのQobuz(クーバス)が知られているが、日本ではサービスを行っていない。日本のストリーミングサービスはIIJ(Internet initiative japan)のPrimeSeatがサービスを行っていて、優良コンテンツのほかに無料でベルリンフィルの演奏会の生中継がDSD11.2MHzで配信されている。当ブログも何回か聴いたが、現在は気が付いた時に聞く程度。理由はパソコンをUSB DACに接続しないとだめなことで、それが結構面倒なため。そのほか、フランスのDeezer HiFiが月額\1980でサービスを始めている。ただ、CDと同等の16bit144.1kHzなので、その点ではmora qualitasのほうが優れている。結局は音質もさることながらコンテンツが揃っていないと、加入する人は少ないと思う。カギはスタート時点での曲数で最低でも500万曲程度は必要ではないだろうか。時期は未定だが、スペックは次のようになっているようだ。内容を見るとまあまあだが、spotifyに比べると大分見劣りがする。ハイレゾが売りなので、他のスペックはこの程度でも仕方がないとかもしれない。価格:1,980円(税抜)/月音源:ハイレゾ:FLAC 24bit/44.1~96kHzCD音質:FLAC 16bit/44.1kHz推奨OS:Windows 10以降/macOS High Sierra(10.13)以降楽曲データ表示:楽曲再生時にビット数とサンプリング周波数を表示お知らせ機能:配信開始楽曲などサービスに関する新しい情報を通知その他:プレイリスト作成/ラジオ機能/お気に入り登録(※以下、順次対応予定)オフライン再生/歌詞表示/SNSシェアmora qualitas
2019年01月16日
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ロト指揮レ・シエクル の新譜はベルリオーズの作品集CDは1月半ばのリリースで、国内では今月末の入荷のようだが、eclassicalでは早くもハイレゾがリリースされていたので、早速ダウンロードした。価格は$13.36。ハイレゾといっても24bit 44.1kHzなので、wav変換してからflacの96kHzにアップコンバートした。このコンビでのベルリオーズは2009年8月30日に録音された幻想交響曲(Musicales Actes Sud)がリリースされているので、これが二枚目にあたる。当ブログはこの曲はあまりなじみがあるわけではない。所有しているCDもないわけではないが、あまり聞いたこともない。今回初めてじっくりと聞いてみた。ベルリオーズらしい才気が感じられ、特に第4楽章の勢いには圧倒された。レ・シエクルのサウンドがベルリオーズにベストマッチで実に心地よい。昔、ガーディナーがエ・ロマンティークを振った幻想交響曲を初めてLDで観た時のことを思い出す。ロトの指揮は引き締まった速めのテンポと、畳みかけるような表現が胸のすくような演奏だ。ツィンマーマンは古楽器的な響きが聞こえるが、ブックレットには楽器の言及がない。参考までにインバルの演奏も聞いてみた。第5楽章などはインバルよりも1分ほど速く、モダンオケに比べるときびきびとした動きが小気味いい。管はインバルのように全面に出て来ることは少なく、あくまでもノーブル。夏の夜はソプラノかメゾソプラノで歌われることが多い。今回のようにバリトン出来る歌われるのは初めて聞いた。こちらによると、ベルリオーズは管弦楽伴奏版では、一曲ごとに声域を指定している。1. ヴィラネル(原詩/律動的なヴィラネル) メゾソプラノまたはテノール2. 薔薇の亡霊 コントラルト3. 入江のほとり(原詩/漁夫の唄) バリトン、コントラルトまたはメゾソプラノ4. 君なくて メゾソプラノまたはテノール5. 墓地にて(原詩/ラメント) テノール6. 未知の島(原詩/舟歌) メゾソプラノまたはテノールステファン・ドゥグー(1975-)はフランスのバリトン歌手なので、敢えてこういう起用方法をとった理由を知りたくなる。ブックレットのロトへのインタビューによると「ドゥグーは声域を超えて、言葉に柔軟な美しさと知性が感じられ、非常に高貴で表現力豊かな特徴を持っている」と手放しで絶賛している。バリトンが指定されているのは第3曲のみだが、他の曲でも無理な表現は見受けられないが、声を張り上げる場面が多いのが煩わしい。参考までにヴェロニカ・ジャンス(s)のエラート盤を聴いた。ソプラノの滑らかな質感とバリトンのゴツゴツと質感では印象がだいぶ異なる。ジャンスの歌唱が飛び抜けて素晴らしいということを抜きにしても、夏の夜の気分を味わうなら、やはり女声に分がありそうだ。この歌曲集でもレ・シエクルのサウンドが素晴らしい。虫たちが鳴いているような、フランスの夏の夜の雰囲気みたいなものが感じられる気がする。サウンドは見通しの良いサウンドで低音は抑え気味、弦が良く聞こえるのはいつものロトの音作りだ。録音はAlix Ewald、ミキサーはJiri Hegerというチーム。この前のドビュッシーでは録音、ミキシングともJiri HegerでアシスタントにAlix Ewaldら数人の名前が書かれてあったので、基本的には同じ傾向の録音だろう。Berlioz:Harold en Italie, Les Nuits d-ete(Harmonia Mundi 902634DI)24bit 44.1kHz Falc1.Berlioz: Harold en Italie, Op. 165.Berlioz: Les Nuits d'été, Op. 7, H. 81BTabea Zimmermann (va track1-4)Stéphane Degout (br track5-10)Les SièclesFrançois-Xavier RothRecorded 15-16August,2018 Alfortville,Maison de l’Orchestre national d’Île-de-France(Les Nuits d’été)2-3,Mrach,2018 Philharmonie de Paris(Harold en Italie)
2019年01月13日
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ジョバンニ・ミラバッシの新作がCAM JAZZから出ていることを知った。アントニオ・サンチェスの新作もあったので、いつものように、まとめてimport_cdから購入しようとした。ところが、ミラバッシは送料別で$13.79だったが、サンチェスが$17.98と高い。国内でもHMVのまとめ買い以外は安くない。ダメ元でCAM JAZZから直接購入で安く買えないか、ホームページを見に行った。ホームページ見たら、mp3とwavのダウンロードができる。CDよりも1ユーロやすい。レートを見ると¥122とかなり下がっている。CDを買うよりも安いので、早速wavファイルを購入。サンチェスはmp3しか準備できていないらしいので、しばらく様子見。ブックレットは付属していないし、当然のことながらジャケット写真も付いていなかったのは想定内ではあったが、少しがっかり。解説がないのは我慢出来るが、データーがないのがちょっと残念。特に作曲者が分からないのは困る。ネットを見ても作曲者のクレジットがあるサイトはなかなかない。spotifyでは曲ごとのクレジットを見ることが出来るので、そこでチェックできるが、このCDはまだラインナップに入っていない。どこかのサイトに、ピアソラの「Ausencias」(不在)以外はミラバッシの作品ということが書かれていた。今回のアルバムはヴァラエティに富んだ選曲とピアノの美しさが際立っている。ピアノ単独で始まる曲が多いが、どの曲もリリカルで爽やかな美しさがある。アドリブも、メロディックでルーティンワーク的に弾かれる演奏とは一味も二味も違う。気に入ったのはソロで弾かれる「Ausencias」この曲は聞いたことがなかったが、悲しみを帯びたメロディーが心に沁みる。1985年の映画『ガルデルの亡命』の挿入曲だそうだが、サウンド・トラックは現在廃盤中で、spotifyで他の演奏家の演奏を聴いた。ピアソラの作曲で、とても美しいメロディーなのだが、ミラバッシにかかるとラテン的なフレーバーが薄められ、ただひたすら美しい。タイトルチューンの「Summer's Gone」もピアノのイントロからして惹きつけられる。メロディーは同じような短いフレーズの繰り返しだが、不思議と単調さを感じない。最初の「Requiem For N. F.」はタイトルが示すように悲しみを帯びたメロディーが美しい。「A Dirty Job」はユーモアが感じられるメロディーと乾いた感触で、CDの中ではちょっと異色な存在。「quasi」とは殆ど、という意味だが「Quasi Quasi」はどう訳せばいいのか分からなかった。調べてみると「そろそろ、もうすぐ〜をしてみようかな」のような意味のようだが、ますます分からなくなる。タイトルはさておき、抒情的な曲で、テンポが遅いため濃厚な表情を見せている。「La Melodie Du Desastre」は情熱を秘めたラテン・ムードの曲。6拍子の変わったリズムなのだが、なんというリズムだろうか。ピアノのアドリブが素晴らしい。impro(即興?)と題された2曲はどちらも一分ほどで、ほんの箸休め(イタリア語だと何というのだろうか?)だろう。最後は、愛らしいピアノ・ソロの「Valentina」で」締めくくられる。バックの二人は控えめな演奏ではあるが、決して凡庸ではなく、ピアノを引きたてている。もうすこし彼らの見せ場も欲しかった。オルサーの「Celeste」のあとに聞いたが、同じアメリオ録音でも残響が少なく、サウンドが引き締まっていて、さっぱりしている。ピアノのきらきらしたサウンドが美しい。ホームページからのダウンロードがいい感じだったので、調子に乗ってピエラヌンツィなどを数枚ダウンロードした。Widowsでログインするときにセキュリティで警告が出されるので、まずいなと思いつつ決済してしまったが、決済はCam JAzz、Black Saint、Soul Note、DDQを包括するKEPACH Music Groupで行われているようだ。Giovanni Miravassi:Summer's Gone(CAM JAZZ CAMJ 7938-5) 16bit 44.1kHz wav1.Requiem For N. F.2.A Dirty Job3.Le Voyage De Yui4.Quasi Quasi5.Ausencias6.La Melodie Du Desastre7.Impro 18.Summer's Gone9.My Corean Heart10.Impro 211.Nana Nana Nana12.ValentinaGiovanni Mirabassi(p)Gianluca Renzi (b)Lukmil Perez (Ds)All Composed by Giovanni Mirabassi except track 5 by Astor PiazzollaRecorded in Cavalicco in November 2016 at Artesuono Recording Studio
2019年01月11日
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最近家の猫のうち一匹が、頻繁におしっこをする。用を足していなくなったと思うと、直ぐまた用を足しに来る。家ではリビングに猫のトイレがあり、当ブログも殆どリビングにいるので、猫の様子がわかるのだ。気にはなっていたのだが、獣医に診せるのが延び延びになっていた。昨日動物病院に行こうと思ったら、あいにく休みだったので、今日病院に行った。症状を話したら、暫く猫の体を観察していて、お腹をよく舐めていないかと問われた。私は分からなかったが、エコーで診るということになって、すぐ診はじめた。そうすると、膀胱に結石らしいものが見える。獣医の説明によると、クスリで溶ける結石と、手術しないとだめな結石があるそうだ。尿検査をしないとならないが、尿が殆ど溜まっていないため、家で採取するか、排尿する前に連れてこいと言われた。ネットを調べると、排尿する時に、お玉など差し入れて採取するという方法やウロキャッチャー、採尿シートなるものを使って採取するらしい。トイレは共用なので、昔使っていたトイレを引っ張り出して、その上にスポンジを置いているが、少ししか出ていない。この状況では、採取が難しそうなので、今使っている尿が下に落ちるシステム・トイレを買って、尿シートなしで、直接底に受ける方法をとることにした。けっこうきんきゅうsりがありそうなので、現在の方法でも頑張ってみるが、ダメな時はトイレが来たら採取したいと思う。尿検査の尿は鮮度が大切で、排尿後一時間ぐらいしかもたないようなので、暫くは観察していかなければならない。また、結石は餌が重要だということで、調べて観たら、猫は肉食なので、肉類の含有量の高いエサが良いらしい。その分、値段が高いわけで、何とも悩ましい。食生活だけでなく、飲み水の量も多くする必要もある。この猫は最近布団に尿を引っ掛けたり、トイレの砂を撒き散らしたり、ストレスが溜まっていたようだ。夜中も泣いているので、家族が冷たくしているのも影響しているかもしれない。こうなってしまったのも、人間の責任が大きい。この上は、クスリで結石を溶かせることが出来ることを祈るばかりだ。
2019年01月09日
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フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクルのドビュッシーの作品集。ハルモニアムンディ・フランスのドビュッシー没後100年記念リリースの一枚。CDがリリースされてからハイレゾが出るのを心待ちにしていたのだが、やっと配信された。eclassicalとHighresaudioの二つのサイトからの配信がもっとも速かったようだ。安いeclassicalから$13.72で入手。ロトは過去Musicales Actes Sudに「海」や「イベリア」などを録音してた。今回は「牧神」「遊戯」「夜想曲」というプログラム。「牧神」(1892-1894)ではフルートの古楽器らしいサウンドがドビュッシー存命中のサウンドを思い起こさせるような気がする。素晴らしく明晰な演奏だが、ブーレーズの曲の構造をさらけ出すような明晰さとは異なり、あくまでもマイルド。2分ほどのところの弱音器付きの金管のフォルテピアノがこれほど鮮烈に響いたのは聞いたことがない。「遊戯」(1912)は今までなかなか馴染めない曲だった。世の中でもそうらしく、レコーディングにもあまり恵まれていない。今回も何回か聴いているが、最近になっておぼろげながら曲の良さが分かってきたような気がする。実に鮮烈な演奏で、今まで聞いてきた音楽は何だったのかと思うほどだ。参考までにブーレーズ・クリーブランド管の演奏(1995)を聴いてみた。音の鮮度は最新録音に比べるとさすがに劣り、霞がかかったように聞こえる。演奏そのものは定評があるが、この曲に関しては音の良し悪しでだいぶ印象が異なってくるように思う。特にメロディックな旋律があるわけではないというのも、とっつきにくい原因なのだが、色彩的なサウンドとして楽しむと大分印象が異なってくる。最近の当ブログの耳にはディズニー映画の音楽のような聞こえる。もともバレエ音楽なので実際の舞台を見ればだいぶ理解の度合いも違ってくると思う。舞台は見たことがないが、ストーリーに基づいた音楽であることは注意深く聴いていると理解できてくる。こちらのブログによると1999年にロイヤル・オペラバレエによってディアギレフの遺産 Diaghilev Legacy」という公演が行われその中にニジンスキーの振り付けによる「遊戯」も含まれていたそうだ。この映像を見たいが今のところ探し出せていない。この曲に関しては、ある程度分かってきたので、手持ちの音源を聴きなおしてみようと思う。一番期待していた「夜想曲」は、音が思ったより軽い。弦は鮮明だが、少し弱いと感じるときもある(祭り)。ドビュッシーの繊細なオーケストレーションが楽しめるのは「シレーヌ」だろうか。レ・クリ・ド・パリの女声合唱の透明で美しい声が楽しめる。またこの曲の弦の繊細な響きが、こんなに良く録れている演奏は過去にはなかったような気がする。ところで、昨年はドビュッシー・イヤーだったが、聴けば聴くほど彼の独創性と作曲の巧みさにほとほと納得させられた1年だった。ドビュッシーはあまり聴いていない音源が残っているので、熱が冷めないうちに聴き込みたい。François-Xavier Roth:Debussy Jeux, Nocturnes, Prélude à l'aprés midi d'un faune(Harmonia Mundi 905291DI) 24bit 96kHz Flac1.Prélude à l'après-midi d'un faune, CD 87 2.Jeux, CD 1333.Nocturnes, CD 98 Les Cris de ParisLes SièclesFrançois-Xavier Roth(cond)Recorded July,2018 at Philharmonie de Paris ,Paris,France
2019年01月05日
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澤野工房から昨年リリースされたロベルト・オルサーのアルバム「チェレステ」を聴く。澤野工房は広告を打たないので、積極的に探さないと、見落としてしまう。このアルバムもつい最近知ったばかりで、100ポイントつくのでamazonから購入。アマゾンでは澤野工房のCDはすべて100ポイントつくようなので、amazonで購入することをお勧めする。キャッチコピーには「天才ピアニストが辿りついた至高の世界がここに!」と書かれてあるので期待したが、ちょい聞きではそれほどとは思わなかった。繰り返し聴くと、その良さが次第にわかってくる。北見柊氏の解説によると、『チェレステはイタリア語で「神居ます至高の天空」を意味し、翻って空の「碧」でもある』とのことのこと。勿論いつものオルサーのプレイと変わらない。ベースのゴロウベフの美音も相変わらず美しい。ベッジオのドラムスも堅実。オルサーのCDではクラシックの作品が取り上げられることが多い。隠れた名曲や意外な編曲で楽しませてくれて、個人的にもとても有難い。今回はムソルグスキーの展覧会の絵の「古城」とモンポウのピアノ曲。他の曲もオルサーの美学に基づいた抒情的な曲ばかりだ。「古城」はあまり悲壮感はなく爽やかな編曲。モンポウの作品は聞いたことがなかったので、spotifyで調べたら「歌と踊り」というピアノ(13曲)ギター(1曲)、オルガン(1曲)のための曲集で、1918年から1972年に断続的に書かれている。導入的で緩やかな「歌」(Cançó)と、それに続くより動きのある「踊り」(Dansa)からなる。今回取り上げられているのは第6曲の「歌」(Cantabile espressivo)の部分。アウトゥーロ・ルビンシュタインに献呈され、アルトゥーロ・ベネディッティ・ミケランジェリがアンコールで好んで演奏したという。 キューバ、アルゼンチン、ブラジルの文化に影響を受けたリズムを使用しているということで、なるほどラテンの哀愁漂う佳曲なことが分かる。出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%8C%E3%81%A8%E8%B8%8A%E3%82%8A_(%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%82%A6オルサーはあまり重くならず、曲の抒情性を伝えてくれる。いい曲といい演奏。モンポウは最近ピアノ曲を聴き始めたばかりだった、こんな曲もあるとは知らなかった。1曲目の「Deliverance」(救出)は速めのテンポだが、少し愁いを帯びた表情がいい。メルドーが書いてもおかしくないような曲。惜しむらくはもう少し長く聴いていたかった。ザッパの「G-Spot Tornado / Sleep Dirt」のメドレーは9分半とCDの中では一番長い演奏。リズミックな「G-Spot Tornado」は、ザッパの猥雑な音楽がすっかり毒気を抜かれて、オルサー一流の洗練された音楽になっているのには驚く。上原ひとみが作りそうな曲に聞こえる。抒情的な「Sleep Dirt」では長尺のベース・ソロが前後に入っていてベースの美しいサウンドが存分に楽しめる。また透明なピアノの響きが心地よい。最後に「G-Spot Tornado」が戻ってきて曲を締めくくる構成も悪くない。ゴロウベフの「... And After」は抒情的ながらもリズミックな面も見せていて単調にならない工夫を見せている。オルサーの「A Simple Song」はリズミカルでリリカルな3拍子の曲。道端の名もない草花のような可憐な美しさを誇って?いる。ゴロウベフのベース・ソロはどっしりとしたサウンドで曲の可憐さとはちょっと違う感じだが、違和感はない。後半のオルサーの流麗なソロがいい。タイトル・チューンはラルフ・タウナーの「Old Friends, New Friends」(1979)に含まれる作品。オルサーの演奏は美しいが、あまり心に響いてこない。曲がそれほど優れていないことにもよるとは思うが。。。ここでもゴロウベフのベース・ソロがいい。いつもながらのアメリオによる録音は音像が肥大気味なことを除けば、とても心地よい。ところで、澤野工房物語(DU BOOKS)という澤野由明さんの半生を語った書籍を今日までかかって読んだジャズレコードの販売を始めたきっかけから始まり、浮き沈みの激しい業界で独自の地位を占めるまでにいたった歴史が、裏表なしに書かれていて大変面白かった。弟さんの稔さんがヨーロッパ在住で音源の発掘や渉外を行い、由明さんが、そのほかの営業などをおこなう分業体制なそうだ。日本で一番ジャズのレコードを聴いてきたと豪語するほどのコレクターであり、オーディオマニアであることも初めて知った。稔さんも学生時代からヨーロッパに度々行って、廃盤を漁るというつわもの。由明さんは自分がいいと思ったものを出すというのがポリシーで、現在までこれたのもそのポリシーが人々の共感を呼んだからだという。本書では、特にお気に入りのミュージシャンについては「澤野工房のミュージシャンたち」と章を設けていて、オルサーは「サワノ・サウンドの最新形」とコメントされている。オルサーはコルトレーン研究家として著名な藤岡靖洋氏からの紹介だそうだ。なお、北見柊氏による寄稿「澤野工房外伝 ~JAZZ者 仁義なき戦い」も収録されているが、ページの関係で第4部と番外編はホームページでの掲載となったそうだ。第1部から第3部までもあるので、書籍を読んでない方も宜しかったらご覧ください。Roberto Olzer Trio:Celeste(Atelier SAwano AS 163)01. Roberto Olzer:Deliverance02. Modest Mussorgsky:The Old Castle03. Frederico Monpow:Song 604. Frank Zappa:G-Spot Tornado / Sleep Dirt05. Yuri Goloubev:Parisian Episode VIII06. Ewan Svensson:Piece III07. Yuri Goloubev:... And After08. Roberto Olzer:A Simple Song09. Rlph Towner:Celeste10. Roberto Olzer:CanovaRoberto Olzer(p)Yuri Goloubev(b)Mauro Beggio(Ds)Recorded 28-30 August,2017 at Arteusuono Cavelicco(Udine),Italy
2019年01月03日
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