inti-solのブログ

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2008.09.13
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カテゴリ: 食の安全
ここ数日、三笠フーズの事故米転売事件のことが問題になっています。特に注目されるのが、農林水産省が隠蔽に加担したのではないかという疑惑です。
食品安全委員会が昨年度に行った食品安全確保総合調査のなかで、よりによって今回の事故米で検出されたカビ毒(オクラトキシン、アフラトキシン、ゼアラレノン)の汚染実態調査だけが中止されていたのです。
しかし、事件が表沙汰になって、急遽調査を行うことにしたらしく、ホームページ上の「中止」という表示はここ数日の間に「平成20年度に実施中」と書き換えられています。

では、何故この調査はいったん中止されたのでしょうか。理由は、どうやら、調査をすれば汚染の深刻な実態が明らかになってしまう、ということを危惧したのではないかと推測します。以下は、 「きっこのブログ」 にリンクが張られていた、共産党の紙智子参議院議員の質問主意書と、それに対する当時の安倍首相の答弁書です。

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/syuisyo/166/syuh/s166066.htm
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/syuisyo/166/touh/t166066.htm

経緯を簡単に説明すると、
近年、牛乳からアフラトキシンが検出されたり、家畜が原因不明の大量死したりという事態が頻発しています。その原因は、家畜飼料に大量の農薬やカビ毒が混入しているせいではないか、と考えられます。ところが、人間が直接口にする農産物には厳しい検査がありますが、家畜の餌にはまともな検査が行われていません。そのため、公式には飼料用の穀物からアフラトキシンが検出されたことはないことになっているのですが、本当はかなり汚染されていることが予想できます。生物濃縮と言って、生物の体内で分解できない化学物質は、その生物の捕食者(家畜に対しては人間)の体内に更に高濃度で蓄積されます。
だから飼料の汚染実態の調査をして欲しいというのが紙議員の主張です。それに対して安倍の回答は「調査しない」という内容。
それで、当初予定していたカビ毒の汚染実態調査を答弁書どおりに中止したのでしょう。
何故調査を行わなかったかと言えば、もちろん、調査すればすさまじい汚染の実態が明らかになるということを恐れたのでしょう。では、何故汚染の実態が明らかになるのが怖いのか。
「きっこのブログ」は「自国民の生活よりもアメリカの利益、沖縄県民よりも在沖アメリカ兵のための政治を続けて来た売国政府にとっては、国民の健康なんかどうでもいいのだ。」と、その理由を説明しています。しかしそれはどうでしょう。私も、安倍晋三という右翼政治家は大嫌いですが、それは違うだろうと思います。いや、理由の一つではあるかも知れないけれど、理由の全てではない。
本当の理由は、解決不能だから問題を先送りして逃げるために調査を中止したのだと私は思います。

ここ数日、日本の食糧自給率の低さについて書いてきました。日本の食糧自給率はわずか39%、特にコメ以外の穀類はほとんど輸入です。従って、外見上は日本国内で飼育されているように見える家畜も、餌の出所を考えればほとんど自給できていません。飼料の輸入が止まれば、畜産業はあっという間に壊滅です。日本の食卓から肉や乳製品、玉子の大半が姿を消します。文字通りの飢餓地獄になるでしょう。そうでなければ、アフラトキシン漬けの肉や乳製品、玉子を食べ続けるか。
まさしく究極の選択です。食糧自給率を落としに落としてしまった今の日本に取れる選択肢は、その二つしかない。その現実を白日の下に晒したくなくて、安倍は、あるいは農水省の官僚は逃げを打ったのでしょう。
食糧自給率を下げて、食料を外国からの輸入に依存するというのは、そういうことなのです。まさしく、自らの健康と安全を売り渡すと言うことです。


ところで、例によって暴言癖のある太田農水相がまたも言ってくれました。
「(流通した事故米の残留農薬)濃度は(中毒事件が起きた)中国製ギョーザの60万分の1の低濃度。人体に影響は無いということは自信を持って申し上げられる。だからあまりじたばた騒いでいない」
だそうです。
バカとしか言いようがありません。確かに毒餃子事件で検出されたメタミドホスより、今回のアフラトキシンの方が遙かに微量ですが、規制値もアフラトキシンの方が遙かに微量です。つまり、それだけ危険性の高い毒物ということです。別の種類の毒物の濃度を比較して、「こちらの方が微量だから安心」なんて、あまりにレベルが低すぎる。

ウィキペディアによれば、「アフラトキシンは地上最強の天然発癌物質であり、その毒性はダイオキシンの10倍以上といわれる」とのことです。そして、それ以上に問題なのは、汚染されていたのはコメだということです。餃子はかなり一般的な食べ物ですが、それでも三食三食1年中餃子を食べ続ける人というのは想像し難い。しかし、一年中三食三食米飯を食べ続ける人というのは、そう稀ではないはずです。日本人の1人あたり年間米消費量は現在でも60キロ以上です。多い人は100キロ以上食べるでしょう。(1962年の日本人の平均は118キロ)。その、日本の主食が汚染されていたことの危険性は、そんなに低くありません。
http://informatics.cocolog-nifty.com/news/2008/09/post-da6d.html
によると、今回の汚染米を常食していた場合、ラットではかなり高率で肝臓ガンにかかるという実験結果が出ているようです。実験によって結果が相当に違うのですが、アフラトキシンの摂取量0.63μg(体重1kgあたり)で発症率100%という実験結果があります。米飯を年間100kg食べた場合、体重1kgあたり摂取量は0.25μgになります。肝臓ガン発症率100%の摂取量の約4割です。ということは、肝臓ガン発症率は40%・・・・・・・
これより遙かに発症率の低い実験結果もあるので、確実にこのとおりとは断定できないのですが、「人体に影響は無い」ということが「自信を持って申し上げられる。」なんて状況ではないことは明白です。





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最終更新日  2008.09.14 09:02:59
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