inti-solのブログ

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2009.02.28
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カテゴリ: 音楽
http://www.asahi.com/showbiz/music/TKY200902270316.html

公取委、JASRACに排除措置命令 放送使用契約問題

放送局が番組内で使う楽曲使用料をめぐり、著作権管理団体の日本音楽著作権協会(JASRAC)が現在、放送局との契約で採用する楽曲使用料の徴収方法が、他社の新規参入を制限しているとして、公正取引委員会は27日、JASRACの独占禁止法違反(私的独占)を認め、排除措置命令を出した。JASRACは不服として争う方針。
命令では、JASRACが使用料を徴収する際に、放送局がJASRAC管理曲を使用した割合を反映させることを要請。仮に放送局が他社管理の曲を使用した場合、その割合に応じてJASRACが減額する仕組みなどを改善策の一つに想定している。
公取委によると、JASRACは各放送局と包括利用契約を結び、年間放送事業収入に約1%を乗じた金額を使用料として包括徴収している。だが、この方式ではJASRAC管理曲だけ使った場合でも、競合他社の曲を何割か使った場合でも、JASRACへの支払額は変わらない。
公取委は、放送局にとっては追加出費が必要となるため、他社管理の曲使用を控えることになり、作曲家などの権利者も他社への委託を取りやめることから、参入が困難になっていると判断した。
01年にJASRAC以外の業者による楽曲管理が可能となった後の03年に、公取委は研究報告でこの徴収方法の問題点を指摘。また、05年9月には、競合他社の市場参入を見越した日本民間放送連盟も、JASRACに使用料の減額を提案したが、JASRACは拒否していた。
その後、06年10月に音楽出版社「エイベックスマネジメントサービス」から管理委託されたイーライセンス(東京)が参入を試みたものの、各放送局がエイベックス楽曲の使用を控えたことから、約3カ月間で契約解消に追い込まれた。公取委は、これを競争阻害の事例と認定した。
放送事業者による楽曲使用料の市場規模は年間約200億円。JASRACのシェア(市場占有率)は99%以上。
27日夕に緊急会見を開いたJASRACの加藤衛理事長は「我々は新規参入を妨害していない。排除措置命令の根拠となった事実関係から徹底的に争いたい。審判を請求し、その後の訴訟も視野に入れている」と、公取委と全面的に争う考えを明らかにした。

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私も音楽を趣味とする人間の一人として(実際は、趣味以上の存在ですが)、JASRACをめぐる問題には大いに関心があります。
基本的には、音楽家の権利は守られなければならないと思っていますので、請求されれば著作権使用料を支払うことにやぶさかではありません。ただ、JASRAC(に限らず著作権ビジネス一般に同様のことが言えますが)をめぐる問題を色々と調べていくと、正直言ってあまり支払いたくなくなります。

例えば私もオリジナル曲を何曲か作ったことがありますが、私がJASRACに自作曲を登録することはできません。JASRACに楽曲の登録ができるのは、JASRACの会員に限られるからです。そして、いくら会費を払おうが、私がJASRACの会員になることはできません。JASRACを通じての著作権料収入が一定額以上(確か3年続けて30万円以上だったと思います)の個人、または法人しか会員になる資格がないからです。その上で、会費も高額のようですが。従って、JASRACの会員になれるのは、個人であればヒットメーカーの音楽家に限られます。あとは法人、つまり音楽出版社です。
ヒットメーカーではない音楽家が自作曲をJASRACに登録するには、まず音楽出版社と契約しなければならないわけです。そして、レコード会社はみんな系列の音楽出版社をもっているので、有名音楽家を除くと、多くの場合レコードを出す際には系列の音楽出版社と契約を結ぶことになります。
音楽出版社と契約すれば、晴れて自作曲がJASRACに登録され、著作権使用料が支払われるようになるわけですが、その額は音楽出版社と作曲者で5割ずつだそうです。それ以外に、JASRACの管理手数料も引かれるので、実際には作曲者の手元には著作権使用料の半額以下しか残らないことになります。

ここでいう著作権使用料とはCDの売上のことではありません。著作権使用料は、CDの価格の6%に過ぎません。2000円のCDなら120円です。残り1880円は最初からレコード会社の取り分なのです(CDの制作費や販売経費、広告宣伝費などはそこから賄われているはずです)。その120円の著作権使用料から、更に6%(約7円)をJASRACが管理手数料として取り、残り113円の半額、約56円も音楽出版社(事実上レコード会社の関連会社)にもって行かれて、音楽家の手元に残るのは残り約56円だけとなります。(歌の場合はこの56円を更に作曲者と作詞者で折半することになります)
JASRACは、音楽出版社を経由しない楽曲登録を制限することによってこのような音楽業界のピンハネ構造をまもる役割を果たしているわけです。

それでも、CDやDVDは利用状況(販売枚数や楽曲の使用状況)が明確なだけに、使用料の計算のまた明快です。JASRACの手数料(著作権使用料の6%、CDの価格全体の0.36%)も、音楽出版社の暴利と比べればかなり妥当なものでしょう。しかし、その他の著作権使用料、つまりコンサートでの演奏や放送、ネットでの配信などの場合は、著作権使用料の計算が極めて不明朗なのです。その原因は、記事で問題となっている包括契約です。
包括契約とは、どんな曲を流そうが、その中身は一切問わず、一律料金で著作権使用料はいくら、という支払方法です。食べ放題のバイキングみたいなものと思えばいい。

確かに、放送局は大量の音楽を使いますから、いつどこでどの曲を使ったか、それをいちいち個別に計算するのは放送局側もJASRAC側も極めて面倒(というか、ほとんど不可能)という現実的な問題はあるでしょう。
しかし、問題はJASRACはこの契約方法を、放送局ばかりでなく他のあらゆる楽曲利用に適用したがる傾向がある、という点です。例えばライブハウスや音楽喫茶、コンサートの主催者などに対しても包括契約を強要しています。
ほとんどオリジナル曲(JASRACの管理楽曲ではない)ばかりのライブをやったら、包括契約を結ぶことを強要された喫茶店の事例が、以下に紹介されています。
http://plaza.rakuten.co.jp/ginganohotori/2006

実際には、JASRACの規定には1曲ごとの精算も明記されています。事実、かつて私が演奏したある、ある喫茶店は、後でJASRACから著作権使用料の請求が来たとき、「1曲ごとの精算」を強硬に主張して認められたそうです。17~8曲演奏したうち、実際に著作権使用料が発生したのは6曲だったと聞いています。それ以外は伝承曲などJASRACの非管理楽曲でした。
推測ですが、印刷したプログラムがあって演奏曲目が証明できる場合は、1曲ごとの精算が認められるのかも知れません。
JASRACのライブハウスや音楽喫茶などに対する著作権使用料請求はかなり高圧的で、上記の例以外にも各地でトラブルが起こっています。
http://www1.u-netsurf.ne.jp/~sphere/jasrac_jirei.html

さて、包括契約の下では、誰の作曲したどの曲がどれだけ放送(演奏)されたか、なんてことはまったく分からないわけですから、支払われた著作権使用料をどう配分するかは、JASRACの胸先三寸ということになります。そのため、特定の分野に恣意的に厚く使用料が配分されているのではないか、というような憶測が乱れ飛ぶことになるのです。
ここに、昨年度のJASRACの決算報告 があります。
CDなどの著作権使用料が216億円、ビデオ(DVDも)169億円に対して、放送は265億円、演奏196億円だから、包括契約で得ている収入の方が大きいと思われるのです。

このほかにも、悪名高いCCCDへの対応、私的録画補償金制度などもJASRACの問題点ですが、長くなるのでここでは触れません。CCCDはもはや絶滅状態で過去の問題になりつつありますし。
結局のところ、JASRACは音楽文化と音楽家の権利を守ることをうたい文句にしているけれど、実際には音楽業界の利権を守るための存在に過ぎないのではないか、という気がします。もちろん、音楽業界だって営利企業なのだから、利益を上げなければなりません。そのことを否定するつもりはありません。金儲けのための業界団体なら、そうとはっきり言えばいいのです。





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最終更新日  2009.03.01 09:53:54
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