inti-solのブログ

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2012.07.08
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カテゴリ: 環境問題
福島第一原発の国会事故調査委員会報告書が発表されました。
報告書は、完全版・要約版とも 国会事故調ホームページ からダウンロード可能です。

事故の根本原因については、こう書いています。


東電及び保安院は、新指針に適合するためには耐震補強工事が必要であることを認識していたにもかかわらず、1 ~ 3 号機については、全く工事を実施していなかった。保安院は、あくまでも事業者の自主的取り組みであるとし、大幅な遅れを黙認していた。事故後、東電は、5 号機については目視調査で有意な損傷はなかったとしているが、それをもって1 ~ 3 号機に地震動による損傷がなかったとは言えない。


実に明快に断じています。さらに

本事故の直接的原因は、地震及び地震に誘発された津波という自然現象であるが、事故が実際にどのように進展していったかに関しては、重要な点において解明されていないことが多い。(中略)
しかし東電は、事故の主因を早々に津波とし、「確認できた範囲においては」というただし書きはあるものの、「安全上重要な機器は地震で損傷を受けたものはほとんど認められない」と中間報告書に明記し、また政府もIAEA に提出した事故報告書に同趣旨のことを記した。
(中略)
事故の主因を津波のみに限定すべきでない理由として、スクラム(原子炉緊急停止)後に最大の揺れが到達したこと、小規模のLOCA(小さな配管破断などの小破口冷却材喪失事故)の可能性は独立行政法人原子力安全基盤機構(JNES)の解析結果も示唆していること、1 号機の運転員が配管からの冷却材の漏れを気にしていたこと、そして1 号機の主蒸気逃がし安全弁(SR 弁)は作動しなかった可能性を否定できないことなどが挙げられ、特に1 号機の地震による損傷の可能性は否定できない。また外部送電系が地震に対して多様性、独立性が確保されていなかったこと、またかねてから指摘のあった東電新福島変電所の耐震性不足などが外部電源喪失の一因となった。(要約版13ページ)


とも書いています。つまり、福島第一原発は、そもそも耐震補強工事を怠っていて、地震にも津波にも耐えられる状態ではなかったこと、津波だけではなく地震の揺れそのものによって事故が発生した可能性があること(特に1号機)を、明確に断じたわけです。
このことの意味は重大です。何度も書いているように、東日本大震災は、地震の揺れそのものによる建物の倒壊被害はかなり少なかったのです。それにもかかわらず、原発は揺れそのものによって致命的な被害を受けていた(可能性が高い)ということは、つまり原発の耐震性は世間一般の建築物より下だった、ということでもあります。もちろん、建物の外壁や構造そのものが地震で壊れたわけではありません。しかし、内部の配管類や外部電源の鉄塔(報告書は長いので、記載があるかどうかは分かりませんが、外部電源の鉄塔は津波の到達範囲外にもかかわらず倒壊していたことが報じられています)が破損してしまえば、外壁だけが無傷でも無意味なのです。なぜなら、原発にとっての心臓部は建屋の外壁ではなく、その内側だからです。

さらに、このような規制官庁については

本来国民の安全を守る立場から毅然とした対応をすべき規制当局も、専門性において事業者に劣後していたこと、過去に自ら安全と認めた原子力発電所に対する訴訟リスクを回避することを重視したこと、また、保安院が原子力推進官庁である経産省の組織の一部であったこと等から、安全について積極的に制度化していくことに否定的であった。
本来原子力安全規制の対象となるべきであった東電は、市場原理が働かない中で、情報の優位性を武器に電事連等を通じて歴代の規制当局に規制の先送りあるいは基準の軟化等に向け強く圧力をかけてきた。この圧力の源泉は、電気事業の監督官庁でもある原子力政策推進の経産省との密接な関係であり、経産省の一部である保安院との関係はその大きな枠組みの中で位置付けられていた。規制当局は、事業者への情報の偏在、自身の組織優先の姿勢等から、事業者の主張する「既設炉の稼働の維持」「訴訟対応で求められる無謬性」を後押しすることになった。このように歴代の規制当局と東電との関係においては、規制する立場とされる立場の「逆転関係」が起き、規制当局は電気事業者の「虜(とりこ)」となっていた。その結果、原子力安全についての監視・監督機能が崩壊していたと見ることができる。(要約版12ページ)


としています。要約すれば、「規制」官庁が規制される側とズブズブの関係になって、機能を果たせなくなっていたというわけです。そのような悪しき現実が明確に指摘されているにもかかわらず、未だに原子力規制委員会に反原発派を入れるなと叫ぶ産経新聞や読売新聞は、話にならないということです。

電気事業者は事故前より放射線防護規制を緩和させようとしていた。そのために、放射線の健康影響に関する研究については、より健康被害が少ないとする方向へ、国内外専門家の放射線防護に関する見解については、防護や管理が緩和される方向へ、それぞれ誘導しようとしてきた。(本編522ページ)

ともあります。「低線量被曝は安全だ」と主張する御用学者が幅をきかせている背景には、こういう事情もある、ということです。
いずれも、私にとっては「意外な新事実」ではなく、「当然の結論」ではありますが、当然の結論について、ごまかしたり言葉を濁したりしなかったということは、この事故調査委員会はかなり公正な立場で結論を出そうとしたと考えてよさそうです。





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最終更新日  2012.07.08 23:15:18
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