inti-solのブログ

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2012.09.01
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カテゴリ: 環境問題
エネルギーと原発 世論で基本政策決めるな
世論に耳を傾ける努力は大切だが、エネルギー問題のような国の基本政策が世論によって決められるルールを確立させてはならない。高度で冷静な政治判断こそが優先されるべきだ。
2030年の原発比率など日本のエネルギー構成について、寄せられた国民の意見を分析した有識者による検証会合(座長・古川元久国家戦略相)が「少なくとも過半の国民は原発に依存しない社会の実現を望んでいる」とする見解をまとめた。
この見解は、これから政府が着手する国の中・長期的なエネルギー問題と温暖化対策の方向性を定める「革新的エネルギー・環境戦略」の策定作業の本質に影響を及ぼしかねない内容だ。
検証会合の見解を“お墨付き”として、デモに代表される反原発の時論に迎合し、「原発ゼロ」を軸とする新戦略の構築に傾斜するのは禁物だ。
そうした迎合は、日本の発展に終止符を打つ行為に他ならない。国の存続と繁栄に安定したエネルギーが必須であることは、歴史が示す自明の理である。
次の選挙で世論の逆風を受けるとしても、エネルギー安全保障の重要性を有権者に説いて、国の将来を確かなものにしてゆくことが、政治家の責務である。再生可能エネルギーの発電能力は、原発に比べると格段に小さく、不安定だからだ。
そもそも政府が実施した意見聴取会やパブリックコメント(意見公募)、討論型世論調査は、準備不足で問題点も多い。意見聴取会で電力会社の社員の意見表明の機会を奪ったことなどにより、脱原発派が勢いを得た感がある。
政府の調査では、新聞社などによる世論調査より「原発ゼロ」の回答率が高い。政府の調査そのものが脱原発ムードを醸し出した可能性が疑われる現象だ。
こうした不確かな調査をよりどころに、エネルギー計画の策定を急ぐのは短慮に過ぎよう。皮相的な原発の好悪論にとどまらず、原発をなくした場合の経済や文化への影響までを視野に入れた議論の深化が必要だ。
有識者の検証では、20代以下の30%強が「原発維持」の意見であることが注目された。政府は約20年後のエネルギー構成を考えている。若い世代の意見に重みを置いて検討することも重要だ。

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例によって惨傾新聞、いや産経新聞の叫びです。
「エネルギー問題のような国の基本政策が世論によって決められるルールを確立させてはならない。高度で冷静な政治判断こそが優先されるべきだ。」というのは、すばらしい理屈です。世論がどうであろうが、そんなものは無視して「高度で冷静な政治判断」をしろ、というのです。しかし、原発を推進してきた人たちの言ってきたことやってきたことは、「高度」でも「冷静」でもないように、私には思えます。産経新聞なんかが、まさしく代表例ですが。
そもそも、「高度で冷静な政治判断」を行う主体は誰なんでしょうか。政治家か高級官僚か、ということになるのでしょう。政治家は選挙を通じて世論の洗礼を受けますが、選挙で選ばれるわけではない高級官僚が、世論を無視して密室談合で国の基本政策を決めるのだとすれば、それはもはや民主主義とは言えません。「国の基本政策」が民意で決まらないのだとしたら、選挙はいったい何のためにやるんですか、国民のガス抜きのための人気投票ですか。

しかも、同じ文章の中で、「20代以下の30%強が「原発維持」の意見であることが注目された。~若い世代の意見に重みを置いて検討することも重要だ。」
と言うのです。「国の基本政策を世論で決めるな」と言った同じ口で、「若者の世論で決めろ」というのですから、ダブルスタンダードもいいところです。つまり、要約すれば「自分たちに都合の良い世論には従え、都合の悪い世論は無視しろ」と言っているようにしか見えません。

そもそも、30%強というのは半分以下の数字なので、「20代以下でも原発維持は少数派」という結論しか導き出しようがないように思えるのですが、産経脳には、30%強が多数派に見えるんでしょうか。
ちなみに、この数字の根拠は、何とニコニコ動画のアンケートだそうです。「国家戦略室」がニコニコアンケートをソースに持ち出すとは、いささか脱力してしまいます。私もニコニコ動画にアカウントを持っていますけど、ニコニコアンケートを「世論調査」と呼ぶのは、あまりに無理があります。
なお、ニコニコアンケートの結果詳細は、 こちらに資料があります。
確かに、「原発維持」派が20代と10代で相対的に多いことは事実ですが、それでも「即時廃止」と「徐々に減らしていきいずれは全廃」の合計が6割を超えているのですから、まともな読解力があれば「若年層でも脱原発派が多数」という結論になると思われます。

当ブログで何度も書いているように、私も、「全原発を即時廃止」というのは無理だと思います。が、2030年といえば今から18年後ですから、その程度のスパンで考えれば原発全廃は可能だし、逆に2030年の時点で原発をこれまでどおりに維持し続けることなど不可能なのです。
これについては、 以前にも書いたことがあります が、今後運転再開不可能な原発が相当数あるのに対して、新規設置はきわめて困難ですから、どう考えたってこれまでどおりの原発依存度を維持することなど、できるはずがないのです。
それに加えて、もう一つの問題があります。

核廃棄物の問題です。これについても 以前記事を書きました が、高レベル廃棄物を最終的にどこに貯蔵するかは、まだ決まっていません。六ヶ所村の再処理工場(まだ本格稼動していない)の貯蔵施設はすでにほぼ満杯です。
各原発の核燃料貯蔵プールには、行き場のない使用済み核燃料が大量に保管されていますが、これも近い将来満杯になります。そうなると、原子炉内の核燃料が燃え尽きても、取り出して保管する場所がない。雪隠詰め、文字どおりの「トイレのないマンション」です。そうなると、物理的に原発の運転が不可能になります。それまでの猶予期間は、早い原発ではあと数年、余裕のあるところでも十数年です。この現実を正視すれば、脱原発以外の選択肢はないと私には思えるんですけどね。





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最終更新日  2012.09.01 20:53:20
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