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2013.06.19
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カテゴリ: 環境問題
一昨日の記事
ところが、この暴言をあくまでも擁護しようという御仁がいます。先の記事でもその名を挙げましたが、評論家の池田信夫です。

こども版 原発事故の被害って何?
自民党の高市早苗政調会長が「原発事故による死亡者は出てない」と発言して、マスコミや野党のバッシングを受けています。彼女の発言は、明らかにまちがいです。避難した先で病気や事故で死んだ「原発関連死」は700人以上いるといわれています。しかし彼女をたたいているマスコミには何の問題もないのでしょうか?
原発事故による放射能で死んだ人は今のところいないし、今後も死者が出る心配はありません。これはWHO(世界保健機関)を初めとする世界の公的機関の報告書で一致した結論です。1986年のチェルノブイリ原発事故とはちがって、原子炉そのものが壊れなかったので、人々のあびた放射線の量はチェルノブイリの1/1000以下だったからです。つまり放射能で死んだ人はゼロなのに、放射能から逃げた人がたくさん死ぬというおかしなことが起こっているわけです。
死んだ人の多くは老人や病人で、十分な治療が受けられなかった人が多いそうです。事故の直後には、双葉町の病院で無理やり避難させられた患者が50人も亡くなるという悲しい事件も起きました。今も16万人以上が家に帰れず、仮設住宅で暮らしています。この原因は放射能ではなく、地元の市町村が「放射線量が1ミリシーベルト/年以下になるまで除染しないと帰宅させない」という方針を決めているためです。
国は20ミリシーベルトまで心配ないといっているのですが、マスコミが騒ぐので、地元は大事をとってしまうのでしょう。しかし被災地を1ミリシーベルトまで除染しようとすると、数十兆円もお金がかかります。もちろんそんなお金は自治体にも国にもないので、永遠に家に帰れない人が増え、病気や事故などの二次災害が放射能の被害より大きくなってしまったのです。
同じような被害はチェルノブイリ事故でも起こり、放射能の死者は60人ぐらいなのに、20万人が家や職を失い、数千人が自殺し、10万人以上が妊娠中絶したといわれています。放射能そのものより二次災害のほうが恐いというのが、チェルノブイリの教訓なのです。(以下略)

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この人のこういう無茶苦茶な理屈は相変わらずですが、事実認識に誤りが多すぎます。
「原発事故による放射能で~今後も死者が出る心配はありません。これはWHO(世界保健機関)を初めとする世界の公的機関の報告書で一致した結論です。」というのは、明らかに間違いです。
WHOは、 一般住民 にガンが明らかに増える可能性は 低い 、としています。ただし、乳児の甲状腺がん、白血病、大腸がんの発がんリスクは高まる、としています。甲状腺がんについては7割増、それ以外はわずかな増加ですが。発がん=死ではないとは言え、今後死者が出る可能性は充分にあります。ただ、それによって何千人も死ぬようなことにはならないでしょうが。
そして、WHOは、 事故現場の作業員 に関しては発がんリスクが高い、としています。したがって、池田信夫の妄信とは逆に、今後原発事故による放射能で亡くなる方は(主に現場作業員に)必ず出てくるはずです。

「チェルノブイリ原発事故とはちがって、原子炉そのものが壊れなかった」これまたウソです。少なくとも1号機の圧力容器はぶっ壊れているし、2号機と3号機についても破損している可能性が高い。格納容器についても、破損しているのは間違いないでしょう。

「人々のあびた放射線の量はチェルノブイリの1/1000以下だったからです」というもウソです。
報道 によると、国連科学委員会の報告書案によれば、日本国民の総被曝量は、チェルノブイリと比べて甲状腺が1/30、全身が1/10とのことです。1/1000なんておめでたい数字はどこにもない。
事故によって放出された放射能の総量は、チェルノブイリより福島第一原発のほうが確かに少ないけれど、おおむね10分の1程度(推計によって誤差はある)です。このことから考えれば、国民の総被曝量がチェルノブイリの1/10というのは、ごく当然の数字ということができます。

チェルノブイリで放射能による死者が60人というのも、非常に怪しい主張です。
Wikipediaの「チェルノブイリ原子力発電所事故」の項目 によれば、池田信夫が錦の御旗として掲げるWHOの推計値では

事故から20年後の2006年を迎え、癌死亡者数の見積もりは調査機関によっても変動し、世界保健機関 (WHO) はリクビダートルと呼ばれる事故処理の従事者と最汚染地域および避難住民を対象にした4,000件に、その他の汚染地域住民を対象にした5,000件を加えた9,000件との推計を発表した。

となっています。ただ、該当の記事に指摘されているように、WHOはIAEA(国際原子力機関)の合意なしには核の健康被害についての研究結果等を発表できない、つまり原発推進派寄りの研究結果しか公表できないという批判があります。
いずれにしても、死者60人などというトンデモな数値とはかけ離れていることは間違いありません。

で、池田信夫は「避難なんかしなければお年寄りが死んだり、多くの人が故郷を失うことはなかった」と言うのですが、避難していなければ、放射能による死者は実際よりはるかに多くなっていたことは確実です。先日の記事でも指摘したように、今もなお、年間に換算して100ミリシーベルトを越えるような空間線量を記録している地点が多々あります。そんなところに人が住み続けていれば、発がん率の激増は確実です。
もっとも、被曝による発がん率は、若い人ほど高く、高齢になるほどリスクが低くなると言われます。若い人ほど細胞分裂が活発なので、染色体が傷つきやすいことと、被曝から発がんまでは一定の期間がかかるため、高齢者は発がんに至る以前に寿命が終わってしまう場合があるからでしょう。
だから、高齢者は避難地域にそのまま住み続けても、確かに問題はないかもしれません。 身辺の自立した 高齢者なら、ね。
しかし、介護施設などの高齢者は、避難してもらうしかありません。介護・看護を行う施設職員は、高齢者ではないので、発がんリスクが低くはないからです。八日以後の入所者を置き去りにして職員だけが逃げるわけには行かない以上、一緒に避難してもらうしかありません。

こんなデタラメな放射能安全論を撒き散らしている人が、人気ブロガーだというのだから呆れるしかありません。





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最終更新日  2013.06.20 00:14:05
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