inti-solのブログ

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2013.09.30
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カテゴリ: 政治
企業を優先「解雇特区」 働く人への影響は

安倍政権が構想する「国家戦略特区」で、従業員を解雇しやすくしたり、労働時間の規制をなくしたりする特区の導入が検討されている。政府は今秋の臨時国会に関連法案を出したい計画だ。特区をつくるねらいは何か。働き手にどんな影響があるのか。

■ベンチャー・外資の進出促す
特区は安倍政権がかかげる成長戦略の柱の一つ。企業に「不便」な規制をゆるめ、もうけやすい環境を整える。政府は5月、国家戦略特区ワーキンググループ(WG)をつくり、自治体や企業にも提案を募って、雇用や医療、農業、教育などの特区を検討してきた。
うち雇用では、(1)入社時に結んだ条件に沿えば解雇できる(2)一定の年収があれば労働時間を規制しない(3)有期契約で5年超働いても、無期契約になれるルールを適用しなくていい――の3点だ。働き手を守る労働契約法や労働基準法に特例を認める。
(1)と(2)の特例は、開業後5年以内の企業の事業所に適用。外国人労働者の比率が3割以上の事業所では(3)の特例も使える。ベンチャーの起業や、海外企業の進出を促すためだという。(以下略)

ーーー

政府が「国家戦略」なんてものを掲げるとき、その中身はろくなものじゃないことは想像がつきますが、案の定、というところです。この発案をごく単純化すれば、要は、新規創業企業や海外企業の新規進出には、従業員を簡単に解雇できる特典を付けますよ(だから、どんどん創業したり進出してね)、ということです。
特典がモノやカネ(例えば税制上の優遇措置とか)ならともかく、生身の人間の権利剥奪を特典にするとは、働く人の権利もずいぶん小さく見られたものだなと思います。
企業と労働者の力関係は、基本的には企業(給料を払う側)のほうが労働者(給料を受け取る側)より強い。従って、(1)の、入社時の解雇条件が不当な内容だったとしても、「嫌なら別の人を採用します」ということになるから、雇われる側は首を横に振りにくい。
今だって、それに類する事態は起こっていますけど、さすがに「遅刻したらクビ」なんて雇用契約に明示することはできないことが、不十分ではあっても多少の歯止めになっているわけですが、そのような歯止めがなくなれば、事態はエスカレートするばかりでしょう。
(2)の、一定の年収があれば労働時間を規制しない、というのは、前回の安倍政権時代に問題となった、ホワイトカラーエグゼンプションと同じ内容です。労働時間を規制しない、ということは、残業手当を出さなくても良い、ということですから。ホワイトカラーエグゼンプションの時は、年収400万円以上が対象というとんでもない内容でしたが、今回はいったい年収いくら以上を標的にするつもりでしょうか。

なお、一応は開業5年以内の企業が対象とのことですが、こんな制度が導入されれば、「すべての企業を対象にしろ、全国で実施しろ」という経営者側からの圧力が極大化するであろうことは想像に難くない。

で、さっそく、競争原理主義派が、この提案に賛成の旗を振っているようです。

どんな特区であろうとも解雇されない人はされない - 川嶋 英明
だいたい、明日から一定の金銭を支払えば解雇が自由になる社会になったときに、今の会社の状況や自分の立場や職務を冷静に客観的に考えてみたときに、今すぐ自分がクビになるだろうって予想できちゃう人って、解雇規制が今のままだろうと緩和されようと相当やばいと思うんですがね。
(中略)
それにうだつの上がらない連中を解雇したって、会社の仕事の総量が減るわけではないですから、会社は当然新しい人を雇います。ほら、あなたの憧れの大企業がそういう連中を解雇したら、新しく雇うのはあなたかもしれない。
(中略)
野球でもサッカーでも、どんなに若くても、あるいはどんなに過去に活躍したベテラン選手でも、十分なプレーができなければ戦力外通告されるし(以下略)

ーーー

まあ、「いかにも」という感じの賛成論であり、ひとことで言って「レベルが低い意見だなあ」というところです。
このような解雇自由化論に危惧を抱くのは、何も明日自分が解雇されるという具体的な危険がある人に限らないでしょう。今現在優秀な人だって、生涯優秀であり続けるとは限りません。明日クモ膜下で倒れるかもしれないし、癌になるかもしれない。うつ病だってあり得ます。本人の健康に問題なくても、家族の病気や怪我の看病・介護が必要になることもあるかもしれない。(ちなみに、ここに挙げたのは、私の同僚や友人、私自身の家族などに実際あった例です)
自分の職業人生の中で、そんなことは起こらないと断言できる人などいるはずもないし、そんな時に、あっという間に「会社に不要な人材」と烙印を押されてお払い箱にされたら困るから、明日自分がクビになる可能性がなくても、多くの人が懸念を抱くのです。
うだつの上がらない人を解雇したあとに、後がまを必ず雇ってくれると、この人は本気でそう思っているんでしょうか。「仕事をできない人をクビにしたんだから、その分は人件費が減った、で終わりにされる可能性が一番高いでしょう。
野球とかサッカーとかに至っては、何寝言を言っているの?という感じです。じゃあ、特に優秀な社員は、野球やサッカーのトップ選手みたいに、何千万とか何億の年俸が出るわけ?野球やサッカーは、トップ選手として活躍すれば、一般社会では望み得ない超高給が得られる代わりに、来年の保証のない不安定な身分という「ハイリスク・ハイリターン」の世界です。そんな高給が望み得ないのに、身分保証だけ野球やサッカー並というのでは、ハイリスク・ローリターンです。

雇用特区でブラック企業が生きていけないわけ --- 城 繁幸
仮に「従業員を過労死寸前まで、それも手当無しでサービス残業させてやろう」と考えている経営者がいたとする。彼は特区に新しく会社を作り、雇い入れた従業員に毎晩遅くまで働かそうとするだろうが、従業員のほとんどは一週間持たずに逃げ出すだろう。なぜなら、特区は流動性が高いから。
他社もいっぱい人を採っている中(しかも終身雇用じゃないから採用のハードルは低い)つらく安月給な職場で我慢するのはマゾだけだ。
「徹夜でもなんでもして朝までにこれだけやっとけよ!」
「……じゃ辞めます」
「えっ」
会社が本気で従業員を過労死寸前まで働かせたいのなら、相当高い年俸を用意しないといけない。逆に安月給にしたいなら、とっても楽ちんな作業か、実労働時間をうんと短くするしかない。これは別に珍しいことではない。
売り手と買い手の双方に選択肢のある普通の市場であれば、ごく当たり前の話である。(以下略)

ーーー

これまた、すごい空理空論です。
「特区」と言ったところで、国境線が引かれているわけではありません。特区の外の住民が特区で働くと、不法就労になるわけではない。特区の中だけそんなに極端に求人が多かったり労働条件が良かったら、当然特区の外から人が押し寄せてきますから、特区の中だけが、そんなに売り手市場になるわけがない。
実際、今だってパートやアルバイトは雇用の流動性が高いのですが、だからといってパートやアルバイトの世界ではそんなに売り手市場になっているかといえば、全体的にはそんなことはないでしょう。
結局、こういう無理な前提条件を設定しないと、解雇自由特区が働く人の利益になるような事態は起こらない、ということなのでしょう。





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最終更新日  2013.09.30 23:08:05
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Re:ブラック企業特区(09/30)  
Bill McCreary さん
>うち雇用では、(1)入社時に結んだ条件に沿えば解雇できる(2)一定の年収があれば労働時間を規制しない(3)有期契約で5年超働いても、無期契約になれるルールを適用しなくていい――の3点だ。働き手を守る労働契約法や労働基準法に特例を認める。
(1)と(2)の特例は、開業後5年以内の企業の事業所に適用。外国人労働者の比率が3割以上の事業所では(3)の特例も使える。ベンチャーの起業や、海外企業の進出を促すためだという。

これって私にはほとんど「世も末」のたぐいだと思いますけど。前の記事でコメントしたように、ほんと安倍って「売国首相」「亡国首相」です。

安倍とか石破みたいな連中なら企業もクビにしないし、クビになったって議員になれるっていうところでしょうが、ふつう世間ではそんなとはない。川嶋という男は知りませんが、城なんてこんなことばかり年がら年中ほざいていて、ほんとどうしようもないクズだと思います。

あ、コメント欄を復活させました。 (2013.10.01 20:49:39)

Re[1]:ブラック企業特区(09/30)  
inti-sol  さん
Bill McCrearyさん

>これって私にはほとんど「世も末」のたぐいだと思いますけど。前の記事でコメントしたように、ほんと安倍って「売国首相」「亡国首相」です。

そのとおりです。より正確に言えば、労働力を安く売り払う類の亡国首相ですね。

>川嶋という男は知りませんが、城なんてこんなことばかり年がら年中ほざいていて

私は、2人ともそんなに詳しくは知りませんが(城繁幸は、以前著書を書店で斜め読みしたことがあった)、おそらく2人とも自分の仕事には絶対的な自信を持っていて、実際優秀なのだろうと思います。でも、世の中一般の大多数の人は、そこまで優秀ではない。そういう大多数の人の気持ちは、あまり良く分からないのかな、と思いますか。
もっとも、自分で優秀だと思っている人が、本当に優秀とは限らないですけどね。
コメント欄、早速投稿しました。 (2013.10.01 21:02:38)

Re:ブラック企業特区(09/30)  
Bill McCreary さん
けっきょく解雇特区はひっこんだようですね。それはよかったと思いますが,またほとぼりがさめたら出てくるんですかね。

ブラック企業だ雇用不安だなんて言っている時代にこんなものをだすのは、人間性すらどうかというレベルだと思います。 (2013.10.17 21:31:01)

Re[1]:ブラック企業特区(09/30)  
inti-sol  さん
Bill McCrearyさん

>けっきょく解雇特区はひっこんだようですね。それはよかったと思いますが,またほとぼりがさめたら出てくるんですかね。

ええ、とりあえずのところは良かったというところですが、安倍政権、あるいは安倍亜流政権が続く限り、また再び出てくるのは確実です。以前にも、サービス残業合法化のホワイトカラーエグゼンプションなる制度が提案されて、猛批判を浴びて撤回されたことがありました。 (2013.10.17 21:38:07)

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