inti-solのブログ

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2018.09.08
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カテゴリ: 災害
前回の記事でも触れましたが、泊原発が停止中の北海道で、地震によって大規模停電が生じたことから、「泊原発が停止していなければ停電にならなかった」「泊原発を再稼動しろ」と叫ぶ人たちがいるようです。

冬までに泊原発を再稼動して命を守れ

例によって原発推進屋の池田信夫などが代表例です。

最初にお断りしておくと、「今回のこの地震」に限定して言えば、 確かに泊原発が稼動していれば停電は起こらなかったかもしれません。 (修正:「今回のこの地震」に限定しても、泊原発が稼動していても停電が起こった可能性は高いようです、記事末尾に追記しました)泊原発付近では震度2程度だったということなので、おそらく設備の破損も緊急停止も起こらなかったでしょうから。

しかし、それはたまたまに過ぎません。残念ながら、地震はいつどこで起こるか、現在の観測水準では事前に予測することができません。今回、結果として苫東厚真発電所の至近距離が震源だったので、苫東厚真発電所が停止したことから、大規模停電に発展しましたが、泊原発が稼働中に、その至近距離で大地震が発生することも、当然ありえます。というより、泊原発の真下には活断層があるので、そうなる可能性は低くはありません。大きな地震が一つ起これば、連動して周囲に地震が頻発する傾向がありますから、泊原発も大地震に襲われる確率は以前と比べて大幅に上昇していると思われます。

地震発生時の北海道電力管内の電力需要は300万kwあまりだったようです。それに対して苫東厚真発電所の出力は165万kwで、つまり北海道の全電力需要の半分以上を苫東厚真発電所に依存していた最中に地震による配管の破損で急停止したことから、電力の需給バランスが崩れ、安全装置が働いて連鎖反応的に次々と停電が生じたようです。
しかし、泊原発もまた、1号機と2号機が゛各57万9千kw、3号機が91万2千kwという、苫東厚真発電所を上回る出力を持っています。原発は出力調整ができず、また基本的には定期点検中以外は運転を停止しないので、もし泊原発が稼動していたとしても、苫東厚真発電所の代わりに泊原発が北海道内の電力需要の半分以上をまかなっている状態になっただけです。
仮に原発を稼動したところで、「地域的に偏った少数の発電所に依存する」という、今回の停電の根本原因となった部分は、何も変わらないのです。

したがって、その状態で、泊原発の至近距離で大地震が起きたら、やはり電力の需給バランスが崩れ、今回の事例と同様に大規模停電が生じたことは確実です。
しかも、火力発電所なら燃焼を停止させればすぐに止まり、配管の破損も修理すれば済む話です。しかし、原発はそうは行かない。制御棒を挿入して核分裂を「停止」しても、核燃料は相当長期間発熱を続けることは今更説明の必要はないでしょう。そして、配管が破損すれば放射能漏れ事故ですから、火力発電所の配管破損よりはるかに深刻な事態となります。福島第一原発ほど酷い事態にはならないにしても、相当深刻な事態に追い込まれることは確実です。

それを考えれば、原発が稼動すべきではない、原発を稼動することが解決策ではないことは明らかであると私は思います。

ではどうすべきなのか。
本質的には、泊原発にしろ苫東厚真発電所にしろ、北海道の電力需要に比べて、1基辺りの出力が過大に過ぎるところに問題があります。だから、1基止まっただけでも需給バランスが崩れる。より小出力の発電所を多数、地域的にも1箇所にかたまらないようにして稼動するほうが、今回のような不測の災害に対する備えとしては優れているのです。
ところが、経済合理性という意味では、できるだけ大出力の発電所をできるだけ少数稼動させるほうが経費が削減できます。その兼ね合いが難しいところですが、北海道電力は不測の事態への備えよりも経済合理性を完全に優先したから、こういう事態になった、と言わざるを得ないでしょう。

[追記]
こちらの記事 によると、泊原発が稼動していたとしても(なおかつ、泊原発自体が直接地震の被害を受けていなくても)、停電が防げたかどうかは、「わからない」とのことです。「30人31脚」という言葉で地震時の状況がたとえられています。
確かに、泊原発が稼動していた場合(総出力200万kw)でも、残る需要100万kwあまりは、苫東厚真発電所がまかなっていた可能性はきわめて高いと考えられます。その100万kw(当時の発電量のおよそ1/3)が地震によって突然停止したとすれば、やはり電力需給のバランスが大きく崩れ、大規模停電に至った可能性が高いと考えられます。その場合、泊原発も、たとえ直接的な地震の被害がなかったとしても、巻き添えで停止せざるを得なかったでしょうし、その場合、外部電源喪失の危険性はより深刻なものだったはずです。





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最終更新日  2018.09.10 06:39:09
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