inti-solのブログ

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2022.02.17
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テーマ: ニュース(96555)
カテゴリ: 環境問題
福島の小児甲状腺がんと“原発事故の影響”めぐり山口環境相は発言を修正か・・・小泉元首相ら声明の波紋続く
福島県での小児性甲状腺がんの原因をめぐって山口環境大臣は~発言を事実上修正しました。
この問題は1月27日、小泉純一郎氏ら5人の総理大臣経験者が、EUでの原発活用の動きを受けて福島第一原発の事故の影響の大きさを訴える声明をEU側に送付していたことがきっかけです。
声明の中で、福島第一原発の事故によって「多くの子供たちが甲状腺ガンに苦しみ」などと書かれていたことに対し、山口環境大臣が「誤った情報を広めている」として、5人の元総理らに抗議の書簡を送付していました。
福島第一原発の事故をめぐっては、事故による放射能の影響で小児性甲状腺がんを発症したとして、当時6歳から16歳で福島県に住んでいた男女6人が東京電力に対し、損害賠償を求める裁判を先月、起こしています。
弁護団によりますと、小児甲状腺がんは年間の患者数が100万人に2人という極めて稀な病気ですが、福島県が事故当時概ね18歳以下だった約38万人を対象に甲状腺の検査をしたところ、がんやその疑いが266人に見つかり、222人が手術を受けています。
こうした中、福島の小児性甲状腺がんには原発事故が影響している可能性を指摘した元総理5人の見解は、現時点で山口大臣が抗議した通り、「誤った情報」と断定できるものかどうか。山口大臣は「結論的に福島の原発が原因という風には断じられないという状況がずっと続いている」と述べた~。
しかし、きょうの会見で再び見解を問われた山口大臣は「現時点で、検査にて発見された甲状腺がんが被ばくによるものかどうかを結論づけることはできない」としながらも、元総理5人の見解が「誤った情報」と言い切れるのかどうかについては正面から回答を避け、「調査の継続」もトーンダウンしました。(要旨・以下略)

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この問題は、細川護熙、村山富市、小泉純一郎、鳩山由紀夫、菅直人の5人の元首相が、引用記事にある通り、EU欧州委員会に対して脱原発を訴える書簡を送り、その中で福島第一原発事故の後福島で子どもの甲状腺額が大幅に増加している事実を指摘したところ、もっぱら国内の原発推進勢力から猛反発を受けている、というものです。

しかし、福島において、 事故前に比べて子どもの甲状腺ガンが20~50倍に増えている ことは歴然たる事実です。
元首相の側は、その歴然たる事実を指摘しているのに対して、それに反発する側は「風評被害」などの抽象的な言葉を並べるだけで、ではこの甲状腺ガンの増加という統計的事実が、原発事故が原因でないなら何が原因なのか、という当然の疑問に対して自分の言葉で答えようとはしません。ただ、国連放射線影響科学委員会が関係ないと言っている、と他人の褌で相撲を取ろうとするばかりです。

言われているのは、甲状腺ガンは軽微なガンだから、元々あまり検査されておらず、一般に言われる発生率というのはたまたま見つかった件数に基づくもので、発見されない事例が相当数あると言うことです。原発事故以降の検査で、それら事故前なら発見されなかった甲状腺ガンまで発見されるようになったので、見かけ上甲状腺ガンの発生率が上がったように見えるだけで、実際には甲状腺ガンの発生率は変わっていないのではあないか、というものです。

しかし、です。児玉龍彦「内部被曝の真実」(幻冬舎新書)によると、1986年チェルノブイリ原発事故の数年後から子どもの甲状腺ガンが増加し始めた際も、同じように、甲状腺ガンの増加は原発事故が原因ではない、検査でそれまで発見されなかった甲状腺ガンが発見されるようになっただけだ、という主張は根強くあったそうです。しかし、最終的にチェルノブイリにおける子どもの甲状腺ガン増加の原因が原発事故と確定したのは、いったん増加した甲状腺ガンが、更に年月が経過すると減少していったからです。つまり、事故後に生まれた子どもには甲状腺ガンの増加は見られないのです。事故当時の子どもだけに甲状腺ガンの増加が見られるのだから、因果関係は歴然です。
もちろん、事故前は見落とされていた甲状腺ガンが発見された、という例は少なからずあったでしょうが、それのみで甲状腺ガンがそんなに増加したわけではない、ということです。
旧ソ連(ウクライナ、ロシア、ベラルーシ)という、必ずしも医療水準が日本より高いとは言えない国でも、チェルノブイリ事故前、実はそこまで甲状腺ガンが見落とされていた訳ではなかった、ということです。ということは、日本でも同じではないか、という推測は、それほど無根拠なものとは思えません。

しかし、歴史は繰り返す、チェルノブイリで25年かかって確認された事実を福島でもまた25年かかって確認することになるのでしょうか。
確かに、福島の方がチェルノブイリ事故よりは放射能による健康被害の規模は小さいです。漏出した放射能の量がチェルノブイリ事故よりは少ないし、チェルノブイリでは事故がしばらく秘匿され、住民がかなり被曝してからの避難になったのに対して、福島では30km圏内の避難はきわめて迅速に行われたからです。原発が安全だからとか、放射能が危険ではないから、ではありません。
そして、チェルノブイリよりはマシではあっても、避難対象地域より外側まで放射性物質の増加が認められていた以上、甲状腺ガンの増加がすべて、一切原発事故と無関係であるなどと断定することは出来ないはずです。

そうではないというなら、風評被害という曖昧で根拠の不明確な言葉ではなく、もっと具体的な数値と根拠に基づいて、「甲状腺ガンは増加していない」あるいは「甲状腺ガンの増加は原発事故とは無関係」と論じるべきでしょう。

追記:本記事は数年前に読んだ「内部被曝の真実」の記憶を頼りに(読み返しをせずに)書きましたが、改めて読み直してみると、色々と忘れていた内容があったので補足します。
本文に「いったん増加した甲状腺ガンが、更に年月が経過すると減少していったからです。」とだけ書きましたが、実際には調査対象は3つの年齢集団に分かれています。つまり、0歳から14歳まではチェルノブイリ原発事故の9年後1995年に甲状腺がんのピークを迎えて以降減少をはじめ、16年後の2002年(対象年齢が全員事故後の生まれとなっている)に0になっています。15歳から18歳では、事故15年後に発症率がピークを迎えて、そのあと減少に移っています。18歳以上では、調査集計時点(2002年つまり事故から16年後)はまだ発症率が増加中です。
原発事故と甲状腺がんの発生率の因果関係が、年齢層別に区分することでさらに鮮明になっています。(同書P76-より)

もう一つ、一般には甲状腺がんは予後の極めて良いガンであり、それどころか手術しないで放置しても問題がない場合が多い(だから発見されない)とされます。ところが、チェルノブイリ後に増加した甲状腺がんでは肺転移が多くの例でみられた、ということです。(同書P77より)
転移性となると、とうてい「放置して問題ない」とは言えないでしょう。
福島での甲状腺がん増加の場合は果たしてどうか、残念ながら私は情報を持っていません。しかし、チェルノブイリで甲状腺がんの肺転移が多くみられた以上、「手術なんかしなくても大丈夫」「見つける必要のないものを見つけただけ」などとは言えません。





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最終更新日  2022.02.20 07:55:36
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