inti-solのブログ

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2023.09.01
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テーマ: ニュース(96531)
カテゴリ: 災害
関東大震災から100年 朝鮮人虐殺はなぜ“なかったこと”にされるのか
関東大震災直後、デマによって引き起こされた朝鮮人虐殺を、近年否定する動きがみられる。今、歴史がなかったことにされようとしていると日本社会に警鐘を鳴らすのが、ジャーナリストの安田浩一氏だ。
墨田区の東京都立横網町公園、かつては旧日本陸軍の被服廠があった場所だ。震災時、ただの空き地だったが、震災の火の手から逃げてきた人々が殺到した。だが強風で煽られた炎は巨大な竜巻となって、避難民の衣服や持ち込んだ家財道具に飛び火した。ここで約3万8千人もの人々が命を落としたという。
以来、横網町公園には慰霊堂がつくられ、毎年9月1日には都慰霊協会主催の大法要が営まれている。そして1974年からは、同公園内の慰霊堂に近接した一角で、もうひとつの法要がおこなわれている。「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」だ。
震災直後、関東各地で「朝鮮人が井戸に毒を投げ入れた」「暴動を起こした」といったデマが流布された。デマを信じた人々によって多くの朝鮮人が殺された。震災をきっかけに引き起こされた、もうひとつの惨事である。
朝鮮人虐殺について、内閣府の中央防災会議は、2008年の報告書で記している。
朝鮮人が武装蜂起し、あるいは放火するといった流言を背景に、住民の自警団や軍隊、警察の一部による殺傷事件が生じた
武器を持った多数者が非武装の少数者に暴行を加えて殺害、殺傷の対象は、朝鮮人が最も多かったが、中国人、内地人(日本人)も少なからず被害にあった。
犠牲者数は、震災の全死者(約10万5千人)の「1~数%」、つまり1千~数千人の規模にあたると推定している(震災直後に調査した朝鮮人団体は、犠牲者数を約6千人としている)。
こうした歴史的な経緯もあり、73年に横網町公園内に朝鮮人犠牲者の追悼碑が建立され、翌年から各種市民団体の共催で追悼式典がおこなわれている。
第1回式典には、当時の美濃部都知事が「51年前のむごい行為は、いまなお私たちの良心を鋭く刺します」と追悼のメッセージを寄せた。以来、歴代都知事は、この追悼式典に追悼文を送り続けた。
ところが、異変が起きた。
2017年、小池百合子都知事が、追悼文の送付を取りやめたのである。小池知事は「関東大震災で亡くなったすべての方々に追悼の意を表したい」と述べた。同じ日におこなわれる「大法要」にメッセージを寄せることで、「すべての方々」を追悼するという理屈だ。
震災の被害者を追悼するのは当然だ。一方、虐殺の被害者は「震災の被害者」ではない。震災を生き延びたにもかかわらず、人の手によって殺められた人々だ。まるで事情が違う。天災死と虐殺死を同じように扱うことで「慰霊」を合理化できるわけがない。だからこそ、「三国人発言」のような差別認識を披露した石原慎太郎氏も含め、歴代都知事はメッセージを送り続けてきた。
小池知事の言葉は、天災のなかに人災を閉じ込めるものだ。
虐殺という事実にふたをするに等しい行為だ。
小池知事の追悼文送付「取りやめ」は、思わぬ余波をももたらした。17年から新たな「追悼式」がおこなわれるようになったのだ。
朝鮮人犠牲者追悼式典とほぼ同時刻、公園内のわずか20m離れた場所でおこなわれるのは、「真実の関東大震災石原町犠牲者慰霊祭」、朝鮮人虐殺の「否定論」の立場をとる者たちがおこなった集会だ。
主催団体のひとつに名を連ねるのが「そよ風」なる女性グループである。同団体は、在日コリアンの排斥運動、ヘイト活動を繰り返してきた在特会などとも共闘してきた(要旨・以下略)

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横綱町公園には行ったことがありますが、意外に狭い場所です。調べたところ、面積は2万平米に満たない程度です。東京ドームの建築面積が4万6千平米以上ですから、その約4割に過ぎません。そこに4万人の避難民が、持てる限りの家財道具(大正年間のことですから、ほとんど木製です)を抱えて逃げ込んだので、すし詰め状態になっていたようです。そこに火災が飛び火したので、そのほとんどが亡くなりました。生存者は1000人程度しかいなかったようです。関東大震災の前犠牲者のうち、1/3以上が、このたった2ヘクタールに満たない空き地で命を落としたのです。
また、この横綱町公園には、1945年3月10日の東京大空襲の犠牲者を追悼する碑もあります。

さて、本題ですが、小池知事の「関東大震災で亡くなったすべての方々に追悼の意を表したい」なる言い分は、引用記事も指摘しているように、論外の詭弁としか言いようがありません。朝鮮人虐殺(引用記事も指摘するように、殺されたのは朝鮮人に限らず、朝鮮人と誤認された中国人、日本人もかなり殺されています)は、広い意味では災害の犠牲者にも含まれますが、それ以上に犯罪行為の犠牲者であり、他の震災被害者と同列に扱えるものではありません。
何よりも、それまで追悼していたものをやめる、という行為は、いかに「すべての方々に追悼の意を表したい」などと取り繕ったところで、明らかに「虐殺された朝鮮人を追悼などしない」という意味に受け取れます。「朝鮮人虐殺などなかった」などと言っているネトウヨ連中の言い分を助長する行為に他なりません。

災害と流言飛語は、切っても切れない縁があります。今現在も、米ハワイのマウイ島で起こっている大規模な山火事で、「政府が放火した」なるデマがSNSに飛び交っていると 報じられています 。そして、「火事場泥棒」などという言葉があるように、災害と犯罪の発生も切っても切れない縁があります。それが最悪の形で結びつき、古今東西の災害史上でも類を見ないと言われる規模の惨事になったのが、関東大震災の朝鮮人虐殺事件です。
そして残念ながら、今後発生が予想される各種災害において、同様の事態が絶対に起こらないという保証はないのが現実です。
地震や水害などの災害の発生そのものを止めることは、人間の力ではできません。しかし、起こった災害の被害規模を最小限にとどめることは、人間の努力次第です。ましてや、人が人を殺す事態は、あらゆる努力を払って抑止すべきことです。自治体のトップという立場は、そのことに対して重大な責任を負っているはずです。にもかかわらず、慰霊のメッセージを取りやめるのは、あまりに誤ったメッセージを発しているというしかありません。

引用記事のタイトルにもなっている、関東大震災時の朝鮮人虐殺を否定するネトウヨの主張は、まったく話にもならないものです。
何しろ、当の当時政府自身の調査で、虐殺があったことははっきり分かっているのです。
ただし、犠牲者数の詳細ははっきりとは分かりません。
旧司法省の報告書によれば、犯人が逮捕、起訴された犠牲者のうち民間人によるものが294人、警察によるもの2人、軍関係1名(朝鮮人234人、日本人60人、中国人3人)、また軍の戒厳業務詳報によると、軍による殺害66人、警察、民間人との共同による殺害約215人(朝鮮人254人、日本人27人)、合計578人が記録されています。
ただし、司法省の報告書は、犯人が逮捕され起訴された事例のみの合計であること、軍や警察による殺害は少なからず隠蔽された例が多いことから、この人数は氷山の一角であることは明白です。
引用記事にあるように、2008年の中央防災会議報告書では、犠牲者数は1000人から数千人と推定している一方、震災直後に朝鮮人の団体が調査した結果によれば、犠牲者は約6千人です。6千人が絶対正確な数字である、とは断定できないものの、中央防災会議の推計と比較しても、「あり得ない数字ではない」ことは間違いありません。

更に、虐殺の事実は否定しようがなくなると、この連中は今度は「朝鮮人が暴動を起こしたから正当防衛のためだ」などと言い出しています。それこそまさに、当時朝鮮人虐殺を引き起こしたデマそのものです。
事実として、朝鮮人が暴動を起こした(あるいはその他の犯罪を犯した)、という事実はまったく知られていません。なるほど、当時の新聞にはそのような記事が踊っていたのですが、震災直後の新聞は、各紙聞いた話を何の裏取りもせずにそのまま記事にしてしまい、大量のデマをまき散らしてしまった張本人なのです。

当時の新聞記事にいかにデマが多かったかは、例えば こちらのブログなどに詳しい ですが

・槍ヶ岳が噴火(『小樽新聞』9月2日号外)
・秩父連山が噴火(『大阪毎日新聞』9月2日付号外第2)
・横須賀が沈没(『小樽新聞』9月2日付号外第2)
・伊豆大島が沈没(『小樽新聞』9月3日付号外第2)(『名古屋新聞』9月4日付号外第2)(『名古屋毎日新聞』9月4日付号外)
・松方正義が死亡(『京都日出新聞』9月3日付附録)(『小樽新聞』9月4日付号外第1)(『名古屋新聞』9月4日付号外第2)
・高橋是清が死亡(『九州日報』9月3日付号外第4)(『小樽新聞』9月4日付号外第1)

等、大量のデマが新聞を通じてばらまかれたのです。言うまでもありませんが、槍ヶ岳も秩父連山の関東大震災で噴火などしていないし(というか、そもそも火山ではない)、伊豆大島が沈没などしていないことも説明の必要はないでしょう。松方の死去は震災翌年の1924年7月だし、高橋是清は1936年2月、2.26事件で反乱軍に殺されています。
したがって、そのような新聞記事をソースとした「事実」には何ら真実性がありません。

ただし、これら新聞記事の「不逞鮮人が暴動を起こしている」というデマ記事が直接的に朝鮮人虐殺の原因になったとは、必ずしも言えません。というのは、出典を見ればわかりますが、小樽新聞、大阪毎日、名古屋、名古屋毎日、京都日出、いずれも地震のあった関東からは遠く離れた地域の新聞です。理由は簡単。東京近辺では、地震で新聞社の社屋も倒壊して、ほとんどの新聞の印刷、発行が物理的に不可能になったからです。
したがって、新聞報道が原因で虐殺されたのではなく、虐殺の原因となったデマが、被災していない地方の新聞にも届いた、ということになります。
では、デマの火元はどこだったのか。
当時の、いや今も続く朝鮮人に対する根拠のない差別意識と敵対心から、各地の地域住民から同時多発的にそのようなデマが発生した、という側面は否定できません。
しかし、明らかに組織的にデマをバラまいて虐殺の発生を助長したのは、当時の軍と警察です。地震の翌9月2日に戒厳令が発せられていますが、この際、内務省警保局は、各地方長官宛に
「東京附近の震災を利用して朝鮮人は各地に放火し、「不逞」の目的を遂行しようとしている、現に東京市内において爆弾を所持し、石油を注いで放火するものがある、既に東京府下には一部戒厳令を施行したので、各地においても充分周密な視察を加え、朝鮮人の行動に対しては厳密な取締を加えてもらいたい」
という電文が発せられています。( 内閣府中央防災会議専門調査会資料 より)
これによって、軍、警察、そして在郷軍人会などによる自警団が組織的に朝鮮人虐殺を開始したのです。軍の戒厳業務詳報によっても、少なくとも280人以上(日本人、中国人も含む)が軍と警察、あるいは協力する民間人(自警団)との共同で殺害されたことが確認できます。当然ながら、軍や警察の失態を示すものなので、相当部分が隠蔽されたであろうことは想像に難くありません。その中で隠しきれずに表沙汰になったものだけでその数である、ということは念頭に置かなくてはなりません。
また、震災直後に、軍と敵対的だった無政府主義者の大杉栄と内妻、甥を殺害した甘粕事件や、労働運動家十数名を殺害した亀戸事件など、反政府的傾向のある人物を地震の混乱に乗じて組織的に捕縛、殺害した歴然たる事実が軍と警察にはあります。
したがって、朝鮮人虐殺に軍と警察の大きな責任があることは歴然としています。

ただし、日に次が進むにつれて軍と警察の対応は正反対の方向に変化します。それは、「朝鮮人が暴動を起こしている」「井戸に毒を入れている」の類の話が全てデマであることを軍や警察が自らの調査によって認識したからにほかなりません。
9月3日には、軍内部でこれらがすべて虚報てあることが確認されたということです。 (関東大震災時の「レイピスト神話」と朝鮮人虐殺)

ありもせぬことを言いふらすと処罰されます
朝鮮人の狂暴や、大地震が再来する、囚人が脱監したなぞと言伝えで処罰された処罰された者は多数あります。
時節柄皆様注意してください。
警視庁


というチラシが現在に残っています。結局、軍と警察は自らデマを拡散して、自らそれを終息させようとした、ということになります。

前述のとおり、殺害された人の多くは朝鮮人でしたが、そう誤認された中国人や日本人も少なからずいます。(甘粕事件や亀戸事件のように、誤認ではなく最初から相手が誰かを把握したうえで殺害された日本人もいますが)
方言があって、関東では言葉が通じにくかった地方出身者の行商人が何人も殺害されたのが福田村事件ですが、地元の在住者でも誤認されて殺害された例はあったようです。辛くも生き延びた一人に、後の劇作家千田是也がいます。
実は、私の中学の頃の教員で、千田是也同様、誤認されかかって辛くも逃れた人がいました(当時公立学校の教員には定年がなく、その先生は60代後半に差し掛かっていましたが、まだ現役の教員でした)。やはり「お前朝鮮人だろう!」と言われて、竹やりなどで武装した自警団にわっと囲まれたのだそうです。ところが、その自警団の中に、たまたま知り合いがいた。「あっ〇〇ちゃん」と言われて、命拾いをしたと聞いています。
その当時、10歳にもならない女の子を取り囲んで、あやうく殺しかねない状況(福田村事件でも、幼い子供が実際に殺害されています)、災害時の異常心理と群集心理の恐ろしさです。

それが、今後の災害で二度と起こらないという保証はまったくありません。何しろ平時であってもいまだにそういうデマを垂れ流す人がいるわけですから。
そうである以上、このような惨劇は、決して忘れてはならないことです。





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最終更新日  2023.09.17 08:21:27
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