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まめ夫。第3話。鹿太郎は「ダメ男」の設定ではあるけど、いちおうは一端のファッションカメラマンなのだし、世間的にみれば、けっしてダメ男ではありません。このドラマの登場人物たちは、ラジオ体操で出くわす清水宗治の子孫もふくめて、おそらくは現代日本社会の上流・上層の人たちです。つまり、端的にいえば、「社長はつらいよ」であり「金持ちはつらいよ」であり、「セレブはつらいよ」みたいな物語なのです。一見すると、トホホなエピソードばかりが描かれるけれど、けっして不幸なお話ではなく、どちらかといえば、3人の男と離婚してもなお、女性として豊かな人生を送ることもできるという、かなり優雅な物語と言うほうが正しい。これって、なかなか名状しがたい価値観だし、一般の視聴者に共感されるような内容じゃないし、視聴率が低いのも当然なのだけれど、坂元裕二の卓越した手腕によって、ハイセンスでユーモラスな雰囲気を維持しながら、なんとかギリギリのところで持ちこたえてる感じ。とても果敢で挑戦的な作品ではあるけど、他の作家がこのような路線を真似たら、たぶん大怪我すると思います。◇さて、謎の女優から、身勝手な「スキャンダル隠し」の協力を迫られた鹿太郎です。しかし、彼自身、かつては芸能カメラマンだったのだし、女優と芸能事務所の弱みを握ったら、むしろ優位な立場になるはずですよね。それでも、騙された上に、スキャンダル隠しまでタダで請け負うのかしら?◇ちなみに、まったくの余談ですが、お芝居の脚本に「昨日」と書いてあった場合、それは「さくじつ」ではなく、たいていは「きのう」と読むべきです。同じように、「昨夜」なら「ゆうべ」、「一昨日」なら「おととい」、「一昨年」なら「おととし」と読むべきですよね。そこらへんは演出家の責任でもありますが、無教養な演出家や俳優ほど、口語ではありえないような読み方をしてしまいます。ひとつひとつ自分の言葉として咀嚼すれば、そんな読み方にはならないはずですが、一字一句、字面どおりに読むべきだという発想が、かえって裏目に出る場合もあります。今回、瀧内公美は「昨夜=さくや」と読んでいたけれど、これは坂元裕二の意図だったかもしれないし、そのことで女優の愚かしさを表現したのかもしれません。
2021.04.30
恋ぷに第3話。…とんでもなく美しい。第3話にして、クオリティが落ちるどころか、ますます高まってる。今週までの演出は鈴木勇馬でした。来週以降が見もの。ハイレベルな演出合戦になる可能性もある。今後もこのレベルの神回が続くなら、これはもう、奇跡的な傑作になるかも。坂元裕二の作品さえかすむような手応えを感じます。◇脚本の出来もいい。思った以上に複層的な物語ですね。3兄弟の母の海辺の記憶。倫太郎の罪を許せない光太郎。光太郎には別居中の息子がいて、倫太郎には恋人がいるようです。大学と蓮田トラストのあいだには、なにやら癒着があるみたいです。光太郎と鴨教授の関係にも、榮太郎と椎木の関係にも、ちょっと謎があります。誰が本当の敵なのか、まだ分からない。リゾート用地買収問題。山と海の関係、地権者の借金の話も出てきました。◇予告を見ると、やっぱり主人公は人間ではないのですね。海藻ばかり食べているし、体温も冷たい。>わたし、>流れてくるものに、みんなと一緒に乗っていくのが好きなんです。…ってことは、なんだろう?サンゴの卵とか?タツノオトシゴとか?>え、海の広さ分かってます?↑このセリフも面白い(笑)。そうとう広くて深いんだろうねえ、海って。車の後部座席に座っている倫太郎。仁子が「Lover's Concerto」を聴いていたことを思い出す。
2021.04.29
NHK「歴史探偵」の北斎特集を見ました。これといって新しい情報はなかったけど、久保田一洋の話のあと、長野・小布施の「穀平味噌」に残っている、応為が小山岩治郎に宛てたという手紙が紹介されました。そこに描かれている手の指の形が、いかにも応為らしい特徴的なタッチでした。
2021.04.28
コロナ禍のなかで、人類は病原菌やウィルスの問題に直面しています。◇近代的な衛生革命は、上下水道などのインフラ整備、殺菌・滅菌手法の確立、感染症ワクチンの開発などによって実現しましたが、それでもまだ人類は、完全に衛生的な環境を獲得しきれていません。◇最大の問題は、衛生上の敵が目に見えないということです。生活圏の衛生状況を、リアルタイムで数値化することさえ難しい。したがって、わたしたちは、衛生的なものをむやみに「汚い」と思い込んだり、逆に不衛生な環境を「きれいだ」と勘違いしたりします。目に見えない敵との戦いのなかで、衛生にかんする「観念」と「実態」が乖離し、人々を非合理な行動・非効率な行動へ向かわせるのです。◇さらに、そうした迷信的な衛生観念は、飲料水や食品への不信につながったり、トイレや浴室のような住環境への不信につながったり、公共財や公共空間への不信につながったりもする。また、他者への差別につながったり、病人や死者の隔離につながったり、外界や異界への忌避感を生んだりもします。みずからを、根拠のない潔癖神経症に追い込むこともあります。病原が目に見えないものである限り、迷信的な「穢れ」の感覚を拭い去ることもできない。こうした迷信は、信じるに足る根拠にも乏しいけれど、否定するだけの根拠もまた不十分なのです。◇今後、衛生技術の革新によって、病原菌や病原ウィルスを可視化し、それらを合理的に排除することができれば、社会的な医療コストを抑えられるだけでなく、人々は、盲信や迷信に悩まされることもなくなり、社会の合理化や効率化も一気に進展していくはずです。そして、生活の快適性、他者への信頼性、社会の安全性も大きく増していくはずです。◇かりに、第二次衛生革命があるとすれば、それは、むやみやたらな滅菌・殺菌を繰り返すのでなく、悪玉微生物だけを選択的に排除する技術によって、人々と善玉微生物との共生を、安定的に実現させる形へと向かうはずです。もしかすると、善玉微生物を養殖し、それを生活環境のなかで優勢にすること自体が、悪玉微生物を駆逐することにつながるのかもしれません。
2021.04.27
冷ダン第3話。元刑事の探偵とか、経歴偽証の半グレの話になったので、サイコホラーというよりも、奇天烈サスペンスの可能性が出てきた感じ。でも、やっぱり恐怖のクリームシチュー…!それいらなーい!温め直さなくていいし!由貴ちゃん「じゃ聞かない。二人で黙ってお茶しましょ」(*T▽T*)
2021.04.26
教育現場のデジタル化が進むにつれて、子どもの視力低下が社会問題になっていますが、それは厳密にいうと、デジタル化の問題というよりも、ディスプレイの形状の問題です。当面は、「姿勢をよくする」とか、「ディスプレイとの距離を保つ」とか、「長時間の利用を控える」とか、「適切な休息をとる」とか、「日光を浴びる」とか、恐ろしくアナログな手法で対策を取るしかありませんが、そうした原始的な手法は、いつまでたっても根本的な解決にならないわけですから、やはり、いずれは官民を挙げて、「目に負担のないディスプレイ」を開発し、早期に教育現場へ普及しなければならないはずです。立体視できるゴーグル型のディスプレイもありますが、もっとも手っ取り早いのは、狭い空間でも投影できるような、短焦点プロジェクターの性能を高めることではないでしょうか。たとえ狭い空間であっても、40cm先の小さな発光画面を見るのと、2m先の壁や天井に投影した大画面を見るのとでは、目に対する負担はまったくちがうはずです。そうなれば、「姿勢を正せ」とか「日光を浴びろ」とか、そんな体育会系じみた指導も必要なくなるでしょう。
2021.04.25
プレバト俳句。お題は「ボトルガム」。今回も「異議あり!」ってほどのことじゃないけど、個人的な感想です。◇今週の名人2人はイマイチでした。梅沢富美男。球春や ベンチ入りするボトルガムいわく「擬人化がクサい」。まったく同感wフジモン。ガムを噛む子等とバス待つ 日永かないわく「直しはないがフツーの句」。これも同感ですwつぎ、がんばってね。◇いちばんよかったのは、3時のヒロイン福田でした。朧夜や 四つ目のガム 母まだか三段切れですが、さほど気にはなりません。先生は、直しの必要なしと評価しつつ、「もし特待生を目指すなら」ってことで、次のように添削してみせました。四つ目のガム 朧夜を母まだか(添削後)これで三段切れは解消されています。ただ、わたしは、この添削を見て「ん?」となりました。文法的に「朧夜を母まだか」が分かりにくいからです。2通りの解釈ができる。母が主語だとすれば、「朧夜を母/まだか」という形で、A:朧夜を歩いてくる母はまだだろうか。という意味になります。私が主語だとすれば、「朧夜を/母まだか」という形で、B:朧夜を、私は「母まだか」と待っている。という意味になります。たぶんBのほうで解釈すべきだと思うけど、かりにAのほうだとすれば、「朧夜」が直接見えているわけではないので、そのぶん季語の力が弱まるかもしれません。ちなみに、4個目のガム 母を待つ朧の夜のように直せば、文法的な迷いは生じないはずです。◇相田翔子。晩春や 座して止まらぬ筆とガム春夜ガム噛む ひたすらに 筆走らせ(添削後)この添削にも、同じように「ん?」となりました。やはり文法的に2通りの解釈ができて、春夜ガム噛むひたすらに / 筆走らせ春夜ガム噛む / ひたすらに筆走らせどちらで切るかによって、「ひたすらに噛む」にもなりえるし、「ひたすらに走らせる」にもなりえます。リズムの問題はともかく、春夜ガム噛む / 筆ひたすらに走らせとすれば、そのような誤解はありえません。◇キスマイ二階堂。春日傘 原宿からや NHK原宿からNHKへ 春日傘(添削後)ちょっと「や」の使い方が変でしたけど、二階堂にしては良い場面を切り取ったと思います。添削についていうと、わたしは「へ」より「を」のほうがいいと思う。原宿からNHKを 春日傘もしくは、原宿をNHKへ 春日傘ですね。◇中村ゆりか。去年の「ギルティ」のときの悪女っぷりが、強烈に脳裏に焼きついてるので、彼女が後列に座ってるだけで、ただならぬ色気が、もう気になって仕方ない。…てな話は置いといて(笑)。春惜しむ ガム食べ過ぎて味忘れガムの味薄るるごとく 春惜しむ(添削後)本人が言うには、「噛みすぎてガムの味が分からなくなる」ってことらしく、ちょっと理解しにくい内容なのだけど、わたしは、むしろ、「食後のガムで料理の味が爽やかに消えていく」みたいな意味にも読めると思ったので、ためしに、酒の味 ガムで忘れて春惜しむと直してみました。◇それはそうと、やっぱり怖すぎる中村ゆりか!
2021.04.24
すっかりハードボイルド路線が板についた玉木宏。汚れ役なのに美しいし、色気があってカッコいい。今回はテレ朝ってことで、若干、内容的にゆるいところもありますが、いつものテレ朝のなんちゃって刑事ドラマにくらべれば、むしろ緊張感があるほうかもしれません。◇脚本の武藤将吾は、どうやら「白い巨塔」をモデルにして、警察署内の出世闘争を描いていくつもりみたい。今回の登場人物たちを、かりに「白い巨塔」に置き換えると、玉木宏 :財前広末涼子:里見椎名桔平:東教授仲里依紗:東佐枝子少路勇介:菊川高岡早紀:花森ケイ子…ってことになります。◇ただし、このドラマを、たんなる「白い巨塔」の警察版だと考えるのは、それはそれでオッチョコチョイな早合点というもの。そういう人ほど、すぐに「パクリだ!」と騒ぎ立てます…なぜなら、この主人公の生い立ちは、あきらかに去年のフジの「竜の道」を意識してますから、これは、むしろ父の無念を晴らすための復讐の物語なのです。◇タイトルに「塔」の字があるからといって、中身まで「白い巨塔」と同じだと思うのは短絡的。これは釣りにすぎません。ちょうど、TBSの「ボス恋」が、映画「プラダを着た悪魔」の設定を借りながらも、しだいに差異化を図っていったように、このドラマも、名作「白い巨塔」の設定を入り口にしながら、まもなく独自路線へ入っていくに違いありません。◇もっとも重要なことは、「白い巨塔」の里見にあたる人物が、今回は、男性じゃなくて女性だということ。そして、もうひとつ重要なことは、警察組織のなかに、父を死なせた巨悪が存在するってことです。いまのところ、玉木宏と広末涼子は対立してるように見えますが、まもなく巨悪の存在を知って共闘していくはずなのです。そこが、財前と里見の関係とは大きく異なるところです。ちにみに、今回の椎名桔平のキャラクターは、日テレの「銭ゲバ」を想起させるところもある。◇◇…とはいえ、今回の主人公も、財前と同じダークヒーローには違いないので、やっぱりハッピーエンドは期待できませんよね。おそらくは「竜の道」のときと同じように、またしても壮絶な悲劇に終わるんじゃないかと予想します。それと同時に、幼馴染みでもあり、ライバルでもあり、やがて同志になっていくであろう玉木宏と広末涼子が、どんな男女の物語を繰り広げるかも見どころです。◇第1話では、玉木宏が背負い投げを喰らわして、広末涼子が受け身を取るシーンがありましたが、第2話では、広末涼子が、玉木宏に銃口を向けました。二人とも色気があってカッコよくてドキドキする。今後も、そんな男女バトルに期待します。でも、きっと最期は、広末の腕に抱かれながら死んでいくんじゃないかな…。
2021.04.23
日テレ「恋ぷに」第2話。めちゃめちゃ面白い。徳尾浩司の脚本が驚くほど上手い。演出もふくめて、ひさびさに満足のいく日テレらしいドラマ。菅野祐悟のロマンチック路線もステキ。◇第2話にして、まだほとんどが謎のままです。主人公が何者なのか分からないし、だれがリゾート開発の推進者かもよく分からない。長男の光太郎が海音を会社に招いたのは、弟への妨害作戦だったのか、事業への取り込み作戦だったのか。そして、倫太郎の秘密と苦悩とは何のか。ストーカーみたいなYouTuberの存在もいまいち不明。さまざまな謎が物語を牽引しています。◇登場人物のキャラ立ちも見事。石原さとみはいままでになく可愛いし、今田美桜と渡邊圭祐の組み合わせも楽しい。高橋努のお約束も笑えたし、デイヴィッド小手も最高でしたw◇主人公は、高い所は苦手だけど、深い所は平気とのこと。Deepってそういう意味ですね。たぶん海音も、倫太郎も、Deepな場所に秘密があるんだろうなと思う。それにしても、あのウツボ、まじで喋ってるよね…あくまでジーンとの関連を考察します…
2021.04.22
NHKの「不可避研究中」を見ました。テーマは教育です。◇日本の社会は、もともと同調圧力が強いといわれるけれど、じつは学校の教育そのものが、子どもに同調性を強いるシステムになってる。全員参加の学校行事。全員が同じ内容を同じペースで学習する仕組み。生徒自身には何の選択権もない。◇大人がレール敷いて枠組み決める。その結果、教育内容は、大人の価値観からアップデートされない。子どもが「素直である」とか「言うことを聞く」とか、そういう態度を良しとするのは、非常に悪い教育文化ですよね。それは、子どもの主体性を奪うし、あたかも親や教師の価値観を押しつけることが、教育の正義であるかのような思い込みを助長するからです。そうした教育態度に慣れてしまうと、親や教師たちは、子供を従わせることに満足感を見出し、なおかつ、そのことに依存するのです。◇大人たちは、じつは性教育も含めて、子供たちの成長を内心で怖れている。彼らは、自分たちより優秀な子供の姿を見ると、内心で苦々しく思うのです。だから、大人みずからが子供の足を引っ張り、子どもも子供どうしで足を引っ張り合う。それが「同調教育」の本質です。◇異なる人間どうしが協調しあう社会ではなく、異質なものを排除して、ひたすら同質性を強いる社会を目指すこと。それを教育者たちは、これまで「協調性教育」と呼んで正当化してきました。しかし、このことがいじめの構造を生み、同調圧力は企業社会にまで及んでいます。そして、この国民どうしの卑屈な足の引っ張り合いは、救いがたいまでの国力の低下に帰着しています。いつまでこんな教育を続けるのでしょうか?
2021.04.21
NHKの「ニッポン印象派」という番組。今まで見たことなかったけど、はじめて「東京 春の宵」という回を視聴。中越典子のナレーションがとても素敵でした。こんなに知的な声の持ち主なんですね。◇梅、桜、月、街などを題材に、春の夕暮れから夜を詠んだ俳句を、たくさん紹介していました。春宵一刻しゅんしょういっこく値千金とはいうものの、春の闇は、ある種の狂気をはらんでいる。狂おしいほど美しくて、そこはかとなく寂しくて、心が彷徨って、息苦しくなる。そんな俳句が多かったです。日野草城暮れそめてにわかに暮れぬ梅林内野聖子香りきてあり処知る夜の梅夏目漱石同じ橋三たび渡りぬ 春の宵水田むつみ闇よりも花の霊気に踏み迷ふ高浜虚子目つむれば若き我あり 春の宵仙田洋子夜桜と濡れてゐるなり 恋ひつのり小林一茶春の月さはらば雫垂りぬべし三橋鷹女春の夢みてゐて瞼ぬれにけり鳴戸奈菜春の闇 瑪瑙めのうをひとつ孕みけりみるみる闇に落ちていく春の暮れ。梅の香りや、桜の霊気に憑りつかれて、漆黒のなかを彷徨い、同じ橋を何度も往ったり来たり。ぼんやり濡れているような朧月を見あげ、湧き上がってくる幻想に溺れて涙する。そんな風景が、時空を超えた映像になっていました。
2021.04.20
プレバト俳句。お題は「リュック」。今回も「異議あり!」ってほどのことじゃないけど、個人的な感想です。◇梅沢富美男。飯盒はんごうを逆さにしばし 揚げ雲雀ひばり飯盒を逆さに蒸らし 揚げ雲雀(添削後)飯盒を逆さにする理由が、若い読者には伝わりにくいだろうってことで、添削では「しばし」を「蒸らし」に置き換えています。実際、わたしも(若くないけど)、飯盒を逆さにして蒸らすことを知りませんでした。…とはいえ、「しばし」を「蒸らし」に置き換えてしまうと、だいぶニュアンスが変わりますし、どちらがいいのか判断しがたいところはあります。原句の「しばし」という言葉は、たんにご飯を蒸らす時間だけでなく、ほのかに心情的な要素を含んでいます。物思いに耽っている時間かもしれないし、心が無になっている時間かもしれないし、ささやかな安らぎを得ている時間かもしれない。添削では、そうした心情的な面を切り捨てて、ひたすら映像描写に徹しているともいえます。その意味ではドライな添削です。「しばし」の一語にこそ情感があるともいえるけれど、逆にいえば、「しばし」の一語に詩情を込めようとする安易さを、俳句としては慎むべきなのかもしれません。そこらへんは、かなり高度な判断を要しますね。◇石塚英彦。旅支度 真の雪解待つばかり旅支度整う 雪解待つばかり(添削後)原句では、「真の雪解」という表現のなかに、コロナ禍収束への願いを込めているのですが、結果として、季語が比喩になってしまっています。添削では、そうした比喩的な側面を切り捨てて、たんに春の一場面を描写した句に直しています。これも、やはりドライな添削ですね。◇鷲見玲奈。旅鞄枕に 寝て見る朧月朧月 旅の鞄を枕とし(添削後)寝ない枕があるんなら持ってこい!見ない朧月があるんなら持ってこい!…ってことで、「寝て見る」を省いた添削です。詩情そのものは悪くないように思ったんだけど、先生の評価は「添削しても辛うじて凡人」という厳しさ(笑)。わたしとしては、余った3音分に何かしらの追加情報を足して、もうすこし風景に具体性を加えれば、さらに詩情が増すんじゃないかと思います。ためしに、地名を加えて、旅鞄枕に 能登の朧月とか、あるいは、破調にして、鞄を枕に 朧月の異国としてみました。◇森口瑤子。花疲れ リュックの底の底に鍵このあいだ「リュックの底にチョコの染み」を詠んだばかりなので、またリュックの底ですかあ?! …というのが正直な感想。「底の底に」という表現に滑稽味があって、まあ、前回よりは出来がいいのかもしれませんけど。◇本上まなみ。ちびリュック中身はおむつ 山笑う彼女は文学的なセンスがありそうだし、予想どおり、うまく実体験を拾い上げてましたね。◇◇そういえば、梅沢の俳句で思い出したのですが、ヴォーン・ウィリアムズの「揚げひばり」という曲名を見て、ひばりの唐揚げのことだと勘違いした、って笑い話があります。たしかに「揚げひばり」って変な言葉ですよね。「昇り竜」のように「昇り雲雀」とでも言えば、そんな誤解もないだろうに。どうして「揚がり」という自動詞じゃなくて、よりによって「揚げ」という他動詞なんでしょうか?誤解が生じるのも無理はない。梅沢の俳句を見て、飯盒でごはんを蒸らしながら、雲雀のフライをかじっていると誤解する人だって、けっこういるんじゃないかと思います(笑)。
2021.04.19
I LOVE みんなのどうぶつ園。5歳のチンパンジーのプリンちゃんが、ジェンガのルールを理解して遊んでいることに驚愕。同年代の人間の子供だったら、むしろ「壊して遊ぶ」という発想にしかならないのでは?そのほかにも、お箸を使ってうどんを食べたり、丼を持ち上げてスープを飲んだりしていたし、父親のパン君は、針の穴に糸を通していました。もはや人間と変わらない。◇AIが進化し、チンパンジーの知能が高まるなかで、愚かな人間は増えつづける一方。もはや人間が人間である根拠は、ほとんど砂上の楼閣のように見えてきます。
2021.04.19
グロいよぉぉこわいよぉぉでも、映像はすこぶる美しい。ソーセージどうなったのぉぉ?占い師のクジャク先生はミステリー作家でしたね。
2021.04.18
先週の松山の優勝スピーチについて、メディアの評価が割れています。東京新聞:口下手スピーチは10年前と同じ日刊ゲンダイ:ちょっと残念だった日本語優勝スピーチわたし自身は、わりと好意的にとらえています。◇大坂なおみも、最初の優勝スピーチはしどろもどろだったし、渋野日向子も、ろくなスピーチが出来ないまま、「Thank you」とVサインで終わらせてしまいました。もし、今回、松山英樹が流暢なスピーチをしていたら、かえって大坂や渋野に対して嫌味だった気もします。大坂や渋野は、上手なスピーチができなかったのだけれど、今回の松山の場合は、うまく「できなかった」のではなく、あえて「しなかった」ようにも見えます。外見だけ見栄を張るのを拒んだのではないでしょうか。◇日本人選手のスピーチ下手というのは、選手個人の問題でもなければ、スポーツ文化にかぎった問題でもなく、もっとひろく、日本社会全般の文化的な問題です。それは、つまり、日本人の社交のありかたの問題であり、日本人の自己主張のありかたの問題です。◇ノーベル賞受賞者のようなインテリであれば、外交上の体裁も考慮して、「欧米人と同じような振る舞い方に努めよう」という考えも働くでしょうが、スポーツ選手は、そこまで器用ではありません。もちろん、今後、日本人選手が国際舞台で活躍する機会が増えれば、しだいにスピーチは上手くなっていくかもしれません。しかし、出来もしないのに外面ばかり繕っても仕方ない。それで競技がおろそかになっては本末転倒だし、かならずしも欧米流を真似るだけが国際性というわけでもない。◇>親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりして居る夏目漱石の坊ちゃんは、愛媛県松山市に赴任してきた江戸っ子ですが、嘘をついたり見栄を張ったりするのが嫌いな性格です。松山英樹は、江戸っ子ではありませんが、見栄を張るのを嫌う不器用なキャラクターは、むしろ坊ちゃんに似ているんじゃないでしょうか。
2021.04.18
石原さとみ×綾野剛。日テレ「恋はDeepに」第1話です。なにやら変人どうしの恋愛かしら??ドラマ全体の情緒も何となくおかしいし、けっこう変なドラマです。面白いか、面白くないかでいうと…なんとなく面白いww現在の日テレとしては、けっこう攻めている路線のように見受けられる。映像のセンスも良い。ひさしぶりに可愛い石原さとみを見た気もします。お魚とお話しできる主人公は、ちょっとモコミ的な設定?◇海の環境問題が絡んでいて、思わず「不機嫌なジーン」のことを思い出したけど、いわゆるSDGsを齧っただけなのかもしれない。…と思いつつ、参加してるスタッフを確認してみたら、なんと番組のプロデューサーが、かつてフジテレビにいた山口雅俊だった!!!つまりは「不機嫌なジーン」の張本人です。ちなみに「不機嫌なジーン」は、ロンドンに始まってロンドンに終わるのですが、今回の物語は、倫太郎がロンドンから帰国するところに始まる。…ってことで、この作品に込められた「思想」の部分も、にわかに気になってきました。そもそも「Deep」とはどういう意味?
2021.04.15
しばしば話題になりますが、シンプルに「~いたします」と言えばいいものを、わざわざ「~させていただきます」と言いたがる人たち。おそらく、まどろっこしい言い回しをすればするほど、いかにも敬語を使ったような気分になれるのでしょう。◇この「させていただきます」という用法の起源は、「仁義切らせてもらいます」「ケジメつけさせてもらいます」などのヤクザ言葉です。無理やり相手から許可を取りつける言いがかりであり、もともと圧があって強制感もあります。このような言い回しを、「歌わせていただきます」などの形でメディアに広めたのは、バブル期にヤクザと癒着した演歌歌手でした。◇インテリの場合は、こうした過剰な敬語に対して、「慇懃無礼」という判断もはたらくのですが、ヤンキー層にはそのような概念がないので、いわば"無限慇懃地獄"へと陥るのです。「相手より低く頭下げたほうが勝ち」みたいな土下座文化と同じで、「相手よりもまどろっこしい言い方をしたほうが勝ち」という馬鹿げた美学へと陥ります。もともとヤンキーや右翼の文化においては、「あらせられる」「なさっておられる」「させていただく」のようなゴテゴテとした印象の敬語が好まれ、「いらっしゃる」のような柔らかい敬語は好まれません。これは、たとえば「よろしく」を「夜露死苦」と書いて、ある種の凄みを持たせたいという発想と同じで、実際の意味よりも「なんか凄そう」という語感こそが、優先されてしまう結果として出てくるものです。◇◇余談ですが、わたしは、「お亡くなりになりました」とか、「お聴きいただきます」とかいう言い方も大嫌い。おナくナりにナりました…おキキいただキます…この言い方、じつはNHKでもよく聞きます。前者は「ナ」が3回、後者は「キ」が3回も入ります。なんでわざわざそんな言い方をするんでしょう?!やはり、面倒な言い回しをすればするほど、さも「敬語を使った」という気分になれるからだと思います。前者は「亡くなりました」で十分だし、百歩譲って「亡くなられました」が限界。後者は「聴いてください」「○○です。どうぞ」と言えばいいのだし、たとえば「お送りします」や「おかけします」でも十分すぎるくらいです。◇そもそも現代の日本は、目上も目下もない平等社会という建前なのだから、「尊敬」だの「謙譲」だのという差別的な語法は廃止して、すべて丁寧語だけに統一すればいいのですよね。どうせ、国民の大半は、その違いすら正しく理解できていないのだし。
2021.04.14
大豆田とわ子と三人の元夫。坂元裕二の連ドラ復帰作です。◇大豆田とわ子さんって、一体どんな人なんだろう?…という覗き見的な関心だけで見てしまった第1話。一見、トホホなイケてないアラフォー女かと思いきや、じつは連れ合いを3回も取っかえひっかえしてる、超エリートなセレブ美女のお話でした。さすがに目のつけどころが斬新だけど、「ワタシこの主人公に共感できるゥ~」とか言い出す高慢女が巷に湧いてきそうで怖いです(笑)。まあ、セレブにはセレブなりに人並みの悩みがあるってことを、いかに嫌味にならない形でコミカルに描けるかが、名脚本家としての腕の見せどころでしょう。いずれにせよ、坂元作品のなかでは、比較的、軽めのコメディになりそうです。
2021.04.14
私の夫は冷凍庫に眠っている。原作は読んでませんが、第1話を見直してみると、いろいろな謎があります。◇観てない人にはネタバレだけど、気になったことを書き出してみます。・主人公は冷たいものが好き。冷たい水で手を洗う場面からはじまる。アイスフリーザーの冷気を顔に当てて恍惚となる。殺人のあとで冷たい夜風に当たりながら、「Dancing In Solitude」という曲で恍惚と踊る。「寂しさは人を綺麗にする」というクジャク先生。男性との接触を嫌う。極度の潔癖症?・主人公の過去昔から唸るような声が聞こえて目を覚ます。ずっと悪い子だった。母親とは別居。セーラー服を着た学生時代に祖父の家に転居。祖父が駄菓子屋から譲り受けたアイスフリーザー。亮が来るまではあの家に一人暮らし?・謎の婚約者亮が家に転がり込んだのは半年前。亮は夜間清掃の派遣登録員。生まれて初めて安らぎを感じた異性。主人公は性交渉を嫌うのに婚約。結婚前に、古い家具をネットで売っている。・殺害と復活死んだ亮と生き返った亮が同時に存在。何度殺しても生き返る?生き返った亮にも首を絞めた傷。ここ一週間無断欠勤、職場からは音信不通になる。生き返った亮は悪魔(デーモン)ではなく天使(ミカエル)?・サイコな環境。母親はメンタルクリニックの先生。向かいの家に住むクジャク先生は占い師。母親は亮のことを内偵。クジャク先生は原稿を書いている。クジャク先生はプッチーニの「私のお父さん」が好き。・カニバリズム殺した亮を生き返った亮に食べさせる?クジャク先生の家にカニバリズムの本。…それにしても、放送前に有料で全話配信するのはやめたほうがいいと思う。
2021.04.13
日テレ「おしゃれイズム」に広瀬すずが出てました!話によると、映画『海街diary』の4姉妹(綾瀬・長澤・夏帆・すず)は、今でもときどき会ってるらしい。招集するのは長澤まさみだそうです。(是枝はいっさい呼ばれてない模様)◇是枝裕和の『海街diary』は、作品としての出来不出来はよく分かりませんが、事務所も異なる女優たちが一堂に会したという意味で、映画史的(芸能史的?)に重要な作品です。とくに、東宝の長澤まさみとホリプロの綾瀬はるか、「セカチュー」映画版とドラマ版のアキがW主演するのは、他の作品ではちょっと考えられないことでした。独立系の映画作家だからこそ実現できたのかもしれません。じつは是枝には別の下心があって、彼はもともと斉藤由貴の大ファンだったので、長澤まさみを介して由貴ちゃんに会いたかったようです。事実、撮影直後の長澤まさみと由貴ちゃんが、三谷幸喜の舞台「紫式部ダイアリー」で共演したとき、彼は「長澤まさみに会う」という名目で楽屋に入って、ちゃっかり由貴ちゃんとの初対面を果たしたのでした。(わたしはこれを「ダイアリー作戦」と呼んでいます)その後、是枝は、松本隆の「風街であひませう」というCDの仕事を経て、ついに映画『三度目の殺人』で由貴ちゃんを起用。由貴ちゃんがスキャンダルに見舞われたときは、ガダルカナルタカに頭をスッパたかれながらも、由貴ちゃんの代理で東スポ映画賞を受け取ったりしていました。そうした功徳を積んだおかげで、彼は2018年にパルムドールを獲得。すっかり世界的な映画監督になったのでした。ちなみに『海街diary』は、その後のさまざまな作品にも波及していきました。長澤まさみが、沢口靖子の後を継いで、キンチョー「虫コナーズ」のCMに出たときは、是枝が演出することになりましたし、広瀬すずが「ファイブミニ」のCMに出たときも、是枝が演出を担当しました。さらに、「AU森家」のCMでは、由貴ちゃんと夏帆が共演。「ちはやふる」では、すずと萌音が共演、「ぎぼむす」では、綾瀬はるかと萌歌が共演するなど、海街女優と東宝女優との組み合わせから、さまざまな作品が生まれることになったのでした。◇ちなみに、わたしは『海街diary』を観ましたが、途中で眠くなってしまったので、いまだに後半部分を観てません…。▼もっと詳しい話はこちらをご覧ください。http://manzara77.blog.fc2.com/blog-entry-361.html
2021.04.12
何、このドラマ。すごい。気持ち悪いけど…めちゃくちゃ面白い。今まで見たことのないタイプのドラマです。最近のテレ東がだいぶ攻めてるのは感じてたけど、それにしても予想を超えてきた内容。サスペンスなのか、ホラーなのか…強いていえば「ツインピークス」みたいな感じ?理解不能な怖さ。原作も、脚本も、演出も、知らないスタッフの名前ばかり並んでいて、映像はわりとNHKのテイストに近いけど、演出のスタイルは、いままでのどのドラマとも違う。なにを見せられてるのか全然わからない。本仮屋ユイカの顔も、浅田美代子の顔も、まるで別人みたい。いい意味で素人みたいなリアルさが出てます。ほんとに何だろう?このドラマ…初回を見た限りでは、今季ベストの予感大です…。 ひさしぶりにツインピークスの音楽が聴きたくなった
2021.04.12
萌音と美波を追うのも、だいぶ忙しかったけれど、ここ数日は、萌歌を追うのに忙しい。テレビの出演が続いて、ラジオの放送も始まって、そうかと思うと新曲も出ました。にわかに活動しはじめたのは、大学生活を終えたから?とも思ったけど、ラジオの話では、まだ大学には通ってるみたい。新曲が出てきたってことは、次のアルバムの制作もはじまってるのかしら。なんでも「夢で逢えたら」を歌いたいんだとか。へえええ。ちょっと意外。誰のバージョンで聴いたんだろう?シリアポール?◇J-WAVEのラジオも楽しい。富田望生ちゃんは、文章も上手だけど、お喋りも上手だねえ。来週は、井之脇海との午後ティートークも楽しみ!彼はまっすぐな感じの好青年。付き合っちゃえばいいのに(笑)。◇…てなことを思ってたら、姉の萌音のカバーアルバムの告知も出てました。朝ドラも、帝劇もあるのに、ライブツアーまでやるんですか!!そんな萌音・萌歌のこともふくめ、音楽惑星さんのサイトにお邪魔して、いろいろ喋ってきました。↓http://manzara77.blog.fc2.com/blog-entry-361.htmlお皿洗いながらチェット・ベイカー、素敵ねえ
2021.04.11
プレバト俳句。お題は「あくび」。今回も「異議あり!」ってほどのことじゃないけど、個人的な感想です。◇勝村政信。公魚わかさぎの欠伸あくび 気づかぬ太公望太公望たいくつ 公魚の欠伸(添削後)なんだか玄人っぽい句だなあと思ったけど、かなり教養を要するファンタジーってこともあり、読んだだけでは意味が分かりませんでした。添削では「気づかぬ」が消されていますね。原句のほうは、「釣り人が気づかないから公魚も欠伸してる」という因果関係になってるのですが、添削では、そういう説明的な因果関係を消し去り、「退屈してる太公望」と「欠伸してる若狭」を並べて、たんなる映像の描写にしています。そのほうがファンタジーとしても分かりやすいですね。◇梅沢富美男。やわやわと陽のあくび巻く春キャベツおひさまのあくびを巻いて春キャベツ(添削後)やわやわしてない春キャベツがあったら持ってこい!…ってことで、上五は不要とみなされた添削です。この判断はちょっと難しいなあと思うけど、もともと、この句は、「キャベツが陽のあくびを巻く」という、かなり独創的な擬人化ファンタジーのうえに、どこに切れがあるのかも分かりにくくて、やわやわと陽のあくび / 巻く春キャベツと読んでしまったら、ちょっと意味が取れなくなる。その点、添削のほうでは、助詞の「を」が入ってるぶんだけ、だいぶ分かりやすいです。◇早見あかり。ええ?!早見あかりって、もうお母さんなの?!ラーメン好きな女子高生だと思ってたのに!!…てな話は置いといて(笑)。春暁の実家 オムツは三枚目春暁のあくび 三回目のオムツ(添削後)原句を読んだ瞬間、年老いた親のオムツの話かと思ってしまいました。やっぱり添削後のほうが分かりやすいですね。夜中もずっと赤ちゃんの世話をしていて、なかなか眠れない若い母親の姿が見えてきます。◇キスマイ宮田。花の宴 欠伸で潤む19時半花疲 あくびに潤む十九時半(添削後)これも添削のほうが分かりやすい。季語を変えるだけで、花見の終盤の情景なのだと分かります。原句だと、7時過ぎに仕事を終えてから、疲れ切った状態で花見に来たようにも見える。◇マヂカルラブリー村上。眠たさと手のひらに土 春の昼土手に手をついて 眠たき春の昼(添削後)これも添削のほうが分かりやすい。原句だと、農作業を終えて家に帰ってきたみたいに見える。
2021.04.10
土岐麻子の『HOME TOWN』というカバー集。ずっと聴いてます。HOME TOWN 〜Cover Songs〜01. ソラニン 編曲:川口大輔02. Jubilee 編曲:関口シンゴ03. アイ 編曲:佐伯youthK04. 夏夜のマジック 編曲:Shin Sakiura05. 楓 編曲:mabanua06. Rendez-vous in '58 (sings with バカリズム) 編曲:川口大輔07. 白い恋人達 編曲:川口大輔08. I Miss You 日本語訳詞:土岐麻子 編曲:関口シンゴ09. CHINESE SOUP 編曲:トオミヨウ10. VITAMIN E・P・O 編曲:トオミヨウ11. HOME 編曲:トオミヨウ彼女のアルバムにしては珍しく、わたしともすごく波長が合う(笑)。いつもの土岐麻子は、昔のEPOみたいに、80年代風のシティポップを軽快に歌ってる人です。でも、わたしにはそれがちょっと軽快すぎる。あまりにも陰翳がなさすぎて明るすぎるので、日本人的なわたしの情緒には、かえって疲れてしまうのです。その点、今回のアルバムは、ほどよい湿度と陰翳があります。しっとりしたバラードが多いけれど、持ち前の明るくて軽やかな歌声のおかげで、重くなりすぎず、湿っぽくなりすぎず、ほどよく優しく、ちょうどよく沁み入ってくる。わたしの情緒にもしっくりきて優しい。どうやら周囲の意見を取り入れて選曲したらしく、本人としては妥協の産物だったのかもしれません。いわば最大公約数的なポピュラリティ。でも、それがうまくいったんだろうなと思います。アレンジも洗練されていながら、尖りすぎず、まったく邪魔にならないサウンド。とくに秦基博の「アイ」は、なんとなくBill Withersの「Lean On Me」を思わせる感じ。本人の好みかどうかは分からないけど、彼女にこういうバラードは合っている気がします。
2021.04.06
TVで「ハウルの動く城」を見て、物語の構造が「千と千尋の神隠し」に近いと思いました。15年ぐらい前に、https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/4001/という文章を書いたのですが、いっそうクリアに理解できるようになった気がします。文明の繁栄人生の幸福湯婆(無限成長世界) → ハク → 銭婆(持続可能世界)サリマン先生文明との契約戦争と経済と国家(理性への欲望) → ハウル → 荒れ地の魔女悪魔との契約恋と若さと美しさ(ふしだらな欲望)巨大な文明の繁栄を選ぶのか。小さな人生の幸福を選ぶのか。その究極の選択の物語です。そこには、二つの異なる価値体系があり、二つの異なる欲望があります。文明による支配を実現したいという欲望は、一見すると、理性的に思えるけれど、絶え間ない戦争をもたらすような神への冒涜でもある。恋と若さと美しさを謳歌したいという欲望は、ふしだらで堕落した悪魔の欲望ではあるけれど、それこそが人間的なのだということもできます。魔法によって名前を奪われた千尋や、魔法によって若さを奪われたソフィは、二つの世界が対立する渦中へと迷い込みます。湯婆を裏切ったハクや、サリマン先生を裏切ったハウルは、文明の勝利する世界ではなく、人間が人間らしく生きられる世界のほうを選ぶのです。ナウシカも、映画版では文明の過ちを否定しています。◇…しかし、ナウシカの漫画版を見ると、「文明の過ちですらも人間的なのだ」と考えを変えています。さながら堀越二郎が、最後まで飛行機という「文明」への夢を捨てなかったように。シネマレビューにも書いたのですが、https://www.jtnews.jpどちらにせよ、これらは悔恨の映画なのだろうなと思います。◇4/15追記。TVで「ゲド戦記」を見ましたが、これまた同じ図式でした…。チャートも次のように書き換えました。成長する世界反復する世界湯婆(無限成長世界) → ハク → 銭婆(持続可能世界)サリマン先生文明との契約(知性と理性と経験) → ハウル → 荒れ地の魔女悪魔との契約(恋と若さと美しさ)クモ不死(永遠性)への欲望 → アレン → ハイタカ生と死(有限性)の反復↓具体的なことはこちらに書いています。https://www.jtnews.jp
2021.04.05
TVerで再視聴。ハイスペックイケメンが貧乏女子に恋をする逆ツンデレドラマ。まるで「トム&ジェリー」みたいな世界。映像も綺麗だったけど、なにより池永正二の音楽がお洒落でカッコよかった。
2021.04.01
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