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1つ前の日記に書いたゴーモン・アクアブルバールで観て来た『ウォーリー』、実はもうずい分と時間が経ってしまっているのでさらっと感想を書きたいと思います。(日本ではまだ公開されていないので日本版の予告編で分かる事にしか触れない様にしますね。)予備知識がほとんどない状態で良い評判だけを聞きつけて観に行ったので最初はストーリーが掴めなかった。イヴを見てごく自然に男だと思っていたので、ウォーリーが彼女を見つめるシーンで一体なんで『愛の讃歌』が流れるのか分からなかったし・・。でもイヴ、ほんと最初っから最後までかっこいいよ!私も惚れた!(かも)表情と言えばあの一見無機質な目しかないのにそれでもかわいかっこいいなんて凄すぎだし。ウォーリーとは雰囲気も好対照をなしているからお互いを補い合える事でしょう。(なんか占い師みたいなフレーズだ・・・。)ストーリーを知らなかっただけに、筒井康隆の短編を2つくらいくっつけて面白いエピソードで肉付けした様なあらすじが一層面白く感じられた。そして、もちろん実写映画ではないのだけど従来のアニメーションとも違っていて画のあちこちに本物らしい質感が感じられるので、アニメ映画に慣れていなくて宮崎映画が時々受け付けられない私でも難なく鑑賞でき、大満足で家路に着いたのでしたストーリーに大きな矛盾があったと思うんだけどね・・・そんな事気にしない気にしないっ。それでもお釣りが来るのだから。ランキングに参加しています。投票(をクリック)していただけると、嬉しいです。初めてみたPixar作品『レミーのおいしいレストラン』が良かったのも『ウォーリー』を観にいった理由のひとつです。(『レミー』のキャラクター達はどうしても可愛く見えないけど。)今回の映画の冒頭でゴキブリを見て「ネズミが主演の作品の次は、これが脇役か・・・」とちょっと、いや、かな~りヒいてしまった。だってその直前に行ったレストランで見ちゃったばっかりだったんだもん・・。次の作品では一体どんなグロいキャラクターが来るんだろう?
2008.09.29
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友人宅で『ヘアスプレー』をDVD鑑賞。劇場で見逃して以来それっきりになっていたので嬉しい!評判がとても良いと期待しすぎてしまって失望する事もあるのだけど、この映画では心配無用だったみたいです。(注:今回は少しだけネタバレで書きますね。)映画が始まってすぐに主人公トレーシー(ニッキー・ブロンスキー)の底抜けの明るさと自信溢れる歌&ダンスを見て少々脱力しそうになったものの、スクールバスを逃した後にゴミ収集車のてっぺんに乗せてもらいそこでも更に嬉しそうに歌っているのを見て、私はやられました・・この子、可愛い私が一番好きなのは(というか、笑ってしまったのは)、ローカル局のダンス番組で一番人気のリンク(ザック・エフロン)と初めて会って浮かれてしまう部分。ここまで舞い上がれてしまうなんておめでたいなぁと思いながら見始めたものの、トイレからペーパーまみれで出てきたり、男子トイレを堂々と覗く姿に涙を流して笑いました。あ~、おかしかった!!かわいかった!!ただ、私にとってこの映画のピークは上記の2場面だったので、後半に突入すると少々期待はずれな感じもありました。途中で人種差別問題が出てきて「先が読めないなぁ」と思っていたら、最後がかなり現実離れしていたのがいくら映画と言えども残念です。ただそれでも、トレーシーとその両親(お母さんはジョン・トラボルタ、お父さんはクリストファー・ウォーケン)の家族愛に感心したのも事実。娘がコンテストに出たいと言ったら即応援をするお父さんと、それとは対照的に、自分も娘も太っているから人前に出るべきじゃないと考えている引っ込み思案のお母さん。でもそんなお母さんも娘のパワーとだんなさんの愛情に元気づけられてどんどん自信をつけていくところがとても素敵な映画でした。あるがままの自分や家族を愛する事が人生を楽しむのに繋がるという、当たり前の事を楽しく実感させてくれるハッピーな作品。ミュージカルが好きな人、楽しい映画が好きな人、コンプレックスを持っている人に特におススメです。ランキングに参加しています。投票(をクリック)していただけると、嬉しいです。
2008.07.07
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かつては『ワン・プラス・ワン』(1968)でゴダールによってフィルムに収められたストーンズ。(我が家にDVDがあるものの、私は未見。)今度はマーティン・スコセッシが『シャイン・ア・ライト』にて彼らを撮影されました。ちょっと前の事ですが、4月24日に観てきたので感想と日記半々で書いておきます。私がこの作品を観にいったのは主人がストーンズのファンだから。1度鑑賞してきた彼が「もう1回観たいから付き合って」と言うので、それなりにストーンズが好きなつもりの私も一緒に出かけました。「マーチン・スコセッシがストーンズの映画を撮った」という予備知識しかないままに・・・。それはこの映画が封切りされてまだ第二週目の木曜日(つまり封切りから9日目)の最終の回。開始ぎりぎりに大画面が素晴らしいマックス・ランデール・パノラマに着き(日本式に言った場合の)2階「メザニヌ」に上がると、ここはやっぱり人気のある階なのか人で一杯でした。私達はちょっとためらった後、今まで登った事のないもう1つ上の階に上がる事に。着いてびっくり、こちらはガラガラです。思いっきり隅っこの方に年配のカップルが1組座っているだけ。ラッキー!!(1列目は目の前の柵が邪魔で字幕が読みづらいので)2列目の真ん中に座り、スタンバイ完了!少し始まってしまった映画を一生懸命追い始めます。まずは、コンサート前の様子が写されていました。撮影法について1人思いをめぐらしているスコセッシはコンサートが近づいているのにいまだ曲目が分からず怒ったりしていて、それがなんとも笑えます。(ちょっとだけウディ・アレン風味?)それに対して「マーティンには1時間前に教えるつもり」なんて応じているミック・ジャガー・・・いかにもだけど、このくだりが面白かったです。こんな感じにバックステージの見られる映画の最初の部分が楽しくて続きに期待させられたけど、いざコンサートが始まってしまうともうほとんどずーーーっとその場面が続くのでストーンズの曲目をあまり知らない私にはちょっと退屈な感じもしました。予備知識なしに観に来てしまったけど、本っ当にコンサート映像がメインの映画なんですね・・・。個人的には途中のあちらこちらに挿入されていた過去のインタビューが興味深かったのですが、コンサートの流れを壊さない為なのでしょう、私が望むほどは見せてもらえませんでした。スコセッシとの絡みもエピソード的な事も少ないのが私にはちょっと期待はずれだったけどコンサートシーンも主人に言わせるとよく撮れているらしいし(当たり前と当たり前だけど)本当のファンにはたまらない映画なのだろうなと思いました。(ちなみに主人はと言えば、過去のインタビュー映像について「日本でのインタビューなんかはもちろん別だけど、大抵は見た事のあるものばかりだったよ」と言ってました。すごっ!)それにもちろん、60を過ぎても若者なみに歌い踊るミック・ジャガーはかっこよく、見ていて爽快でしたよ。(すみません・・・。ただのミーハーなのでいつも、他の3人よりもとにかくミックに目をさらわれている私です。)ここからは映画の感想ではなく日記なのですが・・・前述の通り、3階フロア(フランス人的には「2階」フロア)をほぼ独り占め状態だった私達。ストーンズの大ファンで曲もたぶん全部知っているのだろう私の主人は最初座ったままノリノリで踊っていたけれど、途中から立ち上がって客席の間を横移動しながら暴れてました・・・。途中から結構飛び跳ね出したのでつい、「(下の階に)落ちないでね」という言葉が出てしまったくらい。私も周りに人が居ないのをいい事に気分がノッた時には映画の中の観客達と一緒に拍手したりしていたけれど、主人が普通の声で歌い始めた時にはさすがに「やめたら?」と言っておきました。あの野太い声が万一誰かに聞こえたら大迷惑ですからね。主人はそれからも動いて動いて汗かいて(!)いいダイエットしてました。(本気で踊る主人の画像をアップできないのが残念ですが、あの人のコミカルさはこの日記の下の方の写真で少し伝わると思いますので、暇な方はご覧ください・・・。)という訳で実は、映画館ではミックと夫を交互に見ていた私。最後には主人につられ、私まで立ち上がってしまった・・・あー、おかしかった!コンサートシーンがとにかくメインなので真正ファンでないと退屈を感じてしまう瞬間があるのも否めないけど(私には、主人が多数所有しているビデオ&DVDで十分かも・・)、行けて良かったと思ってます。ランキングに参加しています。投票(をクリック)していただけると、嬉しいです。こちらでフランスでの予告編が見れます♪(オリジナルに字幕がついているものです。)http://www.allocine.fr/video/player_gen_cmedia=18808578&cfilm=128451.htmlコンサートシーンとそれ以外のシーンの比率がこの予告編と同じくらいだったらもっと楽しめたのに・・・なんて思うのは邪道かな?でもやっぱり(!)スコセッシとの交流とか、彼ならではの観点とか、もっと見たかったです。
2008.05.06
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ポール・トーマス・アンダーソンの『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』を鑑賞。ネタバレ的な事は書かないしストーリーが分かってしまうところはいつも通りマークの中に白で書くけれど、とにかく記したい事がたくさんあり色々書くので、まっさらな状態で観たい方はこの続きを読まない方がいいかもしれません。ただ、1つだけ言わせてください・・・ふだんこのジャンルを観ない人にもお勧めできる「映画の王道」的作品です映画の概要はというと・・難しいのでYahoo!映画から引用しますね。マグノリア』『パンチドランク・ラブ』のポール・トーマス・アンダーソン監督の最高傑作との呼び声も高い、石油採掘によってアメリカン・ドリームをかなえた男の利権争いと血塗られた歴史を描いた社会派ドラマ。原作は1927年に発表された、社会派作家アプトン・シンクレアの「石油!」。『マイ・レフトフット』のオスカー俳優ダニエル・デイ=ルイスが、冷徹な石油王を熱演。人間の計り知れない欲望や恐怖を、改めて思い知らされる。(ごく一部だけ賛同できない部分があったのでカットさせてもらいました。)何が良かったかというとまずはもちろんダニエル・デイ=ルイスの小賢しくて獰猛なダニエル・プレインビューという男の演技・・いや「演技」というよりもそのなりきり具合が前評判通り素晴らしかったです。アカデミー主演男優賞も、納得。このダニエル・プレインビューは元々自分の石油事業の為なら手段を選ばない男だったけれど、信頼できない人間を冷酷に撃ち殺すところにまで堕ちてしまいます。ほんの少しでも疑いがある者は生かしておけない ー この精神に私は『ゴッドファーザー』3部作(コッポラ、1972年・1974年・1990年)を思い出しました。(単に、偶然同じ映画館で観たからかもしれないけど・・・。)展開の激しさという意味ではぱっと見、『ゴッドファーザー』の方が勝ると思います。(何しろ3部作だし殺人シーンも、派手で華やかなシーンもこちらより遥かに多いし。)だけどこのダニエル・プレインビューが本当に孤独で、守るべきものと言えば自分しかないのにそれでも必要以上にひたすら突き進むのを見ていると強烈なエゴを感じ、衝撃を受けました。しかも、観ているこちら側にショックを与えてくる彼の行動の原動力は「富と権力を手に入れたい」という願い。これは程度の差こそあれ、人間誰しもが多かれ少なかれ抱く自然な欲求とも言えます。この映画を観ているとどうしてもコーエン兄弟の『ノーカントリー』と比較してしまうのだけど、無差別殺人を行う(様に私には見えた)シガーの性格よりもダニエル・プレインビューの考えの方が理解が容易くて、その分一層恐ろしく感じました。『ノーカントリー』のシガーはここ数十年前になって発生した新しいタイプの殺人犯だと知ってはいるけれど、平和ボケし過ぎの私には実感が沸かなかったしね・・・。あちらよりも更に50年ぐらい前を舞台にしたこのクラシカルな狂気を描く作品の方が万人に分かりやすいのではないでしょうか、もちろん良し悪しは別として。逆に言えばこの映画は『ノーカントリー』に比べるとテーマに新しさが足りないという事でもあるけれど、その分、私の様に「ジャンル慣れしていない」人にもお勧めできると思います。良い映画というのは主役の質だけでは成立しません。もちろん、脇をまとめる役者達も光っていました。小さな村の牧師(?)を演じたポール・ダノ。あまりの怪演に、まさか『リトル・ミス・サンシャイン』(ジョナサン・デイトン、2006年)のお兄ちゃんと同じ人だとは思いもしませんでした。H.W.役のディロン・フリーシャーも場数を踏んできた子役かと思う演技だったし(実際は違うと後で知ってびっくり)、ケヴィン・J・オコナーの気の弱い男っぷりもハマってる!おかげで長さも全然苦痛に感じないですみました。 ただ1つ前半部分で残念に思えたのは、レディオヘッドのメンバーが作ったというサントラ。私は音感ゼロのうえ音楽に詳しくないのであくまで主観で書くけれど・・・1番最初、ダニエル・プレインビューが1人で石油採掘に励んでいるシーンから聞こえてきた曲には、『砂の女』(勅使河原宏、1964年)に多用されている武満徹作品を思い出させられました。(音楽の雰囲気も似ているし、「地中に居る」という状況が一緒なので・・・単純ですね・・。)つい素人考えで、「今となってはもう新しくない、あくまで『新しかった音楽』だなぁ」なんて思ってしまう・・・。それからもバイオリンとチェロを使った音楽が建築現場のシーンやら、事故のシーンやらで雰囲気を変えつつも流れてくるのだけど・・・俳優も素晴らしいし映像も申し分ないのに音楽がここまで前面に出てくる必要があるのだろうかと疑ってしまいました。でも中盤あたりのブラックユーモアが利いてる場面(たとえばダニエル・プレインビューのやらせ懺悔シーンなど)が出てくる頃には、ようやく音楽が映画にも私の耳にも馴染んできた気がします。話が飛ぶけれどそう、この『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』って恐ろしいシーンなのに笑い出したくなっちゃう様な、でも本当に笑っていいのかよく分からない様な、なんとも現実離れした感覚を時々思い出させてくれる、映画ならではの力を秘めた作品なんです。そう考えて、大変な時も辛い時も空想の世界で歌って踊って現実を忘れる「セルマ」が主人公の『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(ラース・フォン・トリアー、2000年)を思い出しちゃうなんて私はおかしいのでしょうか?とにもかくにも、この『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』は徹底したリアリズムを追及しつつも映画ならではな非現実の感じがあるのが、バッチリ私の好みでした。賛否両論になるかもしれませんが個人的にはあのちょっとすっとんきょうな感じのラストと、そこに流れるバイオリンとチェロの芝居がかった音楽も良かったし。こう考えると逆に、なぜ私が『ノーカントリー』を好まなかったのかが分かってきます。あちらは全く対照的で、音楽を使わなければ笑える瞬間もほとんど設けずどこまでもどこまでもリアルさにこだわっていましたからね。この2作を観て、ようやく自分の嗜好が分かったかもしれません。(遅っ!)はっきりしたラストが好みの私なのにこの終わり方が気に入ったなんて、それだけ作品にヤラれたという事なのでしょう。宗教的な事はよく分からず、「この題名にも含みがあるなぁ」と思ったぐらいだったけど、それでも見応えばっちりの映画でした(1番上の写真は映画とは無関係ですが、いつもある「何かしらの画像」がないとさみしい感じがしたので、ミラボー橋近くで撮ったものをアップしました。)ランキングに参加しています。投票(をクリック)していただけると、嬉しいです。
2008.03.30
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フランスでは1月23日から公開されていた『ノーカントリー』を観てきました。・・・が、観終わった感想は「結局、何が言いたいの???」。(なのでこの日記はかつてないぐらい否定的な意見のオンパレードです、ごめんなさい。まだ観ていない人には役立たない事しか書いていないのですが、何か言うとしたら「(私の様に)こういうジャンルが好きでない方は、観る必要がない作品」という事でしょうか?ネタバレ部分は白で書いてマークで囲みますので、読むにはドラッグで反転させてくださいね。)概要を自分で書くのも面倒なので、Yahoo!映画からコピーさせてもらいます・・・。1980年代のテキサスを舞台に、麻薬密売に絡んだ大金を手にした男が非情な殺し屋に追われるサスペンス。監督は映画『ファーゴ』のコーエン兄弟。大金を手にした男を映画『アメリカン・ギャングスター』のジョシュ・ブローリンが、彼を追う殺し屋を映画『海を飛ぶ夢』のハビエル・バルデムが、殺し屋を捕らえようとする保安官をトミー・リー・ジョーンズが演じる。独特の緊迫感と恐怖を演出し、人間と社会の本質をあぶり出すコーエン兄弟マジックが見どころ。この紹介文に書いてある通り、確かに映画中盤でハビエル・バルデムがジョシュ・ブローリンを殺そうとして近づいていくシーンは最高級の出来でした。全体を見ても大根な役者は居らず撮影のあまいシーンもなく、一見文句のつけようがありません。映画としては悪くないのでしょう・・・でもこれがアカデミー4部門受賞とはどうしても納得がいかないので、思いのたけをかかせていだたきます!!この作品についていけなかった1つ目の理由は、初めの方から(特にブローリンの妻が「悪い予感がするの」と言う部分から)バルデムとブローリンの2人を待っている決着が読めてしまう事です。何しろ私は映画を観つつも「始まってからまだ1時間経っていないはずだから、まだここではこういう展開にはならないだろうな」なんて考えたりしちゃいました・・・。恐ろしい映画なのに先が見えていた分私は大部分を淡々と観てしまい、結局平和ボケの激しいこの頭では、描かれている「アメリカの危機」がえらく遠いものにしか感じられませんでした。先日観た『ファーゴ』も同じく救いのない作品だったものの、あちこちのちょっとしたシーンから登場人物1人1人のふだんの性格が伺える丁寧な描き方をしている上、ありがちな人生が思いがけず急に犯罪に巻き込まれていく恐ろしさがじわじわと沸いて来る脚本で、ふだん観ないジャンルの作品なりに感じるものがありました。でもこの映画の場合保安官はまだいいとしても、金を盗んだ男(ブローリン)と、それから特に殺人鬼(バルデム)のふだんの生活や性格があまり分からないうちにあれよあれよという感じで事件が始まってしまったので、正直「こんな大金を持って逃げたら、後を追われても当然だしね」ぐらいの目であらすじを追いかける事になってしまい(普通だったらブローリンにもっと同情し、応援するのかもしれませんが)観ていてだんだん虚しくすらなってきました。それと同時に残酷なシーンがこんなにもあり、道徳観念も何もない作品が「12歳未満」にしか禁止されていないなんて・・・と思うと身震いしました。(これが、この映画の1番恐ろしいところかもしれません。笑)「12歳未満禁止」と言えば、先日観た『スウィーニー・トッド』も同じくでしたね・・・。こちらも観ている最中になんとなく結末が分かってしまう作品だったけど(これがハッピーエンドになると予想しながら観る人も少ないのでは?)残酷だけど哀れなトッドを観ているとついつい応援してしまい、ラストの方では本っ当にドキドキハラハラさせられたのでした。ところが『ノーカントリー』の場合、思い入れのできる人物が居なかったからこそ(上に書いた通り)観ている間に虚しくなってしまったのだと観終わってから気づきました。えぇ、分かってます、『スウィーニー・トッド』と『ノーカントリー』を比べるのはかなり強引だって。結局は個人的な好みの問題なんだし。だけど例えば、同じくテキサスを舞台にしていて、かつトミー・リー・ジョーンズが主演(兼・監督)している作品『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』(2005年)は『ノーカントリー』同様にグロいシーンや苦しい場面もあるのですが、その一方で美しい景色や人間の優しさなども見せてくれていました。なので私でも存分に満喫できたのですが、『ノーカントリー』と来たら・・・。この映画を褒めている人のレビューを幾つか読んでみたところ、「観終わってしばらくしてから良さが分かり、もう1度観てから更に理解できる作品だと思う」とか「ストーリーに振り回されてはいけない(その為にはやっぱり、もう1度観ないとダメなのかな?私の心の声)」とかいった主旨のものもあったのですが、初見で好きになれなかった私がこの映画を観直す事はないでしょう・・・今の私にとっての「映画」とは、何をおいてもまず「娯楽」であってほしいものなのだから。やはり先が読め、登場人物の誰にも感情移入できず、救いがなければ美しい風景すらない作品は、いくら迫力のあるシーンがあっても見応えなかったです。ふだん意識していない「アカデミー受賞」の言葉につられて観にいったものの「苦手ジャンルの作品は、今後やっぱり控えよう」なんて思わされてしまう映画でした。・・・ま、ここまでケチョンケチョンに思うのも、私が「ハビエル・バルデムの顔が面白いな。(髪の毛いつ切っているんだろう?リンスは何を使っているのだろう?)」なんて思ってしまったからなのかもしれませんが。彼が出てくる度「怖い」と思わずに「面白い顔」なんて思った人はほとんど居ないかもしれませんが、少なくとも私にとってはそうでした。そんな思いっきり個人的事情もあるので、私の評価は正当ではないかもしれませんね。ランキングに参加しています。投票(をクリック)していただけると、嬉しいです。
2008.03.14
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やっと、1月23日から公開されていた『スウィーニー・トッド』を観て来ました。ジョニー・デップの出ている作品と言えば私、2005年の『チャーリーとチョコレート工場』が肌に合わず、その前作を飛ばして観てしまった『パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト』(ゴア・バービンスキー)の展開にはついていけませんでした・・・。でも『スウィーニー・トッド』なら絶対に楽しめるはずと思い、前々から楽しみにしていたのです。始まってから10分くらいの間に、私は初めての意外な体験をしました。ミュージカルが好きなはずのこの私が、歌が始まる度にイライラしてしまうなんて!ジョニー・デップもヘレン・ボナム・カーターも見事に歌っているのに、最初はなぜかダメでした。あまりにも暗く始まるストーリーが私のミュージカル定義に合っていないせいなのか、ただ単に久々に見るジョニー・デップには演技に専念してもらいたいという気持ちがあったせいなのか、それともただ単にラヴェット夫人の商売に興味が沸かないのに彼女の作るパイについて延々と歌われてしまったのがつまらなかったのか、理由は分かりませんが・・。このままの調子で続くなら帰りたいとさえ思いつつ、かつて住んでいた部屋の窓辺に立つジョニー・デップが素敵すぎて、普通の芝居シーンになる度に見とれる事でなんとかその場をやり過ごす事ができました。そしてトッドが市場の様なところで同業者と勝負をする辺りからこのミュージカル映画に慣れてきたのか、または先が見えなくなってきたストーリーに興味が沸いてきたのかは分かりませんが、歌のシーンもきちんと満喫できる様になりました。(ネタバレ部分は白で書き、マークで囲みますので読むにはドラッグして反転させてくださいね。)初めの方でかつての仕事道具の剃刀を手にして「体の一部を取り戻した」の様な台詞をつぶやくトッドを見て「シザー・ハンズ」(1990)を連想したり、黒の効いたゴシック風の映像を見て(時代設定も舞台も違うのだけど)「スリーピー・ホロウ」(1999)を思い出したり、現実離れした髪型で出演してた前出の近年の2作とは違って素顔に近い(?)ジョニー・デップを見ながら1人ニヤニヤしているうちに、もう映画の世界にどっぷり漬かってしまいました。そしてその興奮は最後の方正確に言うと、トビー少年がラヴェット夫人へ愛情溢れる歌を捧げるシーン(いかにもこれから何かがありそう)から胸騒ぎに変り、次には胸の鼓動が早くなり過ぎるという異常現象に変りました。このドキドキは・・・今まで映画では味わった事がない強さでした。私の場合、普段こういったタイプの映画を観ないので免疫がないのも原因かもしれませんが・・・。すでに公開5週目に入っている事と、これがその日の最終の回だった事もあってか映画館「Le Champo」の観客は10人足らずだったのですが、意外だったのは最後のシーンが終わり、クレジットが始まっても誰1人席を立たなかった事です。パリは(たぶん日本以上に)クレジットが始まった途端に席を立つ人が多いのに。この作品のクレジットが他に比べて極端に短い事もあり、1番後ろに座っていた私は結局全員が最後の最後まで座っていたのを確認してかなり仰天しました。最初はちょっとイラッとしたもののティム・バートンらしい世界に満足でき、最後は息のつけない展開で我を忘れ、総合的には大満足しつつ・・・でも深夜に観る作品ではなかったかななんて思いながら(何しろ夢に出てきそうな「安眠」とは程遠い作品なので)家路に着きました。余談ですが『スウィーニー・トッド』は4週目が終わった時点でのパリ&郊外の観客動員数は32万5千人。40万人を超えれば「過去1年のトップ20」にランクインできるのだけど、どうなるかなぁ・・。(ちなみに『パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド』の動員数は118万5千人で、ただいま4位。思いっきり当たり前だけど子供も楽しめるディズニー作品と、「12歳以下禁」のこのバートン作品の間には深い溝がありますね・・。)投票(をクリック)していただけると、嬉しいです。人気ブログランキングへ
2008.03.04
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アカデミーの4部門にノミネートされ、オリジナル脚本部門を受賞した「JUNO」(ジェイソン・ライトマン、2008年)を観てきました。(写真は映画館のブロックされているドアの向こうに貼ってあったポスターです。)きっかけはというと、シャンゼリゼで食事をした後主人と映画を選ぼうとしたのに観たい作品がなかなか一致せず(2人が好きなリバイバル系映画は場所柄NGだった為)折り合いがついたのがこれだけだったからです・・。高校生のジュノ(純粋な女の子ですよ)が超・予想外の妊娠をしてしまったものの堕胎する事ができず、生まれてくる子供を養子として託すための理想的なカップル(マークとヴァネッサ)を見つける・・・というのが最初の数分間のストーリー。私達にとって思いっきり他人事なテーマだななんてお気楽に構えていたけど考えさせられる部分も多く、でも最後はそれなりに爽やかな気持ちで観終わる事ができる秀作でした。(ネタバレの部分はマークの中に白字で書きますので読みたい方だけドラッグで反転させてください。)私は今回も観る前から「この映画はきっとジュノが両親と一緒に子供を育てるという結末にちがいない」と勝手に思い込んでいたら、あれよあれよと予想が外れ・・・いい感じに裏切られました。この作品のテーマはティーンの妊娠にとどまっておらず、愛する人と一緒に居続ける事や、親から子供への思いが様々な年代の登場人物を通して問いかけられてきます。子供を持っているorいつかは子供が欲しいと思った事のある人なら誰でも感動できる映画だと思いました。16歳のちょっと風変わりなジュノを20歳で演じたエレン・ペイジには感心したけれど、個人的には潔癖すぎるほど純粋なヴァネッサを演じたジェニファー・ガーナーにぐっときました。(年代が近いのと、見終わって「ヴァネッサと子供は幸せになれるのかな」とちょっと心配になったのも込めて。)その他、大人になれない(彼はこの後どうなったんだ?)マークを演じたジェイソン・ベイトマン、(確か)元海軍の、不器用だけど娘を愛するエレンの父親と、言葉遣いは悪いけど理解と協力を惜しまない義母を演じたJ.K.シモンズとアリソン・ジャネイ、そしてお腹の子供の父親にあたるブリーカーを演じたマイケル・セラ(まさかあなたとハッピーエンドになるなんて思わなかったよ・・)も、皆どこかにいそうな人物像を見事に体現していました。6月の日本公開も決まったそうですが、かなりおススメです。(まぁ、先日の「潜水服は蝶の夢を見る」ほど映像の力が強い訳ではないのでDVDで観てもいいかもしれませんが・・・。)「Juno」日本版公式ホームページhttp://microsites2.foxinternational.com/jp/juno/投票(をクリック)していただけると、嬉しいです。人気ブログランキングへ
2008.02.28
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今さらという感じですが、昨日(12月30日)ようやく「レミーのおいしいレストラン」を観て来ました。以前「善き人のためのソナタ」について書いた時言及しましたが、私は時々「パリスコープ」という雑誌に掲載されている「過去1年以内の、パリ近郊累計観客動員数トップ20ランキング」をぼ~っと眺めています。やはり子供にも観てもらえる作品が強い様で、最新データにおけるベスト5は次の様になっています。5位 ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 (で、いいのでしょうか?仏題には「フェニックス」が入っているので。)4位 カリブの海賊 ワールド・エンド3位 シュレック32位 スパイーダーマンそう(私の見落としがなければですが)スパイダーマンはなんと、公開後わずか1週間にして観客数100万人を突破した、過去1年で唯一の映画なんです。と同時に、第1週目にして他の映画全てを蹴落として「過去1年の累計観客数」第1位にも躍り出ていました。「異常ヒット」と言ってもいいのではないでしょうか。今は143万人に落ち着き、2位をキープしています。そして1位が今回の「レミーのおいしいレストラン」!公開1週目の時点では5位ぐらいでしかなかったのに本当に地道に地道に観客動員数を増やし続け、今や累計で145万人!!なんだか「善き人のためのソナタ」のヒット具合を彷彿とさせます。・・・という訳で、普段アニメ映画をほとんど観ない私も、おっかなびっくり出かけてきました。私、アニメ映画ってあまり好きなものがないんですよね。「ナウシカ」の様に想像力が要求され、しかもヒロインが自分とは全然違うタイプの人間だと世界観に入り込めないし、飛行機でぼーっと観た「シュレック」はフィオナ姫も含め、最後の最後までキャラクターが可愛いと思えなかったし(もっと集中すべきだった?)・・・・あと、いくらアニメーションでもストーリーがしっかりしていないと退屈してしまうし・・・。特に今回の作品は「ネズミのシェフ」というコンセプトですが、私は「スチュアート・リトル」を観た時の苦い経験が未だに心に残っていたので、とても不安でした。「スチュアート・リトル」では「人間がネズミを養子にする=人間の子供の義弟はネズミである」という一番大切な部分をどうしても理解できず(「養子ではなくてペットじゃいけないの?」と思ってしまう私は偏屈な大人?)、最後の最後までストーリーについていけなかったのです。でも「レミーのおいしいレストラン」は観て大正解♪久しぶりに納得できるアニメーション映画でした。期待していなかったせいか「善き人のためのソナタ」よりも満足できたぐらいです。「ネズミがシェフとして活躍」する以上、もちろんファンタジックな要素に満ち溢れた映画なのですが、レミーが人間並みの高度な知能の持ち主である分、「ネズミである事の葛藤」や「父親との軋轢」などがしっかり描かれていたので、かなり感情移入できました。私は「どうせネズミを擬人化するなら、ここまでしなくっちゃね!」と納得して帰ってきましたが、正直、この映画を観ても小学校低学年ぐらいの子は本当におおまかなストーリーしか理解できないんじゃないかと思ってしまうくらい、「自己の確立」をテーマに据えたアニメーション映画の割に大人向けのお話です。この映画がパリで大ヒットし、昨日行った映画館の小さな上映室がほぼ満員な理由にはもちろん、深いストーリーの他に、パリが舞台になっている点も挙げられるのだと思います。これだけ大きなプロダクションだと当たり前なのかもしれませんが、町並みは素敵なだけでなくかなり忠実に再現されていたので、パリジャンもみんな納得できたのではないでしょうか。また話が「ストーリー」に戻ってしまいますが、レミーが手助けしてあげるリングイニが全てにおいてパッとしていなくてどこにでもいそうなタイプの人間だったり(もう少し、芯の通った性格にしてほしい気もしましたが)、リングイニの教育係のコレットがエキゾチックな顔立ち(パリには移民の2世が多い)だったりするのもパリらしくてリアリティーがあったし、とにかく上出来!!ただひとつ難点をあげるとしたら、家に帰ってきてPCの画面でレミーの(動かない)イラストを見たら、可愛いと思えなかった事ぐらいでしょうか(笑)。ネズミを結構リアルに描いてますからね・・・・。という訳で意外や意外、2007年最後の映画はアニメーションでした。来年の1本目は何になるかな?(まだ決めていません。)2008年も幸せな年になります様に。ランキングに参加しています。投票(をクリック)していただけると、嬉しいです。
2007.12.31
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