>冨士子さん
>21世紀に生きる子供たちは今、どんな学力を付けておかねばならないかの根本の問いかけが必要です。

子どもたちの生活意欲をいかに高めるか、自分の可能性を信じる勇気を持たせられるか、子どもたちの毎日を見ていると、いつもここに行きつくのです。
このことをクリアーしない限り、子どもたちに学力は付きません。
そこで、違うところで申し上げた、教育についての考え方に行きつくのです。 (2006.04.24 09:05:32)

日々草

日々草

2006.01.11
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カテゴリ: 学力について
写真:雪をかぶったナナカマド(by Danjose)


2007年度実施「全国学力調査」は真の学力向上に役立つか。

この地域では昨日が3学期の始業式となり、いよいよ入学試験本番の学期に入った。

今日は学校も始まり、私は、ほっと一息。冬休み中、酷使した我が体と心のメンテナンスをしようと朝から、ゆったりと散歩したり、お茶を飲みながら新聞を読んだり。
しかし、新聞を読み始めたら、またまたゆったり出来ない記事が一杯で、心が急くのである。

文科省は2007年度から、小学6年生と中学3年生を対象に「全国学力調査」を算数(数学)と国語で実施することにしてる。いわゆるこの学力テストは学力低下対策の一環として2004年に打ち出されたものである。
しかも学校ごとに成績を公表して、学校評価と結びつけ、人事考課や学校の点数化をはかるという。

これは時代錯誤もはなはだしい。

高度成長期の画一された教育を押し付けるやり方が、こんなにも破綻しているのに、又同じことを再生しようというのか。

今、子供たちに起こっている、育ち方の問題の深刻さは、再三このブログでも述べてきた。
そしてその責任の一端は、学校教育のあり様にも大きく起因している。
子供たちが、今、身に付けなければならない学力はなにか、今こそ学校は深刻に問われている。
学校が子供たちの現状とは全く無縁のところで、お上の言うままにカリキュラムを展開し、そこからの逸脱、自由な発想を許さないことが最も学校をだめにしているのではないか。
教師が、今、子供に何が起こっているか、社会に何が起こり、どのように動いていこうとしているかに無頓着なことが、今の教育の荒廃の原因ではないか。

現場にいる教師たちの現状認識のお粗末さ、また真の姿を認識したら、とても学校の現場には居れないという息苦しさ。
お上の顔色ばかり見て、子供たちと向き合っていない管理主義の横行。上に向かって物言わぬ教師集団のあり方。

これらこそが、子供たちに真の学力をつけることを困難にしている原因である。
この状態に輪をかけ、さらに強化するのが、2007年度から実施される「全国学力テスト」になるのではと、私は危惧している。

わが教室の中3生たちは、中3になった春休みから受験を年頭において、1年間の長いスパンで基礎学力の充実をめざすカリキュラムでやっている。
今の時期、数学などは、基礎力を複雑に組み合わせたかなり高度な問題に取り組む時期にさしかかっている。

ここで中3生に求めている力は、複雑に絡み合っている基本的な命題を自分の力で解きほぐし、解法を見つけるための論理立った考え方をトレーニングすることである。

いまの子供たちが一番苦手としているこれは思考の回路である。

しかし、子供たちがこの思考回路を自分の身体のなかに作り出すと飛躍的に成長する。
学ぶことに疲労感を感じない。学ぶことに時間の長さを感じない。

たどり着くのに時間はかかっても、成果は大なのである。

このような学習の取り組みは、本来学校がやるべきことで、この婆さんが個人でしこしこやることではないはずだ。
国民の税金で成り立っている学校がやるべきことだ。

今の学校や親たちは、すぐ答えを要求し、分からないと答えを見て、それを暗記して覚えれば勉強はしたつもりでいる。
これは、点数や成績をすぐにあげることを要求されるからである。

今回の「全国学力テスト」の実施が、親たちが身に付けてきた学習方法の再生産にならない事を祈るばかりである。
このような勉強の仕方で育った大人は、今の社会では立ち行かなくなっているのではないだろうか。
高度成長期の社会では、むしろそれは大部分の大衆に求められた学び方であった。
しかし、今時代が要求している能力は大きく変化している。
真の実力ある能力を要求している。時代や社会を切り開ける応用力ある実力を要求している。
これこそが生きる力となる学力であるはずだ。

未来に生きる子供たちに、未来を切り拓ける力を育てる教育や子育てをしないで、子供たちが生き生きと育つはずが無い。育ちようが無い。

学校自身がその社会から、大きく遅れをとり、無用の長物となっている。

学校自身が「子どもの深刻な育ちそびれ」や「学力の問題」に真っ先に声を大にして叫び、親や国に訴えるべきであるのに。
今回の「全国学力テスト」にも現場の教師たちが何らかの声を上げるべきなのに、何の声も聞こえない。






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最終更新日  2006.01.11 14:13:13
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昨日書きこんだのですが・・  
今年もよろしくお願いします。
昨日たくさん書きすぎたらしく、確認せずに移動したので規定数オーバーで書き込めなかったらしいです。実はいままで数回こちらのサイトでそういうことがありました。800字ではきちんと考えが伝えられませんね。せっかく書いたのに同じことはかけそうもなくて残念です。今年は800字以内で常に考えが伝えられるよう努力しなくては(笑)感情を屈折させてしまった子供に学力はつかない。どうやって自分の感情を出せばいいのか?悩んでいると勉強なんか手につかないのですよ。私はそうでしたから、悩み始めたら一気に学力低下でした。でも学力より、その時間が有意義だったと今は思います。 (2006.01.12 08:21:12)

Re:屈折した感情の子供たち  
冨士子婆  さん
ミーシャ1225さん
-----
本当に今も屈折した子供たちの心を解きほぐし、関心を勉強に集中させることは難しい。
なぜ屈折せざるを得ないのか、その根っこを子どもが自覚できる手助けを周りにいる大人が出来るなら、だいぶん状況はかわりますよね。それは親であってもいいし、教師であってもいいし、先輩でもいいのですが。
そして「学ぶ」ことで子どもは大きく変ることも事実です。「学び」が自分を分析する能力を高め、自信を持たせます。そんな学びをめざしたいですね。私としては。 (2006.01.13 22:51:44)

学力テストの結果を  
プリン さん
学力テストの結果をご覧になったとして、あなたならどうされますか?
例えば、
教員ならば、指導方法について自己評価し改善策を考えなければならないでしょう。
行政の立場にいらっしゃる方なら、こんなことも考えて欲しいと思うのです。
税金納付状況を地区別に出してみて、学力テストの結果との相関関係を見てみる。
生活保護家庭の割合とテスト結果の相関関係を見てみる。
その結果、行政としての町作り政策に取り組む等々です。

社会のそれぞれの立場で、子どもたちの学力向上について考え、取組を始めてほしいと思っています。

社会のしわ寄せは、弱い立場にいる子どもたちに大きな影響を及ぼします。
社会問題を教育政策で解決しようというのには無理がありませんか。 (2006.04.21 13:38:59)

Re:学力テストの結果を(01/11)  
冨士子婆  さん
プリンさん
>学力テストの結果をご覧になったとして、あなたならどうされますか?
>全国一斉に同じ問題を全員がやる学力テストの意義は何処にあるのでしょう?そのようなことをしなくても、プリンさんのおしゃるような評価は、調査にふさわしい母集団を抽出して、サンプルをえらびだして、調査できること。スゥエーデンなんかはそうやっているし、その結果から、いろいろ類推して、学力に問題のある学校にはきめ細かな行政のフォローがある。テストの為の点数をあげるために授業をやっている日本の学力検査のやり方は子供に真の学力、賢さをつけるものではないと私は思っています。 (2006.04.22 05:56:01)

Re[1]:学力テストの結果を(01/11)  
プリン さん
>冨士子さん
>全国一斉に同じ問題を全員がやる学力テストの意義は何処にあるのでしょう?
どこにあるのでしょうね?
>その結果から、いろいろ類推して、学力に問題のある学校にはきめ細かな行政のフォローがある。
ぜひそうあって欲しいものです。
こんな言葉で表現するのは乱暴と思いますが、良い町でなければ良い子は育ちにくいのです。
例えて言うと、ゴミだらけで壊れた壁、割れたガラスに囲まれての毎日で、やる気を出して勉強しろと子どもに言ってもむなしさを感じます。
でも、子どもという現実が目の前にあるので放っておくわけにはいきません。
こんなことを思いました。
(2006.04.23 10:22:29)

Re[2]:学力テストの結果を(01/11)  
冨士子婆  さん
プリンさん
>>冨士子さん
>>全国一斉に同じ問題を全員がやる学力テストの意義は何処にあるのでしょう?
>どこにあるのでしょうね?
----
今日の朝日新聞に東京都の学校選抜制が学力テストの結果を公表することで、下位の中学は生徒がどんどん減り、どんなに教師集団が努力して色々な策打ち出しても、学校の存立が危ぶまれるほど生徒が減る現実を報道していました。「学力調査」が真の意味での学びと関係ない、学力テストの為の勉強など真の子どもの学び、実力にならないことをこれは深刻に意味していると私は思いますが。21世紀に生きる子供たちは今、どんな学力を付けておかねばならないかの根本の問いかけが必要です。 (2006.04.23 21:56:42)

Re[3]:学力テストの結果を(01/11)  
プリン さん

Re[4]:学力テストの結果を(01/11)  
冨士子婆  さん
プリンさん

>子どもたちの生活意欲をいかに高めるか、自分の可能性を信じる勇気を持たせられるか、


確かな学力、学ぶことに対する意欲は、子ども自身が学ぶことを通して獲得していく力だと私は思います。自分の事を、しっかりした言葉や智恵で語れれば、自分を客観化する力を子どもは獲得します。社会の中の自分を自覚します。
学ぶことの意義を根源的なところで理解できる知育を私は目指したいと思っています。ハングリーでない今の子供たちにが、学びにめざめたらすごい力を身につけられると思っています。
学力テストや通知表のおどしの飴と鞭では子供たちの心は揺さぶる事は出来ない。教える側の言葉は届かないのではと思っていますが。
無知のまま放り出されている事が、自分にたいする確信のなさ、生きることへのなげやりや刹那的な子供たちが大量に生産されているのでは。
学校は恐ろしいほど子どもに知力を付けていないというのが、我が塾の子供たちを見て感じていることです。 (2006.04.24 10:35:53)

Re[5]:学力テストの結果を(01/11)  
プリン さん
>冨士子さん
>学校は恐ろしいほど子どもに知力を付けていないというのが、我が塾の子供たちを見て感じていることです。

これはまずいですね。教える立場にいるものが「学ぶことが楽しい」ということを生徒の前でパフォーマンスできないと子どもたちが意欲的に学ぶわけがありません。
これが、私の課題ですね! 努力します! (2006.04.24 12:03:32)

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