ポントカサルテ水道橋と運河
(Pontcysysllte Aqueduct and Canal)
(渓谷を一跨ぎ、ポントカサルテ水道橋を遠望)
世界で最も早く産業革命期を迎え、
近現代の資本主義経済の確立発展に
先駆的役割を果たしたイギリス。
このポントカサルテ水道橋と運河は
そんなイギリスの産業革命期に建造された。
全長307メートル、幅3.7メートル、深さ1.6メートル、
高さ38メートルの巨大な橋、
イングランドとウェールズにまたがる渓谷をひとまたぎで
通行可能にした、運河である。
この巨大な橋の上を水が通り、
荷役船が通行したというから驚きである。
橋を建造した技術の高さや資材などその膨大なこと。
(手前の水が橋に通水されている水。眼下にディ川が流れる)
人類がかって経験したことのない科学技術の革新と
人間の万能感を謳歌する時代の到来を
予感するに十分な建造物である。
秋色のディ渓谷を眼下に見下ろし、
遥か彼方の丘の町へとつながる水道橋。
(水道橋からウェールズ側を見晴らす景色)
このポントカサルテの水道橋と運河は1805年に完成され、イギリスでもっとも高く、最も長い水道橋である。
イギリスには3500kmにも及ぶ内陸水路のネットワークがあり、
産業革命時代には荷の主要な運搬手段であった。
橋の上はこのような水路となっており、
その側面に船引き道が張り出して設けられている。
水道の脇には歩道があり、
歩行者は船引き道の外側の端で欄干によって保護されている。
(橋の運河をを航行するナロウボート)
産業革命時代には、
この水路をナロウボート(narrow boat)という荷役船が通行した。
狭い運河を航行するために幅が狭くひょろ長い型をしている船。
しかも、無動力で、初期は人が先導する馬が船を曳いたという。
先導したのは多くは子供であったという。
(ナロウボート:イングランドとウェールズの狭い運河に合わせた、幅の狭い船。
18世紀から20世紀に作られた荷役船は陸路交通の発達により
1945年から65年ごろにほぼ途絶えた。
現代のナロウボートは、伝統的なボートを基本としながらも住宅・レジャー用という
現代人の目的に合わせて作られている。)
カントリーサイドと古いもの大好きなイギリス人たち、
スローライフのスタイルで生活することを願っている人にはにぴったり。
現代の喧騒から離れて
のんびりゆったりと旅する人たたちにお気に入りの道具として、
ナローボートは再興された。
時速6キロあまり、のんびりとゆっくりと景色を見ながら、
小川をゆく人たち。自分で閘門を開閉して進むボート。
現代のナローボートは、
イギリスの産業革命時代の過酷な労働とは無縁の
生活に潤いや楽しみを与えるものになって甦っている。
(ナロウボートの船尾。舵は後部にある)
この細長い船内には、
日常生活をすることのできる、キッチン、風呂、トイレ、寝室などがあり、
テレビをみたり、パソコンを使う設備まで整い、
船上で生活しながら何日も運河めぐりの休暇を楽しむことが出来る。
(ナロウボートのキッチン)
このような旅の楽しみ方、暮らしぶりは
いかにもイギリス。
イギリスらしい。
イギリスは
世界で最も早く資本主義経済が成熟し、その矛盾や問題を
最も早く経験し、現在に至っている国である。
低成長の経済がもう何十年も続いている国である。
でも、人々の暮らしは
ゆったりと心豊かと言えないだろうか。
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