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トラック運転手の時間外労働規制強化に伴う「物流の2024年問題」を巡って、長距離トラックから鉄道などへ輸送手段を転換する「モーダルシフト」を進める動きも出ている。JR貨物のデータ不正は、こうした動きの中で起こった。 2024年7月にJR山陽線の新山口駅で発生した脱線事故を受け、9月6日に組み立て作業の内容を確認していたところ、不正の申告があった。 担当者は、基準値以下なら固定に不具合が生じる可能性があるものの、若干の超過なら問題ないとの認識だった。 新山口駅での事故原因は運輸安全委員会が調査中だが、脱線車両にも不正な作業が行われていた分かった。 基準超の圧力をかけると部品がこすれて傷が付く恐れがある。破損すれば脱線を招きかねない。 JR貨物は、多くの区間でJR旅客6社の線路を使って貨物列車を運行している。事故が起きた場合の鉄道網への影響は甚大。 9月10日、JR貨物は北海道、神奈川県、広島県の3つの車両所で貨物列車の組み立てに関する検査データで不正行為があったことを発表。不正があったのは、車輪などを車軸にはめて「輪軸」を組み立てる工程。対象の機関車4両と貨車560両の運用を停止すると発表。新たに貨車300両でも不正の可能性が判明したとして、翌11日に全列車の運行を一時停止した。 不正の内容は、車輪などを押し込む際の圧力が「基準を超えていた」にもかかわらず、検査記録表には「基準値に収まる数値」に書き換えるなどしていたこと。基準以上の圧力がかかった場合、軸に傷がついて金属疲労が早まり、最悪の場合、折れる可能性がある。 JR貨物が列車部品の組み立て作業でデータを改ざんしていた問題を受け、9月13日、国土交通省は全国の鉄道事業者などに緊急点検を指示した。車輪と車軸からなる「輪軸」の組み立て工程や検査データなどを確認し、9月30日までに報告するようJR貨物に求めた。 9月13日までに不正が分かった車両は、全体の約1割にあたる631両。 JR貨物運休で配送遅れ続く佐川とヤマト、トラック輸送に共同通信 2024年9月12日 JR貨物の不正発覚により列車が遅延や運休している問題で、佐川急便とヤマト運輸は12日、同日午前の時点で荷物配送の遅れが続いていると発表した。両社ともトラック輸送などへの切り替えで対応している。 佐川は9日以降に発送された荷物で全国的に影響が発生。特に貨物列車への搭載量が多い関東、中部、関西から北海道と九州宛てと、九州から関東宛てで配達が遅れる可能性がある。 ヤマトによると、10日に発送された関東から九州、北海道宛ての荷物と、九州や北海道から関東宛てで配達が1日以上遅れる見込み。 ― 引用終わり ― JR貨物はデータを改ざんするなどの不正があった問題を受け、9月11日に全ての貨物列車の運行を一時停止した。 北海道内では、農作物の収穫がピークを迎えている。本州向けの農作物の輸送の大部分を貨物列車が担っている。 北海道外向けの農畜産品輸送の3割をJR貨物に頼る「ホクレン農業協同組合連合会」によると、輸送中の積み荷の一部が途中駅で降ろされる事態になっていた。 9月12日、北海道産のジャガイモを本州へ運ぶ「ジャガイモ列車」の運行が予定通り再開された。
2024年09月20日
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JR九州は「貨客混載」事業を、2025年度に拡大する方針を明らかにした。 最大の長所は遠距離間輸送の定時定点での速達性。 短所は現状の列車の多くが物品の輸送に適していないこと。現状は、積み降ろしの手間、輸送時の空間が物品輸送に不向き。施設、車両を改良すれば対策可能。 JR九州、「貨客混載」拡大へ25年度、新幹線の客室活用共同通信 2024年8月10日 18時30分 JR九州が特産品や精密機器を乗客とともに運ぶ「貨客混載」事業を、2025年度に拡大する方針であることが10日、分かった。九州新幹線で既に実施している車両の空きスペースを活用した物流サービスを客室への積載まで広げ、JR旅客各社との連携も強化する。 物流業界で、トラックの運転手不足によって運送が滞る「2024年問題」が課題となる中、新幹線を使った代替サービスが広がるかどうかは全国的に注目されそうだ。 新幹線による荷物輸送は、当日配送が可能なスピードと、時間に正確な定時性が特徴。今年4月にJR東海が法人向けに参入。北海道、東日本、西日本、九州のJR各社でサービス網が整った。 ― 引用終わり ― 受入れ可能量の制御は難しくはないことだろう。 出発駅への搬入から、到着駅からの搬出まで、時間とコストを節約し、手間をかけないための設備面などのJR各社で一気通貫的に取組むべき改修要素はたくさんあるはずだ。 分割民営化されたJR各社すべてで同様の取組ができるかが見どころ。
2024年08月29日
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年賀状の減少はコロナ禍で加速された。日本郵便関係者へのノルマ設定も減少したのだろうか。 長年ライバルであった日本郵政とヤマトHDは、両社とも収益環境が圧迫された末、歴史的な協業を果たした。 年賀状は過去最大17%減、2023年度の引受数…「ゆうパック」はヤマト運輸と協業で増加読売新聞 2024年5月11日 日本郵便が発表した2023年度の手紙やはがきなどの郵便物の引受数は、前年度比6.0%減の135億7768万通だった。前年度を下回るのは22年連続。このうち、年賀状は9億7048万通で、過去最大の17.1%の減少となった。 宅配便「ゆうパック」の引受数は3.0%増の10億966万個で、20年度以来3年ぶりに増加に転じた。ヤマト運輸と昨年10月に始めた集配業務の協業により、薄型荷物の取り扱いが増えたことなどが影響した。 郵便物は、ピークの01年度の262億通からほぼ半減した。23年度の郵便事業の営業利益は赤字となる見通しで、日本郵便は今秋にも郵便料金を値上げする方向だ。 ― 引用終わり ― 物流224年問題は単なる時間外労働規制の問題ではなく、物流業の根幹の転換を擁する課題。 仕事量が増えて売上が増えれば業績が回復するという環境ではなくなっている。 従来のやり方をもとにした小手先細工で課題解消とはならないはずだ。 3期連続減益に沈むヤマト「強気計画」に漂う暗雲2024年度は荷物量回復で巻き返しを図るが東洋経済オンライン 2024年5月11日 3期連続の営業減益、そして3期連続の下方修正。今期こそは「4度目の正直」で営業増益へ反転できるのか――。 宅配便大手のヤマトホールディングス(HD)は5月8日、2024年3月期決算を発表した。 売上高に相当する営業収益は前期比2.3%減の1兆7586億円、本業の儲けとなる営業利益は同33.3%減の400億円と減収減益だった。当期純利益は土地売却益(122億円)が貢献し、同18%減の376億円となっている。 ヤマトはこれで3期連続の営業減益。業績予想を下方修正したのも3期連続だ。物流業界の物量が低迷する中、厳しい決算に沈んでいる。 年間を通じて荷物量が低迷 苦戦の要因は、思うように荷物を獲得できていないことに尽きる。宅配便(宅急便・宅急便コンパクト・EC事業者向けの「EAZY」)の個数は18.8億個で、前期から2.1%減少した。消費者がリアル店舗での購買に回帰したことなどでEC需要が鈍化したことに加え、年末商戦の不振など、需要期の荷物量が落ち込んだことが影響している。 大口法人向けは営業努力もあり、取扱数量は1.5%増と健闘したものの、個人や小口法人向けは数量が5.8%減と低調だった。そのほか、ロジスティクスや国際輸送の収入も減少している。 プラス要素として、宅配便の単価は運賃値上げ交渉で721円と前期から18円上昇。残業時間の削減や自然減で人件費も大幅に削減し、配送網の集約など構造改革の効果もあったが、物量減の影響は厳しく、大幅減益となってしまった。 栗栖利蔵副社長は決算会見で「期初計画の利益に到達できていない。収益を上げていくことも、年間を通じて満足のいくものではなかった。ただ、第4四半期は費用削減でカバーするなど、流れは変わってきている。この流れを継続させながら、収益を出していくことに注力したい」と語った。 しかし、懸念されるのは続く2025年3月期の業績計画だ。宅配便の個数は6.4%増の20億個、単価は4円増の725円と想定。営業収益は前期比3.5%増の1兆8200億円、営業利益は同24.8%増の500億円とした。上期は50億円の営業赤字となるが、後半に一気に盛り返すシナリオだ。 ヤマトが上期に赤字に転落するのは珍しく、残業代の未払い問題があった2018年3月期以来となる。一方、下期に550億円以上の営業黒字を出したのは、最近ではコロナ禍で特需が発生した2021年3月期しかない。 下期に高水準の利益を目指すが つまり、上期はかなりの苦戦が予想される一方、下期は歴史的にも高水準の利益をたたき出す必要がある。 足元の4~6月期、宅急便の数量は回復しきれておらず、すぐに収益を伸ばすのは難しい状況だ。また、前期にあったワクチン関連やリコール関連の案件の反動減の影響もある。 ほかにも、費用面では貨物専用機の導入による先行費用が重い。こうしたマイナス要素を営業の強化と構造改革による効率化でカバーしていく構造になる。 「さまざまな価値のある営業をし、値上げ交渉も進める。第2四半期以降、効果が出てくる。世の中も賃金アップなどでよくなってくる。そうしたことが下期に寄与していく。構造改革もさらに進めたい。人件費、委託費を含めて効果として出てくる」(栗栖副社長) ヤマトは配送網の構造改革について、前期も、その前の期も「効果が出てきている」と説明してきた。 V字回復へ正念場 今回の決算でも、栗栖副社長はラストワンマイルの集約によって作業コストや拠点間輸送のコストが下がっていると言及した。数年かけて投資した以上の効果を出していくと説明したが、実際は3期連続減益に沈んでおり成果は見えづらい。 もし4期連続で下方修正あるいは減益となれば、経営責任を指摘されかねない。構造改革についても、より明確な効果を求めて一段と踏み込む必要がありそうだ。 ― 引用終わり ― ヤマトの業績のV字回復の道は険しい。日本郵便グループの業績面でのお荷物と化している日本郵便の業績の回復の道も、単なる仕事量の増加で解決できないほど険しい。
2024年07月08日
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ヤマトホールディングスの2023年3月期の売上高は1兆8006億円。競合・佐川急便の運営会社であるSGホールディングス2023年3月期の売上高は1兆4346億円。2社の売上は3600億円以上乖離している。 営業利益率は佐川が9.4%。ヤマトは3.3%。佐川はヤマトよりも効率的に稼いでいる。 2013年に佐川が下した、Amazonからの撤退とB to B軸足を置いた転換が功を奏しているとされる。 2023年6月、クロネコヤマトのヤマトホールディングスと、日本郵政の協業が公表された。「クロネコDM便」を「ゆうメール」に、「ネコポス」を「ゆうパケット」に融合し、荷物を共同で配送する。 この協業体制は、物流2024年問題など、両者の課題を解決する有効な手段の一つとなるかもしれない。 ヤマトHDを苦しめる「2024年問題」…大幅減益で株価も大幅下落(小林佳樹/金融ジャーナリスト)日刊ゲンダイDIGITAL 2024年5月18日 ヤマトホールディングスの株価が大幅に下落している。同社は8日に2024年3月期の決算を発表したが、営業利益は前期比33.3%も少ない401億円となった。当初の24年3月期の見通しは、営業収益1兆8600億円(前年比3.3%増)、営業利益800億円(前年比33.1%増)、経常利益810億円(前年比39.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益500億円(前年比8.9%増)と増益見通しだっただけに、市場の落胆は大きく、9日の同社の株価(終値)は10%を超える下落となった。 予想に反した業績悪化の主因は、物流の「2024年問題」に他ならない。これまで事実上制限がなかったトラック運転手の残業時間は、4月から年960時間が上限となった。運転手の高齢化もあり、人手不足は一段と深刻化している。「25年度には運転手が14万人も不足すると試算されている」(メガバンク幹部)という。一方、インターネット通販の需要が伸び、今後も荷物量は増えると予想されている。 「物流業界は、本来は給与の低い業種と見られてきたが、これから人材を確保するためには人件費の引き上げは避けて通れない。それだけ収益圧迫要因になる」(同)とされる。 日本郵政とタッグ ヤマトHDも手をこまねいているわけではない。23年6月には日本郵政と持続可能な物流サービスの推進に向けた協業に関する基本合意書を締結。ヤマト運輸のメール便サービス「クロネコDM便」を24年1月末に終了し、同年2月から日本郵便の「ゆうメール」を活用した新サービス「クロネコゆうメール」としてヤマト運輸で取り扱いを開始した。 また、ヤマト運輸の小型薄物荷物向けサービス「ネコポス」を23年10月から順次終了し、日本郵便の「ゆうパケット」を活用した新サービス「クロネコゆうパケット」として取り扱い、24年度末を目標に全国で利用できるようにする計画である。 「25年3月期の営業利益は500億円で同24.8%増の見通しだが、市場コンセンサスは150億円程度下回る水準。上半期は50億円の損失見通しであり、下半期急回復の予想となっている」(市場関係者)という。 ― 引用終わり ― 物流2024年問題は、低賃金を前提にアウトソーシングされた仕事を受ける物流業界の根本問題の解決の契機なのだろう。 人口減少社会の日本は、企業にとって都合の良い労働力があり余っているわけではない。ビジネスモデルの転換が求められている。 ヤマトHD物流会社の「マッチング」システム開発へ日テレNEWS NNN 2024年5月21日 2024年問題として知られるドライバー不足の対策として、ヤマトホールディングスが「マッチング」に乗り出します。 ヤマトHDの新会社・高野茂幸社長「いまのお客様の運び方、5年後には同じ運び方はできないというところがスタートラインです」 年々、トラックドライバーの高齢化が進んでいることに加え、4月から残業規制が導入され、ドライバー不足は一層、進む見通しです。 こうした中、ヤマトホールディングスはネット上で、「荷物を送りたい企業」と「配送トラックに空きスペースのある物流会社」をマッチングするシステムを開発中で、冬頃の運用開始を目指します。 また、業界ごとに異なる荷物を載せる台の統一化にも取り組み、一層、効率的な共同輸送の増加を目指すとしています。 ― 引用終わり ―
2024年07月02日
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物流2024年問題は、トラックドライバーなどに時間外労働の上限規制が適用されることによって、ドライバーの労働時間が減り物流の停滞が生じるとされる問題。 他業種よりも適用延期されていた、トラック・タクシーのドライバー時間外労働の上限は原則、月45時間、年360時間とされ、特別な事情があった場合、上限は年960時間以内となる。 物流業界は長時間の時間外労働を前提として輸送単価、賃金を決めていたので、民間の調査では輸送力が現状と比べて2024年度に14%、2030年度に34%、物流能力が不足する可能性があるとされた。 分かり切っていることなので様々な業界で、共同配送、配送頻度の見直し、配送効効率の向上などによる物流の合理化がすすめられた。 宅配大手のヤマト運輸は、通常の宅配便に加え、クール便やゴルフバッグの料金を平均でおよそ2%値上げ。佐川急便は宅配便の料金を平均でおよそ7%値上げした。 2023年10月、政府は「2024年問題」への緊急の対応策をとりまとめ、運転手不足が懸念されるトラックから船舶や鉄道へと輸送を振り替える「モーダルシフト」を進めるための目標を掲げた。今後10年程度で船舶の輸送量を5000万トンから1億トンに、鉄道は1800万トンから3600万トンにそれぞれ倍増させるとしています。これらはCO2排出量削減にもつながる施策。 荷主側の企業と中小の運送会社との関係を是正し、長年根付いてきた商慣習を見直すための施策も盛り込まれた。具体的には、トラック運転手が積み降ろしの順番を待ついわゆる「荷待ち」など長時間にわたることを問題視し、荷主側の大手企業に対して、「荷待ち」などの発生を抑えるよう、計画を作成することを義務づける。 中小の運送会社の場合、コストに見あった適正な運賃が支払われないケースもあることから、何重にもわたる下請け構造を是正するとともに契約内容を明確化し電子データで契約書を残すよう求める。 様々な課題解消に向けた施策が講じられているが、2024年度に入ってのマイナス影響のアンケート調査結果が公表された。 「2024年問題」マイナスの影響が最も大きな産業は卸売業マイナビニュース 2024年6月17日 17時43分 東京商工リサーチは6月17日、第2回「2024年問題」に関するアンケート調査の結果を公開した。2024年4月、建設業や運輸業などで時間外労働の上限規制が適用されたが、これに伴う問題が「2024年問題」といわれている。 ○「2024年問題」が経営に「マイナス」の影響と回答した企業は半数超 「2024年問題」が経営に「マイナス」の影響と回答した企業は55.3%と半数を超えたという。前回の調査(2023年10月)の61.9%から6.6ポイント改善したが、依然として企業経営に影響を及ぼしていることが明らかになった。 「マイナス」の回答を規模別で見ると、大企業が62.9%(前回68.0%)、中小企業が54.4%(同60.9%)といずれも前回から改善した。大企業が中小企業を8.5ポイント(同7.1ポイント)上回り、大企業ほど「マイナス」影響が大きいと回答した。 ○「マイナス」の回答が最も多かったのは卸売業 産業別で「マイナス」が最も多かったのは、卸売業(65.8%)だった。これに、建設業64.1%、製造業60.7%が続いている。前回調査と比べ、農・林・漁・鉱業を除く9産業で「マイナス」の構成比が低下したという。 業種別で、「マイナス」が最も高かったのは「パルプ・紙・紙加工品製造業」の85.7%だった。一方、「プラス」の回答は、「2024年問題」が直撃した「道路貨物運送業」が12.5%で最も高かった。同社は、この点について、価格交渉やドライバーの待遇改善に率先して取り組んだ企業にはメリットが生じてきた可能性を指摘している。 ○「2024年問題」が及ぼす「マイナス」の影響 「2024年問題」の「マイナス」の影響は、「物流・建設コスト増加による利益率の悪化」が71.4%で最も高かったという。「労務管理の煩雑化」も全産業で17.4%(前回15.9%)と上昇した。建設業が42.4%(同35.7%)、運輸業が50.0%(同43.2%)と上昇し、構成比を押し上げたという。 ― 引用終わり ― 時間外労働規制2024年度問題について、もっとも大きくマイナス影響を回答したのは卸売業だが、人口減社会への対応を迫られ少量配送を継続せざるを得ない業界構造、立ち位置の課題が含まれているように思われる。大量配送が成立する大規模な小売店は、メーカー直送、共同配送など様々な施策が講じられており、卸売りが介入する余地は少ない。 増加を続ける物流業界の改革は省人化、省資源化、CO2削減に対応することもあり今後も継続するはずだ。物流改革は商流改革を通じて卸売業のスリム化につながることが予想される。
2024年06月29日
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ネットの発達とともに報道、広告の旧来の構造が大きく変わっていることは語られていた。 世界でもまれな日本の日刊新聞の国内全域での配達による新聞は、情報メディアとしての有効性の危機が唱えられていた。 それらの危機に加えて販売媒体である新聞販売店の倒産が急増しているという。 情報媒体の多様化、核家族化、人口減少、酒豪住宅のオートロック化による拡販の困難性増加などで、新聞は販売不振となっている。 販売スタッフの確保も困難で新聞販売店は何重もの困難に直面している。そして事業の将来性はない。 広告チラシ、TV番組欄は電子化された。 全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に日刊ゲンダイDIGITAL 2024年4月23日 「新聞販売店」の倒産、廃業が過去最多と急増している。新聞業界にとって販売店の倒産急増は何を意味するのか。 東京商工リサーチが4月5日に発表した「2023年度『新聞販売店』の倒産動向調査」によると、23年度(4~3月)の倒産は39件(前年度比56.0%増)と、1994年度以降30年間で最多となった。 倒産の原因は「販売不振」が7割を超え最多で、新聞が売れない構造的な苦境を浮き彫りにしている。同社情報本部の友田信男本部長が、その背景をこう説明する。 「1つは新聞の発行部数の激減です。日本新聞協会のデータでは23年の新聞の発行部数は約2859万部(前年比7.3%減)と、前年に比べ約225万部も減少している。20年前(04年5302万部超)の約半分にまで落ち込んでいるんです。2つ目は、販売収益を支えてきた折り込み広告が、コロナ禍で大きく落ち込んできたことです」 この2つの問題に加え友田氏はさらにこう述べる。 「新聞社が販売店に支援してきた援助金などの応援が薄れてきたこと。人件費の高騰、新聞の集配スタッフらの人手不足などで、これまでの専業店(1社だけの扱い)から、他紙を扱う合売店が増えてきています」 販売店側ではこうした状況をどう見ているのか。関東新聞販売㈱の販売所の社長に聞いた。 ■高齢化による閉店も 「販売店の経営は代々家族で引き継ぐケースが多いのですが、高齢化で後継者がいない販売店の閉店が増えています。部数の減少に、バイク配達でのガソリンの値上げ、配達員も早朝バイトは人件費が他のバイトより高くなければ確保できません。新聞社からの支援は減り、部数の減少やコスト上昇に自助努力しかないという厳しい状況に追い込まれています」 新聞をためる整理袋さえ新聞社が作らなくなっているという。以前には新聞社から来ていたテーマパーク、展覧会、野球などの招待チケットの発行がなくなったのも部数減に影響か。 かつてはニュータウンができれば新しい新聞販売店ができ、一気に販売部数が増えた。ところが、いまは住宅購入者に新聞を読まない若い世代が多く、営業にも足を運ばなくなったという。 ネット媒体の情報発信や広告のネットシフトへの拡大で、新聞販売店の倒産・廃業が今後も懸念されると、先の友田氏がこう語る。 「新聞社は記事の良し悪しだけで売れる時代ではなくなってきている。紙面は全国紙でも老若男女に向けた特徴のない紙面では、全国紙が全国紙でなくなる状況を生んでくるでしょう」 新聞社にとって販売店の倒産増加は、単なる倒産ではなく新聞の在り方が問われる大きな問題になっている。 ― 引用終わり ― 宅配という点ではコロナ禍で隆盛した食事の宅配も危機に直面し、出前館が6年連続で赤字であることが報じられた。 フードデリバリーは曲がり角…出前館が6年連続赤字ファインダインはサービス終了の衝撃日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月23日 9時26分 このところ低迷が伝えられるのが、コロナ禍で特需に沸いたフードデリバリー(料理宅配)市場だ。15日、大手の「出前館」が2024年8月期中間決算を発表。連結最終損益は42億円の赤字と、前年同期(87億円の赤字)に比べて赤字幅が縮小しているものの、同期間で6年連続の赤字に。 さらに5月26日をもってサービスの終了が発表されたのが、宅配代行サービスの「ファインダイン」だ。グリル満天星やキャンティ飯倉片町本店など老舗有名店の料理も気軽に楽しめることで知られているが、運営会社はサービス終了の理由をこう説明している。 〈2006年から18年の長きにわたり、皆様のご支援のもとサービスをご提供させていただきましたが、様々な環境の変化により、今後お客様にご満足いただけるサービスの提供が困難であるという結論に至りましたため、サービスの終了を決定いたしました〉 … (略) … 消費経済アナリストの渡辺広明氏はこう話す。■否めない割高感…庶民の利用機会は減少の一途 「出前館の赤字は広告宣伝費や販促費の影響が大きい一方で、アクティブユーザーが2月時点で25%減少しているようにコロナ明けで利用者が減少しているほか、物価高騰の中、賃金が上昇しない人が多く節約志向がより強まっている影響が大きい。店や商品によっては店頭よりも価格が高く、配送手数料が上乗せされることから割高感は否めません。一部の富裕層やヘビーユーザー以外、店が近くにあるなら自分で買いに行く、食べに行く人が多いのは当然で、我々庶民はせいぜい雨の日や疲れている日の利用に限られるでしょう」 さらなる競争激化のほか、配達の担い手確保が難しい状況にあるという。 「ローソンが店内の弁当や日用品を最短10分で宅配するサービスを全国1万4600店での展開を目指すなど、他業態のライバルが増えていますが、一方で若者の人口が減少傾向の中、ギグワーカーの確保が難しくなっています。どうしても外出できないという人も少なくないことから、サービス自体がなくなることはないと思いますが、店側の手数料負担も重く、すでに淘汰が始まっています」(渡辺広明氏) ― 引用終わり ― 公共交通機関の整っていない過疎地、高齢化地域では様々な宅配ニーズがあるが、事業性に乏しい。 宅配効率の良い大都市部でフードデリバリーは生き残りを模索するのだろうか。 比較的システムのプラットフォームが整ったウーバーイーツが有利か。
2024年05月08日
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物流 2024年問題に荷主・運送事業者が取り組まないと・物流コストの増大、長距離輸送の依頼が難しくなる・輸送スケジュールの見直しが必要となる 新潟県内の菓子類の製造企業が輸送のトラック輸送の効率化を進めている。共同配送、輸送をトラックから鉄道に切り替えるモーダルシフト、バラ積みからパレット積みへの転換などを6社ですすめる。 亀田・ブルボン・岩塚製菓…新潟の菓子メーカー6社が共同配送に向け準備「24年問題に対応する一つの手段」読売新聞 2024年4月9日 13時8分 … (略) … 「生産地共配」 県内菓子メーカー6社は2024年問題に備え、商品を共同で配送する「生産地共配」の本格導入に向けた準備を進めている。 各社はこれまで独自の物流網で商品を輸送していたが、生産地共配ではトラックが各社の工場や倉庫を回り、各社の商品を混載して卸業者へと運ぶ。 共同配送に参加しているのは、亀田製菓(新潟市江南区)、ブルボン(柏崎市)、岩塚製菓(長岡市)、越後製菓(同)、三幸製菓(新潟市北区)、栗山米菓(同)の6社。 6社は共同配送のほか、荷物の積み下ろし時間の短縮を図るため、「パレット積み」も取り入れている。 トラックへの商品の積載は、人の手で荷物を一つずつ載せる「バラ積み」が基本だが、パレット積みではパレット(荷台)に複数の箱を載せ、トラックへ一度に積み込む。 6社は2020年12月に「パレット物流研究会」を発足させ、実証実験を重ねている。実験ではバラ積みと比較して積み下ろしの作業時間を約3時間削減できたという。配送も共同で行うことで、トラック台数の削減にもつながった。 ― 引用終わり ― 全日本トラック協会も安全確保と料金の適正化のためもあり、物流2024年問題に積極的に取組んでいる。 全日本トラック協会知っていますか?物流の2024年問題 … (略) …2024年問題解決に向けて荷主とトラック事業者が連携して取り組んでいただきたいこと 01 荷待ち時間、待機時間の削減・予約システムの導入・出荷・受入れ体制の見直し 02 作業削減など労働環境の改善・パレット化による手荷役作業の削減・情報の共有化、DXによる業務効率化等 03 リードタイムの延長・長距離輸送は中1日を空け、満載での効率的な輸送 トラック事業者から荷主にお願いすること 01 「標準的な運賃」の収受「標準的な運賃」等の収受・ドライバーの労働環境改善や働き方改革に取り組むための適正な運賃を収受 02 運送以外に発生する料金の収受・燃料サーチャージや附帯作業料金、高速道路利用料など ― 引用終わり ―
2024年04月27日
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多くの経済活動に物流は密接にかかわっている。物流はモノづくり、販売からアウトソーシングされる仕事であり、安ければ安いほどよいとされてきた。 「物流 2024年問題」とは2024年4月1日から、トラックやバス、タクシー運転手の時間外労働に上限が設けられることで生じる諸問題。政府の推計で、対策を講じなければ、輸送力は24年度に14%、30年度に34%不足するとされた。 働き方改革関連法は2019年4月に施行されたが、運送業、建設業、医師は適用が5年間猶予されていた。 したがって、2024年問題は建設、医療も物流分野と同様に供給不足が生じる可能性が論じられてきた。 異動、進学、就職が重なる4月の引っ越しについては、10年以上前から困難、他の時期に比べて高騰が語られてきた。3月中の引っ越しを断念し4月に引っ越しする者も増えていた。 2024年4月1日以降、この時期に引っ越しすることの困難がさらに増すことになる。 「引っ越し難民」が深刻化3月分100件断った業者も…「2024年問題」で人手不足に拍車読売新聞 2024年4月1日 転勤や進学などの転居が希望した日にできない「引っ越し難民」が今春、各地で深刻化している。運送業界の人手不足が顕在化した数年前から問題になっていたが、今年は、新型コロナの5類移行で人の動きが活発になったことに加え、新年度開始に伴う「2024年問題」も拍車をかけている。(土谷武嗣) 直前の決定で大忙し 大阪市西区の引っ越し会社「アップル大阪本社」。3月下旬、コールセンターに依頼の電話がひっきりなしにかかり、担当者が対応に追われていた。土日と年度末が重なった3月30、31日はピークで、1か月前には予約が埋まり、同月分の依頼だけで約100件断ったという。同社の小櫃誠・統括部長は「今年は例年以上に申し込みをいただいているが、確保できるドライバーには限りがある。申し訳ないが、断らざるを得ない」と語る。 3月に大阪市内から単身で東京都内に引っ越した会社員女性(26)は、会社が指定した業者に申し込んだものの、荷出しの日時は指定できず、時間が決まったのは数日前。それも午前8時の早い時間を指定されたという。 … (略) … 4分の1以上が3〜4月に集中 「引っ越し難民」という言葉が、広く使われるようになったのは2018年頃だ。インターネット通販の普及で宅配荷物量が急増し、運送業界で人手不足が顕在化し始めた時期と重なる。 国土交通省によると、年間の引っ越し件数の4分の1以上が3〜4月に集中している。企業の異動や進学が重なるためで、同省は19年、経済団体を通じ、企業にピーク時の引っ越しを避けるよう初めて呼びかけた。 その後、一部の企業で異動時期をずらす動きが出ているが、それでも繁忙期であることは変わらない。 さらに今年は、コロナを理由に昨年まで抑えていた異動を再開する企業があり、関西圏で引っ越しを請け負う「レジェンドサービス」(大阪府東大阪市)の担当者は「大手の引っ越し会社に断られた会社員からの申し込みが例年以上に増えている」と話す。 料金も値上がりしている。名古屋市のエイチームライフデザインが運営する見積もりサイト「引越し侍」の調査では、今年2月の家族連れの平均料金は12万8571円で、前年から13%増加。5年前と比べると28%も増えた。 担当者は「ドライバーの人手不足に加え、燃料費の高騰も影響し、料金相場は上昇傾向にある。ピークの3〜4月はさらに値上がりしているようだ」とする。 鉄道・船舶に切り替え 1日に始まった運送ドライバーの残業規制も、運送各社にとって悩みの種だ。残業時間の上限が年960時間に規制され、違反すると会社側に罰則が科される。 1人当たりの労働時間が減るため、運送会社にとっては受注する仕事を減らすか、ドライバーを増やす必要があり、いずれにしても経営への打撃となる。特に運転時間が長くなりがちな長距離ドライバーの確保が難しくなっているという。 業界では、長距離便を鉄道や船舶の輸送に切り替える動きが出ており、業界大手「サカイ引越センター」(堺市)も今年1月、東京都にあるJR貨物の物流施設に倉庫を借り、鉄道輸送を活用している。 ― 引用終わり ― 「運賃が上がらないと、どうすることもできない」と言っている物流会社もあるらしい。 少々日当を上げたくらいでは片付くはずもない人口構成の問題であることに考えが及んでいない。 無理な納期、無理な業務量に対し、ヒトに無理をさせて対応してきた。 「できないことをできない」と言わない態度が問題の根底にあり、法令順守は二の次、無法者の新規参入者がいるので、構造改革がいっこうに進まない。 「運賃が上がらないと、どうすることもできない」物流会社もため息…“2024年問題”対策しようにも難しい現実日刊SPA! 2024年3月3日 今年4月からドライバーの労働時間に上限が設けられる。ドライバーの過重労働を軽減する目論見がある一方、賃金減少や離職、それに伴う物流の混乱が予想される。改革を前に、当事者は今何を思うのか? 現場の声を拾った。 ◆運賃安すぎ問題。30年間値上げなし、適正運賃無視の現実 九州で物流会社を営む松村忠彦さん(仮名・52歳)は、「4月からの時間外労働の上限規制は、あまりにも現場の実態と乖離している」とため息をつく。 松村さんの会社は20台近くのトラックを所有、地域で水揚げされた魚介類を九州から関西まで運送する。 「運賃は片道約15万円。高速代、燃料代、ドライバーの人件費などの経費を差し引き手元に残るのは約7万円程度です。帰りは水屋と呼ばれる業者から荷物を斡旋してもらい九州方面に運送しますが、この運賃は復路の経費で相殺され利益はほぼゼロ。会社を運営する上ではカツカツですね」 ドライバーの有効求人倍率は2倍超えと、常に人手不足の状況。「入社してもすぐ辞めてしまう人も多い」と、松村さんは言う。 ◆「無理な納期に対応しようとすれば、危険な状況になりかねない」 現在は月曜朝に九州を出発し火曜朝に関西に到着。水曜には会社に戻ることが可能だ。しかし、時間外労働の上限規制内で運送しようとすると、目的地への到着が1日遅くなる試算だ。 「対策として一台のトラックに2人の運転手を乗せれば、上限規制をクリアしつつ、今までのスケジュールで運搬が可能です。ただ、運賃が据え置きのままだと2人体制は現実的ではありませんね」 燃料費をはじめ経費は年々増える一方だが、30年以上運賃は上がっていない。 「国土交通省は距離に応じた適正運賃を定めていますが、うちのように守られていないケースも多い」 ― 引用終わり ―
2024年04月13日
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物流2024年問題に関する具体的回答が少しずつ現れてきている。 コカ・コーラ ボトラーズジャパンの店舗配送トラックが稼働していない時間帯に、ファミリーマート店舗への常温商品配送に使用する取り組みが始動した。 空白時間帯を埋める取り組み、空荷の荷台を埋めて輸送につなげる取り組みは、様々なされてきた。専用輸送の場合、多頻度、少量輸送のニーズなどに押されて実現されないことも多かった。うまく協業をはかって欲しいと思う。 ファミマ、コカ・コーラと「物流2024年問題」に向けてトラックを共有海老名・厚木周辺240店舗でITmedia ビジネスオンライン 2024年2月23日 ファミリーマート(東京都港区)とコカ・コーラ ボトラーズジャパン(同)は、神奈川県海老名市・厚木市周辺エリアで配送トラックの共同活用を2月上旬に開始した。「物流2024年問題」に向け、車両を有効に活用して配送効率を下げることなく、安定稼働を目指す。 ― (略) ― ヤマトは「物流2024年問題」と関係のないところで、短期の経営的な志向から、物流現場に混乱を引き起こしている。 2017年5月3日、ヤマトホールディングスが、2017年度にグループ全体の従業員を前年度比で約9200人増やすことが分かったと報じられた。正社員などフルタイムで働く従業員が約4200人、パートタイマーが約5000人。全従業員数は2017年度末に21万人となる。 2020年6月、ヤマトホールディングスは、新型コロナウイルス感染拡大で宅配便の取扱量が大幅に増えており、仕事の負担が重くなった従業員に報いる配達員らグループの従業員計約22万人に1人当たり最大5万円を支給したと発表した。 2023年6月、ヤマト運輸と日本郵便は、深刻化する物流のひっ迫に対応しようとメール便と薄型の荷物の分野で協業すると発表した。これに伴いヤマト運輸は、配達を委託している個人事業主・クロネコメイト約3万人との契約を2025年度末までに終了することを決めた。 2024年1月末、ヤマトは正社員ドライバーが十分ではない一方、個人事業主であるクロネコメイトとパート社員との契約を終了した。 日本郵便との協業の成果を総取り、固定費の削減を急ぐヤマト本社の施策は、荷物に対してドライバーが不足している物流現場の混乱を加速している。 東芝やダイハツの事例で明らかになったように、できないことを無理に進めると「モラルダウン」「不正」が増加する。宅配の模範生であったかつてのクロネコの姿はみえない。 〈ヤマト運輸・現場大混乱〉「食中毒事故を起こしかねない」ドライバーの分業制でクール宅急便のシステムが崩壊「休憩時間は1分もなく、遅配連発で客に怒鳴られ…」荷物を玄関先に放置するドライバーも…時間指定遵守率は驚異の10%以下に集英社オンライン 2024年2月11日 日本郵便との協業に伴い、今年1月末に約2万8000人の個人事業主(クロネコメイト)とパート社員との契約を終了したヤマト運輸。一方で、本社に振り回されているのは正社員ドライバーも同じなようで……。 時間指定遵守率は驚異の10%以下に ヤマト本社の方針転換による、現場で働く人間の悲鳴を、集英社オンラインはこれまで5回にわたって届けてきたが、今回の取材では「CD」(クールドライバー)に関する杜撰すぎるシステムが明らかになった。 「CD」とは、従来、「集荷」「配達」「営業」を兼ねていたセールスドライバーが分業制となって登場したクール宅急便(低温度帯での管理が必要な荷物)専門のドライバーのことだ。 それにしても、ヤマト本社はなぜドライバーの役割を分業制にしたのか。都内のセンター(営業所)でセンター長を務める男性はこう語る。 「近年、クロネコDM便などの小型荷物の配送は、サービス単価も低く利益が出しづらい不採算部署になっていました。それが今回の“クロネコメイト・パート切り”というコストカットにつながったわけですが、本社はドライバーに関しても利益の効率化に躍起になってます。その結果が都内の一部の主管(エリア)で去年の8月ごろから始まったドライバーの分業制なんです」 しかし、これが現場からは批判の嵐だという。 「CDは配達遅延の多さが尋常じゃなく、他のドライバーの間では『運送業のあるべき姿として許されない』『システムが崩壊している』とも囁かれています。ヤマトは指定された時間どおりに配送できたかデータを取っていて、僕の知るかぎりで時間指定遵守率の平均は97%ほど。 お歳暮やおせちなどの配送が多くなる7月と12月の繁忙期ですら、90%を下回ることはありませんでした。それがCD発足当初は10%以下という数字を叩きだしたんです」(同) CDに関しては、集英社オンライン編集部にも利用者から多くの情報提供があり、「クール宅急便の午前指定を頼んだら夕方に来たことがあり、非常に迷惑だった」(都内23区・40代男性)といった声も届いている。 優しい人への配達は後回し なぜCDでこのようなトラブルが相次いでいるのか。前出のセンター長が言う。 「CDの同僚の話では荷物が多すぎるから時間指定を無視し、担当エリアを一筆書きのように回るしかないドライバーもいるようで、『あまりにも仕事が辛すぎる』と嘆いていました」 また、本社から辞令が下りて都内でCDとして働くようになった正社員のドライバーは怒りをにじませながら説明する。 「CDは配送エリアがとにかく広いから、時間指定を気にしていたら荷物を配り終えることができない。もともとヤマトは各地にセンターを構えていて、ドライバーひとりあたりの担当区域が狭いので、クール(宅急便)の時間指定にも対応できました。 それが分業制となり、クール専門となったことでCDはひとりで3〜4センターのエリアを担当しなきゃいけなくなった。範囲が広がればそれだけ荷物の数は増えるし、担当区域の端と端で、同じ時間指定を希望するお客さんも出てくる。 おまけに都内23区は、パーキングエリアにトラックを停めて台車で配達しないといけない場所が多い。なので、現場では『C表』が出まくってるんです」 C表とは時間指定の荷物を時間外に配達してしまった際に記録されるもので、多発すれば給料にも響いてしまう。このドライバーも当初は遅配をして届け先から怒鳴られる日々だったという。 「個人のお客さんから怒鳴られるのはもちろん、飲食店向け食材のクールが遅れるとランチ営業に支障をきたしかねない。飲食店のオーナーに『なんで遅れるの? 本当に困るんだけど!』と店前で詰められたこともありました。 だからCDたちは配達遅延にうるさいお客さんの時間指定だけは守り、優しい人は後回しにしてごまかしながら回っているのが現状。実際、私も午前指定が重なる日は、優しい人の家に午後3時に配ったこともありました……」 さらに、少しでも効率的に回れるようにと、荷物の「玄関先放置」をしてしまうこともあるという。これは「時間指定無視」「対応悪し」と並ぶ“ヤマトの三悪”のひとつと言われている。 「飲食店のシャッターが開く前に、軒先にクールを置いて配完(配達完了)にしてしまうドライバーもいるそうです」(同) 置き配に関しても編集部に情報が寄せられており、「勝手にクール宅急便が置き配されていて、中身が溶けていた」(新宿区・50代女性)、「エントランス外の駐車場にクール宅急便がしょっちゅう放置されていて、利用者はドライバーに文句を言うと『センターが集約化されて、朝から夜までの配達分を持ってくる必要があるのでしかたない』と返された」(都内23区・性別不明)という状況のようだ。 ― 引用終わり ―
2024年03月07日
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日本の物流2024年問題が話題になっていたが、世界の海上物流の混乱も大きなものがある。 パナマ運河は水不足による通行量制限。スエズ運河はフーシ派による船舶攻撃による通行回避。 太平洋と大西洋を結ぶ閘門式パナマ運河は、水不足により船舶の通行料を制限しているため昨年から長期間にわたり船舶が渋滞している。 列の先頭に移動できる権利の入札額は過去最高の約6億円(397万5千米ドル)で日本のENEOSグループの企業が落札した。運河を通行するには別途、通常の通行料金を支払う必要がある。 パナマ運河の水不足問題長期的な解決策には多額の費用-成否不透明Peter Millard、Michael D McDonald2024年1月9日 Bloomberg→運河に水供給する人工湖や人工降雨技術、実行には何年もかかる→農家や牧場主、新たな貯水池建設に反対するため既に組織化 世界中に物資を運ぶ巨大な船舶から数百フィート離れたところに、やせ細った木の切り株が水面から姿を現している。100年以上前にパナマ運河をつくるために水没させた森林地帯の跡だ。乾期の真っただ中に現れることは珍しくないが、今は雨期の直後で、通常なら完全に水没しているはずだ。 年間2700億ドル(約39兆円)相当の世界貿易を扱う水路が、いかに干ばつで機能不全に陥っているかを示している。簡単な解決策はない。パナマ運河庁は、運河に水を送り込むための人工湖や、人為的に雨を降らせる方法などの策を検討しているが、いずれの選択肢も、実現可能であるとしても実行には何年もかかるだろう。 水位が通常より6フィート(約1.8メートル)低いため、パナマ運河庁は通航可能な船舶の数に上限を設けた。昨年末に実施された制限は、米国が事実上の支配者だったマヌエル・ノリエガ将軍を排除するためにパナマに侵攻した1989年以降で最も厳しいものだった。パナマ運河の異例の渋滞を受け、ある船主は数百万ドルを支払って列の先頭で通過。アフリカや南米を回る、より長くコストのかかる航路を選ぶ動きもある。 ― 引用終わり ― 慢性的な水不足に対する主な解決策はインディオ川をせき止め、山を貫くトンネルを掘り、運河の主要貯水池であるガトゥン湖に8キロメートルにわたって淡水を送り込むこと。総工費20億ドル、貯水池を満水する期間6年。 アジアと欧州を結ぶスエズ運河ルートは、世界の海上コンテナ輸送全体の約10%を占めるとされる。 2023年11月以降、紅海上でイエメンの反政府勢力フーシ派のミサイルやドローンによる攻撃が行われ、昨年12月24日から今年1月2日のスエズ運河経由の船舶運航は前年同期比20%減少した。はるかに遠い喜望峰ルートの選択が増えている。紅海はスエズ運河経由でアジアと欧州を結ぶ最短の航路であり、商船が南アフリカの喜望峰沖に迂回するルートを選んだ場合、輸送期間が2週間は長くなる。 ガザ地区のパレスチナ人に連帯すると主張するフーシ派の船舶攻撃で大きな経済的打撃を受けているのは、スエズ運河の通行料を外貨の獲得源とするエジプト政府。 また、コスト増や出荷遅れにより中国の輸出産業を直撃している。中国から欧州向けに輸出される製品の約6割がスエズ運河を経由しているという。 生産拠点を中国に置く企業は、近年地政学的な緊張から脱中国の動きが広がってきたが、紅海の問題はこの流れをさらに加速してる。 スエズ運河ルートを回避!フーシ派の船舶攻撃世界の物流混乱2024年2月2日 NHK 国際ニュースナビ 炎が吹き上がる石油タンカー。イスラム組織ハマスとの連帯を掲げるイエメンの反政府勢力フーシ派による攻撃を受けたものです。 紅海とその周辺での船舶攻撃が止まりません。その影響で多くの船舶がアフリカの喜望峰を回るルートに迂回うかいすることを余儀なくされ、日本を含む世界の物流や経済に影響が及び始めています。 ガザ地区での戦争が世界の人々の暮らしにダメージを与えつつあります。(紅海攻撃取材班) 喜望峰に船舶集中 アフリカ南端に位置する喜望峰。15世紀、航海者のバルトロメウ・ディアスによって発見された岬で、強風が吹き荒れることから「嵐の岬」と言われていましたが、この沖合を通過してインドへの航路が発見され、「良い希望の岬」という名前に改名されたといわれています。 現地を訪れると、ふだんより多くの貨物船やコンテナ船が行き交っていることが確認できました。ヨーロッパとアジアを結ぶ最短ルートである紅海での攻撃が相次ぎ、迂回する船舶が後を絶たないのです。 ― 引用終わり ―
2024年02月15日
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2023年10月から、日本郵政グループとヤマトホールディングス(HD)の協業がスタートした。 カタログなどをポストに投函して送る「クロネコDM便」は2024年1月に終了し「クロネコゆうメール」に切り替わる。小型荷物を配達先のポストに投函する「ネコポス」も2023年10月から順次移管し、「クロネコゆうパケット」に変わる。ヤマトは集荷のみ行い、配達業務を日本郵便に委託する。 契約を終了するクロネコメイトは全国で約3万人。 ヤマト運輸は、メール便や小型荷物の配達を委託している「クロネコメイト」と呼ばれる個人事業主との契約を1月31日までに全て終了することを決定。日本郵便でDM便を担うのは正社員と期間雇用社員。 2024年1月9日、契約打ち切りの当事者の配達員や支援する労働組合が、東京都港区のヤマト運輸本社前で抗議活動を行った。 労組は撤回を求めて団体交渉を申し入れたが、ヤマトは個人事業主については「法律上の労働者にあたらない」として拒否されたため、建交労軽貨物ユニオンが東京都労働委員会に救済を申し立てている。 〈ヤマト委託・パート切り騒動〉「生活は大変になるけど…」約2.8万人が1月で契約終了。当事者たちに今の心境を聞いてみた。ヤマト社員は「本社はいったい何を考えているのか」集英社オンライン 2024年2月3日 … (略) …クロネコメイトには再配置の打診がなく…… 「昨日(2月1日)はウチのセンターにも重い空気が漂ってましたよ。メイトさん(クロネコメイト=小型荷物の配達を委託されていた個人事業主のこと)とは気まずくて、『これまでお世話になりました』とか『またお茶でもしましょう』くらいの軽い挨拶で終わりましたから……」 そうため息をつくのは、関西エリアで長年パート社員として働いている女性だ。 ヤマト運輸は日本郵便との協業に伴い、ポスト投函が可能な小型荷物配達サービス「クロネコDM便」を今年1月末に終了させた。これによって、このサービスの配達業務を担当していた個人事業主(クロネコメイト)2万5000人と、仕分け業務をしていたパート社員約3150人が契約終了となり退職した。 パート社員に関しては、当初、約4500人すべてが契約終了する予定だったが、茨城県土浦市にあるベース店(=ターミナル拠点)で働くヤマトのパート社員18人が労働組合を結成し、10月16日に団体交渉を行なうと、ヤマト本社は対応を一変。パート社員の契約終了を見直して全員の希望を確認する方針となり、うち1350人が社内に再配置というかたちでヤマト運輸に残ることとなった。 しかし、クロネコメイトたちには、そのような打診はなかったようだ。冒頭の女性パート社員は言う。 「ウチのセンター(宅急便センター)でも昨年の11月ごろに本社の対応がガラリと変わって、私たちのようなパート社員には配置転換の相談がありました。でもDM便に携わるメイトさんへの対応は一切変わらず……。結局、ウチも10名ほどのメイトさんが契約を打ち切られました。 通常、誰かが辞めるときは飲み会やご飯会が行われるんですが、昨日はそうした雰囲気は一切ありませんでしたね」 クロネコメイトは50~60代も多く、新たな働き口を見つけることに不安を募らせる人も多かったという。 「『この年齢で雇ってくれるか不安だ』とか『新しい職場でまた一からで溶け込めるだろうか』と不安を口にされる方もいました。メイトさんの中には、ここのお給料で親の介護費や子どもの学費を出している方もいましたし……。 なによりここで休憩時間に同僚とおしゃべりすることを楽しみにしてた主婦のメイトさんも多く、あるメイトさんは『みんなと離れ離れになるのが寂しい』と言ってましたよ」 配置転換打診もパート社員の7割が退職 一方で、配置転換の打診を受け入れたパート社員も新たな火種に…。ベース店で働くヤマト正社員はこう証言する。 「DM便からクール便や宅急便の仕分け業務に配置転換されたパートさんもいますが、運送業界では1~2月は閑散期。荷物の量に対して、パート社員が多すぎるという状況になっています。もっと他に人が足りない場所はあるというのに、本社はいったい何を考えているのか……」 前述したように、配置転換を受け入れずに退職したパート社員は約3150人で、全体のおよそ7割にあたる。 これほどの人数があえて退職したのはなぜか。ヤマト正社員が続ける。 「ウチのベース店でも『今後もどういう風に扱われるかわからない』とか『もう信用できない』と愚痴をこぼすパートさんはいましたよ。シングルマザーで親の入院費を工面していたパートさんも、『これからお金のやりくりは大変になるけど、もうヤマトにはいたくないので』と言って辞めていきました」 首都圏でDM便ドライバーとして働いていた40代女性は、配置転換を打診されたものの、それを蹴って1月末で退職したという。 「今さら受付業務や荷物の仕分けに回されても困ってしまうし、収入も減ってしまうから転職することに決めました。基本給3ヶ月分の慰労金ももらえることだし、しばらくゆっくり転職活動をします。同じように辞めたパート社員の中には『やっとヤマトから解放された』と話す人もいましたね」 ― 引用終わり ― 今後もEC市場の活用により取扱量の増加が予想される宅配業務の厳しさが伝わる。 人口減少社会への対応は進んでいるようには見えないが、パート社員を切ってヤマトの運営は大丈夫なのだろうか。 ヤマトホールディングス 公式サイト重要なお知らせ2024年02月01日【2024年2月1日更新】投函サービスの業務移管に伴う当社の対応について(ヤマト運輸) ヤマト運輸株式会社 ヤマトグループは、物流業界が抱える社会課題の解決に貢献し、持続可能な物流サービスの実現に向けて、日本郵政グループとの協業に関する基本合意書を、2023年6月19日に締結しました。両グループの有する経営資源を有効活用した顧客の利便性向上に資する輸配送サービスを構築することで、相互の事業成長を図るとともに、物流業界が抱える「2024年問題」や環境問題などの社会課題の解決に取り組んでおります。 2023年10月1日から新たな投函サービス「クロネコゆうパケット」を一部エリアから発売を開始し、2024年2月1日から「クロネコゆうメール」を全国で発売するなど、着実に協業を推進しております。 本協業により、クロネコDM便に関連する配達や仕分け作業に関する当社内での業務を終了することに伴い、当該業務に係る皆さまとの契約は、2024年1月31日をもって終了いたしました。 契約終了にあたり、配達業務委託契約を締結していた個人事業主(クロネコメイト)の皆さまにつきましては、契約年数に応じた謝礼金(3万円から7万円)のお支払いや、2023年10月10日に立ち上げた支援サイトのご活用をご案内いたしました。 雇用契約を締結していたパート社員の皆さまにつきましては、約3カ月分の賃金相当額の慰労金のお支払いや、年次有給休暇の残日数の買い上げ、支援サイトご活用のご案内に加え、社内での再配置提示を行いました。以上の結果、すべての方と当該業務に関わる雇用契約の終了について合意、または社内での再配置に伴う新たな労働条件の合意に達しました。 共同作業所などの障がい者支援団体につきましては、日本郵政グループでの業務委託について協議を行い、日本郵政グループでの配達業務の継続を希望される団体については、同グループと業務委託契約を締結するなど、業務継続に向け調整を進めております。 当該業務を支えていただいたすべての皆さまに、あらためて心から感謝を申し上げます。 以上 ― 以下略 ―
2024年02月10日
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2020年10月、日本郵便はメルカリ向け配送サービスで、ゆうパケットの配送料の値上げに踏み切った。メルカリからの荷物が足元で好調に増えていたため、多少値上げしても影響は限定的と見込んでいた。 競合のヤマトはメルカリからの荷物を確保すべく、むしろネコポスの配送料の値下げに転じた。これに伴い小型荷物の利用者が日本郵便からヤマトに流出し、ゆうパケットは大打撃を受けた。その一方で、ネコポスは大幅に取扱個数を伸ばした。2021年4月の取扱個数は3126万個で、前年同月比で50.9%も増加した。 攻勢に出たヤマトの現場のオペレーションは苦しい面があった。ヤマトの自社戦力は2トン、4トントラックが中心だ。宅急便は得意でも、単価が安い小型の荷物を多く投函するには、委託に頼らざるを得ず、ネコポスなどの投函の商品は仕分けなども宅急便とは別の仕組みになっていた。 2023年6月、ヤマトは小型荷物やメール便の配達業務を日本郵便に移管することを決めた。10月からは日本郵便への荷物の移管が始まった。 ヤマトは配達業務の移管にあたり、クロネコDM便の配達を担ってきた個人事業主・クロネコメイトの契約終了(最長で2024年度末)に向けた対応を進めている。対象者は約3万人。個別に数万円の謝礼金(就労期間などいくつか条件あり)を支払うほか、10月の早い段階で就職支援サイトを立ち上げ、メイト向けに紹介する。 ヤマトは日本郵便の仕事もサイトを通じて紹介する方針だが、日本郵便でDM便を担うのは社員。正社員と期間雇用社員(時給制の契約社員)が配達している。日本郵便では「自由な時間に好きなだけ働く」という労働環境はない。日本郵便は「個人委託ではなく期間雇用社員の募集を行い、面接等で選考の上、採用する」方針で雇用のミスマッチが生じる可能性が大きい。 ヤマトが再就職を支援しても、メイトが同じ条件の仕事を見つけるのは難しそうだ。 10月13日、ヤマト運輸の茨城ベース(茨城県土浦市)でメール便の仕分け業務などを担当するパート社員18人は、労働組合「ヤマト運輸茨城班」を結成した。現在、会社側から2024年1月末での契約終了を迫られており、撤回を求めて交渉を始めた。 2023年11月、宅配便大手ヤマトホールディングス(HD)は、2024年3月期の業績予想を下方修正した。売上高に相当する営業収益は前期比0.9%減の1兆7850億円、営業利益は同8.2%増の650億円とした。下方修正の主な要因はEC需要の想定以上の伸び悩み。宅配便の個数はEC需要の減少などで9億1195万個(同3%減)に減少した。 ヤマト運輸の大幅遅延に「私たちができること」 物流2024年問題を前に消費者側の努力も重要だ東洋経済オンライン 2023年12月15日 ヤマト運輸は12日、仕分けターミナル「羽田クロノゲート」における機器の一部故障が原因で、 東京都や千葉県の一部地域において、荷物の配達や、当該地域宛の荷物の預かりを停止していることを明らかにしました。その後、預かりは再開されましたが、疲弊する物流業界に思わず心配してしまった人も少なくないのではないでしょうか。 新著『買い負ける日本』が話題を呼ぶ、調達のスペシャリスト・坂口孝則氏による不定期連載「世界の(ショーバイ)商売見聞録」。著者フォローをすると、坂口さんの新しい記事が公開されたときにお知らせメールが届きます(著者フォローは記事最後のボタンからできます)。物流危機の予兆のようにも思える今回のトラブル ヤマト運輸の「羽田クロノゲート」のトラブルが話題になっている。機器が故障してしまい、東京の一部地域への配送が滞っているのだ。現在の状況では荷物の預かりに関しては、12月14日に再開している。 現在は年末商戦のピークであり、さらに今年は大手企業を中心に年末賞与が増加した関係もあって、消費マインドが刺激された。読者の少なからぬ比率もECサイトなどで消費したに違いない。あるいは家族や近しい人向けにプレゼントを購入したかもしれない。 その中にあって、ヤマトのトラブルが私たちに突きつけたのは、物流の逼迫さだ。現在、「物流2024年問題」なる単語を聞いたことがある人は多いだろう。2024年から法令においてドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限される。 これはあくまで時間「外」だ。それであっても960時間に制限されることで影響が出る、ということは、既存ではどれくらい過重労働かを想像できるだろう。その制限によって、つまり運べなくなる。 ただでさえ、キャパがギリギリで、そのうえで2024年問題がやってくる。ヤマトの今回のトラブルは、どこか物流危機の予兆のようにも思える。 物流領域における生産性の向上や省人化が叫ばれている。そして、私たち“物流サービスを享受する立場”から何ができるか。これを考えるのが当稿の役割だ。 日本の物流の状況は? 輸送トン数は意外にも… ところで、私は物流の状況についてインタビューを受けたり、個人的に質問をされたりする。そのときに「日本で運ばれている貨物は減っているんですよ」という。すると、印象とまったく違うからか、驚かれる。 たとえば、さまざまな統計があるが、「日本のトラック輸送 産業現状と課題 2022(全日本トラック協会)」等を見てみよう。そこで、「輸送トン数の推移」を確認すると減少しているとわかる。 冷静にいえば「輸送トンキロの推移」という指標がある。これは、トン=重さ、だけではなく、キロ=距離をかけあわせたものだ。それを見ても、減少、あるいは横ばいという傾向が見て取れるだろう。 その理由は、端的に3つである。 ①まず日本は製造業が海外に流れていた。したがって、もっとも大きな製造業の企業間物流が減少していった。 次に②経済のソフト化だ。日本が脱ものづくりに動くと同時に、現在ではGAFAMを代表とするようなソフト・ITが経済の主流になった。Amazonは例外だが、基本的にはモノを介在しないビジネスが多くなった。 そして③はトラック運転手不足でそもそも運べない。これは予想された未来だった。古くは、2008年9月に国土交通省は「輸送の安全向上のための優良な労働力(トラックドライバー)確保対策の検討」という報告書を発表し、ドライバーがいなくなると予想し、そのとおりになった。 この数値が、印象と異なるのは、きっと個人の買い物ではECばかりになっているためではないだろうか。たとえば「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」(経済産業省・国土交通省・農林水産省)を見てみよう。 ここでは「物流の現状:EC市場の推移・規模、宅配便取扱個数・再配達率」という項目が設けられており、EC市場の急増と宅配便取扱実績が急増しているとわかる。 想像してほしいのだが、工場から工場に大型プレス部品が運ばれていたところ、日本は脱ものづくりを志向し、それらの配送品は減った。残ったのは(言葉が悪いが)儲からない、小物のEC物流のみだった、というわけだ。 ― 引用終わり ― ヤマト、佐川、日本郵便は巨大になった宅配と宅配システムの対応に難渋している。ここに物流2024年問題が大きな負荷として加わる。
2023年12月30日
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日本経済は失われた数十年の間に資本主義経済の基本、需要と供給の変化による価格の変化という原則から逸脱してしまった。 需要が多くとも価格引上げを許さない構造が跋扈し、コストアップにより倒産が相次いでいる。 もともと安価な輸送手段として市場を維持してきた「軽貨物運送」が、コストアップにも関わらず輸送量を引き上げることができず続々と倒産している。 統計にのるかどうか分からない街の飲食店も高齢化、後継者不足などもあり倒産している。 人口減に加えて、社会主義経済のような小売り価格固定の日本経済が上向きになる可能性は非常に少ない。 宅配サービスにせまる危機…軽貨物運送の倒産が急増、過去最多にまいどなニュース 2023年11月26日 8時10分 便利な「宅配サービス」に危機がせまっています。株式会社帝国データバンク(東京都港区)がこのほど発表した「軽貨物運送倒産動向」によると、個人宅への配送など物流の最川下・「ラストワンマイル」物流を担う「軽貨物運送の倒産件数」は、2023年1~10月に「35件」となり、過去最多を更新したことが分かったそうです。 調査は、2023年10月31日までに負債1000万円以上の法的整理による倒産件数を集計したといいます。 黒ナンバーの軽バンを使用し、個人向け小型荷物などを取り扱う軽貨物運送は、コロナ禍でネット通販の需要が高まった「宅配特需」で参入が増加。個人宅への配送を請け負うラストワンマイル物流の担い手としてその重要度が増してきたといいます。 しかしながら、「軽貨物運送の倒産件数推移」を見ると、2023年10月までに「35件」発生しており、すでに2022年通年の件数(22件)を上回って過去最多を更新しました。 同社は、「軽貨物運送ではフリーランスの委託ドライバーや小規模零細企業が多く、件数に表れない廃業などを含めればより多くの軽貨物運送業者が淘汰されている可能性がある」とコメントしています。 軽貨物運送の重要度が増している一方で、配送ドライバーの残業増に対応した人件費や、燃料価格の高騰によるコスト負担が増加するなど、逆風に直面しているといいます。 運賃単価の引き上げ交渉が厳しいことや、他社への再委託など多重下請構造を背景に、コスト増に見合う十分な運賃収入が得られないことから、2022年度は軽貨物運送の23.9%が「赤字」、減益を含めた「業績悪化」は56.9%に上っています。 さらに、2024年以降は時間外労働の上限制限で人手不足が表面化するとみられるほか、参入事業者の増加による低価格競争の激化、インボイス制度導入によるコスト増など、課題が山積していることから同社は、「各種負担に耐え切れずに事業継続を断念する中小の軽貨物運送業者が今後も増加すれば、質の高い宅配網が維持できなくなる『宅配クライシス』が現実となる可能性もある」と述べています。 ― 引用終わり ― 荷主は過去の好不況のように、一時的なものととらえる向きも多いのかもしれないが、若年労働人口が継続的に大きく減少している現在の日本では、そうはならない。 インフラが崩壊あるいは解体されると、利幅の絶対値の少ない事業は霧消する。 生き残れた軽貨物事業者に依頼が集中して大規模化するような事態があるかどうかは、分からない。
2023年12月29日
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現在、日本の各地、とりわけ地方ではJRを中心に深刻な鉄道の赤字路線が増加し、維持が困難だと思われる路線が次々とクローズアップされている。 その代替手段として固定費が低く維持費が少ないバスへの転換が行われてきた。 運転手についても労働時間の規制が強化される「2024年問題」の前からこれだけ人手不足による運休や廃止が続くと、いずれ鉄道も消え、代わりのバス路線も維持できないという、「移動の空白地帯」が各地に生まれてくることになる。 公共交通機関は社会インフラであり、公共交通機関がないところで現代の「交通弱者」は暮らせない。 都市部でも進む「路線バス廃止・減便」の大問題 給料安く負担大、運転士不足に陥るのは当然だ東洋経済オンライン / 2023年11月15日 6時30分 路線バスが厳しい状況にあることを、切実に教えられるニュースが9月にあった。大阪府の富田林市など4市町村を走る金剛バスが、運転士不足などを理由にバス事業を廃止し、12月20日で全15路線の運行を終了すると発表したのだ。 公共交通の危機的状況が表面化 今年は4月にJR西日本が、2019年度の輸送密度が1日2000人未満の線区について、収支率などを開示したことをきっかけに、他の鉄道事業者からも同様の発表が相次ぐ結果になった。そして今回のニュース。日本の公共交通が危機的状況にあることを、多くの人が認識したのではないだろうか。 金剛バスについては、関係する4市町村が法定協議会を開き、この地域で運行している近鉄バスと南海バス、自治体のコミュニティバスが当面、路線を継承しようということになっているそうだが、減便は避けられないという。 運転士不足の理由の1つに挙げられているのが、2024年4月以降、トラックやタクシーを含めたドライバーの年間時間外労働が上限960時間に制限されることだ。金剛バスについても、運転士を増やさないと運行ができない状況だったという。 さらには新型コロナウイルス感染症の流行で離職した運転士が戻らなかったことや、その後の外国人旅行者の急回復で観光バスの運転士需要が高まり、待遇のよいそちらに流れていることもあるという話も聞く。 これまでは主に地方で、人口減少や高齢化が進んでいて、ドライバーのなり手がいないという報道が多かった。それだけに、大阪府のバス会社が事業廃止というニュースに驚いた人もいたようだが、実は東京23区でも、路線バスの廃止や減便は多くなっている。 都心部でも進む路線の廃止・減便 筆者の自宅近くにある中野区の南部高齢者会館とJR東日本・東京メトロの中野駅を結ぶ路線は、それまで7時から19時まで1時間1本だったのが、2019年2月から朝夕3本ずつだけになると、今年3月のダイヤ改正で路線そのものが廃止となり、バス停も消滅してしまった。 少し離れた場所にバス停はあり、そこは日中でも10分に1本のわりで便があるのだが、運転免許を返納した人も足を運ぶであろう高齢者のための施設に向かうバスが、路線もろともなくなったというのは衝撃だった。 気になって調べてみると、最近東京都内で減便や路線廃止となった路線がいくつかあることがわかった。路線バスに乗ると、必ずと言っていいほど運転士募集の広告を目にするが、それでもあまり集まらないということなのだろう。 運転士不足は意外なところでも影響を及ぼしている。 石川県の北陸鉄道は、鉄道路線のうち金沢市から南へ向かう石川線について、少し前から鉄道のまま残すか、BRT(バス高速輸送システム)に転換するかという議論が続けられていたが、8月末に鉄道として存続させるという方針が出された。 理由として挙がったのが、BRTに転換した場合の運転士不足だった。鉄道での存続が難しければバスに転換という常識は、通用しにくくなっているということになる。 ではなぜ東京や大阪を含めて全国的に運転士不足なのか。やはり労力に対する待遇がよくないからだろう。 渋滞もある道路を、自転車や路上駐車車両を避けながら、乗客の安全快適を第一に走行し、停留所との間隔が小さくなるように停め、両替を含めた運賃収受のみならず行き先案内も行う。路線バス運転士の業務が大変であることは端で見ていてもわかる。 このうち乗客の安全確保については、10月下旬から11月上旬にかけて、東京ビッグサイトで開催されたジャパンモビリティーショーで、興味深い話を聞いた。 日本と欧州のバスの違い このショーではいすゞ自動車が、電動のフルフラットバス「エルガEV」を世界初公開していた。2024年度中の発売を目指すという同車は、左右の後輪それぞれにモーターを1個ずつ装備することでドライブシャフトをなくし、駆動用バッテリーは屋根上に置くことで、車体後端近くまで低床を実現した。 車内に入ると、その場に居合わせた関係者が、欧州で走っているフルフラットバスとの違いを説明してくれた。 欧州のフルフラットバスでは後輪部分の座席が、日本製の車両の前輪上にある通称「オタク席」と同じように、高い位置にある。そのほうがスペースを無駄遣いしないからだ。しかしエルガEVでは、低い位置に設置していた。 その理由として、欧州では急ブレーキなどで乗客が座席から落ちた場合、乗客の責任となるのに対し、日本では乗務員の責任となるので、安全性を考えてこのようにしたと語っていた。 たしかに筆者が欧州で乗ったフルフラットの路線バス車両は、後輪上の座席がかなり高い場所にあった。さらに日本のように発進の前に乗客に着席などを促すようなアナウンスはなく、ドアを閉めるとそのまま走り出していた。 筆者はアナウンスがなくてもよいし、後輪上の座席の前には手すりがあったので床に転げ落ちる恐れは少なく、これで大怪我をするなら乗客の責任ではないかと考えたが、日本ではとにかく乗客第一の風潮があるようだ。 重労働なのに給料が安い このエピソードからも、日本のバスの運転士が心身ともに重労働を強いられていることがわかる。にもかかわらず給与は安い。これではなり手が少なくなって当然だろう。 厚生労働省の「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」によると、2021年のバス運転者の年間労働時間は2232時間で、コロナ禍で減少したにもかかわらず、全産業平均(2112時間)より長かった。また、年間所得額は404万円で全産業平均(489万円)を下回った。 一連の流れを生んだきっかけの1つに、2012年に大阪市が、当時は市営だったバス運転士の年収を4割もカットしたことがあると考えている。 在阪の大手私鉄系バス会社の最低水準に合わせる引き下げとはいえ、4割というのは普通は考えられない数字だ。しかし当時は市営バスの運転士は高給取りというイメージがついており、多くの人から歓迎された。 ちなみにここで参考にした大手私鉄系バス会社の中には、その前に鉄道会社から分離独立した事業者もいくつかあった。たとえば大阪市が参考にした南海バスは2001年に、南海電気鉄道から分離独立している。 鉄道会社がバス事業を分社化する理由として多いのは、バスは鉄道に比べて利用者数に対する人件費の割合が大きいので、同じ賃金体系とすると会社の運営が厳しく、分社化することで賃金体系を変えたいというものだ。 同じように人件費を理由として、公営バスの民営化も進んだ。大阪市も例外ではなく、2017年に大阪メトロ(大阪市高速電気軌道)の子会社として大阪シティバスが誕生している。 ー 引用終わり ー 公共交通機関を社会インフラとしてとらえ、地域の発展性など幅広く費用対効果を考慮すると、「公共交通機関無料」という考え方がでてくる。 利用者の利便性だけをとらえた受益者負担からの発想の転換が必須となる。 「電車もバスも無料」の自治体が欧州で拡大中 なぜ無料に?2018年11月5日(月)19時40分<公共交通機関を無料にしている自治体が欧州で増えている。その理由は...>タリン、ダンケルクなど比較的大きな都市でも 電車やバスの交通費って、わりとばかにならない。郊外に住んでいたり、通学や通勤などの定期券がなかったりすると余計に痛感するものだ。しかしそれを無料にする動きが、ヨーロッパを中心に世界で拡大している。 ベルギーのブリュッセル自由大学で公共交通機関の無料化について研究しているヴォイチェフ・ケブロウスキー博士は、米雑誌ジャコバン(8月24日付)で、公共交通機関を無料にしている自治体は世界中で少なくとも98あるとし、特定の区域や時期だけを無料とする自治体は数百に達すると説明している。 英ガーディアン紙が同じくケブロウスキー博士の調査として引用した数字によると、2017年の時点で公共交通機関を無料にしている自治体の数は、ヨーロッパで57、北米で27、南米で11、中国で3、オーストラリアで1となっている。 それまでは比較的小規模の自治体で行われてきたが、エストニアの首都、人口約44万人のタリンも2013年、公共交通機関を無料にした。住民登録している市民だけが対象で、2ユーロ(約250円)で「グリーンカード」を購入すると、それ以降は市内のバス、トラム、トロリーバスの運賃がすべて無料になる。 また今年9月、フランス北部の港町、都市圏の人口が約20万人に達するダンケルクでも、公共交通機関を無料にするプロジェクトがスタートした。ダンケルクには地下鉄やトラムなどはなく公共交通機関といえば路線バスだけだが、ダンケルク住民のみならず観光客などすべての人が無料で利用できる。バスではモバイル機器が充電できたり、Wi-Fiが利用できたりする上、「スポーツ・バス」と呼ばれるゲームやクイズが楽しめるバスも運行中で、運営組織は今後、ディベートや音楽が楽しめるバスも計画しているという。 なぜ無料に? 交通機関の運賃が無料になるのは、利用客にとってはもちろんいいことづくめだが、運営側にとっての利点は何だろうか? ケブロウスキー博士によると、世界で初めて公共交通機関を無料にしたのは1962年、米ロサンゼルス郊外のコマースという町だった。公共交通機関の利用者を増やし、自動車インフラへの投資額上昇を抑える効果を狙い、1970〜1990年代は公共交通機関の運賃を無料にする自治体がロス郊外に多くあったという。 また、ベルギーのハッセルトでのケースも有名なようだ。ハッセルトでは当時、交通渋滞がひどかったため環状道路の建設が計画された。しかし1996年、当時の市長は「必要なのは新しい道路ではなく新しいアイデアだ」として建設計画を中止。代わりに公共交通機関の運賃を無料にしたという。翌1997年から始まった公共交通機関の無料制度は結局、運営コストの増加と自治体の変化に伴い2014年に終了したが、16年にわたり公共交通機関は無料で運営された。 ケブロウスキー博士はジャコバンの記事の中で、切符を販売し、確認し、管理する機器や現金管理の設備が不要になるだけで、コストが浮くと指摘。また、もともと運賃からの収入で賄えるのは、運営の一部だけだと説明している。ガーディアンは、ダンケルクの場合、交通機関の運営費4700万ユーロ(約60億円)のうち、運賃で賄えたのは約10%に過ぎなかったと説明している。 一方で、例えばタリンの場合、2012年5月(運賃の無料化の7カ月前)から2016年5月の4年間で、市の人口は41万5000人から44万人に増加。明らかに、公共交通機関の無料が理由だとケブロウスキー博士は指摘している。タリンでは住民一人あたり平均で年間1600ユーロ(約20万円)の所得税を徴収しており、人口増加分2万5000人で計算すると、年間4000万ユーロ(約51億円)の増収となる。運賃の撤廃による減収額1220万(約16億円)を大きく上回り、利用客増加に伴う交通機関への新規設備投資分を除いても、タリン市は運賃を撤廃したことで年間1630万ユーロ(約21億円)の増収になったとケブロウスキー博士は説明する。 公共交通機関の無料化を求める人たちの意見には他にも、医療機関や教育、公園、道路、街灯、図書館などと同じように、交通機関は公益のものと捉える考えや、貧困層に使いやすくして社会的に公平な設備にするべきだという考えもあるようだ。 しかし当然ながら、どの都市にも適しているというわけではないようだ。例えばパリではイタルゴ市長が3月、空気汚染の軽減に向けた取り組みとして公共交通機関の無料化を検討する意向を明らかにした。しかし納税者の負担になるとして反対する声が大きい。 ロイター通信によるとパリの場合、運賃からの収入は30億ユーロ(約3865億円)で、年間運営予算(100億ユーロ、約1兆2885億円)の約3分の1を占めるため、無料にした際の経済的な影響は大きい。また、パリの公共交通機関はすでにヨーロッパ屈指の利用率の高さを誇っており、無料にした場合に増える利用客はこれまで自転車や徒歩で移動していた人だとの検証結果もあるため、車の利用を減らすには至らないと指摘する声も上がっている。 ― 引用終わり ― パリと観光都市京都の公共交通機関の抱える課題は共通点があると見受けられる。 財政が豊かであれば環境問題対応から公共交通機関利用促進・利便性向上のため、運賃無料の決断もできる。 ルクセンブルク「公共交通無料」はどれだけ便利?乗り物も個性的、風光明媚な車窓が満喫できる森口 将之 : モビリティジャーナリスト2022/12/01 東洋経済 オンライン ルクセンブルクという国を知っているだろうか。欧州にある小国で、面積は神奈川県ぐらいしかない。ドイツ・フランス・ベルギーに囲まれた内陸国で、日本からアクセスする場合はドイツのフランクフルトやフランスのパリから行くのがポピュラーだ。 この小さな国が最近、交通関係者の間で注目されている。2020年3月から公共交通を無料としたからだ。欧米では以前の記事「公共交通『住民はタダ』、なぜ実現できたのか」で紹介したエストニアの首都タリンのように、都市や地域について無料化の実例はあったが、国全体では初めてと思われる。 無料化に踏み切った背景 欧州の都市交通は日本と違い、税金や補助金を主体とした運営をしている。ルクセンブルクについてもそれ以前から、収益に占める運賃収入は1割程度だったそうで、公共交通の運賃は1日4ユーロに抑えられていた。 それを無料とした理由として挙げられているのが、この国の裕福さだ。国民ひとりあたりのGDPは世界一で、自動車保有率はEUでトップレベルである。住宅価格も上昇しており、国外からの越境労働者が増えている。その結果、交通渋滞や大気汚染が問題になりつつあり、解決策として無料化に踏み切ったという。 ― 引用終わり ― 財政的に裕福ではなくとも、街の将来性を考えて北九州市は期間限定で公共交通機関の運賃無料を実施した。 人口減少の負の循環を断ち切るための、子育てに手厚い施策の多い自治体に住民が増えている現象に呼応する取り組みと思える。 子育て政策に財源論を唱えて反対を唱える自民党の亡国議員には理解できない取組だ。 公共交通が無料になった!赤字のバスやモノレールをあえて乗り放題にした北九州市「便利さを実感してほしいから」2023/09/04 RKBオンラインRKB岩本大志 9月最初の日曜日。北九州市は、モノレールやバスなどの公共交通機関の運賃を無料にしました。 財政状況が厳しい自治体があえて「無料」にふみきったのはなぜでしょうか。 目 次1.無料の対象は5つの公共交通機関2.普段は乗らない人もたくさん並んだ3.無料になる運賃の総額は約8500万円4.財政厳しい北九州市 なぜ無料に?5.逆転の発想で赤字路線を無料にした6.無料日の利用者は1.8倍に無料の対象は5つの公共交通機関 9月3日(日)に北九州市が実施した「公共交通市内1日無料デー」 市内を運行する西鉄バスと市営バス、北九州モノレール、筑豊電鉄のほか、北九州市の門司港と山口県下関市を約5分で運航する関門汽船、あわせて5つの公共交通機関が1日乗り放題となりました。北九州市では初めての取り組みです。 普段は乗らない人もたくさん並んだRKB岩本大志記者 「北九州モノレールです。きょうは運賃が無料ということもあって、多くの人が列を作っています」 この日は小倉競馬場でレースが開催されていたこともあり、小倉駅のモノレール乗り場は、朝から混雑していました。 並んでいた親子連れは子供「モノレールに乗って、連結バスに乗って、いっぱい乗り物に乗りたいです」母親「これまでなかなか乗る機会がありませんでした。無料なのでこの機会に乗ってみようと思いました」 ガソリン価格の高騰もあり、普段は車を使って移動するという利用者からも歓迎の声が。利用客「バスも無料でモノレールも無料で。毎週してほしいですね」 無料になる運賃の総額は約8500万円 この取り組みは、新型コロナや物価高の影響を受けて外出を控えるようになった市民や観光客への支援策として、北九州市が初めて企画したもの。9月から11月まで毎月1日ずつあわせて3日間を「無料デー」にします。 北九州市によると、無料となる運賃の総額は約8500万円を見込んでいて、これはすべて市が負担します。8500万円は、国の「電力ガス食料品等価格高騰重点支援地方交付金」を活用することにしました。物価高騰の影響を受けた業種に対して支援するもので、公共交通も対象になります。 財政厳しい北九州市 なぜ無料に? とはいえ、市のお財布は決して豊かではない北九州市。いったいなぜ、「無料」にしたのでしょうか。 実はこのコロナ禍で市内の公共交通機関は、利用者が大幅に減り、赤字額が膨らみました。 北九州モノレールは、コロナ禍前の2018年度、1日の平均乗降客数は3万4202人でした。一方、コロナ禍の2020年度は2万4389人にとどまり、乗降客数は約3割減少しています。 また、市営バスは、特に厳しい経営状況が続いています。市によりますと、昨年度はバス路線のうち84%の系統が赤字です。 逆転の発想で赤字路線を無料にした 赤字なのにあえて無料の取り組みを実施したのは、「無料デーを機に利用を促したい」からだといいます。 北九州市都市交通政策課 平野研課長 「新型コロナの流行以降赤字路線が増えているので、使っていただくことが路線が残るために最も重要なことです。まずは使って頂いてその便利さを実感してほしい」 北九州市の武内和久市長も、無料にする切実なねらいを語りました。 北九州市武内和久市長 「公共交通を生活のライフラインとして大切にされている市民がいます。不採算だから市場原理に任せて『なくなってなくなってしまっていい』と単純に考えられるものではありません」 北九州市内の公共交通機関が無料になる取り組み、10月8日と11月5日にも実施される予定です。 無料日の利用者1.8倍に 北九州市によると、無料デーを実施した4日、市営バスの利用客数は約9000人で、通常時の約1.8倍になりました。 北九州市内の公共交通機関が無料になる取り組み、10月8日と11月5日にも実施される予定です。 ― 引用終わり ―
2023年11月29日
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兵隊と武器があれば戦が続けられるわけではない。道具があり、ヒトがいるだけでは災害救助は続けられない。 戦闘でも災害救助でも作戦行動を継続するなら兵站・補給が重要となる。 「輜重輸卒が兵隊ならば、チョウチョ、トンボも鳥のうち、電信柱に花が咲く」 大日本帝国陸海軍がロジスティクスを軽視したため、国民は大いに飢え苦しんだ。 ドイツ海軍は潜水艦などを使って通商破壊作戦を行い絶大な成果をあげた。 米軍も潜水艦を使って、日本の輸送船を沈めまくった。 高性能だが高価な酸素魚雷を備える日本の潜水艦は、 インパール作戦やガダルカナル島のような悲劇も起こった。自衛隊は正面装備といわれる戦いの武器・装備にばかりお金をかけている。 抑止力としての軍備、戦わない軍隊だからそれでもいいのかもしれないが、弾薬の備蓄量は少ないし、燃料、食糧の臨時供給体制もどこまで整備されているのか不明。予備自衛官が全員集められても各種の燃料、弾薬、医薬品などの消耗品類の供給体制はそうていされているは足りているのだろうか。陸自隊員の装備類も個人で賄う形になっているものも多く、継戦能力は疑問符が付く。 食事の内容への配慮が薄いとすれば、情報統合型の戦闘を構築されたとしても、運営する将兵の持続力への医学的、科学的配慮に欠ける組織と言える。 命をやり取りする場に臨むにあたり万全の配慮がなければ、万全な準備をしている相手に勝ち続けることは難しい。 「自衛隊メシ」の悲惨すぎる実情…台湾軍はホテル並み 米軍は食べ放題なのになぜ?小笠原理恵:国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表2023.10.6 DIAMOND online2年前にSNSで話題となった「横田基地の朝食」のその後 2021年11月、「X(旧ツイッター)」に投稿された航空自衛隊横田基地の朝食が話題となった。写真にあるように、横田基地の朝食のメインディッシュはししゃも2尾。昼食、夕食もかなり寂しい内容だった。この食事内容を横田基地は栄養バランスの取れた食事として紹介しているため、多くの人が驚き、心配の声を上げた。 SNSで注目されたこともあり、現在の横田基地の食事は改善してきているように感じる。今年6月27日は手作りとんかつ、6月28日は肉や生野菜が乗ったシシリアンライス、7月11日はから揚げなど、SNS投稿を見る限り、かなりタンパク質の量が増えたようだ。 自衛隊員は国民の安全を守るため、日々の訓練や警戒監視活動、災害派遣等、幅広く活躍している。場合によっては、過酷な長期間任務もある。全ての隊員が困難な任務を達成するために、強靭な肉体と体力作りが重要となる。第2次世界大戦のビルマ戦線、旧日本軍はインパール作戦により兵士を飢餓状態に追い込んだ過去がある。過去の失敗から学ばなければならない。軍人を支える食事が充実していなければ、戦える身体能力を維持できない。 諸外国の軍隊では、食事を軍事力強化のための重要なファクターと捉えている。兵士の体力増強のため、いかに優れた食事を提供できるかを重要視する。 … 引用終わり … 筆者が元米軍兵士に「自衛隊の土日の朝食は菓子パン2個と野菜ジュースか牛乳だ」と教えると、「自衛隊では栄養管理も個人の責任なんですか?」と驚いていた。 日本と諸外国での糧食の捉え方の違い 2023年9月7日、元自衛官でもある佐藤正久参議院議員が「X」で「やる気を支える為にも、隊員の糧食費単価もあげないと水産物は増えない。昨日も防衛担当と調整したが、一日947円(R5年度)では厳しい。増額に向け努力」と投稿した。 軍事組織は有事に本領を発揮する。有事に一般企業に頼ることが難しいため、自己完結型の組織であることが求められる。糧食はその調達や輸送、調理などの全ての工程を自衛隊内で完結することが望ましく、かつては自衛隊が食堂を運営していた。 2010年中期防衛計画で後方業務の合理化・効率化が決められ、民主党野田政権頃から自衛隊内で調理の業務委託が拡大した 。自衛隊の栄養士がメニューを決め、業務委託先の調理員がそれに従って調理をする。これまでの自衛隊内の自己完結した食事の提供がこの当時からできなくなった。土日の朝の食事が簡略化した菓子パン2個とジュースだけの拠点が増えたことも残念だ。 自衛隊と諸外国の糧食に対する認識は大きく異なる。自衛隊はコストを抑え、隊員たちが最低限の栄養補給ができることを目指している。しかし、諸外国は糧食を軍事力として捉え、日々の食事を充実させることで隊員の身体能力向上や増強を目指している。例えるなら、強靭な肉体を持ったアスリートを育成するための食事だ。この認識の違いが、隊員の体格差として如実に表れている。これでは身体能力向上など望むこともできないだろう。 SNSで筆者に対して次のようなコメントをいただいた。「会社員も他の公務員も自分でご飯を食べているんだ。自衛隊にぜいたくをさせる必要はない。食べられるだけでありがたいと思え」という内容だった。 糧食を軍事力として考えていない日本では、こうした考え方が主流派だ。しかし自衛隊や軍事組織の食事は、会社員や他の公務員のそれとは意味が変わってくる。自衛隊の食事の充実はぜいたくではない。この食事が、私たちの平和と安全な生活を守る防衛力となる。自衛隊員の食事について、我々国民はその意味を正しく認識する必要がある。 ー 引用終わり ー 「ホテル並みの食事」や食べ放題が、健康管理によい食事とは言えないが、活発に肉体を動かす活動するならタンパク質不足は致命的。 大日本帝国海軍でさえ、航空機搭乗員向けの航空糧食を用意していた。精神論だけでよいコンディションを保つことはできない。 会社員、公務員でもデスクワーク主体と肉体労働主体では必要となる熱量も、栄養成分も異なる。「食べられるだけでありがたいと思え」と言う見解は、スポーツの世界でも成り立たない。命がけの戦争・戦闘に勝つ気がない平和主義、またはいかなる戦争も長期化させない敗北主義的考えに基づく発想だろう。 自衛隊でもサラリーマンでもアスリートでも学生でも、ちゃんと働く・学ぶなら、食事の質と量は重要。
2023年10月15日
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日本では年々高齢化が進み、1990年以降生産年齢人口(15歳~64歳)の減少が続いている。 物流業界も深刻な人材不足に直面している。人手が集まりにくい理由は生産年齢人口の減少だけではありません。 生産現場がロボットの導入で省人化、各種機器の導入で肉体的負荷の軽減がはかられてきた。 物流は郊外で通勤に不便で、対象が一定でないことからロボット、作業補助機械類の導入がすすまなかった。 自動倉庫も建設されているが、大量の様々な大きさ、重量の荷物を扱うには不向きとされる。建設に要する設備投資の額も格段に大きい。 人の力に頼らず、正確でスピーディな物流業務を行うために、自動化・省力化をすすめるい必要から各種の物流ロボットが開発された。 物流ロボットとは、物流における「ピッキング」や「仕分け」といった単純業務をオートメーション化するためのロボットを指す。人の汎用性を活かしながら省人化・省力化をすすめるものが多い。 物流ロボ市場が活況=倉庫で活躍「24年問題」も追い風2023年9月16日 時事通信 商品や部品を自動で運ぶロボットを倉庫や工場に導入する動きが企業で広がってきた。電子商取引の拡大や人手不足で物流の効率化は待ったなしの課題。来年度からトラック運転手の残業時間に上限規制が導入される「2024年問題」も追い風に、物流ロボ市場が活況を呈している。 米インターネット通販最大手アマゾン・ドット・コムは、8月下旬に稼働を始めた千葉市内の大型物流拠点に、同社では国内最大規模となる約2600台の自走式搬送ロボットを導入した。3万台超ある商品棚の中から、注文を受けた商品が入った棚をロボットが持ち上げ、商品を取り出す従業員の元に自動で運ぶ。 従業員が棚まで歩くより、商品の棚入れや棚出しが短時間ででき、「商品在庫を最大約40%多くできる」(担当者)のが利点。アマゾンはこのシステムを開発した米企業を12年に買収し物流拠点への導入を推進、日本でも加速させる構えだ。 こうした物流ロボはAGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)と呼ばれ、世界的に需要が急増。富士経済の予測では、国内の関連市場規模は30年に約1189億円と昨年(約384億円)の3倍に膨らむ。 24年問題も市場拡大を後押しする。物流の停滞を回避するには、トラック運転手の拘束時間の2割を占める荷待ちや積み下ろし時間の削減が不可欠で、庫内作業の効率化が求められるためだ。 ― 引用終わり ― ネット通販のアマゾンは物流コストの削減がネット通販の眼目であることを見抜いており、物流倉庫の省人化・省力を強力にすすめている。 アマゾン、新物流拠点「千葉みなとFC」公開 ロボット活用国内最大森山 和道2023年6月8日 Impress Watch Amazonは、6月7日、千葉県千葉市に新設予定の物流拠点「Amazon千葉みなとフルフィルメントセンター(Amazon千葉みなとFC)」を、報道関係者向けに公開した。Amazonが建設段階の拠点を公開するのは日本初。 「Amazon千葉みなとFC」は商品棚を持ち上げて移動する自走式ロボットなどの「Amazon Robotics(アマゾンロボティクス)」を導入する拠点としては日本最大規模となる。稼働開始予定は8月。延床面積は約120,000m2。商品在庫数は1,700万アイテム以上。商品の入荷数・出荷数はいずれも1日約60万個。雇用機会創出量は約2,000人以上。稼働人数は1日あたり数百人。 アマゾンロボティクスとは「Drive(ドライブ)」と呼ばれる移動ロボットが、専用の商品棚「Pod(ポッド)」の下に入り込んで持ち上げ、移動させることで倉庫業務をアシストするソリューション。より短時間で棚入れや棚出しができるようになる。また倉庫容積を効率良く使えるので品揃えを増やすこともできる。Amazon千葉みなとFCの「ドライブ」は約2,600台、「ポッド」数は約3万台、ステーション数は200以上になる予定。 Amazonは埼玉県狭山市にもファッション商品を扱う拠点「Amazon狭山広瀬台FC」を新設中だ。拠点拡大によりアマゾンジャパン全体の商品保管容量は過去最大の1,700万立方フィート以上となり、日本国内のFCの数は合計で25カ所以上となる。 ー 引用終わり ー 米国で楽天は、3大3PL(第三者物流提供業者、third-party logistics provider)の一つとされる。 中小の電子商取引事業者に受注処理サービス(オンライン注文された商品の発送業務)を提供し、ラース(RaaS=robotics as a service)によって倉庫業務自動化システム導入リスクを軽減すると同時に、倉庫業務の経費を削減するサービスを提供している。 ラースは、制御および管理システムからロボットまで提供の範囲とするため、利用する会社はシステム開発やロボットの購入に多額の初期投資が不要で、利用時の料金を払うだけですむ。 国内で楽天ブックスの倉庫さえ1か所に集約できていない楽天は、アマゾンと同様の大規模な省人化・省力化倉庫を建設したとは聞いていない。 日本国内向けの大規模な投資は、巨額赤字でグループの動向を左右する携帯電話事業に集中するということなのだろう。 もう楽天は詰んでいる。公募増資と楽天モバイル“最強プラン”の悪手で崖っぷちへ=栫井駿介2023年5月25日 MONEY VOICE 楽天が公募増資を行って3,000億円を調達することがニュースになっています。これによって復活を目指す楽天ですが、同じタイミングで発表された楽天モバイルの『最強プラン』の中身がどうも怪しいと私は思っています。今回は、楽天がいま置かれている状況と、これからどうなっていくかということを考えてみたいと思います。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介) … (略) …とにかくお金が無い 5月16日に楽天は3,000億円の公募増資を行うと発表しました。 なぜその必要があったかというと、楽天モバイルのために各地に基地局を建てた結果どんどん赤字が膨らみ、多くの社債や借入を起こして借金が膨らんでいるからです。 格付けはついに「BB」という“投資不適格”というところまで落ちてしまいました。 財務状況は誰がどう見てもヤバいということで、楽天銀行を上場させ、楽天証券も上場させようとしています。直近では西友の株を売却するという話も出ました。 今回の公募増資も、このお金集めの一環ということです。 ー 引用終わり ー
2023年10月01日
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律令制が事実上終焉したのち、駅制で作られた道、維持管理システムは輸送ルートとして進化しなかった。 道路と水道を整備したローマ帝国から進化し、馬車等を利用できる欧米とは異なる物流経路が、日本では発達した。 江戸時代のように幹線道路である五街道においても道は途切れ、舟等で渡るところも存在した。 山、谷が多い日本の大量輸送手段は、海、川、運河を利用する船だった。第二次世界大戦まで海運・水運は主要な輸送手段だった。 なぜ「日本の道路は信じがたいほどひどい」と言われちゃったのか 外国調査団が仰天したその光景2023年9月4日 乗りものニュース 終戦間もない1950年代、アメリカの調査団が日本の道路事情を「信じがたいほど悪い」と評価したことは、戦後の道路建設史における出発点のように語られることもあります。なぜ日本の道路開発はそこまで遅れていたのか、前時代を検証します。 日本の道路は「信じがたいほど」悪かった 実際どれくらい? 「日本の道路は信じがたいほど悪い。工業国にして、これほど完全にその道路網を無視してきた国は、日本の他にない」 これはアメリカの経済学者、ラルフ・ワトキンスを長とする「ワトキンス調査団」が残した言葉です。1954(昭和29)年、日本政府が国内初となる東京・神戸間自動車道路(今の東名・名神高速道路)を計画し、その調査のため政府により招聘されたワトキンスは、当時の日本の道路状況を報告書で徹底的に酷評しました。そのうえで彼は、当時日本に1本もなかった高速道路の経済的有用性を説いたのでした。 … (略) … 明治時代、近代国家の仲間入りをした日本は、国内に鉄道網をめぐらせるなど交通インフラの近代化に邁進し、やがて1930年台には世界3位の海運国へと発展することになります。しかし道路に関しては、律令制の時代に軍団の移動用として整備された道路というわずかな例外を除けば、明治の日本に見るべきものは皆無でした。 中世の主要道であった鎌倉道でさえ、幅はわずか2m内外の無舗装道路であり、人馬のすれ違いがどうにかできる程度でした。江戸時代には街道こそ整備されましたが、幕府の方針で大河に橋は架けられず、道路は中世同様に細い泥道でした。 そのような道路事情のまま、時代は明治へと移り変わります。国内の急速な近代化を進めた明治政府ですが、力点が置かれたのは海運と鉄道事業であり、交通インフラとしての道路はほぼ着目されませんでした。 本格的な道路事業の開始 やがて大正時代になると、国内の荷車は30万台に達し、自動車の輸入も本格化します。産業の発展に伴うこうした現象は、道路整備の必要性を否応なく生じさせ、道路事業は国策となっていきます。 1920(大正9)年、道路改良のための30か年計画が立ち上がり、ここでようやく日本の近代的道路の歴史が始まりました。この計画では1949(昭和24)年の完成を目指して、国道7855km、軍事国道275km、指定府県道1570km、そして6大都市の主要街路を改良することが予定されていました。 そしてまず、東京の神宮外苑に今も残る、近代的で自動車交通に適した舗装道路が計画されます。この道路はアスファルトによる高級舗装を施した車道と、両脇には歩道を備え、場所によっては街路樹も植えられた、近代都市にふさわしいものでした。 しかし道路改良30か年計画の開始から4年目にあたる1923(大正12)年9月、関東大震災が発生し、計画は頓挫していまいます。その一方で国内の自動車保有台数は増え続け、震災6年後の1929(昭和4)年には8万台を超えました。 計画はいったん頓挫しましたが、自動車に適した道路整備は待ったなしの状況でした。このタイミングで、今度は世界大恐慌が起こったものの、これは道路事業にはかえって追い風となりました。恐慌による失業者の大量発生への対策として道路事業はうってつけだったのです。また、この道路事業による交通の発達で産業が振興し、それが恐慌脱出への道筋になる、という目論見もありました。 震災復興と恐慌脱出、失業対策を兼ねた道路事業として、新たに1932(昭和7)年、産業振興道路改良5か年計画が立てられ、さらに町村道の改良も国が助成することになります。その間にも自動車の交通量は予想を超えて増大し続け、1934(昭和9)年には20年をかけて実施する第二次道路改良計画へと移ります。この完成時には指定府県道20万4222kmのうち未改良の1万7360kmが自動車交通向きに改良されるはずでした。 これは裏を返せば、昭和初めの時点においても、主要道の半分以上が自動車交通に不適な、幅員も狭く側溝もないような「信じがたいほどひどい」ものだったということです。日本の道路の開発は、この時点ではまだまだ始まったばかりだったといえるでしょう。 難航する戦前・戦中の道路事業 ー 引用終わり ー 第二次世界大戦敗戦後、物流の主役が鉄道からトラックにかわり、自動車が一般家庭にも普及するにつれ、国内の多くの場所で道路が整備された。 だがトンネル、橋の多い日本の道路は、いまだに海洋コンテナがそのまま通れるところばかりではない。 米国のフリーウェイ、ドイツのアウトバーンは通行無料。イギリスは特殊なトンネル、橋梁など一部に限られる。フランスのオートルートは一部(延べ1万2千km)有料。活火山もあるイタリアのアウトストラーダは有料。 トンネルや橋が多いので建設費が高いことが理由の一つなのだろうが、日本の自動車専用道の多くは有料。 これらのことは日本の陸運、物流コストが高いことに反映している。 1966年、日産・サニー、トヨタ・カローラの発売、1969年東名高速の開通は、モーターリゼーションの急拡大、高速道路を含む道路網整備の里程標となった。急速な道路網整備の財源が必要だったことが、有料道路が多いもう一つの理由。 1960年代半ばのいざなぎ景気時代、テレビ(白黒)・洗濯機・冷蔵庫に代わり、カラーテレビ (Color television)・クーラー (Cooler)・自動車 (Car) の3種類の耐久消費財が、庶民に手が届く新・三種の神器として喧伝された。 道路は山奥に至るまでどんどん整備、舗装、幅員が確保されていった。
2023年09月17日
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物流業界の人手不足の深刻化が懸念される「2024年問題」に対応するため、警察庁は大型トラックの高速道路での最高速度を時速80キロから引き上げることについて、有識者の検討会を設け、具体的な議論を始めた。 国民民主党には労働組合の連合会である自動車総連の組織内議員が所属している。「自動車に関すること」に国民民主党の玉木雄一郎代表が警察庁の意向を反映したかのような意見を述べた。自動車総連は自動車関連の製造業の労働組合が主体。 モノ・ヒトを運ぶ運輸労連系の運輸労連政策推進議員懇談会に参加し、立憲民主党に所属している。 小沢雅仁参議院議員が国会・予算員会で「2024年問題」関連の質問をしている。小沢参議院議員は、スピード感を持って、政府を挙げてしっかりと取り組んでいただきたいと要請したが、速度制限を上げることは要請しなかった。 国民・玉木氏「大型トラックの速度規制100キロ」発言に波紋物流「2024年問題」見据え一部企業が要望も現場は総スカン 2023年4月27日 東京新聞 トラック運転手の労働時間の規制が強化されることで物流業界の人手不足が懸念される「2024年問題」。この対策として、国民民主党の玉木雄一郎代表が大型トラックの高速道路での制限速度を「80キロから100キロに緩和してはどうか」と提案した。しかし、「危険だ」「現場を知らない」などと批判が相次ぎ、波紋が広がっている。(宮畑譲) ◆「走ったことないヤツの考え」 「東京—大阪間が片道1時間半短縮できてもっと物が運べます。車の安全性能も高まっています」。玉木氏は4日、自身のツイッターで、大型トラックの時速規制の緩和を提案した。 さらに、玉木氏は「現場の意見を踏まえた解決策が重要」とし、現職ドライバーからツイッターで意見を募った。だが…。 「物積んで100キロは危なすぎ。やったことないやつが考えること。止まれないし荷崩れする」「荷主と消費者の意識改革とドライバーの賃金上昇! そこを解決しなきゃ、問題は解決しない」。否定的な意見が続々と寄せられた。 ◆深刻人手不足で3割運べなくなる 物流業界の人手不足はただでさえ深刻だが、24年4月に残業の上限を年960時間に規制する労働基準法が業者に適用される。野村総合研究所は、新規制で残業が減ると、荷物総量の3割前後が運べなくなるとの試算を公表した。 玉木氏の発信にも汲くむべき事情がある。「2024年問題」を見据え、一部の企業が最近、速度規制の緩和を要望していたのだ。 今年2月、経済産業省が主宰する「持続可能な物流の実現に向けた検討会」の中で、「全国物流ネットワーク協会」が、安全装備を備えた車両の制限速度を100キロに緩和するよう求めた。協会は比較的大規模な運送会社で構成されている。玉木氏の「東京—大阪で1時間半短縮できる」との指摘は、協会が検討会で示した資料に書かれている。 ◆安全のための施策で速度アップは「本末転倒」 しかし、経産省の担当者は「議題の中心は業界の労働負荷の軽減。速度制限は交通政策、交通安全の問題であり、国土交通省、警察庁で検討される問題だと思っている」と話し、正面から取り合う様子はない。 一方、労働者側からは、玉木氏に対して批判の声が上がっている。 労働組合「プレカリアートユニオン」は16日、「時間外労働の上限規制が適用されるのは、労働者が健康に安全に働けるようにするための施策。危険を冒してでもスピードを上げるのは、本末転倒」などとする意見書を公表した。清水直子執行委員長は「待遇を改善し、人員を確保しなくては問題は解決しない。命に関わる安全の問題なのに、意見を募集するという形で世論をつくるようなやり方は政治家として無責任だ。現場の人に会って話を聞いてほしい」と訴える。 ◆二酸化炭素削減の流れにも逆行 そもそも、事業用自動車が第1当事者(過失割合が重い側)となる死亡事故で、車の種類別では大型トラックが最も多い。安全面に加え、環境への配慮から大型トラックの速度は制限されてきた。03年には、時速90キロ以上出ないスピードリミッターを搭載することが義務化された。 ― 引用終わり ― 野党も各々業界の意見を反映しているようで、面白い。国民も様々な意見があるということ。 政府が、2023年6月に取りまとめた新たな対策で、事業者がより効率的に荷物を配送できるよう、80キロとされている高速道路でのトラックの最高速度を引き上げる方向で調整する方針が示された。 これらを受けて、警察庁は検討会を設け、7月から議論を始めた。 対象は車両の総重量が8トンを超えるトラックなどで、積み荷の重さでハンドル操作が難しいことなどから、普通乗用車の最高速度100キロよりも低い速度に制限されているが、自動ブレーキなどの新たな技術の適用により、安全は確保できるという意見もある。 警察庁は交通工学が専門の有識者や物流業界の関係者などでつくる検討会を開催し、事故の状況や、新たな技術の普及の程度など、論点を整理したうえで年内にも提言をまとめる。 【物流の2024年問題】警察庁、高速道路のトラック「80キロ規制」緩和を検討だが、安全面など懸念は強く、賛否両論は必至2023年7月24日 J-CAST会社ウォッチ トラックドライバーが足りなくなる恐れがある「物流の2024年問題」を前に、警察庁は2023年7月末から、高速道路でのトラックの速度規制を緩和する検討を本格的に開始する。 現行の時速80キロから、普通車と同じレベルの100キロ程度に引き上げる方向と見られている。しかし、安全面などへの懸念は強く、賛否両論が巻き起こる可能性が高い。 規制緩和で荷物を運ぶ時間を短縮...ドライバー不足の対応策として有効? トラック運送業は2024年4月から、残業規制が強化されることになっており、ドライバーが不足する事態が予想されている。野村総合研究所が行った推計によれば、24年問題の影響で、30年には全国の約35%の荷物が運べなくなるという。 こうした事態を憂慮する政府は23年6月、危機に対応するための「政策パッケージ」を発表した。 速度規制の緩和はこの中で対策の一環として盛り込まれ、警察庁は有識者会議を7月末に設置。交通の専門家や運送業界団体の代表らから意見を聞き、年内に提言をまとめる予定だ。 現在、車両総重量8トン以上の中・大型トラックは、高速道路では時速80キロに規制されている。ブレーキをかけてから停止するまでの制動距離が長く、トラブルが生じた際は大事故につながりかねないからだ。 しかし、大型トラックが絡む人身事故は近年減少傾向にあるとされている。さらに、「時速120キロ規制の道路では、大型トラックだけが80キロで走っているとかえって危険な場合がある」との声もあり、規制の緩和案が浮上していた。 速度規制が緩和されれば、ドライバーが荷物を運ぶ時間を短縮することができ、働き方の効率は上がる理屈だ。このためドライバー不足の対応策としては有効だという見方も少なくない。 運送業界からは反発も 運送時間短縮の効果は、ドライバーの賃上げなどに活かされるか? ただ、運送業界の中には反発も根強い。 ある業界関係者は「規制が緩和されれば、荷主から、より早く配送するよう求められ、ドライバーのストレスは増すだろう。働き方改革の本筋から言ったら、本末転倒ではないか」と話す。 もともと、トラック運送業の7割超は中小零細企業で、荷主に対して力関係が弱いという構造的な問題があり、慎重な対応を求める声は少なくない。 速度規制の緩和など小手先の対応ではなく、「賃金を上げるなどドライバーの待遇自体を改善して、なり手を増やす対策こそ進めてほしい」という要望も強い。 ― 引用終わり ― 大型自動車の運転者の不足の理由の一つに、交通事故増えていないのに、大型自動車運転免許を細分化したことがある。 バスを含む大型自動車の免許取得要件を細分化した結果、大型自動車運転免許を所持するものが一層不足した。高齢化が一段とすすみ、健康トラブルに端を発する交通事故のニュースをよく目にするようになった。 公安委員会公認自動車教習所の校長は警察官の天下りが大半であり、過疎化などで公認自動車教習所が減ることは、天下り先が減ることに直結している。 免許の細分化、教程の増加は公認自動車教習所の経営を潤す。 警察の天下り先の一つである自動車教習所の生き残りのため、警察庁は大型自動車運転教習の高速道路教習教程も増やすつもりなのだろうか? なお、自動車総連には少数ながら自動車教習所の労働組合が所属している。
2023年07月30日
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2021年9月10日、日本郵政の連結子会社である日本郵便(東京・千代田)とSGホールディングス(HD)傘下の佐川急便は、小型荷物の宅配や国際荷物の輸送などでの協業で基本合意したと発表した。ネット通販の取扱い量の増大と人手不足に対処するため、宅配業界2位と3位が手を組んでヤマト運輸の独走に待ったをかけるなどと報じられた。 2023年6月19日、日本郵政グループとヤマトホールディングスは、宅配事業で協業すると発表した。 日通のペリカン便を吸収合併して拡大はしたものの、収益面で厳しい宅配事業の改善のため、日本郵政の苦しんでいる様がみてとれる。 日本郵政とヤマトHD、小型荷物の宅配で協業…人手不足の中で配達体制効率化読売新聞 / 2023年6月19日 15時35分 日本郵政グループとヤマトホールディングス(HD)は19日、小型荷物の宅配事業で協業すると発表した。ヤマトHD傘下のヤマト運輸が手がけるメール便や小型荷物を、日本郵便のサービスに統合し、郵便側が配達を担う。物流分野で人手不足が深刻化する中、配達体制の効率化を図る。 ヤマト運輸は来年1月末、商品カタログやチラシを送るメール便「クロネコDM便」を終了し、日本郵便の配送網を活用した新サービス「クロネコゆうメール(仮称)」に切り替える。自宅のポストで受け取ることができる小型荷物「ネコポス」も今年10月以降に順次終了し、「クロネコゆうパケット(仮称)」として取り扱いを始める。 ― 引用終わり ― 楽観論や「ピンチはチャンス」と論じる向きもあるが、人口が減っていくということは、経済の面で厳しくなるという、正当、あたり前の経済の側面が現実化しつつある。 たとえ特定の分野で市場が拡大しても、労働力不足が明らかになる中、資本は固定費の増大を避けようとする。即ち縮小均衡をはかろうとする「撤退戦」がそこかしこで見られるようになるということだ。 ついに銀行も支店撤退…「人口が減り過ぎて競争が成立しない」地方経済の問題について2023年6月22日 文春オンライン みんな、結構簡単に「衰退を受け入れろ」とか言うじゃないですか。 しょうがないじゃないか、と。まあそれはそうなんですが、しかし人口減少による衰退を明確に表す報道も増えてきましたよね。 先日、NHKが「日本郵便とヤマト運輸 メール便などで協業へ 物流ひっ迫に対応」と報じるなかで、岸田文雄政権がそのまま継承している働き方改革2024年問題は物流業界のトラック運転手さんの超過勤務への対応が背景にあるって書いておられまして。トラックを含む物流業界自体がブラック過ぎたからね。これは対策を打って当然ですね。 … (略) …地方が沈んじゃったのでね、仕事がないんですよ 地方では特に需要が少なくなって、値下げしても荷物が集まらないぐらい、地域で暮らす人が減ってしまったのです。ゴミが減ったんですよ。ゴミを出す人自体が減ったから。 でも、産廃の流通に携わる事業者の数は減らない。昔ながらの産廃輸送を担う老舗もあれば、そういうところで勤めて、トラック1台で独立する猛者もいる。値上げどころか、荷物を集積させる中間処理場まで無料で運びますとか、他のお客さんと混載でいいから安くするんでお願いしますとか、そういうレベル。やめろや。安売りすんな。 地方が沈んじゃったのでね、仕事がないんですよ。 でも、移動する距離はそう変わらない。人が減ったから、最終処分場が近くなりました、なんてことはあり得ないわけです。そのぶん、トラックの輸送距離も、そのトラックを転がすドライバーさんの数も必要であることは同じです。だからこそ、少なくなった荷物の量で、いままで通りドライバーさんを雇わないといけない業界構造になると、みんな沈む。そんなことは物流にちょっとでも関わっている人たちからすれば当然理解をしていることです。 … (略) …そら若者減るよね、仕事ないんだもん しかし、物流の厳しさと秋田への愛とは別だ。人が少ないし、経済活動が停滞しているから産廃も物流も荷物が少ないぞ、秋田県民。どういうことなんだ。こら佐竹、どうにかしろ。泣く泣く、あっち方面に作った中間処理場も最終処分場も縮小したり閉鎖したり合併したりするし、物流も当然減ります。残念。 そうすると、秋田で毎年何人か採用していた若者が現地で働けなくなって、うちの仙台事務所とかに就職面接に来る。JR東日本の電車に乗って。ごめんよ、秋田の仕事場なくなっちゃって。でも、ひとり暮らしになっても就職したいから頑張るっていうんですよ。成績表見てると超優秀じゃん、産廃業界来てないで東京来いよ東京。という感じで今春は3人の若き秋田県民が、私のところに就職して東京都民になりました。そら若者減るよね、仕事ないんだもん。 秋田に限らず、地方経済が回らない理由のひとつに、現地の事業者が「最低賃金で人を雇おうとする」んです。人が減るということは、働き手も集まらない。お前ね、人手不足なんだから、周りより高い給料払ってあげなかったら働く人が来ないよ。 また、需要が少なく売り上げが少ないうえに、同業他社がなかなか廃業しないし合併再編もできないから、売上がどんどん減っていきます。だから、少ない人を安く雇って長く働かせて辻褄を合わせようとするわけですよ。で、地元で品物が捌けないから、都市圏で売ろうとする。ますます、物流費がかかる。 地方経済の衰退という病気があっての症状 ましてや、その物流なんて他人様の荷物だけじゃなく、交通においては人の命にも関わる仕事なのだから、そんな超過勤務を続けていたら割と頻繁に事故るわけです。というか、報道がされないまでも、田んぼに突っ込んだり横転したり、お前何してるんだよというようなありえない事故が、このところ増えるわけですよ。 … (略) … 人がわんさかいて、経済が活気に包まれているならば、その分、運賃の値上げをして高給でドライバーさん集めればそれでいいんだからね。でも、人口も需要も減って、しかし業者の数は変わらなくて、業者あたりの売上が減ったら、そりゃあヤマト運輸と日本郵便だって旧怨は忘れて手を組もうってなりますよ。大手事業者として全国津々浦々の営業所は維持しないといけない手前、「採算が合わんので田舎から撤退します」なんて言えないわけですから。 同じことは、電力にもネットにも携帯電話にも金融・地銀にもテレビ局にも新聞社にも保険会社にもイオンにも病院にも上下水道にも言えます。人がいないんだから、事業が成り立つわけないだろ。撤退だ、撤退。 人口減少時代の「撤退戦」であることは間違いありません しかし、衰退する地方にしがみついているのは、年金や生活保護で生きている高齢者の割合もまた多いから、うっかり地銀など金融機関がせめて採算の合う範囲で合理化しようと「支店を閉めてATMだけにします」なんて言おうもんなら、地域の高齢者がむしろ旗掲げて反対するんですよ。 地銀の支店撤退に「対抗」、町が預金を全額解約 鳥取:朝日新聞デジタルhttps://www.asahi.com/articles/ASL8033M4L80PUUB003.html 5年ほど前には鳥取銀行が人口4500人しかおらん村から支店撤退させようとしたら、自治体そのものが預金全部下ろすムーヴに出てニュースになったりしてました。もうさ、基礎自治体としての存続すら危ういレベルなのに、銀行が支店出して銀行員さん張り付けておく意味がどこにあるの。 … (略) … 人のいない地域に不合理にお金をかけて、おらが故郷を守れと言われても、その原資は国民の税金であることを忘れてはならないし、これが人口減少時代の「撤退戦」であることは間違いありません。 … (略) … 2022年の鉱物性燃料輸入額は、昨年比96.8%増の約33兆5000億円ですよ。日本から、これだけカネが、出て行ったよってことです。これもう、国が積極的に地方経済にメリハリをつけて持続可能な状態に早く再編しないと成り立たないでしょ。もう。 ー 引用終わり ー 経済に関する予算のメリハリだけでは問題は解消しない。日本を存続したいなら、人口増加策に力をいれるしかない。 現状のままでは経済が上向こうと、婚姻率や出生率は、人口増に向けて好転する兆しがない。 これは日本、中国、韓国共通の課題だ。
2023年07月05日
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国内のドライバー不足、CO2削減などの環境対応のため、トラック輸送から長距離・大量輸送に強い船輸送へのモーダルシフトがすすめられている。 特にトラックドライバー不足は「2024年問題」と呼ばれ、対策が急がれている。現在、トラックドライバーには時間外労働時間の上限が設定されてない。 2024年4月から『年間960時間』を上限とすることが決まっており、トラック輸送の全ての分野に大きく影響すると推測されている。 現代の海運の主流はコンテナ船。輸出入の主な港には、大規模なコンテナヤードが備えられている。海外からやってくるコンテナをそのまま国内航路で運ぶのが内航コンテナ物流。内航コンテナ船には、国内コンテナを輸送するコンテナ船と、輸出入コンテナをフィダーサービス(国内二次輸送)するコンテナ船とがある。コンテナ船は大型の方が燃料費、人件費などが安くつくため、近年コンテナ船の大型化がすすみ、各国のコンテナを受け入れる港、航路も大型化の対応を進めている。 2023年6月14日、井本商運は国内最大船型である1000TEU型コンテナ船「きそ」が京浜-苫小牧航路に就航し、神戸港をはじめ、各港で港湾管理者主催の初入港セレモニーが開催されたと発表した。6月2日神戸港、6日横浜港、9日苫小牧港、12日に仙台塩釜港へと初入港した。 全長142メートル、国内を運航する“内航コンテナ船”として最大「きそ」が苫小牧港に入港2023年6月9日 北海道放送 国内で運航する内航コンテナ船としては、最大の船が北海道の苫小牧港に初めて入港し、歓迎セレモニーが開かれました。 苫小牧港に初入港したのは、井本商運が運航する新しいコンテナ船「きそ」です。 9日、港湾管理者や運航会社の関係者らが参加して、船内で入港歓迎セレモニーが開かれました。 「きそ」は全長およそ142メートルで、20フィートコンテナを最大で1096個積むことができる国内最大の内航コンテナ船です。 ― 引用終り ― 内航コンテナ船「きそ」概要名称:1000TEU 型内航コンテナ船「きそ」総トン数:9662G/T全長:141.90m最大積載量:1096TEU竣工年月日:2023/5/10(旭洋造船) 長距離トラックのトレーラー(荷台)部分などを運ぶのに長けているのがRORO船。 トレーラーなどが船に乗るがロールオン(Roll on)、船から降りるのがロールオフ(Roll off)で、荷役の負担が少ないこの積載方式の船をローロー船(RORO船)と呼ぶ。現状、国内の鉄道輸送は様々の限界があるため、RORO船は長距離トラック不足の救世主として期待されている。 【物流2024年問題】宅配便にも影響 解決策として期待「RORO船」は“救世主”になるか?2023年6月12日 Daiichi-TV(静岡第一テレビ) … (略) … 6月12日、報道陣に向けて開かれたのは「RORO船」といわれる貨物専用船の説明会。これはトラックの荷台部分だけを運搬することができる船で物流業界が抱える問題の解決策の一つとして注目されている。ネット通販の拡大などで、需要が増す物流業界。 国土交通省のデータによると、宅配便の取り扱い個数は右肩上がりで、2016年から2021年までの間に9億個以上増加している。一方で物流業界には「2024年問題」と呼ばれる危機が迫っている。その影響は、私たちの身近な生活にも…。 ヤマト運輸は4月から「宅急便」などの料金を値上げしていて、6月から一部エリアで翌日配達ができなくなると発表。 静岡県内から翌日配達ができなくなるのは浜松市や磐田市などから福岡県に運搬する荷物で、これまでは最速で「翌日14時以降」の「お届け指定」ができたが、これが「翌々日午前中以降」に変更となった。背景にあるのは2024年から始まるドライバーの働き方改革。(静岡県トラック協会 佐野寛会長) 「長時間労働で輸送をこなしています。今まで何とか一往復できていたところが、途中で運行をストップしなくてはいけない。そういった意味でかなり影響が出てきます」 その解決策の一つとして注目されているのがRORO船だ。RORO船はトラックの荷台部分だけを切り離して運ぶため、原則、船にドライバーは乗船しない。 港に着くと、荷台部分は別のトラックにつながれて、そのまま配達先へと運ばれる。そのため陸路で輸送するケースと比べ、ドライバーの労働時間を大幅に短縮することができる。 ― 引用終り ― 陸運から海運・舟運へのモーダルシフトがすすまない主な理由として下記があげられていた。・小口輸送に不向き・リードタイムが伸びる・長距離以外はコストが増大する・災害や天候不良の影響が大きい これらの理由があげられていたが、トラックの運転手不足によるトラック輸送量の絶対的減少の予測(2024年問題)により、トラック輸送と、鉄道輸送、船輸送との役割分担の見直しがすすめられている。 2023年6月5日、商船三井は、フェリー・内航RORO船事業に関し、新たに発足する会社の社名を「株式会社商船三井さんふらわあ」に決定したと発表した。商船三井によると新会社は、国内で最大規模のフェリー・内航RORO船事業会社となる。2024年対策とCO2削減対策で、あらためて海運・舟運が注目されている。船の機関もアンモニア燃料、水素燃料、風力利用などCO2削減の取組が進展している。 内航船の種類 RORO船 自走でトレーラーを積み上げする荷役方式。定期航路に就航し、ドア・ツー・ドアで海陸一環輸送される。長距離・大量輸送するため、大型船が多い。 油送船 石油製品をはこぶ油送船には、重油用の黒油船(ダーティ・タンカー)とガソリン、ナフサ、灯油、軽油など用の白油船(クリーン・タンカー)がある。 黒油船はタンク内が鉄板の地のまま、白油船はタンク内がコーティングされている。 一般貨物船 内航貨物船の標準的な船型で、様々の貨物に対応できる汎用性のある構造を採用する。 コンテナ船 定期航路に就航し、国内コンテナを輸送するコンテナ船と輸出入コンテナをフィダーサービス(国内二次輸送)するコンテナ船とがある。 ケミカル船 液体化学品を運ぶケミカル船は、油送船とよく似た構造で、 一般にタンクが小さく沢山に区切られている。 自動車専用船 自動車を効率的に輸送するため、多層構造を採用する。 自動車はドライバーによって艙内に自走して積み降ろしされる。 近年、海上雑貨輸送の需要に対応して、トレーラーなど大型の車両を同時に輸送できる 構造をとる船が増えている。 LPG船 LPGは常温で気体で保管、輸送する際に高圧方式で液体化するので、高圧ガス船となっている。これに適したステンレス製の特殊なタンク構造となっている。 セメント専用船 セメント製品の輸送は、効率的にばら積みできるように専用船化されている。船型は小型船から大型船までさまざまで、ベルトコンベア方式や、圧送式の自動荷役装置が装備されており、粉塵防止対策がとられている。 石灰石専用船 鉄鋼やセメントの原料に使われる石灰石を大量 かつ効率的にはこぶよう、大型のばら積み専用船が用いられる。 砂利専用船 海底から砂利を採取するため、ガットと呼ばれるグラブ・バケットを装備し、揚げ地まで運んで自船で揚げ荷する。 最近は、海洋環境の保護で海砂利の採取規制が広がり、山から採取される砕石が貨物の主体になりつつある。 工業塩専用船 ソーダ工業など各種工業活動の原料となる工業塩の専用船。
2023年06月30日
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陸運業業績ベスト10 2022年度1位「NIPPON EXPRESSホールディングス」(2.6兆円)2位「東日本旅客鉄道」(1.9兆円)3位「ヤマトホールディングス」(1.7兆円)4位「SGホールディングス」(1.5兆円)5位「西日本旅客鉄道」(1兆円)6位「東海旅客鉄道」(9351億円)7位「東急」(8791億円)8位「阪急阪神ホールディングス」(7462億円)9位「近鉄グループホールディングス」(6915億円)10位「センコーグループホールディングス」(6231億円) NIPPON EXPRESSホールディングス、ヤマトホールディングス、SGホールディングス、近鉄グループホールディングスは陸運、物流の分野で海外展開を積極的に進めている。阪急阪神ホールディングスは倉庫・不動産分野で海外展開をすすめている。 陸運業界の業績ランキング3位は1.7兆円の「ヤマトホールディングス」2位は1.9兆円の「東日本旅客鉄道」2023年5月29日 まいどなニュース 日本全国500万社以上の企業情報を網羅した日本最大級の営業データベース『SalesNow DB』を運営する株式会社QuickWork(東京都渋谷区)は、2022年4月~2023年4月の期間に同データベースにおいて、「陸運業界の業績ランキングTOP10」を抽出し、発表しました。その結果、業績が最も高かった企業は「NIPPON EXPRESSホールディングス」(2.6兆円)でした。 「陸運業界の業績ランキング」の1位は、日本通運をはじめとするNXグループ(旧・日本通運グループ)を統括する持株会社の「NIPPON EXPRESSホールディングス」(2.6兆円)でした。グループの主力事業である日本通運は、日本における業界最大手の総合物流事業者で、災害対策基本法における指定公共機関でもあります。「引越しは日通」のキャッチコピーを長く用いていたため、引越業務に強い会社との印象もあります。 続く2位は、東日本を中心として旅客鉄道等を運営する日本の鉄道事業者である「東日本旅客鉄道」(1.9兆円)です。日本国内では東北地方、関東地方、甲信越地方を中心とした地域に鉄道路線を保有して運営しているほか、多様な関連事業を展開しています。また、他社やグループ企業と連携して、海外事業も展開しており鉄道を運営する会社としては輸送人数×距離で世界最大級の規模を誇っています。 3位には、宅配便のシェアNo.1である宅急便を展開するヤマト運輸株式会社などを傘下に持つヤマトグループの持株会社である「ヤマトホールディングス」(1.7兆円)がランクイン。かつては、ヤマト運輸を中心としたグループ体制を敷いていましたが、分社化と再編を進め、主力の宅配事業を中核に事業部門ごとに別会社としました。これにより、ヤマトホールディングスの傘下に事業会社が入る体制となっています。 ― 引用終り ―
2023年06月13日
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クロネコヤマトの宅急便は1976年に始まった。収益性の低い運送事業の改革となった。 ヤマトの宅配事業の急成長を見て、宅配事業の将来性を確認した日通の「ペリカン便」は1977年に始まった。 「ペリカン便」は、2009年4月より、日本通運と郵便事業株式会社とで設立したJPエクスプレス株式会社で運営されたが、2010年7月1日、JPエクスプレス株式会社の宅配便事業が郵便事業株式会社のゆうパック事業に引き継がれ、消滅した。 取扱い量が成長を続けた宅配業界であるが、カンガルーの西濃、こぐまの名鉄宅配便、犬のマークのフットワークエクスプレスなど取扱事業者も増えた。全国規模での宅配事業の展開は容易なことではなく、宅配事業を止めたところも多い。飛脚の佐川急便のように、宅配事業を通じて各地方別のフランチャイズ運営から、全国企業になった物流事業者は多くはない。 2010年2月、日本郵政グループの日本郵便の2010年3月期の単独決算は、7年ぶりとなる179億円の最終赤字となった。日本通運との宅配事業統合を見直すのに伴う特別損失が主な要因だが、景気低迷などによる宅配事業の収益悪化という構造的な課題が残された。 2022年11月11日に発表した2023年3月期第2四半期決算によると、郵便・物流事業の売上高(営業収益)は9469億円(前年同期比0.7%減)、営業損失63億円(前年同期は72億円の利益)となった。取扱数量は総計で1.6%減。郵便は1.2%減、ゆうメールは2.9%減。ゆうパックは厳しい競争環境等により2.8%減(うち、ゆうパケットは2.4%減)となった。 赤字の郵便事業をカバーすべく、強化した宅配事業ゆうパックだったが、経営の強引さが目立つ郵政グループが事業をすすめたため赤字体質は是正されず、必要な投資も行われなかった。 もはや懐かしい「日通のペリカン便」どこいった!? 2010年に消滅? 意外な「統合先」とは2023/5/12 くるまのニュース宅配便として知られていた「ペリカン便」今はいずこに!? 現在では、日常生活での商品購入手段としてネット販売が広く普及しています。それを支えているのは「宅配便」の存在です。 … (略) … 小荷物を発送するのは、現在ではごく簡単なことですが、宅配便が存在するまでは、個人が行うのもひと苦労なことでした。 というのも、郵便小包(現:ゆうパック)もしくは「チッキ」と呼ばれた鉄道小荷物に頼るしかなかったのです。そのため発送したい人は、荷物を郵便局や駅まで運ぶ必要がありました。 さらにチッキの場合、自宅まで届けてもらうことはできず、荷物を受け取るには駅に行かねばなりませんでした。 1970年代に宅配便が開始されると、その便利さから80年代には急速に普及。最初に宅配便サービスを広げたのはヤマト運輸ですが、これを追うように大手輸送会社も続々とこの市場に参入し、宅配便サービスの競争が始まりました。 そのため不便だった鉄道小荷物は、1986年に姿を消しています。 このようにして開始されたペリカン便は、その後も順調にサービスを拡充。1991年には、国内航空便を用いて速達性を高めた「スーパーペリカン便」、2000年からは冷凍品の輸送も可能な「クールペリカン便」もスタート。 このほか「ゴルフペリカン便」「スキーペリカン便」なども用意され、様々な需要に応じていました。 しかし元来、日本通運は小規模な個人向け輸送よりも、鉄道や海運、大型トラックを利用した法人向け輸送を得意としています。 さらに宅配便市場ではヤマト運輸と佐川急便の2トップが圧倒的に強かったため、同市場でのシェアを伸ばせませんでした。 そして同様に、郵便による宅配便サービス「ゆうパック」(2007年から郵便小包から宅配便貨物に変更)を扱っていた「郵便事業株式会社(現:日本郵便株式会社)」もまた、収益が伸び悩みに。 そこで両者は統合による競争力強化を狙い、新たに「JPエクスプレス」を設立。ペリカン便ブランドは日本通運から離れ、JPエクスプレスが引き継ぐことになりました。 なお両社の出資比率は、郵便事業が66%、 日本通運が34%でした。 しかし事業を始動した2009年4月の段階では、システム的な問題などにより事業統合ができないままだったため、ひとまずペリカン便事業のみで営業し、同年10月にサービスの統合を目指していました。 ところが2009年10月の統合も総務省から認可が下りず再延期。JPエクスプレス自体の赤字も拡大しており、2010年3月期末の累積損失は約681億円に達しています。 そこで2010年7月、JPエクスプレスを清算、同社のペリカン便事業を郵便事業のゆうパック部門が引き受けることに。つまりペリカン便のサービスはゆうパックに引き継がれて一本化されたのでした。 そして同時に、ペリカン便のブランドはここでついに消滅することになったのです。 … (略) … ではペリカン便が消滅したあと、これらのクルマはどうなったのでしょう。 実は一部のクルマでは、ペリカン便・日本通運のロゴを消し、黄色+青帯を残したままゆうパックの集配に用いられていました。 それなりの台数が塗装変更を受けぬまま、ペリカン便カラーで残っていたのです。 2010年のペリカン便消滅から10年以上が過ぎた2023年現在でも、地域によっては時折その姿を見ることができるようです。 なお前述のスーパーペリカン便は、郵便事業にペリカン便が統一された後も残り、現在は「エクスプレスハイスピード」というサービス名で展開中です。 ― 引用終り ― 日本通運、福山通運などが表記している「通運」とは、鉄道貨物輸送の両端の貨物取扱駅において、荷主と鉄道の間に介在し、鉄道輸送を補完し、発荷主戸口から着荷主戸口までの輸送を遂行する事業をさしている。陸運の主役が鉄道輸送だった時代の言葉だ。 2001年に経営破綻し宅配事業から撤退した「フットワークエクスプレス」は、日本郵便の一員となっている。 民事再生法の適用申請を行い2003年、フットワークエクスプレス株式会社が復活。2009年、オーストラリアの物流会社「トール・ホールディングス」の子会社となり、2012年、トールエクスプレスジャパンへ社名変更。 2015年、親会社のトール・ホールディングスが日本郵便により買収された。
2023年05月22日
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物流業界の危機「2024年問題」が話題になっている。コロナ禍でものが作れないことが話題となってきたが、ものがあっても容易に届かない時代が目前に迫っている。 主に自動車を使用しての安価な宅配の進展、コンビニエンスストアの少量多頻度配送の確立、そして通信倍の普及拡大などで、人々は便利な生活を実現してきた。 少子化、高齢化、運転免許制度の細分化に加えて、2024年から働き改革による運転手不足が予定されている。コロナ禍で発展した通信販売などの影響で実売店でも、店舗側の配送料無料・即日配送なども重なり、定時、定点に荷物が届かない…という事態が予測されている。 誰か(消費者)の便利は、誰か(物流関係者)の努力に大きく支えられていた。 物流危機「2024年問題」の元凶は過剰サービス。送料無料・即日配送で疲弊する運転手たち=原彰宏2023年4月27日 MONEY VOICE 物流の「2024年問題」 働き方改革を目的とした改正労働基準法の施行により、2024年4月からトラック運転手の時間外労働に年960時間の上限が課され、年間拘束時間は現行の3,516時間から原則3,300時間へと厳格化されことになりました。それにより、運転手の労働環境改善が期待される一方で、1人の運転手が1日で運べる荷物量が減るため、人手不足が深刻化して物流が滞るリスクが指摘されています。 人件費増加で中小事業者の利益が圧迫される懸念もあり、輸送効率向上や運賃へのコスト転嫁などが課題となっています。 物流業界では、慢性化している運転手不足がさらに深刻となり、各地で荷物が運べなくなる事態が懸念されています。 野村総合研究所は、この問題により2030年に予想される国内の荷物量のうち35%が運べなくなる可能性があると試算しています。 ラストワンマイル……物流におけるラストワンマイルとは、最終拠点からエンドユーザーへの物流サービスのことを表現したもので、「最後の1マイル」という距離的な意味だけではありません。 お客様へ商品を届ける物流の「最後の区間」のことを「ラストワンマイル」と表現しています。 EC(ネット通販)の普及で、人々の買い物スタイルが、お店に足を運ぶのではなく、PC画面上でマウスをクリックすることで買い物を楽しむスタイルに変わってきています。 人々の買い物のあり方が大きく変わるなかで、物流市場への参入事業者が年々増加していて、他社との差別化を図るために「送料無料」「当日配送」などに取り組む事業者が多く出てきました。 それまで拠点を集約し、配送の部分を宅配業者に委託する形で物流を構築していたものを、よりエンドユーザーに近い場所に配送拠点を設けることで、ラストワンマイルを縮めてサービス強化する動きが活発化してきました。 しかもドライバーの努力によるもので、価格転嫁ができないものです。まさに「サービス合戦」ですね。 全国対応、当日配送、翌日配送サービス…。 ところが、これらのサービスが、今後は継続できないかもしれないという「物流の危機」が訪れようとしています。 「宅配業者への配送料金が見合っていない」「年々増加し続ける宅配貨物の物量」「再配達による業務効率の低迷」など、ECの拡大によって宅配サービスの取扱量が急増しているなかでの、ラストワンマイルの物流サービスのあり方が考えられる時期にきているところに、この「物流の2024年問題」がのしかかってきているのです。 過剰サービスだった? 労働人口の減少や作業内容等の物流労働環境の問題により、物流の担い手が年々減っているなかで「働き方改革」が進められているのはよくわかります。・トラック運転手の時間外労働に「年960時間の上限」設定・年間拘束時間が、現行の3516時間から原則3300時間へと厳格化 これらを守るということは、1日に運べる量は減少し、即日配達とか翌日配達などの、今までのサービス提供が困難になると指摘されています。 たしかに、健康被害や過労死、人で確保にとっても悪いイメージとなる長時間労働の実態是正は重要です。過労が事故につながることもありますからね。 翌日配達だけでなく、即日配達は顧客にとって本当に必要なのかという「過剰サービス合戦」のあり方も見直すべき時なのかもしれません。 そういった今までの“あたりまえ”となった風潮の見直しも、場合によっては必要かもしれませんね。 ドライバーの収入減も問題に この残業制限などは、ドライバー側からは“収入が減る”ことを懸念する声も出ています。 … (略) … 業務が大変な割には儲けが少ないと、ドライバーの“成り手”が減っていきます。そうなると、ものが運べなくなるのです。 企業側も対策しているが… 人手不足対策として物流網維持のためには、 ・料金割増し ・運送頻度低下 ・輸送の効率化(ダブル連結トラック活用) ・トラック輸送から船や鉄道に転換 ・複数の会社での共同輸送など、様々なことが試みられています。 また、再配達の多さや荷受け・荷降ろし時の待ち時間の長さも長時間労働を招く要因となっています。 … (略) … ローソンは、これまで1日3回コンビニエンスストアへ配送を行なっていたチルド・定温商品について、2回に削減することで、コスト抑制とCO2排出量の削減を行なうとしています。 これも2024年4月に施行される働き方改革関連法に向けての取り組みになります。 元々コンビニエンスストアへの配送業務は長時間拘束になりやすい配送体制で、新しい基準を満たすために、現状の配送スケジュールを実現するには、配送車と配送ドライバーの追加が必要となり、年間約20億円のコスト増が見込まれるそうです。 このため、配送スケジュールを見直すことで、コストを抑えようとしているのです。 ― 引用終り ― 関連法制とインフラの整備が進まなければ、自動運転トラック、ドローン、宅配ロボットの普及は進まない。 物流の2024年問題は、2024年を過ぎても課題であり続けることだろう。少子高齢化は社会のあらゆるところに見直しを迫る。 物流について、コンビニは配送スケジュールだけでなく、人口減少地帯を中心に、営業時間の見直しを迫られることだろう。
2023年05月14日
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進化し、売上・利用者が増加している都市部のエキナカの売店だが、利用者のニーズを受けることを含め、さらなる変身が必要とされているようだ。 JR東海は、駅構内に小売店舗を運営する東海キヨスクとジェイアール東海パッセンジャーズ(JRCP)を2023年10月1日付で合併し、「株式会社JR東海リテイリング・プラス」で、駅構内における店舗の役割の見直し、統廃合・再配置などを進める。 エキナカの買物をワンストップでキヨスクとJRCPが10月合併JR東海、流通事業を再編食品新聞 / 2023年5月1日 16時24分 JR東海はグループの流通事業を再編する。駅構内を中心に小売店舗を運営する東海キヨスクとジェイアール東海パッセンジャーズ(JRCP)を今年10月1日付で合併、「株式会社JR東海リテイリング・プラス」として新体制を敷く。存続会社は東海キヨスクで、JRCPを吸収合併する。資本金7億円。売上高は単純合算で835億円(東海キヨスク532億円、JRCP303億円、ともに22年度見込み)。 JR東海リテイリング・プラスは両社の事業を継承し、①売店・コンビニ・土産店・弁当店などの「駅構内小売事業」②カフェなどへのチェーン加盟による「フランチャイズ(FC)事業」③「新幹線車内販売事業(パーサー業務含)」④「駅弁製造事業」の4事業を運営する。 これまでキヨスクは土産品を中心に、JRCPは弁当を中心に扱っていたが、合併により駅構内店舗の集約・大型化を進め、駅利用客が土産品・弁当・飲料などをワンストップで購入できる環境を整える。 ― 引用終り ― 近鉄が導入しているファミリーマートなど、コンビニエンスストアにエキナカを譲る気はない、ということのようだ。JR東海は成立ち、環境は異なりながらも東日本が辿った道を想定しているのだろう。 JR東日本は、2001年から Suica が利用可能なエキナカのコンビニエンスストアとして、JR東日本クロスステーション リテールカンパニーが運営する「NewDays」を出店している。 2015年3月14日より、キオスクの一部店舗が順次新業態『NewDays KIOSK』に転換されている。
2023年05月10日
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ヒトの動きを制約したコロナ禍は、地方の公共交通機関の経営に大打撃となった。 リモート化がすすみ人の移動が減り、高齢化で運転手も減り、公共交通機関の間引き運転などのニュースが散見されるようになった。 繁閑に関わりなく一定規模のインフラを必要とする鉄道は、利用者の減により損益分岐点を大きく割り込み、廃線とバスへの切替がすすめられている。 労働人口の減少と高齢化と自動車運転免許の細分化におより、バス、大型自動車の運転手不足が生じている。鉄道輸送からバス輸送への転換は、主として運転手不足により容易ではない事態となった。 ありもしない無謬性を求める国家官僚は、新機軸にも、過去に類がないような無謬性を要求する。JR東日本は前例のない事柄を好まない事なかれ主義の官僚、国土交通省が望んでいると思われない、自動運転の実用化に積極的に取組んでいある。 JR東日本が進める「バス自動運転」変革の全貌 「運転手不足」「高齢化」への対策となるか東洋経済オンライン / 2023年3月31日 15時0分 バスの運転手が不足し、高齢化も進んでいる。特に地方公共交通の持続には早急に解決しなくてはならない課題の一つだ。JR東日本は、これを自動運転で解消しようと実証実験に挑み、バス自動運転の社会実装につなげた。複数社と社会課題解決へのビジョンを共有しながら進める新たなオープンイノベーションの取り組みだ。 そのポイントを、書籍『新世代オープンイノベーション JR東日本の挑戦 生活者起点で「駅・まち・社会」を創る』から、一部引用、再編集して解説する。 JR東日本が進めるモビリティ変革 バスの運転者不足が社会課題になっている。特に地方の公共交通を支えるバスの運転者が不足しており、高齢化も進んでいる。そのためバスによるモビリティ・サービスの持続的な提供が難しくなっている。 その解決策の1つとして期待されているのが、自動運転であり、バスの自動運転を考えるうえで最も実現性が高いシステムの1つが、「BRT(BusRapidTransit:バス高速輸送システム)」である。JR東日本のBRTは他の交通から分離したバス専用道と一般道を併用しており、特に専用道ではバス以外の車両や歩行者の立ち入りを禁止することでバスの速達性を高めることができる輸送システムになっている。 まず専用道を活用し、自動運転による持続可能なバスサービスを安全かつ安定して提供するための検証を行った。JR東日本が中心となり、企業や大学、研究機関などとモビリティ変革を実現する場として2017年に設立した「モビリティ変革コンソーシアム」(MIC)を通じて進めたものだ。 JR東日本は、2011年3月に起きた東日本大震災によって、鉄道システムが甚大な被害を受けた。 中でも気仙沼線の柳津駅と気仙沼駅の区間、大船渡線の気仙沼駅と盛駅の区間については、復旧までに多大な時間がかかると想定されたため、JR東日本がBRTによる復旧を提案し、沿線自治体の同意を受け、気仙沼線BRTは2012年から運行開始、大船渡線BRTは2013年から運行を開始した。 BRTの運行後、お客さまからは、運転本数を含む利便性などで好評をいただいている。 このBRTの自動運転化は可能なのか。運転者不足の課題を解決する可能性を検証するため、BRTの自動運転に必要な技術やサービスの検討と検証実験を進めた。 道路に設置した磁気マーカーでバスの位置を認識 同取り組みはMIC立ち上がり初期の2018年度から始まり、「Door to Door推進WG」の一環として、JR東日本管内の大船渡線BRTにおいてBRT専用道と小型バス(日野リエッセ[先進モビリティ提供])を用いた車線維持制御実験、速度制御実験、正着制御実験、交互通行実験などを行った。走行距離は約0.4km(片道)。最高速度は時速40kmで走行し、決められた位置で自動停止するなど、基本的な自動運転の技術実証を行った。 ― 引用終り ― 事故ゼロを基盤とする国民性を基盤として、事なかれ主義、減点主義の国家官僚が国内でどんなに踏ん張って進化・進歩を邪魔しても、世界はそんな動きに関係なく変わる。海外諸国では、AI搭載のロボットが増えていくように、交通機関も自律運転=無人化がすすんでいくことだろう。 自動運転車、空飛ぶクルマの発達は必然と思われる。高齢化で安全志向がますます強まる日本は、国民と国家が一体となって、古い物事を守りガラパゴス化を推し進めるのだろう。 かくして新しい産業が国内で展開される機会が減少し、日本経済は停滞、縮小を継続する。
2023年04月13日
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栃木県宇都宮市で導入されるLRTは、地上式の次世代型路面電車「ライト・レール・トランジット」と称する路面電車。 日本で路面電車の廃止は多かったが新設は極めて珍しく、宇都宮市議会選挙、市長選挙で重要な争点となった。 宇都宮のLRT「西側延伸」ついに本格化「軌道基本設計」に着手へ 2030年代の開業目指す2023年3月7日 乗りものニュースJR宇都宮駅の「新幹線と在来線の間」を高架ですり抜ける計画です。2026年の工事着手に向け軌道の基本設計に着手 今夏の開業をめざし工事が進む鉄道新線「芳賀・宇都宮LRT」。その延伸事業として、JR宇都宮駅からさらに西側エリアへ向かう計画が加速しそうです。 宇都宮市は2023年3月2日(木)、LRTの駅西側整備に向けた「軌道基本設計業務」の委託者を決定するための公募型プロポーザルを公告しました。この業務では、軌道施設の基本設計、道路予備設計、高架構造の予備設計などを実施。履行期間は2024年3月までとなっています。 宇都宮市は、LRTの駅西側延伸について、2024年に軌道事業の特許申請、2026年に工事着手、2030年代の開業を目指しています。今回、延伸に向けた具体的な動きが明らかになり、今後は事業化に向けた動きが加速するものと見られます。 宇都宮LRTの駅西側延伸をめぐっては、まずはJR宇都宮駅東口停留場~宝木町1丁目・駒生1丁目付近(教育会館付近)までの5キロを着実に整備する「整備区間」とし、そこから先の大谷観光地付近までは「検討区間」としています。整備区間には、主に、二荒山神社、東武宇都宮駅、桜通り十文字、護国神社などの付近に停留所が設置される計画です。 焦点になるのが、JR宇都宮駅の横断方法です。先に発表されているイメージ図では駅の北側へ高架で迂回し、ホテルメッツの北側あたりで新幹線高架をくぐる形で在来線を横断することを想定しています。 さて、先行開業となるJR宇都宮駅東口から芳賀・高根沢工業団地までの優先整備区間約15キロは、ことし8月の開業を予定で工事が大詰めを迎えています。2022年11月からは試運転が開始されています。 ― 引用終り ― 宇都宮のLRTは、第三セクター方式で栃木県の宇都宮市と芳賀郡芳賀町を結ぶライトレール(LRT)路線で、2015年11月に設立された宇都宮ライトレール株式会社が運営する。 計画は下記の通りだった。 2023年8月、優先整備区間の開業。 2024年内、宇都宮駅西側区間の軌道事業の特許申請。 2026年、宇都宮駅西側区間着工。 2030年代前半、宇都宮駅西側区間(宇都宮駅東口~宇都宮駅西口~栃木県教育会館前)開業。 宇都宮駅西側区間が順調にすすむかが、宇都宮のLRTの成否判断のカギ。 https://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/kurashi/kotsu/lrt/index.html芳賀・宇都宮 LRT公式サイト
2023年03月22日
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2020年から続くコロナ禍は社会のリモート化をすすめた。日々の暮らしにおいては通信販売、出前が盛んになった。 通信販売の隆盛で宅配が大きな伸びを示し、時間帯配送、温度帯管理など宅配にかかわる仕事は増える一方だ。 宅配が繁忙を極める一方で、少子高齢化に加え人口減少社会となった日本に物流危機が迫っている。 団塊の世代の後期高齢者入りはドライバーの減少となり、新規のドライバー0は若者層の減少と公認教習所を救うための自動車運転免許の細分化により、容易に供給されない。 そのような環境下、2024年ドライバー業界に労働時間の上限規制が実施される。 労働時間の上限規制に加え、核家族化もあり、長距離トラックドライバーの不足に拍車をかけることになる。 迫りくる"物流危機"櫻井玲子 解説委員2021年09月20日 NHK 私たちの暮らしを支える「物流」。 消費者の手元に商品が無事、届くまでの、一連のモノの流れを指し、「経済の血液」とも呼ばれています。 しかし、その血液の流れが、途中で止まってしまったら、どうなるでしょうか。 欲しいモノが、欲しい日に届かなくなる、といった深刻な「物流危機」が起きることを懸念する声が、あがっています。 なぜそのようなことが心配されているのか。何が、起きつつあるのか。その背景や課題、そしてその対応策について考えます。 【物流危機が心配される背景】 物流危機が今、心配されているのは、「運んでほしい荷物の量」、つまり「物流需要」が「輸送能力」を超えつつ、あるからです。 まず需要をみると、ネットショッピングの普及を受け、個人向けの宅配が増えています。 さらに、より、大きな問題となっているのは、生産者から卸や店への輸送の「頻度」、つまり荷物を運ぶ回数が増えていることです。消費者の要求にきめ細かくこたえるために少量多品目の製品を届けてほしい。 それも余分な在庫を避けるために、必要なときに必要なだけ、すぐに、届けてほしい、という求めに応じたものですが、物流企業に、相当な負担を与えているというのが実情です。 一方、商品を運ぶ輸送能力は年々、低下しています。 特に国内輸送の9割を占めるトラックの運転手の数が減っているのが、最大の要因です。 ドライバーの高齢化がすすんでいること。 また、重い荷物の積み下ろしや長い待ち時間、その割には安い賃金が敬遠され、2000年には100万人いたといわれるドライバーの数が、2030年にはその半分の50万人程度にまで減るという予想もあります。 特に注目を集めているのが「2024年問題」です。 3年後の2024年度から、働き方改革の一環として、「残業の上限規制」が始まります。 ドライバーの健康を守るために必要不可欠な改革ですが、罰則を伴う規制の導入により、ドライバーの労働時間は大幅に減り、その分、輸送能力が低下することが予想されます。 2030年ごろには、輸送を必要とするモノと、実際の輸送能力に、35パーセント程度の需給ギャップが生じるのではとみられています。 これは、本当は運んでほしい荷物の3割以上を、運んでもらうことができなくなるかもしれないということを意味します。 ― 引用終り ― コロナ禍前の2019年の鉄道貨物協会の試算では、物流の要の1つであるトラックのドライバーは、2020年度時点で14万4058人不足、2025年度は20万8436人不足、2028年度は27万8072人不足すると予測している。 通販主体の消費者物流だけでなく、調達物流、生産物流、販売物流など物流全般の危機となる。 カンバン方式に基づき、在庫は少なければ良、多頻度配送は良とされてきたが、これはモノの運び手のことを考慮してないコストダウンの仕組みだ。 SDGsやCO2削減などのサステイナビリティのムーブメントと考え合わせて、物流危機の前兆を契機に、商品や製品の物流システムやサプライチェーンを根本から見直すことが必要となるはずだ。保守的な日本は火がついてから対応を始めるのであろう。 ビッグデータをもとにしたAI活用の大規模で効率的な物流プラットフォームが出現する日が来るだろうか。
2023年02月11日
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コンテナ輸送で世界一の物流会社マースクは、ロシアによるウクライナ侵略戦争を受け、2022年5月、ロシア事業からの撤退を発表した。 5月16日、アジアと欧州を結ぶ新鉄道ルートを開始したと発表した。アジア発輸出では中国出発後、カザフスタン、アゼルバイジャン、ジョージアを経由し、ルーマニアに到着する。 従来の中国発欧州向け鉄道輸送ではロシアを通過していたが、ロシアを経由しない鉄道サービス提供を目指す。 新サービスでは中国、カザフスタン・ホルゴスから同国アクタウまで鉄道輸送。アクタウからはカスピ海を航行するバージに積み替え、アゼルバイジャン・バクーまで輸送する。バクーからジョージア・ポチのAPMターミナルズ・ポチまで鉄道輸送され、ルーマニア・コンスタンツァ港までフィーダー船で輸送される。 コロナ禍以前、グローバルな人流・物流ネットワークの確立により小さくなった(身近になった)世界は、ロシアのウクライナ侵略と中国の領土的な野心に基づく海洋進出の強硬により、再び広げられた。 極東の地で西側世界と連携し経済を成り立たせてきた日本は、新たな物流ルートの開拓を迫られている。 12月24日、林外相は中央アジア5か国外相との会合をもった。珍しく日本外交が先手を打ったように見えるが、米国のアドバイス・警告に基づく行動なのかもしれない。 ロシア経由しない輸送路検討へ来年シンポ開催…日・中央アジア5か国外相会合2022年12月24日 讀賣新聞 林外相は24日、中央アジア5か国外相との会合を東京都内で開いた。人材育成や脱炭素の技術開発などを支援し、中央アジアの持続可能な発展に向けた協力を強化していくことを確認した。中央アジアに強い影響力を持つロシアや中国をけん制する狙いだ。 5か国は旧ソ連圏のウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン。 林氏は会合後の共同記者発表で「ロシアによるウクライナ侵略をはじめとする国際情勢の激変により、中央アジアは多くの課題に直面している」と指摘。その上で、「中央アジア諸国がバランスの取れた外交を展開できるようお手伝いしたい」と語り、日本の支援を通じ、中露への依存度を低減させたい考えを強調した。 具体的には、中央アジアの物資の輸出拡大を念頭に、ロシアを経由しない輸送路について検討するため、来年前半にシンポジウムを開き、日本と中央アジアの協力を模索していくことで一致した。 また、単純労働の分野で外国人の就労を認める「特定技能制度」などを活用し、中央アジアの経済発展に向けた連携を模索していくことについても議論した。 ― 引用終り ― 旧ソ連諸国はロシアのーチン大統領のウクライナ侵略という暴挙に対して一枚岩ではない。中国の一帯一路政策で債務の罠に堕ちた国々のようにはなりたくないと考えているだろう。 物流ルートを設定するなどして、平和的な経済基盤を連携させることで、長期の政治的な安定を導くことが、諸国と日本の国益につながる。 プーチン大統領のウクライナ侵略戦争開戦で、EUの反ロシアの機運が高まり、戦うと考えていなかったNATOの結束が強まり、ロシア抜きの経済体制が構築されつつある。強権政治は愚かな結論に向かっても、とどめる手立てがない。
2023年01月08日
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高齢者が運転する自動車の暴走が頻繁に話題になる一方、若者の自動車離れが語られてきた。 公認自動車学校の校長の多くは警察上がり(有資格者の天下り)が実態。 交通事故死が減少を続けているにも関わらず、天下り先の自動車運転教習所(自動車学校)保護のため、運転免許制度は細分化を続け、自働化等で運転が容易になる傾向に反して、運転免許取得費用は高額化、高止まりを続けてきた。 運転免許の要不要にかかわらず、就職用のアイテムの一つとして取得されていた運転免許であるが、20年間で運転免許を保有する若者は650万人減少しているとの記事。 運転免許を持つ若者が20年で650万人減少!車離れで心配される物流人材不足「自動運転はまだ?」の声もSmartFLASH 2022年9月5日 20時55分 将来的な“物流人材不足”を懸念「運転免許のある若者、650万人も減少!」 9月4日、ニュースサイト「Merkmal」が報じたニュースの見出しに、ネット上では驚きの声で溢れていた。「2021年度版の『運転免許統計』によれば、10代、20代の運転免許保有者数は約1080万人。しかし、2001年版の統計と比べてみたところ、20年の間に655万人も減っていたというのです」(全国紙記者) 同記事は、その衝撃的な数字を発表するとともに、将来的な“物流人材不足”を懸念している。たしかに、配送業者に免許は必須。ドライバーたちが減っていくのは目に見えているというわけだ。Twitterでは、「物流人材」がトレンド入りしていた。 「今の時代、若者にとって運転免許証というのは、“取るのに大金がかかるもの”という考えが強いです。 車での移動が当たり前の地方在住者なら、親が負担してくれるケースもあると聞きますが、都心に住む学生ならば“高い金を払って免許を取る必要も、車を持つ必要もない”という考え。車の維持費もネックです。 カーシェアサービスなどが流行の兆しを見せていますが、大前提として、自家用車を持つことにもはや憧れはないのです」(前出・全国紙記者) … (略) … 現在、世界各地のさまざまなメーカーが無人の自動運転のテストを行っている。完全自動化が実現すれば、たしかに免許証はただの「身分証明書」になってしまうかもしれない。 ― 引用終り ― 若者人口の絶対値の減少と自動車運転免許の細分化により、大型トラック・バスドライバーの不足は深刻化している。 長時間運転の制限により短期で稼ぐことが難しくなった長距離トラック、雇用が不安定な観光バス、生コン輸送運の運転者不足・高齢化は特に深刻なものとなっている。 物価安定の陰でコスト上昇の制約は強く、不足しているにもかかわらず、これらの職種の待遇改善は進まないため、高齢化を続けており、運転中の突然死などによる交通事故の報道をよく目にするようになった。 2020東京パラリンピックで発生した、自動運転車と歩行者の事故にみられるように、完全自動運転の実現のハードルは相当高い。 ECの進展で個別宅配のニーズは強まる一方だ。少子高齢化は消費だけでなく物流にも大きく影響するので、現在の物流システムで運転者の比重は大きいままだ。 「交通安全」「交通死傷者ゼロ」を盾に警察、公安委員会は自動車運転免許の取得要件の緩和に応じないことだろう。「安全」はすすみ「経済」は衰退する。
2022年09月15日
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EC市場の重要なボトルネックのひとつが配送、配送料であることが明確になりつつある。 宅配自体は労働集約的な作業であり、若年労働力の減少などにより、コストダウンは限界となりつつある。 物流センターでの自動化の推進などが配送の時間とコスト削減の眼目となっているが、これは大規模な投資を要する。 欧米でアマゾンの倉庫労働者の搾取は限界を迎えている。 ここは人間の働く場所ではない…「正社員登用」をチラつかせて強制労働させる"アマゾン倉庫スタッフ"の実態プレジデントオンライン / 2022年7月30日 小売最大手のアマゾンでは、労働環境の劣悪さがたびたび問題になっている。いったい何が起きているのか。 派遣会社を通じてアマゾンの倉庫で働いた、英国人ジャーナリストのジェームズ・ブラッドワースさんがリポートする――。※本稿は、ジェームズ・ブラッドワース、濱野大道訳『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した 潜入・最低賃金労働の現場』(光文社未来ライブラリー)の一部を再編集したものです。 ■91%が「アマゾンの仕事を友人に勧めたくない」 アマゾン従業員に対してGMB労働組合[全産業からなる英国最大級の一般労働組合]が行なった最近の調査では、次のような結果が出た。 ・91%がアマゾンで働くことを友人に勧めたいとは思っていない。・70%が不当に懲罰ポイントを与えられたと感じている。・89%が自分は利用されていると感じている。・78%が休憩は短すぎると感じている。・71%が1日に16キロ以上歩いたと答えた。「一緒に働きはじめた人たちはもう誰もいません。8人のうち残ったのはわたしだけです」とクレアは語った。彼女は髪に赤いメッシュを入れたぽっちゃり体型の19歳で、アマゾンの梱包と地元のパブでの仕事を兼業していた。 ― 引用終り ― 2022年7月27日、アマゾンは、アマゾンの配送拠点である「デリバリーステーション」を年内に日本国内18カ所に開設すると発表した。各デリバリーステーションの配達対象となるエリアでは、700万点以上の商品の翌日配送を可能にするという。 デリバリーステーションが新設されるエリアのうち、青森県と岩手県、秋田県、長野県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、熊本県、沖縄県では新たに「置き配指定サービス」を利用可能となる。 ヤフー・ジャパンは自社物流拠点の強化によりECのシェア拡大を目指す。 自社物流拠点の強化を避けてきた楽天は、しばらくの間、赤字の楽天モバイルに資金を割かねばならず、楽天市場のため大規模な自社物流拠点の増強は難しいと思われる。国内EC市場トップの楽天市場の今後の動向に注目したい。 アマゾン、配送18拠点を新設10県で初、自社物流網強化共同47NEWS 2022年7月26日 20時3分 インターネット通販大手のアマゾンジャパン(東京)は26日、年内に全国18カ所に配送拠点を新設すると明らかにした。青森や長野、高知など10県では初の拠点となる。現状の全国約30拠点から6割増やし、自社物流網を強化する。新型コロナウイルス禍で電子商取引(EC)の需要が高まる中、EC各社の競争が加速しそうだ。 北海道を除く46都府県の都市部を中心に、700万点以上の商品の翌日配送が可能になる。北海道にも来年中に拠点を設け、全都道府県に翌日配送ができる地域を設ける。アマゾンジャパンは18拠点で「5千人以上に働く機会を創出する」と説明している。 ― 引用終り ― アマゾンは地域の雇用を増やすとして具体的な人数を挙げているが、物流拠点でと地域配送者が加算されていることだろう。 アマゾンは地域配送業者を目一杯搾取しようとしている。 配送業者「Amazon」とは?業者一覧、追跡と再配達、評判を徹底解説【旧デリバリープロバイダ】2022年5月20日 ノリフネ配送業者「Amazon」とは 配送業者「Amazon」とはAmazonと提携している地域限定の配送業者の総称。 参照:Amazonの「配送業者の連絡先」 かつて「デリバリープロバイダ」と呼ばれていた業者がそれです。 「デリバリープロバイダ」と呼ばれていた業者は全9社で構成されており、営業所・物流センターの位置によって、担当地域がそれぞれ分かれています。 「配送業者Amazon」を含む配送業者についてざっと知りたい場合は、Amazonの「配送業者の連絡先」にも掲載されていますのでチェックしてみてくださいね。 「配送業者Amazon」についてネットやTwitter等で検索してみると、その評判はイマイチよろしくない……。 私も心配に感じたので、どんな業者が担当しているのか、そして荷物追跡、再配達、回避方法等について調べました! まずは業者の一覧から紹介していきます。 ― 引用終り ―
2022年08月09日
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コロナ禍により世界的にEコマースが進展。港湾インフラの逼迫、宅配物が急増による倉庫業界・運輸業界の過酷な労働環境、ドライバー不足などが報じられた。 日本の物流業界でも、宅配荷物の急増と人手不足により運送会社ではなく、個人に宅配を委託する動きが急拡大している。軽貨物運送業者数は2016年度の約16万業者が、2020年度に約20万業者へと急増し、この大半が個人ドライバーとみられている。 アマゾン宅配委託された「個人ドライバー」、運送会社と「事実上の雇用関係」…異例の是正勧告2022/5/29 読売新聞オンライン ネット通販「アマゾン」の荷物の宅配を運送会社から業務委託された個人事業主のドライバーについて、運送会社から指揮命令を受けており、事実上の雇用関係にあるとして、労働基準監督署が運送会社に労働基準法違反で是正勧告していたことがわかった。宅配荷物の増加で、個人ドライバーに業務委託する動きが物流業界で広がる中、違法とする認定が明らかになるのは異例。今後影響が広がる可能性がある。 関係者によると、運送会社は、「アマゾンジャパン」の荷物の配送を受託する複数の協力会社のうち最大手で、東証プライム上場の「丸和運輸機関」(埼玉県吉川市)。春日部労基署(埼玉県春日部市)が1月に出した勧告では、同社が宅配を業務委託している個人ドライバーの一部について、同社の労働者にあたると認定した上で、労基法で定められた労使協定を結ばずに法定労働時間(1日8時間)を超えて働かせたなどとしている。 同社は、個人ドライバーと、1日あたりの固定料金で宅配を業務委託。しかし、ルートを指定したり、予定外の配達を急に指示したりしていたほか、制服の着用も求めていた。また、報酬の一部を「事務管理料」として天引きしていたという。 業務委託では、報酬は成果に対して支払われる。業務の進め方は個人事業主の裁量に任される。企業が指揮命令すれば、雇用関係にあるとみなされ、企業は労働条件を書面などで明示することが必要になる。怠れば労基法違反になる。 労基署は是正勧告を出した企業に改善内容をまとめた報告書の提出を求める。 同社の昨年3月期の売上高は1121億円。うち23.4%がアマゾン関連という。 同社は読売新聞の取材に、委託する個人ドライバーについて「労働者性は認められない」とする一方、是正勧告については「お答えできない」としている。 ― 引用終り ―
2022年06月01日
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ウクライナ侵略戦争が長引くにつれ、ロシア軍の兵站(ロジスティクス)を軽視したことが致命的だったことが明らかにされつつある。 米軍のロジスティクスが最先端であることは、遠く湾岸戦争でハッキリしている。 中国・人民解放軍は侵略戦争におけるロジスティクスの重要性、割くべき資源の大きさを重要な戦訓として活かすことができるだろうか? 軽視ダメ、ゼッタイ! ウクライナ戦で「ロジスティクス」を甘く見たロシア軍の失態矢作真弓/武若雅哉(軍事フォトライター)2022.03.19 乗りものニュース … (略) … 改めて振り返ってみると、今回のウクライナ侵攻には色々と無理がありました。こうした大規模な侵攻作戦は、初期段階で数日間に渡る航空攻撃や砲撃などを行い、相手の対空警戒網や通信網を破壊し、さらには軍事拠点などを攻撃して相手の反撃を最低限に抑え込む行動を取ります。しかし、プーチン大統領は十分な航空攻撃を行わず、侵攻当日に早々と地上軍を繰り出しました。 この愚策ともいえる行動。これは筆者(矢作真弓/武若雅哉:軍事フォトライター)の推測ですが、ロシアはウクライナをすぐに掌握することができると考え、勢いでなんとかしようとしたのでしょう。 そのため、長期の戦闘を考慮しない“短期決戦”計画を立てたと思われるのですが、案の定、そこには大きな落とし穴がありました。 ロシア軍の正規軍人はウクライナ軍の約8倍となる約90万人います。そのうち、約15万人がウクライナに侵攻したと考えられていますが、この15万人という数字、実は陸上自衛隊の定員数と同じです。 これだけの大規模な部隊を一度に投入できることはロシア軍の強みであるものの、その一方で、ロシア軍が「兵站」を軽視したことは致命的ともいえます。 … (略) … 兵站に重要な前線部隊との距離感 ロシア軍が想定していた以上にウクライナ軍の反撃が激しかったことも誤算のひとつではありますが、兵站に関してはそれを上回る大誤算といっても良いでしょう。 そもそも「兵站」とは、英語では「logistics(ロジスティクス)」といい、食料、燃料、弾薬、通信、整備、医療などの各機能を集約した言葉です。ゆえに、陸上自衛隊では後方支援と呼ばれるもので、活動するうえで欠かすことのできない分野としてそれぞれを担当する専任の部隊を用意しているほどです。 自衛隊に限らず世界中の軍隊で、この兵站能力は部隊の行動を維持するために必要不可欠なものとみなしており、特に作戦行動が長期化すればするほど、この兵站能力の差がモノをいうようになってきます。 逆に、兵站能力をある程度無視できる場合もあります。ただ、それは長くても1週間程度の短期決戦に限られます。つまり、それ以上の長期に渡る行動には兵站の充実が部隊を円滑に動かす秘訣になるといえるでしょう。 なお、この兵站は前線に進出する部隊との距離感も大切になります。 世界の軍隊でひとつの目安として語られているのは、兵站拠点から300km程度離れると十分なサービスを供給しにくくなるということです。 理由は単純、補給線が伸びれば伸びるほど、輸送部隊や衛生部隊が前線へたどり着くまで時間がかかるからです。たとえ高速道路などがあったとしても、高速道路は遠くからでも視認しやすいことから常に狙われているといっても過言ではありません。そのため、輸送部隊は高い緊張を強いられながら移動しなければならないのです。 ― 引用終り ― ロシア軍はソ連時代の「アフガン紛争」の戦訓を有効に生かすことができなかった。 ウクライナ政府、ウクライナ軍は「継戦能力」の強化が自国の領土を守ることにつながることに早くから気付いていた。 現在、自国から離れた遠隔地で二つの武力紛争を戦えるのは、米軍だけとされている。 ロジスティクスの重要性に気付けば、武力による領土侵略が経済的に「割に合わない」ものだと知ることになるのだが……。
2022年05月13日
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広大な国土と厳しい気象環境が多いロシアは、道路網よりも空路が発達した。 道路の維持・管理は困難が多い。 ロシアの弱点は「道路輸送」だった! 特異な物流構造からウクライナ侵攻を考える本川裕(統計データ分析家)2022.3.21 MerKmal ロシアの物流構造の特徴は、鉄道、パイプラインといった装置型輸送路のシェアが高い。 また、道路輸送のシェアが極端に低いという物流構造の特徴はさらに強まっている。 … (略) … ロシアの物流構造の特徴は、鉄道、パイプラインといった装置型輸送路のシェアが高い点にある。道路輸送は6%と図の27か国の中で最少となっている。背景としては、国土が広く(またシベリアもあるため)道路整備が一部の地域に集中し、網羅的に発達しなかったことによるものとされている。 日本を始め欧米先進国では、重厚長大から軽薄短小への産業構造の転換、またジャストインタイム生産方式やドアツードア輸送に対応するきめ細かな配送需要が高まった。それに伴って、高速道路を含む道路ネットワークのインフラ整備が進み、道路輸送のシェアが大きく拡大する傾向にあるが、ロシアはこうした動きに決定的に乗り遅れていると言わざるを得ない。 ウクライナの輸送構造もロシアより道路輸送が多く、パイプライン輸送が少ないという違いはあるが、鉄道輸送の分担率はロシアより高く、なお、ロシアとの共通性が高いと考えられる。 … (略) … 今回のロシア軍のウクライナ侵攻に関しては、短期決戦による全土制圧を前提とした多方面からの侵攻を行ったのに、ウクライナ側からの予想外に強い反攻を受け、十分な制空権も得られず戦況が膠着。そんななかで、食料や燃料、弾薬の補給といった兵站に問題が生じていると言われる。 これは推測であるが、当初予定していた鉄路でつながれているウクライナ国内への鉄道輸送による兵站が困難となったためなのではあるまいか。道路輸送が不得意なロシア軍の体質が弱点となっている可能性があろう。 ― 引用終り ― 陸路も空路も海路も不足しており、欠品補充の管理システムもない、というのがロシア軍の実態だろう。
2022年04月07日
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全日本トラック協会の調査によると、2019年度、貨物運送事業において黒字(営業利益)を出している事業者は37%。 調査対象全社の平均営業利益率はマイナス1.0%。 労働集約型でアナログの極みのトラック輸送は、参入障壁が低いため、常に中小業者の新規参入により過当競争を強いられてきた。 低水準の運賃は、ドライバーの労働条件の改善を阻み、長時間労働の規制強化により年収は低下。 少子化と運転免許制度の改正により新規ドライバーの供給が滞り、労働条件の改善だけでは解消不可能なドライバー不足が続いている。 これらの諸課題を解決するカギが「フィジカルインターネット」だという。 物流存続に不可欠な“痛みを伴う”大変革の行方【フィジカルインターネットの課題を考える #3】坂田良平(物流ジャーナリスト)2022/3/22 Merkmal … (略) … 冒頭、運送会社の大半が赤字であることを指摘した。原因の一つは、運送業界が中小企業の集合体であり、経営基盤が弱いことにある。 国内には、約6万2000社の運送会社があるが、71.6%が従業員が20人以下であり、従業員が1000人を超えるのはわずか68社、割合にして0.1%しかない。 運送事業が赤字化する原因は、企業個別に見ればさまざまな原因がある。だが、大局的に見れば、運送業界の構造に課題があることは明白だ。個々の企業における自助努力には限界があり、業界の仕組みを変えなければ、運送業界の赤字体質は改善できない。 … (略) … 現在の物流ビジネスは末期症状を呈し始めている。 物流危機をこのまま放置すれば、物流コストはさらに上昇し、私たちの生活と日本経済に少しずつ、しかし確実に深刻な影響を及ぼす。 この病巣は、生半可な治療では完治しない。 だから、自動運転・無人運転トラックや、自動倉庫・無人倉庫、もしくはロボットの活用などの物流DXとともに、フィジカルインターネットのような変革が求められるのだ。 ― 引用終り ― 記事で、物流改革の決め手はフィジカルインターネットの実現としている。 フィジカルインターネットは、インターネットの仕組み、とりわけ、シェアリング(共有)とコネクト(連携)を物流システムに組み込むことで、荷主間にある壁、物流事業者間にある壁、運べる/運べない貨物の壁などを取り除くことで輸送効率を引上げ、最適化されたオープンな物流ネットワークを実現する。 トラック物流の最適化には、AIが最適解を導いてくれるにせよ、長めの時間と、多くの知恵の集約が必要と見受けられる。
2022年03月31日
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コロナ禍で通信販売の重要が高まった。 売り手も買い手もネットを相手にしていればよいが、作り手と、運び手はネットでは済まない。 小口輸送に携わるトラック運輸は活況を呈している。運輸単価が上がらないため、利益なき繁忙となっている感も強い。 2021年後半から、もともと過当競争が続いていたトラック運輸会社の自己破産、倒産が続いている。 下記の記事を読むと、ことはトラック運輸業界だけの問題ではなく、デフレ下で存続していた中小企業全般の問題であることが分かる。 長時間労働、低賃金労働に基づいたビジネスモデルの業種は、労働人口の減少、若年労働力の減少を踏まえたビジネスモデルを構築しないと、コロナ禍が明け、事業活動が活発になっても、事業の存続が困難となる。 トラック運輸会社の苦境~中小企業倒産急増の前触れか中村智彦|神戸国際大学経済学部教授2022/2/22 Yahoo!ニュース・増加するトラック運輸会社の倒産 昨年後半から、トラック運輸会社やその関連会社の自己破産申請や特別清算が相次いでいる。その背景を見ていくと、トラック運輸会社に特有な問題だけではなく、今後、多くの中小企業が直面する問題を抱えているといえる。 ・①原材料費の上昇 ~原油価格の上昇が重くのしかかるが 「軽油価格の上昇が経営を圧迫している」と、関西地方のある運輸会社の経営者は嘆く。トラックの燃料である軽油価格は、一年間で40円近く上昇している。 値上がりしているのは、軽油価格だけではなく、トラックの排ガス浄化に不可欠な尿素水も品薄感から、昨年、価格が上昇した。昨年10月以降、中国政府が輸出規制を開始したことに端を発し、経済産業省が国内メーカーに増産を要請した。一時は、原材料が1年間で2倍に高騰するなど混乱が見られたが、今年に入り、世界的な需要も安定しつつある。しかし、国内価格は高止まりしている。 ・②国内市場の縮小 ~急増しているのは宅配便だけ 国内貨物輸送量は、製造業の海外シフト、人口減少の深刻化などから、長期的に減少傾向ある。2010年以降は、ほぼ横ばいで推移してきた。「貨物業界は活況のように言われていますが、活況なのは宅配便だけ」と大手運輸会社の管理職社員は指摘する。コロナ前から、国内貨物の輸送量は減少傾向にあったので、厳しい経営環境が続いていた。 宅配便は、コロナ禍の引きこもり需要が拡大し、取り扱い個数も急増した。 宅配便の取扱い個数は、コロナ禍以前から大幅に増加していたが、就業者数は横ばいが続き、配達ドライバー1人当たりの扱い荷物数が急増し、労働環境が悪化していることが指摘されていた。しかし、いずれにしろ宅配便の取り扱い個数は急増していることは話題になったが、国内の貨物輸送量が減少傾向にあることには、あまり注目が集まらなかった。そのために、「運輸業界は活況だ」という認識に繋がってしまったのだろう。 ・③求人難と働き方改革 ~2024年の時間外労働の上限規制適用 トラック運転手の年間所得額は、全産業平均と比較して大型トラック運転者で約1割低く、中小型トラック運転者で約2割低いとされ、低賃金が指摘されてきた。さらに、年間労働時間は、産業平均と比較して、大型トラック運転者で約1.22倍、中小型トラック運転者で約1.16倍と長時間労働も問題となっている。さらに従業者の高齢化も大きな問題となっていた。「コロナ禍前に、運転手の確保のために、給与の改善に取り組んだ運輸会社も多かった。しかし、その後、コロナ禍で需要が減少し、経営の圧迫材料になってしまっている。」首都圏の運輸会社の経営者は、そう指摘する。さらに、経営者にとっては大きな問題を抱えている。 2024年4月から、運送業に対して時間外労働に対して年間960時間の罰則付き上限規制が適用されることになっている。他業種では、2019年4月もしくは2020年4月から適用されているのに対して、運送業に対しては猶予期間が与えられた。しかし、慢性的な従業員不足に直面している業界であり、上限規則の適用がさらなる従業員不足を発生させると不安を持つ経営者も多い。 ・④価格決定権がない ~値上げ要求ができない「コロナ禍の影響で、アパレル系などは大きな打撃を受けている。荷主側は、自社の経営悪化から、運賃の値上げどころか、据え置きか、下手をすると値下げ交渉をしてくる。」先の首都圏の運輸会社の経営者は言う。さらに、「コロナ禍前に、送料のことがマスコミでも取り上げられ、値上げやむなしという風潮に進むかと期待したのだが、逆戻りした感がある」とも言う。 トラック運輸の業界では、多層構造の下請け関係で成り立っている。結果、下請けをする中小企業側には、価格決定権はなく、それはそのまま労働環境の悪さと収益率の低さに繋がっている。国土交通省や業界団体などが、これまでにも何度か改善策をまとめてるなどしてきたが、改善にはなかなか結び付かなかった。 中小企業の低利益率を生む多層構造の下請け関係が、従業員の待遇改善を阻害しているのは、トラック運輸業界だけの問題ではない。 ・他業界の中小企業の動向の先触れ ①原材料費の高騰 ②国内市場の縮小 ③求人難と働き方改革 ④価格決定権がない これらの問題は、決してトラック運輸業界の中小企業に限ったものではない。増加傾向にあるトラック運輸業界の倒産や破産は、今後の他業界の中小企業の動向の先触れとも言える。 ― 引用終り ―
2022年03月11日
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原子力発電、石炭火力発電を養っている電気代と同様、国際比較の中で日本の物流コストは高い。 国際規格の海上コンテナんをそのまま運ぶことが難しい道路インフラ、積替え、保管が多数発生する構造の問題や有料道路、燃料代など、日本は物流コストアップの要素に事欠かない。 「高速IC直結物流ターミナル」は、その解消策の一つ。 大口輸送と小口配送の拠点が集約されていれば、物流の結節点が減り、コストも時間も節約できるはず。 日本初「高速IC直結物流施設」新名神に専用ランプ建設 自動運転トラックに対応乗りものニュース編集部2022.02.12 乗りものニュース新名神に三菱地所が整備する「次世代基幹物流施設」 日本初となる高速道路IC直結の中核的な物流施設が誕生します。 場所は建設中の新名神高速 宇治田原IC(仮称、京都府城陽市)そば。三菱地所が2022年2月に計画を発表しました。敷地面積3万6000坪、延床面積約8万3800坪の施設に、ICから約560mの専用ランプウェーを引き込む計画です。 三菱地所はこの施設を「次世代基幹物流施設」と位置づけています。 最大全長25mのダブル連結トラックや、完全自動運転トラック、後続無人の隊列走行トラックなどの受け入れを可能にし、増加する貨物需要や深刻なトラックドライバー不足の解決につなげる構えです。 なお、専用ランプの整備は東急不動産との共同事業になる予定とのこと。建物の着工は2025年、竣工は2026年の予定です。 ― 引用終り ― 大都市圏の物流ネットワークとして、同様の物流拠点の整備がすすむことがのぞまれる。 大規模物流ターミナルの整備と物流の自動化・省人化がすすまないと、少子高齢化の日本では運び手が足りず、ECによる商品の流通拡大のボトルネックとなる。 空港も港湾整備もすすまなかった日本は、世界3位のGDPであるにも関わらず、どちらも東アジア、東南アジアのハブから外れている。 古来、ヒトとモノの往来が盛んなところに産業は起こってきた。 日本では「もの創り」ばかりが強調されているように思えるが、物流インフラの整備がすすまなければ作ったモノが世界から脱落し、産業国家としての日本の将来を語ることはできない。
2022年02月21日
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コロナ禍で人流の抑制が続き、鉄道、バス、航空業界は厳しい状況が続いている。 医療関係を含め物流が活発となり、客船以外の海運業界は船賃が上昇し、世界的に好調。コンテナ不足も続いている。 海運大手3社、最高益更新へ=コロナ禍で運賃高騰―22年3月期2022年2月3日 JIJI.COM 日本郵船など海運大手3社の2021年4~12月期連結決算が3日、出そろった。 新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界的な「巣ごもり需要」の高まりや物流の混乱で運賃が高騰しているため、全社が大幅な増収増益。これを受け各社とも22年3月期業績予想を上方修正し、純利益は過去最高を更新する見通しだ。 21年4~12月期は、運賃高騰を背景に3社が共同で出資するコンテナ船運営会社が好調。純利益は日本郵船が6922億円と前年同期の約13倍を記録し、商船三井と川崎汽船も6~7倍の大幅増益となった。 22年3月期見通しについては、各社とも年度末まで足元の堅調な海運需要が続くとみており、今期で4度目の上方修正に踏み切った。 日本郵船の純利益見通しは9300億円と従来予想から2200億円上積み。商船三井は6300億円、川崎汽船も5200億円と、それぞれ1500億円の上振れを見込む。 ― 引用終り ― 世界物流の中心的存在であるコンテナ物流で、日本の海運大手3社は、弱小な存在。 収益が向上している間に、少しでも基礎体力をつけて欲しい。 コロナ禍で海運業が活況となる構造の説明は下記。 海運業界の世界ランキング2022:日欧中でしのぎコンテナ不足で運賃急騰のゆくえ2022年1月13日 ビジネス+IT コロナ禍でのコンテナ不足によって、需要がうなぎ上りとなり、コンテナ運賃が急騰し、活況を呈している海運業界。だが、国際競争は激しさを増し、海を越えたアライアンスや経営統合が進んでいる。 コンテナ部門ではイタリア発祥のMSC、デンマークのマースクなどの欧州勢が上位を独占する一方で、中国や台湾などアジア勢の追い上げも激しい。その中で、かつて「海運王国」と呼ばれた日本勢も、日本郵船と商船三井、川崎汽船の大手3社がオーシャン・ネットワーク・エクスプレスとしてコンテナ事業を統合するなど合従連衡が進んでいる。 … (略) … 海運はグローバルなサプライチェーンの大動脈 コロナ禍によって、海運に欠かせないコンテナが不足した結果、「海上運賃が急騰し、物価上昇にもつながりかねない」とメディアで報道されていることは、皆さんもご存じだろう。一方で、日本郵船、商船三井、川崎汽船の大手3社をはじめ、海運各社が「コロナ特需」による活況を呈する格好となった。 それでは、なぜコロナ禍によって、コンテナ不足に陥ってしまったのだろうか? 指摘されているのは、次のようなメカニズムだ。世界のコンテナの大半が中国で生産されているのだが、2019年にまず、米中貿易摩擦によって、中国のコンテナ生産が激減した。そこに降ってわいたのがコロナ禍で、2020年も経済の先行きへの懸念などから、中国のコンテナ生産は回復しなかった。 加えて、世界の主要都市でロックダウンが実施され、物流が停滞。 また、世界最大の消費市場である米国などでは、港湾物流を外国人労働者に依存しているため、コロナ禍で労働力が確保できずに、港湾物流が機能停止に陥ってしまった。 ところが、日米欧をはじめとする主要国では「巣ごもり需要」が旺盛で、2020年後半からは中国の工業生産や輸出も復活したため、拡大する物流の需要に対して、コンテナの供給が極度に逼迫(ひっぱく)してしまった。グローバル化したサプライチェーンが今や緊密に結びつき、海運業がそのキープレーヤーになっていることを、コロナ禍が改めて浮き彫りにしたというわけだ。 ― 引用終り ― 低炭素化の取組が本格化する時期でもあり、アマゾンやイケアなど海運・物流に関わるグローバル企業は、2040年までにコンテナ船の燃料をネットゼロにするという目標を発表している。 世界で劣位の存在となった日本の海運も、造船業界との連携、陸海空の物流連携に積極的に取り組むなら、大きなチャンスとなる。
2022年02月15日
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2020年11月以降、世界の物流は混乱を続けている。 人手不足とコンテナ輸送物の急増による港湾混雑、荷役の遅れによるコンテナ船の沖待ちにより輸送遅延、コンテナ自体の不足などだ。 コロナ禍による商品・製品生産の不安定さを、物流の不安定さが倍加している。 物流の混乱は、海上運賃、航空運賃の高騰をもたらした。 荷主側は、輸送リードタイムが延びたこと、不安定化したことで、在庫を積み増し、緊急輸送による物流コストの増加となった。 物流費の高騰は、原材料や商品の価格上昇をまねく。 世界の物流、コロナ下で停滞輸送費も高騰、日本にも影響2022年1月16日 47NEWS【上海、シンガポール、ロサンゼルス共同】 新型コロナウイルスの変異株オミクロン株がまん延する中、世界で物流の停滞が深刻化している。コロナ下の「巣ごもり需要」で貨物量が増える一方、感染拡大による荷役労働力の不足や検疫強化で港湾機能は著しく低下し、コンテナ船の混雑は慢性化。輸送費も高騰し、日本でも身近な商品の流通に影響が及んでいる。 米国ではアジアとつなぐハブ(拠点)の米西海岸のロサンゼルス、ロングビーチ両港でコンテナ船の渋滞が続く。 関係者は「消費意欲の回復でコンテナ量が増え、港の処理能力を超えた」とみる。 ― 引用終り ― 貿易量が増大する中、世界物流は様々な合理化をすすめながら、微妙な一線上で均衡を保ってきた。長引くコロナ禍が、この均衡を崩した。例えば「コンテナの不足」ひとつをとっても理由は単純ではない。 ■コンテナ不足の主な要因①コロナ禍以前から、貿易量の増加に対し新造コンテナが不足気味だった②アジア発北米向け貨物の急増③港湾作業員不足によりコンテナ処理能力が低下④欧米の航空コンテナ滞留による、アジアへのコンテナが回送不足 ①の下位には、コンテナの船賃の低下などにより2019年のコンテナ生産量が前年比40%に激減状態だった。2020年、コロナ禍の先行き懸念と人手不足などによりコンテナ生産工場稼働率が低下し、コンテナ生産が低下していたことなどがぶら下がる。新造コンテナが不足しているところを物流量の増大と、物流の混乱が同時的に発生した。 米中対立が激化した2021年、船賃の上昇、新造船の受注増大などで、海運、造船業界は景気回復した。2022年も基調は変わっていない。 2020年通商白書経済産業省第3節 物流の寸断とサプライチェーン 新型コロナウイルスの感染拡大に伴って渡航制限の導入や国境の封鎖が行われたことにより、陸・海・空の物流に寸断が発生した。この物流の寸断は、サプライチェーンの寸断につながり、各国の生産活動を停滞させ、その結果、貿易活動を縮小させることとなった。 物流の寸断の要因としては、まず感染の抑止のための外出制限や移動の制限が挙げられる。さらに、国境を通過する貿易においては、税関、検疫において感染の有無を確認するプロセスが導入されるなど、従来以上の時間を要する場面も存在した。物流の形態別に見れば、陸上輸送においては一部の道路・線路の封鎖、海上輸送においては一部の港湾の封鎖、航空輸送においては特に旅客機の運航数の減少が影響した。 ― 引用終り ―
2022年01月27日
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マクドナルドのポテトがSサイズのみになり、制限が解除されて再びSサイズのみに制限されるという奇怪な事態が起こった。 1月19日、「夢と魔法の国」は、4店舗でフレンチフライの販売停止を告知した。 それらの理由は、日本がコンテナ物流のへき地、辺境となっているかららしい。 なぜポテトはSのままなのか日本の港がコンテナ船にスルーされる現実も 2022年1月18日 NEWSポストセブン … (略) …日本の港なんて世界20位にも入っていない「港、思ったより小さかったでしょ」 コンテナ港に行ったことを食料商社の商社マンにメールすると日本の港について教えてくれた。今年に入っても大型コンテナ船のキャンセル、遅延が続く厳しい情勢だという。「東京港は大井の他にもいくつかありますけど、どれも小さな港でよくやってますよ」 規模だけではないのかもしれないが、日本の港がいつの間にか世界から置いてきぼりを食らっていることは数字が証明していた。貿易戦争の拠点のはずなのに。 「日本の港は20位以内にも入ってません。これ、もっと知られていいと思うんですけど」 国土交通省の『世界の港湾別コンテナ取扱個数ランキング』によれば1980年に神戸港が4位、横浜港が13位、東京港が18位だったのが2019年にはすべて圏外、つまり「世界的な港」というのが日本から消えて久しいということだ。出貨と入貨(輸移出入)の合計値だが、他の基準でも上位に日本の港は登場しない。ちなみに2019年は東京港39位、横浜港61位、神戸港67位、名古屋港68位、大阪港80位である。正直、筆者の記憶にあった「世界の中心」日本という国の順位とは遠くかけ離れている。「2020年なんてコロナ禍でさらに差がついてます。経済回したほうが勝ちなんです」 … (略) … 興味深いので電話に切り替えて資料をあたる。中国、本当に凄い。 国土交通省の2020年速報値では1位上海、2位シンガポール、3位寧波(舟山)、4位深セン、5位広州、6位青島、7位釜山、8位天津、9位香港、10位がロサンゼルス(ロングビーチ)と世界の上位10位の中に中国の港が7つも入っている。現代の太平洋の主要港は中国と、シンガポールと韓国、そしてアメリカが握っているということだ。 「だからアメリカと中国の間だけで運びたがるわけです。気軽に日本に寄ってもらうなんて昔の話ですよ、向こうからすれば日本に寄るのは割に合わないですからね」 筆者はこれまでも日本の「食の安全保障」について『憂国の商社マンが明かす「日本、買い負け」の現実 肉も魚も油も豆も中国に流れる』『商社マンが明かす世界食料争奪戦の現場 日本がこのままでは「第二の敗戦」も』で書いてきたが、こうした生活の実感として明確な事態と数字に対し、あまりに無頓着過ぎたのでは、という思いからである。「貿易は戦争ですからね、北東アジアのハブ港という立ち位置の韓国と、東南アジアのハブ港として圧倒的なシンガポール、両者は見越していたということですよ」 … (略) … 確かに、関税も掛からない巨大で至便な港があれば寄るだろうし、韓国やシンガポールとしても大国ではない自分たちの国に物が届く「寄るメリット」としてハブ港はうってつけだったのだろう。日本も「スーパー中枢港湾」「国際コンテナ戦略港湾」として2000年前後から取り組んで来たが、先のランキングや数字が示すとおりの「敗北」である。「日本のロジスティクスは東南アジアより遅れてます。なんでこうも輸送を大事にしてこなかったのか」 ― 引用終り ― 日本マクドナルドが儲けの多いマックフライポテトの販売制限解除のカギは、海上物流の回復と米国の港湾機能の回復らしい。しn
2022年01月26日
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コロナ禍を経て2022年は物価値上げの年を迎えるようだ。 世界の食糧価格は上昇を続けてきたが、日本の消費者物価は低いまま推移してきた。 それも限界となり、種々の原材料価格の上昇なども反映して、日本の消費者物価は上昇期となるだろう。 冷凍食品、相次ぐ値上げ油・畜肉原料・小麦粉価格の急激な上昇で「影響は甚大」コンテナ運賃など物流費の上昇も追い討ち2021年12月20日 食品新聞 さまざまな食品の値上げが発表されているが、冷凍食品でも家庭用・業務用ともに価格改定の発表が相次いでいる。 … (略) … 背景にあるのは急激かつ大幅なコストの上昇だ。 世界的な人口増で原材料価格が上昇していたが、今年に入り各国でコロナ禍が落ち着き、規制が緩和されたことで食料需要が膨らみ価格は高騰。 特に油、畜肉原料、小麦粉価格は急激に上昇した。冷食に多く利用されているものであり「影響は甚大」(メーカー)との声は多い。 欧米諸国で規制が緩和されたことは、物流の需要も押し上げ、海上コンテナが逼迫。日本でも輸入ワインの一部が休売に追い込まれているほどだ。 コンテナ運賃は21年に入ってから大きく跳ね上がり、5倍ほどになった便もある。中国との間でコンテナ獲得競争になることもあり、価格を押し上げる要因にもなっているという。 さらに原油価格も21年初から上昇を続けておりエネルギー費を直撃。ここ数年、継続的に上がり続けていた物流費の上昇にも拍車をかけた。 また、タイなど東南アジアでは、新型コロナウイルス感染症拡大が続き工場労働者が不足。工場の稼働率が低下したり、原料の確保が厳しくなったりしたことも影響した。 コストの急上昇は各メーカーを直撃。最大手のニチレイはコスト上昇が響いて第2四半期は減益だった。今年の営業利益は前年を上回っていても、19年に比べれば減益になる企業もある。 合理化やコスト削減は当然に進められたものの、もともと冷食は利幅が小さいこともあり、5~6月頃には「このままでは価格の維持は難しい」といった声も聞かれていた。 ― 引用終り ― 食品メーカーにとっては売価の引き上げのチャンスだが、少子・高齢化、人口減社会の中の日本の経営陣は、チャンスではなくリスクととらえる向きが多い。全国規模のスーパーなど小売業者からの圧力も大きい。 比較的に大きな経済成長が続いた時代は、コスト・プッシュ・インフレという言葉も聞いたが、現代の日本経済がインフレに転換するのは様々な障壁がある。 悪夢の自公連立政権・安倍内閣の時代に雇用が不安定化され、現在、正社員の就業者全体に占める割合はピーク時の60%から53%に低下し、非正規雇用で働く人の割合は1994年の15%からピーク時には32%まで上昇している。 人件費が低下し企業収益が上昇すると考えていたらしいが、不安定雇用の増大で内需が伸びず、国内経済は低迷。 人材派遣業の尾売上と輸出産業の内部留保だけが増大する始末となった。 この先は、デフレからスタグフレーションへの転換? コンテナ不足 世界の物流混乱国連“世界経済の回復に影響も”2021年11月23日 NHK 世界的なコンテナ不足を背景にした物流網の混乱の影響が広がっています。国連はコンテナ船の運賃の高騰が続けば2023年までに世界の輸入価格を11%ほど押し上げ、コロナ禍からの回復に影響しかねないとする報告書をまとめました。 世界の物流網をめぐっては経済活動の再開に伴って中国や東南アジアから欧米などに運ばれる荷物が急増し、世界的なコンテナ不足や運賃の高騰を招いています。 UNCTAD=国連貿易開発会議は18日、海上輸送に関する報告書を公表し、この中でコンテナ運賃の高騰は去年の後半から始まり、コンテナだけでなく労働者の不足もあって各地の港が混雑し輸送の遅れにつながっていると指摘しています。 ― 引用終り ―
2022年01月08日
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コロナ禍は、海運、トラック輸送などの混乱を招き、物流産業のボトルネックが労働集約的側面にあることを明らかにした。 定時、定点を果たした大量輸送の旗手であるコンテナ輸送も人手不足の前には無力だった。 実はそんなことは以前から明らかだったが、コストの問題で解消されなかった問題が山積みとなっていただけのことだった。 米軍は湾岸戦争でRFIDを活用した物流制御システムで戦場での最適物流を実現し、快進撃を続けることができた。 ウォルマートと米軍が提携しても、二次元、三次元バーカードほどにはRFIDのコストが十分下がらず、一般の物流、商流への新物流システムの適用はすすまなかった。 世界の物流混乱が著しくなり、モノが動くだけで情報が反映され管理される物流システムは、最新の技術を反映して再構成されて「フィジカルインターネット」として注目されようになった。 フィジカルインターネットは、米国・ジョージア工科大学のブノア・モントルイユ教授が2006年に提唱したインターネットを活用した次世代物流体制物流の概念。 次世代物流の標準を作ろうと、日本・経済産業省が取組を始めた。 第1回フィジカルインターネット実現会議を開催します2021年9月29日 経済産業省 下記は、経済産業省の中野剛志消費・流通政策課長/同物流企画室長への日経ビジネスのインタビュー記事の一部。 バブル超え物流コスト高克服へ経産省が推す物流改革の切り札次世代物流『フィジカルインターネット』の衝撃1村上 富美 日経ビジネス編集2021.10.5 日経ビジネス 道路貨物の輸送サービス価格は2010年代後半から上昇し、現在もバブル期の水準を上回る過去最高の水準にある。もはや物流コストインフレによる物価の上昇も懸念される状況だ。 そんな中、究極の物流効率化策といわれる「フィジカルインターネット」に日本が世界で初めて国を挙げて取り組む。中心となっているのは経済産業省の消費・流通政策課長/同物流企画室長であり、政治経済思想を専門とする評論家としても活動する中野剛志氏だ。中野氏は『TPP亡国論』『富国と強兵』『奇跡の経済教室』など多数の著書があることでも知られる。 なぜ今、日本がフィジカルインターネットの実現を目指すのか。日本の物流が抱える構造問題と、改革しなければ日本のGDPを押し下げる原因になりかねない深刻な物流の危機について、中野氏に聞いた。 … (略) … 究極の物流効率化・最適化の形、フィジカルインターネット 改めてフィジカルインターネットを定義していただくと、どうなりますか?中野氏:フィジカルインターネットとは、1.RFID(無線自動識別)に代表されるIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)技術を活用して、物資や倉庫、車両の空き情報などを見える化する2.運ぶ貨物は、規格化された容器に詰める3.あらゆる企業が持つ倉庫やトラックなどの物流資産をシェア・活用し、最適なネットワークで配送する、という共同配送システムの構想を指します。現時点では、究極の物流効率化策と言えるものです。 米国をはじめ、欧州でも研究が進んでおり、特に欧州では約130の企業や研究機関が参加する物流の連盟が、2030年にEU域内でのフィジカルインターネットの実現を目指しています。 今回、日本はこのフィジカルインターネット実現に向けて、世界に先駆けて取り組みます。 具体的にはどのように進める予定ですか? 中野氏:有識者を中心とするフィジカルインターネット実現会議で議論し、今年度、2040年までのロードマップを策定する予定です。これは経済産業省だけでなく、国土交通省と共同で進めます。物流だけでなく、流通や、製造業、デジタル関連など、関連する分野の専門家の意見を聞き、さらにスーパーや百貨店などの業界ごとのワーキンググループを組織するなど、実現に向けて動きます。 会議では、フィジカルインターネットにつながる動きを見せているスタートアップや外資系企業などからも直接ヒアリングをする予定です。 フィジカルインターネット実現のためには、例えばライバルである物流企業同士が施設を共有したり、さらに容器の規格統一を進めるとなると、メーカーの製品開発にも影響が及んだり、全産業を巻き込むほどの話になります。壮大な事業ですが、実現できますか? 中野氏:もはや、オールジャパンで取り組む以外は選択の余地がないほど、物流コストインフレの問題は深刻だととらえています。 ― 引用終り ―
2021年11月02日
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コロナ禍の巣ごもり需要、eコマースの進展・定着などで小口配送の物流業界が注目を集めている。 一方、産業界のニーズが圧倒的な企業間の物流では、コロナ禍による労働力不足以前から、トラック・ドライバーの高齢化、低賃金で不規則な労働、荷受・荷卸の重労働が忌避され若年労働者・ドライバーの不足の状況が一貫して続いている。 IT化、省力化、省人化などの「物流改革」により、規模の大きい物流基地の設置のニーズは高く、工業地の地価を押し上げる要素となっている。 長距離トラックにおいては、静岡県内の新東名高速で1人のドライバーが3台のトラックを制御する隊列走行の実証実験が2018年から行われている。 21年全国基準地価は-0.4%2年連続下落 商業地の需要減が継続ロイター編集2021年9月21日 REUTERS 国土交通省が21日に発表した7月1日時点の都道府県地価調査(基準地価)によると、 全国の住宅地・商業地を含む全用途平均は前年比0.4%下落し2年連続でマイナスとなったが、下落率は縮小した。新型コロナウイルスの感染拡大により店舗やホテルなど商業地への需要が減少した。一方、利便性のよい住宅地や再開発が行われているエリア、物流施設用地への需要は堅調だ。 商業地は同0.5%下落と2年連続のマイナスで、昨年の0.3%下落から下げ幅を拡大した。東京・大阪・名古屋の3大都市圏は0.1%上昇とプラス圏を維持したが、昨年の0.7%から上昇幅を縮小。中でも大阪圏は0.6%下落と、9年ぶりにマイナスに転じた。 … (略) … 工業地は0.8%上昇し4年連続の上昇となった。巣ごもり需要などで、eコマース市場の拡大に伴い物流施設建設の適地となる地域の需要が強かった。 ― 引用終り ― バブル崩壊後、土木建築の請負単価が低迷していたが、不安定な労働で低賃金の生コンを運搬するコンクリートミキサー車の運転手は、一貫して不足し、高齢化していった。 運ぶべき貨物が増える一方で、長距離輸送トラックも、長時間自宅を離れることが忌避され、ドライバーは高齢化と減少を続けた。 大型車の免許区分の詳細化が、若手運転手の供給不足に拍車をかけた。 運転手については、今後「物流業界の2024年問題」に直面する。 「働き方改革関連法」は2019年より施行されていたが、運送業やトラック含む「車両運転業務」に関しては2024年まで猶予されていた。 2024年度から、時間外労働規制の上限適用、正規・非正規労働者の同一労働同一賃金の適用、月60時間超の時間外労働への割増賃金率の引き上げ50%の適用が行われる。 中長期的には運転手の待遇改善がはかられ雇用増の要素だが、人件費の安さを安売りの原資としてきた中小事業者は淘汰され、短期的には物流可能量が低下すると考えられる。 政府・日銀による過度の低賃金政策の影響は、こんなところにも及んでいる。 「人手不足」は輸送単価の引き上げだけでは解決・解消しない。 物流構造の問題としては、「eコマース」の進展とともに、「在庫を持たない経営」「最小限の倉庫スペースでの店舗設置」の拡大による、定時・定点・定量配送の増加もある。これらにより、企業間配送といえども、量の小口化、配送頻度の上昇により、積載率が低下してきた。 この問題は、共同輸送の強化、AI活用による同方面輸送の効率化、配送頻度の削減などにより問題解決への道が探られている。 物流基地、物流倉庫の自動化・大規模化による省人化・自動化もすすめられており、配達の迅速化はもとより、深夜作業となることの多い仕分け作業の省人化と積載率の向上に貢献している。 コロナ禍が終息方向になり経済循環が好転すれば、一段と物流は危機、逼迫の度を深める。 物流合理化の手法である3PL(物流業務委託)は、各種の製造業にとって、必要な物流確保の手法となるかもしれない。
2021年10月16日
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英国でガソリン不足が起きている。 原因は政府発表の通りパニック買いで間違いないが、問題の根っこは英国のEU離脱にある。 EUで一体となって動いていたドライバー、輸送システムが、離脱により分断された。 ドライバー、トラックなど物流資源の多くは市場の大きいEU側に遍在することになる。 したがって、英国では消費市場が消費拡大に大きく変化すると、供給不足が起こる可能性が大きい。 英国のトラック運転手不足の影響は食品業界で続いていた。 9月23日現在、BPは、運転手によりガソリンと軽油が配達されないとして、1,200カ所中10カ所程度を一時的に閉鎖した。 エクソンモービルは、スーパー英最大手のテスコと展開する給油所200カ所数カ所を閉鎖した。 消費者がガソリン不足を警戒するに足る事象といえよう。 そしてパニック買いが発生した。 英国で深刻なガソリン不足パニック買い原因と政府2021/09/28 AFPBB News 英国はここ数日、深刻なガソリン不足に見舞われている。各地のガソリンスタンドでは27日、燃料を必死に求める人々が車で列をつくり、いら立ちを募らせた。政府に対しては、医療などの必要不可欠な分野で働く人々が優先的に給油できるようにする緊急措置を求める声が上がっている。 政府は、今回のガソリン不足の背景には、燃料を運ぶタンクローリー運転手の不足と、異例の需要があるとしている。英石油小売業協会(Petrol Retailers Association)は、26日には全国の給油ポンプ8000台のうち半数近くでガソリンが底をついたとし、原因は「パニック買い以外の何ものでもない」と説明した。 英国は欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)後に入国管理を厳格化していたが、先週末にはその方針を転換。運転手不足を補うため、外国人トラック運転手を対象にビザ(査証)の短期免除措置を講じた。 英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell)や英BP、米エクソンモービル(Exxon Mobil)をはじめとする石油企業は共同発表で、「英国の製油所には十分な燃料がある」とし、需要は数日中に正常化し問題は緩和されるとの見通しを表明。消費者に平常通りの購買行動を呼び掛けた。 ― 引用終り ― 英国のガソリン供給で起きている事態は、物流が協働、連携であることを示す好例といえる。 離脱直後は、クリスマス商戦の商品の供給が混乱する事態が生じた。
2021年10月09日
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コロナ禍で世界的に不足したのがコンテナ、コンテナ船、コンテナヤードの受入能力。 バルチック海運指数(BDI)はは複数の主要航路のばら積み貨物船のスポット運賃を加重平均して算出したもの。 船輸送価格の指標となるBDIは、2008年のリーマンショック以降低迷を続けていたが、2021年6月に11年ぶりの高値を記録した。 バラ積み貨物船は、鉄鉱石、石炭、穀物など代表的なコモディティー商品の海上輸送の大半を担う。 コンテナ船では、医薬関係の物量の増加もあったが、通信販売の取り扱いの増加による日用品の増加もあった。 コンテナ船世界3位の中国・コスコは、輸送能力を増やすべくコンテナ船10隻を発注。 コンテナ船世界3位「コスコ」新造発注増やす訳約1650億円投入、輸送力増強でライバルに対抗2021年8月2日 東洋経済オンライン 中国の国有海運大手でコンテナ船世界3位の中遠海運控股(コスコ・シッピング・ホールディングス)は、7月15日、大型コンテナ船10隻を新造して船隊規模を拡充すると発表した。 同社の投資家向け情報開示によれば、新造するのは積載数1万4000TEU(20フィートコンテナ換算)のコンテナ船が6隻、同1万6000TEUが4隻で、造船所との契約総額は14億9600万ドル(約1648億3870万円)に達する。10隻が就航すれば、コスコの輸送力は約15万TEU増強される。 建造は同じ中国遠洋海運集団傘下の造船会社に発注し、1隻当たりの価格は1万4000TEU型が1億4600万ドル(約161億円)、1万6000TEU型が1億5500万ドル(約171億円)としている。なお、発注した10隻すべてが、(硫黄分を多く含む)一般的な船舶燃料に脱硫装置を組み合わせたエンジン技術を採用する。 … (略) … 世界のライバルも輸送力の増強を急いでいる。A.P.モラー・マースクは、積載数1万5000TEUのコンテナ船6~12隻の建造について、韓国の造船大手の現代重工業と交渉中だ。 台湾の海運大手の長栄海運は、積載数2万4000TEUの超大型コンテナ船の建造を中国の国有造船大手の中国船舶集団(CSSC)に発注した。同社はさらに、新パナマックス型(訳注:2016年の拡張後のパナマ運河を通行できる最大サイズ)のコンテナ船20隻の建造契約を、韓国の造船大手のサムスン重工業と結んでいる。 ― 引用終り ― A.P.モラー・マースクはコンテナ船、世界1位。 特にコンテナ船は大型化が効率化につながり船賃の低下要因となることから、大型船の所有とシェア争いが激烈な分野。世界の中で規模が小さい日本の海運大手3社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)は競争力確保のため、2017年にコンテナ船事業を Ocean Network Express(ONE) に統合した。 海運業界の世界市場シェアの分析海運業界の世界シェア(2020年)2021.05.18 日本透視機構株式会社 … (略) …市場シェア 海運会社の2020年度の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、後述する市場規模を分母に、海運会社の2020年の世界市場シェアを計算すると、1位は中国のコスコの13.9%、2位はデンマークのマースクの12.3%、3位はフランスのCMA CGMの9.8%となります。 2020年の海運業界シェア・1位 コスコ 13.9%・2位 マースク 12.3%・3位 CMA CGM 9.8%・4位 MSC 8.7%・5位 ハパックロイド 4.8%・6位 日本郵船 4.7%・7位 ONE 4.5%・8位 商船三井 2.9%・9位 Evergreen 2.3%:10位 川崎汽船 1.83% ― 引用終り ― デンマークのA.P.モラー・マースクは長年世界1だったが2019年、中国のコスコに1位の座を奪われた。 9位の長栄海運は Evergreen の名で知られる台湾企業。コンテナは緑色に塗られ、白地で「EVERGREEN」と書かれており、コンテナ船は緑色の船体に白地で「EVERGREEN」とある。
2021年08月25日
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宅配大手のヤマトホールディングス(HD)は、引っ越し事業を手がける100%子会社「ヤマトホームコンビニエンス(YHC)」の株式の51%を、引越し大手のアートコーポレーションに2022年1月に売却すると発表した。 アートにとって大きな魅力は、ヤマトの海外引越業務と思われる。 国内から海外までの一貫した引越ネットワーク(業務、業務品質)を短時間で手に入れることは、大きなメリット。 ヤマト引っ越し事業子会社株をアートに売却…過大請求発覚で業績低迷2021年8月2日 読売新聞オンライン 宅配大手のヤマトホールディングス(HD)は2日、引っ越し事業を手がける100%子会社「ヤマトホームコンビニエンス」の株式の51%を、引っ越し大手のアートコーポレーション(大阪市)に売却すると発表した。ヤマトホームは2018年に法人向け引っ越し代金の過大請求が発覚して以降、業績が低迷しており、アート主導で立て直しを図る。 来年1月17日に譲渡する。売却額は公表していない。ヤマトホームの21年3月期の業績は、売上高にあたる営業収益が268億円、本業のもうけを示す営業利益は56億円の赤字だった。営業赤字は3年連続となる。 ― 引用終り ― 引越代金の過大請求問題は2018年7月上旬、内部告発で明るみに出た。 過大請求は、発注決定者(引越しを命じた法人)と発注したサービスの受益者(引越しをする個人)が異なっているために発生した。 見積もり時点よりも実際の荷物が少なかった場合、「標準運送約款」に基いて運送内容に合わせて見積もり金額を減額修正して請求しなければならなかったが、法人の場合おそらく意図的にこのプロセスが省略されていた。 限られた時間、限られた要員で引越し集中期に、見積と実際の作業内容との整合を把握することは容易ではないが、この過大請求でYHCは法人顧客の信頼を失った。 法人の引越指定業者リストへの復帰をはかることは短期間では困難。 その間に他の引越業者がリストの穴を埋めてしまうからだ。
2021年08月14日
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コロナ禍で世界のヒトの動きは低下、凍結されたが、世界のモノの動きは衰えるどころか、活況を呈した。 船腹の増加から過当競争状態となっていたばら積み貨物船の運賃は上昇に転じた。 2021年6月18日、世界経済のバロメーター「バルチック海運指数(BDI)」は11年ぶりの高値を記録。 「バルチック海運指数」が11年ぶり高値つけた背景中国の「コモディティー商品」の輸入が大幅増2021年7月5日 東洋経済オンライン 6月18日、イギリスのバルチック海運取引所が発表するバルチック海運指数(BDI)は取引終了時点で3267ポイントをつけ、11年ぶりの高値を記録した。この日までBDIは7日連続で上昇し、上げ幅は30%に達した。 BDIは複数の主要航路のばら積み貨物船のスポット運賃を加重平均して算出したものだ。ばら積み貨物船は、鉄鉱石、石炭、穀物など代表的なコモディティー商品の海上輸送の大半を担い、その運賃にはコモディティーの需給の変化が随時反映される。そのため、BDIはエコノミストから「世界経済の『バロメーター』」と呼ばれている。 中国は、世界で最もコモディティー商品の需要が大きい国だ。 例えば、鉄鉱石は世界の貿易量の7割近くを輸入している。そのため、中国の需要動向と政府の経済政策は、BDIの変動に大きな影響を与える。 2021年に入り、国際コモディティー商品の相場は上昇し続け、需給の実態から大きく乖離した。そんななか中国当局は、(相場の過熱を抑えるために)貿易取引の管理監督の強化と、投機的売買の取り締まりに注力してきた。 とはいえ全体的に見れば、BDIの上昇はコモディティー商品の旺盛な実需に支えられている。中国海関総署(税関)のデータによれば、2021年1~5月のコモディティー商品の輸入量は大きく増加。その内訳は、鉄鉱石が前年同期比6%増の4億7200万トン、原油が同2.3%増の2億2100万トン、大豆が同12.8%増の3823万4000トンだった。 ― 引用終り ― 世界の景気の牽引車が米国から中国に交替したような状況だ。 一人当たりGDPの水準が低い中国が、いつまで世界経済・景気をひっぱり続けられるかは不明。 今後中国は、主として一人っ子政策による急速な高齢化と労働人口の減少、経済成長の鈍化が予想される。 中国共産党100年を祝った現在の前後が中国経済のピークかもしれない。 そして経済が低下するとき、軍が権力を拡大し、国民経済を軍・軍備に傾斜させる。 極東アジア、東南アジアは不安定化する可能性が強い。 中国共産党が100周年式典「抑圧」は許さないと他国をけん制2021年7月1日 BBC NEWS 北京で1日、中国共産党の創立100年周年式典が行われた。 習近平国家主席は演説で、中国は他国による抑圧の動きを許さないと述べた。 これはアメリカを指した言葉だとみられている。 習国家主席は、「中国を抑圧するもの」は「偉大な鉄の壁に(中略)頭を打ちつけることになるだろう」と述べた。 式典が開かれた北京の天安門広場には、事前審査を受けた約7万人の群衆が集まった。大半はマスクを着けていなかった。 習国家主席の演説は1時間にわたった。その中で現代中国における共産党の役割を強調。共産党が中国の成長物語の中心にあり、中国と党を切り離そうとする動きは「失敗する」だろうと語った。 ― 引用終り ―
2021年08月04日
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仮想商店街の楽天はアマゾンに物流面で致命的な後れを取っている。 このたび、配送物流分野でアナログな日本郵政グループと、小売り分野でアナログな西友と業務提携を進めていることが報じられた。 日本郵便の配達網を使うのは良いが、ソフトとハードが一体となった巨額を要する物流システムの構築に取り組む覚悟が双方にあるのだろうか? 宅配分野を強化するには、両社の現有資源の活用と新たな資源の構築が必須だ。 楽天と日本郵便、物流事業で業務提携へ…宅配で互いにメリット2020年12月24日 読売新聞 楽天と、日本郵政グループの日本郵便が、物流事業で業務提携する方向で調整していることが分かった。 インターネット通販「楽天市場」の商品を日本郵便の配達網を使って配送することや、楽天が強みを持つIT(情報技術)を活用した最適なルート配送の実施などで連携するとみられる。 日本郵便側は、郵便物の減少が続く中、新型コロナウイルスの感染拡大などで需要が増している宅配分野を強化する狙いがある。 配達員の不足が続いており、ITを使った物流の省力化も課題となっている。 来年度からの中期経営計画でも、物流分野でデジタル化を進めていく考えを打ち出している。 ― 引用終り ― 楽天は、ウォルマートから見放された西友とタッグを組む。 西友は老朽化した店舗群を抱え、ウォルマートが米国ですすめているRFIDタグ活用やIT化の進展もはかばかしくない。 ウォルマートの「西友切り」は遅すぎた?それなのに今、楽天が西友とタッグを組むワケ2020年12月24日 ITmedia ビジネスオンライン 小売大手の米ウォルマートが、10年以上持ち続けた西友株式のうち、85%を売却することになった。 20%はネットスーパー事業の提携先である楽天が、65%は米投資ファンドのKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)が持つことになるという。 15%の持ち株は残すが、実態は新たな株主による企業価値向上で、投資回収を少しでも多くするための保有であるといえる。 今後恐らく、ウォルマートが日本における店舗小売ビジネスに関心を示すことはないだろう。 彼らの日本攻略は「失敗」に終わったのであり、“敗戦処理”が終わったら撤退して、回収した資金は自社のECインフラ投資の足しにでもするはずだ。 …(略)… ●“敗戦処理”のゆくえ いくら西友が「世界のウォルマート」と組んだといえども、こうした地域では、下位勢力にすぎない。 存在感を示すには相当な追加投資を要する状況にあったが、地方の局地戦に追加投資するのは非効率なので、ウォルマートの選択肢にはなかったのだろう。 こうした状況を見れば、今回の投資ファンドKKRの役割が何であるのかは自然と見えてくる。 つまり、ネットスーパーと効率的に連携可能な首都圏に照準を合わせ、その他のエリアについては可能な限り高く換価回収を行った上で、企業価値を高めて「首都圏店舗網+ネットスーパー事業」というパッケージを楽天に譲り渡すことだ。 残る15%出資をできる限り回収して、ウォルマートの“敗戦処理”は終結することになるのだろう。 …(略)… 今後は増大する物流コストを誰が負担するのかも大きな問題になるだろう。 売上拡大を目指すEC側にすれば、コストを消費者に負担させることは避けたいに決まっているが、店に行かなくて届けてくれるという便益の受益者は購入者であり、受益者負担というこれまでの原則で考えれば、購入者が負担すべきコストということになる。 とはいいつつ、結局こうしたコストは一連のバリューチェーンの中の“弱者”が負担することになるのが世の常だ。 実際に、楽天が送料無料化を巡って出店者と争議になったことは記憶に新しい。 本来、物流コストの低減は、物流工程の技術革新などが実現しないと解決できず、しばらくは物流コストのババ抜きが続いていく可能性がある。 ただ、EC化の真の受益者は、ビッグデータを持つプラットフォーマーであるEC企業であり、これからは物流の技術革新に対する投資を行っていくべきだろう。 ― 引用終り ― B to Cの小売業が EC の進展とともに物流業に限りなく接近していることを楽天は感じている。 現状の物流システムのままでの「送料無料」化という無謀な取り組みが挫折したことは記憶に新しい。 アマゾンのように収益度外視で物流インフラに資源を集中することもできないでいる。 受注と配送のシステムを構築し、可能な限り自動化された効率のよい倉庫を持つという巨額の先行投資の覚悟ができなければ、アマゾンに勝つことはできない。 社内公用語を英語とした楽天は、ドメスチックな企業にとどまるか、グローバル企業となるかの分岐点にきている。 日本郵政グループ、西友との提携が「木に竹を接いだもの」とならないことを祈ろう。
2021年06月19日
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日本のネット通販(EC)は、先駆者楽天市場と米国の巨人アマゾンが体力の限りを尽くしながら死闘を続ける土俵。楽天は郵政グループと連携を強化し物流を刷新、アマゾンは倉庫の充実と自社配送の戦力充実で物流体制の強化をはかっている。 その中で、後発の「Yahoo!ショッピング」が3位に甘んじるのは無理のないこと。 この流れを切り替えるべく、EC最大のボトルネックである顧客と直結する部分を含んだ物流システムを強化しようと、ヤフーがヤマトと組んだ。 “ヤマトと心中"ヤフーのEC責任者が示した覚悟物流サービス強化でアマゾン、楽天を追撃佃 陸生 : 東洋経済記者 2021/06/05 東洋経済オンライン EC(ネット通販)モール「Yahoo!ショッピング」や「PayPayモール」を展開するヤフー。アマゾン、楽天の後塵を拝し、業界内では「万年3番手」と呼ばれる。 そうした中、2021年3月にヤマト運輸と展開しているEC物流のサービスをリニューアルし、全国一律の格安配送を打ち出した。ヤマトとの連携強化の狙いは何か。ヤフーでEC事業を統括する畑中基・コマースカンパニー執行役員ショッピング統括本部長を直撃した。 ――なぜ今、EC物流を強化しているのですか。 もちろん物流の重要性はわかっており、かなり前から議論を重ねている。 残念ながらヤフーはECで業界3位。しかも、競合との差は大きく圧倒的な3番手だ。競合に追いつくためには、まず品揃えの強化が必要だった。これが出店料と売り上げロイヤルティを無料化した2013年の「eコマース革命」につながる。出店者の数が増えたことで、「Yahoo!ショッピング」と「PayPayモール」には、合わせて約4億商品が掲載されている。 そして、大規模なポイント還元やセールによる割引でお得感をアピールし、ユーザーの定着を図った。ユーザーから好評だった直近の「超PayPay祭」は、とにかくオペレーションが大変だった。出荷量の拡大から物流オペレーションの負荷が増しているのは、どの出店者にも共通する課題だ。 ― 引用終り ― ECの基本骨格は、品揃え、商品掲載、受注、商収集(ピッキング)、梱包、配送。 ピッキング、梱包の自動化はアマゾンが先行している。 配送はヤマトが先行している。 ヤフーとヤマトが連携して生鮮食品も含めた受注から配送まで一貫してすすめられる物流システム、巨大自動化物流倉庫を作れるなら、3位から逆転の目はある。
2021年06月19日
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2021年4月28日、日本郵政株式会社と楽天グループ株式会社の業務提携の進捗状況が公表された。 提携の当面の眼目は、楽天がアマゾンに後れを取り、日本郵便がヤマト、佐川に遅れをとっている物流分野における、共同の物流拠点の構築、共同の配送システム及び受取サービスの構築。 ヤマトも佐川も物流管理システム、高度に自動化された物流拠点の設備投資は、いったん済んでいる。 モバイル事業の通信拠点整備のため、楽天は投資資金が今以上に必要な状況。 物流拠点の整備は、そのシステム投資、機械化投資で多額の設備投資資金を要する。 「金(資金)」は日本郵政、「知恵(システム構築)」は楽天、ということなのだろうか? 「ペリカン(日本通運宅配部門)の知恵」は、活用できる形で日本郵便内に残っているのだろうか。 「日本郵政グループと楽天グループの業務提携の進捗状況」より1.業務提携の概要 物流■共同の物流拠点の構築■共同の配送システム及び受取サービスの構築■RFC(楽天フルフィルメントセンター)の利用拡大及び日本郵便のゆうパック等の利用拡大に向けた、日本郵便・楽天両社の協力・取り組み■上記取り組みのための日本郵便・楽天の両社が出資する新会社(2.参照)の設立、 物流DXプラットフォームの共同事業化(2021年7月目途)モバイル■郵便局内のイベントスペースを活用した楽天モバイルの申込み等カウンターの設置■日本郵便の配達網や郵便局ネットワークを活用したマーケティング施策の実施■上記取り組みを全国的に実施するための実証実験(郵便局10局程度、2021年5月頃を目途に順次開始)DX■日本郵政グループのDX推進のための日本郵政グループと楽天グループの間の人材交流に関する協議・検討■楽天グループによる日本郵政グループのDX推進への協力金融■楽天カード(ゆうちょ銀行デザイン)の取扱いの開始(2021年内)に向けた準備■楽天カード(ゆうちょ銀行デザイン)の状況を踏まえた、楽天カードの基盤を活用したゆうちょ銀行を発行主体とするクレジットカードに関する協議・検討■その他のキャッシュレスペイメント分野等での協業に関する協議・検討■保険分野での協業に関する協議・検討EC■楽天が運営するサイト内での日本郵便が取り扱う商品の販売に関する協議・検討■郵便局内での楽天市場の販売商品の注文申込みの受付けに関する協議・検討 2.新会社の概要(予定)■名称 JP楽天ロジスティクス株式会社(英文名称:JP Rakuten Logistics, Inc.)■資本金 100百万円■出資比率 日本郵便50.1%、楽天49.9%■事業内容 ロジスティクス事業
2021年05月18日
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2013年、アマゾンの宅配業務から撤退したSGホールディングス(SGHD)は、新たな収益源として企業間物流に着目。 2016年3月、SGHDと日立物流は、将来の経営統合も視野に入れた資本業務提携を発表。 SGHDの佐川急便は宅配便大手。日立物流は3PL首位。日本通運に次ぐ、売上規模国内2位の陸運グループ誕生か、と報じられた。 3PLは、保管、配送、荷役、輸出入、物流コンサルタントといった企業の物流システムの構築による一括請負い。 日立物流はM&Aで規模・売上を大きくしてきた。2016年3月期の日立製作所からの運送、作業受託取引は83億円。全体売上に占める日立製作所の割合は1.2%しかない。 2020年9月24日、SGHDと日立物流は経営統合を見送ると発表。 陸運業界第2位企業の誕生はなくなった。 SGHDは日立物流が保有する佐川急便の発行済み株式の20%分を875億円で買い取る。日立物流はSGHDが持つ自社株を988億円を上限として市場で取得する。 日立物流はSGHDの持ち分法適用会社から外れるがトラックの共同利用などの業務提携は続ける。 新型コロナウイルスの感染拡大で世界的に物流が停滞するなど経営環境が一変したことを経営統合見送りの理由に挙げている。これは表向きの理由だろう。 経営統合の世紀の大失敗として有名な、ドイツ・ダイムラーと米・クライスラーの合併と同様に、企業体質の大きな乖離、断絶が真の理由だろう。大きくなることが「善」とは限らない。経営統合する前に気が付いたのは、両社にとり良きこと。 2021年4月15日、SGHDが日立物流の株式46,000個を予定通り売却。 議決権の割合は15.3%から9.8%になるが、SDHDの大株主としての順位は2位で変動なし。主要株主の異動(予定)に関するお知らせ株式会社日立物流
2021年05月17日
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