クルマ、バイク、鉄道模型など趣味で人生を楽しむ

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2024.07.12
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テーマ: 鉄道(23190)
カテゴリ: 旅行
日本を代表する鉄道アーチ橋梁の遺構を巡ってみました。
いずれも建設に当たった当時の方々の大変な努力と熱意が今の私たちにも脈々と伝わってくる素晴らしい産業遺産です。今もし同じ橋梁を重機を使って建設しようとしても簡単にはいかないぞという先人の気迫が迫ってきます。

​1.旧信越本線碓井峠 第三アーチ橋(通称メガネ橋)
標高956mの碓井峠を越えて、信越本線を横川駅と軽井沢駅で結ぶために明治25年(1893年)に220万個のレンガを積み上げて建設され、昭和38年(1963年)に信越本線が新線に置き換えられるまで碓井峠の急勾配を上がる象徴的な橋梁として使われました。日本最大の鉄道アーチ橋です。


写真左の坂道を歩いて登ると橋梁の上に出て渡ることができます。


補強を施す前の当初の橋梁設計図です。コスト・工期を抑える意味もあってか、かなり柱は細くてスマートだったことが分かります。


竣工直後の関東大震災で橋梁に亀裂が入ったため、レンガを最終300万個まで増やして急遽補強されました。


確かに支柱部分やアーチ下部分は補強でかなり太くなっているのが、分かります。力強い印象でこれはこれで美しいですね。


それにしても、この威容を形作るために300万個のレンガをここまで運び込んだとは、ただそれだけでも感嘆するばかりです。






アーチ橋の上は通行でき、直下の登り口から上ることもできますが、お薦めは国道18号線を軽井沢方面に行って、途中の熊ノ平駐車場から旧熊平駅跡に上がり、あとは旧信越本線跡の第5トンネルなどを通って東に約2kmほど歩いてアーチ橋の上に出るルートです。当時の雰囲気が堪能できます。
写真は旧熊平駅跡付近の景色です。信越本線の旧線線路跡と一番古いアプト式の線路撤去後の「アプトの道」が並行しています。


国道18号線の熊ノ平駐車場から上るルート以外に、このパンフ通り、横川駅の「鉄道文化むら」からもアーチ橋へは旧信越本線跡が「アプトの道」として整備されていますが、上りで約4km歩くので健脚でなければ大変厳しいと思います。


旧熊平駅跡からアプトを道を東方向に歩くと、最古の旧信越本線跡の第5トンネルなどの隧道を通り抜けます。




かってアプト式線路が敷設されていたトンネル内は綺麗に整備されて舗装されているので、「探検」に付き物の長靴やヘッドランプは必要ありません。小さな子供さんでもOKです。


アプトの道の途中にあった道標です。右が東方向、左が西方向です。


第三アーチ橋の上から国道18号線を見下ろせます。
熊ノ平駐車場と第三アーチ橋の往復は1時間半を見込んでください。



​2.旧戸井線 アーチ橋梁​

戸井線は津軽海峡防備を目的として、
昭和12年(1932年)に 現在のJR五稜郭駅から旧戸井町までの29.2kmを結ぶ予定で着工されましたが、戦況悪化に伴う資材不足のため昭和18年(1938年)に工事が中断され、ほぼ90%が完成したまま一度も使われることなく廃止された不運の鉄道路線です。




なぜここに砲台を設けようとしたのか、その理由が分かります。
青函トンネルのルートとしても検討されました。地質の問題で廃案になったそうですが。



旧戸井線最大の遺構が全長52mの8連コンクリートアーチ橋で正式名は「汐首岬第一陸橋」と言います。 アーチ橋の右端に見えるのは「汐首岬灯台」で元々は「汐首岬砲台」を建設予定でした。
当時の工事中の写真をかなり探しましたが、軍事機密であったせいか見当たりません。


砲台の近くにこんな目立つ橋梁があっては、敵艦に反撃されてすぐに破壊されそうです。ドイツ軍ならナバロンの要塞のような地下砲台か列車砲を準備したことでしょう。




空撮写真です。アーチ橋の左側は津波避難場所になっていますが、民家の庭からしか階段がないので、部外者は侵入できません。また、右側は汐首岬灯台として海上保安庁の管理下にあり、立ち入ることはできないのと支柱だけの橋梁部分があるためアーチ橋には渡れません。


第一陸橋の東側に第2陸橋の遺構もあり、こちらは津波避難場所として階段が設置され、上まで登っていくことが可能です。



20年ほど前までは全貌が観れましたが、次第に草木に埋もれつつあります。


避難階段を上ったところはまさに旧戸井線跡です。西側の汐首方向になります。
前日の雨でトンネル付近はかなりぬかるんでおり、長靴を履いてトンネル内に入りました。

入口付近に堆積した土砂をかき分けて中に入ると、天井に穴が開いて崩落の兆候があり、路面は漏水でぬかるんでいました。そのため、トンネルを通過することは断念しました。


トンネルと反対方向の旧戸井線跡です。東方向で未完に終わった瀬戸東から戸井町までの区間になります。確かに山際の道床は造成されていますが、正面の尾根を貫くトンネルは掘削されておらず、谷間の橋梁も掛けられていません。




​3.旧士幌線 タウシュベツ橋梁​

旧国鉄士幌線の糠平駅と幌加駅間に掛けられたコンクリート造りのアーチ橋ですが、1937年に建設されてから1955年に糠平ダムが完成すると士幌線が人造の糠平湖を大きく迂回する形で路線変更になったため、結局18年間しか使われませんでした。


人造の業平湖ができる以前は士幌線は第三音更川橋梁辺りから音更川を離れてまっすぐ幌加駅を目指して北上していました。糠平駅も東側にあったのを水没するため、現在の上士幌町鉄道資料館の場所に移設されました。


建設中のタウシュベツ橋梁です。セメント以外の材料は現地調達でした。


竣工直後のタウシュベツ橋梁で、名前の通り白樺の原生林に囲まれていました。ダム水没時に原生林は伐採され、現在切り株のみ残っています。


タウシュベツ橋梁の北側の士幌線跡を歩いていくと橋梁に出ます。


糠平ダム建設後はダムの貯水で冬季は水没と氷結でセメントが激しく劣化しました。


タウシュベツ川の上流側は特に雪解け水に洗われて橋梁外壁のセメントが損壊し、中の詰石が流失した状態になっています。


タウシュベツ川の下流側からの綺麗なメガネ橋に写った希少な姿です。水量と天気と風に影響され、中々このような姿は観れません。


士幌線は南から北に向けて、写真では奥から手前方向に勾配になっていたので、タウシュベツ橋梁は南側ほどダム湖に水没するので損傷が激しくなっています。



詳しくは 別稿「タウシュベツ橋梁 来春崩落近づく この8年間の変貌」 をご覧ください。
​https://plaza.rakuten.co.jp/smorimoto0296/diary/202404150000/

​2024年7月には外壁セメントが目の前で水音を立てて落下するのを初めて目の当たりにしました。
さらに2024年10月には上端部が崩落しました。残念ですが、 来春2-3月ころにはつながっているアーチが分断される と個人的に予測します。​



​ブログの閲覧数もお蔭さまで46,000件を超えて、ぜひ他のテーマもご笑覧下さい。​


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Last updated  2024.11.16 16:24:30
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