パクス・ジャポニカ Vol.2

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2012/09/09
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テーマ: 史跡めぐり(508)
「本所七不思議めぐり」ということで、前回は企画倒れに終わったこのマイナー企画が復活しました。

まずは両国からスタートすることとなり、そのスタート地点は 回向院 です。
本所七不思議回向院 (500x374).jpg
本所七不思議を題材にした宮部みゆきさんの「本所深川ふしぎ草紙」では、七編全編に「回向院の茂七」という岡っ引きが登場します。

高校の日本史では、江戸時代の警察組織として「与力-同心-岡っ引き」と習ったので、岡っ引きは下の位かと思っていまいした。
岡っ引きの茂七は本所一帯の刑事(下っ引き)の親分、すなわち捜査課長のような存在です。

それでも岡っ引きは同心や火付盗賊改方の配下にあるので、火付盗賊改方の「鬼平」こと長谷川平蔵の方が上ということになります。
さらには「大江戸捜査網」の伝法寺隼人(音次郎)や井坂十蔵などは、隠密ながら「同心」なので、茂七親分よりも上にいることになります。
(もっとも隠密同心の方は老中松平定信の直属組織なので、泣く子も黙る存在だったことでしょう)


前置きは長くなりましたが、回向院から隅田川へと向かい、まずは両国橋にやってきました。
本所七不思議片葉の芦 (2) (500x376).jpg
江戸時代の始め頃までは隅田川が武蔵国と下総国の国境となっており、武蔵と下総に架かる橋に因んで両国橋と名付けられています。

江戸時代の両国橋は現在よりも下流に架かっており、現在の両国橋のある辺りには「方葉掘」と名付けられた入り江があり、駒止橋が架かっていました。

この駒止橋一帯の隅田川には芦が生い茂っており、本所七不思議の1つ「片葉の芦」の舞台です。
本所七不思議片葉の芦 (3) (500x375).jpg
「片葉の芦」のあった現在の隅田川
コンクリートで護岸されており、片葉に限らず芦が生えている方が七不思議でしょうか。


解説板によると、かくかくしかじかです。
本所横網町に住んでいた留蔵という男が、三笠町のお駒という女性に惚れ込みました。
留蔵はあの手この手でお駒に言い寄りますが、お駒は一向に留蔵になびかなかったので、腹を立てた留蔵はお駒の片手片足を切り落として大川(隅田川)に投げ込んだそうです。
それからは、ここに生える芦は全て「片葉の芦」となったというのが七不思議の由来です

七不思議というよりも単なるホラー話ですが、さらに解説板によると、「入り組んだ地形の風の吹き方が影響したと考えられる」とのことです。

本所七不思議片葉の芦 (7) (500x375).jpg
現在の駒止橋跡

本所七不思議片葉の芦 (322x500).jpg


「本所七不思議めぐり」は早くも先行きが怪しく、またもや企画倒れに終わりそうな予感を感じながらも、再び回向院前から国技館通りを北へと向かって行きました。
本所七不思議落ち葉なしの椎 (1) (500x375).jpg
そういえば秋場所の初日でした。


「片葉の芦」の次は「落ち葉なしの椎」、同じ隅田川沿いにある平戸新田藩松浦家の旧江戸屋敷跡です。
本所七不思議落ち葉なしの椎 (3) (500x375).jpg
江戸時代の切り絵図
画像下側が北で、右側(西側)に大川(隅田川)が描かれています。

松浦家の屋敷には椎の木が植えられていましたが、この木から葉が落ちるのを誰も見たことがないと言うので評判となり、「落ち葉なしの椎」として本所七不思議の1つとなりました。
本所七不思議落ち葉なしの椎 (4) (500x375).jpg
「椎の木屋敷」旧松浦家の屋敷跡(両国公会堂)

「片葉の芦」がホラー話ならば、こちらは都市伝説といった感じですが、またまた解説板によると、元々椎の木は常葉樹で落ち葉は少ないとのことです。
さらには大名屋敷という特別な存在もあって、このような伝説が広まったとのことでした。

七不思議めぐりはどこまで続くのでしょうか。

関連の記事
本所両国散策(2008年9月)→ こちら




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最終更新日  2012/09/12 11:10:36 PM
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