2006年09月17日
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カテゴリ: 系図

今日から、3回シリーズで頼山陽の節女阿正傳をアップします。

頼山陽は、漢文で書いてます、漢文の達人ですから。

このブログでは、口語訳。 山陽は、和音を自在に操って、日本人の肌にぴったりの漢文を作り上げた。今日、どの『緩和大辞典』を見ても、山陽が造語した熟語が実に多いのに驚かされる。漢文の日本化に、山陽の果たした役割は大きい。(昭和56年5月、安藤英男、『頼山陽文集』はしがきより)

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現在の 宗像市赤間、JR教育大前駅から南600mまで)を通

った。家数は5,6 0に過ぎず、瓦の屋根、茅葺の屋根が、山

を背にして木立の間に点々と し、かまどの煙がものさびしく

立ち上がっていた。やがて博多の町に入 り、かの赤間駅

(あかまのうまや)に貞節な女性がいたことを聞いた。博

多の人・松永花遁が私の為に、そのことを詳しく語ってく

れた。 この貞節な女性は名を政といい、父を松尾七兵衛

といった。家は農業 に酒造業を兼ね、すこぶる豊裕であ

った。同じ邑より妻をめとったが、一 人の女子を挙げて

逝き、再び妻を迎えるも、これも一女を生んで逝い た。

妻の子を千代といい、後妻の子が政である。七兵衛

は、50歳に なって、家を外甥の七左衛門に譲り、自

分は別に家を立てた。老いて臨 終のとき、一族を集

めて遺言して、「わしの余命はいくばくもないが、不

幸にして跡取りの男子をもたない。しかし、女の子

が二人いるから、一 同に証人になってもらい、嘉

右衛門を養子に迎えて千代をめあわせ、

政(時に4歳)は成人の後、長次郎の妻として本

家を継がせたい」と。 嘉右衛門というのは、後妻

の弟である。長次郎というのは、七左衛門の

子なのである。ここに於いて親戚一同、その遺

書に従い、嘉右衛門を 相続養子として迎え入れ、

政は幼少なので彼に娘分として育てさせた。

政は生まれつき咲き乱れた花のように美しく、

しかも素直で正直で、嘉 右衛門夫妻によく仕え、

甚だしとやかでもあった。一方、嘉右衛門は、

天性の遊び人で、生産に従事せず、毎日、同村

の馬医者・万助なる者 と、大酒を食らって、養父

から与えられた田畑を借金の質に入れ、まも

なく蕩尽してしまった。親戚は代わる代わるやっ

て来て、彼をいさめたけ れども、一向に効き目

がなかった。このとき政もようやく娘になり、いい

なづけの長次郎も20歳前後に達していた。

この長次郎は、生まれつき 実直で、よく働いたが、

災禍がうち続いて、家産が傾きかけていた。よっ

て、政を迎え入れることをためらっていた。

ところで、赤間の隣村(実際はかなり離れている、

車で15~20分)を勝 浦村といった。

庄屋の永嶋半五郎というのは富豪であった。

彼は、その 長男の源五郎に新婦を迎えようとして、

いろいろ物色していた。そのう ち、政のことを伝え

聞き、容色も才気もあり、しかも家柄の娘なればと

助が、勝浦村へやっ て来たので、このことを彼に

諮った。万助はひそかに喜び、もしこの縁 談を成

功させれば、半五郎に貸しができるので、その勢

力を借りて何で もできるだろうと、請合って帰り、

これを嘉右衛門に申し入れると、嘉右 衛門も欲に

目がくらんで、大いに喜び、親戚一同に相談せず、

直ちに応 諾しようとした。

親戚一同は揃って嘉右衛門のところへ来り、七兵

衛の遺言に背いて、 利欲に走るの不道を責めた

てた。嘉右衛門は、困り果て、その翌朝、万 助を呼

んで、事の次第を語り、どうすればいいかと謀った。

万助は、「俺 の兄・道仙は知恵があるので、これに

謀ってみよう」と言った。道仙を呼 びにやると、すぐ

やって来た。道仙は言った。「この村の大庄屋の

善右 衛門は、永嶋半五郎とは庄屋同志で親しい

から、善右衛門に媒酌を頼 んで、役威を以って

おどしつけ、この話を聞き届けなければ、後で

どん な目に遭うかしれないぞ、と言わせれば

いい。そうすれば、あの連中が いくら騒いでも、

阻止することはできはしない」と。嘉右衛門は、

「それは いい方法だ」と、万助をしてひそかに

善右衛門のもとへ行かせ、善右衛 門を説かせ

たところ、善右衛門は承諾して万助と共に嘉

右衛門の家へ やって来て、政を永嶋家へやる

ことに一決した。






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最終更新日  2006年09月17日 21時47分09秒
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