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2019.06.12
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カテゴリ: 仕事・働く
先日、夫が残業から帰宅し、録画したドラマ「わたし、定時で帰ります」を見ながら夕食をとっていました。
奇跡的に寝かしつけから復活した私も、それをながら見していました。

ドラマの中で、「夢はあるか」みたいな台詞が出て来て。
夫が、「夢なんかもう、ないよね」と言いました。
「ただ、日々をこなして、生活していくだけだ」と。

それを聞いて。
そうだ、と思いました。

理想は粉々に砕けて、日々その瓦礫をさらに踏み付けながら歩いている。
夢は散り散りになり、手のひらに何を大切に握っていたかも分からない。

毎朝、鏡に映るのは、疲弊の色を隠しきれず、哀愁の陰を重ねた、自分。

日々を必死に「こなす」。
仕事が滞らないように。保育園に遅れないように。予防接種を忘れないように。

夢?

その言葉は、昔貼りだした貼り紙みたいだ。
剥がれかけて、風にはためいている。

夢。

鮮やかな印刷は色褪せて、雨に濡れて紙は波打っている。
私たちは、それを、見るともなしに見ている。毎日、毎日。
文字がかすれて消えるまで。
ついに破れて飛んでいくまで。



肩をすくめて、知った顔で、諦念を滲ませて、いつの日か、そう言うために。

ーーー夢なんかもう、ないよね。

夫の言葉に、しかし私は「違う!」と、心の中で強く叫んでいました。

私には夢がある。
やりたいことがたくさんある。

手垢にまみれて、低俗で、欲深く、稚拙で、端から見ると下らないことだらけ。
それは、清廉な夢というよりは。

「野望があるよ、いっぱいある。」

思わず、口をついて出たのは、そんな言葉。

夢なんかない。
もうそんなものはなくていい。

空っぽの手のひらを、虚ろな目で眺めた。
自分は何者にもなれなかったのだと知った。
何者とは何だったのかも、分からないまま。

それでも、まだ拳を握る。
力いっぱい握る。

身の程知らずの恥知らず。
甘っちょろい戯れ言を、たんと重ねよう。

私には野望がある。

私の人生を、私の物語を、誰にも譲らない。
誰かがこう言ったから、なんて、知らない。

野望だもの。いいでしょう?
自分勝手に、自分本位に、願うよ。
はためく紙切れを打ちつけて、上から新しい紙を貼る。

これからやりたいことがたくさんある。

夫は、私の言葉に少し、驚いて。
でも、それが何かを尋ねることもありませんでした。
夢物語を聞かされるのは、嫌だったのでしょう。
私と夫は、うんと違うから。

彼はきっと、剥がれた紙を、そっと丁寧に折り畳んで、ポケットにしまう。
私や子ども達に見せてやろうと、それを家に持って帰ってきてくれる。
その優しさや受容は、私が持ち合わせることができなかったもので。

互いに持っていなかったネジを、相手の分まで持っていると思ったから、一緒になった。
そのネジが、ぴったり合うものだと、良いのだけれど。
どうかな。今のところまだ、ぽろぽろネジが落ちていっている。

ドラマの一言から、派生してそんな諸々を考えていた。
なんて、夫はつゆ知らず。

夢はなくとも、給料日はある。
ドラマの言葉に、重ねて思う。

夢はなくとも、野望はある。

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でもその、長いリストに書き連ねたすべてのものを、
一瞬でなげうってしまえるのが、我が子であることもまた、事実。





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最終更新日  2020.09.12 06:31:29
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