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2022.04.27
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テーマ: 読書(8559)

本のタイトル・作者



無敵の読解力 (文春新書) [ 池上 彰 ]

本の目次・あらすじ


【第一章】人新世から見た仕事論
■SDGsは現代版「大衆のアヘン」
■グレタ・トゥーンベリと三・五%の人間の抗議活動
■「脱成長」による「豊かさ」とは
■ローマクラブと『清貧の思想』
■階級闘争史観による怒り
■疎外論と窮乏化論

■『資本論』は資本家が読むもの
■メリトクラシーが行きつくところ
■ブルシット・ジョブの世界観はついて回る

【第二章】米中対立 新冷戦か帝国主義戦争か
■ミアシャイマーの最悪情勢分析
■帝国と帝国主義の違い
■中国はレーニンの帝国主義そのもの
■マルクスは中国にとって危険思想
■レーニンとスターリン
■習近平の慢心
■誰が国家の主人なのか

■習近平が取りつかれた夢
■オバマはしたたか、バイデンは稚拙
■アメリカ人と中国人はどちらが均質か
■インテリジェンスのゆがみと暴走
■中国とは挨拶はするけど、握手はしない

■共通の敵、柔軟な日中関係
【第三章】オリンピックはなぜやめられなかったのか
■一九六四年の東京五輪との違い 
■オリンピックというものに抱く幻想
■オリンピックに熱狂するのは一部の国だけ
■幻のモスクワオリンピック
■オリンピックとテロ
■IOCの恐るべき闇
■限定合理性で突き進んだ日本軍
■東京五輪はそもそもやるべきだったのか
■皇軍の伝統は生きている
■複数の部分合理性を知ることの重要性
■共同主観性という根っこ

【第四章】愛読書から見るリーダー論
■小泉純一郎の恐るべき浅さ
■田中眞紀子の演劇性
■枝野幸男の恐るべき空虚
■左派陣営の人たち
■中曽根康弘と細川護熙は教養陣営?
■菅直人と「最小不幸社会」
■菅義偉の愛読書『君主論』のインパクト
■マキアヴェリズムを駆使する政治家
■『君主論』は権力者たちの無意識を言語化したもの
■レーニン型とヒトラー型
■政治家と官僚の低学歴
■マルローとルカーチ

【第五章】日本人論の名著を再読する
■『菊と刀』とその原型
■戦後日本のグランド・デザイン
■『菊と刀』のおかしな部分と優れた部分
■『菊と刀』の画期的な意味
■『桜の枝』はソ連人がはじめて描いた日本人の諸相
■『桜の枝』が二種類ある理由
■『菊と刀』をパクったことの意味
■日本文化への肯定的な評価
■大きな役割を果たした大使、ライシャワー
■日本の神秘性を剥ぐ
■外国人が書いた日本人論の見どころ
■対米従属論のどこがいけないのか
■今、日本人論を扱う意味

引用


本当に読む力をつけようと思ったら、やはり書籍なんです。一冊の書籍が成り立つまでには、いくつものふるいにかけられている。要らないものを省き、論旨を明確にしないと、そもそも売り物にならない。さらにいえば、古典にじっくり取り組むこと。これが「読解力」をつける一番の早道なんです。


感想


2022年101冊目
★★★

「その人の本棚を見ればその人が分かる」というけれど―――これは電子書籍が隆盛する現代では、アーカイブを見れば、ということになるのか―――歴代首相の愛読書についての本で著者2人は政治家たちをひたすら扱き下ろしていた。
そこで挙げられる愛読書が娯楽に限られている。浅い。

ものすごい量の本を読み、知識を得たお二人からしたら、そうなのだろうな。
しかし(政治家でなければ)読書は娯楽のものでもあるから、一般人はそれでもいいだろう。
でも、私の中にも「娯楽本ばかり読んでいて大丈夫?」と思う気持ちがある。
それは柔らかいものばかり咀嚼していたら、噛む力がなくなることを心配するという心境。
だからけちょんけちょんに言われている政治家たちの読書遍歴の章は、自戒も込めて私は読んだ。
(ところで、「端倪(たんげい)」「壟断(ろうだん)」は初めて出会った単語。覚えておこう。)

たくさんの本が紹介され、お二人が対談の中で触れられた本がまた章末に紹介される形式。
読みたいと思っていた本もあったけど、結局読んだことのない本ばかりだ。
私も結局、読みやすい本ばかりを読んでいるんだろうな。
古典になんて、よほどのことがないと手が伸びない。

考えること。自分の頭で考えること。
でもそのためには、自分の中にたくさんの考えを蓄積しておかなければいけない。
たくさん蓄えて、かき混ぜて、そしてよく見る。
それが考えることなのだと、思う。

私は圧倒的に足りていない。
何も知らない。無知が過ぎて嫌になる。
けれどそれを開き直れるほど厚顔でもないのだ。

知らないことは、知ればいい。知っていけばいい。
すぐに忘れるなら、また覚えればいい。
何度でも、何度でも。
死ぬまで、学び続けるしかないのだから。
なぜ生まれたのか、生きるのか、死ぬのか。
考えて考えて、自分で答えを探し続けるしかないのだから。

自分で自分を、諦めないこと。
自分が自分を、信じること。
その信頼に悖らないこと。

人は過ちを繰り返す。
現在進行形でそれは進んでいく。
学んだはずのことが、忘れられていく。
だから人は文字に記す。語り継ぐ。書籍に残す。

私はここにいて、ここからどこへも行けなくて、でもどこへでも行ける。

目を啓け、心を開け。
世界を貪欲に吸収せよ。
書籍はそのためにある。




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最終更新日  2022.12.04 00:20:37
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