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2022.07.16
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テーマ: 読書(8290)

本のタイトル・作者



「一万円選書」でつながる架け橋 北海道の小さな町の本屋・いわた書店 [ 岩田 徹 ]

本の目次・あらすじ


第1章 一万円選書のすべて
究極の問い
三日天下
本屋の神様
ネットの世界でバズる
選書カルテ
カルテの読み込み方

どうせなら美味しいものを食べたい
本を選ぶコツは本を読むコツ
手紙を添えて
システムの確立
ドキュメント 一万円選書
プラットホーム
どうぞ真似してください

第2章 負けて負けて迷って迷ってやっと見つけた
本こそが庶民の娯楽の王様だった
砂川で本屋を始めた両親
サラリーマンを経て書店主へ

砂川地域大学という挑戦
あの手この手
売れない理由なんて100でも言える
店内レイアウト試行錯誤
消してはいけない炎

うちが責任を持って売るから!
原動力

第3章 本屋が生き残るために
苦言を呈します
小さな本屋が革命を起こす
全国の個性派本屋さん
いわたま選書
他業種とのコラボ
図書館がうらやましい
みんなにもっと本を読んでほしい
オンリーワン

引用



2世紀分の膨大かつ広大かつ深遠な知識の宝庫。これら知の集積をみすみす闇に葬るわけにはいかない。絶対に役に立つ。


感想


2022年178冊目
★★★

2021年のクリスマス。
北海道砂川市にある、(有)いわた書店さんの「一万円選書」に当選し、カルテを送付して、おすすめの本を選んでいただきました。
→2022.02.06「 2022年1月に読んだ本まとめ/これから読みたい本

その選書に入れて頂いたのが、一作目の著書『一万円選書 北国の小さな本屋が起こした奇跡の物語』のサイン本。
大変興味深く読みました。

これはその後に出た2冊目。
同じような内容だとがっかりだな…と思ったんですが、同じことも書いてあるけど、違うことも書いてあるので、1作目を読んだ人も楽しく読めると思います。
本が好きな人が本について語る本はすべからく楽しい。

なぜ1万円選書は生まれたのか、店主の生い立ちも含めて書いてあるのは前作と同じ。
選書の方法なども1作目同様、詳しく書いてあります。
今回の新しい記載としては、娘さんのやってらっしゃる「いわたま選書」についてとかかな。

棚にずらりと並んだ選書カルテをファイリングしたフォルダの写真。
人は、コミュニケーションを求めている。
私のことを知って。私のことを分かって。
その答えに「本」を送る。
それはまるで、返歌のようだと思う。
かえし、から始まるそれが、私はすき。

著者は、10冊自分で本を買ったとして、面白いと思えるのは3割くらいではないかと言う。
でも自分は、5割~7割の打率で面白い本を選べるという自負がある。
週に1冊本を紹介するコーナーを新聞『プレス空知』に持ち、最低3冊読むことを10年間続けた知識のストックが、のちの一万円選書に役立っているそうだ。

ちいさな本屋が、絶版の本を復刻し、著者に書き下しを書かせる力を持つ。
すごいことだ。
著者は、世の中の放っておいても本を読む2%の本好きと、本を読まない98%、この割合を少しでも変えたいのだと言う。
2%に面白がられる本は、98%にも面白がられる。
そして「本を読む」人を増やしたい。
娯楽の多い時代に、無謀とも思える大望。
でも岩田書店のような本屋なら行きたいと、みんな思うんじゃないだろうか。

私は文字を覚えてからずーっと絶えず本を読んできたので、「本を読まない」ということが信じられないのだけど、夫を見ていても、年に1冊も本を読まないくらいだ。
電車の中ではみんな、熱心にスマートフォンを眺めている。
著者も、電車の中の通勤通学時間を読書にあてないか、と提案する。
1日20分×5日で、週に100分。
100分あれば、新書の1冊くらいは読める。
そうすれば年に50週で50冊。
50人の賢者に出会えるのだと。

私はほぼフルタイムで係長として働いており(時短勤務の形骸化)、保育園にお迎えに行き、英語も勉強している。ブログも毎日のように更新する。もちろん家事もしている。
それで年に200~300冊の本を読む。
というと、「いったいいつ読んでるの?」とよく聞かれるのだけど、ほぼ「隙間時間」。
通勤の行き帰り(もちろん電車を待っている間も)、昼休み、子どもの習い事(プール)の待ち時間。
常時、かばんには2冊(今読んでる本と、今読んでる本を読み終わった時のための本)が入っていて、それをおもむろに開いて読む。
私は平行して本を読むことはせず、「1冊読んだら次の1冊」を読む方式。
(その代わり積読はたくさんしてあって、その時の気分で「次の本」を選べるようにしてある)
そうすると、ものにもよるけれど、最低週に1~2冊は読める。

本を面白いと思ってもらうためには、選書も大事なんだけど、その習慣化が大事なんだろうな。
娯楽のひとつとしての読書の復興。
それぞれの本屋が飲食店のように「店主のおすすめ」を持ち、客がそれを信頼して注文するようになれば、と岩田さんは夢想する。
皆がレストランや居酒屋のように、お気に入りの店(書店)を持つ。

お通し代。カフェ代やお菓子代。
私は菓子パン好きなので(健康には悪いが)1日300円程度を昼ごはん用に買う。
300円×平日5日=1500円。
この金額で、週に1冊本を買う、という感覚が非日常じゃないことを、これくらいのペースで「本を消費」することを自然に受け止めてもらえないだろうか。
×4週で、月に6000円。
習慣にさえなれば、「選ぶのが面倒」という人のために、選書のサブスク(月に6000円で4冊)みたいなものも登場できる。
ランチを外でとれば、一食700~1200円くらいするのだから、安いものではないか。

そのためには、本の「鮮度」のようなものをある意味落とすというか、有り難がられる本の価値(中古としての市場が確立されており需要もある)をどこかで「食べて、なくなるもの」みたいにする必要もあるかもしれない。
本を買うことは、物理的な抑制を伴う。
そこが、食べ物のように絶えず買われ、消費されるものとの差でもある。

知識は頭の栄養、読書は心の栄養だ。
本を読もう。
Twitterもいい(だいすき)。でも、本はまた違う。
それはやっぱり、家で作るご飯とプロの料理くらい、違う。

本を読もう。
自分だけの深い森に分け入るように。
その暗さに目が慣れたら、これまで気付かなかったたくさんの豊かさに気付くだろう。
森にさんざめく、さまざまな音。

いわた書店さんの一万円選書は、毎年秋ごろの募集。
SNSをチェックして、今年も申し込むつもり。(まだ当選したの読み切れてないのに!笑)

これまでの関連レビュー


一万円選書 北国の小さな本屋が起こした奇跡の物語 [ 岩田徹 ]




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最終更新日  2022.12.03 23:56:01
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