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2022.07.31
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テーマ: 読書(8559)
本のタイトル・作者


世界の賢人12人が見た ウクライナの未来 プーチンの運命 (講談社+α新書) [ クーリエ・ジャポン ]

本の目次・あらすじ

第一章 この戦争が意味するもの
ユヴァル・ノア・ハラリ「ロシアの侵略を許せば世界中の独裁者がプーチンを真似るだろう」
ニーアル・ファーガソン「プーチンはウクライナ戦争で何を目論んでいるのか」
ノーム・チョムスキー「ウクライナ戦争による米露対立は、全人類への死刑宣告になる」
〈世界のコラム〉「世界の軍需企業」はウクライナ戦争でこれほど莫大な富を得ている

第二章 プーチンとは何者なのか
ミシェル・エルチャニノフ「世界はプーチンの核の脅しを真剣に受け取ったほうがいい」

キャサリン・メリデール「プーチンが恐れているもの、それは自身の死と民主主義だ」
〈世界のコラム〉ウラジーミル・プーチンという男の思考回路を読む

第三章 いま私たちに求められているもの
トマ・ピケティ「欧米諸国の考える『制裁措置』は“標的”を大きく見誤っている」
タイラー・コーエン「利他主義や慈善は戦時にどう対処すべきか?」
フランシス・フクヤマ「プーチンは完敗するーー私が楽観論を唱える理由」
〈世界のコラム〉ウクライナ侵攻のシンボルになったアルファベット「Z」の謎

第四章 この戦争の行方を読む
ジョージ・ソロス「プーチンと習近平は第三次世界大戦の引き金になろうとしている」
ジョン・ボルトン「中国とロシアの協調こそが世界の脅威になる」
ロバート・ケーガンほか「ウクライナが“完全支配”されたら何が起きるのか?」


感想

2022年193冊目
★★★

知らない人も多数いるけど、(たぶん)錚々たるメンバー。
内容は、雑誌や新聞などの短い記事の翻訳の寄せ集めなので、すぐに読める。
海外でどんな風にとらえられているか、というのが知りたかったので面白かった。
以下印象に残ったことのメモ。

(ユヴァル・ノア・ハラリ)


(ノーム・チョムスキー)
・プーチンは何年も前から主張してきたことを実行している。
・ロシアの安全保障上越えてはいけないレッドライン(ジョージアとウクライナ)をアメリカが平然と踏みにじった。

(ミシェル・エルチャニノフ)
・プーチンの内側の論理は一貫しているが複雑な実世界との接点がなくなっている。
・彼はこのイデオロギーを20年間ずっと語って来た。
・世界各国の指導者はそれに目を瞑ってプーチンを支持してきた。

(世界のコラム)
・キリル文字に「Z」は存在しない。
・「Z」が何を意味しているのかロシア国防省はコメントしていない。
・「ザパド(西)」を意味する可能性が高い。
・国防省はInstagramに「Za pobedu(勝利のために」を意味すると投稿。

読めば読むほど、不思議になる。
ひとりの人の妄執だとして、それが現実になることが。
たったひとりの思い込みや思い付きで、たくさんの人に災厄が訪れる。
そんなことがあり得るのだ、ということ。

戦争というのは、たくさんの人が「何か」を信じるのだと思った。
信じたいものを。
そしてその人たちが戦争を始めるのだと。

ロシアの人たちは、プーチンを支持しているんだろうか?
ほんとうに?いまでも?

頭の中が現実の世界を侵食する。
けれど、私はプーチンは幸せじゃなかろうな、と思った。
クレムリンの中にいて、ひとりぼっちだ。
ひとりぼっち。

ドラえもんの「どくさいスイッチ」では、言うことをきかない者を消すボタンをのび太が押し続け、世界はついに最後にのび太ひとりになる。
電気の供給も止まり、世界は闇に包まれる。
彼はその光景の中にいるように思う。
でもそこまで来ても、ドラえもんはいない。
だからもう、虚構を信じるしかない。
自分はひとりではないのだという物語を。
大衆に望まれ、君臨する皇帝。
失われた祖国を取り戻すのだ。偉大なるロシア。
強国の歪んだイデオロギーに打ち勝って、歴史に名を刻む大統領。

ウラジーミル・ソローキン氏は、プーチンは『ロード・オブ・ザ・リング』の呪われた指輪をはめたのだと喩える。
王座についた賢明な役人。
権力の頂点に固執することがないはずだった彼は、運命の指輪をはめ、帝国主義の怪物となる。

怪物は街を焼き払う。
怪物は人々を飲み込む。
後には荒廃だけが残される。

今目にしているものを、私はどう捉えればよいのだろう。
その怪物を、どう捕らえれば。

私はそこでふと、思い出す。
「ぺにろいやるのおにたいじ」。 
(2020.12.06「 今年やり残した目標、絵本の読み聞かせ(こどものとも復刻版) 」)
人々が怖がる鬼を退治に、ぺにろいやるは出掛ける。
そうしてぺにろいやるはお城の中で、鬼を見つけ一緒に遊ぶのだ。
鬼はちいさな男の子だった。
恐ろしい大きなお城は、ちいさな透明なテントに変わる。
ふたりは夢中で遊ぶ。
世界がそんなふうに、ゆけばよいのに。
どうせ物語になぞらえるのなら。

ノーム・チョムスキー氏の話の中に、「オリーブの枝ではなく六連装式の銃を手にとる」という表現があり、独特で聞いたことないなと思ったら

2 和解の印として差し出すもの

なのだそうだ( goo辞書 )。

これまでの関連レビュー

池上彰の世界の見方 東欧・旧ソ連の国々 [ 池上彰 ]
同志少女よ、敵を撃て [ 逢坂冬馬 ]
戦争は女の顔をしていない [ スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ ]
プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争 [ 山田敏弘 ]




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最終更新日  2022.12.03 23:51:43
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