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2023.06.23
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テーマ: 読書(8559)

書名



牧野富太郎 草木を愛した博士のドラマ [ 光川 康雄 ]

目次


第1章 牧野富太郎の生涯
昭和天皇から届いた「アイスクリーム」
故郷・佐川の野山で草木を探しまわって
寺子屋・私塾などでの学びと「博物図」
学問の盛んな佐川の教育が生んだ偉人たち
初めての上京、東京の学者たちとの交際スタート
学歴はなくても植物分類をめぐって友人と切磋琢磨

植物標本と精密画・印刷へのこだわり
一目惚れから恋愛結婚へ
矢田部博士からの植物学教室出入り禁止とその後
困窮する富太郎を支えた愛妻壽衛
膨大で貴重な採集品と経済的援助
植物好きの子どもたちとの交流と笑顔
スエコザサ
理学博士・日本学士院会員・文化勲章への路
研究者・富太郎の学問信条
ユニークな提言と植物学の日(4月24日)
私は草木の精


第2章 牧野富太郎をとりまく人々
家族
佐川の人々
高知の人々
富太郎に影響を与えた学者たち

東京帝国大学の人たち
富太郎の支援者・教え子たち

第3章 牧野富太郎の足跡案内
佐川町
高知市
越知町
東京
各地

感想


2023年135冊目
★★

表紙がきれい。中の色味もうつくしかった。
薄くて読みやすい。

ただ、この本の立ち位置がよく分からず…。
前半(第一章)は牧野博士のおおまかな一生のまとめ。
第二章は関係のあった人たちを索引のように名前ごとに掲載したもの。
第三章はゆかりのある土地を紹介していて、ちょっとした観光案内。

牧野富太郎自叙伝 [ 牧野富太郎 ]
牧野富太郎の恋 [ 長尾剛 ]
牧野富太郎と寿衛 その言葉と人生 [ 四條たか子 ]
好きを生きる 天真らんまんに壁を乗り越えて [ 牧野富太郎 ]
われらの牧野富太郎! [ いとうせいこう ]

と、色々読んできて、今回の本は、「ドラマをみて、牧野博士に興味を持った」という人が手に取るには不親切設計だし、かといって「牧野博士のことをもっと知りたくて」という人には第二章以外あんまり役立たない気がする…。

私が「この本面白いな」と思ったのは、著者が牧野博士のことを知り、書くに至った経緯。

著者は、1951年生まれで、同志社大学講師、駿台予備校講師などを経て、現在びわこ学院大学短期大学部教授。
大学を卒業後に5年間会社員、その後は非正規雇用で1年更新。
70歳で正規の雇用になった、という牧野氏を彷彿とさせる略歴。

もともと、授業で牧野博士という人がいるということに、日本史の授業でさらっと触れたことがあり、その後『人物で見る日本の教育』(日本教育史の専門書。大学の教科書)という本を書くにあたり、近代に理科教育で適当な人物として牧野博士のことを思い出す。
そして、同書籍の中の「牧野富太郎」を分担執筆。

筆者は最初、富太郎のことが好きになれなかったのだそうだ。
でも結局、彼のことを好きになってしまう。
そして今、彼のことを知ってほしいと記す。

このスタンスから書いている人は初めてかもしれない。
みんな牧野氏大好き!富太郎ラヴ!な人が多いから。
(まあこの著者も最終的にはそうなんだろうが)

富太郎って、ある意味「なんやねんこいつ」なんですよね。
生まれは裕福、好きなことをさせてもらえる環境に育って、頭は良いし、絵は上手いし、人間関係に恵まれてどこでもなんとかなっていくし、最愛の奥さんはいるし、子沢山だし…。
学歴がないことやお金がないことで苦労はするけれど、評価され続けていた。
「なんやねんこのチートキャラ」ってなるんですよ。

朝ドラではそこらへんの塩梅が難しいと脚本家の方が『われらの牧野富太郎!』の対談で仰ってました。
だから、身体が弱かったというところを、思いっきり身体が弱かった設定にしたり。
マイナスを付与しないと、おひさまを向いて芽吹く植物みたいに、ぐんぐん伸びていってしまう。
それがこの人の魅力であるのだけれど。

だから私、ユーシー(ドラマの矢田部教授)とか、東大植物学教室の人の気持ち、分かるなあと思う。
「すき」だけではいられなくて、たくさん身につけた重しと鎧。
でもそんなもの関係ないと、「すき」の気持ちのまま、身軽に走っていく人がいたら。
自分のあとからきたそいつが、軽装でまっすぐ前だけ向いて走り抜けていったなら。
羨ましくて、妬ましくて、足を引っ掛けて転ばしてやりたくなっただろう。

そうはいられないことを、この人に託した人は、彼の味方だった。
そうはいられないことを、この人に許せなかった人は、敵だった。

この本は、第二章の「牧野富太郎をとりまく人々」が面白かった。
よくここまで調べたな。
というかこの時代の知識人の繋がりがすごい。みんなどっかで繋がってるような。

土方寧(ひじかた・やすし)の説明が私は面白くて、この人は法学者で、貴族議員も務めたんだけど、東京法学院大学で「相撲興行中は休講にします」と休講通知を出したり、ことあるごとに講義を休もうとしたり、毎回授業に30分遅刻すると宣言していたそうだ。
相撲すきやったんやな…。笑

あと、第三章で「小岩菖蒲園」に「ムジナモ発見の地」という記念碑が立っているというのも驚き。それ、知らん人がみたら「なにこれ」ってなるよね…。笑


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最終更新日  2023.06.23 06:48:14
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