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『京都寺町三条のホームズ(6.5)』に続く、ガイドブック第2弾。 これまでのお話の中で、清貴と葵が巡った京都の様々な名所が、 春夏秋冬の季節ごとに、多数の写真を添えて紹介されています。 「ホームズさんが教える豆知識」も、イイですね。 そして、もちろん、今回も8つのエピソードが描かれています。 「第1話 ホームズと白隠禅師 -アニメオリジナルバージョン-」は、 著者の望月さん自らが書き下ろしたアニメ第1話の原作です。 お話の前後に、清貴と葵のやり取りを入れ込んでいるのも楽しいですね。「第2話 骨董店『蔵』と桜の道」は、バイトを初めて1週間の葵と店長・武史が、桜の咲く鴨川沿いを二人で歩きながら、色々と語り合うというお話。「第3話 あの夏の夜の後に……」は、清貴が秋人に「川床」について指南したり、葵の元カレが京都にやっていた時のことを振り返ったりするお話。「第4話 葵がはじめて『蔵』にバイトに来た日」は、家頭家の人々や『蔵』の骨董品紹介と、葵の置かれた状況や彼女のとった行動について、その背景となる心理から清貴が分析するお話。「第5話 秋のたわむれ」は、葵と清貴が「壁ドン」について、「第6話 少し早いクリスマスキャロル」は、クリスマスの過ごし方について語り合うお話。「第7話 葵がはじめて蔵にバイトに来た日 -清貴目線-」は、タイトル通りのお話。「番外編 新選組に想いを馳せる午後-清貴が大丸京都店へ修行に行っている時のお話-」は、『新選組』の映画のメンバーに抜擢された秋人が、新選組について清貴と語り合うお話。山南敬助は、大河ドラマでは堺雅人さんが演じていましたね。
2022.08.21
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村上さんが翻訳した、海外作家によるラブ・ストーリーに、 村上さん自身による「恋するザムザ」を加えた、全部で10の短編集。 各話の後には、村上さんによる解説が掲載されると共に、 「恋愛甘苦度」も示されるという、とてもユニークな構成の一冊。 しかしながら、読み終えるのに随分と時間がかかってしまいました。 翻訳したのが村上さんであっても、元々は英語で書かれた作品なので、 やはり、最初から日本語で書かれた作品とは、根本的に文章の構造が違い、 いつもの感じでスラスラと読み進めることは出来ませんでした。さらに、そこに記されている事象にも、日本の生活や文化との相違が多々あり、すんなりとは頭の中に入って来てくれない……まぁ、これは今回に限ったことではなく、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』や『グレート・ギャツビー』でも感じたことです。 *** 地球を3周したのちにようやく、 猛威をふるったその伝染病はひとりでに終息する。 それまでにはいくつもの村がこの地上から消滅してしまった。 1年間にその病のために死んだアメリカ人の数は、 第1次大戦の戦場で命を落としたアメリカ兵の数よりも多い。(p.176)本著に掲載されている、ローレン・グロフによる『L・デバードとアリエット - 愛の物語』の中の一節。村上さんの解説によると、この伝染病は「スペイン風邪」とのこと。「新型コロナ」は、いつ終息するのでしょうか。
2022.08.21
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著者は『精神科医は信用できるか』の著者でもある和田秀樹さん。 高齢者専門の精神科医として30年以上現場に携わり続けており、 その経験から、80歳からの人生について記した一冊。 キーワードは「老いを受け入れ、できることを大事にする」。 「第1章 医者・薬・病院の壁を越えていく」では、 健康診断、共病、医者、薬、ガン、血圧等について指南。 そして、「第2章 廊下の壁を越えていく」では、 薬・食事・興味あることの3つのムリをやめることを呼びかけます。 *** 人間の体はよくできており、 使わない機能は退化していきますが(廃用性委縮と言います)、 使えば活性化していきます。 特に脳はその傾向が顕著です。 つまり、衰えるに任せておけばどんどん衰退しますが、 奮起して使えば活性化させることができるわけです。(p.102)とても分かる気がします。日々、どんな過ごし方をするかで、ものすごく差が出来てしまうことでしょう。楽しい、面白いと思えることを見つけられる環境に、身を置くことが大事なのですね。 経済が回らないのは、お金が滞っているからです。 暴論かもしれませんが仮に「相続税100%」にしたらどうなるでしょうか・ 「税金に取られるくらいなら使ってしまおう」とお金をバンバン使い始めます。 そうなれば、高齢者は元気になり、健康寿命も延びていきます。(p.109)なかなか面白い意見だなと思いました。確かに「相続税100%」となれば、高齢者たちは競ってお金を使い始めるでしょう。ただ、使い過ぎて一文無しの状態で、その後何年も生き続けるという状況は避けたいので、いつまでにどれだけどのように使っていくかの匙加減が、とても難しいですね。
2022.08.21
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「プロローグ」では前巻を受け、敦子が智花と佐田の仲を裂こうとし、 清貴と葵が、春彦の香織に対する気持ちを確認していきます。 第1章「動き始めた歯車」では、葵が『蔵』の2階で『風雅』の絵を見つけ、 佐田が「敦子が智花との仲を裂こうとする理由」の調査を、清貴に依頼します。 第2章「取材と調査」では、展覧会に向けて、葵が円生に色々と訊ね、 小松が清貴に、敦子の前夫・佐藤浩史の調査結果を伝えます。第3章「過去のしがらみ」では、かつて円生が贋作づくりをしていた頃の仲間が、円生の弱点を「清貴」と知らされ、清貴と利休を襲撃しますが、瞬殺されてしまいます。また、家頭邸では葵が展覧会の準備を進めていましたが、そこに現れた神戸切子の坂口が、円生が実の弟のように大切にしていたユキだと、清貴から聞かされることになります。 第4章「光と陰の傷跡」では、贋作づくりの仲間から「お前は所詮、二次創作作家」と言われた円生が自信を喪失し、展覧会開催を断念。円生の心を折ったのが『風雅』だと気付いた清貴は、彼について葵に話します。葵は円生を訪ね、展覧会の招待券を渡すのでした。第5章「たった一人の展覧会」は、円生のためだけに開かれた展覧会のお話。会場に現れない円生の居場所を突き止めた清貴は、自らの思いを思い切り円生にぶつけます。会場に足を運んだ円生は、展覧会開催の許可を葵に伝え、ユキとの再会を果たします。そして後日、清貴は敦子が佐田と智花を引き離そうとする理由を解き明かしたのでした。「エピローグ」では、展覧会成功を祝うパーティーの様子が描かれ、清貴に促された葵が、大学卒業後にサリーの許で学ぶことを決意します。また、掌編「幼馴染との語らい」では、パーティー会場に現れなかった円生と、化野念仏寺で彼を見つけたユキが、2人で語り合います。番外編「二人のクリスマス」は、パーティー翌日の家頭邸で、イチャイチャする清貴と葵の様子が描かれます。 ***「あとがき」によると、今巻は7巻、10巻、14巻に続く区切りの一冊とのこと。ただし、シリーズは、まだまだ続くようなので一安心。私の読書も、最新刊にいよいよ迫ってきました。
2022.08.15
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シリーズ初の巻またぎ前編。 「あとがき」によると、当初はその予定はなかったそうですが、 書き始めると思いの外ボリュームが出てしまい、分冊にされたとのこと。 それだけに、色々なことがしっかりと描かれ、中身の濃いお話となっています。 ***「プロローグ」では、香織が円生を「オッさんみたいな人」と言ったことに葵が驚いたり、サリー・バリモアの英文インタビュー記事を、清貴が葵に翻訳してあげたりします。第1章「船岡山プロジェクトと玄武の願い」では、田所敦子が華道教室の生徒・浅井智花を伴って『蔵』を訪れ、智花の婚約者の素行調査を清貴に依頼したり、『光岡さん』と呼ばれる女性が清貴を訪ねてきて、葵をやきもきさせたりします。そして、梶原春彦がリーダーを務める”京の町をもっと素敵にしたいプロジェクト”に、香織と共に参加することになった葵が、船岡山近辺を『恋人たちの聖地』とすべく、ボランティア活動に尽力するイタリアンレストラン経営者・佐田に会ったり、清貴からアドバイスを受けたりしながら、様々な社寺を巡り歩きます。第2章「絡まり合う縁と過去」では、葵が『アサヒビール大山崎山荘美術館』を訪ねます。そこで、『神戸切子』のメンバーで、仲間から「ユキちゃん」と呼ばれる坂口由貴に出会い、サリーのアシスタントである藤原慶子から、展示会に向けてのアドバイスをもらうことに。そして慶子は、サリーの許で働くことを、改めて葵に勧めるのでした。第3章「梶原家の秘密」では、春彦が献血をした際に自分の本当の血液型を知ったことから、事の詳細を知る兄・秋人が、その事実を春彦に伝えることを清貴に丸投げ。その後行方不明となった春彦でしたが、香織が自転車で探し回り、鴨川沿いで発見。後日、倉科と綾子が春彦を鞍馬の山荘に招き、しっかりと説明をしたのでした。第4章「新たな謎」では、敦子が小松探偵事務所を訪れ、智花と婚約者・佐田の仲を裂いて欲しいと言い出します。番外編「相笠くりすの憂鬱」では、『華麗なる一族の悲劇』に葵が登場しないことに、清貴がクレームをつけたため、くりすがボツ原稿を清貴に見せますが…… ***確かに、色んなお話がギュウギュウに詰め込まれているものの、省いてしまえるところが見つけられない……それ故、これを一冊の中に納め切るのは難しい。分冊となった理由を納得させられました。
2022.08.15
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今巻は、ゾロがキングを撃破した場面からスタート。 ローとキッドは死力を振り絞り、遂にビッグ・マムを倒すことに成功。 そして、カイドウと対峙するルフィは、最後のギア4で立ち向かうが、 五老星からの勅令を受けたCP0の不意打ちを食らい、倒されてしまう。 そして、城内は至る所が火の海におおわれていくが、 その時、龍と化したモモの助の耳にズニーシャの声が届いた。 ”解放のドラム”が聞こえる 800年振りに聞く……!! 間違いない そこにいるぞ ……………!! ジョイボーイが!! 帰ってきた!!!”ゴムゴムの実”のもう一つの名である動物系「ヒトヒトの実」、幻獣種モデルの「太陽の神ニカ」。最高地点・ギア5の姿となったルフィが、再びカイドウと対峙する。そして、雷ぞうとジンベエは、燃え盛る炎に向け大量の水を放ったのだった。 ***TVでCMまで放映されている今巻。お話は、間違いなく一歩一歩着実に終結へと向かっています。
2022.08.15
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カイドウとヤマトが対峙する屋上に辿り着いたルフィと龍と化したモモの助。 しかし、鬼ヶ島はカイドウの力が弱まったことで崩れ始めていた。 モモの助は 巨大な焔雲をつくることで島が花の都へ落下するのを防ごうと奮闘、 狼と化したヤマトは、ドクロドームの巨大武器庫へと急ぐのだった。 一方、ネコマムシの旦那は、ペロペロスペローとジャックを撃破。 そして、キラーがホーキンスを撃破すると、キッドはその呪縛から解放される。 キッドはローと共にビッグ・マムに挑みかかるが、マムは巨大化、狂暴化してしまう。 そんな中、遂にサンジがクイーンを撃破、ゾロはキングに挑みかかったのだった。 ***今巻もなかなか難敵で、初読ではお話の流れがよく分かりませんでした。特に、遊郭でのサンジのエピソードは、どこか読み飛ばしてしまったのか、それとも、すっかり失念してしまったのかと、焦ってしまいました。「霜月コウ三郎」のエピソードも、ちょっと唐突だったような……私としては、今巻最も印象に残ったのは、キラーとホーキンスとの闘い。キッド海賊団の絆の強さが、しっかりと伝わってきました。
2022.08.14
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著者は、東京大学定量生命科学研究所教授の小林武彦さん。 本著は、多くの方々に読まれ、その評価も高いのですが、 新書だからといって舐めてかかると、痛い目にあうこと間違いなし。 高校で『生物』の授業を受けた程度の読み手にとっては、かなりの難敵です。 それは進化の説明に際して、DNAやRNA、そこに生じる様々な化学反応について、 その分野の第一人者として、専門家らしく丁寧に説明しようとされているから。 アルファベットやカタカナ表記の物質に、所狭しとページを埋め尽くされると、 所々に図表が挿入されていても、もうそれだけでgive upしたくなってしまいます。こんな感じで、私は読み終えるのにかなり苦労してしまいましたが、内容そのものは、とても興味深いところが多かったです。部分的には、スイスイと読み進めることが出来る箇所もあり、中でも、「おわりに」直前のAIに関する記述は、とても印象に残りました。
2022.08.12
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著者は小林製薬会長の小林一雅さん。 1886年に雑貨・化粧品・洋酒販売の店として創業した「小林盛大堂」が、 やがて家庭用医薬品等の卸売り事業が主体となり、 1956年には大阪道修町に移転して「小林製薬株式会社」となりました。 それに先立つ1948年に、著者の父である小林三郎さんが、 三郎さんの死後、1958年には著者の母である映子さんが社長となり、 1976年には著者が、そして2004年に著者の弟・豊さんが、 そして、2013年に著者の長男・章浩さんが社長となり、現在に至っています。1964年、著者は入社後すぐの25歳の時に2週間の米国研修旅行に招かれると、26歳の時には1年間米国留学し、主にマーケティングと広告について学んだといいます。そして、その経験を活かし、1967年に「アンメルツ」を、1969年に「ブルーレット」を、さらに1975年に「サワデー」を発売し、1976年に社長に就任したのです。ニッチなマーケットを戦場とし、「小さな池の大きな魚」を釣る戦略で、「わかりやすさ」を肝にマーケティングを展開する。創造は「よいものの模倣」から始まり、「いたるところにヒントはある」。そして、「まずは、やってみる」ことが大事。こういった著者の姿勢を、本著の至る所で垣間見ることが出来、まさに「あったらいいな」をカタチにすることで、ここまで躍進してきたことが分かります。個人的には第Ⅲ部「逆境と失敗を未来の糧とする」の内容を、より深く掘り下げ、丁寧に記述してもらえると、より興味深い一冊になったと思います。しかしながら、実際にそれをするならば、第Ⅲ部の内容だけで、1冊分の本が書けてしまうでしょうし、当事者が書くよりも、第三者的なライターが、客観的にそれを記述した方が、良いものが出来上がる気もします。
2022.08.12
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表紙には李奈の隣に莉子。 清原紘さん自らが描いたものではないのは残念ですが、それでも嬉しい。 しかも、本編を読むと、莉子は二人の子供の母親になっています。 永遠の28歳の岬美由紀とは違い、莉子の周りでは年月が流れていました。 また、お話の中では『万能鑑定士Qの事件簿Ⅳ』が取り上げられたり、 名前だけですが、紗崎玲奈がp.137に、浅倉絢奈がp.246に登場したりしています。 『高校事変』に玲奈が登場したように、『écriture 新人作家・杉浦李奈の推論』でも、 莉子の再登場や、玲奈、絢奈の登場があるかもしれませんね。 ***日本小説家協会の懇親会が開かれていたホテルで大規模火災が発生し、宴会ホールにいた参加者たちのほとんどが死亡。救出されたのはベテラン小説家で車いす使用者の藤森と女性従業員・有希恵の二人だけでした。そして、この火災には放火殺人の痕跡が残っていたのです。救出された二人や、懇親会に出席しなかった小説家たちに対して警察や世間から疑惑の目が向けられるようになり、李奈も同様でした。そして、人気作家・櫻木沙友理から放火犯人の特定に力を貸して欲しいと頼まれると、藤森と有希恵に会うべく、入院中の病院を訪れるのです。ここからは、本著副題の「信頼できない語り手」によって、李奈は翻弄され続けます。懇親会に出席していた部外者、破られたサイン本、沙友理宅への侵入者等々。そんな時、沙友理の紹介で李奈は莉子に会い、以後様々なアドバイスをもらうことに。そして、韓国映画化オファーや出版再契約、KDPなどに目を向けていくと…… ***p.288から始まる、サイン本トリックの説明については、私は一度読んだだけでは全く分からず、何度も読み返すことになりました。動画による解説であれば、瞬時に理解できたかもしれませんね。文章で表現することの難しさを、改めて感じさせられました。
2022.08.12
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今巻の軸となるのは、あの相笠くりすが書いた 『京都探偵事件簿 華麗なる一族の悲劇』です。 『プロローグ』は、円生が小松に探偵事務所2階を間借りさせて欲しいと頼み、 清貴に自らが描いた『夜の豫園』を『蔵』で預かって欲しいと頼むお話。 続く第1章『それぞれの歩みと心の裏側』は、歌舞伎役者・市片喜助が、 宝塚出身の女優・浅宮麗から贈られてきた懐中時計を清貴に見せ、相談するお話。そして第2章『劇中劇の悲劇』は、相笠くりすが『蔵』を訪れ、清貴をモデルにしたミステリー作品を読んでもらうところからスタート。清貴や秋人などが実名で登場していますが、出版の際には変更するとのこと。作品自体はエラリー・クイーンの『Yの悲劇』のオマージュになっています。 ***大富豪『花屋敷家』当主・義春の水死体が大阪港に上がったことを受け、妻の華子、長女・薔子、次女・蘭子、長男・菊男と妻・正子、その間に生まれた息子・菊正と菊次郎、さらに、華子と前夫との間に生まれた異父姉・百合子の8人が住む屋敷を、秋人の兄で警察官の冬樹の依頼で、清貴と秋人が訪れます。屋敷では、百合子のため食堂に用意されていたミルクティーに毒が混入されたり、華子が自室でバイオリンで襲われ、意識が戻らないままだったりと事件が相次ぎます。緻密さと杜撰さが入り混じる状況に清貴は苦戦を強いられますが、義春の研究室の火事を契機に、事件は解決に向けて一気に動き始めたのでした。 ***『エピローグ』では、葵が円生に『夜の豫園』を描いてくれたことへのお礼を述べ、自らが作ったプリンと陶器の湯呑をプレゼントし、展覧会開催のお願いをします。そして、掌編『鏡の法則』では、清貴が円生との関係性について語りますが、もう最後は、いつものごとく葵にメロメロです。 「それって、かつての岡嶋二人先生のような?」 「ああ、岡嶋二人先生の作品も最高でしたね。 お二人が解散してしまったのが残念です。 できれば企画で良いので、 もう一度、書いていただけたらと願っているんですが……」(p.280)エラリー・クイーンについて語っている際の、葵と清貴の言葉です。『クラインの壺』は、私の中では未だに衝撃度No.1の作品です。
2022.08.07
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前巻刊行から、1年3カ月を経ての新刊。 カバーには、猫猫と幼女、そして鏢師が描かれ、 そでには、鏢師と「何かあったら自分の命を最優先に考えてください」の文字。 一方、帯には『彼女の「正体」を知ると9巻から読み返したくなる』との記述が。 そして、冒頭「序話」の内容は、初読ではちんぷんかんぷんなのですが、 今巻を最後まで読み終えた後で、再度読み返してみると、 そこに記されていることの意味合いが、明確に分かるようになっています。 その時、「9巻から読み返したくなる」というわけです。 ***玉鶯の死後、都を離れるわけにはいかない玉袁は、玉鶯の直系に西都を治めてもらうことを望んでいました。該当者は長男・鴟梟(シキョウ)、次男・飛龍(フェイロン)、三男・虎狼(フーラン)。しかし、玉鶯の異母兄弟たちは、無頼漢の長男を廃嫡し、優秀な次男を陸孫の、三男を壬氏の側に置き、政治を学ばせようとしていたのです。公所に隣接する本邸へと拠点を移した壬氏と、一緒に引っ越した猫猫は、玉鶯の妻や、長女・銀星(インシン)、かつて外科手術を施した小紅(シャオホン)、鴟梟の息子・玉隼(ギョクジュン)らと、そこで接することになりました。猫猫は、葡萄酒醸造所で発生した集団病の謎を解決したり、異国娘の頭痛の原因を見極め治療したりするなど、ここでも大活躍。そして、吹き矢で命を狙われた鴟梟の応急処置をすることになってしまった猫猫は、その場に現れた雀に従い、鴟梟、小紅、玉隼らと共に身を潜めねばならない状況に。鴟梟が去った後は、女鏢師に従って、猫猫は小紅、玉隼と共に幌馬車に乗り移動を開始。一方、壬氏はというと、鴟梟を亡き者としようとしたのが虎狼だったことを知り、鴟梟と協力して、西都内に潜んでいる理人国第4王子の行方を追うことを決意します。猫猫たちは、目指す町の手前で、女鏢師が馬車を離れた時、追手に追われることに。猫猫は、そこに現れた護衛に玉隼を託しますが、自身と小紅は町へと連行されてしまいます。宗教建築物が建つ町は、鴟梟に恨みを持つ盗賊の頭領・独眼竜に支配されていました。猫猫が独眼竜たちの夕餉に蛇毒等を混入し場を混乱させると、鴟梟が鏢師たちを伴って登場。そして、盗賊たちを一掃すると、猫猫に事の詳細を語り始めたのでした。その後、西都に向かう馬車の中で、猫猫は独眼竜に襲われることに。それを身を挺して庇った女鏢師は独眼竜を倒しますが、自身も重傷を負ってしまいます。そして、ここから、彼女の波乱万丈の壮絶な日々が語られていくのです。彼女の母親や、『馬の一族』『巳の一族』の存在も明らかにされます。そして、西都の後継者問題は決着し、壬氏と猫猫らは戌西州を後にしたのでした。 ***巻末には、「家系図 楊家 玉の一族」が掲載されているので、これを見ながら、読み進めるとイイですね。もちろん、ここには書かれていない情報も色々あるので、その都度、登場人物の人間関係を整理しておかないと、話の流れについていけないかも。
2022.08.07
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