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『唇にキス 舌の上に愛』高遠琉加待ってましたよ完結編!そして久しぶりに読み終わるのがもったいない~と思いつつ読んだ。タイトルは類似タイトルの作品が多すぎて、あれ?なんか平凡?と思ったし、表紙のイラストも、なんだかありきたりで先の2冊に比べるとインパクトなかったけど、中身は期待以上の出来だった。2巻があんなクライマックスで終わっていたのに、3巻の冒頭はまったくそれを置き去りにして、いきなり修司の過去話から始まっていたので、ああこれは「天国が落ちてくる」と構造がよく似ていると思った。高遠さんって、こういうふうに読者の関心を一旦ズラしてみせるの得意だな。巻がまたがっていないと使えないこと多いけど。でもこうやって要所要所でキャラクターの裏づけをしっかりしてくれるから、どんなに転がされても納得できるんだよね。比べちゃ悪いけど、先日読んだたけうちさんの作品は、どうしてガテンのお兄さんがギルガメシュ神話だのラピスラズリの意味だのを知っているのか不思議だったんだよ。海外に行ったとはちょっと書いてあったけど、現状の暮らしとの接点がなにもなくてそのギャップが最後まで埋まらなかった。でも高遠さんのこの作品では、修司がフランスに行った理由、修行時代のことなどが全部明らかになった。これで彼がもとから料理人志望でなかったことや、両親に対する複雑な思いがあることがわかった。ストーリーに奥行きを出すにはこれぐらい必要なんだよね。だけど、通常の300ページでは普通無理だから、3冊になっちゃうんだな。キャラの性格づけがブレないから安心して読める作家さんの一人だ。そしてほとんどのBL小説は途中で結末がわかっちゃったりして、まあラブを描くのが主なんだからストーリーやエピソードは単純なほうがいいのかもしれないけど、ラブしか楽しめないのもなーと思っている自分には、高遠さんはラブなんかなくても楽しめちゃったりするんだな。だから好き。今回も場面転換多くて展開が速いけど、小さなエピソードがきちんとつながっていくので、読んでいて痛快。なにより高遠さんの書くお話は先が読めない。なにしろ2巻で登場した美女は、ディレクトールにとって単なる恋のライバルと思いきや、大ゴマを握っていたし(笑)。節度と礼節がありすぎて結局ディレクトールを手に入れられなかった叶さんは、それでも最後まで大人だった。最初はうしろめたさからだったにしろ、子供の頃からディレクトールを援助して、一緒に仕事をして掌中の玉のごとく(笑)ディレクトールを一人前の社会人として育成し、無謀とも言える彼の夢を叶えようとまでしたのに、その意思を尊重するあまり自分は身を引くって、大人な行動すぎて泣けてきた。バリバリ仕事ができる「いい人」ってのもいるんだなって思ったよ(笑)。いや、叶さんのいい人ぶりはディレクトールに対してだけ発揮されるんだろうけど。そしてどっちも両想いだったのに、なんかディレクトールが大事な台詞を言うときはいつも非常事態というかせっぱつまった状況でしか告白しないので、修司はおいしいところを何度も逃している気がする。そして最後の最後でやっと身も心もひとつになるんだけど、なんだかロマンティックさからはかけ離れていて笑えた。「好き」と「キモチイイ」の間を埋めるものはないのかよ、とか思ったよ。二人とも素直すぎる。かわいい。ディレクトールは修司のおかげで「おいしい」という感覚がわかって、いろいろ足りなった血肉の部分が生成されて(笑)感情を押し殺さない人間になれてよかったねえ。結局終わってみればちゃんと人が成長する話になっているし。味覚というものに焦点をあてて、がっつりそれをからめてらぶを書ききっちゃうんだからなもう。どれぐらい時間かけたら、これほど筋が通る話にもっていけるんだろう。あ、でも叶さんが明かしたお父さんが料理人だったというエピソードはもっと膨らませてもよかった。なにしろ証拠も手がかりもなにもないし、父親が料理に情熱を持っていたら、子供の頃のディレクトールの味覚はもっと磨かれていたはずだ。肥えた舌は成長過程でどれだけおいしいものを食べてきたかで培われるというのは同意だな。培われすぎてそこらの定食屋の味噌汁の出汁にまで文句つける自分のようなのも問題だが。で、和で育つと長じて洋をカバーするのはたやすいが、その逆は繊細さのステージが全然違うから難しいとも思う。修司とサラが食べたゴルドのフルコースと最後にディレクトールが食べにきた夢の庭の料理はいくつか見覚えがあるんだよね。参考文献に北島亭の本を挙げていたけど、ソースに凝らないロティ料理とか煮込みに本来フランスにはないゴボウを使うのは北島亭の十八番だよね。あそこの料理は量が多すぎていろいろ食べられないのが悔しいし、スタイルとしてはもう古いんだけど、やっぱり好きな店だ。普段は北島亭で修行したシェフがやってる七條ばっかり行ってるけど。先の予測が困難な高遠さんだけど、今回唯一ピンと来たのは、会長というのは何度もレストランに来てるんじゃないの?ってところだった。そしたらビンゴ! だって1巻からしつこいほど、なぜこの会社の主要業務から遠い高級フレンチを遊ばせておくのかって理由は何度も語られていたから。ディレクトールが「自分がほしいのはゴルドじゃない」と気づき、ゴルドがサラのものになり、叶が夢の庭の閉鎖を告げた時点では、修司はサラに頭を下げてゴルドを売った金で、俺らを丸ごと買ってくれって土下座する選択肢もあったんだろうけど、そうはならずに会長がとっても損な買い物をする。ううーん……最後でおいしいとこを全部さらっていった憎いキャラだ(笑)。経営に責任がなくなっちゃうとこんな無茶なことしちゃうんだな、男って。それにしてもTOBだのMBOだのホワイトナイトって、例のニッポン放送と村上ファンドの一件から着想したな。一件本筋とはなんら関係がなさそうなこのエピソードを、うすっぺらじゃなくかなりハラハラさせる展開で書いちゃうところが高遠さんらしい。もう一生ついていくからクオリティは右肩上がりでお願いしたい。さて次は好きな人のために傷害事件起こして少年院入っていた(んだっけ?)パティシェの話なのね。これも楽しみ~。
2009.04.30
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戦前(昭和初期)のシベリア鉄道に興味をもった人はたくさんいるらしく、こんなのを見つけた。某ポータルサイトの相談室。Q:戦前、鉄道の駅でパリまでの切符が買えましたか答えはイエス。すごいな~上野駅の窓口で「パリ1枚」とか「ロンドン一枚」とか買えたんだ。成田行くよりずっと便利だ(笑)。ビザは、パスポートはどうなってたんだ? 通貨は何で持ち出したの? 持ち出し制限あったはずだよね? とりあえず日華事変までの日本は、かなり自由を謳歌していたように思ええる。そして林芙美子のパリ行きがシベリア鉄道だったと、通りすがりさんから教えていただいた。「下関から巴里まで約三百七十九円二十五銭。――伯林から巴里まで三等の寝台券なしだ。二週間の汽車旅、案外気楽であつた」調べてみたら昭和6年のことだった。いろいろ符合するなあ。あれ? でも飛行機のタラップに立っている写真を見たことがあるよ? あれは帰路かな。それより上の相談室にレスをつけた人の詳細な回答に舌を巻く。こういうマニアな人たちはなんて言うんだろう、読みテツ? ちょっとお友達になりたいぞ(笑)。そういえばDVDで観た「シルク」という映画は、良質の繭を手に入れるために、19世紀にフランスの有産階級の子息が江戸時代の日本にやってくる話だった。あれはなんか駱駝に乗ったり馬に乗ったり山越えしてたりしたから、大陸横断だよね。鉄道は使っていたっけ? 映画自体は駄作だったけど(でもいいの。キーラ・ナイトレイが静かにくるっていく話だったから)、サムライと貴族のありえない邂逅とか、ファンタジーとしては面白かったな。
2009.04.29
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土曜に、今年初のぬか漬けを漬けながらラジオを聴いていたら、今年100周年?だという時刻表の話をしていた。話していたのはTBSのアナウンサーらしいが業の深い鉄っちゃんであるらしく、喋りだしたら止まらなくて面白かった。曰く、戦前の時刻表には「パリ行き」だの「リスボン行き」だの、海を越えた行き先が載っていたらしい。無論シベリア鉄道の時刻表が載っていたわけだな。なんかいいなあロマンがあって。現在の時刻表には国際線の航空ダイヤまでほぼ網羅されているのは知っているが、日本海から船に乗って満州に渡るのか、樺太~ハバロフスクから間宮海峡を渡るのか知らないけれど、ユーラシア大陸をのんびり汽車でヨーロッパまで行くなんてロマンティックだ。南にはチョモランマもシルクロードも横たわっていて、でも気候的にもっとシビアなシベリアにはとっくに線路が敷かれていた(総延長は何キロになるんだろう?)というのが、やっぱり「近代国家」と「軍事力」の威力というかなんというか。でも明治~戦前までの留学経験者のエッセイを読んでも、船ばかりでシベリア経由というのはほとんど出てこないのはなぜだ。客船のほうがよほど時間もお金もかかるだろうに。ということはそれほどシベリア経由というのは過酷だったということかな。地面は走ったことがないが、シベリア上空を飛ぶのは最高に気持ちがいい。冬限定だけど。かつてオーロラを見たのは機内からだった。上から見下ろすオーロラはカーテン状ではなかったが、なにやらもやもやと虹色の銀河が動いているように見えた。そして昼間は真っ白のツンドラの大地をまさに龍か蛇がのたうつように川がうねっているのがはっきりと見えた。オビ川・レナ川・アムール川……機内誌の後ろにのっている世界地図の川のとおりのカーブを確認できてちょっと感動した。上空3000フィート、外気温はマイナス50度近かった。そういえばグーグルマップのルート検索で、東京→ロサンゼルスとか入れると、途中の太平洋はカヤックで渡るとか出る。これはBSのバラエティ番組でやっていたので、職場でやってみたら、アメリカは全部ハワイ経由でカヤックだ。ヨーロッパ行きは検索できないのが残念だ。でもさ、途中は全部道路だから自動車なのに、なんで海だけカヤックなんだ? ジョークにしてもエコが徹底していない! と憤慨して飲み会の場で話題にしたら、ロードマップ(国道○号線を××で左折、とか出る)だからって、車で行けって指示じゃないだろ」と言われてハッとした。そうか、そこに道がある限り自転車だって歩いてだっていけるわけだな。そりゃ超エコだわ。カヤック買わなくちゃ。さあ、これがあればきみもアメリカへ行けるぞ! 一人乗りカヤック お値段36000円。やっすー……今またグーグルマップ見てたら、東京→シアトルではなぜか高速経由で霞ヶ浦通って鹿島灘からカヤックで漕ぎ出す算段になっている。高速使っちゃダメじゃん! しかし鹿島灘とか考えたな。確かにあそこの鹿島臨海工業地帯は外国からの貨物船が頻繁に往来しているが、他にもいろんなものが来航しているよね(笑)。なんつうかすごく軍事機密っぽいルート。
2009.04.28
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『ラズワードの恋人』たけうちりうとおおお~シャイノベルズでたけうちさんで今市子さんのイラストだ~と飛びついて手に入れたんだった。発行はちょっと古くて2000年。うーん…いろんな意味でこれまで読んできたたけうちさんの作品とは違っていた。これはコメディなんだよね? かなりストーリーに無理があってドタパタで、荒唐無稽まではいかないけどコメディとして読まないといろいろ無理があるお話だった。スラプスティックコメディなのか? たけうちさんのここまではっちゃけた作品は珍しいのかもしれない。なにしろタイトルと内容がまったく合っていないよ。まず視点が定まらない。1人称なのか3人称なのかはっきりしなくていらいらする。節が切り替わるところで行間が開いていれば、視点が切り替わってもいいんだけど、ずるずる続くから余計混乱する。住宅建設(主にマンション)の現場監督助手で、高校中退で大工経験のある20代後半の若者がさ、ギルガメシュの神話やら、ラピスラズリ=ラズワードと知っていて、目をつけた少年に護符代わりにラピスラズリのペンダントをあげるという設定が無理がある。大工とシュメール神話がつながらないよ。今はガテンだけど実はインテリ、という設定なら、その証拠を過去話で書かないと。それに現場をウロウロする危険な環境なのに、石ぶら下げていたらすぐに壊れそうだけどなあ。。でも仕事のプロセスとか、住民反対運動とか、ペット共生型住宅とか日照権とか、地元暴力団への心づけとか(養生シートを買っていたからあの袖の下は一応「合法」の行為なんだな。なるほど、と思った)、マンション建設にともなうさまざまな問題を巧みに織り込んでいるのはさすが。10年ぐらい前に大手ゼネコンが戸建のペット共生住宅を販売していたから(私もパンフレットを取り寄せた記憶がある)、そのイメージなんだろう。まさかBLでなんの説明もなくいきなり養生シートが出てくるとは思わなかった。いやべつにおかしな使い方はしていない。無愛想で口が悪くて人嫌いの攻が、中学生に岡惚れしているという設定はいただけなかった。だって一緒に暮らしているんだよ? どんなに理性で耐えているとしても、クラスメートの女子をつれてきただけで動揺したり、なんとか少年を喜ばせようといろいろデートプランを考えたりって、かわいいけどさ、寝食をともにしているなら別のアプローチもあるだろうに。おまけに攻のそぶりをみて、早々に受の父親が「息子はお前にまかせた」とか中学生が男の魔の手に落ちることを容認したり。そもそも母親もいるのに、夫婦は別に不仲じゃなさそうなのに、息子は父親のあとばかり追いかけてくるって、母=悪者って図がいただけない。それととっぽい天然自然のチェリーボーイが、男との関係だけにはやけに積極的というのもちょっとつらい。一度言い出したら聞かない頑固な性格って、それはそういう性格に親が育てたんじゃないのか? でなきゃしつけ不能の病気系? あと前半、猫が重要な役割を果たすのに(人間の乳首を吸う猫というのもキモチワルイ)、次第に影が薄くなって、なんだ小道具じゃないんだと思ったら、後半のクライマックスで、冗談とはいえ虐待まがいの仕打ちを受ける。これはやっちゃだめだよね。それと二人の間を引き裂こうとする大金持ちのボンボンの行動が子供すぎる。次期社長で仕事に関して絶大な権力を持っているのに、下半身の私利私欲だけであんな行動に出て、周囲が振り回されるなんてありえない。ああもうなんかいろいろツッコミどころ満載で、でもいつもながらたけうちさんぐらいしか書かないような印象に残る理系なフレーズがいくつかあって、そういうところは好きなんだよなあ。父ちゃん父ちゃんうるさい子供が、いきなり征ちゃん征ちゃん、入れてくれとかって、短期間で進化しすぎだろう。それに最初に手を出したのは、魔が差したとはいえ金持ちボンボンのほうなのに、それをあまり重要視していないとか、たけうちさんの作品にしてはモラルコードがゆるい。まだある。天然な建築家は狂言回し的なポジションなのに、エピソード絡めすぎ。中国で荷物失くした話をあそこまで披露することに意味がある?なんかの伏線なのかと思ったけど、なににも絡んでいないし。たけうちさん、本当は彼がもっと活躍する話を書きたかったんだろうなあ。あ、自分が気づかないだけで、お話自体が壮大なシュメール神話を下敷きにしている、とかそういう話なのか? ウスカバルドがそうだったが、たけうちさん、ケルト神話とかメインストリームじゃない神話が好きだったはずだ。キャラの掘り下げ不足だし、決定的な齟齬が一箇所あった。たけうちさんには珍しく「荒れた」作品のような……おまけにこの内容に今さんの絵は全然合っていない。
2009.04.27
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久々に山野楽器に楽譜を買いに行ってきた。お目当てのカプースチンはすでに国内版も出ていたよ。ラヴェルですらばか高いデュラン版を使っていた自分には隔世の感があるなあ。でも株式会社プリズムなんて会社、知らないよ(汗)。ついでにピアソラを弾いてみたくて、ジャズやタンゴのピアノ譜の棚に行ってみたけど、見当たらない。山野の店員さんはフレンドリーだから、品出ししていた人に声を掛けたら、すかさず棚まで案内してくれた……って、クラシックの棚かい!しかもCD付き! ピアソラを弾こうと思う人に模範演奏のCDなんて要るの? それともピアノの世界もゆとり教育なのか?閑話休題。で、カプースチンの演奏会用エチュードOp40-3はこんなの。あまりにシンプルな楽譜なのでびっくりした。8曲入っているなかでもいちばん簡単そうに見える。……ということは、過去の経験則から言って、弾けても私が聴いてメロメロになったようなかっこいい曲には聞こえないということだな(涙)。30分ほど全体をながめて弾いてみる。形式も単純だし、4/4でリズムパターンはタタタ・タタタ・タタ+タタタ・タタタ・タタでタンゴっぽい。バルトークみたいに打楽器的に弾けばいいのもわかった。届かない10度とかあまりないし、1指で2音弾くなんて、片手で6重和音が出てくる後期ロマン派に比べればかわいいもんだし、重和音もそれほど厚くないし、ダブルシャープだのナチュラルだらけの移調転調もない。敢えて難しいところを上げると、音が乱高下するところか。ともかくメカニック的には全然楽勝っぽいのに、どうしてあのグルーヴィーな感じが出せないかな。なんかすごく悔しい。初見の感じも、ちょっとさらってみた感じも、スケルツォなんかよりずっと易しそうなのに、リズムにも乗れそうなのに、なんでもさっとしか弾けないかなあ。なにかが自分には足りない。とりあえず右の旋律を鋭く出すようにして、中間部、まったくメロディーにからんでこないように思える左手を暗譜しないと。くっそお~~かっこよく弾きたいよ~。それより!アナログ楽器の世界にも電子化の波は着々と押し寄せていて、電子譜面台なるものが売られていた。FreeHand社(?)のMusicPadPro。お値段約900ドル。日本で買うと15万円ぐらい楽譜をDLして、足踏みして楽譜をめくる。ピットとか暗いところでは光る。これはスタンド立てて楽譜を設置する必要のあるパート(つまりほぼオーケストラ全員)向けだな。デモではピアノでも使っていたけど、ペダルと間違ってガンガンコントローラー踏んで余計にめくってパニックになりそうだ。そのうちピアノの譜面台にも標準装備でこんなのが設置される時代が来るのだろうなあとか感慨深げに眺めていたんだけど、ふと考えたら書き込みできないよね、これ。それともPDF上に独自にテキスト貼り付けたり(しかも手書きの)できるんだろうか。DLってことはエディション選べないかもしれないし、エディション違うと1ページに収まる小節数もちがってくるから、身体に覚えさせた感覚がズレそうだなあ。どっちにしても暗譜が原則のピアノじゃ、どんなに便利でもアンサンブル以外はステージじゃ使えないよね。特殊な眼鏡をかけるとその人にだけ楽譜が見えるエア楽譜がほしい。発明されたら絶対買うぞ!8月のコンサートの曲、いまだ決まらず。パルティータ1番か半音階的幻想曲とフーガならほぼ暗譜できているが、やっぱりショパンかブラームスを弾きたい。舟歌かノクターンの13番はどうだろう? 今から暗譜始めて間に合うのか? その前にカプースチンにはまったらどうしよう……。
2009.04.26
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業界(というか某制度)関係者の私的な懇親会というものに呼んでいただいた。急なことだったので、誰が来ているのかも確かめずに行ったら、閣僚を含む国会議員(某委員会メンバー)3名、役人4名が名簿にあった。あわわわ。お役人は仕事相手だからいいとして、なんで議員さんまでいるのよ? 今暇じゃないはずでは? あとは顔なじみのメーカーさんや報道関係者、団体関係者。自分のテーブルに顔見知りがいてホッとした。それより場所が銀座のホテルモントレだったのがうれしかった(そこかよ!)。行ってみたかったんだ、このプチホテル。ファサードも内装もすんごく自分好み。ヨーロッパでは大体いつもこのぐらいのクラスのホテルに泊まっているので、明るいだけのシティホテルとは違って落ち着ける。いつから建っているのかわかんないけど、割とクラシックなつくりで中はアールデコなんだな。地方のちょっといいクラスのペンションにもこのぐらいのはあるけど。近代的なアメリカのホテルと違って、木のぬくもりがふんだんに取り入れてあるし、螺旋階段、フランス窓……機能的ではないこうした無駄なしつらいが大好きだ。お料理はシャンデリアがぶら下がった結婚披露宴会場みたいなところでフレンチをいただく。ボーイの制服もタキシードじゃなくてグレー系の短ジャケットで、いわゆる「昔のホテルマンのおしきせ」っぽくて、なんか好きだ。キャパも小さいし隠れ家的にプライベート利用するホテルっぽいから、経営は苦しかろう。リネンもフェルト+地紋の入った麻だしカトラリーは銀だし食器は金彩モールドで名入りのオリジナルで、格は高かったけど、サービスと料理は一流ではなかった。でもこのぐらいのほうが肩が凝らなくてよかったな。 夜だったので外観撮れなくて残念。化粧室に立ったときに撮った通路と窓(笑)。廊下に窓のあるホテルってすごく好きチャペルもないのに念の入ったステンドグラスが窓にはめ込んであった
2009.04.25
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『唐梅のつばら』水原とほる水原さんの作品のなかでは今のところ一番の傑作と言われている作品。装丁もシャイノベルズの中では特異だし、レーターはなんと山本タカト氏である。これはもう最初からBLたらんとしようと思ってないな。で、買ったのは1年くらい前だったが、かなり濃厚そうだったのでなかなか手が出ず、しかし積読のなかにも積極的に読みたいものがなくなったので、ついに手をだした。そしたら、ちょっと思っていたのと違ってた(笑)。期待しすぎていたせいか、すんごい面白いというわけではなかったが、水原さんの他の作品にくらべて、たしかに念の入った力作ではある。なんというミッドショーワ(笑)。でも携帯電話も出てくるし、紛れもない現代の話で、きっとそのギャップを楽しむものなのかもしれない。リアルさは一筋ほどもないけれど、昭和40年代に大量生産された東映ヤクザ映画の裏パートみたいな感じがした。別段耽美とも思えないけれど、BLでもない気がする。でもって、BL読者の年齢層を低く想定しているせいもあるけれど、私には何一つ新鮮さや新しさは感じられなかった。でも水原さん、そんなことは百も承知で、敢えて狙いどころは過去の中間小説と私小説へのオマージュだったのかもしれない。まあ勝手にそう思っただけだけど。それにしても。最初から、何一つ自己決定のできない(環境も許さなければ人格的にも後ろ向きな運命論者っぽい)、不幸設定満載の受というのは、水原さんにはよく出てくるのな。この直後に書かれたらしい「チャイナローズ」と、受の印象がかぶる。暗さと古臭さと湿っぽさが三拍子揃うと水原節になることがわかった。余計な設定を排することで、二人(いや三人なのかも)の結びつきだけを際立たせたかったのかもしれないけれど、次々湧いてでる疑問が何一つ解決されないまま話はすすむ。自分の疑問は例によって設定上の瑣末なことだから、本筋とは関係ないけど。読んでいると、あまりの湿っぽさに「梅雨の時期に読まなくてよかった」とさえ思った。文章が練れていて大人なところ(乾いた文体のたけうちさんとは対極にあるんだけど、両者にはまた不思議と共通点も多い気がする)は読みごたえがあるけれど、時の流れが生ぬるすぎると最初は思った。だって13で借金の形としてヤクザの親分の養子にもらわれ、その実、男妾として不能な養父のおもちゃにされていた初乃(受が女名なのはもう本当に勘弁してほしい。この一点でBLは未来永劫イロモノ徒花扱いだと思うよ)が、16で運命の植木屋と出会って18で人生のすべてを悟ったようになって……って、10代の5年はそりゃ長いかもしれないけど、ハタから見ているとたかが5年なんだよね。でもその後3~4年で、初乃の飼い主が義兄に代わり、さらに陵辱の限りを尽くされ、植木屋との逢引がばれて初乃は羞恥プレイ、一人はボコボコにされる(あ、これは養父が生きている頃ね)。ここまではね、よくある話なのよ。ふーんて感じで。でも後半、お話は一気に転がりだす。植木屋がヤクザになって戻ってきてお屋敷に仕え始め、初乃は彼が二人の誓いを忘れていないことを知る。彼が心変わりしていないというだけで、ほとんど商品同様にいろんな男になぶられるようになっていた初乃はうれしくって生きていけるとか思っちゃう。そして「いつか逃げるんだ」って。ここは19世紀の場末のサーカスですか?もうここまでくるとさ、明治時代に座敷牢に監禁されていた男の話じゃないかと思うぐらい、いいなりなんだよ。結局命をかける勇気もないってぐらい軟弱でさ。ああでもこれは某海賊BLの受と同じで、自分が耐えなければ周り(この場合は行方知らずの両親)に災いがふりかかるとか思っているんだよな。そして抱かれて鳴かされながらも、義兄の複雑な心境に思いを寄せたりするんだよね。これも重症なストックホルム症候群だな。で、攻視点からいうと、いわゆる聖域もの。そして二人はついに駆け落ちする。ここは西村京太郎の鉄道小説並みにスリリングだった(笑)。で二人は逃亡者となって山村でひっそりと暮らすんだけど、予定通り追っ手が迫ってくるんだな。私がおもしろいと思ったのは実はそこから先で、攻が撃たれ、引き離された初乃は30歳近くなるまで結局義兄に尽くすんだよ。義兄が死んだら解放してくれるって約束をしてもらっていたから。なにしろ運命の人は頭を撃たれて記憶喪失になっているらしいのでね。なんつう気の長い話だ。でもBLだからしてほどなく義兄は死んじゃうんだけどさ。ヤクザという人々の容赦のなさとか、昔かたぎの養父と経済ヤクザの義兄とか、見てみぬふりをしてくれた昔の世話係とか、仕掛けは凝ってるけど既視感あったしストーリーは割と平凡。でもやっぱり読みごたえはある。涙の堤防決壊ポイントは、義兄が死んでやっと家の呪縛から開放された初乃の行動だった。大部の作品のなかの、本当に最後の最後、終章だった。ああ水原さん、ここまでの長い道のりはここを書きたいがためだったんだなと思った。初乃はBLには珍しく、精神的に成長していくキャラだったけど(何しろ13歳から16年の歳月だから文字通り物理的にも成長している)、それが義兄の思いをも取り込んでいくので、実はこの本は三角関係の話だ。16で出会った運命の相手とは、駆け落ちするまでは数回ぐらいしか言葉も交わしていないし、身体をあわせたのもたった1度だったけど、なんでそこまで信じられるかなと思う。「自分が差し出せるものはこの淫乱な身体しかないけど、僕をここから救ってくれるのはあなただけ」というのが初乃の一貫したスタンスで、実は愛でもなんでもない。お勉強はできるけどいろいろ考えが足らない子だから、自力で逃げるためにその脳みそを使おうと思わない。死のうとも思わない。一方、義兄に毎日抱かれて酷い目にあっていても、肉欲の結びつきはそれはそれで不思議な感情を沸き立たせてしまう。つまり、ここがキーポイントな気がする。二人とも相手を信じきっているところは、打算の働く男女ではありえない純愛だけど、会えない期間のほうが長いってことは、「いつか王子様が白馬に乗って助けに来る」という思いが、現実のつらさを耐えるための護符代わりだったんだろう。信じることで義兄にも通じたその思い。なんかちょっとおめでたい思考経路だな。水原さんの力技だと思ったのは、終わってみれば結局誰も悪者じゃななかったことだ。ラストはこれまたBLでは貴重なエンディングで、読み手の想像を掻き立てる終わり方は好きだ。でも白黒ついてないと読者は暴れるな。
2009.04.24
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久しぶりの銀座ランチ。ほぼ毎日出かけているのに、行くのは官庁街ばかりでくさっていたが、やっとおっしゃれーなところでランチができた。2月くらいにも一度ランチにやってきたことのある、ニューメルサ8Fのニャーベトナム。 限定20食の懐石風ベトナムランチ1,950円也小さなフォーまでついた懐石ランチ。どこが懐石かって? 八寸のようにトレイにちまちま載っているからだな。中身は懐石とはなんら関係がない。フォーは4種類くらいから選べたので、生春巻きにも揚げ物系にもエビ満載なのに、敢えて海鮮を選ぶ。どんだけエビ好きなんだ自分。でも、半端なベトナム料理屋だとスープがぬるかったり麺がぐずぐずだったりするので、ここのフォーはまあおいしい。ロータスティーがデキャンタで出てきて飲み放題だった。しかしこれもフロアスタッフが少ないせいだ。なにしろテーブルは20席ぐらいあってお客はそこそこ入っているのにフロアに出ているスタッフが2人しかいない。銀座で求人して人が来ないわけがないので、人件費削減しているんだろう。せっかくお料理はまあまあなのに、銀座のサービスも落ちたというべきかランチごときで文句言うなというべきか。でも銀座通りに面した側の、那須の名店が入っていたお店も長いことクローズしたままだし、ニューメルサのビルも相当古いから、もしかしたら近いうちになくなっちゃうのかもしれないなあ。まもなく広尾に自宅兼のオフィスを構える予定のYちゃんと、「なんか1年前にはお互い、こんなに状況が変わるとは思わなかったねえ」としみじみ語り合う。一緒に仕事をすることはなくなったけれど、今度はお互い妙齢のシングルとして、しっかり老後に備えつつ、楽しく遊ぼうね~という結論に達するまで2時間(笑)。水曜は六時からのセミナーが銀座であったので、行きがけに山野楽器行ってやっとカプースチンが買えた。
2009.04.23
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火曜は午前中、日本青年館で仕事して、その後外苑前からテクテク表参道方向に歩いていったら、年に1回検査に行ってる眼科が入ってるビルのテナントがほぼ撤退。1階の眼鏡屋も閉店セール。ビルは新しいし、立替等の表示も出ていないから、単に不況で撤退しただけなのか? そしてもっと驚いたことに、ベルコモンズの対面のエクスボーテと、その向かいのハーゲンダッツがなくなっていた! そんな!わが青春のモニュメントがまたひとつ消えてしまった……。ハーゲンダッツが最初にできた時は衝撃だった。ホブソンズとどっちが先だったか忘れてしまったが。学生時代には何度も来たのに、ここ10数年入ったことがなかった。未来永劫あの場所にあるのかと思っていた。これから新しいフレーバーはどこで試せば? まあこの世にアイスクリームがなくても人生困らないぐらいには大人になったし、ハーゲンダッツよりおいしいアイスクリームはたくさんあるわけだが、やっぱり寂しい。なんかいろいろ甘酸っぱい思いがこみ上げてきた。セールの時期に表参道をぶらついた時も、どの店もお客は入っていなくてガラガラ、レストランはなくなっている……と不況を肌で感じたけど、20数年の歴史を刻んだハーゲンダッツの旗艦店まで撤退って、日本は本当にどうなってしまうんだろう。とか考えながら、今日は久々にYちゃんと銀座でランチしようと、数寄屋橋から晴海通りを歩いていたら、エルメスもアルマーニも相変わらずドアマン立たせて小汚い客(はっきり言おう、彼らの常識の中での「貧乏人」っぽく見える、うちのブランドにふさわしくない人)をけん制していたが、平日の昼下がりだけに客なんて人っ子一人客がいない。地価が日本一のところで、一日あたり何人の客が来るんだろう。お客さんはブランドというイメージに対価を払っていると思っているだろうけど、実際は人件費とテナント料と設備維持費を払ってるようなもんだな。あ、吉本隆明の共同幻想論を思い出した。岸田秀も似たようなこと言ってたな。銀座はどんどん新しいビルが建って、デパートも恒常的にリニューアルを繰り返していたが、松坂屋の地下2階の居心地のよい空間がまるごと無印良品に変わっていた。1階では高価なブランド品を扱い、地下では無印……。もうデパートとしてのコンセプトもプライドもかなぐり捨てた余裕のなさを感じる。メルサのレストラン街も、銀座通りに面した和食の店がずっとクローズのままだ。青山~表参道は、ヒルズやミッドタウンに客が移動してしまったのだろうけど、銀座はあの狭いエリアの中で、客は常に新しいものを求めてビルからビルへ移動しているような気がする。今は銀座通りより有楽町界隈のほうが賑やかだ。今日も夜は銀座でセミナーに出席するから、ちょっと早めに出て楽譜買うぞ~。
2009.04.22
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い、忙しい。ランチタイム取れない。本読めない。平日は移動中(といっても外出予定のある日だけ)とランチタイムが唯一読書タイムなのに、なんでこんなにせっぱつまってるんだ。多分新年度で、あちこちで重要な会議やセミナーが目白押しだからだ。昨日なんて傍聴の抽選に漏れて、6時近くに資料だけもらいにいったよ。これで記事書けってか?かといって同業者に、こっちが出られなかった会議の内容を聞くわけにいかないしなあ。締め切りのない生活に憧れて転職したのに、ニュース配信って毎日が締め切りだった。しかも新聞社を抜くことが命題だったとは。とりあえず筆が早いことを神に感謝しよう。ところで。ついに第4シーズンが終わってしまったけど、今回のプロジェクト・ランウェイはいつにも増して面白かった。クリスチャン・シリアーノの優勝は知っていたけど(だってニーナ・ガルシアとともに「アグリー・ベティ」に出てたもんな)、二位のラミ・カシュウの終始感情を表に出さない大人の対応に萌えた。すごいエレガントで洗練されたデザインをする技術をもっていて、それを褒められても「ありがとう」とシンプルな営業スマイルだけ。う~んこういう、心の読めない奴はハタから眺めている分には最高の素材だ。でもってラミにはとっくに充実したサイトがあって、2004年、まだ20代の頃から自分のコレクションをやっている、とっくに成功しているプロでもあった。それなら実力が拮抗しているなら、将来性の点で若いクリスチャンをウィナーにするのは当然だ。サイトではコレクションの映像やレッドカーペット(セレブリティのためのデザイン)もたっぷり観られた。日曜はこれで数時間無駄にしちゃったよ。プロジェクト・ランウエイの次のシーズンでは、ハイジが何着かラミのトップスやドレスを着て登場しているようだ。楽しみ~。個人的にはラミのイヴニングにあった、シフォンとシルクサテンを編みこみにしたドレスがすごく気になる。竹篭を編む技法と同じだが(笑)あんなにエレガントなドレスになるなんて驚きだ。多分テキスタイルの質感を生かす方法に長けている。でも色のセンスの悪さをマイケル・コースに指摘されてもいた。一方クリスチャンはどっちも優れているのに、着にくそうな服ばかりつくる。なにしろラミの服はどんな女性もが一度は着てみたいと思わせるゴージャスさとエレガントさがあるけれど、クリスチャンの服は見ているだけでよくて、「着てみたい」服ではない。だって座れないし動けないしBMI15ぐらいしかないスキニーなモデル以外着こなせない感じがする。でもラミも、完全オーダーでしか仕事を請けていない、つまりオートクチュールのデザイナーのようだから(まああれだけドレープ使っていたら工場生産は不可能だ)、クリスチャンもそうなるんだろうな。万人が着れる服を作るのか、特定の人のためだけにつくるのか。番組で見せてくれたのは二人とも技術的にやたらと手間のかかる服ばかりだから、選ばれた人のためのデザイナーなんだろう。あ、でもラミはどんな人のためにも一応デザインしてくれそうだけど(もちろん正当な単価を払って。1万ドルぐらいじゃ無理かな)、クリスチャンこそどちらかというとコスチュームっぽいから、着られる人が限られる気がする。あーでもクラシックでヨーロピアンなテイストが好きな自分には、今回はカジュアルが得意な人が優勝じゃなくて本当に面白かった。
2009.04.21
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土曜のレッスンで、やっとスケルツォから抜けられそうな目処がついた。あと1回で仕上げておしまい。はああ~長かった。去年の今頃はもう弾いていたはずだ。お休みもあったけど、10回ぐらいは見てもらっていることになるな。こんな長い曲、暗譜できるとは思わなかった。やればできる子だったんだな(笑)。で、8月のコンサートの話になった。超あがり症なのでステージで弾くのは避けているのに、今回執拗に勧めると思ったら、やっぱりトリフォニーホールはそう簡単に抑えられるところじゃないらしい。そしてピアノが一流ホールにひけをとらないクオリティーだから、出ておきなさいということらしい。「アルゲリッチもフジコヘミングも弾いたスタインウェイよ?」とか言われても、じゃあそのピアノで弾けば、私もアルゲリッチになれますか?ないない。「月1回レッスンだから、実質あと3回しかないですよね。仕上がっている曲しか弾けないですよ?」「バッハでもいいわよ。クロマティックかパルティータは?」(お、かなり譲歩してきた)先生的にはクロマティックを弾かせたいのはわかっているけど、あんまり好きな曲ではない。「パルティータだと、1番か2番ですかねえ。全曲無理だから、どこをはしょりますかねえ」と、このままバッハで行きそうな気配だった。1番は暗譜もできているけど、2番のほうが好きだ…とほぼパルティータを弾く気になっていた。だけど家に帰って冷静に考えてみると、せっかくスタインウェイのフルコンなのに、バッハというのはあまりにもったいない。もっとこう、ペダル使いまくりの派手な曲が弾きたくなってきた。でもステージ映えするようなレパートリーもってないよ……。とりあえず、プログラムつくる6月頭までに曲を確定することになった。レッスン終わって、次の生徒さんがまだ来ていなかったので、カプースチンの話を振ってみた。そしたら先生自身が、1番のソナタに挑戦中だった。びっくり! もしかしてものすごく流行ってる? 楽譜はそれほど入り組んでいるようにはみえない。でもざっと目を通しても頭の中で音が鳴らない。「これもジャズっぽいんですか?」「それほどでもないんだけど、弾きにくいわね」「トカティーナを弾いてみたいんですけど、楽譜ありますか?」「あんなすごいの弾けないわよ。プレリュードならあるけど」と、前奏曲の楽譜を見せてもらう。うーんどうだろう。1曲1曲は短いけど、これのどこがジャズなんだろうか。「このプレリュードのこれ(13番)、好きなのよねえ。でも弾いてみると、全然思ったとおりに弾けなくて」「やっぱりジャズだからですか?」「そうなのかしらねえ。でも即興とかないし、ぜんぶ音符になっているのよねえ。ここまで書くかって音まで」ピアノに限ってはクラシックの奏法がジャズをカバーしないことはわかっていた。一応昔、ジャズピアノも習おうとしたことがあったけど、コード進行が頭に入ってこなかった。でも弾き手に任せないで全部音になっているなら、弾いてみたいけど。ああでもトカティーナ、やっぱり難しいのか。そう言われるとますます弾いてみたくなる。
2009.04.20
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飲み会の席で、日曜の鶴見俊輔の特番の話をしながら、丸山眞男は全然知らないんだよ~そんなに偉大なの? と恥をさらしたら、マルヤマゼミ出身の教授の授業を受けたことが自慢(つまり孫弟子なわけだな)のT氏(教科書編集者)から「いや一般教養で絶対テキストになってたはずだ」と力説された。覚えてないよ、そんな昔のこと。それに私、史学科だし、そもそもあんたと学校違うじゃん……。と言おうとしたらそう顔に書いてあったらしく「鶴見俊輔は知らなくても丸山眞男は普通知ってるよなあ?」と他の3人に同意をもとめやがった。「知ってる」「知ってるだろ、普通」「私、政治学科だったから」……非常に分が悪い。すかさず反撃に出る。「私、文学部だったし。史学だし。だったらトインビーなんて知らないでしょ、史学科の常識」「知ってる」「読んだ」「基本だ」「家に全集がある」……恐れ入りました。秀才どもとはソリが合わん。丸山真男=一般常識だったとは知らなかった。なんか生きているのが恥ずかしくなる瞬間だ。自慢じゃないが、プロ野球の球団名も全部言えないぐらい(Jリーグなんてもっと知らない)新聞ネタですら疎い自分に、一般常識を質さないでほしい。なんなら私の中での常識になりつつあるめくるめくBLの世界を刷り込んでさしあげてもよろしくてよ?とかばかなことを考えながら帰宅して検索したら『丸山眞男をひっぱたきたい』という本が売れているそうじゃないか(笑)。そっちを先に読みたいぞ。見通しが明るい時代に編まれた思想を、お先真っ暗な時代に暮らす今の青年たちが読むといかに腹が立つかという話らしい(違う?)。 桜が終わるとツツジとハナミズキが咲き始める。会社のビルの植栽にはコデマリも咲いていた。黄色いのはツツジの仲間かな?
2009.04.19
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我が家の猫は今年も換毛期がやってきて、部屋中たいへんなことになっている。去年買ったファーミネーターはどこ行った! 毛狩りだ毛狩りだ!最近、トシのせいかとかく動物が死ぬやつが全然ダメになってしまった。テレビでアフリカの大自然なんて映った日には、何日も狩りができずおなかすかせたライオンを見ては泣き、そのライオンに狩られるオカピやシマウマを見ては泣く。弱肉強食は自然に叶った食物連鎖だって頭ではわかっていても、だめ。人が死ぬのは全然平気なのに。なので動物ものはネコマンガに癒しを求める。死にネタは須藤真澄さんの「長い長いさんぽ」で打ち止めにした。もう絶対読まないぞ。こないだ、菅野彰さんの何冊目かの「耳から海馬が駆けていく」を読んだら、最後の最後、あとがきに長年エッセイのネタにもしていた愛猫の最期が書かれていて、思わず読んでしまったじゃないかっ! もう翌日は目が開けられないほど腫れてしまった。なのであたりさわりのないネコものを。最近はくるねこ大和さんのがお気に入りだが、たまたま本屋に並んでいたので、久々TONOさんの「私の部屋の猫放題」と、お初作家さんの「猫もっちり」をお買い上げ。 『私の部屋の猫放題』TONO 『猫もっちり』黒娜さかき TONOさんのは、なんてタイトルだろう。猫って動詞だったのか! 90年代にはすでに「ネムキ」の表4に4コマ猫マンガを描いていたけど、この人の「独身主義」はフェミニストだからとかではなく、単にもう猫がいるから必要ないってコトなんだろうな。自分と同じだ(笑)。作中、「男と女は夫婦だっていずれ別れることがあるけど、猫とは一生添い遂げる」とかあって、思わず「そっかー!」と唸ってしまった。人間よりはるかに短い寿命の生き物だからこそ、その生殺与奪は飼い主の手にゆだねられているんだよな。話せないから便利、話せないから不便、というのも実感としてわかる。うちの子らはフィオーレちゃんみたいに噛み付いたり、超神経質だったりはしないけれど、やたらまとわりついてにゃごにゃごうるさいのと、あんまり生きることに興味がなさそうな省の細い子という正反対のが2匹いるから、均等に愛するのが難しい。どっちも分け隔てなくいとしいことには変わりはないが。「猫もっちり」はサブカル系の絵柄の作家さんだな。オールカラーで、紙質とインクの相性がいいのか、すごくいい発色具合。長毛種、冬にもふもふしたい。以前ネットで、プードルのように刈られた猫たんを見て吹いたが、この作家さんも足はソックス、尻尾はうなぎいぬのように刈っていて笑った。猫はね、本当にそばにいてくれるだけでいとしい。平日は日中、長時間留守にしても不平をいうわけでもなくおとなしくして待っていてくれるのは本当にありがたい。ただ盲目的にかわいいかわいい言ってるだけじゃない猫マンガは面白い。私も一生添い遂げるから、長生きしてくれ。
2009.04.18
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ヤマハが限りなくグランドピアノに近いハイブリッドデジピを発売、というニュースを読んだ。 デジピメーカーはこれまでも必死にアコピに近づくために開発競争にしのぎを削ってきて、ピアノタッチだの木製鍵盤だのスタインウェイ音源だのハンマーアクションがピアノとそっくりだの、山のようにあるけど、やっぱりデジピはデジピ。このハイブリッドは、そうしたこれまでのなんちゃってアコピ(実はデジピ)とどう違うのか、弾いてみたい。お披露目演奏会で仲道郁代さんが試演したそうだ。子供の頃はデジピなんてなかったから、普通に田舎でのんびりピアノを習ってきて、大人のシュミとして再開した時に、環境がアコピを許さなかったからデジピにしているだけなんだが、デジピメーカーはそろそろ、アコピとデジピは全然別のカテゴリーだって消費者にも認識させたほうがいいんじゃないのかなあ。そのためには小さいお子さんの入門を担当するピアノ講師も、考えを改める必要がある。デジピはNGなんて言ってたら生徒こなくなるぞ。アコピのほうが上、みたいなヘンなヒエラルキー形成するのはもうやめようよ。半年もやれば本当に音楽に向いているかどうかわかるだろうから、将来プロを目指すとか、音大とか親が思っているなら、その時点でゆっくりアコピにシフトすればいいじゃないか。あ、でも結局2台買うことになるのか。形にはまったく意味のないグランドタイプのデジピとか、このハイブリッドデジピなんて、100万以上するんだよな。アプライトが買えるじゃないか!アコピとデジピは多分、中華そばとインスタントラーメン、レギュラーコーヒーとインスタントコーヒーぐらい違うジャンルのものなんだから、デジピでは基本テクニック身につかないというなら、最初から一生デジピでうまくなれるようなメソッドつくればいいじゃないか。ところで今のデジピは引っ越す以前から使っている安物なので、そろそろ最新のものに換えたいな~とは思っているけど、今の鍵盤とタッチはかなり気に入っているので、残る音質トデュナーミクの幅は、アコピじゃないと無理で、そうなるとどのデジピに換えてもおんなじような気がする。かといってアコピをわざわざサイレントにするぐらいなら、良く出来たデジピのアクションやタッチのほうがまだマシなような気がする。先生のところの控え室には、古いアプライトをサイレントにしたものがあって、待っている間練習できるようになっているけど、サイレントって鍵盤の下になにかを敷き入れるらしく、どうもタッチが浅くなるのがイヤだ。このまま家での練習にはデジピを使って、仕上げにレンタルルームでアコピを弾く、というのが結局いちばんなんだろうか。 ところで自分の腕の未熟さを棚に上げまくって、いまカプースチンを弾いてみたくてたまらない。先生のところに数冊、楽譜があったのは目撃している。Op.40-3のToccatinaを、YOUTUBEでいろんな人の演奏を聞いているんだけど、よくもまあこのスピードで弾けるなあという凄腕の人もいれば、これぐらいなら自分も弾けるかもというのもある。ただし紛れもなくジャズ奏法なので、きっと自分にはあと打ちにアクセントつきまくった演奏はできないな。ルバートなんて髪の毛ほども許さない鉄壁の推進力、スリリングなスピード感と、一瞬でも手が止まったら台無しって感じはなんつうか常動曲聴いているみたいなんだが。Toccatinaってタイトルがまた。トッカータのちっちゃいの、ってぐらいの意味だろうか。ちょっとスカルラッティみたいに感じることもある。それにしてもバリ難っぽいなあ。なにしろ弱っているときに聴くと、4手で弾いているみたいに聞こえる。弾いてみたいなあ、弾けないかなあ。今度、楽譜買いに行こう。でもこういうテクニックとスピードが命、って曲は絶対男子が好きだよね。女性のカプースチン弾きっているんだろうか。そもそもカプースチンなんて、私が子供の頃には名前すら知られていなかったけど(アルカンとかもそうだった)、もともとアマチュアに弾けるような曲じゃなかったのに、どんどん自分のものにしちゃう輩が増えてきて、いつまでもロマン派から出られない自分には、なんつうか困った事態ではある。
2009.04.18
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『この世の楽園』綺月陣初綺月さんだった。見るからに痛そうな「獣」シリーズも全部ストックしているのに、よりにもよってこの本から読むこたないのに、我ながら選択を誤った気がする。魔が差したってこういうことか(笑)。ここのところ人物を横位置に配置した1枚絵に凝ってたもんだから、この本は表紙買いだった。横位置レイアウトは日高ショーコさんがうまいんだけどさ。最近増えたような気がする。そういえば朝南かつみさんのイラストもお初かもしれない。人気のある人のようだけど、カラーの肌の質感とかすごくきれいなのに、なんか、目がロンパリ(死後)っぽくて怖い。あああ~なんと言ったらいいのか。こんなに文章しっかりしているのに、こんな内容だなんてあんまりだ。つかみはよかったのよ。巨大コングロマリットの金融部門、の、お客様係(笑)。一人語り(ほぼ自慢)がウザい主人公。メガネツンデレの予感。関係企業のトップばかりが顔を揃えた席に、何の脈絡もなく呼ばれたヒラの主人公に課せられた任務とは……。しかしここから先がアホすぎた。世の中を知らないボンボンにいろんなことを教える、というのが1つめのテーマで、兄弟の葛藤(と兄だけが思っている)のがサブテーマ。なんだけどさあ、中身がさあ、これって面白い類の本なのかなあ。じゃあえろを楽しむ作品かというと、なかなかそれっぽくならず、作者入魂の3P(笑)も最後の最後でちょっとある程度で、そりゃ確かに3人つながっていたけどさ、こんなもんじゃ喜べない自分がいるし。おぼっちゃん、最初からロボットみたいで人間離れしてるし、次第に言葉遣いまでおかしくなるし。こんな隔離政策、いったいいつの時代だよ、そしてどこの国だよ! 外に連れ出すシーンもやってることが平凡だ。アウトドアぐらいで人格変わって一日であんなに成長するものか。でも珍しくて最後まで読んじゃった自分はとても寛容なんだろうな。 今時お殿様と家来、王様と奴隷、水戸黄門と助さん角さん状態のお話を楽しめるほどおとぎ話に夢見る年齢じゃない自分が悪いのか。まだ世の中を知らないナウいヤング(爆)なら楽しめるんだろうか。……あ、なんかアラブものって1作しか読んだことないけど、このジャンルも同じような気がしてきた。ある意味オヤジものと同じ、ギャップ萌え。「くるしゅうない、近う寄れ」が世間や現実や攻められることに目覚める、という。あ、アラブのミリオネアは攻なのかな?なんか、文章はまったく破綻がないのに、ストーリーも予定調和で安心できるのに、これだけ設定に無理があってキャラがありえないと、必死で書いてこの程度というのではなく、慣れすぎていて筆が走って一気書きで、とりあえず変わったものを書いてみたからよろしくね、という感じがする。だって綺月さんもすでにベテランだし、特殊設定多くて(まあ相当痛いらしい)根強いファンがいるし。とりあえずこれに懲りずに積読在庫を読まねば。もっと酷いのを書いていることは本人があとがきでバラしているから、この作品が異端だったと誰か言ってくれ!
2009.04.17
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久々ランチネタ。 会社の近所の中国茶のお店でワンプレートランチ。葉っぱだけのサラダにチャーシューと鴨のスモーク、ポテトサラダ。残念ながらこれぐらいなら自分も作れる程度の内容。だって肉なんて切っただけじゃん。そして菜っ葉ご飯の量が多すぎる。でもちっちゃなサモワールみたいな電磁ポットが備えてあって、お茶飲み放題なのがうれしい。ご飯とお茶の種類が選べて、今日はジャスミンティーを所望。プチデザートとして小さなクッキーとサンザシの実がついてくるのが好きだ。950円也。この界隈はこじゃれた店がほとんどないので、オーナーのシュミ全開のアンティーク家具と古木フローリングの店内、おしゃれな盛り付け、面倒くさい選択肢、手書きのメニュー、お茶飲み放題というのは、いかにも女子のハートを捕らえて離さないが(笑)、肝心のメニュー内容がこの程度だとすぐ飽きるよなあ。精進してくれたまへ。それにしても、会社の近所はそろそろランチネタが尽きてきた。自転車乗ってしまえば浜町~人形町~神田~秋葉原~浅草橋~柳橋~両国界隈まで遠征可能。なんなら家戻ってランチもできるがそんなことしたら仕事に戻らなくなるな、絶対。ところで。「おまえ、火曜のニュースステーションに映ってたぞ」「今朝のテレ朝でも見たよ、厚労省の会議でしょ」久々に友人たちと飲みにいったら第一声がこれだった。昨日の社内ミーティングでも事務の女の子に言われたな。がーん……ミイラ取りがミイラになっちゃってたらしい……。おいテレ朝よ、記者席映すなんてサイテーだな。大映しになっていたわけでもないのに、自分を知ってる複数の人間から、会議の席を取材している記者団のなかで目立ちまくっていたとの指摘をいただいた。そんな一目で自分と認識されるって超恥ずかしい。ひっそりと生きてきたのに、地味なカッコして行ったのになんでっ? 周囲が一眼レフだったのにバカチョンデジカメだったから? ボトムがジーンズだったから? んなこと言ったらテレビ局のクルーは全員ジーンズだったぞ。久々に官庁取材に復帰したもんだから、どうもKYになっているみたいだ。き、きをつけよう……。ところで、ニュースステーション観られる時間に帰れるあんたたちがうらやましいぞ。
2009.04.16
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昨日、久々にわかりやすい偏頭痛に襲われ、吐き気までしてきたので7時に仕事を引けて、近所の内科に行って処方箋を書いてもらう。夜間診療している近所の内科をネットで探して電話をしたら「完全予約制」とのことで、ある程度の情報を伝えておいて8時ちょっと前に行ったら、先刻承知のような顔をした医師が待っていた。「はいはい、偏頭痛ですって?」「はい。コーヒー飲んだらとたんにせん光が走って目が開けられなくなって、その後ここのあたりが」と左眼窩を抑える。「コーヒーね……」と頷きながらずっとカタカタとキーボードを打っている医者。「チョコレートは食べてませんね?」「笑。食べてません」(チョコや刺激物が誘因物質になることがある)「以前もなったことがあるんですね? クスリはなにを飲んでいたか覚えていますか?」「イミグランです」「イミグラン、と」(カタカタカタ…)「吐き気までしてきて、今もそのPC打つ音が頭に響くんですけど」「そりゃ大変だ。高い薬だけど、何錠出しますか?」「6錠で1シートなので、それで」「わかりました。下の薬局、まだ開いてますから。お大事に」以上、問診だけで初診終わり。この間およそ2分。簡単だ。患者主導の処方箋発行。いいのか?これが「眠れなくて幻覚が見えていらいらするのでハルシオンをください」「はいはい、何錠出しますか?」て会話も成り立ったら怖い。でもついでにソラナックスとマイスリーも出してもらうんだった(笑)。処方箋と領収書のほかになにやらプリントアウトした用紙をくれたので目を通したら、診察内容(つまり医師が打っていたカルテの内容)が全部打ち出されたものだった。「主訴:コーヒーを飲んだら旋光が走りました」って、バカみたいじゃね? まあわかりやすくていいけどさ。次からは「偏頭痛の誘発原因のひとつと思われるカフェインを摂取したところ、たちどころに旋光がはしり、それが30分ほど続き、やがて左眼窩奥に痛みを感じ嘔吐感も発生し仕事に支障をきたした」と棒読みしてやるから速攻打ち込んでくれ。しかし最近の病院は医療過誤を恐れてここまでするのか>証拠残し。ついでに、夜間診療加算50点、電子化加算3点。PC使って1人30円か(患者負担10円)。夜間診療を標榜しておきながら、500円(患者負担約170円)余計に取られることをHPに記載しないのは表記義務違反じゃないの? 完全電子カルテ化にすると、設備対応できなくて(ついでに電子化に自らが対応できなくて)廃業する医者がいっぱい出てくるから日本医師会は反対してるって記事を書いたばかりだったが、都心の病院に関してはそんなことは天地がひっくりかえってもありえないな。儲かる方法をよくご存知だ。クスリ飲んでもしばらくは吐き気収まらずお腹までなにやらじんわり痛かったけど、1時間ぐらいしたら痛みが治まって、久々にイミグラン飲んだもんだからねむくなって、昨日は珍しく日付が変わる前に床に着いた。いや本当に教科書どおりの前兆と症状だったな。なんか先週のプチぎっくり腰といい偏頭痛といい、やっぱり環境変わったことで多少身体がストレス感じているのかもしれないなあ。年をとるとさ、表面的には合わせられても身体が馴染むまでに時間がかかるんだよな。 月曜、厚労省の帰りに日比谷公園で油を売ろうと日比谷図書館行ったら、移転のため閉館してた。いつのまに!この場所に図書館がないとなにかと不便だよ……。霞門付近に池があるのを初めて知った。春っぽくない景観が美しかった。
2009.04.15
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『観賞用愛人』高遠琉加あー面白かった。これはよい監禁。久しぶりにきれいなものを読ませてもらった。BLとは思えない読後感。今まで読んだ高遠さんの作品と決定的に違うのは、「僕」語りの一人称じゃなかったところだ。こういうのが読みたかった。場面転換のうまさは天下一品だな。なんというか、空気が変わる感じが文章からわかる。慣用的表現のうまさにもうならされる。なにより、先の読めない展開なのがスリリングだった。不能の美形植物学者(PTSD持ち?)×刹那的に生きている美形大学生(ほぼノンケ)でも襲い受け。こんなに受動的な攻は初めてだな。観賞用愛人というタイトルにも静謐さというか、スチール写真みたいな時間が止まった感覚を覚えるけど、それは俗世から切り離されて真冬の別荘に閉じ込められている二人にぴったり。鑑賞されている受より、鑑賞するために拉致監禁して鎖で繋いだ攻のほうがよほど鑑賞物にふさわしい造形というのもいい具合に矛盾していて合わせ鏡みたいでよかった。なんかエッシャーのだまし絵見ているような感覚。キャラの色づけ具合が、過剰すぎず物足りなくもなく、本当にいい引き具合。どちらも好みだ。今回のキャラでいうと常に動的な受は、やんちゃ系というか言葉遣いも遊び方も乱れているのに、頭がいいから監禁されているうちにいろいろ考えて仕掛けを施す。これがラストのびっくり展開のきっかけにもなるんだが、この小道具(小さな水晶玉)が出てたのはかなり最初のほうだったし、こんな小さいものをどうやって武器にするんだと思っていた自分には、「そうかこういう使い方もあった!」と、そのバリエーションの豊富さに驚いたり。攻めは本能だけで動いている受に自分にないものを見出して次第に魅かれはじめて、トラウマであるはずの自らの経験を受を視点から読者に披露してみせるというトリッキーな構成にうなった。受だって、最初はノンケの女たらしだし、本来だったら気取っているだけのように見える攻のような人種とは接点がないはずなのに、実は最初の出会いから恋に落ちている、というのがかなり後半になって明らかになる。なんだかどれひとつとして推測不能な構成になっているのがたまらなくスリリングだった。いや、慎重に読めば、顔の傷とかあらかじめ用意してある足枷と鎖とか、それらが意味するところを推測することはできたけど、どうも今回そうならなかった。攻の濃紺の瞳(そんなのあるのか?)とか植物学の准教授でありながら世界的宝飾メーカーの御曹司で役員にもなっているとか、そういうありがちなBL的要素のほうに気をとられてしまった。まんまとひっかっかった感じかなあ。監禁されていた受くんは、最初こそ抵抗するけど何度も逃げる気になれば逃げられたのに、第三者(社長秘書)の登場あたりから攻の過去について興味を持ち始め、挙句「もう開放してやる」と言われたにもかかわらず、クライマックスで雪の中、引き返してくる。抵抗の仕方が例によって受容段階説を踏襲していて、説得力がある。どうして攻がこんなことをするのか考えるうちに、攻こそが自分で自分を監禁していることに気づいてしまった受くん。えええ~という事実が明らかになった瞬間は、なんだっけ、そうそう、森博嗣の「そして二人だけになった」を読んだ時のような、一種奈落に突き落とされる感覚を味わった。歯が浮くような恥ずかしい台詞も、この異常空間のなかでは一つ一つが実によくはまっていた。受けの「責任とってもらおうか」って台詞に思わずドキドキしてしまった。ここが起承転結の「転」。なんどもいうけど場面転換が実にうまい作家さんだ。なにより監禁されているほうが上手に出ていて、鑑賞している攻のほうが強い意志がない分弱者に見えるという不思議な関係性に萌えた。簡単に言えば、襲ったほうがMで襲われたほうがSだったという。表面的には理不尽な行動なのに、その理由がちゃんと語られる安心感。予定調和の美しさ。別荘でのエピソードはずっと夢の中のことのように霞の向こうで展開されているのに、不意に「慰謝料」と郵便配達と駅が出てきて現実に引き戻される感覚にめまいがしそうだった。ほんのちょっとでもさじ加減を間違うと、荒唐無稽な展開になるのに、順列組み合わせとボリュームの配分が絶妙。なにより痛い話なのにノーブルさが漂うってのがすごい。あ、なんかホメすぎたな。高遠さんって理系脳なのかな。ちょっとたけうちりうとさんに共通のものを感じた。北畠あけ乃さんのイラストも美しくて、人形めいた美しさの二人が静謐な感じに描かれていて好みだった。願わくばもっと引いた絵がほしかった。それと個人的には、攻を子供の頃から見守ってきた社長秘書・行成の造形が見たかった。こういう、思いを秘めているのに一切行動に出ないストイックなキャラはツボだ。所詮執事好きの性だが。なんかね、色使いとか、そのキャラにあった小物の配置やポーズを考えられるのって、センスの問題なんだなあと思う。
2009.04.14
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ETV特集で鶴見俊輔氏の特集番組を観ていた。お元気そうでなにより。鶴見和子・俊輔姉弟は、著作はあまり読んでないのになぜか昔から縁がある。学生時代は鶴見和子先生の講義を受けていた。その頃はまだ自分は歴史から出られなくて、比較社会学は蚊帳の外だったが、熊楠や柳田國男は和子先生の本で学んだ。鶴見俊輔氏は『思想の科学』をやっていた頃、たまたま友人がここの編集者をしていたので、この良心的な雑誌の晩年の時期(もう愛しすぎて擬人化)、映画の特集のときに2、3度原稿を書かせてもらったことがあった。発起人が鶴見姉弟、丸山眞男、都留重人、久野収と、今考えるとものすごいメンバーだったが、プラグマティズムのプの字も理解しない私には、「名前だけは知っているお偉い学者さんたち」でしかなかった。しかし後年、都留さんや丸山さんが亡くなった時に、ジャーナリズムに身を置く友人たちがショックを隠せない様子だったので、まじめに勉強してきた人々にとっては大きな存在だったのだと知る。あいにく私は政治学にも経済学にも興味がなかったので、彼らの偉大さが実感としてわからないのが残念だ。読めるうちに著作を読んでおくんだった。今の脳みそではもう理解できないだろう。俊輔氏は一代で伯爵にまで成り上がった後藤新平の外孫に当たる。後藤家で書生をしていた鶴見祐輔が新平の娘の愛子さんと結婚したことで、祐輔は代議士として立つための大きな後ろ盾を得る。でも後藤家には別に血縁だった椎名家をバックアップしていたから、鶴見家はその後学者の一族として名を成していく。なんかうちも遠縁に当たるというのを昔、祖母から聞いたことがあるが、婿養子の父は知らないようだからガセかもしれない。どうせ新平の生家が近かったので交流があったぐらいなのではないか。それにしても実家には昔から鶴見一族の著作がたくさんあった。誰も読んでないみたいだったが(笑)。そういえば、星製薬の創業者は後藤新平の薫陶を受け、なにかとバックアップしてもらったらしく、その後、SF作家となった息子の新一さんはよく新平の話をしていた。たびたび郷里に講演に来てくれ、我が家に食事に訪れた時にサインももらったが、当時すでにショートショートのファンだった小学生の私に何度か手紙(はがき)をくれたことがあった。後藤家とはずっと血縁なのかと思っていたけど、そうではないらしい。鶴見姉弟の母は聡明すぎてストイックだったから、名家に生まれたことを堕落と捉えていたようだ。旧家のボンボンが共産主義に走る米原万里さんのお父さんを思い出した。こういう生き方にはちょっと憧れていて、G・オーウェルも幾分似ていると思う。「思想の科学」の頃は、すでに好々爺然としていた俊輔氏だったから、戦前のハーバードですんごい秀才だったことを知ってびっくりした。ハーバード行く前は、親を困らせるために万引きして警察につかまったりと、結構やんちゃだったらしいが。結局は恵まれすぎていることに対する反発で、母親がやりたかったことを具現化させていたのかもしれない。昭和初期に海外留学できること自体選民であったわけだが、その後、自ら下の階層に降りてきて、権力に抵抗することを自らの使命とした。番組で俊輔氏は何度も「人民の記憶」という言葉を口にしていた。この人は哲学者のはずだが、社会学も経済学も歴史学もすべてを飲み込んだところに立脚して、過去から未来まで見通そうとしているところがすごい。ベ平連の人寄せパンダに小田実を指名したのが俊輔氏だったことも、この番組で初めて知った。番組の対話のなかで、87歳の今でも普通に英語の慣用句が口をついて出てくるのがすごい。学者はやっぱり一生勉強なんだな。和子先生の思い出を語るときに、最晩年の美しい写真が大写しになって泣きそうになった。和子先生が倒れられてからは、私は多田富雄さんとの往復書簡を読んでいた。そして「病に貴賎なし」を恨めしく思った。私なんかは病気になってすぐに死んでも全然かまわないが、優れた頭脳が思考する妨げになるから、こういう人たちには病気はとりつかないでほしい。俊輔氏、見た目はあんまり鋭そうな感じは受けないんだが、これは育ちのいい人たちに共通の雰囲気だな。自ら市民運動に降りてきちゃったから、丸山真男氏のような盲目的な信者はいないのかもしれないけれど、昭和の記憶として私たちは彼の仕事を覚えておく必要があるのかもしれない。 著作は多すぎて、どれから手をつけていいのかわからない。高野長英の評伝を書いていたのは意外だった。新平の大叔父とかに当たるはずだ。つまり血縁ってことだね。番組に登場していた直販オンリーの『悼詞』を手に入れて読みたくなった。
2009.04.13
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『櫻狩り』(中)渡瀬悠宇これも「大奥」と同じで、年1回刊行なのね。作者入魂の作は読み手にも覚悟を強いるので、2巻目も早々に手に入れていたのになかなか手を出せずにいた。上巻から読み直さないと、どれぐらいどろどろした話だったか忘れていたし、なんだか小説読む以上に疲れそうな気がする。関係ないけど、今時贅沢な上製本で1000円というのは安いぐらいかもしれない。今回ふと気になってカバー外してみたら、桜の意匠と飾り罫とタイトルの一部がエンボス仕様で、インクは金だった。見えないところになんて贅沢なことしてんだ! 渡瀬さん、大事にされてるなあ。私なんかいまだに、王道少女漫画の「ふしぎ遊戯」の人がこんなの描いちゃったことに違和感覚えるけど。でも当時リアルタイムで読んでいた読者も、この作品を受け入れられるぐらいには大人になっているという読みもあったにちがいない。今時、他の追随も許さない緻密な世界観で、サブカルチャーとしてでなく、文芸としての漫画の可能性を広げてくれるお話だと思う。そして、たまたま淫乱であることを隠さない主人と書生ができちゃう話になっただけで、これはやっぱりBLではない。自分的には耽美だと思っているけど、作者さんはそういう認識もないのかなあ。あとがきに「調べてみたらゲイもBLも男色も衆道も全部違うものだった」とかあって、わざわざ調べたのか、凝り性だなと思ったけど、それぐらい自覚なくこんなハードな話を描いてしまったことに驚く。今回は書生くんがかなり酷い目に遭っていて痛々しかったけど、ご主人も自殺未遂諮っちゃうし、どうやらあの幽閉されていたアルビノの美少女が諸悪の根源のような気がしてきた。上巻で、先輩書生が丸焼けになって死亡する事件と引き換えに、彼女が蔵から出てきたことで、駒が揃って運命の歯車が回りだしたということなんだろう。絵は一コマたりとも手を抜かずびっしり描き込んでいるし、白黒のコントラストにも配慮して幻想的な絵柄にしようとしているけど、やっぱりもとは王道少女漫画の人だから、酷い陵辱シーンやスプラッタシーンも、なんかかわいらしく見えてしまうのは、私の目が腐りすぎですか?ミステリ要素が強くなってきたけど、でもこの先のエピソードはある程度予測できちゃう。これまで相手がほうっておかなくて成り行きで身を任せてきた主人が、初めて自分から執着したのが書生くんなわけね。だから彼に手を出すものは許さない。下巻の冒頭では、自分に男を受け入れてくれることを教えてくれた主治医を手に掛けるんだろう。ぐずぐずにもう半ば狂っている主人に比べ、どんなに酷いことをされても精神がゆるぎない書生くんが、主人の魂を救う、救済の話になるのかな。少なくとも妄執はあっても愛を描いた話ではないからBLとは言えないかも。シーンの構成が、まるで映画のようだ。これほど映画を意識して作られたコマ割りというのも、なかなかお目にかかれない。主人が子供の頃、あの桜の木の下でなにがあったのか。連続するコマのなかで1つだけ子供の頃の顔に変わっていたりすることで、読者にそれを喚起させる。こういう凝った仕掛けは大好きだ。でも、ある程度読解力が必要だから、きっとわかる人にしかわからない。相当資料集めて読み込んで、自分を大正時代に追いやって描いていたらしいので、読んでいても、今、現代に生きる人が描いた作品とは思えない。大正時代の人が描いたお話のように思える。その時点で、作者の意図は伝わって作品としての成功を保証している気がする。複雑な人格で一番心が乱れているのは主人だけど、まっすぐな心の書生くんがこれを救う話。なんか文学にたとえると志賀直哉っぽい。
2009.04.12
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会社が変わろうとも自分の仕事はあまり変わらないはずだったが、どうも周囲の認識が違うらしく、「専門分野の編集者を引き抜いた」「キャリア入社」ということになっていた。ち、ちがうよ~。確かに仲介の入ったヘッドハンティングではあった。でも自分は職人ですから~。今日だってちゃんと取材に出たじゃないか。毎日原稿書いているじゃないか~。そんな引かないでよ~。周囲に出版出身の人間がいないと、こういうことになるのか。ちょっとびっくり。みんな能力あるらしいのに、おそるおそる仕事していて、はっきり言ってやりにくい。まだ転職して2週間目だけど、自分の業務はサイト運営のニュース配信と広告制作が主なので毎日膨大な量の情報に目を通しつつ該当記事の裏をとって原稿を書く。取材行って特集記事を書く。クライアントの面倒な折衝に当たる、ぐらいがメイン業務なのかな。あとは他部署との連携が、出版とは工程が違うのでちょっと戸惑う。相変わらず会議やミーティングは多いが、アジェンダもなかった以前の職場に比べれば、ずっと効率的で無駄がない。サイト運営というのはインプレッション=金なので、自分の書いた記事そのものは金を産まなくても、どれだけ人を集められるかが広告収入を左右するという現実が毎日手に取るようにわかるのが恐ろしくもモチベーションにつながる。コアターゲットすら絞りきれない(というかニーズがあっても購買力につながらない)人を相手にしていた以前に比べれば、まさにネットの海でユーザーが口あけて待っている状態なのがわかる。その分、質と量を維持する任務が自分には課せられているんだけど、今のところは面白い。元がお堅い制度がらみの資格職専用サイトなので、取材先は勢い省庁関係ばっかりになるのは予想はしていたけど、ちょっと読みが甘かった。金曜も経産省の長ったらしい名前の部署に行ってきたが、来週なんて3日も厚労省に行かねばならない。これが面倒くさくてイヤ(笑)。行けば知っている顔だらけで、転職したこと伝えていない人もいるから、「なんで俺には教えない」とかいう奴が絶対いるし。長い会議の傍聴は眠くなるし。しばらく傍聴系の取材はスルーしていたので、長時間じっとしていることに耐えられるかどうか不安だ(笑)。もうちょっと、こう、華のある場所に行けないものかね(ないない)。経産省の役人は頭をワックスでとんがらせたいまどきのあんちゃんだったが、これで課長補佐だからバリバリキャリアなんだな。最近の若者は見た目と中身のギャップが激しい。しかし経産省だけでは動きのとれないジャンルの規格認証がテーマだったので、ユーザーレベルの話題に関してはこっちが上手と知るや、いきなり泣きが入って面白かった。「勘弁してくださいよ~これでも毎週消費者団体からしかられているんですよ~」。ふふふん役人をいじめるのは楽しいぞ。霞ヶ関の合同庁舎前(日比谷公園霞門あたり)の枝垂れ桜。ソメイヨシノは葉が出てきてそろそろ散りかけだけど、枝垂れは今が満開だった。久々に座り込みの抗議行動している人たちを目にした。市民運動に興味がない自分にはまったくもって理解不能な行動原理で動いている人々。申し訳ない。……また厚労省の入っている合同庁舎のサブウェイでランチする日々が戻ってくるのか…それもなんかヤだ。
2009.04.11
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この春からのアニメにもいくつか気になる作品があるので、とりあえずハードディスクに録画しておいて時間をみつけて見ているんだが。オノナツメさんの「リストランテ・パラディーゾ」がまさかアニメになるとは思いもしなかった。あの絵が動くというのが想像できなかった。でも1回目を観てみたら、極限までデフォルメされたコミックスより造形その他もろもろ鑑みても、いい出来のアニメのような気がする。なにより老眼鏡のカメリエーレがみんないい。原作はオノナツメ名義だから、本義的にはBLじゃないけど、限りなくBLに近いよね。最初に読んだときは、老眼鏡のミドルエイジ以上の男性てんこ盛りで、現実にはいないウブでやさしい男どもに激萌えしたっけ。カラーのセンスのよさも、後に作者がイタリア留学経験者だったことを知って納得したんだった。ク、クラウディオの声は誰? ―山野井仁さんかあ。男性人、渋いラインナップだな。今「モーニングツー」でやっているNYPDものや時代劇はいまひとつ面白くないのが残念だし、basso名義のBLに至っては全然面白くないんだが(笑)、このアニメは初老の眼鏡(ただし老眼)男子を観ているだけで幸せな気分に浸れる。ああ、そうか。「リストランテ~」の頃(というかこの作品)は、今ほどデフォルメきつくなくて頭身高かったんだな。アニメの色彩設計はちょっとどぎつくて下品なのが残念。BSでは2クール放映した「タイタニア」が期待していたのに全然面白くなくて、結局キャラ目立ちしただけのクソアニメ(失礼!)だったことに失望した。薬師寺涼子は一応ヒットしたのかな。どうも田中芳樹作品のアニメは原作ほどには出来がよくなくて、電波で流しても誰もついてこない気がする。熱心な好事家だけがソフトを買ってみるタイプの作品だ。音消して映像だけ眺めていた「タイタニア」が終わって、春からはなぜか樹なつみの「花咲ける青少年」と「グイン・サーガ」ときた。もうNHKが放映するアニメは、どの製作会社の製作であろうと一切期待できないと悟ったが(唯一面白いと思った「SAMURAI7」に至っては、ほとんど話題にすらならなかった)、今回も樹さんのはアニメになってみると子供っぽすぎるというかテイストが20年くらい前のセンスだった。まあこれは原作自体それぐらい前の作品だからいたし方ないのか。原作、読んでいるはずだけど、全然覚えていないなあ。いかにも少女漫画らしい、美男てんこ盛りのかぐや姫の婿選び状態だっけ? 萌えがあるとしたら、花婿候補が出揃ったあたりか。でも1回目を見た限りでは、これ以上はさすがに恥ずかしくて見続けていられない感じだ。帝王は久々王道の美男役だった。彩雲国のとかぶるな。グインにいたってはいまさらな感じは否めないけど、作者の具合があまりよくないことを慮っての大判振る舞いか。先行プロモ番組でチラッと栗本さんが登場していたけど、さすがに痩せられていた。2年位前に、改めて冒頭部分がコミックスになっていたようだけど、驚いたことにアニメのキャラ原案は皇なつきさんだった。でも全然ちがうけどな。デジタルであろうと手書きであろうと、面相筆で描く皇さんの主線をアニメ塗りで再現できるものか。まあどうせ造形だけをいただこうという魂胆なんだろうけど、全然どこにも皇さんらしさがないんだ。ちょっとびっくりちょっとがっかりな人選だ。エンドロールに今後登場するキャラが出てきて、ナリスも酷いがアムネリスもイシュトもなんじゃこりゃって造形になっていて、なんか最初からこの先見続けるモチベーションを削いでくれる。それともグインをまったく知らない15歳未満の青少年向けなのかもしれない。ナリスに耽美な夢を託して読んでいた時期があったが、あのアニメ絵ではまったく萌えられない。残念。あとは原作ファンだったので「蒼天航路」、そしてゲームからのマルチメディア展開で「戦国BASARA」。前者はまだ未見だけど、後者は声優陣が無駄に豪華。ゲームと同じなのかな。ちょっと前に放映していた「鋼鉄三国志」(だっけ?)とか連想しちゃう。桜井くんのヘンにアホなテンションの高さについていけない。戦国武将は今は歴女たちにも人気のようだが、この時代はパスの自分は観ないかもしれない……。 「パンドラハーツ」と羽海野チカさんがキャラデを担当した「東のエデン」も気になる。声優さんは久々にアニメで堀内大明神が帰ってきた気がする。なにしろグイン……。あとは主役はないけどなんにでも福山くんの声が聞こえる(笑)。 画像をリンクからもってこようと思ったら、オノさんのが「クラウディオと同じ形の眼鏡」作って売ってるメーカーがあって爆笑した。なんつうコアな戦略なんだ。グインはDVDのほうが先行してお話進んでるんだな。なんだかなあ。
2009.04.10
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5年間一緒に仕事をして、プライベートでも旅行に行ったり仲良くしていたアートディレクターのYさんが、ついにSOHOにするとメールがきた。これまで南青山にオフィスを構え、自宅は広尾という絵に描いたようなおっしゃれーな環境だったが、現在の住まいの隣に広いマンションを借りられたらしく、その一室をオフィスにするという。部屋から有栖川公園の桜が見える場所。相変わらず「買う」という選択肢はないらしい。いいなー広尾。おいしいお店がいっぱいある。明治屋もある。西麻布や六本木まで歩いていける。でも生活費はすんごくかかりそうだ。今の明治屋の入っているビルがまだ古い建物だった頃から広尾は好きな街だった。小さなレコードショップ(しかもラテン専門とか、ジャズ専門とか細分化されていた)がたくさんあったし、裏通りには昔ながらの商店街があったり、外国人が多く暮らすHOMATとよばれる高級マンションがあるかと思えば、つたの絡まる古い洋館があったりした。なにより客層に統一感があってガサガサしていない。それを気取っているととるか、落ち着いているととるかは判断が難しいが、少なくとも公共の場で自我をむき出しにしない程度の節度は必要だと思っている自分には居心地がいい場所だ。いまは開発が進んじゃってだいぶ変わってしまったけど、そういえばあの外苑東通り沿いにはモルモン教の日本支部「末日聖徒イエスキリスト協会」があったり、聖心女子とか順心女子とかのお嬢様学校がある。昔、順心に取材にいったら、中学からフランス語の授業があったりして、高校まで田舎の公立校だった自分には少女漫画の世界だったよ。そういや阿川佐和子さんは東洋英和だし、今は亡き夏目雅子さんは東京女学館出身だ。どっちも六本木だ広尾だって東京のど真ん中にあるなあ。あんなとこでお嬢様教育が可能なんだろうか。有栖川公園側にはナショナル麻布マーケットがあり、米軍専用の宿舎やホテルがあり、私は疎いけど、よくプロ野球のガイジン選手がおしゃれなベビーカーに子供乗せて買物に来ていたのを見た。そういや村上隆がアラブ人っぽい人とカフェでお茶していたのも、隣の席で間近に目撃したことがある。よく忘年会とかで使っていた今はなくなってしまった香港ガーデンや男性ストリップやっていたクラブとかもあったし、その裏側の高級マンションには伊達公子とミハエル・クルムが住んでいて一緒に買物しているのも見たぞ。日赤も広尾病院も近いし、案外暮らしやすい街なのかもしれないなあ。お金さえあれば(笑)。そんな広尾で、一切自炊をせず10年以上暮らしているYちゃん、いったい年収いくらなんだ……。アシスタントも使わずに一人でデザイン事務所やって、家賃の高い場所にオフィス構えてたら経費だけでも相当だろう……。字書きとビジュアル担当では経費の考え方に大きな溝があるような気がする。で、Yちゃんに「引越し、手伝うよ~」とメールしたら「重いものもてない人は来なくていい」とお断りされた。ごもっとも。
2009.04.09
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ネタがないので、撮ったまま死蔵していた食べ物画像を。ところが、いつ撮ったのかはデータに残っているけど、どこで食べたか思い出せない…。この謎のデザート、食べた記憶がない。だってなんかフルーツとかパンナコッタ風のが浮かんでいるのに、撮った時間が深夜12時近いんだよね。酔っ払ってて覚えてないのか?それからこれも、謎のエビフライ。この日は会社の健康診断だったような。なのにエビフライ…。エビ好きだけどフライ好きではないので、エビフライは年に1、2回食べるか食べないかなのに、覚えてないなんて…。
2009.04.08
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『スキャンダル』(上)(下)水壬楓子こういう話だったのか…『スキャンダル』って。水壬さんにはまりたての3年前くらいに、旧版は手に入れていた。割と状態もきれいな本だったけどイラストに拒否反応があって読めなかった。なにしろ出てくる人物がみんなヘンなタカラヅカみたいだったし、あの当時のコアブックス(バニラ新書?)って、なんであんなヘンテコなレイアウトにしていたんだろう。見開き上半分がイラストだったり、画面を横断して斜めにイラストが配置されていて、文章が回りこみになっていたり。読みにくいったらありゃしない。で、当時からの熱いファンも多いようで、ほぼ10年ぶりくらいに復刊されたわけね。最近、90年代に発行されたBL作品の復刊が相次いでいるけど、水壬さんの作品での復刊って初めてかな? 当時と今では社会状況が違うので、いろいろタブーな部分を改稿しているらしい。それで、珍しく作家さん自身があとがきで旧版との違いやら改稿に至った経緯を事細かに書いていた。弁解とも釈明とも編集への不満ともとられるけど、まあ、いろいろあるんだろう。上下巻で2段組だったけど、1段16行とちょっと組版タイトだったので、ザザッと読めた。ていうか水壬さんの文体に慣れ過ぎていて、初めて読むにもかかわらず先が読めちゃって、「あ~やっぱりこうなるか」の連続だったので、あんまりハラハラどきどきしなかった(笑)。少年がひどい扱いを受ける相当に痛ましいお話なんだけど、ああちょっと昔の話だなあと思えるのは、やっぱり孤児院、生まれてこなければよかった子供、人間失格な実父、体を買われるとか、負の要素てんこ盛りな生い立ち。こういうのも「お金がないっ!」みたいなコメディにしちゃえば笑えるんだけど、シリアスで、ファンタジー設定じゃないのに、これだけ悲惨な設定にしたらやっぱりライトなものばかり読んでいる人は引くだろうなあ。あ、「コルセーア」は別よ。あれはファンタジーだから(笑)。で、初版では14歳の中坊だった受は、復刊では15歳に成長。中学生じゃ倫理コードがひっかかるわけね。そして一部ファンからは「きゃああやめてえ」と非難轟々らしいレ○プシーン。水壬さん、たしか「ファイナルカット」「ラブシーン」でも似たようなシーン書いてファンをドン引きさせていたな。いや、私は全然平気だけど。むしろこのぐらいの試練を与えないと、幸せはやってこないんだから、受は徹底的に悲惨な目に遭ってくれたまえ(鬼畜)。どうやら水壬さんのなかにはふわふわファンタジーを書く白水壬と鬼畜設定を書ける黒水壬がいるらしい。引き出し多いなあ。同じ「痛い」話でも、木原さんとの違いはなんだろう。どっちもストンと腑に落ちる愛の力はあるのよ。で、水壬さんはあくまでエンタテイメントの人だけど、木原さんはそうじゃない。どこがそうじゃないかはまだまとまらないけど。あと本編にはまったく関係ないけど、登場人物の名前を変えたらしくて、これは幻冬舎のHPで水壬さんがコメントしてたけど、ついうっかり友人だか勤め人時代の同僚の名前を使っちゃったからなんだろうな。10年ぶりに罪滅ぼし(笑)。冒頭からドラマティックな展開が続いて「こんなのあり?」の連発、涙腺押されるシーンもたくさんあるんだけど、やっぱり重さというか、読了後も後引く感じがなかった。多分、ヤクザやアラブだと、世界が遠すぎて妄想の余地があるけど、政治だと近すぎるせいもあって、うそが透けてみえる自分のせいだ。なにしろ親が某議員の地元の後援会長だったから、子供の頃は近くで遊説の度に学校を休まされて着物着せられて花束贈呈役をやらされていたからな。ヤなんだよ、ああいう体裁ばっかりの世界。たぶんまだ選挙権がなかったりするお嬢さんたちには面白いかもしれない。キャラは今もファンがたくさんいて、同人誌でもSS書いたりする人たちなので、初めて読む気がしないけど、なかでは偽装結婚している攻夫婦の妻がなかなかいい味出している。BLで女性を当て馬だったり小賢しい憎まれ役でなく、結構キーパーソンで「いいやつ」として配置するのも水壬さんの得意技だな。下巻についてた中篇「プロローグ」は、本編で拉致監禁陵辱を受けていた高校生を救うきっかけをつくった大物政治家とそのSPみたいな警察官の年の差ラブのお話。本編でも後半、すべてを見越した上で、相当えげつない行為を攻にさせていて、なんつう食えないオヤジ…と思っていたけど、やっぱりこいつは超ド級のクソでタヌキでエロいジジイだった。や、クソは強調を表す接頭語で、タヌキもエロも褒め言葉なんだけど。ああ、この二人か、いまだに人気のあるオヤジカップルは。50代×30代かあ。リアルだなあ(笑)。イラストでは、出会った頃の42歳くらいの攻が描かれていたけど、40代の政治家って、いまはもっと若々しいよねえ。あれじゃ経済ヤクザか水商売のシャチョさんみたいだよ。どうもBLは読者の年齢層が若いせいか、30代以上のイラストが見た目一回りくらい上に見えるようにしている気がする。そして水壬さんの、脇キャラが昇格して次の話につながるというスピンオフスパイラルは、すでにこの頃からあったことがわかった。読み終わってから、どのぐらい改稿しているのか確認したくて、旧版をザッと流し読みしたら、編集から削ってくれと懇願されたシーンはあれだった(笑)。と~ちゃん……。そしてエピソードが前後していたり、旧版では短編だったお話をバラして本編と合体させたりと、換骨奪胎してて、なかなか面倒なことをやっていた。15、6歳であれだけ酷い目に遭うと、大概どこか精神歪んじゃいそうだけど、トランク入れられてアメリカに誘拐されそうになったほど乱暴に扱われても、その後、体が拒否したのは1日だけで、翌日には養父にして体を提供する契約で受を引き取った攻の体当たりセラピ(笑)で、あっというまに立ち直る。若いねえ。そしてさすがBLだねえ。いやいやいや、ちゃんとそこにはラブがあるのよ! どっちもあるのに伝え方が間違っていただけなんだよ!全体としては面白かったけど、2冊分のボリューム分楽しめたかというと微妙。イラストは最近画力が落ちていると感じる高座さん。表紙からして攻のスーツの肩がヘンですよ……受は顔が小動物みたいで右手はお釈迦様みたいに膝までありますよ……(涙)。高座さん、裸は得意だけど着衣は苦手なのかなあ。
2009.04.07
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『日曜日に生まれた子供』紺野キタ紺野キタさんは、『SALVA ME』が初読みで、昔から知っている作家さんではないけど、独特の感性と絵柄が大好き。BLかというと微妙だし、女学校ものとかファンタジーも描いていて、10代の少年少女がちゃんと成長していく話が多い。こんなふうに、力んでない自然な線で実に自由にいろいろな年代のキャラクターを描けるのは、地味めではあるけれど相当力のある人なんだと思う。そろそろ同人誌も読みたくなってきた。今回はタイトルからしてマザーグースだなあ……こんどはどんなピュアピュアな子供たちが出てくるんだろうと思って読んだら、なんと中年BLだった! しかも妻子もちの主人(貴族)と執事! オヤジものというには憚れるほどノーブルなので、敢えてオヤジとはカテゴライズしないが。わあああ~紺野さんの執事もの! さすがにほかのどんな執事ものとも一線を画していたよ。天然病弱で覇気のない、少年のまんま大人になったようなご主人は、百戦錬磨でバイで心が真っ黒だと自覚しているほどの執事をしてほうっておけない存在だったという設定。アップステアとダウンステアの身分の違いをはっきり描いて見せて、自分の出自を恥じている執事(実際には父が執事で、その息子)が、互いに魅かれ合っているのに、階級差というその一点だけで一線を引こうとする。そういや「日の名残」のアンソニー・ホプキンスも父親と一緒に同じ屋敷で働いていたな。「ゴスフォード・パーク」は階上の人間模様と階下(つまり使用人)の人間模様をパラレルで描いた映画で、エンドロールもアップステアとダウンステアに分かれてキャストが出ていた。このぼんやり貴族と執事の話は、都合3本の短編になっているんだけど、いつもの紺野さんに比べると線が雑だし、お話は浅いし、力抜いている感じ。それでも好きだけどさ。1本、同窓会ものが入っていて、これなんか老年と中年のラブだったよ。なんてチャレンジャーなんだ紺野さん! おそらく65歳以上×50代。うわあああなんだこれ。小学校教師と小学生が、多分40年後ぐらいにまだ思いを通じ合わせているという。いくらなんでも高齢者は禁じ手だろうと思ったけど、紺野さんの絵だと案外サラッと読めてしまう。あと後半に百合が2本入っていた。紺野さんはいかにも百合もの好きそうだよね。以前読んだ「ひみつの階段」「Cotton」もそれっぽかった。そういえば紺野さんの連載や三浦しをんの小説を山田ユギが漫画化していたポプラ社の雑誌は、やっぱり休刊になったのね。全然売れている様子がなかったものなあ。いまどきこんなピュアな雑誌誰が読むんだろう、ターゲットほとんどいないよなと思っていたんだけど、やっぱりなあ。ポプラ社が一般書に進出するって聞いた時には、大丈夫かなあと思っていて、まあでもあのアイデアマンの社長さんなら、面白いことやってくれるだろうと期待していた。まさか少女漫画出すとは思わず、しかもニッチな分野だったので(たとえば新書館の「ウンポコ」に近いような。あ、「ウンポコ」も休刊らしい)面白い視点だったけど、ビジネスとしては成立しなかったんだな。残念。読みたいニーズはあってもそれが購入動機につながらない難しさ。はい何度も経験していますとも。あ、閑話休題。紺野さんの描く中年も非常に好みだったけど、いかんせん浅い。薄い。デッサンは崩れてないけど線が雑。きっとこの程度なら彼女は寝てても描けるんだろう。
2009.04.06
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ギックリ腰キター!!あああもう、土曜は久しぶりにYちゃんとショッピングして千鳥ヶ淵でお花見して、九段のさくらさくらで夕食する約束をしていたのに、出掛けにソファから立ち上がったら背中に戦慄が走った。今年のお花見敗れたり……。とりあえず昨日、ぎっくりの前に撮ったご近所の桜。青空バックでないとパッとしないなあこんなキツい痛みは何年ぶりだろう。呼吸するたび激痛。それでも数時間じっとしていたら、とりあえず動かなければ痛まないこともあることがわかった。今回、腰というより背中だなあ。普段ならどこにどう力が入れば痛くなる、という感覚がわかるんだけど、今回はランダムに痛みが襲ってくる。本当に不意に、なにもしなくても激痛が走るんだけど、それ自体は5~10秒程度で収まるから、とりあえずすべての予定はキャンセルして痛みと痛みの感覚が長くなって、痛む時間が短くなるのを待つ。食べるものはいろいろあるし、キッチンにも立てるから生活に差し支えはないけど、月曜、仕事にいけるかなあ。まだ我慢できないほど痛かったら、明日は鍼灸医のとこ行ってから出社しよう。今日は昨日よりだだいぶよくなったけど、外で動けなくなったらコトだから一日家でおとなしくしていることに。幸いWOWOWで一日中三谷幸喜デーなので、観てなかった映画「ラヂオの時間」「みんなの家」「マジックアワー」を観て、中井貴一と戸田恵子の二人芝居「グッドナイト スリープタイト」も観る。
2009.04.05
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浅草橋に、この地らしからぬこじゃれたビストロがあるというので行ってみた。同伴者は蔵前に住むHちゃん。自宅が蔵前にある彼女は家から歩いて浅草橋にやってきた。天空の隠れ家「カメレオン」。天空という割には地上7階というあたりが浅草橋クオリティだな。裏通りの普通のオフィスビルの上なので、探しにくいあたりが隠れ家っぽいけど。4人がけテーブル×6くらいのこじんまりしたお店で、厨房スタッフ2~3人、フロアスタッフ2人。うち一人は一応ソムリエだった。見た目はまごうことなきギャルソンだったが。それより! BLの攻のごときその長身で美声のソムリエの声に聞き覚えがあった。メニューの勧め方や話し方にも。ま、まさかあなたは銀座のネルズキッチンにいたSさんでは?ビンゴ!あーびっくりした。そしてそう言われてみると、メニューが似ている。経営母体が同じなのか?ネルズは創作フレンチベースのダイニングだったけど、ここはビストロっぽいけどパスタもあるし、やっぱりフレンチベースのダイニングなのね。銀座の店はかなり通いつめたのに、私が気に入った店は良心的すぎてやがてなくなるという負の法則どおり、ネルズも5年と続かず消えた。それがもう4、5年前だ。当時、連れの友人(乙女)を「彼に会いに行きたい」とまで言わしめた伝説のSさんがこんなところで身を持ち崩していようとは(失礼だな)。初めて接するHちゃん、瞬く間に恋に落ちる(笑)。この手の美男は対象外の自分はそれをニヤニヤしながら観ているのが楽しい。Sさん、ソムリエの勉強していたらしく、クロスもかかってない店には不釣合いなほど充実したワインリストがあった。ああそうね、ワインの値段は講釈どうり確かに銀座の半額だ。シェフの腕前を確認するため、アラカルトでいろいろ試してみましたよ。 アミューズ 手長海老のフラン…スカンピの頭で出しとった茶碗蒸し。美味クリームチーズの味噌漬け…これをつまみにシャンパンで乾杯。ディルとドライベーコンがアクセント。これネルズにもあった。食べ散らかしたあとみたいな盛り付けは問題だ。 フランス産白アスパラのグラタン…今年も巡り合えた白アスパラ! しっかりシャキシャキで甘い~シャンピニオンの香りがよく合う。でもやっぱり白アスパラはオランデーズソースで食したい。グリーンアスパラとささみの温かいサラダ黒トリュフの香り…殻に入った温泉卵をかけていただく。黒トリュフのみじん切りが散らしてあって、これも香りが楽しめる。ソースがもったいないのでバゲットたのんでお皿をぬぐう。 フランス産鴨のコンフィ…コンフィ大好物なので、半端に湿っぽいのは許せないけど、これはおいしかった。器が鋳物製のココットなのは調理中はいいけど、サーブの仕方としてはどうだろう。だって切りにくい。これで骨に切り込み入れて平皿で出してくれたら満点だった。蛍烏賊と菜の花のパスタ…かわいらしく一人分ずつ分けてサーブしてくれた。これも春だな~味付け濃い目のしょうゆ味。蛍烏賊のミソの風味がおいしい。 デザートはHちゃんがフォンダンショコラとヴァニラアイス、私が温かいりんごのコンポートとヴァニラアイスこのデザート2品はネルズにあったのとまったく同じだ。ワインはお手ごろだったのでブルゴーニュの真ん中へんのをチョイス。これがまた、きっぱり固めのまだ花開いてない感じのフルボディだったけど、お味が濃い目の料理には合っていた。むき出しのテーブルにブルゴーニュグラスが置かれるのをみるのはちょっとせつない(笑)。スパークリングワインはサービスで、ブルゴーニュ1本とデザート、カプチーノまで飲んで一人7000円なら合格。メニューは季節によって旬のものを入れて臨機応変に変わるそうだから、また来よう。ビストロクラスのソムリエと話すのは楽しい。でもメニューがすごく豊富というわけではないので、やはりあのワインリストはとってつけたように豪華だ。
2009.04.05
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数日前に書いた「茅島氏~」の冒頭部分でウソを書いていた。たまに映画カテゴリーだけを読みにくる飲み友達の某氏が、なにかまじめな小説かなにかだと思ってうっかり読んでしまったらしく、メールにて「奇妙な味」云々は江戸川乱歩が最初だと指摘された。すみませ~ん。なんでも自分の知識がさも正当のように書いてしまうのは私の悪い癖だが、それはあなた譲りです(笑)。そしてそういう指摘はメールじゃなくてコメントで返してほしいよ。でないとこうしてまた釈明しなきゃならないじゃないか。実はミステリは構造自体に興味がないので、定番の翻訳もの(クイーン、クリスティ、ドイルとかの古典ね)とメフィスト作家ぐらいしか読んでないので見逃してほしい。なにしろ犯人は先に知って自分で謎解きしたいタイプだ。乱歩もジュヴナイルは子供の頃に読んだが(弥生美術館に同じ本が収蔵されていてびっくりした。そんな大昔のことじゃないのに、装丁が気持ち悪い本だったから?)、あの人たちのミステリ人脈の系譜はほとんどスルーしてきたんだよ。何年か前、「ミステリマガジン」の編集長だった作家さんに取材したが、60~70年代の作家と編集者の関係が、なんか同人のノリで楽しそうだった。梁山泊というかワセダミステリ研というか。ご存知でしょう?にやり。でも言わせてもらうと、「茅島氏」は別にミステリじゃなくて私小説のようだと書いたじゃないか。私小説といえば吉行淳之介じゃないか、と一応文句もたれてみる。そんなこと言ったら、映画好きな編集者である彼のことだから、昨日の「セントエルモ~」にもツッコミが入るかと思ったらそっちはスルーか。まあブラットパックが華やかなりし頃はもうとっくにおじさんだったもんね。ひーごめん。もひとつ思い違い。これはうんうんうなって記憶を引きずりだしたんだけど、少女マンガのバレエ漫画で読んだことがあるのは「停電になっても暗闇で踊り続けて、観客にはトゥシューズの音だけが聞こえる」ではなく、「突然音楽が途切れ、無音のなかで踊り続け、観客にはトゥシューズの音だけが聞こえる」だった。無論山岸さんの「アラベスク」だ。……あれ? 違う?ノンナのステージシーンのアクシデントは、パドドゥでパートナーがサポートしてくれなくて、それでもアラベスクのまま数秒ポージングし続けるというものだったかな? じゃあ音楽ブチ切れ無音続行は「アプローズ」かな? 槇村さんのほうかな? 思い出せない~読み直したい~どうしてくれるすばる~!この週末は改めて「昴」全11巻を読んで思いっきり泣こう。映画化なんて期待できなさすぎて興味すらわかない。天才ものの実写版はうそくささばかりが引き立つからもうやめてくれ。
2009.04.04
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『セントエルモスファイア』花郎藤子セントエルモスファイアの意味を、私は青春時代に見た同名の映画で知った。いわゆるブラットパックと呼ばれたハリウッドの青春スターがたくさん出ている青春群像映画だった。あの中ではジャド・ネルソンが好きだったが、主役クラスで生き残ったのはデミ・ムーアだけだったな。そういや高井戸あけみさんに「ブレックファストクラブ」という作品があるけど、これも同時期のブラッドパック映画で、これまた大好きだった。役者が数人かぶってたな。さてBLにも聖エルモの灯火の寓話をなぞった同名の作品があることは、たまに行く古書店の棚を眺めているときに知った。作者さんが、映画なのか元の寓話なのか、どっちを先に知っていたかが気になる。花郎さんは20年くらい前にはすでに同人作家さんとして活躍していた人だよね。名前だけは昔から知っていたけど、読むのは初めてかもしれない。なぜか私の中では山藍さんとセットになっている(笑)。ペンネームからして耽美だけど、花郎というのは歴史上のファラン(美男の集団)のことだよね。中国だったか朝鮮半島だったか忘れた。「郎」を「いらつ」と読むのは万葉集の坂上郎女で知った。石川麻呂の娘かなんかで大伴家持の愛人だったプレイガール。あああなんだかさっぱり本編に近づかないぞ。とにかくこのちょっと昔のJUNEテイストの小説が復刊されるというので、発売と同時に手に入れていたんだけど、2、3ページ読んで止まったままで、しかも何度か続きを読もうとして、また最初から読み始める、というのを繰り返してしまい、なかなか進まなかった。つまり冒頭の独特の世界観になかなか入っていけなかった。主人公の一人語りで延々心中した両親や屋敷の由来を語られてもなあ…でも本当はこういうの、好みなはずなんだけど、あまりにきっちり舞台設定を作り込みすぎていて、なんだか主役が人なんだか屋敷なんだか花なんだかわからなくなる。表紙が円陣さんだと知って、ものすごく驚いたんだが。これは初版時と同じなんだよね? だって今の円陣さんの絵柄と全然違う~!こんな時代もあったんだー。ちょっと間違うと石原理になっちゃいそうだ。スラダンの二次描いていそうな絵柄だけど、この頃はまだトルーパーの同人作家さんだったかな。Gペン独特の弾力のあるしなやかな線は当時から存在していたけど、顔と体のバランスとか目とか、全然違うよね。今のほうが絶対好みだ。あ、でもトーン処理はこの当時から抜群にうまい。まだ新人さんだったころの円陣さんの仕事はほとんど知らないので、いろいろと衝撃だった。さて。これはやっぱりBLじゃないんだろうな。だって二人の絡みのシーンを飛ばして読んでも一向に差支えがない気がする。舞台が幻想的なことを除けば、私は真っ先にスティーヴン・キングの「ミザリー」を思い出したぞ。なんだかとってもミステリーで、脳みそのほとんどをその謎解きに費やしてしまったじゃないか。結局謎はなんにも解明されなくて、ラブも中途半端で、なにやら攻は理由なく受をいつでもどこでも自由にしようとするし。文章が独特で、「えっ、なんか読み飛ばしたっけ?」と何度も思う瞬間があった。なにかが省略されている。場面転換時の時間経過の説明とか、些細なことなんだけど、流れが寸断される感じに違和感を覚えた。これが花郎さんの文体なら、好みじゃないかもしれないなあ。あと自分の悪い癖で、一旦違和感覚えるとそればかりが気になってストーリーに没頭できない。歴史ある(明治期から建っているような)古い石造りの建造物がいかに日本の風土にミスマッチか。湿度調整できないと、家の中がカビだらけになるんだよ。人手もいなさそうなのに、こまめに風を通しているのかな。ああああだめだ。お話の劇的な部分が正当防衛の傷害致死と死体遺棄だと、そっちの解決にとらわれてなんだかBLであることを忘れる。しかもすっきりした解決じゃないので疑問も残る。だって二人のラブの部分の心境があまり感じられないんだよね。体はつながっていて、心もそうかもしれないと思っているけど、世間体のためにはちゃんと婚約者と結婚する、というのが、まだこの当時のBL(JUNE)の常識だったのかな。だって、攻のことは好きだけど、やっぱり持参金付の女と結婚するとか言っちゃうんだよ。最終的に受は、箱としての家を選択はするけど、家名を守ることは拒否したんだが、ここがラブが主軸のストーリーにしては甘い。なにしろ厳格な祖母に唯諾々と従うしかない人生で、何一つ自分で選択できないような弱さがある受だから。どんなに見目形がよくたって、心優しい紳士だって、こんなやつ頼りにならない。性格がいいのに、煮え切らない男は苦手。いや攻にとってはそのはかなげなところがいいんだろうが。きっと「弱弱しく見えても芯はしっかりしている」カテゴリーなんだな。二人のことがあんまり丁寧に描かれなくて、どちらかというと祖母とか妹とか、印象薄い受の婚約者が、ただでさえもどうでもいいポジションなのに、最初にチラッと出てきただけで、中盤は不在で、最後に祖母が入院したら突然再登場して、最初「こいつ誰? こんな人出てきたっけ?」と頭をひねってしまったよ。いろいろ整理されないまま書き上げられた小説という感じがする。舞台設定は好みなんだけどね、本当に。なにしろ古い家柄、広大な庭、石造りの洋館、厳格な祖母、両親の入水心中、愛人の子(主人公)、半分しか血のつながらない妹、巨額の借財、もつれた四角関係……とネタとしてはすべて面白い。それをいっぺんに使った勇気には敬意を表する。でもなにかが足りない。警察がかかわっていながらああいう結論なのに、ミステリ要素ばかりが記憶に残るし、でもミステリにしては細部があまり書かれてなくて死体遺棄のトリックは語られないし、被害者の兄の「ただ死体を確かめたいだけ」っていう管轄外の行動の真の理由が不明だ。釈然としない。読み込み不足なのはこちらに非があるけど、もうすこし全体すっきりとさせて、ラブなのかミステリなのかホームドラマ(のなかに芽生えるホモ)なのかをはっきりさせてほしかった。
2009.04.03
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『MOON(3)』曽田正人待ってた3巻! そして涙ダダモレさせながら15分で読了。あ~あもう読み終わっちゃたよ~。せっかくニコが無理やりすばるを日本に連れてきたのに、電波の暴力で幼い頃のトラウマを暴いてご丁寧に傷口に塩をすり込むような真似をされて、例によってプッチンと切れたところで2巻は終わっていた。どうなるんだよ~待てないよ~と思い続けて、えっと半年ぐらいたってるのかな?ニコは一旦心を拓くと、人情味のある実にいいやつだった。なにしろ初登場の頃は高貴な雰囲気を漂わせる王子様タイプにみえたのに、いまやバレエ馬鹿のただのあんちゃんだ(笑)。そして私の当初の読みどおり、すばるは長生きしないのね、きっと。弟を死に至らしめた病は遺伝性のものだったんだろうか。最後のあの思わせぶりな台詞はなんだ?ところで今頃気づいたんだけど、子供の頃、すばるに正式にバレエを習わせるきっかけをつくった同級生は、どうやらすばるの人生の語り部のようだ。ブツブツと文句は言っても、永遠のライバルだとか思っていても、心の中ではすばるの才能を理解しているし、いつの間にか、バレエ以外のほとんどが欠けているすばるの人生を支えているように思える。時折、述語のない台詞があって気になるけど、言いかけた台詞は次の巻とかで完結するのかな?んなわけないか。その幼馴染の彼女もそうだけど、最初すばるをあれだけ嫌悪していた招聘側の専務も、「わかる」人種なんだな。こういう、わかる人にしかわからない、「「本物がわかる」という設定はツボだ。まるでサリエリ! ビジネスとして成功させることを遂行するのが任務なのに、ちゃんと大人の対応をしてくれてよかった。どうもね、音楽分野もそうだけど、圧倒的な能力の前には、どんなにわがままな性格でも心のねじまがったダークな性格だろうと、周囲は許してしまうもんなのよ。そんな例はクラシックの世界には普通にあるからわかっているんだけど、大人になるとさ、才能と感動の間にビジネス(金)というのが透けて見えちゃうからヤなんだよ。バレエやオペラは特にチケット高額で、そうそう行けるものじゃないし。今回は暗闇で踊るという演出もうならされた。昔の少女漫画にも同様の設定はあった。何だっけな、暗闇の中で音だけ聞こえるって。うーんうーん思い出せない。比較的新しい劇場だったら緊急対応の自家発電装置ぐらい装備していそうだけど、まあ東京文化会館じゃな、と納得している自分は、学生の頃、毎週のように通って上階の資料室でオペラの勉強をしていた。なんだか、こう心をぐいっとつかまれるようなストーリーを見せ付けられると、絵なんてどうでもよくなる。普段読んでいる女流作家さんの絵に比べるとダイナミックで大胆で、コマ割りも大きいし、時折狂ったデッサンあるけど(今回、犬が別人だった。それと人物がやせたりふとったりする)、そんなことはストーリーの推進力の前にはどうでもよくなってしまう。曽田さんのほかの作品は知らないけど、少なくともこの作品は、「男性が描いたバレエ漫画」とか意識せずに読めるし、なんか子供の頃に山岸さんの「アラベスク」を毎号、心ときめかせて待っていた頃のワクワク感がある。そして泣ける! まずいよ明日も仕事なのに。
2009.04.02
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『茅島氏の優雅な生活』原作/遠野春日、作画/麻々原絵里依タイトルだけはよく目にしていたけど、へええ~こういう話だったのか。遠野春日さんのデビュー10周年記念とか銘打たれていて、そんな大事にされている大物(?)作家さんだったのかとまず驚いた。シャイノベルズから出ている貴族シリーズの何冊かを読んでみたことがあるけど、どれも最後まで読めなくて、ああ私には合わない作風の人なんだと思っていた。いわゆる王道ものが多いイメージ。でも10年以上前に書かれた作品が、いまこうしてコミカライズされ、春からは幻冬舎から再刊もされる程度には固定ファンがいる作家さんなんだな。再刊のほうは日高ショーコさんがイラストつけると聞いている。すごいなあ……。「~の優雅な~」というのは、古くは山口瞳の「江分利満氏の優雅な生活」とかあったけど(古すぎるよなあ。実家の本棚に昔からあった)、結構定番な言い回し。そして内容はというと、主人公のモノローグ視点がほとんどの日本の湿った私小説のようで、文芸の世界で昔流行した、いわゆる「奇妙な味の」お話だった。江分利満氏は山口瞳だけど、「奇妙な~」シリーズを流行らせたのは吉行淳之介だったように記憶している。って、BLオンリーのお嬢さんたちにはなんのことやらわかるまい。奥深さとか求められていないお話なので15分で読めちゃうけど、これ嫌いじゃない。なんていうか、低体温な主人公が好みだし、BLじゃなくてもこういう設定は好きだ。でも現代日本だというのがそもそもうそっぽい(それを言ったら台無しだが)。ああ、これ少女マンガの「理想の王子さま」のバリエーションのひとつなんだな。茅島氏の日常は、なんかすべてが丁寧に作りこまれた書割りみたいで、あんまり生活感も現実感もない。それは庭師の攻の家でも同じで、感情が未発達に思える。なにしろ唯一の人らしい行動が男への告白で、「私を食べて」状態だった(笑)。BLとしては色っぽさが足りないのは、多分作画担当者の個性なんだろうから仕方ないけど。いいたいのは、大金持ちで天涯孤独で、何でもありすぎて充足していて、それゆえに生きることにすら倦んでいる主人公が唯一興味を示したのが庭師だったということだけで、そこにはドラマがないんだよね。ご主人様の幸せだけを願っている執事とか、本を見た目で買うとか(これは昔からあるジョークだ。重さで買うとかメートルで買うとか)、見た目のよい話し相手とか医者とか、お前は要介護高齢者かと。まあそんな小さなエピソードはそれぞれクスリと笑えたりしていいんだけど、とにかくドラマ性が不足している~っ!! あんまり音が聞こえてこないし、人物に動きもない。肝心のBLであることを表明するシーン(笑)ですら、なんか興奮がない。きっとそれが魅力な話なんだろうと思う。麻々原さんは角川の雑誌で非BLを描いていた頃から読んでいたけど、さすがに今はこのタイプの絵は卒業できている。ロックやっていそうなヒョロ長い男子がみんなかわいいんだけど、作品が面白いと思ったことがないんだよなあ。むしろ日高さんの絵で観たかった。表紙はイラストもレイアウトもとてもシックで洗練されていて花音らしくない(笑)。
2009.04.01
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