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デロンギのコンベクションオーブンは自分が求める機能を搭載していなかった。自分が欲しいのはスチームコンベクションオーブン(プロの厨房で「スチコン」と呼ばれているやつ)で、やっぱり家庭用はないのだった。業務用は当たり前だが蒸気ダクトとか大掛かりな工事が必要で、価格も7桁したりするんだな。そりゃむりだ。一番近いのがシャープのヘルシオだけど、トヨタのセルシオとKAOのヘルシアとこんがらがってネーミングがダサいよママン。春のセミナーで、いきなり見知らぬ人々とのワークショップで「ヘルシオがヒットした理由を考える」というのがあったな。電子レンジが1万で買える時代に健康志向だけで10万超えるレンジがそんなにパカパカ売れる訳ないと思ったのに、実際すんごい売れていた。主婦おそるべし。毎日料理をするわけではない私が持っていても、使いこなせないかもしれないなあ。 左よりデロンギ3万、業務用120万、ヘルシオ8万・・・。3万くらいのスチコンはないの? さて、昨日は六本木でのイベント取材に出かけるため、人形町から日比谷線に乗る。人形町はいいなあ。食のパラダイスだ。というわけで人形町ランチは10数年ぶりの小春軒。創業明治45年。この一角はほとんどの店が明治大正期の創業で、関東大震災でも先の大戦でもしぶとく生き残った老舗ばかり。10数年ぶりに来ても銀座なんかと違って、あるべき店がなくならない(これがフツーなのに)。生憎玉ひでの親子丼は私には甘すぎて合わないんだけど、時々小春軒のエビフライが食べたくなる。下町ゆえにサービスもしつらいもまったく期待できないけれど、日本の洋食の原型がこのあたりにはある。もちろん今半とかのお金のかかるお店も好きだが、たまに油っぽいもの食べるなら人形町の洋食屋がハズレがない。というか私も実家住まいの頃は、「週末は家族で洋食屋」だったので慣れ親しんだ雰囲気ではある。まあ「普通の家」にずかずか入っていく芳味亭には驚かされたが。相変わらずコンクリートむき出しの小汚い店内。愛想というものをどこかに置き忘れてきたような、とてもサービス業従事者とは思えないフロアのおばさん。厨房の料理人たちも軒並み高齢者。でもいいの。心地よいサービスが当たり前の店ばかり行っていると、こういう店に入れなくなるから時折Mっ気を呼び起こすために、舌は至福なのにつれないサービスに身悶える喜びを味わったりするのだ。玉ひでほどではないにしろ、ここも以前は毎日行列だったけど、さすがに周囲に小じゃれたビストロとか増えてくると、若い人は少なくなっていて(とくに女性客)、満席ではあっても行列ができるほどではなかった。 そしてこれこれ、エビフライ。ふわあああテーブルに置かれた瞬間から匂いがすでに「エビ」。タルタルソースもなく、ナイフとフォークもなく、ソースとお箸でいただく由緒正しい日本のエビフライ。キャベツなんて手で切ってる。私だってこのぐらいの千切りはできるってぐらいの稚拙な千切りがいっそ初々しい(なんかホメどころが間違っているが、小春軒と芳味亭には点が甘い)。 筋切りはしているけど、伸ばして大きく見せようなんて思っていないゴロンとした大正エビをお箸でもって食べるのがまた食べにくくて食べにくくて身悶える。さすがにナイフとフォークがほしいと思ったけど、こういう店では野暮なんだよな。なにしろ紙ナプキンすらない。イマドキのラーメン屋のほうがもっといい備品を使っているぞ。でもこの店では、昔のラーメン屋にあるような割箸立てから引き抜いた箸を口にくわえてガッと割り、ザザッと大雑把にソースをかけまわし、イザガブリ!というのが正しい作法だな。はあああ~おいしい。七條のランチでいただくエビフライともまた全然ちがうおいしさ。これで1300円はお安いと思うよ。たいめいけんだのグリル満天星では3000円くらいとるからな。有名店ではいかにサービスと什器備品代が上乗せさせられているかわかる。
2009.09.30
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『君の心に天使の輪』たけうちりうとわずか2冊で終わってしまったらしい祁内さんシリーズの1冊目。ようやく手に入れて読むことができた。今はなきパレット文庫から出ていたシリーズ2冊目にして最終巻を先に読んじゃっていたけど、全然オッケーどころか、あまりの不思議な面白さに転げまわって歓喜した。すぐにでも1冊目が読みたかったけど、既にないレーベルでの5年以上前の刊行。結局密林のマーケットプレイスで購入(電子配信はされていたけど、未だにネットで小説は読めない年寄りなので)。ターゲット層を履き違えているのとタイトルのつけ方を失敗しているのは1冊目からしてそうだったんだな。これが商業作品としては致命的だが、お話の雰囲気もキャラクターも設定も、どれをとっても自分好みで、「久々に面白い小説を読んだ」という気にさせてくれるお話だった。なんだろ、初めて高村薫さんの警察小説に出会ったときみたいな。本当にもったいないよなこれ。小学館の編集者(編プロかもしれない)は、ターゲットを読み違えたのか。でも一般小説として出すには、きっと何かが足りないんだろう。ところでたけうちさんのデビューって何だろうと思って調べたら、94年ころのホワイトハート(KD社)での受賞作というのが見つかった。あまりフォモフォモしくないファンタジーだったのかな。だから最初は文庫が多くて、BLとしては微妙な話が多かったことを知った。あまりえろくないのはそういう出自だったからなのね。パレット文庫って、秋月さんのアイドル忍者の話しか知らなかったけど、K談社の初期のホワイトハートとか、S英社のコバルトと読者層が重なるか、もっと低年齢層がターゲットだと思っていたけど、たけうちさんのこの話は、最初の短編こそ18、19歳くらいのカメラマンの卵が主人公だったが、後半の中篇は研究オタクのサラリーマン化学者の話で、お相手は30代後半。BLの文脈でいっても立派なオヤジカップルだった。カメラマンのお話も、年齢は若い設定だけど、考え方が老成しすぎていて、あいかわらず難しい言葉をたくさん吐き出している若者で「おいおい、そんな若人いないよ!」という話だった。でもね、この作品の冒頭にぶっ飛んだ。だって鳥視点。主人公は鳥?びっくりしたなあもう。実験小説だ。こんなのよく出版したなあ。今はなきパレット文庫の編集者に感謝(おいおい最初と印象が違うじゃないか)。もう一本の中篇は、中年の研究者と生活能力皆無(アスペルガーらしい)な5歳くらい年下の研究者の話で、もう何度でも読み返したいほどツボだった。研究しか能のない人ってノーベル賞レベルの人にはザラにいるけど、そういう天才には奇特なお世話係が必要だというお話だ(笑)。なにしろ受(と言っていいのか?)は、シャツのしわを見ながら、しわと乱数とフラクタルの関係について考えたり、衣類が床に落ちた時の角度と速度から、衣類の温度が床に吸収されるのに必要な時間を考えている。なにかの引用にしても、こういうスパイスがあちこちにちりばめられているところがうれしい。ああもっと祁内さんに会いたい! このシリーズは奇しくも土曜に読んだ山下和美さんの「不思議な少年」と設定は似ている。人をも神をも超越した存在が一人の人間んそばにいて見守りつつ時に運命を操作する話。そして悲劇になったり(山下作品)、奇跡が起きたりするんだけど、こういうのも昔からあるパターンなような気がする。見えざる力に突き動かされて運命が変わる話。あ? それが奇跡か?奇跡の擬人化?はああ~返す返すももったいない。このシリーズ、なんとかも一度どこかで書いてくれないかしら。別に男同士じゃなくていいしラブもいらないから、人の心の良心の部分と奇跡を起こす力の化身として「とある存在」の祁内さんシリーズとして。ストーリーもなかなかに入り組んでいて、構成難しそうだけど、それがラストに収斂されていく手技はうまくいった実験みたいだ。 ただ、面白いお話=完成度の高いストーリーとは限らないわけで、これはたけうちさんワールド全開なだけに、要素が多すぎてとっちらかり気味ではある。多くの人に面白いと思ってもらえる要素ってなんなんだろうなあ。設定も構成も文章も自分は好きだけどなあ。これほどたけうちさんを激賛するファンもいないのかもしれないけど。自分が文芸分野の編集者だったら、絶対放っておかない。デルフィニアとか出している系統のノベルズだったら当たると思うんだけどなあ。なんつうかたけうちさんの理系脳と博覧強記なところがストレートに出ている。もともとラブはじれったい人だから、BLじゃなくてこういうの書いてほしいのになあ。
2009.09.29
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週末本BLマンガ編 『さようなら、と君は手を振った』深井結己(原作:木原音瀬)攻のちゃらちゃらしたジコチューな性格や受の底なしのお人よしぶりは、文章で読むほうが徹底していたように思える。マンガで読むとちょっと薄まっちゃうかな。攻の遊び方がバブルっぽいとか、木原さんの作品にしか出てこない無欲な受とかはお約束。なんだかんだ言っても原作も好きだが、深井さんの絵で読むとやっぱり涙ダダモレだったよ。『コルセーア(3)』御園えりい(原作:水壬楓子)今回の表紙は普通に見えて良かった。足かけ6年かかって3巻で完結。ラストあたりに置いたほぼ真っ黒の見開きページ(長いトンネルの先に見える一筋の光明、とかちゃんと意味はあるんだけどね)はやりすぎだ。大御所さまの手法だよな。『オトコの花道』笠井あゆみギャグ漫画家を目指した笠井さんの野心作(笑)。でもこの人の絵をB6判で読むといたずらに視力を低下させるような気がする。拡大コピーして読みたい。『さよならキャラバン』草間さかえ 待ってた! 草間さんの少女マンガ。相変わらずな昭和なテイストがたまらん。以下は同時に買った小説。ちびちび読む予定 『真夜中に歌うアリア』春原いずみ お初作家さん。表紙のイラストに魅かれて。あと珍しいソプラニスタの話だったから。でもいろいろ間違っている予感。『かくも強引な彼に俺は』義月粧子ちょっと前の新刊。小冊子めあての帳尻あわせ。名前はよく見かけるけど読んだことない人なので初挑戦。『征服されざる者』あすかハードSMと聞いて。ロシア人のサディストなのか(笑)。パラ見したけどイラストほどはハードじゃなくて残念。『涙の中を歩いてる』水原とほる今日・明日のランチ本
2009.09.28
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週末用マンガから非BLを 『死がふたりを分かつまで(10)』DOUBLE-Sああ~やっと話が転がりだした。そして土方護の過去編に萌えたぎった。なんだか全員「やじきた学園道中記」に出てくるような剣術オタクな純粋ボーイズばかりで胸キュンものだった。それにしても黒幕がビル・ゲイツみたいなサイバー企業のオーナー(まあ、こいつもオタクっちゃあオタク)で、こういうキャラにも激萌える。しかも足悪いし。頭脳明晰で金も腐るほどあってイケメンなのに、その頭脳と金をわけわかんないことに使う話は大好物。それにしても、これまでの9巻は序章ですか? こりゃ10巻通して読み直さないと。しかしお話を考える人が別にいるとはいえ、この人のマンガの技術にはホレボレする。効果線とトーン効果でいまさらうならされるとは。ゲーム誌系のコミックスって、このぐらいの技量の人がワンさといるのが恐ろしい。『不思議な少年(8)』山下和美 これも最初の3巻くらいまでは面白かったけど、6巻くらいで飽きて、それでも雑誌掲載時には読んでいて、今回久々の単行本買い。この作品の根底に流れるものって、不思議な少年の存在意義はともかく、地の文に漂うものはキリスト教的倫理観なんだよなあ。最後に救いがなくてもいいと思うのは私だけ?特に今回の長編のほうは、偽善と慈愛に満ちた少年と、ドフトエフスキーよろしく心に飼っている獣が出てくる村民たちと魔女狩りのお話で、ちょっと今更だった。それをひっくり返すのが少年の役目なんだけど、最近結構後悔したりして傲慢さが低下している(笑)。そして最初の頃はすんごい美少年だと思っていたのに、最近そう思えないと思ったら、正面顔の左右のバランスがおかしい。おーい山下さーん、一条御大は仕方がないとして、まだ劣化には早いですよ~!『幻想綺帖(1)』波津彬子波津さんの単行本、5年ぶりくらいで買った。掲載誌がネムキってことは、雨柳堂は終わったのかな? 彼女の好きそうなお話ばかりで、以前にも波津さんは鏡花や牡丹灯篭を漫画化しているから、こういうのはお手のものだろう。30年くらい前に、坂田さんたちとブラッドベリも漫画化していた。もう大ベテランさんなのに、相変わらず等身のバランス悪くて稚拙に見える絵柄なのが残念だ。この人はもううまくはならないのか。これが持ち味だからいいんだけど。あーでも、別に読まなくてもよかったな。人物以外の作画表現には感嘆するが、やっぱり人が描けていないとなあ。
2009.09.27
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昨日のことだけど。なんかいろいろあった一日。総じてついていない日だったな。1)朝、食器を洗っていたら、手にしたマグカップがシンクの中の皿の上に落ちて、お気に入りの皿を割る。やや傾斜した八角形の皿でとても好きだったのに。約10年間ありがとう。どこで買ったんだっけ、まだ買えるといいなあ。2)浅草橋の古い蕎麦屋で天ざるを食べていたら、隣のテーブルに座っていた20代とおぼしき男子4人が「全員」フランス語と日本語のチャンポンだった。センテンスの中身が入り混じるんじゃなくて、ワンエピソードごとに日本語になったりフランス語になったりしている。日本語もフレンチもすんごくナチュラルで、明らかにフレンチバイリンガル。小汚いカッコしてて見るからにブルーワーカー(失礼)で、顔は全員ハーフっぽい。近くにフレンチスクールでもあるのだろうか。いや、学校通っているようには見えない。なんか引越しのバイトした後、みたいなカッコ。なんでフランス語? 全員ハーフ? 出稼ぎ? アキバにいるならまだわかるが、なぜに浅草橋?3)重要クライアントの案件で営業部のボスともめる。ことの起こりは彼が休暇中に私が送ったメールを、彼が出社後も確認しないまま1週間も放置していたことが原因なので、私に責任はない。内容は予算の件で、そのうち彼のほうが「じゃあ先方に出させればいいんだろっ」とキレちゃったが、私はそんなことは一言も言ってない。ただ先方が要求する著名人のアポを取るにはお金がかかりますよ(女優なら場所取りやヘアメイク代を要求されることだってある)と事実を説明しただけだ。こういう交渉ごとをやらせるために私をヘッドハントしたんでしょ、営業ができないなら私にやれって言えばいいのに。いい大人が年上相手にキレるなよ。かわいいなあ(笑)。4)周囲に聞こえるようにモメたのでさすがに後味が悪く、ストレス解消のため久々に書店の新刊売場で腐った本を大人買い。10冊くらい買ってからパン屋さんで今夜の夕食を仕込んで、朝までマンガを読みつくす! と鼻息も荒く帰宅してシャワー浴びて「ベッドで読書」体勢を取るべく、ドリップしたコーヒーと買ったばかりのパストラミカマンベールサンドを用意しようと思ったら、サンドイッチが本の下敷きになってぺちゃんこになっていた(涙)。内臓がはみ出したサンドイッチを捨てる気にもなれず、かといって食べる気にもならず。仕方がないので朝食用に買ったオレンジクロワッサンとサラダだけの夕食。ちと物足りない。5)自転車のペダルが重い。後輪のタイヤチューブの空気が少しずつ抜けている気がする。そろそろ買い替えたいなあ、チャリ。6)のだめが次回で最終回。あらら。実は昨日は夕方、有楽町のビックカメラ前を歩いていたし、夜はヨドバシアキバビルのパン屋に行ったが、どっちも電気屋の店内には入らなかったのは偉かった。なんかモヤモヤしているときに家電店なんて入ったら、なに衝動買いするかわからんからな。偉いぞ自分!今日こそ納戸の片づけをするぞ! と思い続けて1月。今日はやる!
2009.09.26
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穴埋め画像仕事の帰りに食べたランチin池尻大橋せっかく渋谷経由なんだから、ランチはシェフズブイあたりで食べたかったけど、渋谷に降り立つ時間がなく、観念して駅前のコジャレたビジネスホテルに入っていた洋食屋さんの日替わり。久々にシンプルなサーモンソテーでおいしかった。豆のスープとアフタードリンクつきで1,000円。健闘していると思う。ここはハンバーグも鉄板焼きでジュウジュウのまま供したり、ビーフシチュや旬のカキフライなんかもあって、価格帯が路面店扱いの店にしてはちゃんとしていた。あーでも店名忘れちゃったよ。これさ、どうせホテルの厨房ならコンベクションオーブンあるんだろうから、一旦中から火を通して、表面だけ強火でカリッと焼くともっと美味しいと思う。そういえばデロンギから家庭用のコンベクションオーブンが3万くらいで出ているそうで、最近の物欲はもっぱらそれだけど、設置する場所がないのと後の手入れがどんなぐあいなのかが気になって詳しく調べられない。で、自問自答「そんなものを買って、一体どれだけ料理するというんだね?」「いや、あったら月に一回くらいは使うと思うけど」「費用対効果が得られないじゃない。あったら、ということはなくても別にいいというわけね?」「設置場所があって手入れが簡単なら切実に欲しいよ。外食が減るかもしれないじゃない?」「それはないわー。家では和食が多いくせに、なんでコンベクションオーブンなんかが必要なのか、頭冷やして考えたら?」「……そうします。あっ、でも焼き魚だっておいしく焼けるよ?」実際、和の厨房では焼きに使っているはずだ。だからさーあとは使い勝手を検索するか。カウンタのごちゃごちゃを整理すれば置けるかもしれないし。今年のクリスマスプレゼント。多分自分に必要なのはコンベクションオーブンを備えた厨房と料理人だ。お嫁さんがほしい。
2009.09.25
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『食うか食われるか』ふゆの仁子ベテラン作家さんだが、読むのは初めて。直接は存じ上げないが、この方については知り合いの同人作家さんがらみでいろいろ因縁があって、無意識に避けてきていたかも。でも円陣さんの描く料理人にクラクラきちゃって、レーター買い。そしたら新作ではなく新装版(文庫落ち)だった。人気があるんだね。デビューして長いのにコンスタントに作品が出るということは、固定ファンがいるということか。フレンチレストランもの(そんなジャンルはないにしろ)は、高遠さんの「愛と混乱のレストラン」がおもしろかった。料理をつくる過程や食べるシーンがうまく書ける人は大体好きになっちゃう習性があるので、以来、シェフものや料理人ものは意識して読むようにして……いないな。高遠さんがすばらしすぎて、それ以上のものは望めないんじゃないかと思って手を出しかねる。でもふゆのさんもベテランだし、挿絵効果もあったりするかもと思って読んでみた。フレンチレストランシェフ×コンサルティング会社社員受は攻の腕を見込んで、パトロン付きでもっとグレードの高い店を出さないかともちかける。いわばヘッドハンティングだわね。この二人、どっちも血筋は良くて、攻はグランメゾンの有名シェフの息子(ただしこれは後々知れることになる)、受は父も上位コンサルで、幼い頃からフレンチに親しむというセレブな家柄に育つ。乙女の心を鷲掴みする設定だなあ。でも読み終わってみると、全体になんかサマリー読んでいる感じで、あんまりピンとこなかった。シェフが料理しているシーンも鮮明にはかかれないし、出てくる料理は平凡だし。ソムリエ(兼フロア長)の描写がいちばん気に入ったけど、この人もソムリエらしい仕事をしているシーンはあんまりない。クロス二枚がけ(でもフェルトは敷いていなかった)でシルバーカトラリーなのに、ビストロのようなアットホームでウッディな内装とか、いろいろ「?」な店なんだよな。しかも日本人にはとっても覚えられにくい店名で、商売っ気が感じられない(←あーはじまった。飲食店について語らせたら小姑のようにねちっこい自分)。それと、冒頭のあたりの、なんだか主語がどれかわからない(というか主語と述語が合わない)文章に引っかかって、そんなわけはないだろうと読み返してみるも、やはりすっきりしない。いろいろ略しすぎているのか、こういうクセの人なのか。ストーリーに齟齬はないし、エピソードもこなれているけど、そもそも受がやっている仕事は夢のようにラクチンだな。金は出すけど口は出さない、しかも自分で探さないなんてそんなバブル期の成金オヤジみたいな企画を親友の息子に任せるグランメゾンの経営者がいる? どれだけ無駄遣いしたいんだよ。しかも受は会社員しながら週に4日だか5日だかフレンチレストランで働くって、どんだけ本業がヒマなんだ? 新規は目の前のシェフを口説き落とす案件だけで、あとはルーティンだけとか説明されていたけど、それにしたって、イマドキのコンサルは死に物狂いで働いているぞ。新規が1件だけって、どんだけ親の七光りだよ! とか思ってしまう。リサーチャーもアナリストも出てこないし、説得力のないコンサル業だったので、ふゆのさん、結構ラフなんだなと思ったけど、まあ、いろいろ戦略的に狙ってやっているんだろう。やっぱり異業種間のラブを描くなら、ビジネス上の取引でもない限り、一方は仕事してない(できない)設定にしないと、愛をはぐくむ時間なんてないよね(笑)。同様に、料理シーンや食べるシーンを丁寧に書きすぎても、ラブがどっか行っちゃうから、バランスが難しいんだろうなあ。メニューはいろいろ出てきたけど、読み終わってみれば印象に残ったのは仔牛のローストと魚介のミルフィーユだけで、案外平凡なフレンチだったな。これじゃあ高遠作品と勝負したら軍配は上がらない。親子関係はもっと複雑だと思っていたし(認知していないとか、母親が苦しめられたとか)、対面シーンでは絶対父親は息子のために料理するんだろうと思っていたので、意外とエピソードの掘り下げは浅いんだけど、長年離れ離れだった親子が、亡き母親が得意だったミルフィーユをきっかけに和解するという美味しんぼみたいな展開にはちょっとうるっと来た。
2009.09.24
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『ダブルミンツ』中村明日美子うーん。すんごい共依存関係。強依存・凶依存とでも呼びたいほど。こういうのは好きだ。魂の双子の話は、神話素のなかになかったかな? ひとつの卵から二つの命とか、ローマ建国神話のロムルス・レムスとか、アポロンとアルテミスとか。双子はそんな神秘性を秘めているけれど、この作品は、前世とか別の惑星(笑)で魂がつながっていた二人なんだな。双子でもないし、単に名前の音が同じだけの二人。でもすごかった。読み終わってみれば、BLどころではなく、こんな作品どこから出しているんだと思ったら茜新社のエッジコミックスという見慣れないレーベル。掲載誌は宙出版の『メロメロ』。斬新系BLとして発刊されたけど、あっというまに廃刊に追い込まれた本だな。なかなか悲惨な(ハードな)お話なのに、最後の最後で傷つけあいながらも幸せになる(予感のする)二人。ありえないお話だけにファンタジーとして楽しめた。世間的に見ればとんでもなく不幸でも、当人たちは幸せっていうのは結構あるんだと思う。「自虐の詩」の二人とか、DVカップルとか。世間の目をふりきることができない自分には、一生縁のない生き方だからいっそ憧れる。この二人はさ、もう出会った瞬間に運命が決まっていたんだと思う。粘着質の受が、その粘着性に吸い寄せられるように吸引されて寄ってくる攻をからめとって、双方幸福感を味わう話でSMチックでもあるけれど、ゴキブリホイホイとか誘蛾灯とか、そんなのを思い出した。中村さんの絵柄だからこそ成功したお話だろうな。表題作以外に、JUNEに掲載された短編が入っていて、この短編も面白かったな。ボケかかった老政治家の秘書が、仕事の一環としてタタない先生の前でショーをやるというのは、他でも読んだことがあるから、もしかしたら普遍的な妄想の形式だったりするのかも(笑)。表題作のダブルみつおのその後を知らせるSSもよかった。あれ、何年後くらいかしらね。それにしても、絶望先生の作者もそうだけど、こういう主線はなにで描いているんだろう。ミリペン? よほど周到な設計図(下絵)があって、あとは魂のない機械で緻密になぞったような描線。なまじの実力の人では成功しない描き方なんだろうなあ。
2009.09.23
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いつもは我が家の猫をかまいに来るTちゃんと、久しぶりに骨董通りにあるダイニングバーで食事しようということになった。二人とも5連休にさしたる予定もなく(両者とも引きこもり体質なので、混んでいるところなんか行きたくないねということで意見が一致した)、「きっと都心は空いている」と判断して表参道で落ち合ってぶらぶらとウィンドウショッピングをする。題して「この秋の流行を、とりあえず見ておこうツアー」(笑)。若者エリアの神宮前方向へは行かず、青山方面の裏通りをグルグルと歩き回る。ところが二人とも着るもののシュミが全然違うので、洋服に対する価値観の違いを思い知らされることになる。彼女は女性誌メインのフリーランスライターなので、服装は超自由。いつもフォークロア調というかクロワッサン主婦というか、襟のない服が多く、カチッとしたものを着ているのを見たことがない。ブランドでいったらヨーガンレールとかを着ている。そんな彼女の行きつけは裏通りの小さな天然素材を扱うショップで、私が見たところ「ノーブランドのただのインド綿のチュニック」が3万円もするのが信じられない。まあそれなりに刺繍とかいろいろしてあって凝ってはいたけど、エスニックショップで3000円くらいで売ってないか? もしかしてファブリックはインドだけど刺繍はベルギーで縫製はドイツだったりするんだろうかと思ったけど、ちゃんとインド製である。次いで私はIRIEでIRIE WASHの薄いトップス(センターにひねりがあるけど、ほとんどTシャツ)を15000円で買ったが、これは入江さんの店では安いほうである。ところが彼女に言わせれば「たかがTシャツなのになんでそんなにするの? もしかして家で洗えないの?」という疑問が。いや、IRIE WASHは手洗いできるのよ。でもってこの手触りと素材がイリエの売りで、ほとんど立体裁断のシームレスでシルエットが絶対崩れないのがすごいんだよと言ってみたものの、やはり興味がなさそうだった。入江さんの服もカチッとはしていないが、モノトーンニットなんかは質がいいので仕事着にもできるんだけど。ことほどかように相容れないファッションセンスの二人なのに、なぜか靴のシュミが同じだった(笑)。コシノジュンコの向かいあたりの小さな靴屋さんで、履きやすそうなプレーンなローファーやショートブーツをとっかえひっかえ履き倒す。でも服といい靴といい、終わってみれば「で、今年は何が流行ってんの?」ってぐらい流行とは無縁のものばかり見た気がする。やだね、年取ると(自滅)。食事は水族館みたいなDEN AQUAROOMで。私はグラスワイン2杯とカクテル2杯、彼女はグラスワイン1杯とハイボール3杯を飲みつつ食べたもの。酒飲みなので、食事代と酒代がほぼイコールだった。でも一人当たり福沢さんでおつりがくる。 ・バーニャカウダ ソースがクリーミーでちょっと妙だ・真鯛のカルパッチョ 柿のスライスの上に焼きなすを崩しておいて、その上に鯛が乗っていた 柿と白身魚もよく合うなあ。グリーントマトの生食できるやつは初めて食べた。 ・プロシュートと旬野菜のサラダ ナンプラーのクリームソース ・金目鯛と茸・ポロ葱の白ワイン蒸し シブレット風味の温製マヨネーズ これが一番美味だった。きのこんまい!・国産豚ロース備長炭火焼きとパルマンティエ 生姜風味のバルサミコソース・カジキマグロのプッタネスカ・洋ナシのムース+コーヒー前日に予約をしたので、カウンターしかとれなかったけど、バーテンのにいちゃんの腰くねくねパフォーマンスが見られて眼福だった。しかしギムレットぐらいグラスのへりスレスレにつくれよ! パフォーマンスよりは技術が先でしょ!
2009.09.22
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『スリープ』砂原糖子不眠症の高校生×いつでもどこでも突然寝ちゃう病気(ナルコレプシー)の高校生それぞれ両親はなく、同じマンション(攻の所有する不動産)に住んでいて、毎朝一緒に登校し、クラスも一緒という密着振りだけど、最初はもちろん普通のクラスメートなんである。文中にもあるように眠れない男と寝すぎる男という組み合わせが割れ鍋に綴じ蓋みたいなんだが、攻は女子にモテて割と気軽にヤッちゃう下半身の持ち主でだけど、まあある意味行き場のない衝動の代償行為みたいなもので、受は感情が高ぶると発作(寝る)が起きやすいのでなるべくクールにしている。おまけに、中盤以降、二人ともPTSDが発端で睡眠障害が起きていることがわかる。そして中学くらいでフランス人のクォーターである美人な受が襲われている現場を見て以来、本当は受が好きだけど手を出しかねて女でごまかしているとか、そんな結構凝った仕掛けになっている。ああでも、攻の睡眠障害の理由が、カットバックの手法で小出しにはしていたけど、ちゃんと説明されるのは最後の最後だったのがちょっともどかしい。ナルコレプシーは、確かリバー・フェニックスが亡くなる直前くらいの作品にそういう設定のがあった。なんだっけ、確かキアヌ・リーブスとホモ設定で結構ハードな話。でも、多分ナルコレプシーしか一致するものはないからインスパイアとかではないけど、ちょっと思い出して懐かしかった。受の性格は結構好み(デレを見せないツンデレ)。もったいないのは、二人の障害があんまりしっかり描かれていなくて、いつも目を充血させている不眠症はそれでも元気に女の子とよろしくやっているし、受の突然入眠も、周囲に守られていて実に安全だった。それより恐かったのは、受の保護者兼同居人の学校の保健教諭(というのか?)。受が髪の毛を切られた時から、こいつだろうとは思っていたけど、父親がすでに受に手を出していて、それでPTSDになっているのに、血は争えないというか親子どんぶりというか、同居しているストーカーって超恐いんですけど。なんか一部ホラー風味で、砂原さんにしては大胆な展開だった。今回、主役二人とも好きなキャラだった。でももっといいやつだったのがクラスメートの住田くん。この人だけ名前覚えちゃった。こういう、両者の性格わかった上で適切なアドバイスができる友人の幸せを願って止まない。ギャグオチだったけど(笑)。
2009.09.21
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ううう~金曜から夜遊びが過ぎて、土日は日中、寝室が出られずに人生を無駄にして後悔する日々。昨日は気付いたら既に夜だったので、今日はなんとか昼ごろ目覚めて、散歩がてら江戸東京博物館の「ねこづくし」展に行ってみた。家から徒歩5分なのに、滅多に行かないんだなこれが。猫を擬人化した浮世絵や黄表紙があるのは知っていたけど、考えたらなんでねこだけなんだろうな。犬バージョンはないの?邦芳や暁斎の猫は、全然異なる表現なのに、それぞれに味があっていいなあ。漱石の「我輩は猫である」の原稿(複製)や、漱石が書いた猫の死亡通知はがきとか(葬式も出したらしい)、うまくてびっくりした漱石の猫マンガとか、近代文学ジャンルの展示は、初めてみるものばかりで興味深かった。もちろん内田百けんの「ノラや」と、例の新聞広告も出品されていた。そうそう、明治初期くらいの浮世絵に、いわゆるケモミミそっくりの、顔は人間だけど耳がついている大首絵があって笑ってしまった。あとは、朝倉彫塑館にもあった朝倉文夫の猫の塑像が4体。これはほんとうにどれもすばらしくて、家に持って帰りたくなった。年取った猫とか、獲物に飛び掛る寸前の猫とか、色もついていなければヒゲもないのに、もう今にも動き出しそうな猫たち。現代のところには「黒猫のタンゴ」とか、「長靴を履いた猫」の飛び出す絵本とか、家にもあった~というものもあったけど、その解説に「昭和中期」「昭和後期」とかあって、軽くめまいがした。そうか、もうそんなに昭和は遠いのか……。時期的なものなのか、今日はやたら欧米人の若いグループが多くて、一回なんか迷っていた人たちに教えてあげたら次々声を掛けられてちょっと後悔。もう早口でまくしたてられると英語ですら聞き取りにくい。お願いだから人にものをたずねるときは丁寧に、目的を明確にして聞いてくれ。ミュージアムショップ行ったらもっとひどくて、なんか後をくっついてきた数人のグループが、いちいち「これはどうやって使うの?」とか聞くので、ショップ運営の人にはぜひとも商品には英語の解説もつけてくれ。
2009.09.20
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穴埋め画像。いつかのランチ。大好きなエビとアボカドのサンドイッチ。パンは軽くトーストしたのが好きこの間久しぶりに「日の名残」を見ていて、アンソニー・ホプキンスの執事が、主人(クリストファー・リーヴ)の寝室に朝食を運ぶシーンで、久しぶりにトーストスタンドを見た。ずっと欲しかったんだトーストスタンド。でもやっぱりこういうのは、用意してくれる人がいるからサマになるんだよねえ。やっぱりロンドンのホテルに泊まりに行くか。執事を雇うよりそっちのほうが安い(笑)。これに似合うパンは、都内ではシェカザマの10枚切だと勝手に断定。なかなか買いにいけない(涙)。
2009.09.19
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どうも先日読んだたけうちさんの和食BLが気になって、ちゃんと手をかけた和食が食べたくなったので、偶々九段会館で仕事があったので、ついでに九段下の寿白でランチ。九段下だと、さくらさくらにはよく行くが、もっと落ち着けるところはなかっただろうかと考えたら、寿白を思い出した。ここはすぐ近くの寿司政(創業文政年間!)がやっている京懐石の店で、夜の平均単価は3万超えるが、昼は2000円くらいのランチがいただける。4、5年前に一度連れてきてもらったことがあるけど、一人で入るのは初めて。鯛茶漬けがいいかなあ鰈の揚げたのがいいかなあと迷った挙句、なんか昨日はちょっと寒かったので、ちょうど時期的に始まったばかりの壬生すき鍋にしてしまった。テーブル席はブースになった個室タイプ(不倫カップル御用達)だったので写メも撮ってみたけど、照明が暗すぎておいしそうに撮れなかった。この暗さもなにやらうしろめたい客用なのかもしれない。先付に出された三種の菊の胡桃和え。菊の産地を説明してくれたけど忘れた(笑)。あ、モッテ菊というのがあったな。器は織部かな。ああ~秋だわね。季節感は和にかなうものはないな。胡桃和えなんて何年かぶりに食べたけど、ここのはだし醤油が勝っていてねっとりとうよりは、さっぱりして自分好みだった。壬生すき鍋は薩摩地鶏と拍子木麺の入った、なんつうことのない寄せ鍋だけど、京山椒と七味でいただく。最近は柚子胡椒がマイブームで、家食ではなんでもかんでも柚子胡椒だけど、山椒も美味しいなあ。家には中華用の花山椒はあるけど、粉山椒はないや。素材はさすがにそこらのスーパーで売っているものとは京菜やエノキ茸の果てまで違う。ああ~でも私にはちょっと味が濃いかなあ。塩きつめ。伊勢うどんに似た(3倍くらい太いけど)拍子木麺はいまひとつなので、白飯を少し所望したらサービスで出してくれた。そしたらやはり寿司屋の米の炊き方、というか寿司屋で使う米だった。新米じゃないけどこれはこれでおいしい。炊き加減が抜群で水分がほどよく保持されているからガス炊きだろうか。取り分けるお椀は漆がけの木目椀。軽くて熱くならなくてよかった。高台がほとんどなくて手にすっぽり馴染む大きさがいいなあ。ああ~昔手に入れそこなった根来の椀が欲しくなった。1時間かけて汗をかきかき食した鍋の後には、水菓子として黄桃の蜜煮が出された。こういうのが好きだ~。密度の濃い硬い黄桃をつるんと仕上げてふわんと甘く煮付けるとは。やられた。フィニッシュまでにお茶は三度替えにきた(煎茶・ほうじ茶・玉露)。ベテランっぽい着物姿の仲居さんたちが、全員プロフェッショナブルな仕事振りで、ちょっと過剰な笑顔で相手してくれた。黒服のボーイも好きだが知識豊富な仲居さんも楽しい。着物は着慣れないと袖も裾もさばきが難しいから、優雅に見えるように立ち働くのはたいへんだと思う。「あれ? サービス料取らないんですか?」とチェックを見てたずねると「ご予約のお客様からはいただきますが、お初めての方からはいただいておりません」という不思議なシステムだった。馴染みになろうと、名刺を置いたら月例味覚会(試食会)のご案内をいただいた。わーい、これお得! さてさて誰と行きましょうか。
2009.09.18
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『春の泥』水原とほるなんか久しぶりに読んだ気がする水原さん。これまたお得意の兄弟陵辱SMテイスト(弟攻)だった。一時期かなりハイペースで新刊出していたので、半年近く出ないと創作意欲が落ちたのかと思っちゃうじゃないか。中篇2本で構成されていて、1本目でまったく救いがなく終わっていて(しかもなんか中途半端な終わり方だった)、残り半分でなんらかの方向性は示されるのねっとか思って期待して読んだら、解決どころか兄弟二人して底なしの泥沼に沈んでいく話だった。あーあやられた。でも二人的には幸福なのか。いやソドムとゴモラの兄弟たちが、このままいったらカインとアベルになっちゃうって話か。こういう出口のない閉塞感は好みだけど、現代設定で10代の兄弟というのがちょっと生々しい感じ。こういうのはぶっ飛んだファンタジー設定で読みたいなあ。えーと、お話は兄の一人称視点で語られる。とっても出来が良かったのに中学受験に失敗してからグレだして中途半端に成長した兄と、優秀な弟。中学以来、ろくにクチも利かなかったのに、なぜか弟はずっと兄に執着していて、両親がいない隙に1週間かけて監禁陵辱飼育の限りをつくす。あなおそろしや。恐かったのはこのぶっ壊れた弟が、自分が壊れているのを自覚しているところだな。それでも止まらない兄への妄執。どうしてBLって単純に両親に告白したりカウンセリング受けようとしたり病院連れてったりしないんだろうな。あ、そんな解決は求めてないからか。そうか(笑)。二人は商社マンの家に育って帰国子女でもあり英語も話せて、という恵まれた家庭の子息なんだが、一見そういう調和の取れた家庭にも、こういう狂気が潜んでいるっていう覗き見的な視点はドキドキする。それにしても、水原さんに慣れてくると、この作品くらいのアナーキーさではびくともしないな。なんかずっとやられっぱなしの兄のシーンは確かにかなりイタタだけど、別に刺したり折ったりとか、そういう暴力沙汰ではないし。壊すのが目的ではないけど、こっちは壊れているから何するかわかんない(by弟)というところか。この弟は明らかに病気なので、一般には隔離病棟に連れて行くがよろしい。措置入院が必要。でもラブを主軸におくと、こういう話になりますよってことか。納得。あ、そうそう。遺伝子工学は物理より医学部から来る人のほうが多いと思った。まさにそのジャンルの本をつくっていたが、システム工学や物理・生物から来る人もいるにはいたが、主な研究者は医学系だったぞ。弟は兄をたばかったのだろうか。そこだけが謎。
2009.09.17
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『花咲く王子と青山で(1)』唐花見コウ(原案/時東あみ)あらすじ読んだら面白そうだったので衝動買いした作品だったけど、思い切り惨敗だった。絵も達者だし手馴れた感じだけど、お話が決定的に合わなかった。地方出身の女子が青山に建つ庭付きの豪華洋館(アパートメントホテル)に住み込んで、そこに住む一風変わった住人たちと起こすどたばたというのは、既に類型パターンなのかな。マンガでも小説でも同様のものを読んだことがある。これってもはやキャラではなく設定を借りた二次(とかオマージュとか)と言わないか? あ、言わない? そうですか。ともかく、大学生にもなる女子が子供の頃に出会った王子様を探すという御伽噺と、イマドキなガーリーファッションと高齢者というギャップが狙いなのかもしれないけど、情報過多の現代ではありえないよなあ。王子様の存在は心の中で思っとけよ、公言するなよ頭足りなく思われるじゃないかと思うのは私だけだろうか。それとも本当にこんな女子がいて共感を呼ぶストーリーなのかな。だとしたら私が間違っていたよ。読むべきじゃなかった。そして「原案」があるらしいが、これも謎。絵は描けるけどお話をつくれない人なのか、単に編集依頼の請負仕事なのか。あ、でも好きで読んでいる『死が二人を分かつまで』も原案付きだったな。少年~青年~ゲーム系マンガではよくあることなのかな。アニメ並みにマンガすらお話と絵の分業になってきたのか。ところで掲載誌の「フレア」というのは全然知らなかった。マンガ雑誌なの? 何系なんだろう。発行元もソフトバンククリエイティブときた。手広いなあ孫さん。あ、関係ないけど昨日のNHKの井上雄彦は相当演出されたドキュメンタリーだった。数日前に唐沢なをきがBSの「マンガのゲンバ」の取材を途中でNG出した話が流布していたから、なにやらザワザワしながら観てたが、ネームで悩んで喫茶店放浪という古典的手法(笑)ばかり強調されていて、肝心の造形を描く逡巡や苦悩が全然ないように見えた。この人の天才性は絵の才能のほうだと思うのになあ。1本の線が決まるまでの下書きとかしないのか、この人は。
2009.09.16
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来週のシルバーウィークに備えてニュースをプールしておかねばならず、今週は激務が続く。といっても20時くらいには社を出られるから、以前の職場に比べたら天国だが。今、新人を一人預かっているけど、この子がまあなんというか頭を使わない。かなり突き放して「自分で考えて」と言っても、考えられない。なんで成人に今更文章作法のいろはを教えないといけないんだよ。上はコンテンツものを書かせろというけれど、制度の仕組みも理解していない人間には無理ですよ。取材に一緒に連れて行っても邪魔にしかならないのに連れて行けというし。新人育てるのは忍耐が必要なのか。こっちの仕事の邪魔になるなら最初から不要、というのは自分が長いこと一人で仕事してきた悪い癖なんだろうなあ。なんか今週はランチタイムすら返上して仕事しなくちゃならないので気持ちが荒んでいるな。 そんな時には可憐なものを(笑)。アップするタイミングがなくてフォルダに入れっぱなしになっていた白鷺草。野生種に近い鷺草は見たことあるけど、こっちは本当に白鷺が羽ばたいているようだ。触れなば折れんという佇まいは、とても野に咲く花とは思えず、かなりコアなファンのいる園芸栽培種らしい。だって盆栽展のはじっこに展示されていたもん。・・・最近、花も買ってないなあ。生活に潤いがないあるよ・・・。
2009.09.15
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『Love,Hate,Love.』ヤマシタトモコヤマシタさんのNLは初めて読む。これは面白かったな。BLだと絵の稚拙さが気になったりして読めなくなってきていたけど、長編でNL、ヤマシタさんの得意そうな特殊設定だと、一気に読める。それにしてもフィールヤングに描いていたとは意外だったが。お話は28歳バレエ講師いろいろ悩み中(ヴァージン)が隣の部屋に住む52歳の大学講師だか準教授だかに恋するお話。自分的には28歳バレエ講師未貫通という半端な女子設定がツボだった。もうこれだけで、ああこの人は中央線文化人の流れを汲んで(憧れて)いるんだろうとか思える。いろいろ悩みの多いアラサーおぼこ(死語?)女子が、隣の52歳とフォーリンラブって、ある意味BLよりありえない設定だけど、普通のOLとかリーマンだったらこういう話にはならないから、気持ち的には入り込めた。「普通のお勤め」をしたことがない女子ならではの発想やライフスタイルは読んでいて面白い。それにしても52歳の大学講師(?)があんな安アパートに住んでいるのが解せないけど(しかも50代で講師って、スロースターターなんだろうか。文学系はPh.dなかなか取れないからなあ)、うちの隣にもこういう人住んでいないかしら(笑)。あ、ふたまわり違ったら高齢者になっちゃうか(自滅)。自分が年の差がないとつきあっていて楽しくないタイプなので、ふたまわりくらい違っていても多分平気で恋愛できそうだけど、恐ろしいのはもはや相手は年上ではなく年下の可能性があるってことだよな。現に草食男子系は数人出入りしているし(非恋愛対象)。この作品では52歳大学講師も経験豊富とは言えず、暗に求められていても「若い男子と比べられたら自信ない」とか思っていて、どうにも据え膳に手を出せないで逡巡する姿に萌えた。なんかさ、岩館真理子さんあたりがもうちょっと荒んだ大人の恋愛を描こうとすると、こうなるんじゃないかって気がする。ストーリーとしては、なんだかいろいろ解決されなくて、続くっぽいんだけど。それにしても25年やってきたクラシックバレエを、28歳の今更挫折って、遅すぎないか? いろいろ手に職がないと今更普通のお勤めは難しいんじゃ。それとも結婚という逃げを狙っているのか。ステージに立てるプロになれるかどうかはとっくに結論が出ているなら、別に講師でもいいんじゃない?とか思うけど。あ、でもそれだけでは経済的に自立できないって話か。食えない役者(自称)とつるんでいた過去がある自分には、別にきっぱり辞めるとか白黒つけなくても、水商売とかやりながら好きなことを続行できるんじゃ?とは思うけど、心が強くないと、チラッと出てきてヒロインの傷口に塩を塗っていた平凡にしてまともな、ゆえに正論を吐く兄の言葉に傷ついたりするんだよな。ヤマシタさん、BLはもういいからこの手のセンシティブ(笑)NL描いてほしい。あ、もう一冊あるな。こっちも読もう。あ、いろいろ考えたらあの52歳はバツイチで養育費と慰謝料でお金持って行かれてて貧乏なんだろうな。貧乏な中年とでも恋に落ちるのが中央線の自由業だ(笑)。ああ勝手な妄想。
2009.09.14
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『臨死! 江古田ちゃん(4)』瀧波ユカリ相変わらず痛快無比な江古田ちゃん。今回のサブタイトルは「問答無用」である。今回ツボにはまった台詞は「租にして野だが卑ではありませんよ!!」だった。もはや叶シスターズや中村獅童の賛辞なんて不要だわ。「着るだけ亀甲縛り」とか「夜中のハイテンションで使いもしない粗大ゴミを拾う奇病」とか、もう今回も大爆笑させてもらいましたとも。そして表紙にお金がかかってる(笑)。特色使いまくりで色が目にささる。そして新キャラ登場!その名も隠れ猛禽! なんか自分が一番近いのはこれかもと思った。いや、江古田ちゃんの唯一の友人Mが近いと思っていたんだけどな。今回彼女は「煩わしことは嫌いだが恋わずらいは大好物」と告白していた。これは自分とは違うな(笑)。彼女は「米がとげなくなるからネイルアートはしないのよ」と公言する地に足がついたフェミニストなんである。
2009.09.13
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久々に製薬会社主催のプレスセミナーに出席。製薬会社はお金持ちだから、セミナー会場も上等のところが多いし、お土産がついたりするから好きだ(笑)。いつまでもこんなことやっているから国と医者との癒着がなくならないわけだが。医学系の出版社にいたころは、臨床のドクターたちに散々製薬会社と比較されて煮え湯を飲まされてきたが(もてなしのランクがちがうから)、基礎医学系のドクターはそんなことなかったなあ。さて、お金のかかったセミナーに負けないようにと、食事も奮発した。というわけで、セミナー会場と同じフロアにある東京會舘のベラージュでひとり高級ランチ。バーラウンジのほうは2000円くらいのランチもあるみたいだけど、手をかけたものが食べたかったのでレストランを希望する。ランチでも客単価は5000円以上だろうから、オフィスビル内の支店ではさすがにガラガラ。直前に団体客が帰っていったけど、1時半の段階で私以外には1組しかいないフロアで、タキシードの給仕二人がつきっきりで接客してくれた。ああ~やっぱり黒服にかしづかれるのは気持ちいい(大概Sっ気体質である。だってエセフェミだもん)。見られているとマナーにも気を使うし、背筋も伸びるよね。こういう状態でいかに食事を楽しむかというのは私のライフワークのひとつだ(冗談)。毎回「今度こそパン屑ひとつリネンに落とさないぞ」と思うんだけど、今回もかなわなかった。まあパン屑を寄せて集める専用の道具があるぐらいだから、これは散らばっても仕方ないか。ここ、21階だからそこそこ景色も楽しめるし、なにしろ昼から金彩てんこ盛りの食器と銀のカトラリーで食事できるのはうれしい。ランチのコースだと、3150円+サービス料でいただける。でも今回はきばってアラカルト。だって子羊があったんだもん。本来このクラスの店ではやっちゃいけないけど、お客さんいないし、一応セッティングに来た人に写メの許可を得る。スープは度胸試しのコンソメ。う~ん絶品とは言いがたい。帝国ホテルのほうがおいしい。東京會舘は大概薄味だが、今日はもう少し塩気が欲しかったので、フロアマネジャーが遠くからじっと見つめる中、テーブルの塩を足してやった。きっと厨房にご注進に行くにちがいない。メインは子羊のブルゴーニュ風。ああああ~おいしいよ~。煮込みじゃないのに、ブフブルギニョンのソースを煮詰めたようなルビー色の濃厚なソースとバターソースの二色づかいだった。ふわっとバターの香りがして、お肉は脂身が甘い。子羊食べるたびになんて人間て傲慢なんだろうと思う。ごめんねごめんねとか心の中で両手を合わせて食べている。子牛だとそれほど思わないのに、やはりあの外見が脳に作用している気がする。付けあわせはフレッシュマッシュルームとインゲンのソテーと、にんじんのシャトー(薄甘く煮たやつね)。インゲンが細くて堅いタイプで(なんて種類なんだろう)、これまたすんごく味が濃くておいしい。本来インゲンは好きでない野菜なのに、実においしい。ラムチョップは冷凍ものだろうけど、ロティしただけではない気がする。表面に小さく切ったトリュフが散らしてあって肉臭さは皆無。ワインの香りよりはバターの香りが立っている。ああこれでこのあとにセミナーさえなければ、ワインを所望するのになあ。ついてきたミニサラダには久々に見た紅芯大根と白瓜のピクルスが入っていた。めずらしい。コーヒーに季節のデザート(ブラマンジェにカシスのソルベとフルーツのせ)でフィニッシュ。ホテル系のレストランが好きなのは、小さなフルーツの果てまで手をかけているところだよね(宴会料理は除く)。1粒の巨峰をサーブする直前に半分に切って皮を半剥きにして種を抜いてレモン汁を振りかけるとか、そういう付加価値だけで値段吊り上げられます!って自信(笑)。無論しつらいもサービスも見合っていなといけないけど。しわ一つないリネン、テーブルフラワーのセンス(今日は咲きかけのバラとアイビー)、余裕の動線、照明、器の格、どれをとっても気持ちのいいサービス。セッティング替えに来たスタッフにわざと声を掛けて、手を止めずに対応できるかどうかを試すのも好きだ(いぢわる)。なにより空気がいいと感じるのは気のせいではないと思う。なんか凛としていて、マイナスイオンのなかで食事している気分になる。高級店はやはりいいなあ。なかなかハンサムな壮年のフロア長は、この手の老舗レストランにありがちなポマードでてらてらでなくてよかった。暇そうだったから、食べている途中で「セミナー会場の場所を忘れたので調べていただける?」と用事まで頼んだ。そしたらすぐに調べてくれて「お帰りの際にご案内いたします」って、会場前まで見送ってくれた。いいなあ暇な東京會舘!セミナーでコーヒーをサーブしていた人は、昔風のボーイの制服を着た、背中が曲がりかかっている高齢の男性スタッフだったが(この人も東京會舘)、それすら品良く感じた。しかしすんごい久しぶりに聞いた「おコーヒーをどうぞ」。そういえばカードで支払ってサインするとき、「御(ご)サインをこちらに」と言われた。うーむ。昭和が生きてるな。
2009.09.12
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『ザイオンの小枝』稲荷家房之介断片的に読んだことのある作品も入っていた。なるほどつながるとこういう話だったのか。いやつながっても相変わらず全体は見えてこないわかりにくいマンガだが。ザイオン=シオンのことだよね。ユダヤにとっての約束の地。BLの中では少年漫画系の骨太な絵柄が珍しいし十分耽美だし、嫌いじゃないんだけど、なにか自分にはもうひとつな感じがする作家さん。で、短編の詰まったこの本を読んでやっとわかった。つまりディテールだけを描きたいんだな、この人は。もしかしたら俯瞰的な大きなストーリーを構築して、分けていくのが苦手なのかもしれない。今ここにある脳内妄想を絵にしただけで、肉付けまでは考えていないというか。制服が描きたいとか、ナチスの破滅的な思想が描きたいとか。受攻両者の関係がはっきり説明されなかったり(フラッシュバックで断片的に描いてはいるけれど、それだけじゃ説明不足と感じる)、蝶を追ってアマゾンへやってくるカメラマンの話は初めて読むけど、まず主題がJUNEっぽいよね。ロマンとセンチメンタリズム。カメラマンの過去もガイドの兄と何があったかは明確には語られない。ガイドの傷だらけの身体の理由も今ここで二人が出会ったわけも何も説明されないので、とっても消化不良で気になる。続きを描くつもりなのかもしれないけれど、稲荷家さん、商業作品の発表、極端にセーブしているからなあ。う~んなんかすべてがじれったいなあ。雰囲気マンガなんだろうか。もったいない。肉球編は相変わらず同人パロのノリだな。小説の挿絵は個性強すぎて私はダメなんだけど、人気あるのかな。せめて唇の左右幅がもう少し狭ければドンピシャ好みなんだけどなあ。手足の造形や着衣の描きかたはすんごく好きだ。
2009.09.11
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『官能のホワイトナイト』伶諳読めないペンネームの初めて読む作家さん。れいん? れおん? せめて当用漢字を使ってくれ。珍しく深井さんが挿絵を担当していたので買ってみたら、花丸ブラックという凶悪にえろっぽいレーベルだった。最近は超美麗(ちょっとJUNEっぽい)か奈良さんみたいに超個性的なレーターさんが人気だから、深井さんの絵だと全体にちょっとぼんやりする感じ。でもって花が邪魔でジャケットを脱がせかかっているのがわからなくて、3人いるのかと思った(3人目は手だけ)。ともあれアメリカ帰りの麻酔医×麻酔科研修医というダブルドクターもの。なんだか重くて結構重要なエピソードが2つ(陵辱ヘンタイ医師とゲイの幼馴染)が、あっさり処理されていておよよって感じだけど、まあ高学歴国家資格ものは好物だ(笑)。アメリカ帰りのドクターというのは60代オーバーの心臓外科医なら実際に知っている人がいるけど、30代で、しかも麻酔医なんてそんなに重宝されるものだろうか。麻酔術に関する日米感の温度差みたいなものはないのかな。それにしても手術シーンの出てくるBLでいつも感じるのは、どんな大手術でも技師さんがいないのね。人工心肺やら使うシーンを書く作家さんは、『Clinical Engineering』を1年くらい読んでみればいいのに。主人公の麻酔科研修医は新規開設される疼痛外来を希望している。最近じゃペインクリニック単独で開業するところも増えてきたけれど、疼痛外来って、実際なにやるんだろう。末期がんやヘルニアとか神経系の痛みならそっちの診療科からの紹介になるよねえ。いきなり外来に行って「痛いのでモルヒネ打ってください」とか可能なんだろうか。攻は二重国籍で(成人しても可能なんだな)二つ名持っていて、仕事とプライベートを使い分けてる医者っていうのもすごいが、自分の望む部署への配属が決まるまではとヘンタイ上司にいいようにされている美形(お約束)な麻酔医(受)というのもなんか潔癖そうなのにありえない設定でBLらしい(笑)。それにしてもアメリカ帰りの攻の台詞にいちいち英語が挟まっているのがちょっと恥ずかしい。BL読者的には読むのが面倒な人だっているんじゃないのなあ。で、主人公の受くんがなぜ疼痛外来を希望しているかというと、12年前に同学年(年子)の姉を小児ガンで、末期は痛みに苦しんで亡くなっているからっていう結構なトラウマがあるんだけど、それが語られるのが中盤を過ぎてからなので、最初のえろいシーンがヘンタイ鍼ごっこ(アカハラ)で、受が能無し医師に言いようにされている理由があまりはっきりしなくてちょっと残念。作者は「麻酔医を書きたかった」とあとがきで語っていて、珍しいなあと思った。麻酔医って人気ないと思うんだけど。実際、外野からだとなにやっているのかわからない人たちだよね。裏方だし、臨床って言ってもあんまり患者と直接接する機会もなさそうだし。あ、だから敢えて外来希望なのね。昔、手術シーン撮影の立会いでオペ室入ったことがあるけど、ずっと技師さんだと思っていた人が麻酔医だったというとんだ失礼な勘違いをしたことがあった。それぐらい目立たない。地味~なので予算がないと真っ先に切られる科だったりするんじゃないのかな(実にテキトーな想像)。それはさておき、受はアカハラに遭ったあと、行きつけのジャズバーでいきなりセッションを開始する。はい、実はこの研修医は音楽家一家のサラブレッドで玄人裸足のピアノを弾くのでした。できすぎ~。この店のオーナー(主人公と幼馴染じみ)が実は昔から主人公が好きで、それに気づかない鈍感主人公が、オーナーの前で出会ったばかりのアマチュアダブルベーシスト(謎の攻)と懇ろ(死語?)になる。そして最初のドッキングシーンはいきなりお浣腸だった。びっくり。こんなの初めて~。互いの仕事ぐらい探り合えよ!とか思った。初めての相手(ベーシスト)が実は新たにアメリカから赴任してくる自分の上司だったというミラクル展開(でもBLでは実に王道)で、病院で合うと別人のごとく冷たいので、せっかく好きになったけど諦めようとする受。行きがけの駄賃にちゃっかり幼馴染と慰めあったりして(しかも検査日でぐったりしているのに鬼だ)、あらら二つの恋が交錯するのかしらと思いきや、ぐるぐるしつつ元の鞘に収まるのだった。オーナーと主人公のエピソードは使い捨てにするにはもったいなかったなあ。彼は恋心というにはあまりに幼い思慕を抱いていた主人公の姉の死による心の傷のみならず、自らがメラノーマにかかって根治術を受けたものの、悪性腫瘍なので5年間再発しないことを願っている最中。多分精神的につらい期間だ。でもって主人公を実はずっと思っているというなんだか可哀想な設定。医者と飲み屋という格差を気にしてか、主人公がもともとはノンケなので最初から諦めているのか、そぶりも見せずに長年付き合っているというじれったい恋。「あと4年経って再発しなかったら告白する」とか言っちゃって、そんな暢気な・・・。再発して死んじゃったらどうすんだっ!音楽と医学、両方盛り込むのはちょっと無理があったような。医者にとっての音楽なんて片手間の趣味にすぎないし、セッションシーンがうまければうまいほど、本業はどうなのよとか考えちゃう。そういえば先日夏井先生がテレビに出ていて、個人的にはピアノの難曲のシートコレクターとして存知あげていたので(もちろん「傷は消毒するな」の先鋒としての業績も知っていた)、やっぱりテレビに出るときは音楽オタクとしてではなく医師としてなのねと思ったり。だんだん中央に近づいてきていてビックリした。いまは茨城か。怪我したら見てもらおう(笑)。
2009.09.10
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日曜に撮ってもらった猫写真。早速宅ファイル便で送ってくれた。欠伸のシーンとか、ちゃっちい写メではどうしてもスピードが合わなくて撮れたためしがないので、マニュアルのカメラと腕があれば撮れることがわかった。「ブログに載せるけどクレジット入れたほうがいい? 要らぬ迷惑がかかるかもしれないけど。そして私のブログは教えないけど(笑)」一応プロなので、おうかがいをたててみる。「いいっすよ。練習のつもりで撮らせてもらったし。ご馳走のお礼のつもりだし」ということでお礼に営業も兼ねて彼のブログを貼り付けようかともおもったけど、どこでアシがつくかわかんないからなー。ごめんねSくん。仕事先はちゃんと紹介するからさ。あんただれ? まだちょっと警戒カメラマンは必ずこの構図撮るなあ。猫と同じ目線。片耳がまだビビってる。あんただれ? 珍しく黒い子が興味津々。くわぁっ! おおお~獣っぽいじゃないかおまえ。やっとカメラ目線に。緊張の取れた前脚がまた・・・(←猫ばか)
2009.09.09
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ホテルには装置産業系とサービス産業系があるという話を、先日某セミナーで聞いてきて、主題は地域包括ケアというお題目だったのだが、非常に面白かった。まあつまるところハードかソフトかという問題なんだけど。今、厚労省の社会保障審議会などの会議を傍聴すると、2050年までの人口動態のグラフが必ずくっついてくる。曰く団塊世代が後期高齢者になる2025年には、高齢者人口は現在の2倍になって、しかも多くが大都市に集中しているから(団塊の人たちが集団就職で大都市にやってきて定着したから)、大都市の介護問題は深刻なる。今、郊外の一軒家を処分して都心の高層マンションに移り住んできたシニア層が、認知症になったり重介護が必要になったらどうなるか。そこまで先を見越して終の棲家を考えないとだめじゃん、という話だった。現に超高層マンションを作りまくっているゼネコンの幹部は誰ひとり高層マンションになんて住んでないよ~と自虐ギャグが入っていた。つまり、都心の高層マンションが空洞化したらどうなるの?という話だったんだが。そうなんだよ。22階に住んでいた友人夫婦は、どうにも常に脳が緊張している状態で神経が休まらず、8000万で買った分譲をわずか3年で売っ払って低層マンションに引っ越していった。私なんか5階に住んでいても出不精で1階の郵便受けにすら行くのが面倒なのに、高層棟になんか住んで仕事もしなくなったら、確実に孤立死するな。部屋の前まで届けにくるのは宅急便と生協の個配だけになって、友人たちも軒並み年をとるから、敷地からエントランスを抜けてエレベーターに乗るだけでも数分要するような家には誰も遊びに来ない。景色なんか3日で飽きる。お台場なんてきっとそのうち海に沈む(笑)。4億5000万の分譲が売りに出されていた有明の高級高層マンションも、当初、でかでかと書かれていた価格は、そのうち消されてなくなった。相当ダンピングしているとみた。若いうちはああいうとこ住むのにあこがれるけど、からだが動かなくなったときのことを考えようよ、みんな。40過ぎるとさ、明日は50、あさっては60、来週は70かってぐらい時間が経つのが早いんだよ~。セミナーで出されたお弁当。これ知ってる。デパ地下で1000円くらいのおこわ弁当ちなみに地域包括ケアというのは大病院や施設のような20世紀型システム(集中)から21世紀型システム(分散)への移行の形態。立花隆さんも書いていたから、集中管理という手法はもう古いのか。
2009.09.08
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『ワケアリ』中原一也このジャンルの本にしてはめずらしい、無精ひげ・腕の剛毛がまぶしい表紙が目を引いた。この作家さんの本は、ちょっと前に天然オヤジものを読んで、なんだか不思議な話だったという記憶が。そういえばタイトルも、今回の本と似ていたような。なんだっけ。さて、遠洋マグロ漁船ものである。初めてだよこのジャンル(笑)。烏城さんの許可証シリーズも、化学薬品だったかの製造現場が舞台で、あまりの特殊環境設定とどこかの海賊攻に良く似た性格の攻が出てきて悶絶ものの面白さなんだが、だれかの作品に『北の漁場』という漁師BL(?)があるのは知っていた。表紙が山田ユギさんだったからインパクトあるので覚えているけど、あれもマグロ漁船だったのだろうか。それにしても…マグロ漁船かあ。立ち入れないどころか、外からうかがい知れないという意味では、相撲の土俵より女人禁制の場所だな。残念ながら船の規模、乗組員人数、役割が明確にされていなくて、数人の幹部の役職と漁法について知ることができる程度だったが(一体BLになにを期待しているんだ自分!)、あの逃げ場のない環境のなかでは、きっかけがあれば容易にこういうことは起き得るだろうなあという話だった。えーと、お話はミドル30代船長×ワケアリ美青年(豪腕・武術の嗜みあり)でも妄執のあまり地の果てまで弟を追ってくるチャイニーズマフィアみたいな受の兄や、剛三という名前のオカマちゃんがおねえ言葉でマグロ漁を刷るお笑い部分のほうが強烈で、肝心のラブは攻がじらされている割には(なんつうか自発的おあずけ状態)、なにのシーンは濃厚で何回もあった気がする。それにしても、あんな美形な魔性の受がよもやマグロ漁船に乗っているとは誰が想像できるだろうか。しかもスーパーチャイニーズマフィア(多分)の係累にしていろんな意味で隷属していたスーパーマン。この受はありえないよな。でも漁業ものは初めて読むせいか、面白かった。一番ツボだったのは、漁労長がクリスチャンでワケアリの困った男たちを次々船に乗せてきた、というところだった。あはは~人類皆兄弟。お前は神父か!挿絵の高階さん、好きなレーターさんではあるけれど、この内容には合わないよなあ。きれい過ぎる。もっと魚くささとか男だけの世界のニオイの感じる豪快なイラストが見たかった。
2009.09.07
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日曜は、独立したての若手カメラマンSくんが、我が家の猫の写真を撮りにくる。ついでにスチール棚の組み立てと設置を依頼。若者男子は徹底的にこき使う所存。トリガラみたいに痩せている彼に、思いっきり料理を振舞って、まずは餌付け(笑)。これ、チマチマ系好きなのでたまに買うRF1のおつまみセット。サーモン、生ハム、キッシュ、ポテサラ、生春巻きなどてんこ盛り。二人でワイン飯の時によし。1260円手をかけたものは作らず、昼ごろデパ地下に行ってお惣菜とビール党の彼のために手羽先から揚げを買っておしまい。あとは金曜に買ったチーズと生ハム、生野菜とチンした根菜をたくさん入れてオリーブまるごと散らして、アンチョビ使ったドレッシングでイタリアンサラダをつくる。「チーズうまいっすねえ」・・・サラダを褒めてよ(怒)。Sくん、動物好きにもかかわらず野良には相手にされないから、我が家の愛想好しを撮って撮って撮りまくっていた。よしよし。好きにおし。最近買ったばかりというニッコールの重いレンズを大事そうに扱う姿に萌える。レンズ1本20万は、20代の身には高かろう。最初からデジカメでしか仕事していない彼は、「こないだ初めてアナログの仕事して、ちゃんと撮れているかどうかドキドキしましたよ」と、アマチュアのようなことを言う。まじめな子なので、被写体とどう向き合うかを常にぐるぐる考えている。そこでおせっかいなおばさんは、ここぞとばかりにアニー・リーボヴィッツのドキュメンタリーを見せたら、やはり食いつくようにして見ていた。アニーが使っていたブローニーのカメラはマミヤ製だとか、装置つければ自動巻上げも出来るのに、あえて手巻きにしていてかっこいいとか、アナログの情報も持っているくせに(ちょっとスペックオタクっぽい)、扱うのはデジなんだね。時代は変わる。私がへんしうかけだしのころは、フィルムの缶(何百メートルも入っているでっかい薄い丸缶)から暗幕でつくった袋の中に手を入れてパトローネにフィルムを巻きとる作業もやっていたのになあ。それで自分で32ミリレンズで物撮りしていた。コダクロームのネオパンも今はもうない。デザインも最初からデジタルって人が増えているけど、アナログの頃の、できることは限られるけれどその中では自由度の大きい仕事というのも、なんか最近懐かしいんだよね。変わらないのは書き手だけか。最近はもう雑誌編集部には専用原稿用紙もないときいて、ちょっとさびしく思ったり。いわんやレイアウト用紙においてはをや。そういやフリーの頃の確定申告時に、パソコンを経費で落とそうと思ったら税務署員に「フリーライターさんは鉛筆一本で仕事できるんだから、こんな高額な耐久消費財は経費としては認められない」とか言われて頭にきて大喧嘩したのを覚えている。鉛筆一本って、いつの時代の話だよ(怒)。あとからちゃんと、領収書を分割してもらう技とかリースにして減価償却する方法を先輩に教えてもらったけど、飲食代や本代がどれだけかさもうと、デザイナーやカメラマンが100万単位の仕事道具そろえないといけないのとはケタが違って、なんか末端仕事の悲哀をひしひしと感じていたものだ。今も似たようなもんだけど。そして休日に二日続けて客が来ると、いかな大工要員といえどもまったく休んだ気がしないのだった。
2009.09.06
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金曜は小田原の先まで仕事で行ってきたのに、帰りに箱根にもよらず温泉にも入らずまっすぐに帰ってきた。というのも土曜は久々にワインのみの友人(♂)が遊びに来るので、俄然張り切って松屋地下のチーズ王国へ寄って、久々に美味しいチーズと生ハム、ピクルス類で贅沢家飯をしようと考えた。ああ~懐かしいチーズ王国! 去年の初め頃、フレッシュチーズがいきなり2割も値上がりしてから、ただでさえもあの店に行くと歯止めが利かなくなるので、敢えてしばらくがまんしていた。そしてワイン飯を止めると、ダイエットを意識しなくても体重は自然に落ちていくのだった。かつて家飲みワインはダース買いしていた。ええ、きっぱり酒飲みでしたとも。でもよる年波でめっきり酒に弱くなって、ワインも1本平気で空けていたのに、最近は半分がせいいっぱい。酒に負けないまなかいをそろえようとすると、自分の食基準でいうとどうしても高くつく。ならば夏だし、しばらく(家では)禁ワインと決めていたら、お金は減らず体重は減った。なんというエコ!でもまあ、たまにはいいかとチーズ三種とピクルス2種、生ハムはスペイン産2種、イタリア産1種を少しずつ切ってもらって、あとは浅野屋の軽井沢レザンを買って、あっという間に福沢さんとお別れ。外食より高くつくから嫌いだ(涙)。チーズはいつものブリー・ド・モーとハーブのダフィノア、クリームチーズはみずみずしいマスカルポーネが入荷したばかりだというので、味見したら明太クリームパスタにちょうどいい軽さだったので買ってみた。もちろんいつものクラッカーも忘れずに。やっぱりおいしいよ。美食もたまには許してもらおう。
2009.09.05
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土曜のこと。新潟で設計の仕事をしている友人(大阪人)が上京。店舗設計(ファサードと内装)がメインの人で、「人気のスポットに行きたいから案内して。お礼は食事で」と言うので、先日行ったばかりのミッドタウンの2~3階がゆったりしていて大人な雰囲気だったので、連れて行った。「ほええ~贅沢なつくり!」と一言。床材(オールフローリング)、天井高、通路幅、店舗間の動線、どれをとっても東京ではありえない空間だそうだ。そういえば、ここは人が多くても息苦しさがない。そうか空間が広いのか。照明も通路は抑え気味にしているところは、北ヨーロッパのショッピングモールに似ているとか。「でも、長くもたないな」とも。「見てみ、客は入ってるけど、誰も買ってない。見てるだけで満足してる。これじゃテナント入れ替え速いやろ。みな赤字で撤退や」ダメ押しに、無駄な陳列多くて売上の坪単価も悪そうだと。「だってそりゃ不景気だし」と私。「ようわからんコンセプトの店ばっかりや。あんた、ここで高額商品買う気になれるか?」3階の雑貨やファニチャーの店を巡りながら彼はこうつぶやいた。あ~そういえば。確かにセンスのいいもの置いているけど、すごく凝った逸品と、地方の人気商品かもしれないけどカレールーを一緒に売ったりしている。コンセプトショップなら、そのコンセプトとやらを知りたい、と思うような品揃えなんだよね。なんだろ、シャネルスーツとユニクロを並べて売っている、みたいな。「ホラ、これな、一枚板のテーブル、780万。でこっち。なんけようわからんせっけん。580円。店員にどこまで説明求められる?」あの~その石鹸は一応、フィレンツェかどっかのオーガニック品なんですけど。銀座に専門店もあるんですけど。でもたしかに、1点ものの素敵なものはあっても、基本、雑貨屋だから店員に専門知識は要求できないかも。7桁以上のものを買って品質保証もないなんていやだ。それならデパートか専門店に行ったほうがいい。ということは、私も見るだけで買わないな、きっと。全体が和のテイストで統一されているショップで売っていた久留米絣の日傘が素敵だったけど、よく考えたら子供の頃祖母が着ていた着物の柄とおんなじかもと気がついた。懐かしさのあまり血迷うところだった。 で肝心の食事がさ~。「ヌーベルシノワが食べたいの」と伝えていたのに、「知ってんのはここだけ」と連れて行かれたのがまたもや南国酒家だった。なんだなんだなんだこの夏のこの誘い受けは。これで3回目。まあ、ここも空間は広いから、混んでいても周囲が気にならない店だし、夜のフロアスタッフのサービスはなかなか行き届いていルカら、文句は言わないけどさ。こないだとはちがうコースだったのがせめてもの救い。そして甕出しのおいしい紹興酒をいただきながら食べた品々。 彩り四種冷製盛り合わせふかのひれ、ずわい蟹と冬瓜のとろみスープ 青森県産いたや貝、麦イカとにがうり、甘辛ピーマン、、夏野菜のガーリックスパイシー香り炒めこだわり天然エビのチリソース煮 おこげ添え 鱧の香り揚げ 青柚子胡椒風味骨付きラム肉の香りソテーオリジナルソース仕立て 青茄子添え 彩りいろいろ野菜入りあんかけやきそば季節のフルーツ入り杏仁豆腐全8品。中華でラムチョップ食べたのは初めて。しかもお箸で切れるやわらかさ。中華で圧力鍋使うんだろうか? それにしても美味。相変わらず薄味→濃い味のグラデーションが見事な並び方。骨きりした鱧を片栗粉で揚げて柚子胡椒でいただくって、ほとんど和食だな。おいしい。そうそう、新しい紀伊国屋のビルがねー、へんなカタチなんだよ~と言ったら、帰りにわざわざタクシーを遠回りさせて見たがった。で、一目見るなり「あれはオーバーハングなんだよ。別に珍しくない」とばっさり。そりゃ失礼。
2009.09.04
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『優しくて冷たい果実(後編)』たけうちりうとあ~おいしかった。じゃないわ、おもしろかった。満腹満足。幸せ~。もう感想なんてどうでもいい。よいお話だったわ。老舗料亭乗っ取りの陰謀も片付いて、若き亭主と板前のほんわかラブ。年下だけど雇用主だから上手に出てリードしている亭主が健気。命令口調でも受なんだがね。惜しむらくは、この主人公の通草(あけび)くんが、落ち着き払っていてとても20歳とは思えないところだ。実はその落ち着きぶりは天然のフリーズ体質だったりするんだけど、それにしても人のあしらい方がお見事。誰に対してもこういう対応ができればなあと架空の20歳の日本料理店亭主を尊敬してしまう。先に読んだユーレイ刑事のお話もそうだったけど、これもタイトルが抽象的すぎるよ。隠喩がストレートに通じるほど熟練した読者相手に書いているわけじゃないのに。返す返すも惜しいなあ。そしてなんでかパレット文庫だし。BLとしては半端で脇役のほうが気になってしまうストーリーだけど、じいちゃんの孤独に気付き、50年以上前の男同士の友情以上の想いを、すべてを受け入れてくれているであろう女性を触媒にして、70代にして同居という形で叶えるなんて、なんて気の長い! そしてプライドゆえに左前になっていく老舗料亭を自分の代でやめようと決心するあたりで、不覚にも落涙しそうになった。だめだ。20歳の主人公より70代の老人の気持ちのほうがよくわかる。料理の数々については敢えて書かない。だって自宅で再現不可だもん。書いているうちにきっと、あらゆる手段を使って高級料亭予約しそうになっちゃうもん。残念ながら5代目が亭主を務める創作和風フレンチなどというのはもうさんざん食べてきたのでどうでもよくて、せっかく若いのに食通をうならせる腕前をもつ板長がいるのに、彼にじいちゃんが亭主を勤めていた「十和田」の料理を作らせないのはなんとももったいない。対価とのバランスにもよるが、フレンチのテイストが入った和食って所詮カジュアルだからさ、どうせなら庶民の手のとどかない和の世界の手間のかかりかたを読みたかった。「TOWADA」のほうの、カップルで選ぶプリフィクスとか、和の老舗はやっちゃいけないよ。ああ~ちゃんとした格式の高い料亭でゆっくりご飯食べたくなった。フレンチなんてどんなグランメゾンでも予算さえ折り合えばいけるけど、格上の料亭なんてそもそも一見さんは入れないからほとんどマスコミに露出しないし、すごいもの出しているのは知っているけどそこで食べてるえらい人たちは箸もつけなかったりするんだよ(怒)。秘書になっておそばに侍って、せめて残りを折り詰めにしてもらって帰ってきたい。なんという庶民な考え(笑)。たけうちさんの作品を読むと、印象的な台詞や修辞が多くてついマークしてしまう。ディテールが凝っていて、その感覚が自分の好みとマッチングする作家さんは、BLではたけうちさんぐらいだ。入院中、病院の不味い食事に文句ばかり言っていた祖父に対して想い人の「弟分」が言う「生きていてこそのうまい不味いだからな」とか、3種類の塩を舐めて産地を当てる料理評論家のおじさんとか、もうしびれるほどかっこいい。この作品をこれだけもちあげるのは私だけかもしれないな。そうそう、アナゴの骨抜きを説明するなら、そもそもアナゴがどれだけ小骨が多くて下処理に時間がかかるのか、魚の特性から説明してほしかった。料理人の手って、氷水にも適温のてんぷら油にも耐性があったりするけど、それらがすべて訓練のたまもので、おいしいものを客に出すためだけに使われているという、料理人伝説を書いた本はないか~BLで(笑)。あと、市場での仕入れのシーンが何度も出てきたのはよかったけど、若き板長の蛍の仕事振りをもっと読みたかった。特に鮮魚の扱い。高級料理って大量の無駄が出るからエコには反しているけど、普段つましい生活していると、たまには弾けたくなる。えーっと、小説としては、たけうちさんの作品にはよくある、「エピソードを消化しきれずケツまくって逃げる」ラストだった。もっとページがあればいいのに。いや、こういうのは最初のプロットの段階で、要素を盛り込みすぎた結果なのかな。料理シーンを削りたくなくて書きすぎたゆえに肝心のストーリーがビシッと決まらないというか。でも料理(食べること)に関心のなさそうな作家さんが多そうなBL界だからこそ、たけうちさん、もうひとふんばりしてほしい。
2009.09.03
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数週間前、日本橋三越新館地下のコリアンショップで、冷麺+ミニチヂミのセットを食べた。盛岡冷麺好きの自分にとってはそこそこ満足できるお味だったけと、お品が良すぎてあっさりしすぎていた。さすが三越高齢者対応(笑)。そこで、行ってきました銀座のぴょんぴょん舎。数年前まで銀座でも別のところにあって、もっと小さかったけど、マロニエゲート並びの新しくできた複合ビルの最上階におしゃれなレストランとして生まれ変わっていた。なんとういう出世!岩手県民の誇り(笑。もちろん皮肉っているんである。だって岩手じゃ振興後発店だったから)。オーダーしたのは三越と同じセット。 右はセットで出てくるサラダとチヂミ岩手に数箇所あるぴょんぴょん舎の店舗には過去何回か行ったことがあって、まあおいしいけれど、岩手にはもっとうまい冷麺がたくさんあるからな~と、さほど感動しなかったけど、遠く離れた東京では他に選択肢がないので、懐かしさ+希少価値も加わっておいしく感じた。三越のとはスープが全然ちがう。このわずかにとろっとした粘度はなにでつけているんだろう。馬鈴薯粉ではない気がする。ゼラチン質をゆるく溶いた感じ。そして明らかに牛スープなのに一滴の油膜も見当たらない澄んだ冷スープ。三角に切った薄いスイカ(多分、秋以降はナシ、冬はリンゴになるだろう)、煮豚ならぬ煮牛一切れ。お約束の半切りゆで卵、塩もみしてちょっと漬物みたいなきゅうり。おおお~定番にして王道な具材だ。なんが黄金分割のごときハーモニーだわ。キムチは白菜キムチの店も多いけど、ここのは大根。小さく切ってあって自分好み。そして麺も、スーパーで買える冷麺(半生)は断面が四角いけど、ちゃんと丸くて半透明。丸いとおそらく機械の性能的に生産効率が悪くなると思われる。なのにあえて丸麺。ゆえにぴょんぴょん舎の麺は岩手で買っても群を抜いて高いんだよね。惜しむらくはランチ時の手抜きなのか、キムチがね~添えてあるんじゃなくてあらかじめ冷麺の器に入って出てきた。片側に寄せてあるので、最初は辛くない状態で食べ始めることはできるけれど、「中辛、特辛、激辛」から選べるなら、小皿に入れてもってきてよ~と思った。セットのチョレギサラダと分厚いチヂミ(小3切)は普通。このセットは1250円。一番人気は冷麺+ミニピビンバの1100円だって。ソムリエみたいな兄ちゃんが空いたワインボトルだかミネラルウォーターのボトルで水をサーブしにくるのはいただけない。あの安っぽいサービスは衛生的に自分は×だ。ここ、テナント料いくらぐらいだろう。高いだろうなあ。他のフロアもほとんど1フロア1店で、リストランテ・ヒロとか結構な人気店が入っているけど、主力メニューが冷麺だけのぴょんぴょん舎、収支は大丈夫なのか? ランチ時は行列らしいけど、単価が安いからなあ。夜は逆に焼肉は専門店じゃないし、お酒の店としては半端だし、そんなに客が入るとは思えない。あの麺を使った冷麺は東京じゃ希少だから、ランチの価格設定、もっと上げてもいいと思う。こないだ揚子江菜館の1470円の冷やし中華食べたので余計にそう思うのかも。ところでこの冷麺、岩手県民には常食だけど、韓国人はどういう感想持つんだろう。今度聞いてみたい。
2009.09.02
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『3月のライオン(3)』羽海野チカあらら~毎年3月刊行だとばかり思っていたので、秋に出るとは思わなかった。ノーチェックだったので新刊売場で見かけてあわてた。そして今回も面白かった。棋士という職業の人たちが、いかにわが身をすり減らして盤上の勝負に命をかけているかがわかる。対戦前に相手を動揺させようなんて姑息な手段も、やっぱり普通にあった(笑)。ある意味、相撲より特殊な世界。10数年前、能條さんの将棋まんがにはまったことがあるけど、それ以来の興奮。なにしろ棋譜が出てくるといちいち止まってしまうので、読み終わるのに時間がかかる。ものすごい緊張感の対戦場面と、腑抜けになった零くんが月島の下町の家庭で魂を取り戻すシーンとのギャップが大きいほど面白い。風邪引いて寝込んでしまった一人暮らしの高校生って、孤立死の可能性があることに、この本読んでわかった。なにしろ友達と呼べる人がひとりもおらず、頼ることを是としない性格だからなあ。大原麗子のようだわ。対戦シーンで若い棋士たちの脳内台詞がイマドキで笑えた。「あの桂馬タダじゃね?」とか(ついてる絵がいまやってるDQのおどる宝石そっくりで爆笑した)、「オレの飛車、成れんじゃね?」とか。でもいちばん笑ったのが「適正価格とエステー化学って似てね?」だったが。作者のあとがき読むと、作品の進捗具合はどうやらまだ3合目付近らしくて、まだまだ続くっぽい。とても練られた構成だと思うので、間が空くとわけわかんなくなっちゃうから、このぐらいのテンポ(半年に1冊)くらいで出してくれるとうれしい。絵は今回、はっちゃけたシーンが多かったせいか全体に汚い。けど気にならない。それより、川本家、改築もの番組(ビフォアー・アフター)に出てきそうな不便なしもた屋で、和菓子屋やっているじいさんの収入だけでは改築費用もでないのか。もうちょっと便利に暮らさせてやりたい。あの界隈は良く知っているが、周辺全部壊して集合住宅にしないと、建蔽率の問題で建て直しできないんだよな。じいさんの長女、銀座のクラブでママやってんなら、けなげな3姉妹のために金ぐらい出してやれ。さてここから食べ物ネタ。この本読んでいる途中、零くんが食べている卵かけごはんがおいしそうで、思わず雨のなか、生でも美味しく食べられそうな卵を求めてちょっと遠くの高級スーパーまで走ったのは自分だ。選挙の投票ついででもあったけど、卵は350円だったが、この時期急に気温が下がるといつも作りたくなるアイリッシュシチューも食べたくなって、でもフレッシュラム売ってなかったので、特選和牛すね肉シチュー用を豪快に切ってもらって300g2000円。なんか高くついたぞ卵かけごはん。5年ぶりくらいで食べたけど、なんだろね、このシンプルにして懐かしい味は。子供の頃は白身のどろどろが嫌いで食べられなかったのに。そういや卵かけごはん専用醤油なんてのも数年前に流行ったな。だししょうゆを少しいれて味わった後、半生のゆかりをかけたり、じゃこを混ぜたり。和の保存食があればいくらでもごはんが食べられる。ここ数日飽食だったから、よけいにおいしく感じる。シチューは日曜に仕込んで、月曜に初めて食べた。ああ死ぬほどうまいよアイリッシュシチューもどき。相変わらず大麦は手に入らないので今回初めて米を入れてみた。こないだ食べた北イタリア料理みたいにはとろみは出ず(煮えたところでバーミックス突っ込んで粉砕すればよかった)、嵩が増えただけだったが、香草と塩こしょうタイムだけでなんでこんなにおいしくなるのか不思議。画像は去年もおととしも載せているはずなのでパスだが、久々においしいものをつくった(というか最近外食多くてまともな料理は久しぶり)。ああ~おいし~。
2009.09.01
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