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そろそろホームグランド手賀沼沿岸やさいたま市内にノビタキが飛来する時期を迎えます。今シーズンは、初列風切先にバフ色のスポットが見られる第一回冬羽と成鳥雌個体を探してみてはいかがでしょうか。第一回冬羽個体では、初列風切先にバフ色のスポットがあります。一枚目の写真に矢印をつけましたが、初列風切が幼鳥の証しで成鳥にはない特徴です。一枚目から三枚目の写真はいずれも第一回冬羽です。これに対し、四枚目の個体には、顔に黒味がありません。また、眉斑が淡褐色で、雌第一回冬羽と思われます。なお、若鳥から第一回冬羽に換羽中の個体の内側大雨覆には、白斑があります。(写真)一枚目・二枚目:2014年9月20日さいたま市内で観察・撮影三枚目:2015年9月30日さいたま市内で観察・撮影四枚目:2018年10月7日手賀沼沿岸で観察・撮影
2023.09.10
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一昨日、八柱霊園でツツドリ赤色型を観察することができました。過去に出会った赤色型の画像と見比べていましたら、風切や上面全体の地色に違いがあるような印象を受けました。一昨日の個体と2015年9月6日に野田市内で観察・撮影した個体を比較すると、一昨日の個体の方は上面が赤褐色、2015年9月の野田市の個体は上面の黒横縞模様が太い印象があり相違があるように見受けました。そこでツツドリの換羽に関して文献などを調べてみました。すると、中村(2009)に山階(1941)およびKuroda(1965)にツツドリの換羽に関する記述があることが紹介されていました。山階(1941)には幼鳥では8 月中旬より体羽の換羽に入り越冬地で換羽を行い、春季までに第1回冬羽を完成して風切および尾羽は換羽しないとあり、Kuroda(1965)には成鳥雄の換羽が左右対称に起こらないこと、幼羽は黒褐色であり成鳥羽は灰色の成鳥羽であること、風切羽に新旧の羽が混在すること、10月の雌では尾羽右外側より数えて第1、2、3 羽と,左の外側より第3羽が換羽中(ほかは未換羽)であったことが紹介されていました。なお、上記以外の文献ではツツドリの換羽に関する記述は見つけられず、ツツドリ赤色型の個体差について触れているものはありませんでした。しかし、永井(2014)が上面全体により赤褐色が鮮明な個体を雌成鳥赤色型と図示しており、一昨日の観察個体と近似している印象でした。2015年9月の野田市での観察個体の上面や風切がより黒褐色が強い印象があり、幼羽の可能性も考えられます。なお、一昨日の個体と2015年9月観察の個体を比較すると、胸の赤褐色の部分の幅が一昨日の個体の方が太く色がより濃い印象があります。いずれにしても、もっと観察を積み重ねる必要を痛感しました。(引用)中村茂.2009.大分県におけるホトトギスとツツドリの換羽について.日本鳥類標識協会誌第21巻第1号.p31–34(写真)一枚目、三枚目:2023年9月7日松戸市八柱で観察二枚目:四枚目2015年9月6日野田市内で観察
2023.09.09
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ホームグランド手賀沼に6日コガモが飛来したと鳥友から知らせをもらいました。飛来したばかりの雄は雌のように目立たない羽衣(エクリプス)です。エクリプスからの生殖羽までの羽衣を整理してみました。(1)雄エクリプス一枚目(2016年9月14日手賀沼)、二枚目(2020年10月4日柏市柏の葉)はいずれも雄エクリプスです。嘴基部が黄色味を帯び、頭上から過眼線まで濃く見えます。肩羽の模様が雌に比べると細く羽軸に直角になる傾向があります。雄幼羽は胸から腹にかけて小斑があり、脇最前列の羽が成鳥より小さくV字となっていて雄エクリプスでは丸みを帯びています。(2)エクリプスから生殖羽に換羽中三枚目の写真は、2019年11月3日に手賀沼で観察・撮影した個体です。脇最状列の各羽が丸みを帯びています。(幼羽は尖り気味)肩羽には第一回生殖羽のように白い明瞭な線はありません。(3)雌非繁殖羽四枚目の写真は、2020年1月4日に手賀沼で観察・撮影した個体です。嘴は黒色で基部には黄色味はなく、上面は雄エクリプスに比べて褐色味があり、淡色の羽縁があることから雌非生殖羽と思われます。(4)雄エクリプスから生殖羽に換羽中五枚目の写真は、2020年12月12日に手賀沼で観察・撮影した個体です。肩羽に細い横斑があり、脇が大きめで丸みがあります。(5)雄生殖羽六枚目の写真は、2021年2月17日に谷津で観察・撮影した雄生殖羽です。栗色の頭部、目の周囲から後方に広がる緑色の帯があり、嘴は黒色です。下尾筒は黒く、両側に黄白色の三角斑があります。脇との境に水平な白線があります。(6)雌生殖羽七枚目の写真は、2016年3月27日に成田市内で観察・撮影した個体です。非生殖羽に比べて全体的に褐色味があります。
2023.09.08
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秋の渡りの時期、カッコウ科の鳥類が公園、霊園などに立ち寄る姿を見かけます。識別ポイントは、鳴き声、大きさ、上面の色、体下面の横斑、下尾筒の色と横斑、初列風切の横斑、虹彩の色です。(1)腹の横斑カッコウ科のジュウイチ、カッコウ、ツツドリ、ホトトギスのうち、腹の白地に黒色横斑があるのはカッコウ、ツツドリ、ホトトギスです。カッコウの黒色横斑は細い11~13本、ツツドリは間隔の広い太めの横斑が9~11本、ホトトギスは太めで間隔のある黒色横斑が7~9本です。なお、ジュウイチには横斑はありません。なお、カッコウは後頭に白斑があります。一枚目の写真は昨日八柱で観察したツツドリ、二枚目の写真は2022年9月7日に都内で観察・撮影したツツドリです。三枚目、四枚目は2017年9月2日野田市で観察・撮影したカッコウです。(2)下尾筒の横斑と色下尾筒に注目してみると、ジュウイチ、ホトトギスには横斑は見えず、カッコウ、ツツドリには黒色横斑があります。また、カッコウでは白地に細かい黒色横斑、ツツドリでは淡いバフ色にはっきりとした黒色横斑があります。一枚目も二枚目のツツドリと三枚目、四枚目のカッコウを比較してみると、違いがおわかりいただけるものと思います。
2023.09.06
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昨日、ツツドリの動向を把握するために東葛地区を探索しました。そのうち、柏の葉キャンパス駅近郊の調整池の一角で褐色味を増したホオジロを発見しました。ホオジロ夏羽の雄は、目先から耳羽後方まで黒一色。なるほど言われてみればそう見えます。ホオジロは秋に完全換羽して冬羽にかわります。夏羽では羽が摩耗するだけで色味が変化します。各羽先が擦り切れ羽毛基部の色の濃い部分が露出するので褐色味(黒っぽく)に見えます。一枚目、二枚目は昨日観察した個体、三枚目は2022年8月16日に同地で観察、四枚目は2022年8月11日手賀沼沿岸で観察、五枚目は一枚目から四枚目と対比する意味で5月のホオジロ雄(2021年5月24日印旛沼で撮影)です。(参考:ホオジロの亜種)環境省(2011)が報告しているように、夏羽の雄では,耳羽が黒いのは日本産の亜種ホオジロE. c. だけである。したがって,夏羽の雄であれば,耳羽の色が黒色であるか,または赤褐色であるかを調べることにより日本産のホオジロである亜種ホオジロか外国産のホオジロかを識別することができます。(引用)環境省.2011.ホオジロ識別マニュアル.p4.
2023.09.04
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9月に入りエゾビタキが飛来したとニュースが届く時期となりました。その識別での参考資料を提供します。(若鳥と成鳥の識別)エゾビタキは、胸から脇腹にかけて縦斑があります。太くてより明瞭なのが若鳥、太くないのが成鳥です。一枚目の写真は、2021年9月8日成田市で観察・撮影した若鳥です。二枚目の写真は、一枚目と同地で観察・撮影した成鳥です。(嘴の形状で近似しているサメビタキ、コサメビタキと比べてみる)エゾビタキの嘴の形状を下から見ると、二等辺三角形で内側に凹んでいます。あいにくエゾビタキの写真しかありませんが、サメビタキは嘴が短く正三角形をしています。また、コサメビタキは二等辺三角形で外側に膨らんでいます。三枚目、四枚目の写真はエゾビタキを下方向から見たものです。(嘴の形状に関する引用文献)渡辺修.2003.考える識別・感じる識別.Birder.第17巻.第5号.p105.文一総合出版.渡辺修.2015.夏から秋に見られるヒタキ・ツグミ類識別ポケットガイド.Birder.第29巻.特別付録.
2023.09.02
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東京湾や内陸の湖沼ではほぼ通年ミサゴの姿を見かけます。鳥友から雌雄をどのように識別したらよいかと問い合わせをもらいました。森岡ほか(1995)は、日本のワシタカ類の分布、野外での見分け、生態などについての知見を整理し報告しています。ミサゴの雌雄については、「成鳥の雄と雌はほとんど同じ羽色を持つが、大きさと胸帯にわずかな性差があり繁殖つがいが並んだ時には識別できることが多い。平均的には雌の方が15%強大きい。雄では前頸に斑がないかわずかしかなく、胸帯の幅が狭くかつ黒色斑が少ない。雌では前頸に羽央が暗褐色で幅の広い白色羽縁がある羽毛が並び胸は一様な暗褐色または暗茶褐色である。(中略)時には胸の中央にほとんど黒色斑がなく茶褐色のシミのように見える雄や胸側に黒色斑が少しあるだけの雄やまったく斑がない雄がいるがこのように極端なものは常に性の識別が可能」と記しています。また、幼鳥については「すでに胸帯の大きさに成鳥同様の性差が現れているものと思われる」と記しています。多くの図鑑は、雌雄同色と記していますが、いくつかの図鑑と文献では胸の帯の太さまたは濃さについて言及しています。永井(2014)は、「雄の胸の褐色帯は雌より細く淡い。雌の胸の褐色帯は雄より濃く太い。若鳥は雌でも胸の褐色帯が淡く雌雄の識別は困難」と報告しています。叶内(2020)は、「雄成鳥の胸の帯は細く目立たない。雌成鳥の胸の帯は太い。幼鳥の胸の褐色部は多少ある」榊原・森・佐藤(2021)が「成鳥は後頸から上尾筒までの体の上面と雨覆は暗褐色で、頭頸部と体の下面が白い。雌は胸の黒斑が濃く、雄は胸の黒斑が薄い傾向がある。しかし黒斑の濃い雄もいるため、雌雄の判定には注意が必要」と指摘しています。(図鑑・文献の記述から)ミサゴ成鳥雄にはいくつかのタイプが存在していると整理することができます。(1)胸の中央にほとんど黒色斑がなく茶褐色のシミのように見える雄(2)胸側に黒色斑が少しあるだけの雄(3)胸側に斑がまったくない雄また、ミサゴ成鳥雌については、胸は一様な暗褐色または暗茶褐色と整理することができます。最後に若鳥については、胸の褐色部は多少ある、雌でも胸の褐色帯は淡く雌雄の識別は困難と見解が分かれるので決め手にかけます。これからも野外で丁寧に観察していく必要があると痛感しました。(写真について)一枚目の写真は2017年9月3日の茨城県稲敷市で観察・撮影した個体です。永井(2014)、叶内(2020)で雌と記されているものと同様に褐色帯は濃く太い個体です。二枚目の写真は、2022年10月24日に谷津干潟で観察・撮影した個体です。ほぼ一枚目と同様ですが、頭が白く目立ちますので雌若鳥ではないかと思われます。三枚目は2015年3月28日に茨城県稲敷市で観察・撮影した個体です。胸の褐色帯は二枚目の個体に比べると細い感じがします。四枚目は、2017年7月8日に茨城県稲敷市で観察・撮影した個体です。胸の帯は淡く若鳥ではないかと思われます。(引用)森岡照明・叶内拓哉・川田隆・山形則男.1995.日本のワシタカ類.p10-21.文一総合出版.永井真人.2014.野鳥図鑑670.p28.文一総合出版.叶内拓哉.2020.フィールド図鑑日本の野鳥.p210-211.文一総合出版.榊原貴之・森 航大・佐藤和人.2021.ミサゴ.Bird Research News.2021年5月.p1-2.
2023.08.29
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アメリカウズラシギはシベリア北部や北アメリカ大陸の北部で繁殖し、南アメリカ大陸南部やオーストラリアで越冬するとされています。秋、ごく少数が日本に立ち寄ります。かつて茨城県南部の水田地帯にあった休耕田に2011年7月に飛来しました。どこかで再会できたらと思いつつ、特徴とウズラシギとの違いを整理してみました。(観察したアメリカウズラシギの特徴)一枚目から三枚目の写真は、2011年7月23日に茨城県河内町古河林で観察・撮影した個体です。喉から胸まで密に縦斑がありました。腹以下は斑はなく、境界線ははっきりとしていました。また、肩羽の羽縁に白色が目立ちました。眉斑には褐色斑が入っており、ウズラシギの眉斑のような白さは目立ちません。前記のことからアメリカウズラシギ幼鳥と思われました。(ウズラシギの羽衣)四枚目は2021年9月24日に茨城県稲敷市で観察撮影した個体です。上面の各羽に黒褐色の軸斑があり灰褐色の羽縁があることから冬羽に換羽しているものと思われます。五枚目は、2021年10月18日に茨城県稲敷市で観察・撮影した個体です。白い眉斑、胸に赤褐色味があること、下腹に縦斑があることから若鳥と思われます。六枚目は、2019年9月24日に茨城県稲敷市で観察・撮影した個体です。胸が明るい橙褐色で縦斑が少ないので若鳥と思われます。
2023.08.27
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中型のシギの中でスマートなアオアシシギとコアオアシシギはファンの多い種類です。画像とその特徴をアップしたものを提供します。(アオアシシギ)(1)夏羽一枚目の写真は、2017年5月17日に千葉県印西市、二枚目は2017年7月31日に茨城県稲敷市で観察・撮影した夏羽です。上面は軸斑などの黒色が多く、胸から喉まで斑が密にあります。長い嘴はすこし上方向に反っています。(2)冬羽三枚目の写真は、2016年9月10日に茨城県稲敷市で観察・撮影した冬羽です。上面は灰褐色で羽縁が白く、丸みがあるのが特徴です。(3)幼羽四枚目の写真は、2018年8月26日に千葉県印西市で観察・撮影した幼羽です。上面は灰黒褐色で各羽に白い羽縁があります。各羽の先端が尖り気味に見え成鳥のような丸みがありません。(コアオアシシギ)嘴は針のように細く尖り、アオアシシギのように嘴が上方向には反っていません。(1)幼羽五枚目の写真は、2018年8月26日に千葉県印西市で観察・撮影した幼羽です。上面は黒褐色の軸斑が目立ちます。褐色味が強いことから幼羽初期の個体ではないかと思われます。六枚目の写真は、2019年9月15日に茨城県稲敷市で観察・撮影した幼羽です。下面の白さが目立ちます。(2)幼羽から換羽している個体七枚目の写真は、2017年9月3日に茨城県稲敷市で観察・撮影した個体です。上面が灰色味が強く、下面は白く見えました。(3)幼羽から第一回冬羽に換羽中の個体八枚目の写真は、2018年10月6日に茨城県稲敷市で観察・撮影した個体です。三列風切に幼羽が残っていることから幼羽から第一回冬羽に換羽中のものと思われます。
2023.08.23
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三番瀬はシギ・チドリファンに大人気のフィールドですが、ウミネコの羽衣のいろいろを観察できる探鳥地でもあります。昨日も幼羽、第一回冬羽、夏羽、夏羽から冬羽に換羽中の個体を見かけました。昨日と過去の画像の写真をアップし、特徴をおさらいしてみました。なお、撮影地はいずれも三番瀬です。(幼羽)一枚目の写真は、昨日観察した幼羽です。全身が黒褐色で上面には鱗状の模様があります。虹彩は黒いです(成鳥は黄白色、第二回冬羽はやや暗さのある黄色)(第一回冬羽)二枚目の写真は、昨日観察した幼羽が第一回冬羽に換羽中と思われる個体です。嘴がピンクがかっており先端が黒色です。全体に褐色がかりますが、肩羽に変化があり少したつと灰色に変化するのではないかと思います。(成鳥)三枚目の写真は、2021年8月11日に観察した成鳥です。嘴の先端から赤、黒、黄色となり、虹彩は黄白色、頭が白くなっています。四枚目の写真は、2020年8月10日に観察した成鳥です。後頭が灰色がかっていて夏羽から冬羽に換羽がはじまった個体と思われます。五枚目の写真は2017年8月6日に観察した成鳥です。ほぼ三枚目の個体と同様ですが、後頭がそばかす状で成鳥冬羽に換羽中ではないかと思われます。六枚目の写真は2018年8月11日に観察した成鳥で、四枚目と同様に後頭が灰色っぽく変化していますので冬羽に換羽中の個体と思われます。
2023.08.22
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昨日、谷津干潟で遭遇したオオメダイチドリと過去で出会った個体の復習です。一枚目と二枚目は、昨日観察した個体です。頭頂にの丸みがあり、嘴と足がメダイチドリより明らかに長く、上面の羽縁が白いので第一回冬羽と思われました。三枚目は2020年9月5日に三番瀬で観察・撮影した第一回冬羽です。頭頂の丸み、嘴と足の長さ、上面の羽縁の白さにくわえて足が黄緑色です。(メダイチドリは、頭頂が平たく足は黒色で嘴は短く太い)四枚目(2020年8月21日三番瀬)、五枚目(2017年8月11日谷津干潟)は成鳥夏羽が冬羽に換羽中の個体です。
2023.08.19
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そろそろ、谷津干潟、三番瀬、茨城県南部の水田地帯などにキリアイが姿を見せる時期になります。その羽衣のいろいろを復習していました。(1)独特の顔つき頭側線が眉斑と上の白線の間にあり白い眉斑が2つに分かれるように見えます。嘴は長くて幅の広く、先端付近で下に曲がります。五枚目(2012年9月1日谷津干潟)、六枚目(2016年8月14日谷津干潟)の写真は、眉斑、頭側線、頭央線の特徴を理解していただくためにアップしました。(2)成鳥夏羽一枚目の写真は2021年8月28日に茨城県稲敷市、二枚目は2015年9月12日に谷津干潟で観察・撮影した成鳥です。夏羽は軸斑が黒褐色で白い羽縁と赤褐色の羽縁があります。背にV字に見える白線があります。8月後半で見かける夏羽後期の個体では羽縁が摩耗し全体に黒ずんでいきます。三枚目の写真(2016年9月3日三番瀬で観察・撮影)のように成鳥は胸から脇にかけて縦斑があります。(3)幼羽から第一回冬羽に換羽中写真は2021年9月24日に茨城県稲敷市で観察・撮影した個体です。肩羽に灰白色の羽が出ています。
2023.08.17
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三番瀬で姿を観察できるミヤコドリ、1970年代までは限られた個体が日本に飛来していましたが東京湾、伊勢湾を中心に飛来する個体数がふえ、三番瀬では越夏するものも観察されています。澤(2016)は、ミヤコドリの形態、羽色、分布、興味深い生態などについて知見や文献に報告されている内容を整理し報告しています。中でも興味深いのが、個体による嘴の形状の違いで採餌方法や餌を特化させていること、オスの方が嘴が太く、二枚貝を採餌する割合が高いこと、内陸部で繁殖する個体では尖った形状の嘴を持つと指摘している点です。澤(2016)は、「二枚貝を主食としているが,その採餌方法は多彩である。個体により嘴の形状が異なっており,採餌方法や餌を特化させていると考えられている。例えば,嘴の先端が細く尖った形状をしている個体は、砂や干潟をつついてゴカイ類や砂の深場に潜っている貝殻の比較的柔らかい二枚貝を採餌するのに適しており、先端が鈍く幅が太い嘴を持った個体は、貝殻を嘴で叩いて突き破り、そこから嘴を差し込んで閉殻筋(貝柱)を裁断する採餌方法に適していて、そのような採餌をおこなうことが多い」と述べ、さらに「オスのほうが嘴が太く、メスよりも二枚貝を採餌する割合も高いことや,内陸部で繁殖する個体は尖った形状の嘴を持つものが多い」と述べています。(引用)澤 祐介.2016.ミヤコドリ 嘴の形状と食性の関係は.Bird Research News Vol.13 No.12.p1-2.(写真)一枚目:2019年8月31日三番瀬で観察・撮影:嘴が太く雄と思われます。二枚目:2017年3月5日三番瀬で観察・撮影:一枚目に比べて嘴が細く雌と思われます。三枚目:2018年8月1日三番瀬で観察・撮影上面の羽縁が白っぽく若鳥と思われます。四枚目:2017年8月6日三番瀬で観察・撮影手前の個体は上面が褐色を帯び、羽縁が白っぽいので若鳥だと思います。五枚目:2023年3月11日三番瀬で観察・撮影成鳥で干潟に勢いよく嘴を突き刺していた光景です。
2023.08.15
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これから秋になると、サルハマシギが単独か数羽で干潟に渡来します。ハマシギとサルハマシギは、嘴が長くて下方に湾曲しているなど、似ているので識別がむずかしいと耳にします。ハマシギ第一回冬羽とサルハマシギ幼羽を比較し、特徴を復習してみます。(1)サルハマシギ幼羽一枚目から三枚目の写真は、2014年4月29日に谷津干潟で観察・撮影したサルハマシギ幼羽です。上面は灰色でハマシギよりも足が長く見えます。サルハマシギの嘴はハマシギに比べると緩やかに下方に湾曲し、先端部分がより細いのが特徴です。(2)ハマシギ第一回冬羽四枚目は2014年9月14日三番瀬、五枚目は2020年12月28日浦安市で観察した第一回冬羽です。上面は灰褐色で各羽縁が白色です。サルハマシギに比べると嘴の湾曲は小さく、足も短く見えます。なお、ハマシギでも嘴の長い個体を見かけると耳にしたこともあるので嘴の長さでなく形状に注意するのが大切だと思います。
2023.08.13
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今月下旬頃から公園などにカッコウ科の鳥類が姿を見せ始めます。よく見かけるツツドリの成鳥と幼鳥の識別のポイントを紹介します。(1)幼鳥頭部から上面が黒灰色で淡色の羽縁があります。体下面は白くて黒褐色の横縞があります。光彩は暗黄褐色。一枚目の写真は2012年10月6日柏市内、二枚目は2018年10月18日水元公園で撮影(2)成鳥写真は、2015年9月2日千葉県野田市で観察・撮影した成鳥です。頭部は濃い青灰色で黄色のアイリングがあります。虹彩は黄色または黄褐色。嘴は黒褐色で下嘴基部に黄色味があります。(カッコウは基部に黄色味、ホトトギスは下嘴基部に黄色味)
2023.08.11
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鳥友より暮らす町に飛来するツバメの仲間について姿、巣の形、鳴き声などについて問い合わせをもらいました。ツバメ科のツバメ、イワツバメ、コシアカツバメ、アマツバメ科ヒメアマツバメをツバメ類と括り整理したものを提供します。これから、8月から9月は渡りの途中のショウドウツバメ、ツバメの塒入りを見かける時期でもあり参考となったら幸いです。(1)外観a.ツバメ:喉とおでこが赤く、尾が長い、お腹が白いのが特徴です。(亜種:アカハラツバメ(Hirundo rustica saturata)は胸から腹にかけて薄茶から茶色までバリーエーションがあります)b.イワツバメ:腰の部分が白く、尾が短い。お腹が白く、羽が短いのが特徴です。c.ヒメアマツバメ:喉と腰が白く、尾が短い。お腹が黒く、羽が長いのが特徴です。d.コシアカツバメ:腰と目の後ろが赤茶色で尾が長い。お腹と胸に縦斑があります。e.ショウドウツバメ:喉から体下面は白く、胸に褐色の帯状の斑があります。(2)巣a.ツバメ:お椀型です。b.イワツバメ:お椀型です。c.ヒメアマツバメ:羽毛を壁面に唾液で貼り付けた作ります。d.コシアカツバメ:とっくり型です。e.ショウドウツバメ:繁殖している北海道では崖に巣穴を作ります。(3)鳴き声a.ツバメ:チィチュロリ、チュリチュリ、ジュリb.イワツバメ:ジュリジュリ、ピィピィ(早口で濁った声です)c.ヒメアマツバメ:止まっている時はチュリリリリ、チュリリリリdコシアカツバメ:ジョイジョイ、チュリチュリイ、ジョイジュイe.ショウドウツバメ:ジュジュ、ジュクジュク(にぎやかな声)(写真)ツバメ:2023年5月30日、6月6日柏市内で撮影イワツバメ:2018年6月24日柏市内、2019年4月21日柏市内ヒメアマツバメ:2023年5月30日柏市内で撮影コシアカツバメ:2023年5月24日茨城県筑波山麓で撮影ショドウツバメ:2019年7月28日茨城県稲敷市で撮影
2023.08.09
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鳥友からキアシシギの成鳥と若鳥などのの識別について質問があり、画像と識別のポイントを整理しました。(1)成鳥夏羽写真は2020年8月10日に三番瀬で観察・撮影した成鳥夏羽です。頭から上面が灰褐色で過眼線は黒褐色、眉斑と下面は白くて額と頚には灰褐色の横斑があります。嘴基部は黒褐色ですが、下嘴は淡色です。翼は尾を突出しない個体が多いと解説している図鑑もありますが、同長のような印象でした。(2)若鳥写真は2021年9月6日に谷津干潟で観察・撮影した幼鳥です。上面が成鳥に比べて灰色味があり小さな白斑が点在しています。眉斑が成鳥に比べて白く見えました。(3)第一回夏羽と思われれる個体写真は2021年9月6日に谷津干潟で観察・撮影した個体です。雨覆に摩耗した幼羽があり、上面に白斑が点在していないことから幼羽から第一回夏羽に換羽中の個体ではないかと思われます。(4)嘴の溝の長さ写真は2023年8月3日谷津干潟で観察・撮影した個体です。キアシシギの嘴の鼻孔から続く溝の長さは、嘴の二分の一程度です。適切な写真がないのでアップできませんが、メリケンキアシシギは嘴の三分の二程度の溝の長さがあります。両種の識別では確認しておきたいポイントです。
2023.08.06
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そろそろ、干潟でハマシギと出会える時期を迎えます。ハマシギで日本に渡ってくる亜種は主に亜種ハマシギ( Calidris alpina sakhalina )とされ、その他にもいくつかの亜種が少数渡来していると言われています。主な羽衣の画像と特徴を整理してみました。(1)夏羽一枚目は、2014年5月4日に谷津干潟で記録した夏羽です。ハマシギ成鳥夏羽は腹部に大きな黒斑が出るのが他種との違いです。また、頭と背に赤褐色の地に黒褐色の斑があり、顔から胸にかけて白っぽく細い縦斑があります。(2)夏羽から冬羽に換羽中二枚目は2016年9月3日に三番瀬で観察した個体です。腹が黒く、肩羽に赤褐色の羽が残り、肩羽に黒褐色の軸斑がないので夏羽から冬羽に換羽中の個体と思われます。(3)第一回冬羽2010年2月6日に千葉県片貝海岸で記録した個体です。写真ではわかりにくいと思いますが、雨覆と三列風切に幼羽が残っており、冬羽にある灰褐色で細い淡色の羽縁がないので、第一回冬羽と思われます。(4)冬羽2015年2月11日に三番瀬で観察した個体です。上面は一様に灰褐色で、下面は白くて斑はありません。
2023.08.05
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三番瀬や谷津干潟にオオメダイチドリが飛来する時期になります。干潟でメダイチドリの違いを整理してみました。(嘴と足の長さ)真横から見て嘴の長さに注目してみるのが見分けのポイントです。真横から見ないと嘴が短くみえ誤認する可能性が高いものと思います。足についても明らかにメダイチドリに比べて長いのが特徴です。(その他)オオメダイチドリの頭頂には丸みがあります。メダイチドリの頭頂は平たいので嘴と足の長さを観察した後は確認したいポイントです。(オオメダイチドリの写真から)一枚目から三枚が2016年8月7日に三番瀬で観察したオオメダイチドリです。上面の羽縁が白いので幼羽から第一回冬羽に換羽中の個体と思われます。四枚目は2019年8月31日三番瀬で観察したオオメダイチドリです。上面の羽縁が白いないことから第一回冬羽と思われます。(メダイチドリ)五枚目の写真は、2020年9月5日に三番瀬で観察したメダイチドリです。翼の羽縁がバフ色で鱗状に見えるので若鳥と思われます。頭頂は平たいのがおわかりいただけるものと思います。
2023.07.28
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コゲラの頭部にある赤い羽について、図鑑ではいろいろに記載があります。鳥友から斑点なのか、羽毛なのかと質問をもらいました。というのも、千葉県柏市内でコゲラが木の幹で巣穴をほっており、その際に見えたとのこと。現地に出向いて撮影したのが一枚目の写真です。二枚目の写真は、2013年4月に柏市内で撮影したものです。(主な図鑑、文献の記載)高野(1980)は、雄では目の後方に橙赤色の小斑があるが野外では普通の場合見えないと述べています。永井(2014)は、雄は後頭部側面に赤い羽。2-4月の求愛の季節や警戒時によく見られるが見えないことが多いと述べています。石田(2005)は、後頭には赤い羽がある。普段はほかの羽に隠れて見えない。興奮するなどして頭部の羽毛を逆立てると見えることもあると記し、頭部と赤い羽根のを図示し全長は7.5mm程度と述べています。叶内(2020)は、雄の後頭部両脇には赤い羽があるが、興奮したときや風が吹いたときなど以外は見えないことが多いと述べています。(結論)赤色の斑と記載しているものがありますが、石田(2005)が述べているように赤い羽が5-10枚存在していると理解するのが妥当だと思います。また、興奮した時や風が吹いた時以外は見えないとの記載がありますが、一枚目の写真を撮影した際は巣穴を掘っていたので興奮状態とも考えられますが、二枚目の写真の個体では無風で、興奮していた様子もありませんでした。(引用)高野伸二.1980.野鳥識別ハンドブック.p213.日本野鳥の会.石田 健.2005.コゲラ 分類と形態.Bird Research News Vol.2 No.5.p4永井真人.2014.比べて識別野鳥図鑑670.p64.文一総合出版.叶内拓哉.2020.フィールド図鑑 日本の野鳥.p260.
2023.07.22
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来月お盆明けになると、早くもトケン類の渡りがスタートします。中でも見かけることの多いツツドリ、その識別についての参考情報を提供します。図鑑には雌の胸に褐色味があると記されているものが多く見受けられます。過去、フィールドで撮影した画像を復習するとともに文献ではどのように解説されているのかを見返してみました。中村(2009)は、大分県豊後大野市で拾得したツツドリについて報告しています。それによると、ツツドリは頭部と体上面が灰色で、喉も灰色であるが上胸に達していない。上胸に多数の横斑があり、錆色を帯びていたと述べています。図鑑で雌の胸に褐色味がとあるのはこのことを指しているものと思われます。古くは山階(1941)にもこのような羽色は雌の特徴であったとありました。(引用・参考文献)山階芳麿1941. 日本の鳥類と其生態第 2 巻.岩波書店中村茂.2009.大分県におけるホトトギスとツツドリの換羽について.日本鳥類標識協会誌第21巻.第1号.p31–34(写真)私のライブラリーより2016年9月4日千葉県野田市、2017年9月11日千葉県野田市、2022年9月7日都内(雄個体)で撮影
2023.07.20
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高野(1980)が述べているように、1972年5月に青森県小川湖でシベリアオオハシシギ夏羽が飛来したのが国内初の飛来記録で、その後大阪湾、熊本県、愛知県、東京湾、長崎県、兵庫県、鹿児島県、北海道で記録されたシギ科の鳥類です。東京近郊では1991年8月31日に谷津干潟(幼鳥冬羽)、1996年8月25日多摩川河口(幼鳥冬羽)、2013年7月7日葛西臨海公園(成鳥夏羽)に飛来した際に出会えました。多くの図鑑類には、ごく少数が渡来するのみと記されているものがほとんどですが、愛知県(2020)を閲覧すると、1975年以降23例の観察記録があると記され、大半が秋の幼鳥とあります。ただし、沿岸部の汽水や淡水の湿地環境が激減しており、2013年7月26日以降は渡来していない模様です。2013年7月に葛西臨海公園に飛来した個体の特徴と写真、類似種のオオハシシギとの比較をしてみました。どこかで再会できるとよいのですが。(シベリアオオハシシギの特徴)葛西に飛来した折は足の長い鳥との第一印象でした。足は黒く、嘴がまっすぐで長く、頭長の2倍より長い感じがしました。頭から胸が赤褐色、上面は黒く白い羽縁があり肩羽と雨覆の一部は軸斑が黒い。(オオハシシギとの違い)類似するオオハシシギは、足の色は黄色または黄緑色で、眉斑は頬、頸の赤みはありません。上面に黒班がありますが、シベリアオオハシシギの形状とは違いがあります。(シベリアオオハシシギは背と肩羽の軸斑は黒いのですが、形状はオオハシシギよりも複雑ではありません.オオハシシギ写真:2013年4月28日、同年5月3日いずれも茨城県稲敷市で撮影(引用)高野伸二.1980,野鳥識別ハンドブック.p151.愛知県レッドデータブック.2020.鳥類.p102.シベリアオオハシシギ.愛知県環境調査センター.
2023.07.19
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シギ・チドリの秋の渡りは繁殖を終えた成鳥が越冬地に向かって渡り始め、少し遅れて若鳥、幼鳥が旅立つとされています。茨城県稲敷市内では、オグロシギの成鳥、冬羽、幼鳥といろいろな羽色の個体と出会うことがあります。個体数も2018年9月には13羽の群れが蓮田に降り立った光景の遭遇したこともあり、このシーズンも出会いが楽しみです。過去に撮影した画像を復習して特徴を整理しました。なお、いずれも茨城県稲敷市で観察・撮影したものです。(成鳥夏羽)一枚目、二枚目は2016年6月26日に茨城県稲敷市に飛来した成鳥です。頭部から胸が赤褐色で胸から腹にかけて黒い横斑(写真ではわからない)があります。(尾羽の大部分が黒く、翼下面には模様なし)三枚目は2021年10月8日、、四枚目は2018年10月28日に撮影した尾羽と翼の特徴を記録したものです。尾羽の大部分が黒く、翼下面には模様ないのがわかると思います。(成鳥冬羽)五枚目は2022年9月15日、六枚目2018年9月22日に撮影した成鳥冬羽です。上面は全体的に灰褐色です。(第一回冬羽)七枚目は、2018年9月22日に撮影した第一回冬羽ではと思った個体です。上面に黄褐色が出てきて羽縁が白いのを観察しました。(幼羽)八枚目は、2021年8月28日に撮影した幼羽と思われる個体です。頭部から背、頸から胸・腹が橙色味を帯び、肩羽の黒褐色の軸斑はオオソリハシシギ幼鳥より黒味が強い印象でした。
2023.07.18
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1980年代までは谷津干潟で数羽のホウロクシギを観察することができたのですが、近年では出会う機会もなく寂しい限りです。以前、三番瀬で観察できた個体の写真と特徴を整理したものを提供します。(三番瀬で観察したホウロクシギの特徴)上面は黄褐色味がありますが、成鳥ほど黄褐色味は強くない感じがしました。頸から腹にかけての縦斑が細かく、嘴は成鳥よりも短く、若鳥と思われました。なお、羽を広げたシーンを記録できれば、ホウロクシギの下雨覆には褐色の斑が散らばっていて翼下面は白く見えない点がわかったのですが、そこまでの気力が続きませんでした。(ダイシャクシギは背・腰・下雨覆・脇・腹・下尾筒の白さが目立ち、ホウロクシギとの識別でははっきりとした違いです)(渡りを中止し越冬地に戻る)繁殖地は、カムチャツカからアムール川中流域にかけての湿原で,東南アジアからオーストラリアにかけての干潟で越冬する種類です。植田(2004)は、ホウロクシギに関する調査結果と文献に報告されている内容を整理し報告しています。この中に渡りを追跡した37羽のうちの18羽ものホウロクシギが途中で渡りを中止して,越冬地にもどるという行動をとったことを紹介しています。オーストラリアではホウロクシギが渡去してした後、再度見られるようになり、越冬個体数の約25~30%が夏のあいだもオーストラリアに滞在していることを紹介しています。(引用)植田 睦之.2004.ホウロクシギ 渡りを中止して戻る行動.Bird Research News Vol.1 No.3p66-67.(写真)私のライブラリーより2019年7月22日千葉県船橋市三番瀬で撮影
2023.07.17
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ホームグランド手賀沼の近郊、印旛沼にはクロハラアジサシが飛来していると鳥友から教えてもらいました。そろそろ、手賀沼にもと思いつつ、その羽色を復習。(成鳥)一枚目と二枚目の写真は、2017年7月に都内葛西臨海公園で観察した個体です。手前は頭部が黒色のキャップ状となっていて嘴と足は赤色、体下面は黒色の成鳥夏羽です。奥の個体は、頭部の黒色のキャップ状が少しまだらとなっており夏羽から冬羽に換羽がはじまった個体と思われます。(幼羽)三枚目と四枚目の写真は、2019年11月に都内水元公園で観察した幼羽です。目の周囲は黒っぽく、足は赤色、頭の黒斑は目より下に及ばない、頭頂はごま塩状、上面は褐色の幼羽が見えるといった特徴から幼羽と思われます。(ホームグランド手賀沼で観察した個体)五枚目と六枚目はホームグランド手賀沼で2018年10月に観察した個体です。五枚目は成鳥個体、六枚目は幼羽です。手賀沼には幼羽の飛来が多いのですが、この時は成鳥と幼羽が一緒に飛来していました。
2023.07.15
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コチドリの幼鳥について、その特徴がいまひとつわかりませんと質問をもらうことがあります。初野(2007)が、幼鳥の特徴を整理し、写真やイラストをまじえて解説しています。その内容を紹介します。コチドリについては、「成鳥よりも全体的に褐色味を帯びていて眼瞼輪は成鳥のように鮮やかな黄色ではなく淡色で細いものです。額・眼先・過眼線は成鳥のような黒ではなく褐色です。眼の上は淡い褐色で成鳥のように白くありません。したがって成鳥とは異なる模様がぼやけた顔つきに見えます」と述べ、また、「胸の黒い模様は幅が狭く褐色。背・肩羽・雨覆はバフ色の羽縁とその内側に三日月形の細くて黒いサブターミナルバンドがあり鱗模様に見えます」と指摘しています。一枚目、二枚目は、ともに2018年8月19日茨城県稲敷市で観察・撮影した個体です。眼の外縁は淡色で細いのがおわかりいただけるものと思います。上面は褐色で淡色の羽縁があり、前頭に黒色はありません。三枚目は2021年9月24日に茨城県稲敷市で観察・撮影した個体です。眼の外縁は黄色で、羽色は夏羽の比べて不明瞭なので冬羽に換羽中のものと思われます。四枚目は、2022年6月17日千葉県柏市で観察・撮影した個体です。一枚目、二枚目よりもさらに若い個体で眼の外縁は淡色です。(引用)初野謙.2007.幼鳥が起こす真夏の怪.BIRDER.第21巻.第8号.p36.文一総合出版.(眼瞼輪について)眼の外縁のことです。眼瞼は眼球の上下をおおい角膜を保護する皮膚のひだで、眼瞼輪は眼瞼が繋がるように一つの輪のようにみえることに由来するものです。
2023.07.03
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でかけようと思うと雨降りだったり、フィールドに出かけられないでいます。首都圏では姿を見かけることが少なくなったコアジサシの幼鳥の羽色を復習。(翼に褐色の幼羽のある個体)一枚目の写真は、2015年7月18日に三番瀬で観察・撮影した個体です。翼に褐色の幼羽のある個体です。嘴が黄色味を帯びています。(翼に褐色の幼羽が残るものの嘴は黒く変化した個体)二枚目の写真は、2017年7月9日に三番瀬で観察・撮影した個体です。翼に褐色の幼羽が残っているものの黒っぽい鱗模様がでています。また、嘴は黒っぽく見えました。(嘴がピンクがかった個体)三枚目の写真は、2020年8月21日に三番瀬で観察・撮影をした個体です。嘴の基部だけでなく全体的にピンク色で、先端のみ黒い個体です。(頭頂が白っぽく茶色の斑があり、背に黒い鱗模様が見えた個体)四枚目の写真は、2011年8月7日に葛西臨海公園で観察・撮影した個体です。頭頂が白っぽく茶色の斑があり、背に黒い鱗模様が見えました。
2023.07.01
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朝から真夏のような気温で早めの買い物をと出掛た時のことです。柏オフィスのある駅前ロータリー内の樹木にセキレイがすーと飛んできて止まりました。幼鳥だということはわかるのですが、ハクセキレイなのかセグロセキレイなのかは撮影した画像を復習してみないと帰宅後も調べてみました。(観察個体の特徴)・眉斑があり、耳羽を囲む部分にはっきりとしない模様あり。・口角は黄色。・上面は灰色が主体ですが、バフ色がかっていました。・声はチッチッと聞こえました。前記の特徴から、ハクセキレイ若鳥と思われます。(セグロセキレイであれば眉斑はなく若鳥では黒頭巾状ですが、観察個体には眉斑があります。セグロセキレイでは鳴き声はジッジッで観察個体ものとは違いました。)(写真:いずれもハクセキレイ)一枚目から三枚目は2023年6月18日柏市内で撮影四枚目は2008年8月23日柏市柏の葉、五枚目は2008年7月5日茨城県神栖市で撮影
2023.06.18
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鳥友から柏の葉キャンパス駅近郊の調整池などをホームグランドにされている方のホームページに掲載されている画像で、コチドリと思われる個体にイカルチドリと説明があるがアイリングが黄色、嘴もイカルチドリのように細くなく、胸の帯も黒く、イカルチドリとは思えないが意見をと問い合わせをもらいました。早速、当該ホームページを閲覧してみました。5月18日と5月19日の画像のものが問い合わせの画像と思われました。18日の画像に尾が翼端を出ているとのコメントがつけられていました。画像の個体の特徴を記すと、つぎの通りです。・いずれの個体も黄色のアイリングが目立ちます。イカルチドリであるならばアイリングがもっと細いはずです。・嘴はイカルチドリより短い印象です。・顔は褐色、胸は黒色に見えます。・尾が翼端を出ている点とある点は、角度によって出ているとの印象を持たれたのではないかと思いますが、突出していると表現したほうがよくわかると思います。私のライブラリーの中からセレクトした2022年1月茨城県菅生沼で観察・撮影した個体、2023年2月に千葉県柏市で撮影した写真をご覧ください。なお、2023年3月に同地で観察したコチドリの写真もアップします。(結論)黄色のアイリングが目立ち、嘴はイカルチドリより短いのでイカルチドリと判断するには無理があると思います。(写真)一枚目:2022年1月3日茨城県菅生沼で撮影二枚目:2023年2月7日千葉県柏市で撮影三枚目:2023年3月20日千葉県柏市で撮影
2023.05.20
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昨日、都内浮間公園でササゴイを観察してきました。この30年ほどの間にササゴイの繁殖地は激減しているので比較的近距離で観察でき、鳴き声のいろいろを耳にできるので大好きなフィールドです。蒲谷(1996)は、観察した鳥類の鳴き声の録音記録と知見を整理し報告しています。それによると、「キューキューと伸ばして鳴く声、キューゥ、キューウと尻上がりに鳴く声、キュウーキュと2声続けてなく声がある。巣に外敵が近づいてきたときによく聞くことができる」と述べています。また、川に魚を捕りに行く際にキョーキョーという声で鳴きながら取りに行くこと、巣の上で同じササゴイが自分の巣に近づくときにカッカッとかガッガッと聞こえる声を出して威嚇していることを紹介しています。三上(2014)も「キューという高い声で鳴くが,声を出すことは少ない。繁殖、特にペアリングの頃には、キューをより甲高くしたようなキョウという声とゴウという低い声で鳴き交わす。ときおりごく小さい音でカカカという声を出すこともある」と述べています。このうちペアリングの際のキューをより甲高くしたようなキョウという声とゴウという低い声で鳴き交わすとの点は、まだ耳にしたことがないので一度聞いてみたいものだと思っています。(引用)蒲谷鶴彦.1996.日本野鳥大鑑.上巻.p40.小学館.三上かつら.2014.Bird Research News Vol.11 No.7.p4-5.(写真)2023年5月12日浮間公園で撮影
2023.05.13
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朝から強風が吹き荒れており、フィールドに出かけるのを諦め、一昨日に成田市から柏市にいたる水田地帯を訪ねました。その時出会ったムナグロの羽色と過去観察した羽色の個体を復習していました。(1)第一回夏羽(一枚目の写真は2023年4月27日撮影)第一回冬羽から第一回夏羽は変化があり、じっくり観察したい羽色です。多くは頭や体の羽 が換羽して三列風切や尾羽や雨覆の一部が換羽して、ほぼ成鳥の様な羽衣になりますが、初列風切羽には摩耗して幼鳥羽が残っているものも見かけます。(2)第二回冬羽から第二回夏羽に換羽中の個体(2010年5月4日印西市で撮影)第二回冬羽への換羽は完全換羽で、初列風切羽は全て成鳥羽となります。頬の濃い褐色の斑が目立ち、眉斑は白、眉斑が白く目立ちます。尾羽端に届きそうに、三列風切が長いように思います。(3)第二回夏羽(2019年4月24日柏市手賀沼沿岸で撮影)第二回夏羽は頭から腹まで黒で額から黒色部に沿って白色帯が続いています。脇から下尾筒には黒色黄斑があり、頭頂から上面は黄色、褐色、黒色などから構成されるまだら模様で、嘴は黒く、足は灰黒色です。(4)第三回夏羽(2022年5月4日、2009年5月4日手賀沼沿岸で撮影)第三回夏羽になるまで完全な繁殖羽とならない個体もいますが、大半は2歳の第一回夏羽でほぼ完全な繁殖となっているものと思います。ほぼ第二回夏羽と同様と思われ、頭から腹まで黒く、額から黒色部に沿って白色帯が続きます。脇から下尾筒には黒色黄斑、頭頂から上面は黄色。上面の黄色が鮮やかな黄金色に見える個体も数はすくないですが、見かける年もあります。翼下面は灰褐色で、脇羽は淡褐色。嘴は黒く、足は灰黒色。
2023.04.29
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ミユビシギは、奴賀(2008)が述べているようにシベリアやアラスカで繁殖しているものが日本を通過していくシギ科の鳥類です。波打ち際で入りまわり、打ち寄せる波と引く波に対して走りながら餌を採食するので観察・記録しやすさがあります。これまで観察した羽色について整理してみました。(なお、写真はすべて三番瀬で撮影したものです)(1)若鳥一枚目は、一昨日観察した個体です。上面に黒い軸斑があり、羽色のベースは白が基調です。白と黒のコントラストが強い点が成鳥との識別ポイントです。二枚目は2015年9月19日に観察した個体です。額が白いのがトウネンとの違いと思っています。(2)成鳥冬羽三枚目2020年9月5日、四枚目は2015年9月19日に観察した個体です。下面が真っ白でその雰囲気が独特です。ハマシギ冬羽が近くにいても白味の強さがあるかどうかに注目すると識別しやすいと思います。(3)成鳥夏羽が冬羽に換羽中の個体五枚目は2020年8月10日に観察した個体です。上面に赤褐色の夏羽が残り、背に淡灰色の冬羽が見えています。ミユビシギ夏羽はトウネン夏羽とよく似ています。ミユビシギでは眉斑はないように見えるのに対してトウネンは白い眉斑があります。さらに、ミユビシギは頭部から顔の褐色部に細かい斑があるので顔が汚れたように見えます。トウネンは顔がすっきりとした印象です。(4)第一回冬羽あいにく画像が手元にありませんが、肩羽の一部に黒褐色の幼羽が残り、雨覆と三列風切は褐色で太く白い羽縁がある個体や背と肩羽が一様に灰白色となり雨覆と三列風切に摩耗した幼羽が残る個体がいます。
2023.04.26
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鳥友から昨日三番瀬で観察してきたシロチドリの羽色について質問をもらいました。その特徴を復習したものを整理しました。(雄個体)1枚目は昨日観察した個体、二枚目は2015年4月22日も三番瀬での観察個体、三枚目は2014年12月6日に旭市下永井で観察した個体です。一枚目は、額と眉斑は白く、前頭と側胸は黒い。頭頂から後頭は橙黄褐色、上面は淡褐色です。二枚目はほぼ一枚目と同じ特徴ですが、嘴が少し長い印象です。三枚目は頭頂から後頭の橙黄褐色が薄い印象です。(雌個体)四枚目は昨日観察した個体で、頭頂は淡褐色で、前頭には黒い部分はないので雌夏羽と思われます。(参考)最後の写真は2012年8月12日に三番瀬で観察した個体です。胸の帯が前面でつながらない点ではシロチドリと同様ですが、嘴がシロチドリよりも太いので相違します。背と頭の褐色が白帯で分かれるはずですが写真の個体ではそのように見えません。頭頂部に着目してみると、平たい印象があります。これらのことから嘴の長いメダイチドリではないかと思っています。
2023.04.25
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4月19日に千葉県北西部で観察したオガワコマドリについての外観、生態、過去の観察記録について文献の記述と観察個体の特徴をおさらいしてみました。(1)千葉県北西部での観察個体の特徴(再録)眉斑ははっきりとし嘴に近い箇所が褐色でその後方は白かったです。腮から上胸が青く、胸は黒、白、うっすらとオレンジ色の帯がありました。また、腰はオレンジ色、尾は黒褐色。ほぼ成鳥の特徴を備えていますが、風切と雨覆に摩耗が見られるので第一回冬羽から夏羽に換羽中の個体と思われます。雌の黒い顎線と黒い胸帯、縦斑がないので雄個体でした。なお、地鳴きは確認できませんでした。(2)外観蒲谷(1996)は、「雄は背、翼、尾まで地味な褐色だが、喉から胸にオレンジ色と青色の独特の模様がある。雌は喉が白く雄よりも地味で胸から腹にかけて褐色の汚れたような模様がある。雌雄とも尾の付け根の両側にオレンジ色で先端が黒いのが目立つ」と述べています。(3)羽衣の識別について五百沢(2000)は、雄第一回夏羽、雄成鳥夏羽、雌成鳥冬羽、雄成鳥冬羽の写真を掲載しながら特徴について記しています。a.雄第一回夏羽(1993年5月6日長崎県対馬での撮影写真)腮から上胸は青く、オレンジ色の斑がある。胸と腹の脇にオレンジ色の帯がある。風切や大雨覆は幼羽のため摩耗が著しいと述べています。b.雄成鳥夏羽(1988年4月15日大阪府泉南市での撮影写真)中央尾羽を除く5対の基部は赤褐色。胸のオレンジ色の帯の上に黒い帯がある。c.雄成鳥冬羽(1988年2月22日大阪府泉南市での撮影写真)眉斑は明瞭、冬羽では腮と喉は白っぽいと記しています。d雌成鳥冬羽(1996年4月27日愛知県岡崎市での撮影写真)大雨覆などに幼羽は見られず、脇に縦斑がない、雌は下面のオレンジ色部が淡いと述べています。(4)鳴き声蒲谷(1996)は、春の記録(*)ではコヨシキリに間違えるほどのさえずり、ややヒバリに似た複雑な節まわしでチョイチリ、チョイチリ、チリチリチリとも表記されていると紹介しています。(*)1974年4月28日千葉県多古町栗山川での観察記録(5)生活高野(1985)は、「日本では水辺や葦原で発見される例が多く、単独で見られる。地上をはね歩いて移動しながら地表をついばんだり嘴で枯れ草をかき分けながら餌を探す。餌は昆虫の幼虫などである」とその生活の様子を紹介しています。(6)その他今回の観察地とは違いますが、千葉県北西部での記録につぎがあります。時田(1993)は、千葉・茨城両県境の利根川沿いに広がる水田地帯で記録できた鳥類などについて報告しています。この中で1982年1月3日に斃死鳥として雄1個体が得られていることを述べ、我孫子市鳥の博物館が標本として所蔵していることを記しています。(引用)高野伸二.1985.カラー名鑑日本の野鳥.p430.山と溪谷社.蒲谷鶴彦.1996.日本野鳥大鑑.下巻.p41.小学館時田賢一.1993.我孫子市北新田の鳥相.我孫子市鳥の博物館研究報告.第3巻.p27-35.五百沢日丸.2000.日本の鳥550.山野の鳥.p164.文一総合出版.
2023.04.22
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昨日、茨城県浮島でタカブシギ、タシギ、コチドリ、セイタカシギを観察した旨をリポートしました。鳥友からタカブシギの羽衣について質問をもらいました。その特徴を復習したものを記します。(1)昨日観察したタカブシギ一見するとクサシギ夏羽のように見えます。クサシギの上面は白斑が少ないのに対して観察した個体では白斑が多数あります。また、観察個体の足は黄緑色でした。クサシギではタカブシギに比べると鈍い色で、汚れた黄色味に見えます。齢については、白い眉斑が目立ち、上面は黒褐色で白い斑点が認められたので第一回冬羽ではないか(上面の羽縁の淡色の斑が黄褐色を帯びていれば幼羽)と思われました。(2)羽衣のいろいろa.冬羽頭部から胸にかけての斑は夏羽よりも弱く、上面の白斑は少なくなっています。(写真三枚目:2019年10月2日稲敷市で撮影)写真四枚目(2019年8月24日稲敷市で撮影)は、三枚目と比べると上面の白斑は少なくなっています。b夏羽から冬羽に換羽中(写真五枚目:2017年9月3日稲敷市で撮影)上面は灰黒色で白と黒の斑が密です。腹から下尾筒が白いので夏羽から冬羽に換羽中の個体と思われます。(夏羽では頭から頚、体下面が白色で褐色の縦斑があり、上面は灰黒色で斑が密、脇腹に褐色の縦斑があります)
2023.04.06
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先週から連日、雨降りがつづいています。シギ・チドリ類と出会うシーズンを間近に控え、ハジロコチドリ、イカルチドリ、コチドリ、シロチドリ、メダイチドリ、オオメダイチドリのライブラリーの画像と特徴を復習していました。(1)ハジロコチドリ画像は2013年8月24日に船橋市三番瀬で撮影した個体です。この個体は嘴は黒色で太くて短く、胸の黒帯は太い傾向でしたので雄冬羽と思われました。(2)イカルチドリ画像は2022年1月3日に茨城県坂東市、2022年2月26日柏市で撮影したものです。アイリングはありますがコチドリほど目立ちません。嘴はコチドリに比べて長いのが特徴です。一枚目の個体は翼の羽毛が淡色で鱗模様が見えたので若鳥、二枚目は前頭部と胸が黒いので雄成鳥です。(3)コチドリ画像は2020年3月20日に手賀沼、2012年7月15日に茨城県河内町で撮影した画像です。黄色のアイリングが目立ち、胸の黒帯が前面でつながっています。(4)シロチドリ画像は、2022年3月4日、2015年4月22日、2015年4月22日に船橋市三番瀬で撮影したものです。一枚目は頭にヘアバンドのような黒い帯があるので雄成鳥夏羽です。二枚目は上面に淡色の羽縁が認められるので若鳥と思われました。三枚目は一枚目と同様の雄成鳥夏羽です。(5)オオメダイチドリ画像は2019年8月31日、2020年8月21日に船橋市三番瀬で撮影した個体です。一枚目は翼の羽縁が白いので若鳥、二枚目は背、胸、頭が赤褐色がかっていたので成鳥夏羽が冬羽の換羽中の個体と思われました。(6)メダイチドリ画像は2017年4月26日谷津、2018年8月11日に三番瀬で撮影した画像です。一枚目は頭上から胸がオレンジ色で黒い線があるので雄成鳥夏羽、二枚目は夏羽から冬羽に換羽中の個体です。
2023.03.26
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来月下旬からゴールデンウイークにかけてホームグランド手賀沼沿岸の田んぼや近郊の水田や干潟にシギ・チドリが飛来する時期となります。雨ふりとなりムナグロとならびよく見かけるキョウジョシギの撮影画像を復習。(1)成鳥雄夏羽一枚目から三枚目の写真は成鳥個体です。三枚ともに頭上が斑点状となっているので雄個体です。体上面は赤褐色と黒のまだら模様です。ただし、体上面の黒の模様が多い個体を手賀沼沿岸で見かけたことがあります。2014年5月11日印西市、2015年5月10日印西市、2015年8月12日谷津で撮影した個体です。(2)成鳥雌夏羽四枚目の写真は2018年8月18日に谷津干潟で観察した成鳥雌個体です。頭上がキャップ状に見え、上面の赤褐色は雄個体と比べて淡い印象でした。(3)成鳥冬羽五枚目の写真は、2008年5月10日に印西市で観察・撮影した成鳥冬羽です。頭上が斑点状で上面に赤みがありません。第一回冬羽では雨覆と風切に幼羽が残っているはずですが、雨覆に擦れが見られなかったことから冬羽と考えました。(4)第一回冬羽六枚目の撮影個体は、2006年4月30日に印西市で撮影した個体です。成鳥冬羽と似ていますが、雨覆に擦れが見られるので第一回冬羽と考えました。
2023.03.18
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昨日三番瀬でスグロカモメと出会うことができました。羽色(成鳥夏羽、成鳥冬羽、第一回冬羽)、鳴き声、採餌などについても復習。A.羽色について(1)成鳥夏羽成鳥夏羽は、上面が青灰色で、初列風切外側3枚の外弁は白く羽先が黒く、5枚程度あるものと思います。(2)成鳥冬羽成鳥冬羽は頭部は白く、眼先、頭頂、頬がわずかに黒く、脚は暗赤色で、尾は白色でした。黒い初列風切に白い斑があるのが目立ちました。(3)第一回冬羽から第二回冬羽に移行中の個体第一回冬羽で、翼に褐色斑(幼羽)は見とれず、初列風切先端の白がず少し見えているので第二回目冬羽に移行している個体と思われました。(第一回冬羽:静止時では初列風切先端の白斑は見られません。第一回冬羽の脚は暗褐色、雨覆や三列風切に暗褐色斑が見られます)B,鳴き声について成鳥夏羽が餌を捕獲するときに、第一回冬羽から第二回目移行している個体に合図なのかコアジサシに似たキィキィと声を出していました。この声を出すと眼下の水たまりに降り立っていました。C.頭が黒くなるタイミング和田(2016)が2014年3月3日に兵庫県加古川河口でズグロカモメ成鳥13羽のうち、7羽の頭が真っ黒だったとし、ユリカモメよりも一か月近く夏羽になる印象と報告しています。ユリカモメの頭部が黒くなっていく様子を観察した結果から4月に入って急速に黒くなり、4月終わりに成鳥の大部分は黒い頭になっていると述べています。D.採餌の様子昨日の三番瀬では、歩きながら干潟表面をつつき回して嘴の触感で餌を探している様子と干潟にできた水たまりに上空から舞い降りてカニを捕獲していました。(写真)2023年3月11日撮影(引用)和田 岳.2016.身近な鳥類学.ユリカモメの頭はいつ黒くなる.むくどり通信.第242号.p10-11.日本野鳥の会大阪支部.
2023.03.12
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スズメの嘴基部の色が季節によって変化すると研究報告を目にしました。身近な存在であるスズメですが、その嘴基部の色を丁寧に確認してこなかったので反省することしきりです。玉田・池田(2019)は、北海道の札幌市と江別市のスズメ個体群を対象に嘴基部の色に着目して鳥類標識調査と野外観察を実施し、嘴基部の色の変化につい調査した結果を報告しています。野外観察の結果から、6月から7月までの間、幼鳥の嘴基部の色は黄色であったが成鳥は黒色であった.9月から 12月は,ほとんどすべて個体が黄色になり、1-2月には黒色の個体の割合が増加し、3–5月にはすべて黒色との結果であり、嘴基部の色は,季節変化することが考えられたと述べています。1月から 2月は黄色から黒色に変化する時期で,8月は黒色であった成鳥が黄色に変化する時期であると思われる。このことから、嘴基部が黄色のスズメをすべて幼鳥と判定することは誤りと指摘しています。また、 1歳以上の成鳥で嘴基部が黄色の個体も確認されており、文献や図鑑で説明されている成鳥の嘴基部は黒色であるとする記述は、すべての個体で当てはまることではないことを指摘しています。最後に調査結果からは、北海道に生息するスズメの成鳥には嘴基部の色が黄色と黒色の個体が存在することが明らかになり,色は季節によって変化することが考えらると結んでいます。永井(2014)は、スズメ成鳥の嘴は黒色、嘴が淡色、黄色なのは若鳥、成鳥冬羽の嘴基部は黄色くなるといった解説があります。また、石田(2015)や叶内(2020)では嘴は黒く、幼鳥は嘴基部がわずかに黄色味を帯びることを記しています。(写真)一枚目:2023年2月16日柏市増尾、二枚目2008年12月14日柏市内で撮影したもの。嘴は黒色。三枚目:2021年10月12日柏市増尾、四枚目:2020年8月15日野田市江川で撮影したもの。嘴基部が黄色。(引用)永井真人.2014.野鳥図鑑670.p161.文一総合出版.玉田克巳・池田徹也.北海道のスズメにおける嘴基部の色の季節変化と外部計測値による性判定の可能性.日本鳥学会誌第68巻.第2号.p349-355.68(2): 349–355 (2019)叶内拓哉.2020.フィールド図鑑日本の野鳥.p368.文一総合出版.
2023.03.01
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鳥友からチバエナガについて教えてほしいと質問をもらいました。文献に報告されている内容を整理し提供します。望月(2022)は、分類学的な種名、亜種名ではないが眉がわずかに薄いまたは眉がほぼ真っ白な通称チバエナガについての知見を報告しています。眉の薄い通称チバエナガの写真を掲載し、当初2018年には千葉県北西部で見られるとされていが、その後情報収集したところ、ほぼ千葉県全域で見られるようだとしています。また、体感として10羽中3羽程度の割合でチバエナガが混じっているように思えると述べています。なお、根拠は明記されていないが、チバエナガの眉の薄さはおそらく遺伝子的な要因によるものと考えられるがDNAを調べないと明らかにならないとしています。また関さんの森を育む会会報にチバエナガの写真を掲載し2021年1月22日に観察したことが掲載されています。(私が観察した眉の薄いエナガ)私も柏市酒井根で眉の薄いエナガを観察しています。一度目は2015年11月30日、二度目は2021年12月24日でした。いずれも観察した個体は眉が薄く、瞼は黄色で腹は白く、下尾筒とピンクがかっていました。(写真)2015年11月30日、2021年12月24日いずれも柏市酒井根で撮影(なお、参考としてエナガ2013年12月28日撮影のものもアップ)(引用)望月みずき.2022.チバエナガはどこにいる.Birder.第36巻.第2号.p21.関さんの森を育む会.2022.2021年フィールドノートから.会報.第42号.p28.
2023.02.13
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今冬、茨城県波崎港でオオホシハジロが渡来しているがホシハジロとの識別はどんなことを留意したらよいかと鳥友から質問をもらいました。(オオホシハジロの特徴)嘴基部が分厚くがっしりとした印象があるのに対し、先端部は扁平で細長く伸びているので低いアングルで観察した場合は嘴全体の印象は三角形で先端が細くて尖っているように見えます。一枚目と二枚目は2016年2月に埼玉県彩湖に飛来した個体です。また、三枚目と四枚目は2016年2月に都内浮間公園で観察した個体です。上面が灰色で褐色の羽がまじり、体下面は白っぽく褐色の部分も見受けられたことから成鳥雌と思われました。なお、彩湖と浮間公園の観察個体は同一のものが往来していたものと思います。(ホシハジロで嘴が黒一色の個体)五枚目と六枚目の写真は2021年11月23日都内水元公園で観察した個体です。嘴が黒一色なのでオオホシハジロではないかとされる可能性がありますが、嘴先端部が細くなく尖っては見えませんでした。このことからホシハジロです。(ホシハジロ)七枚目の写真は2021年11月23日都内水元公園で観察したホシハジロです。嘴に青灰色の帯、脇に褐色の幼羽が見えたので雌第一回冬羽と思われました。
2023.02.10
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コミミズクの顔盤にはいろいろなタイプの個体が存在します。2023年1月までの間で観察できた個体の特徴を紹介します。個体識別の参考となれば幸いです。顔盤のタイプを大別すると、つぎのように整理できます。(A)羽角が長め、羽角が短め、羽角は見えないタイプ(B)顔盤周囲が白い(白っぽい)タイプ(C)顔盤が褐色味のあるタイプ(1)羽角が長めで幅が広く眼周辺が黒く、顔盤は白っぽい個体2021年3月茨城県稲敷市で観察・撮影した個体は羽角が長めで、幅が広く眼周辺が黒く、顔盤は白っぽい個体でした。この時は、接近した撮影者を警戒した際に羽角を立て警戒していました。(2)羽角は見えず顔盤周囲が白い個体2013年1月に流山市西深井で観察・撮影した個体は、羽角は見えず顔盤周囲ははっきりと白いものでした。(3)羽角は短く顔盤周囲が白い個体2020年1月に手賀沼沿岸で観察め撮影した個体は、羽角が短く顔盤周囲が白い個体でした。(4)羽角は見えず顔盤は白い個体2015年2月に流山市西深井で観察・撮影した個体は、羽角は見えず顔盤は白い個体でした。(5)羽角が短めで顔盤が褐色味が強い印象の個体2013年2月に流山市西深井で観察・撮影した個体は、羽角が短く顔盤は褐色味の強い個体でした。(6)2023年1月に江戸川で観察した個体(1)の個体と同様に羽角が長めで幅が広く眼周辺が黒く、顔盤は白っぽい個体でした。(参考:五百沢(2000)に掲載されている写真と解説)五百沢(2000)に顔盤の写真と解説が掲載されています。タイプを大別すると、羽角が長め、短い、見えないもの、顔盤の色では周囲が白いもの、淡褐色と黒褐色のまだら、暗色のもの不明瞭な個体というように整理できます。(1)羽角は長めで幅は広く、顔盤は不明瞭で頬が黒褐色のタイプ(2)羽角は短くやや幅があり、顔盤周囲の白色部は不明瞭(3)羽角は短く顔盤周囲は明瞭に白いタイプ(4)羽角は見えず、顔盤が白いタイプ(5)羽角は見えず顔盤は淡褐色と黒褐色のまだら状のタイプ(6)羽角は見えず全体的に暗色で眼周囲の黒褐色が目立つタイプ(引用)五百沢日丸.2000.日本の鳥550.山野の鳥.p80-81.文一総合出版.
2023.01.21
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一昨日、筑波山山頂でハギマシコを観察してきました。鳥友から雌雄などについて質問をもらい、画像を復習し特徴を整理しました。(1)成鳥雄一枚目の写真は、一昨日観察撮影した成鳥雄です。頭部は灰黒色で後頭から頚側が黄褐色、背と肩羽、小翼羽の一部は黒色です。風切は黒色で、外縁は薄紅色がかっています。尾羽は凹型で羽縁は白かったです。二枚目、三枚目、四枚目は一枚目の個体とは別ですが、やはり雄成鳥です。しかし、小翼羽の黒色はありませんでした。1枚目から3枚目は2023年1月12日観察・撮影4枚目は2017年1月14日観察・撮影(2)成鳥雌写真は2023年1月12日観察・撮影の個体です。成鳥雄に比べると淡色で頭部の黒色はありませんでした。後頭から背は褐色が強い感じがします。(3)第一回冬羽写真は2023年1月12日観察・撮影の個体です。雌と比べるとさらに淡い褐色で、下面は灰色味がありました。(参考:ハギマシコ成鳥冬羽の中雨覆・大雨覆・腹・脇がバラ色の個体)五百丸(2000)に山形則男さんが1997年3月に撮影した個体が掲載されています。この個体は中雨覆・大雨覆・腹・脇がバラ色の個体です。(引用)五百沢日丸.2000.日本の鳥550.山野の鳥.p288.文一総合出版.
2023.01.14
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一昨日、埼玉県でニシオジロビタキを観察してきました。その外観の特徴を整理してみました。(1)下嘴が肉色で先端は黒く、先端にむかって徐々に細くなっていました。(2)三列風切に淡褐色の羽縁があり羽先にバフ色味が強い小さなクサビ形の斑があると文献で報告がありますが、観察した個体では認められませんでした。おそらく摩耗していたものと思います。なお、Ciconia(2021)に福井県でニシオジロビタキの観察報告があり、淡褐色の羽縁と羽先の斑が認められる個体の写真が掲載されています。(3)頭部に灰色味がありました。(4)腰から上尾筒が灰黒色でした。(オジロビタキは黒色)(5)喉には白色味があり、雌成鳥または第一回冬羽のいずれかと思われました。(三列風切の羽縁と羽先の斑について)過去2016年3月に松戸市八柱で観察した個体では三列風切に淡褐色の羽縁があり羽先にバフ色味が強い小さな斑を観察できました。4枚目の写真をご覧ください。(喉のオレンジ色がかった個体)2016年4月に松戸市八柱で観察した個体は喉がオレンジ色がかっていました。第二回夏羽に換羽中と思われました。5枚目の写真をご覧ください。(オジロビタキ似の個体)2011年2月に松戸市樋野口で観察した個体は、一見すると嘴が黒色に見え、オジロビタキと思われました。しかし、角度が変化すると下嘴の肉色が確認できました。6枚目、7枚目の写真をご覧ください。(写真)1枚目から3枚目:2023年1月9日松伏町で観察・撮影4枚目:2016年3月13日松戸市八柱で観察・撮影5枚目:2016年4月2日松戸市八柱で観察・撮影6枚目、7枚目:2011年2月2日松戸市樋野口で観察・撮影(参照文献)長島宏之.2012.日本野鳥の会 埼玉 支部報.しらこばと.p2-4.出口翔大・大西敏一.2021.福井県におけるニシオジロビタキの記録.福井県自然保護センター研究報告Ciconia.第24巻.p15-19
2023.01.09
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アメリカコハクチョウとコハクチョウの分類で嘴の黄色部分についての図鑑類の記載は、眼先の黄色部分が小さいとか眼先にわずかに黄色部があるのが典型的な個体し、眼先の黄色部がコハクチョウとアメリカコハクチョウの中間ぐらいの個体は交雑個体となっています。鳥友からこの点について質問をもらいました。文献を調べてみたら、村瀬(1994)が海外の文献に記載されている内容を紹介しています。それによると、Evans&Sladen(1980)が300羽のアメリカコハクチョウと104羽のコハクチョウの嘴の黄色部分の割合を解析し、アメリカコハクチョウが0-16%、コハクチョウは22%以上であることを示し識別する上で有力な手がかりと述べています。ただし、村瀬(1994)は、岩手県北上市での観察記録を整理し報告しています。内容は、アメリカコハクチョウ雄とコハクチョウ雌が交雑し、一代目交雑個体をつれて飛来したと記しています。この際の一代目交雑個体の嘴の黄色部分はアメリカコハクチョウより大きく、コハクチョウより小さかったとするものでした。その後、一代目交雑個体がアメリカコハクチョウ雌と番いとなり3羽の二代目交雑個体をつれて飛来してことを報告しています。上記2例の嘴の黄色部分のいずれもEvans&Sladen(1980)ではすべてアメリカコハクチョウに分類され、交雑個体の中にはアメリカコハクチョウとほとんど同じ嘴模様をもつものがいることが明らかになったと指摘しています。(写真)1枚目から3枚目:アメリカコハクチョウ、2013年11月、2015年1月、2018年1月いずれも印西市にて撮影。4枚目アメリカコハクチョウとコハクチヨウの交雑個体、2018年12月印西市にて撮影(引用文献)Evans,M、E&SladenW..L、1980.Acomparativeanalysisoflhebillmarkings of WhistlingandBewick's Swans and out-of-rangeoccurrencesofthetwo taxa.Auk97:697-703.村瀬 美江.1994.コハクチヨウの亜種間交雑個体に現れるくちばしの模様.Strix.第13巻.p238-242.日本野鳥の会.
2023.01.01
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鳥友から成鳥か若鳥かの質問をもらいました。雄成鳥は頭上から尾まで体と翼の上面にあざやかな青灰色、体下面がオレンジ色で黒と褐色の縦斑があります。これに対して雌成鳥は上面が灰褐色で淡いバフ色の斑があり体下面はクリーム色で太い黒色縦斑が並びます。(19日、10日に観察した個体について)上面が灰褐色で黒い軸線とバフ色の斑があり、下面に太い縦斑があります。肩羽の淡色斑は認められず、足の色がはっきり黄色に見えます。これらの特徴から成鳥雌と考えています。(幼鳥の場合は上面が灰褐色で黒い軸斑とバフ色の斑、肩羽の褐色斑が大きく、足の色は淡い黄色で成鳥との違いがあります)(雄の幼鳥の可能性がある個体)2020年2月に手賀沼沿岸で観察・撮影したコチョウゲンボウが三枚目の写真です。細長い眉斑、胸から腹にかけての縦斑が細い印象があり、雄の幼鳥の可能性がある個体です。(写真)雌個体:2022年12月10日、19日手賀沼沿岸で撮影雄個体2枚とも:2021年11月印旛沼沿岸で撮影雄の若鳥の可能性のある個体:2020年2月手賀沼沿岸で撮影(参考:雌成鳥と幼鳥の識別について)森岡ら(1995)は、野外で雌成鳥と幼鳥を識別するのは困難と記しています。しかし、第一年暦の幼鳥は初列風切の先の白い羽縁の幅が広い点に着目して見分けることが可能とし、幼鳥の下雨覆は暗色部が広く淡バフ色斑も小さいので暗褐色の中に淡バフ色が点在しているように見えるのに対して、成鳥の下雨覆は淡バフ色の地に暗色の網目があるように見える違いを示しています。また第一年暦の早い時期では幼鳥の蝋膜と目の周りの皮膚の裸出部が青っぽく識別可能とし、羽縁が擦り切れる第一回冬羽までは幼鳥の背、耳羽、雨覆(特に肩羽)に明瞭なバフ色羽縁があることで見分けられるとしています。さらに、雌成鳥とは上尾筒に灰色味が乏しい、後頸のバフ色部が広く明瞭なパッチが出る、下面の縦斑が太いなどの微妙な差異があることを指摘しています。(引用)森岡照明・叶内拓哉・川田隆・山形則男.1995.日本のワシタカ類.p370-371.文一総合出版.
2022.12.20
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ホームグランド手賀沼をはじめ各地の探鳥地でミコアイサを見かけます。手賀沼では1970年代までは水面に50羽程度が横一線に並んで羽をやすめている光景や100羽前後が水面を行動している姿がありましたが、近年は10羽以内の姿を見かけるのみとなっています。手賀沼では餌としている魚、水棲昆虫が激減したこととの関係と聞いています。さて、観察会でミコアイサ雄エクリプスと雌の識別、雄の羽色について質問をもらうことがあり、過去の画像からその特徴を整理したものを提供します。(1)雄生殖羽一枚目は茨城県神栖市で観察した雄生殖羽です。ほぼ全身が白色で眼の周囲と上背が黒く、他の種類にはない独特の配色です。額から後頭部にかけて房状の冠羽があります。2枚とも2021年2月茨城県神栖市で撮影。三枚目も雄生殖羽ですが、内側大雨覆数枚が白く三列風切と雨覆の白色部が繋がっています。(肩羽と脇羽に隠れている場合もあります)写真は2020年1月印旛沼で撮影。(2)雄一年目冬の羽色頭部が赤褐色で頬から前頭が白く、上背は黒く、雌と比べると顔と嘴は長い印象があります。2019年12月茨城県菅生沼で撮影。(3)雄エクリプス眼先の黒色部はなく、上背は黒く、写真ではわかりにくいのですが三列風切は肩羽より青灰色に見えます。2013年12月茨城県神栖市で撮影。(4)雌冬羽眼先が黒く、中雨覆と小雨覆は白色です。嘴、顔、全体が短い感じがします。三列風切は暗めのグレーに見えます。2013年12月茨城県神栖市、2022年1月千葉県成田市で撮影。
2022.12.17
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昨日、本日と野田市と流山市の境界に水田地帯でチドリ科ケリを観察しました。鳥友からケリの雌雄の識別について質問をもらいました。ケリは、雌雄で体の色に違いはなく、小翼羽と呼ばれる翼の一部(*)のサイズが違うだけの差しかありません。(*)人間の親指にあたる羽に翼爪(翼に爪がはえている)があり、標本の測定値で雄 5.08±1.35 mm、雌 3.69±0.54 mm で、それだけ着目すれば識別が可能のように感じます。ただし、野外で小翼羽に隠れている翼爪を観察することはまず不可能です。しかし、繁殖期だけに現れる嘴基部の黄色の肉塊の大きさに違いがあり、大きい個体が雄、そうでない個体が雌との指摘をしてくださっている方がおいでになります。https://bell3.blog.jp/archives/37958439.html(写真)2022年12月9日撮影
2022.12.09
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11月から翌年3月頃まで千葉県北西部と埼玉県でヤマシギの姿を見かけます。眼が頭部後方についているため、ほぼ360度の視界を持つといわれています。頚と脚は短いのに嘴が長く先端だけ開くことが可能で、土の中のミミズや節足動物などの餌をつまみ取ることができる特徴があります。なお、小田谷(2014)が茨城県で拾得されたヤマシギ雄幼鳥の胃の中には湿地性のゴミ虫が含まれていたこと、植物質ではイネ科とタデ科の植物の種子を採食するみともあると報告しています。アップした画像は、一枚目が2017年1月に埼玉県、2枚目から5枚目は2022年2月に千葉県で撮影したものです。全身茶褐色で後頭部に4本の横斑がある点、尾羽下面先端がグレー(銀白色)、目から嘴に向かっている過眼線と目の下から嘴方向に向かって黒褐色の線が平行しておらず目に近い部分が広くなっている点が特徴です。形態として近似しているタシギは、タシギはヒヨドリ大で小さく、頭長に比べて頭部の幅2つ分をこえる長い嘴、肩から背にかけて黄白色の線がありヤマシギとの違いがあります。(引用文献)小田谷嘉弥.2014.ヤマシギ.Bird Research News Vol.11 No.11.p4-5.バードリサーチ.
2022.12.06
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いよいよ12月に入り冬本番を迎えます。海ガモの仲間で大好きなクロガモの羽色は、いろいろ。過去に撮影した画像を見ながら復習。(1)雄個体一枚目は2020年2月に千葉県飯岡漁港で観察した黄色い瘤状の嘴基部が目立つ雄個体です。二枚目は2014年3月に銚子市名洗で観察した個体です。嘴基部は黄色なのですが成鳥ほど盛り上がりはありません。上面は黒い羽と褐色の羽で継ぎはぎ模様に見えました。羽色が全体に一様な黒褐色であれば雌の可能性も考えましたがそうではないので雄個体と考えました。(2)雌個体三枚目は、2020年2月に旭市西足洗で観察した雌成鳥個体です。嘴は黒くお腹は一様に褐色で頬から喉が灰白色でした。上面は四枚目に比べて真っ黒に見えました。四枚目は2019年2月に銚子漁港で観察した雌成鳥個体です。嘴は黒く、全身黒褐色で頬から喉、前頚だけ灰白色でした。五枚目と六枚目は、2016年1月に旭市飯岡漁港で観察した個体です。嘴そのものは黒いのですが、嘴基部に黄色部が見受けられます。個体を横から見たところと正面から見た画像をアップしました。七枚目は2014年1月に旭市飯岡漁港で観察した個体です。嘴は黒く、頬は灰白色ですが、嘴基部近くに白く見える斑があった個体です。
2022.12.01
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