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人類はクラドスポリウム・クラドスポリオイデスの驚異にさらされている。それは圧倒的な数量で、今も人類に襲いかかる。それだけではない。さらには、種の異なる敵も、人類に牙を向く。その名は、クラドスポリウム・スフェロスパーマム。もし、仮に人類がその2種に勝利したとしても、さらに150もの変種が待っている。人類はその英知を持ってしても、彼らの存在に翻弄され続けている。あまりにその敵が強大だから。クラドスポリウム・クラドスポリオイデスに代表される、150を越える膨大な種の敵。その驚異の存在を、通常、私たちはクロカビと呼ぶ。あなたが油断している、今この時も、彼らは猛烈な勢いで成長を続けている。私たち人類に、安泰がもたらされることはない。今日もまた、私は彼らとの戦いに挑む。強大な敵を前に、私は禁断の兵器の使用に手を染めようとしている。許してくれまいか。その戦いで、私が化学兵器を使うことを。アルコールと塩素剤を、その戦いで使うことを。
2013.08.31
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神社に立ち並ぶ玉垣には、石材が使われています。石でできた、その玉垣は、見た目そのままに「石玉垣」と呼ばれます。ひとつひとつの石玉垣には、個人の名前が彫られています。石玉垣は、幸を願う人々の、切実な気持ちのなごり。幸を願い、玉垣を奉納する気持ちは美しい。ただ、そこに名を残す気持ちには、つや消しなこころの裏側を感じてしまう。哀しくもある。哀れにすら思う。後世まで残る石玉垣に、名前を残したかった人を思うと。石玉垣の名を見れば分かる。その名を見て、それが誰か分かる人は皆無に近い。石玉垣に名を刻んでも、本当の意味で、名を残すことになりはしない。でも、よく見れば気づく。名が刻まれなかった、石玉垣もある。そこには「某氏」と匿名で記されている。某氏と刻まれた石玉垣からは、純粋に幸のみを願う気持ちが伝わってくる。その石玉垣ほど、美しく、高貴な石玉垣はないとも思う。いつか、ぼくが石玉垣を奉納するとき、どんな石玉垣を、ぼくは残すのだろう。未来永劫の幸を願い、極楽浄土の安寧を願い、身を清めよと、自分自身を諭しながら。それでも、ぼくは石玉垣に、きっと自分の名を刻んでしまうことだろう。
2013.08.29
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陸上界の薬物検査は、厳しさを増しています。ウサイン・ボルトさえも、オリンピックに出場できない可能性すら出ています。このニュースはご覧になった方も多いかと思いますが、先の日記の補足として掲載します。次のオリンピックでも、ボルトの勇姿を見たいものです。・・・・・・・「ボルト五輪危機 ジャマイカの薬物検査体制にWADA警告」 スポニチアネックス 8月24日(土)7時2分配信 陸上の世界選手権で短距離2冠を達成した男子のウサイン・ボルト(27)や女子のシェリーアン・フレーザープライス(26)らを含むジャマイカ勢が、16年リオデジャネイロ五輪を含むメジャー大会から締め出される可能性が出てきた。ジャマイカ・オブザーバー紙が23日に報じたもので、世界反ドーピング機関(WADA)のハウマン事務総長がジャマイカの薬物検査体制を「怠慢だ」と批判。「国家挙げての改善策が見られなければIOCや国際陸連に処分を求める」と国単位の制裁を示唆した。ジャマイカでは世界選手権を前にアサファ・パウエル(30)ら5選手が薬物検査で陽性反応を示していたことが発覚。同国の反ドーピング機関に勤務していた女性が米メディアに「5カ月間で抜き打ち検査は1回。薬物プログラムが機能していない」と暴露し、WADAが調査に乗り出していた。ハウマン事務総長は「国として対応できないなら倫理違反。それは選手にも影響を与えるだろう」と警告。改善する意思を見せなければ、ボルトの五輪短距離2種目の3大会連続制覇は消滅することになる【過去の日記】 「哀しい選択 - 遺伝子ドーピング -」
2013.08.27
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オリンピック、男子100m走。異様な雰囲気の中、ピストル音とともにスタートした選手たちは、瞬く間にゴールを駆け抜けました。タイムは夢の新記録、8秒98。8秒台の驚異の新記録ながら、続いて会場に流れるアナウンスに、観客は落胆しました。「ただいまの記録は、遺伝子操作参考記録です」今日、8月24日の毎日新聞に、上述の内容の近未来のスポーツに関するSF的な記事がありました。世界のスポーツ界が、新たなドーピング「遺伝子ドーピング」に苦慮しているというものです。薬物ドーピングは、身体検査により違反を検出しています。しかし、遺伝子ドーピングでは、違反の有無の確認が極めて困難です。例えば、筋力が低下する難病、筋ジストロフィーの遺伝子治療。この治療を健康な選手に施せば、選手の筋力を強化することが可能です。あるいは、重度の貧血に対する遺伝子治療。この遺伝子治療では、驚異的な持久力の長距離ランナーを生み出せるかもしれません。事実、マウスに対する貧血治療を応用した遺伝子操作では、2倍の距離を走るマラソンマウスが作られました。一方で、この遺伝子操作をしたサルは、赤血球が増えすぎて血液循環が悪化、安楽死させられることとなりました。遺伝子ドーピングは、極めて危険です。しかし1980年代のアンケートは、驚くべき事実を明らかにしています。世界レベルの選手の半数が、ドーピングで金メダルが保証されるなら、5年以内に死んでも良いと答えたのですから。さらに、遺伝子ドーピングを擁護する声すらあります。選手にとって重要な素質は、人種の違いによってかならずしも公平ではない。だから、遺伝子ドーピングで、素質を公平にすることに罪はないと。従来の薬物ドーピングに歯止めをかけていたのは、厳しい身体検査による違反の検出でした。遺伝子ドーピングが検出不能であるならば、もはや選手たちの暴走を止めるものはありません。金メダルのために、命を賭けることができるか。それが今のトップスリートたちに突きつけられた、悪魔さえも震え上がる、哀しい最後の選択なのです。
2013.08.24
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「墓場」にはたくさんの情報を、コメントからいただきました。腐敗によるガスや汚水が問題になるほどの量の土葬。想像するのも嫌なものです。当時は井戸水だったようですから、なおさらです。イノサン墓地は、1785年には閉鎖されたとの情報をいただきました。それまでは、教会の貴重な資金源だったようです。スリランカでは土葬の異臭を「金持ちのにおい」と呼ぶとの情報もいただきました。それだけ教会で管理される土地に埋葬されるのには、資金が必要ということのようです。ヒトダマを見たという情報もありました。私も見たいと思っていますが、夜の墓場に行きませんので。それに最近は火葬ですから。ヒトダマとは何かの議論もありますが、それは議論の余地があるところでしょう。最近の欧米の埋葬では、エンバーミングをするのが一般的との情報もいただきました。エンバーミングは、遺体を消毒、腐敗防止処理する化学処理です。衛生面の配慮からで、アメリカ南部ではエンバーミング率が95%超えるとのことです。口蹄病の牛の埋葬では、衛生管理をどうしたかの質問もありました。私はよく存じませんが、この場合は腐敗とともに病原菌の問題もあるでしょう。最後に、誤診から「生きたままの埋葬」があったとのコメントもいただきました。そのため、棺桶の中から「生きていることしらせる装置」も人気商品として販売されたことがあります。その内容は、昔、下記の日記に書きましたので、ご紹介します。【過去の日記】 「生きたままの埋葬 ― ベートスンの鐘楼 ―」 ※ 棺桶の中から生きていることをしらせる発明、「ベートスンの鐘楼」です。まだ、暑い日が続いています。みなさん、体調管理にはお気をつけて。
2013.08.22
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西暦64年、ローマの暴君ネロは、恐ろしい方法でキリスト教徒を迫害しました。ネロが広大な庭園に十字架を立て、縛り付けた数百人のキリスト教徒。その教徒らは、チュニカ・モレスタという、拷問シャツを着せられていました。その拷問シャツに染みこまされていたのが、原油から取れるナフサです。ナフサは、粗製ガソリン,直留ガソリンと呼ばれる、ガソリンの原料です。付着性が高く、高温で燃えるため、その炎に包まれれば、致命的な火傷を負います。暴君ネロは、古代で最悪の化学兵器ナフサを染みこませたシャツを着させ、キリスト教徒を焼きました。燃える数百のキリスト教徒の十字架群は、「人間たいまつ」として語られました。これは暴君ネロに「獣の数666」が与えられた事件のひとつです。その惨状は、想像に耐えません。ガソリンの原料のナフサですら、最悪の化学兵器でした。燃えるガソリンが招く惨劇は、どれほどのものだったことでしょう。京都の花火大会での、ガソリン爆発事故。亡くなられた方の、ご冥福をお祈りします。【過去の日記】 「その数は人を指す - 獣の数 666 -」 ※ この日記では、「666」が暴君ネロを意味することを書きました。
2013.08.20
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土葬の墓場では、ヒトダマが出ると言われます。しかし、かつてのパリのイノサン墓地では、もっと深刻な状況が起きていました。歴史あるイノサン墓地は、1000年間に渡って土葬が続けられました。そのため、墓地からは、腐敗による妖気めいた蒸気が上がっていたと言われます。1765年には、墓地周辺の住民が耐えかねて、苦情の申し出が行われました。苦情の内容は、墓地から出る蒸気で家の中の食料品が短時間で腐敗し、井戸水も汚染されているというものでした。それでも、墓地からの異臭と蒸気は、止まることはありません。1779年には、周辺の住宅の地下室のろうそくの火が、墓地からの蒸気で消えました。そして、ついに1780年には、あまりに多い死体の重さに耐えかねて、墓地近くのワイン貯蔵庫が崩壊しました。もはや、ヒトダマどころではありません。歴史がありすぎる墓地からは、幽霊さえも逃げ出したに違いありません。
2013.08.18
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ダイナマイトの発明者、アルフレッド・ノーベル。彼にノーベル賞設立を決意させたのは、ある新聞の誤報でした。1888年3月、アルフレッド・ノーベルの兄、リュドビック・ノーベルが他界しました。しかし、それを新聞社は、アルフレッド・ノーベル自身の死と取り間違えました。明らかな誤報。そして、その新聞の見出しは、彼に深い失望を与えました。「死の商人、死す」それが、新聞の見出しでした。「このままでは、私は死んでも悪魔のようにしか語られない。」その思いから、彼は財産によるノーベル賞の設立を決意しました。自分自身の死を告げる新聞。もしノーベルがそれを読まなかったら、ノーベル賞はなかったのかもしれません。ノーベル賞の輝きの陰には、あるひとりの男の、深い悲しみと、みじめなおびえが隠されています。
2013.08.08
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タコは、夜行性と言われます。しかし、巣の外に出る時間は、1日のうち5~6時間のえさ探しに限られます。残りの時間は巣の中にいて、巣の清掃や巣の広さの調整をしています。タコの行動の大半は、ハウスキーピングに費やされます。蛸壺は悪い意味に取られますが、タコにとっては蛸壺も、お気に入りのマイホーム。遠くに行かなくても、静かに時をすごしても、お気に入りのしあわせは、すぐ身近にあるものなのかもしれません。
2013.08.06
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誤訳からのアリライオンは、不思議な解釈で広まりました。誤解や過ちから広まった言葉などは多くあります。タイの首都は、バンコク。皆さんは、そのように思っていることでしょう。でも、それで合っていますか?答えは、下記の私の過去の日記から。【過去の日記1】 「寿限無 寿限無 - バンコク -」【過去の日記2】 「ひとのこころは善にあって - アリライオン -」
2013.08.04
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ヘブライ語で書かれた聖書から、ギリシア語への翻訳。ヨブ記にある「老いたライオン、獲物を獲ずに滅ぶ」の文は、翻訳者を悩ませました。そして、悩んだ末、翻訳者は「老いたライオン」を、「アリライオン」と誤訳しました。アリライオンは、肉食の父親と、草食の母親を持つとされました。アリライオンは、頭がライオン、体がアリです。そのため、アリライオンは肉を食べても消化できず、滅ぶしかありません。聖書を手に、人々は悩みました。餓死するアリライオンは、何を語っているのかと。そして人々は、気づきます。アリとライオン、相反するふたつの道を歩むものの象徴だと。ふたつの道、それはこころの表と裏。人々は、気づきます。表と裏をこころに持つものは、いつかは滅ぶのだと。アリライオン。誤訳から生まれた、その生物は、人々を善の生き方に誘いました。あやまちが、そして誤解が、善の教義を生み出すなら、人のこころの本質は、やはり善なのかもしれません。【アリライオン】
2013.08.02
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