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「THE LOOP ザ・ループ 永遠の夏休み」 MINE GAMES 2012年 アメリカ映画監督 リチャード・グレイ さあ、恒例の無名作品紹介コーナーです。 例のごとく、なんか無名な面白そうな作品がないかなと、夢○書店を隅から隅まで物色していたところ、サスペンスコーナーで見つけた作品です。 邦題とパッケージの解説から、ホラ-などにありがちな若者(バカ者ともいう)たちのグループがキャンプや別荘などで災難に会うパターンで、自分たちが死んでいるのに気が付かないパターンかな、と思い借りてみたわけです。 ある夏休み、クレア、TJ、マイケル、レックスら7人は森の奥にある友人の別荘を訪れます。 思いがけず豪華な別荘に興奮し、青春を謳歌する彼らですが、TJとレックスが別荘近くの廃鉱で、彼ら自身の死体を見つけた時から事態は急変します。手の込んだイタズラだと思いたい気持ちは、そのあまりにもリアルな遺体の前に消し飛んでしまいます。 更に、ローズの体調の悪化や坑道の入り口に書かれた謎のメッセージ“悪循環を断て”、そして坑道の壁に書きなぐられた“これは一回目だ”の文字が彼らを混乱させていきます。 皆さんご存知のように、僕はホラーは嫌いです。しかし、殺人事件が起こるサスペンス映画や不可思議なことが起こるSF映画は大好きです。必要以上に血が噴き出したりグロテスクな描写があったりするのが嫌いなだけです。だから、殺人が起き、その謎を解明していくミステリーなどはむしろ大好物です。 ところが、自分たちの死体を発見してしまうというこの映画、その不可思議な謎を解明していくところがミソなはずなんですが、なんとその謎の重要な部分、時間がループしているという最重要な部分が、邦題によって既に暴露されてしまっているという愚かさなのです。だから、途中で伏線らしく、7人以外の人物の存在を匂わせていたり、自分自身の死体を発見してしまうという超ど級のミステリーがあったとしてもちっとも謎じゃないんですね。 原題は「MINE GAMES」、“mine”は、“私のもの”と“坑道”という二つの意味をかけてある、なかなか考えられた題名なんですね。しかし、いかんせん原題そのままでは英語に疎い我々日本人にはちょっとピンと来ない、つまり興味を引かれない題名なんですね。だから苦肉の策で、秘密を暴露する邦題をつけるしかなかったという題名なんですね。 実際、僕もこの邦題から興味を引かれて借りてきたわけで、監督も出演者も全くスターでない超B級映画(ネットにはZ級映画と紹介していた記事もありました。)だからしょうがないのかなあ。 どうもハリウッドでは、「スター・ウォーズ」の大大大大大ヒット以来、新人監督で全くスターの出ないB級映画で一攫千金を狙う輩が多くて困りますね。まあ、大半は何でこんな映画作ったんだろうと思ってしまうものが多いんですけど。(そういう映画をネタにしてブログ記事を作っている僕が言うことではないかな?) それから気になったのが、前半部分が長くて退屈だということです。 全編91分ですが、彼らが廃鉱の中で自分たちの死体を発見するのが開始からなんと45分後です。もちろんその間、別荘に向かう車でコンビニに寄ったり、事故に会いそうになったり、エンストして途中から歩いたり、酒飲んでバカ騒ぎしたり、全員で廃鉱を探検したり(この時はまだ死体は発見しません。)、近くの湖で泳いだり、そんなどうでもいい描写が続きます。もちろんそんな中でラストの謎ときにつながる伏線がいろいろとちりばめられてあるのですが、しかし、長すぎるんですね。何とか時系列を入れ替える(例えば、死体を発見する場面を冒頭に持ってくるとか。)などして、退屈しない工夫ができなかったんでしょうかね。 後半は後半で、伏線が次々と回収されて謎解きがされていくのですが、結局なぜ彼らの時間がループするのか、という最大の謎は解明されないまま終わってしまいます。それから、廃鉱の中でローズの足をつかんだのは誰?、ローズの目に他の人たちが傷ついた姿で見えたのはなぜ?、ローズの死因は?、などなど、何となく霊感少女らしいことを匂わせながら全く説明のないまま、彼女に関する謎が全く放っていかれたままエンディングだったのは参りました。 時間がループするという最大の謎解き要素が最初から明らかな中、予想通りの伏線回収がある意味心地よい後半でしたが、結局解明されないままな謎が残って、ちょっと後味が悪い感じが残りました。 ということで、意外と時間がループするというサスペンスやホラーが多い中、ちっとも工夫のない残念な作品を、今回は紹介しました。 あっ、今思いついたんだけど、結局映画の中では、ループの2回目(3回目はラストのある描写により、ない可能性が高いけどね。)を描いていたわけで、登場人物が死体を含め2人ずつ(3人目はラストにチラッと。)しか出てこなかったんだけど、どうせならかなり長い間ループは続いていて、死体が山ほど出てきて、生き残った子たちも何人も何人も出てきて、コメディにしちゃえばよかったのに。
2015.10.27
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「ウルヴァリン:SAMURAI」 The Wolverine 2013年 アメリカ・オーストラリア映画監督 ジェームズ・マンゴールド出演 ヒュー・ジャックマン 真田広之 久々にDVDを借りてきました。ここはやっぱり大好きな「X-MEN」シリーズの新作(僕の中での新作です、7泊レンタルOKになったばかりという意味です。)を借りてきました。(もちろん、「フューチャー&パスト」もそのうち借りてきますよ。) 1945年、日本の長崎にいた“ウルヴァリン”ことローガン(ヒュー・ジャックマン)は原爆の爆発から青年将校・ヤシダを身を挺して助けました。 時は流れ、最終決戦で愛していた仲間のジーンを殺さなくてはいけなかった罪悪感とその悪夢に苛まれ、ローガンはカナダの山奥に暮らしていました。 そこへ、日本の大企業グループ“矢志田産業”の総裁となっていたヤシダの使者、ユキオが現れ、ローガンは日本に招待されます。老衰により病弱したヤシダは「助けてもらったお礼にローガンを不老不死の生き地獄から解放する」と告げ死去します。 葬儀の中、ヤクザ軍団の襲撃を受けるヤシダの孫娘のマリコを守って、東京から長崎へ逃避行するウルヴァリンですが、ヤシダの言葉通りにDr. グリーンによって体の回復能力を奪われ本来の力が出せず、いつしか愛し合う関係になったマリコをヤクザに奪い去られてしまうのです。 僕はX-MEN好きだし、その中でも特にウルヴァリンが好きだから、結構楽しんで観ることができましたが、はっきり言って、いろいろと細かいところが気になってしまいました。細かいところが気になる、僕の悪いクセ。(右京さんかよ!!「相棒」にはまりすぎ!!) 飛行機に乗るのに日本刀むき出しはまずいだろうとか、葬式の最中に屋根の上で控えてる忍者(???)って無礼じゃない?とか、東京タワーが間近に見える大きな寺(増上寺?)から上野駅まで歩いていける???とか、上野駅から発車して赤い線が入った新幹線で次の停車駅が名古屋ってどういうこと??とか、長崎まですごい近くない?とか、長崎って東京から見て西だよね南じゃないよねとかとかとか、序盤からいろいろとツッコミどころが目白押しで、とりわけ、日本の描写に対しておかしな部分が多いんですよね。確かに日本人じゃなければ気づかない部分も多いんだけど、外人さんがこの映画を観て、東京タワーから上野駅まで歩いていこうとしたり、上野駅から東海道新幹線に乗ろうとしたら困るよね。なんか、「007は二度死ぬ」(1967年製作)の頃から、あんまり進歩してないんじゃないか???と思ってしまいました。 でもまあ、こういった日本に関する描写の違和感については、この映画を観た外国人がカン違いするだけだから、我々日本人がツッコミを入れて笑っていればいいことなのでいいんですが、ちょっと、この描写はよろしくないのではと思う点について書きたいと思います。 それは、この物語の発端となる、冒頭の部分についてです。 1945年、太平洋戦争終盤、米軍に従軍していたローガンは、長崎郊外の日本軍基地で捕虜になっていました。(なぜ、ローガンが太平洋戦争に参加していたのかについては、前作「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」を観ている人はわかっているよね。) 彼は、日本軍も扱いに困ったためか、他の捕虜たちからは隔離され、涸れ井戸の奥深くに鎖で縛られていました。(彼を捕まえるの大変だったろうね。) その時、米軍の爆撃が有り、他の捕虜と同じようにローガンを解放してあげようと井戸に入ってきた青年将校ヤシダを、ローガンは鉄板で押さえつけるという形で、勢いよく井戸の中まで入ってきた炎から守りました。ローガンは炎を浴び負傷しますが、持ち前の超速再生の能力ですぐに再生します。(ヤシダはそれをしっかり見ていて、彼の能力を知っています。) ローガンとヤシダは、外が静まるのを待って、井戸からはい出し、命をとりとめたのです。 これって、1945年8月9日の長崎原爆投下だよね。ローガンは超速再生能力のミュータントだからいいけど、ヤシダは明らかに被爆しているよね。 しかし、その後ヤシダは、原爆症に悩まされることなく、大企業を築き、老衰で亡くなるまでの長寿を全うします。 確かに当時原爆による放射能については広く知られておらず、爆撃直後の広島や長崎の廃墟となった街にわざわざ入って被爆した人々が多くいたと聞いております。 しかし、原爆の放射能の恐ろしさについて広く知られている現在、この映画のような放射能なんて全く関係ないかのような描写はよろしくないのではないでしょうか。 というか、もしかして、この映画のスタッフは原爆の放射能の恐ろしさについて、わかっていないのでしょうか。アメリカには、時々いるんですよね、原爆や水爆を、ただの威力のすごい爆弾としか認識していない人が。 ということで、いろいろと問題のある描写が気になりつつも、走行中の新幹線の上での戦い(この時のローガンと戦うヤクザの人、何気にすごいけどね。彼もミュータントかねえ。)や、鎧武者姿の矢井田信玄(マリコの父・真田広之)とローガンとの一騎打ち(しかしローガンってずるいよね、信玄に何べんも切られているのに、超速再生ミュータントだから全くダメージを受けていないんですよ。)や、最後のラスボス(正体については例によって秘密です。)との戦いなどなど、アクションは非常に見ごたえがあって、面白かった映画でした。 ところで、ユキオ役の人って、オセロ松嶋じゃあないですよ。福島リラっていうモデル出身の新人女優さんです。赤い髪で個性的な顔で、日本刀を見事に操って戦う、予知能力のあるミュータントです。
2015.10.26
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