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Dr.悠々

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リレー日記「心の帰れる場所」

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2003.09.30

朝自転車の後ろに娘を乗せて、お宮の傍を通ると、

金木犀の香りだ。
コスモスが咲き、そして金木犀が香ると
いよいよ秋本番という感じがする
辺りを見回したが、どこにも花はないようだ
どこからか風に乗って流れてきたのだろうか？

昔、実家にもそれほど大きくないけど金木犀の木が１本あった
今の実家は１７才の時に引っ越してきた家で、
その前に住んでいた
今はもう駐車場になってしまった昔の実家である

子供の頃、あの甘い香りに抱かれていると、
母親の胸に抱かれているような気がした
今も切ない思いや、やるせない思いの記憶が蘇ってくる
遠い過去への郷愁を呼び起こす香りなのかもしれない

夕方、同じ道を前に和を乗せて走ると
朝よりハッキリと匂いがする
自転車を止めて辺りを見回すと
道ばたの家の塀から顔を覗かせた木に金色の花が咲いてた
確かに朝もその辺は見たはずなのだ
多分、朝はほんの僅かだった花が
夕方までに一気に咲いたのだろう
一気に秋が溢れだしたのだ

帰り道、前に乗った和と後ろに乗った娘が大きな息をして
胸一杯に吸い込んでいる
子供達が大人になった時、
同じように甘酸っぱい香りと共に
子供時代の遠い過去を思い出すのだろうか？

家に帰って、奥の駐車場に自転車を入れようとすると
あれ？ここでも金木犀の香りが・・
駐車場のお隣さんの庭の木も、一気に花を咲かせたようだ
夕暮れの空の下、風の中に染みこんで
秋はそこらじゅうに流れて行った

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