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クイズごっこというホームページで作った、法律クイズ第1弾と第2弾が両方好評だったので、第3弾を作りました。もしよろしければ、お試しください。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2008年04月30日

クイズごっこというホームページで作った、昨日の法律クイズが思いのほか好評だったので、第2弾を作りました。もしよろしければ、お試しください。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2008年04月27日

クイズごっこというホームページで、法律クイズを作ってみました。↓知って得する法律クイズもし、よろしければお試しください!応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2008年04月26日

光市事件の被告人に死刑判決が下されました。ただ、これで弁護人が何か不当なことをしたことになるわけではありません。あくまで、弁護団の先生方は、弁護人としてやるべきことをやっただけなのです。そこは勘違いしないで頂きたいと思います。相変わらず弁護団の先生方を口汚く罵っている方を多数見かけますが、とても妥当な行為とは思えません。侮辱罪や名誉毀損罪になる可能性すらあります。何度も申し上げますとおり、弁護団を批判したければ根拠をもって批判するべきです。ところで、被告人側は上告したようです。判決文を読むまではなんとも言えませんが、最高裁が「『特に酌量すべき事情』が無ければ死刑もやむなし」と言って破棄差戻して、差戻控訴審で死刑判決が下るということは、差戻控訴審は「特に酌量すべき事情」が無いと判断したのでしょう。上告審では原則として新たな事実認定をしないので、上告審で「『特に酌量すべき事情』が有る」とは主張できず、上告審で差戻控訴審の判断を覆すのは中々大変ではないかと推測します。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2008年04月22日

破産法編第13章 2否認権2偏頗行為否認今回は,偏頗行為否認です。偏頗行為否認は財産流出を伴わないものの,債権者間の公平を害するので,否認されます。162条1項1号が,偏頗行為の典型的な条文です。第百六十二条 次に掲げる行為(既存の債務についてされた担保の供与又は債務の消滅に関する行為に限る。)は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。 一 破産者が支払不能になった後又は破産手続開始の申立てがあった後にした行為。ただし、債権者が、その行為の当時、次のイ又はロに掲げる区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事実を知っていた場合に限る。 イ 当該行為が支払不能になった後にされたものである場合 支払不能であったこと又は支払の停止があったこと。ロ 当該行為が破産手続開始の申立てがあった後にされたものである場合 破産手続開始の申立てがあったこと。二 破産者の義務に属せず、又はその時期が破産者の義務に属しない行為であって、支払不能になる前三十日以内にされたもの。ただし、債権者がその行為の当時他の破産債権者を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。今度は,160条1項とは逆に,「担保の供与又は債務の消滅に関する行為」が対象になります。要件は,「破産者が支払不能になった後又は破産手続開始の申立てがあった後」に相手方がそれぞれも事実を知っていたこと,となります。ですから,破産者の意図は関係ありません。ここで注意していただきたいのは,あくまで「既存の債務」についての担保供与や債務消滅です。ですから,新たに借金をして,その借金に対して担保権を設定することは162条1項に当たりません。担保が設定された分,現金が入ってきて,既存の債権者を害さないので,不公平は生じないからです(これを同時交換的行為と言います)。これを認めないと会社が傾いた時に緊急融資をしてくれるところがいなくなって,破産しなくてもいい会社を破産に追い込む可能性すらあるからなのです。判例(最判平成5年1月25日)も認めています(改行は引用者)。本件においては、本件各貸主からの借入前と本件弁済後とでは、破産者の積極財産の減少も消極財産の増加も生じていないことになる。そして、破産者が、借入れの際、本件各貸主との間で借入金を被上告人に対する特定の債務の弁済に充てることを約定し、この約定をしなければ借入れができなかったものである上、本件各貸主と被上告人の立会いの下に借入後その場で直ちに借入金による弁済をしており、右約定に違反して借入金を他の使途に流用したり、借入金が他の債権者に差し押さえられるなどして右約定を履行できなくなる可能性も全くなかったというのであるから、このような借入金は、借入当時から特定の債務の弁済に充てることが確実に予定され、それ以外の使途に用いるのであれば借入れることができなかったものであって,破産債権者の共同担保となるのであれば破産者に帰属し得なかったはずの財産であるというべきである。そうすると、破産者がこのような借入金により弁済の予定された特定の債務を弁済しても、破産債権者の共同担保を減損するものではなく、破産債権者を害するものではないと解すべきであり、右弁済は、破産法七二条一号による否認の対象とならないというべきである。次に2号をご覧下さい。2号は,行為自体が義務ではない物(例=担保の供与)・時期が義務でない物(例=期限前の弁済)については,支払不能前といえども支払不能30日以内であれば否認しうるとしています。これも脱法行為を防ぐためとされています。例えば,弁済期まで待っていると支払不能になって偏頗行為否認されかねないからとして,期限前弁済をして162条1項1号の適用を免れるのを防ぐわけです。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。【参考本】新・破産から民法がみえるこの本は、破産法と民法との違いを、事例を交えて解説してくれる本です。民法の勉強が終わって、破産法の勉強に入ろうと言う方におすすめです。
2008年04月18日

昨日は、久しぶりに光市事件について言及しましたが、頂く批判は相変わらず根拠の無いものばかりでしたので、削除しました。批判は大変ありがたいのですが、根拠を持って書き込んでください。さて昨日話題にした、光市事件報道に対するのBPOの意見の中で、「報道は検察官の主張とも異なる」と言う旨書いてある場所がありました。私は、てっきり報道の内容は少なくとも検察官の主張とは一致しているとばかり思っていたので、驚きです。みなさんご存知の通り、刑事裁判は、検察官が「被告人を処罰して」と主張し、弁護人・被告人が検察官の主張に反対すべきところは反対をして、裁判所が検察官と弁護人の意見を聴いた上で判断すると言う構造です。ですから、刑事裁判とは、検察官と弁護人・被告人が争う場なのです。そして、光市事件の報道は弁護人・被告人の主張を踏まえていないことは、今まで指摘した通りです。さらに、報道が検察官の主張とも異なると言うのであれば、刑事裁判の登場人物全ての主張とも異なることを報道していることになるのです。ということは、報道は、光市事件についてほとんど何も報道していないのと同じです。まあ、BPOはあくまで意見に過ぎないのですが、少なくともBPOは報道に対してそういう意見を突きつけているわけです。「一体、報道って何のためにあるんでしょうね?」と言いたくなります。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2008年04月17日

光市事件の報道について、BPOが意見を提示しています。意見の具体的な内容はこちらです。ざっと拝見したところ、私はBPOの意見に賛成です。BPOも指摘している通り、光市事件の場合、根拠の無い批判が多かったですね。死刑廃止だの、訴訟遅延だのを指摘する方が多かったですが、私が「根拠は?」と聞くと急に黙ってしまう方ばかりでした。欠席についても、確かに2人の弁護人は公判を欠席したらしいですが、その他の欠席していない弁護人にまで「欠席するとは何事だ」と言う批判をする人がいるのには、呆れるばかりです。また、「根拠は無いけど感情でそう思います」「何となく文脈でそう思います」とか言う人も居ました。私のブログに書き込んで下さった方の中にも、「気持ち」とか「感情」だけを理由に弁護団を批判している方がいました。もちろん、感情や気持ちを動機にして、自分で調べ上げ、具体的な根拠をもって弁護団を批判することは正しいことだと思います。ですが、気持ちや感情だけの批判は、もはや批判ではなくタダの好き嫌いを述べただけです。そういえば、感情ではなく「民意」だと言っている人も居ましたが、具体的な根拠の無い民意など、魔女狩りと同レベルだと思います。あるいは、「『部外者は黙ってろ』ということか」などと逆ギレする人も居る始末でした。私が申し上げているのは、「部外者は黙っていろ」ではなく、「根拠も無いのに批判するな」と言うことです。根拠なく人を批判してはいけないと言うのは、別に裁判に限った事ではなく、一般常識だと思うんですけどね。特に、懲戒請求テンプレで懲戒請求した方は、ご自分が何をしたか分かってらっしゃるでしょうか。先日、指摘しましたとおり、懲戒請求テンプレの内容のほとんどが事実誤認であり、単なる感情だけを述べたに過ぎない部分もありました。と言うことは、間違った事実を理由に職を失わせようとしたわけです。ご自分が、間違った事実を理由にクビになったらどう思うか考えてください。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2008年04月16日

破産法編 第13章 1否認権1詐害行為否認今までは,破産手続開始決定時の破産者の財産がどう扱われるかということを前提にお話してきました。しかし,破産手続開始決定時の破産者の財産以外でも破産財団に組み込むべき場合があります。例えば,破産手続開始決定直前に,誰かに不動産を譲渡した場合などです。そういう場合は,債権者を害するので,譲渡の効果を認めないようにする必要があります。これを「否認権」と呼びます。そして,否認権とは,詐害行為否認(さがいこういひにん)・偏頗行為否認(へんぱこういひにん)に分けられます。詐害行為否認とは,破産者が債権者を害することを知りながら,破産前にした行為(これを詐害行為といいます)で,受益者(相手方)も悪意である場合には否認できるとするものであります。これは,破産財団を流出させるので,否認されます。偏頗行為否認とは,破産者が支払不能後や破産申立前後の一定の時期において,債権者を害する行為をした場合,破産者がどう思っていようと,受益者の悪意だけで否認できるものです。この場合は,必ずしも破産財団を流出させるものではありませんが,債権者の平等を害するので否認されます。ではまず,詐害行為否認から見ていきましょう。(破産債権者を害する行為の否認) 第百六十条 次に掲げる行為(担保の供与又は債務の消滅に関する行為を除く。)は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。 一 破産者が破産債権者を害することを知ってした行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、破産債権者を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。 二 破産者が支払の停止又は破産手続開始の申立て(以下この節において「支払の停止等」という。)があった後にした破産債権者を害する行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、支払の停止等があったこと及び破産債権者を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。 160条1項1号が詐害行為否認の典型的な条文です。まず,柱書を見ていただければ分かりますとおり,「担保の供与又は債務の消滅に関する行為を除く」と有りますとおり,担保の供与や債務の消滅は160条1項には当てはまりません。担保の供与は,例えば抵当権設定をいい,財産は流出していません。債務の消滅は,例えば弁済をいい,一見財産が流出したように見えますが,その分借金が減るので,結果的にプラスマイナス0で財産は流出していません。ですから,詐害行為否認にはならないのです。(ですが,不公平に担保を設定したり,弁済したりすれば,後に申し上げる偏頗行為否認にはなりえます)さて,債務の消滅行為が詐害行為否認にならないからといって,1000万円の債務に対して1500万円支払ったら,財産は流出したことになります。そこで,債務の額を上回った分については,詐害行為否認の対象となります。第百六十条2 破産者がした債務の消滅に関する行為であって、債権者の受けた給付の価額が当該行為によって消滅した債務の額より過大であるものは、前項各号に掲げる要件のいずれかに該当するときは、破産手続開始後、その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分に限り、破産財団のために否認することができる。また,無償で何かをあげることは財産流出はなはだしいので,破産者・受益者の両方の意図に関係なく,否認されます。これを特に無償行為否認と呼びます。第百六十条3 破産者が支払の停止等があった後又はその前六月以内にした無償行為及びこれと同視すべき有償行為は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。ちなみに,「同視すべき有償行為」が含まれているのは,0円だと明らかに「無償行為」になるからといって,1円で売ったことにして160条3項の適用を免れて,脱法行為されるのを防ぐためだと思われます。さて,不動産を無償や不当に安い価格で売ると160条3項の適用がありますが,適切な価格で売却する場合はどうなるのでしょうか。プラスマイナス0ではないかとお考えでしょうが,不動産を,消費隠匿しやすい現金に変える事は財産の減少行為として考えられてきたのです。例えば,私が1000万円を隠せと言われたら,それなりのことは出来るかも知れませんが,1000万円の不動産を隠せと言われても,どうして良いか分かりません。しかし,例えば経営に行き詰った会社が,遊んでいる不動産を売って資金にするということは別に責められる行為ではないですし,仮に一切ダメとなると本来立ち直れたはずの会社を破産に追い込むことになりかねません。そこで,以下の条文があります。(相当の対価を得てした財産の処分行為の否認) 第百六十一条 破産者が、その有する財産を処分する行為をした場合において、その行為の相手方から相当の対価を取得しているときは、その行為は、次に掲げる要件のいずれにも該当する場合に限り、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。 一 当該行為が、不動産の金銭への換価その他の当該処分による財産の種類の変更により、破産者において隠匿、無償の供与その他の破産債権者を害する処分(以下この条並びに第百六十八条第二項及び第三項において「隠匿等の処分」という。)をするおそれを現に生じさせるものであること。 二 破産者が、当該行為の当時、対価として取得した金銭その他の財産について、隠匿等の処分をする意思を有していたこと。 三 相手方が、当該行為の当時、破産者が前号の隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたこと。 この3つの要件を満たさないならば,否認されないということです。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。【参考本】新・破産から民法がみえるこの本は、破産法と民法との違いを、事例を交えて解説してくれる本です。民法の勉強が終わって、破産法の勉強に入ろうと言う方におすすめです。
2008年04月15日

破産法編第11章 1請負請負と言うと耳慣れないかもしれませんが,「下請」と言う言葉がありますよね。「下請」と言うのは「下請負」の略ですから,実は請負契約というのは意外と用いられているようです。例えば,〇×建設から,鳶職の清水君が住宅建築を請け負ったという事例で考えましょう。この場合,〇×建設は「注文者」,清水君は「請負人」と呼ばれます。では,〇×建設が破産した場合,つまり注文者が破産した場合はどうなるでしょうか。破産法には特に条文がありませんので,双方未履行であれば,53条が適用されることになるのでしょうか。ということは,〇×建設の破産管財人が履行を選択すれば清水君は住宅を完成させなければならないことになります。そうすると,清水君は注文者が破産しているのに,住宅を完成させなければなりません。これでは,清水君は,代金が入るかなんとなく不安なわけです。そこで,民法において,請負人に解除権を認めています。(注文者についての破産手続の開始による解除) 民法第六百四十二条 注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。この場合において、請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用について、破産財団の配当に加入することができる。では,もし民法642条で解除されたらどうなるのでしょうか。もちろん,清水君が何も仕事に取り掛かっていなかったら,特に問題はありません。問題は途中まで住宅が完成した場合です。「解除」と言うことは,原則は原状回復なので,途中まで完成した住宅を壊して更地に戻し,戻す費用などは損害賠償として請求するようにも思えます。しかし,これは無駄だと言うのは明らかですよね。そこで,判例(最判53年6月23日)は以下のように考えています。「請負契約が民法642条1項の規定により解除された場合には,請負人はすでにした仕事の報酬およびこれに包含されない費用につき,破産財団の配当に加入することができるのであるが,すでにされた仕事の結果は破産財団に帰属すると解するのが,相当である」つまり,全部解除というよりは,未完成部分につき解除すると言うイメージですね。では,請負人が破産したらどうなるでしょうか。これについては,破産法にも民法にも条文がありません。ということは,53条によって処理することになります。ただし,判例においては(最判62年11月26日)破産者以外の者において完成することが出来ない性質の請負であれば,53条は適用されないものとされています(改行は引用者)。法五九条は、請負人が破産宣告を受けた場合であっても、当該請負契約の目的である仕事が破産者以外の者において完成することのできない性質のものであるため、破産管財人において破産者の債務の履行を選択する余地のないときでない限り、右契約について適用されるものと解するのが相当である。けだし、同条は、双務契約における双方の債務が、法律上及び経済上相互に関連性をもち、原則として互いに担保視しあっているものであることにかんがみ、双方未履行の双務契約の当事者の一方が破産した場合に、法六〇条と相まって、破産管財人に右契約の解除をするか又は相手方の債務の履行を請求するかの選択権を認めることにより破産財団の利益を守ると同時に、破産管財人のした選択に対応した相手方の保護を図る趣旨の双務契約に関する通則であるところ、請負人が破産宣告を受けた場合に、請負契約につき法五九条の適用を除外する旨の規定がないうえ、当該請負契約の目的である仕事の性質上破産管財人が破産者の債務の履行を選択する余地のないときでない限り、同条の適用を除外すべき実質的な理由もないからである。原判決が説示するように、同条の適用のない請負契約について法六四条を適用することができ、その適正な運用によりある程度妥当な解決を図ることが可能であるとしても、破産財団の都合等により請負契約の目的である仕事を完成することができないときには、注文者の保護に欠けるところが大きいので、右のことをもって法五九条の適用を否定する根拠とすることはできないというべきである。 そうすると、本件契約の目的である仕事が破産者以外の者において完成することのできない性質のものであるため、破産管財人において破産者の債務の履行を選択する余地のないものでない限り、本件契約については法五九条が適用され、本件契約が解除されたものとされる場合には、上告人は支払ずみの請負報酬の内金から工事出来高分を控除した残額について、法六〇条二項に基づき財団債権としてその返還を求めることができるものというべきである応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。【参考本】Cーbook倒産法この本は、倒産法の予備校本です。基本書に抵抗のある方は、こちらをおすすめします。
2008年04月14日

破産法編第10章 2賃貸借契約2賃借人の破産前回は賃貸人の破産をやりましたので,今回は賃借人の破産をやります。賃借人破産の場合,つまりあなたが破産してしまった場合はどうでしょうか。ただ,前提として,破産と言っても賃料だけは何とか支払っていたことを想定してください(未払い賃料が多額であることを理由に解除されるのは破産法以前の話です)。さて,賃借人破産の場合は,56条のような条文がありません。ということは,53条が適用されることになります。当たり前じゃないかとお考えでしょうが,昔は,賃貸人も解除できると言う条文があったので,いろいろ揉めていたのです。今までは一応賃料を払ってきたのに,財産的価値のある賃借権が失われることによる破産財団に損失が発生し,賃借人の営業・生活の基盤が失われるのは賃借人の害し,適切でないですし,賃料は財団債権という最優先の債権になるので賃貸人の害は大きくありません。ということで,賃貸人に解除権を認めた条文は削除されましたので,53条が適用されることになります。つまり,破産管財人が賃貸借契約を解除するか履行するか決めるというわけです。「解除したって,1円も入ってくるわけじゃないから,きっと履行選択されるだろう」とお考えでしょうが,一つお忘れではありませんか?あなたが差し入れた敷金です。敷金は賃貸借契約を解除すれば返ってくるので,敷金は破産財団として債権者に配当しなくてはなりません。ただし,敷金が安い場合は,破産管財人が放棄してくれたり, 敷金相当額を自由財産からひねり出すことによって解除をしないでもらうと言うことはありうるようです。さて,敷金はけりがついても,まだ安心できません。賃貸借契約においては,賃借人に賃借権が発生し,意外と高い価値が認められることがあります。有名なのは借地権ですね。借地権は地価の50%~80%位の価値が認められることがあるので,賃借人はそれだけの財産を持っていることになります。ですから,破産管財人は履行選択をして,賃借権の譲渡をするということもあります。ですから,土地を借りて,その上に家を建てて住んでいる方は,破産管財人が履行選択をしてくれてもまだ安心できないと言うことです。ただ,逆に言うと,この2つさえクリアすれば仮に破産しても現在済んでいるところに住み続けることが出来るわけです。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。【参考本】新・破産から民法がみえるこの本は、破産法と民法との違いを、事例を交えて解説してくれる本です。民法の勉強が終わって、破産法の勉強に入ろうと言う方におすすめです。
2008年04月13日

破産法編第10章 1賃貸借契約1 賃貸人の破産今日は,賃貸借契約です。賃貸借契約も双務契約なので,破産法53条の適用が有るか無いかを軸に考えて行きましょう。まず,賃貸人の破産です。あなたが,清水君からアパートを借りていたところ,清水君が破産してしまったらどうなるでしょうか。ここで,「そもそも双方未履行なんてあるの?」とお考えでしょうが,将来の賃料を支払う義務と,将来アパートを使わせる義務が未履行状態と考えられます。賃料を何ヶ月も先払いすることは稀ですし,アパートを使用させる義務はその場その場で履行し,将来分を先に使わせるなんてことは出来ませんよね。ということは,賃貸人が破産すると,賃借人は賃貸借契約を解除されてしまうのでしょうか。でも,あなたは全く悪くないのに,相手が破産したからと言って「出て行け」と言われるのは困りますよね。そこで,こんな条文があります。(賃貸借契約等) 第五十六条 第五十三条第一項及び第二項の規定は、賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を設定する契約について破産者の相手方が当該権利につき登記、登録その他の第三者に対抗することができる要件を備えている場合には、適用しない。 2 前項に規定する場合には、相手方の有する請求権は、財団債権とする。 賃貸借契約において,「登記、登録その他の第三者に対抗することができる要件」を備えていれば53条が適用されないということです。「自分は登記していない!」なんて焦らなくても結構です。アパートの場合は引渡を受けていれば,「対抗することができる要件」なのです。(建物賃貸借の対抗力等) 借地借家法第三十一条 建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。 ちなみに,「登録」と言うのは,知的財産のライセンス登録を想定していると聞きます。知的財産のライセンスを使用していたら,ライセンスを与える側(ライセンサー)が破産して「解除」だなんて言われたら困りますよね。次回は,賃借人の破産についてやります。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。【参考本】Cーbook倒産法この本は、倒産法の予備校本です。基本書に抵抗のある方は、こちらをおすすめします。
2008年04月12日

破産法編第9章 2双務契約と同時履行2 53条にまつわる論点前回は、破産法53条についてお話しました。(双務契約) 第五十三条 双務契約について破産者及びその相手方が破産手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは、破産管財人は、契約の解除をし、又は破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる。 2 前項の場合には、相手方は、破産管財人に対し、相当の期間を定め、その期間内に契約の解除をするか、又は債務の履行を請求するかを確答すべき旨を催告することができる。この場合において、破産管財人がその期間内に確答をしないときは、契約の解除をしたものとみなす。 破産法53条で問題になるのは,何をもって「履行」とするかです。例えば,所有権留保契約において,「所有権が移転していないから未履行だ」とするのはどうでしょうか。所有権留保契約において所有権というのはもはや理論上留保されているにすぎず,物自体はもう買主に渡っているのです。ですから,裁判例(大阪高判59年9月27日)も「売主は契約に基づく債務を全て履行しており,ただ,売買目的物の所有権を留保しているものの,買主の売買代金完済という条件にかかわらせており,右条件成就により,留保された所有権移転の効果が生じ,改めて所有権留保売主の所有権移転行為を必要とするものではない」として,双方未履行性を否定しています。あと,双方未履行契約でありながら,解除を認めなかった判例もあるので,注目です。最判平成12年2月29日判例です。ゴルフ会員が破産した場合,ゴルフ会員契約を解除できるかが争いとなりました。ゴルフ会員の使用料金支払義務と,経営会社のゴルフ場を使用させる義務が双方未履行と考えられたのです。(中略・改行は引用者)「破産法五九条一項が破産宣告当時双務契約の当事者双方に未履行の債務がある場合に破産管財人が契約を解除することができるとしているのは、契約当事者双方の公平を図りつつ、破産手続の迅速な終結を図るためであると解される。そうすると、破産宣告当時双務契約の当事者双方に未履行の債務が存在していても、契約を解除することによって相手方に著しく不公平な状況が生じるような場合には、破産管財人は同項に基づく解除権を行使することができないというべきである。この場合において、相手方に著しく不公平な状況が生じるかどうかは、解除によって契約当事者双方が原状回復等としてすべきことになる給付内容が均衡しているかどうか、破産法六〇条等の規定により相手方の不利益がどの程度回復されるか、破産者の側の未履行債務が双務契約において本質的・中核的なものかそれとも付随的なものにすぎないかなどの諸般の事情を総合的に考慮して決すべきである。 そこで、被上告人が本件会員契約を解除することにより上告人に著しく不公平な状況が生じるかどうかについて検討する。 (中略) 預託金会員制ゴルフクラブの会員が破産した場合、これを理由にその破産管財人が破産者の会員契約を解除できるとすると、ゴルフ場経営会社は、他の会員との関係からゴルフ場施設を常に利用し得る状態にしておかなければならない状況には何ら変化がないにもかかわらず、本来一定期間を経過した後に返還することで足りたはずであり、しかも、当初からゴルフ場施設の整備に充てられることが予定されていた預託金全額の即時返還を強いられる結果となる。(中略)その一方で、破産財団の側ではゴルフ場施設利用権を失うだけであり、殊更解除に伴う財産的な出捐を要しないのであって、甚だ両者の均衡を失しているといわざるを得ない。ゴルフ場経営会社が、会員契約の解除によって生じる右のような著しい不利益を損害賠償請求権として構成し、これを破産法六〇条により破産債権として行使することで回復することは、通常は困難であるというべきである。 また、会員契約の成立により、会員は所定の年会費の支払義務を負うこともあるが、その場合でも一般に年会費の額は預託金の額に比べると極めて少額であり、ゴルフクラブによっては会員に年会費の支払義務がない例があることも公知の事実である。そうすると、本件会員契約のように会員に年会費の支払義務がある場合においても、その義務は、会員契約の本質的・中核的なものではなく、付随的なものにすぎない。(中略) これらにかんがみると、被上告人が本件会員契約を解除するときは、これにより上告人に著しく不公平な状況が生じるということができるから、被上告人は、破産法五九条一項により本件会員契約を解除することができないというべきである。」ということです。53条が必ずしもいつも適用されるわけではないことを覚えて置いてください。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。【参考本】新・破産から民法がみえるこの本は、破産法と民法との違いを、事例を交えて解説してくれる本です。民法の勉強が終わって、破産法の勉強に入ろうと言う方におすすめです。
2008年04月11日

破産法編第9章 1双務契約と同時履行1 双方未履行契約双務契約とは、契約によって当事者の双方がお互いに対して債権をもち、債務を負うものをいいます。双方が義務を負うので双務契約と言います。といっても,難しいものではありません。皆さんが普通想像する契約は大体双務契約です。例えば,売買契約は,買主が代金支払義務を負い,売主が目的物引渡義務を負うので双務契約です。あとは,賃貸借、雇用も双務契約ですから,大体双務契約のイメージは持っていただけると思います。今回は,この双務契約と破産についてお話します。さて,まず売主と買主のどちらか一方が義務を果たしたのに,どちらかが破産してしまった場合はどうなるでしょうか。売主が物を引き渡したのに,買主が破産してしまった場合は,売り掛け先が破産したというよくある話で,売主は,債権者として破産手続に参加します。買主がお金を支払ったのに,売主が破産してしまった場合は,売主は「この物は私が買ったものだから取り戻させろ」といえばいいわけです。いずれにせよ,今までやった破産法の知識で処理できます。では,双務契約で,双方とも未履行だったらどうなるでしょうか。理論上は,どちらか一方が未履行で破産した場合の組み合わせで処理すれば良いようにも思えます。しかし,考えていただきたいのですが,あなたがあるパソコンショップの通信販売でパソコンを買う契約を結んだところ,お金を払う前にそのパソコンショップが潰れ,パソコンも届かなかったという場合,どうしたいですか?「別の店で買おう」と思うことが多いと思います,面倒臭い思いをして,破産手続に関わっていきたくないですよね。ということで,双務契約で,双方未履行の場合は,破産管財人には契約解除権がありますし,相手方は解除の催告権が発生します。(双務契約) 第五十三条 双務契約について破産者及びその相手方が破産手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは、破産管財人は、契約の解除をし、又は破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる。 2 前項の場合には、相手方は、破産管財人に対し、相当の期間を定め、その期間内に契約の解除をするか、又は債務の履行を請求するかを確答すべき旨を催告することができる。この場合において、破産管財人がその期間内に確答をしないときは、契約の解除をしたものとみなす。 つまり,あなたは破産管財人が解除してくれるのを待ち,何も言ってこないなら「解除するのかしないのかはっきりしてくれ」と管財人に訴えるわけです。(普通は解除してくれると思いますが,もし「解除しない」と言われたら諦めてください)しかも,解除によって何か損害が発生した場合は,損害賠償請求も出来ます。第五十四条 前条第一項又は第二項の規定により契約の解除があった場合には、相手方は、損害の賠償について破産債権者としてその権利を行使することができる。 2 前項に規定する場合において、相手方は、破産者の受けた反対給付が破産財団中に現存するときは、その返還を請求することができ、現存しないときは、その価額について財団債権者としてその権利を行使することができる。このように,双務契約で双方未履行の場合の時に何故このような例外があるのかとお考えでしょう。もし,双方未履行の時にも今までの破産法の原則に従って処理すると,破産者からはほんの僅かしか返ってこないのに,破産者の相手方は全部の履行を求められるからです。例えば,清水君があなたからパソコンを買う契約をしたものの,代金もパソコンの引渡も無いのに,清水君が破産したとします。そうすると,清水君は破産している以上,あなたの売買代金は数%しか返ってきませんが,パソコンは既に清水君のものなので,清水君(の破産管財人)にパソコンを渡さなければなりません。これは不公平ですよね。本来,民法ではそういうことが無いように同時履行の抗弁権を認めて,売主買主の両者が相互に担保視しあって,両者の公平に反します。そこで,破産法でも53条のような例外を設けたのだと考えられています。次回は,53条にまつわるお話をします。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。【参考本】Cーbook倒産法この本は、倒産法の予備校本です。基本書に抵抗のある方は、こちらをおすすめします。
2008年04月10日

破産法編第8章 2連帯保証・保証2 附従性保証人というのは,お金を借りた人(=主債務者)を担保する人ですから,保証人の負う責任は,主債務者を超えることはありえません。例えば、清水君が草薙氏から1000万円借りた時に,あなたが保証人になった場合,あなたは1000万円を限度に責任を負い,あなたが2000万円の責任を負うことはありえません(安い分にはかまいません。「1000万円は無理だが,500万円なら保証できる」という場合もありうるからです)。これを保証債務の附従性といいます。ですから、もし,他の人が肩代わりしてくれたなど,何かの理由で清水君の借金が0円になった場合,あなたが1000万円を現実に支払っていなくても,附従性により,もうあなたは何の責任も負いません。あくまで,あなたは清水君の借金について責任を負っているだけなのです。まあ,当たり前じゃないかと思われるでしょう。では,その0円になった理由が破産手続による免責だったらどうなるでしょうか。0円は0円だから,あなたはもう責任を負わないとも思えますが,そもそも保証とは,主債務差者が破産した場合に備えてつけるものですから,これでは保証の意味がなくなってしまいます。そこで,免責においては,附従性が主張できないとされています。(免責許可の決定の効力等) 第二百五十三条 2 免責許可の決定は、破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び破産者以外の者が破産債権者のために供した担保に影響を及ぼさない。 判例(最大判昭和45年6月10日)も,253条2項が附従性の例外規定であることを認めています。「保証人等の負担する債務および責任は,会社債権者の債権を人的に保証して,債権者が会社から完全な満足を受けられない場合に備えることをその主要な目的とするものであり,会社が窮境に陥った場合にこそ,その担保としての公用を果たすべきものである」別の話題ですが、以下のような判例(最判昭和62年6月2日)もありますので,余裕のある方はご覧下さい。数人が各自全部の履行をする義務を負う場合において(以下、全部の履行をする義務を負う者を「全部義務者」という。)、その全員又は一部の者が和議開始の決定を受けたときは、和議開始決定時における当該債権の全額を和議債権として届け出た債権者は、和議開始決定後に、当該和議債務者に対して将来行うことのあるべき求償権を有する全部義務者から債権の一部の弁済を受けても、届出債権全部の満足を得ない限り、右債権の全額について和議債権者としての権利を行使することができるものと解するのが相当である。その理由は、次のとおりである。破産法(以下「法」という。)二四条によれば、数人の全部義務者の全員又は一部の者が破産宣告を受けたときは、債権者は破産宣告の時に有した債権の全額について、各破産財団に対して破産債権者としての権利を行うことができるのであるから、破産宣告の債権の全額を破産債権として届け出た債権者は、破産宣告後に全部義務者から当該債権の一部の弁済を受けても、届出債権全部の満足を得ない限り、なお右債権の全額について破産債権者としての権利を行使することができるものと解される。そして、債権者が債権の全額につき破産債権者としての権利を行使した場合に,破産者に対して将来行うことのあるべき求償権を有する全部義務者が弁済したときは、「其ノ弁済ノ割合ニ応シテ債権者ノ権利ヲ取得ス」との法二六条二項の規定は、将来の求償権を有する複数の全部義務者による一部ずつの弁済により、又は右の弁済と破産財団からの配当とにより、届出債権全部を満足させてなお配当金に余剰を生じた場合に、右余剰部分について、右全部義務者が各自の弁済額の割合に応じて債権者の権利を取得する旨を定めたものと解すべきである。けだし、同項が債権の一部を弁済したにすぎない全部義務者において直ちに届出債権額に対する弁済額の割合に応じて債権者の権利を取得する旨を定めたものと解すれば、債権者が届出債権全部の満足を得られない場合にも、残債権につき履行する義務を負つている右全部義務者が前記の割合に応じて債権者の権利を取得し破産債権者としての権利を行使しうることとなり、債権者を害する結果となつて妥当でないからである。以上に述べたことは、和議法四五条によつて右各規定が和議債権について準用される場合にも異なるところはないというべきである。※和議とは倒産手続のこと・引用者注応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。【参考本】新・破産から民法がみえるこの本は、破産法と民法との違いを、事例を交えて解説してくれる本です。民法の勉強が終わって、破産法の勉強に入ろうと言う方におすすめです。
2008年04月09日

第8章 連帯保証・保証1 求償権今回は連帯保証・保証における破産についてお話します。清水君が,草薙氏から1000万円を借りる時,あなたが保証人になったとします。そうしたら,清水君が何と破産してしまったとします。さて,あなたはどうすればいいのでしょうか。まず,意外と知られていないことですが,保証人がお金を借りた人(主債務者といいます)に代わってお金を払った時,保証人は主債務者に支払った分のお金を支払えと請求できます。これを求償権といいます。(委託を受けた保証人の求償権) 民法第四百五十九条 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受け、又は主たる債務者に代わって弁済をし、その他自己の財産をもって債務を消滅させるべき行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対して求償権を有する。 2 第四百四十二条第二項の規定は、前項の場合について準用する。 実際には,主債務者がお金を払えないから保証人に請求されるので,求償権が効果を発揮することは余り無いのですが,理論上は保証人が主債務者にお金を請求できるのです。しかも,弁済期が到来していれば、あなたがお金を支払う前に清水君に支払えと言えるのです。(委託を受けた保証人の事前の求償権) 第四百六十条 保証人は、主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、次に掲げるときは、主たる債務者に対して、あらかじめ、求償権を行使することができる。 (中略)二 債務が弁済期にあるとき。ただし、保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は、保証人に対抗することができない。ということは,清水君が破産した時点で,あなたも債権者なのです。普通,弁済期が来てもお金が返せないから破産するからです。そうなると,あなたも破産手続に参加できそうですが,ちょっと待ってください。草薙氏も清水君に1000万円請求したいし,あなたも1000万円を請求したいところです。これでは,清水君の1000万円の借金について2000万円配当しなくてはなりませんから,おかしなことになります。そもそも,あなたは保証人として草薙氏に1000万円払わなければいけない立場なのですから,まずは草薙氏を優先させなければなりません。仮に優先せず,あなたも配当が受けられるとしても,その配当を右から左へ草薙氏に支払わなければならないので,手続が複雑になるだけです。そこで,破産法は債権者が破産手続に参加すると,債権者が満額の弁済を受けない限り,保証人は参加できません。(全部の履行をする義務を負う者が数人ある場合等の手続参加) 破産法第百四条 (中略) 3 第一項に規定する場合において、破産者に対して将来行うことがある求償権を有する者は、その全額について破産手続に参加することができる。ただし、債権者が破産手続開始の時において有する債権について破産手続に参加したときは、この限りでない。 4 第一項の規定により債権者が破産手続に参加した場合において、破産者に対して将来行うことがある求償権を有する者が破産手続開始後に債権者に対して弁済等をしたときは、その債権の全額が消滅した場合に限り、その求償権を有する者は、その求償権の範囲内において、債権者が有した権利を破産債権者として行使することができるということは,事前求償権があるといっても,自分が弁済しない限りは,あなたは破産手続に参加できないことになります。実は,もう一つ保証について重大な話があるのですが,それは次回にしましょう応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。【参考本】Cーbook倒産法この本は、倒産法の予備校本です。基本書に抵抗のある方は、こちらをおすすめします。
2008年04月08日

破産法編第7章 3非典型担保「非典型担保」というのは,めったに使われない典型的でない担保と言う意味ではなく,民法に規定の無い担保と言うことです。そして,主な非典型担保は,譲渡担保(Wikipediaへのリンク)と所有権留保(Wikipediaへのリンク)です。譲渡担保とは所有権を相手に渡したことにして担保にすることであり,所有権留保とは売買をしながらも所有権を売主の手に残しておくことです。所有権留保は,簡単です。分割払で物を買う時は,ほとんど所有権留保の形になっていますので,分割払で物を買ったことがある人は契約書をご覧下さい。難しいのは譲渡担保です。例えば,あなたがパソコンを担保にしたいという時,民法上は質権設定するしかないので,パソコンを,お金を貸してくれる人(草薙氏としましょう)に渡さなければなりません。皆さんが質屋でお金を借りる時,質草を質屋に置いてきますよね。これでは,あなたはパソコンが使えなくなってしまうので,困ります。お金を貸す側としても,お金を返されたらパソコンが使えなくなるので,お金が返ってくるかどうか決まるまではパソコンを使いたいとも思いません。使いたいとも思わないと言うことは,草薙氏は,実はパソコンをあんまり受け取りたくないのです。そこで,お金を返さないことが決まるまでは,あなたの手元にパソコンがおいておける担保制度が編み出されました。それが譲渡担保です。あなたは,パソコンの所有権だけを草薙氏に渡して,パソコン自体はあなたが管理するという契約を結んで,お金を借ります。つまり,形だけ所有権を草薙氏に譲渡して担保とするのです。これが譲渡担保です。不動産で言う抵当権のような働きをします。さて,では,このような事例で,不幸にもあなたが破産してしまった場合,譲渡担保権者である草薙氏はどのような権利を主張できるでしょうか。形式的とはいえ,所有権を草薙氏に渡した以上,草薙氏は「パソコンの所有権は私のものであり,そもそも破産とは無関係だから取り戻させろ」と主張するのか(これを取戻権と言います),実質的には抵当権のような働きをしていたので,「私は別除権者だ」と主張するのか,どちらなのか問題となります。ここで,草薙氏に所有権を認めると,パソコンが100万円で,債務が一部返済されて50万円の時でも草薙氏は100万円の価値あるパソコン全てについて権利主張することになり,ちょっと不公平です。これに対し。別除権を認めるならば,パソコンが100万円で,債務が50万のとき,破産手続でパソコンを換価し,50万円については草薙氏に優先して返し,残り50万円を他の債権者に配当でき,公平となります。ということで,本件の場合,草薙氏は「私は別除権者だ」と主張することになります。判例(最判昭和41年4月28日)も「倒産手続開始決定時,所有権は,譲渡担保設定契約に基づき,債権者に移転していたが,右所有権の移転は確定的なものではなく,債権者債務者間に債権債務関係が存続していたものである。かかる場合,譲渡担保権者は,担保権者に準じてその権利の届出をなし,倒産手続によってのみ権利行使をなすべきものであり,目的物に対する所有権を主張して,その引渡を求めることは出来ない」と言う主旨のことを述べています。(この事件は,会社更生事件なので,適宜,語を置換しています)ちなみに,所有権留保も同じく別除権になるとされています。ただ,契約上はっきりと「所有権留保である」と書いてあることは少なく,「破産申立があった場合には,直ちに解除でき,売主は所有権を完全に回復する」などと書いてあります(これを倒産解除条項と言います)。このように書かれると,解除は有効となって,結局取り戻されてしまうような気がしますが,判例(最判昭和57年3月30日)は,倒産解除条項を無効としています。「動産の売買において代金完済まで目的物の所有権を売主に留保することを約したうえこれを買主に引渡した場合においても、買主に代金債務の不履行があれば、売主は通常これを理由として売買契約を解除し目的物の返還を請求することを妨げられないが、本件のように、更生手続開始の申立のあつた株式会社に対し会社更生法三九条の規定によりいわゆる旧債務弁済禁止の保全処分が命じられたときは、これにより会社はその債務を弁済してはならないとの拘束を受けるのであるから、その後に会社の負担する契約上の債務につき弁済期が到来しても、債権者は、会社の履行遅滞を理由として契約を解除することはできないものと解するのが相当である。また、買主たる株式会社に更生手続開始の申立の原因となるべき事実が生じたことを売買契約解除の事由とする旨の特約は、債権者、株主その他の利害関係人の利害を調整しつつ窮境にある株式会社の事業の維持更生を図ろうとする会社更生手続の趣旨、目的(会社更生法一条参照)を害するものであるから、その効力を肯認しえないものといわなければならない。そうすると、上告人のした本件売買契約解除はその効力を有しない」応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。【参考本】倒産法概説この本は、破産法のみならず、民事再生法・会社更生法といった倒産関連の法律を横断的に解説してくれます。破産法・民事再生法・会社更生法を比較して学べます。執筆者は学者の先生ですが、あまり固くなく、比較的読みやすい本です。
2008年04月08日

破産法編第7章 2動産売買先取特権前回は担保物権というくくりで先取特権も行いましたが,動産売買先取特権についてもう少し詳しくやりましょう。まず,動産売買先取特権とは,文字通り動産を売買した時に発生する先取特権であり,具体的に言うと,動産の売主は,売買の目的物に対して,代金・利息についての担保権が発生するのです。しかも,抵当権・質権と違って,法律で自動的に担保権が発生する法定担保物権です。(動産売買の先取特権) 民法第三百二十一条 動産の売買の先取特権は、動産の代価及びその利息に関し、その動産について存在する。 つまり,あなたが車をご友人に売った場合,車の代金が支払われるまでは,車について担保が設定されているようなものなのです。これは凄い!と思うかも知れませんが,担保としては案外弱く,その車が第三者に転売されると,車に対する動産売買先取特権は消滅します(これを,追及効の消滅と言います)。これは,第三者が悪意でも同じです。(先取特権と第三取得者) 民法第三百三十三条 先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない。 その代わり,代金について先取特権が認められますが(これを,物上代位と言います),転売代金が支払われるまでに転売代金を差し押さえなければなりません。(物上代位) 民法第三百四条 先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。 さて,破産法の話に戻りましょう。破産手続が開始されると,財産の管理権は,破産者から破産管財人に移ります。(破産管財人の権限) 破産法第七十八条 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した破産管財人に専属する。 (以下省略)(破産財団の管理) 第七十九条 破産管財人は、就職の後直ちに破産財団に属する財産の管理に着手しなければならない。 と言うことは,破産者から破産管財人に財産が譲渡されたことになり,動産売買先取特権も消滅するのではないかという疑問がわいてきます。しかし,破産手続開始決定は,第三者への引渡を意味するのではなく,総債権者のための差押えを意味するに過ぎないので,動産売買先取特権は消滅しません。では,転売代金についてはどうでしょうか。やはり,破産手続開始決定が,破産管財人への「払渡し」にあたれば,304条1項ただし書により,物上代位できなくなる恐れがあります。304条1項ただし書の趣旨は,特定性の保持と債権譲渡が合った場合の第三者に不測の損害を与えない点にあることから,破産手続が開始された場合や一般債権者が差し押さえたに過ぎない場合は,なお先取特権者は物上代位権を行使できるとされています。(ちなみに,判例もそのように考えています。最判昭和59年2月2日です。「民法三〇四条一項但書において、先取特権者が物上代位権を行使するためには金銭その他の払渡又は引渡前に差押をしなければならないものと規定されている趣旨は、先取特権者のする右差押によつて、第三債務者が金銭その他の目的物を債務者に払渡し又は引渡すことが禁止され、他方、債務者が第三債務者から債権を取立て又はこれを第三者に譲渡することを禁止される結果、物上代位の対象である債権の特定性が保持され、これにより物上代位権の効力を保全せしめるとともに、他面第三者が不測の損害を被ることを防止しようとすることにあるから、第三債務者による弁済又は債務者による債権の第三者への譲渡の場合とは異なり、単に一般債権者が債務者に対する債務名義をもつて目的債権につき差押命令を取得したにとどまる場合には、これによりもはや先取特権者が物上代位権を行使することを妨げられるとすべき理由はないというべきである。そして、債務者が破産宣告決定を受けた場合においても、その効果の実質的内容は、破産者の所有財産に対する管理処分権能が剥奪されて破産管財人に帰属せしめられるとともに、破産債権者による個別的な権利行使を禁止されることになるというにとどまり、これにより破産者の財産の所有権が破産財団又は破産管財人に譲渡されたことになるものではなく、これを前記一般債権者による差押の場合と区別すべき積極的理由はない。したがつて、先取特権者は、債務者が破産宣告決定を受けた後においても、物上代位権を行使することができるものと解するのが相当である。」)応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。【参考本】倒産処理法入門第2版補訂版この本は、倒産法をはじめて学ぶ方に最適の本です。量も少なく、とっつき易いです。
2008年04月07日

破産法編 第7章 1担保物権担保物権とは,民法でやる担保物権であり,留置権(Wikipediaへのリンク)・先取特権(Wikipediaへのリンク)・抵当権・質権を言います。担保物権というのは,文字通り担保となるものであり,債務者(=お金を借りた人)の経済状態が悪くなった時にこそ効果を発揮するのです。なので、いくら破産手続で、「債権者平等の原則がある」と言っても担保の効果が無くなったら担保の意味がありません。そこで,抵当権・質権・特別の先取特権は破産法上「別除権」と呼ばれて,破産手続から別に除かれます。(別除権) 第六十五条 別除権は、破産手続によらないで、行使することができる。 2 担保権(特別の先取特権、質権又は抵当権をいう。以下この項において同じ。)の目的である財産が破産管財人による任意売却その他の事由により破産財団に属しないこととなった場合において当該担保権がなお存続するときにおける当該担保権を有する者も、その目的である財産について別除権を有する。 ちなみに,これ以外の権利はどうなるかと言いますと,一般先取特権はもともと債務者の全ての財産に優先するので,「別に除く」べきものがなく,優先した債権者の地位になります(優先的破産債権)。(優先的破産債権) 第九十八条 破産財団に属する財産につき一般の先取特権その他一般の優先権がある破産債権(次条第一項に規定する劣後的破産債権及び同条第二項に規定する約定劣後破産債権を除く。以下「優先的破産債権」という。)は、他の破産債権に優先する。 (以下略)民法上の留置権は,破産手続では効力を失い,無担保の債権者と同様になります(商法上の留置権は,特別先取特権とみなされます。ここで,留置的効力も認められるのかが問題となりますが,判例は留置的効力を認めているとされます(最判平成10年7月14日))。(留置権の取扱い) 第六十六条 破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき存する商法 又は会社法 の規定による留置権は、破産財団に対しては特別の先取特権とみなす。 2 前項の特別の先取特権は、民法 その他の法律の規定による他の特別の先取特権に後れる。 3 第一項に規定するものを除き、破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき存する留置権は、破産財団に対してはその効力を失う。 なお,別除権者といえども,完全に自由というわけではなく,破産管財人が換価手続をすることもありますし,処分の期間を定められてしまうこともあります。別除権者がいつまでも換価しないときに,184条・185条が適用されるそうです。(換価の方法) 第百八十四条 第七十八条第二項第一号及び第二号に掲げる財産の換価は、これらの規定により任意売却をする場合を除き、民事執行法 その他強制執行の手続に関する法令の規定によってする。 2 破産管財人は、民事執行法 その他強制執行の手続に関する法令の規定により、別除権の目的である財産の換価をすることができる。この場合においては、別除権者は、その換価を拒むことができない。 (中略)(別除権者が処分をすべき期間の指定) 第百八十五条 別除権者が法律に定められた方法によらないで別除権の目的である財産の処分をする権利を有するときは、裁判所は、破産管財人の申立てにより、別除権者がその処分をすべき期間を定めることができる。 また,競売手続によると価値が下がることが多いので,あらかじめ抵当権を消滅させて高く売るという手段も認められます。(担保権消滅の許可の申立て) 第百八十六条 破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき担保権(特別の先取特権、質権、抵当権又は商法 若しくは会社法 の規定による留置権をいう。以下この節において同じ。)が存する場合において、当該財産を任意に売却して当該担保権を消滅させることが破産債権者の一般の利益に適合するときは、破産管財人は、裁判所に対し、当該財産を任意に売却し、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める額に相当する金銭が裁判所に納付されることにより当該財産につき存するすべての担保権を消滅させることについての許可の申立てをすることができる。ただし、当該担保権を有する者の利益を不当に害することとなると認められるときは、この限りでない。 (以下省略)なお,担保権を実行してもなお債権の全額が弁済できない場合には,不足額については普通の債権者として破産手続に参加できます(これを不足額責任主義と言います)。(別除権者等の手続参加) 第百八条 別除権者は、当該別除権に係る第六十五条第二項に規定する担保権によって担保される債権については、その別除権の行使によって弁済を受けることができない債権の額についてのみ、破産債権者としてその権利を行使することができる。ただし、当該担保権によって担保される債権の全部又は一部が破産手続開始後に担保されないこととなった場合には、その債権の当該全部又は一部の額について、破産債権者としてその権利を行使することを妨げない。 応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。【参考本】倒産法概説この本は、破産法のみならず、民事再生法・会社更生法といった倒産関連の法律を横断的に解説してくれます。破産法・民事再生法・会社更生法を比較して学べます。執筆者は学者の先生ですが、あまり固くなく、比較的読みやすい本です。
2008年04月07日

家庭教師の裏話6 教材販売つき家庭教師の解約以前、教材販売つきの家庭教師を解約する際の解約金は、「通常の使用料」が限度であり、何も一方的に業者の言いなりになる必要は無いということを申し上げました。ところが、「通常の使用料」についてとんでもない定めをしている業者が有るようです。その名を公表したいところですが、まあ、「家庭教師のプ〇〇〇ス」と言うことにしておきましょう。私は、以前の記事を書いた後、実際に、「家庭教師のプ〇〇〇ス」を解約したいという方からご相談を受けました。そこで、契約書を拝見すると、「『通常の使用料』を差し引いて返金する」とは書いてあるのですが、その計算方法が、「契約1ヶ月目は15%、その後1ヶ月ごとに5%ずつ加算される」と言うことなのです。そのせいか、御相談者様は返金を受けるどころか、解約金として20万円を請求されたということです。しかし、この「通常の使用料」の解釈はおかしいですよね。計算していただければお分かりの通り、18ヶ月(=1年半)で100%に達してしまいます。家庭教師は必ずしも1年半で終わるものではないのに、勝手に1年半で「通常の使用料」を100%にしており、1年半経過すれば一切教材の返金には応じないとしているので、「通常の使用料」の解釈としておかしいのは明らかです。そこで、私はもよりの国民生活センターに行くように御相談者さまにおすすめ致しました。そうしたところ、国民生活センターの方は実に親身になって相談に乗ってくださり、以下のことを教えてくださったそうです。1、18ヶ月で「通常の使用料」が100%になる解釈は誤りである。2、販売された教材の中には「教師用」と銘打ってあるものがあるが、生徒さんに「教師用」の教材を買わせるのはおかしい。3、家庭教師の管理費用や、勉強計画作成費用が教材の額に含まれており、これでは家庭教師が来ても来なくても家庭教師の管理費用や勉強計画作成費用を払うことになり、おかしい。以上のように、私が契約書を見ても気づかなかった契約書の不備を丁寧に教えてくださり、しかも今後「家庭教師のプ〇〇〇ス」との交渉は国民生活センターの方がしてくださるとのことです。そうして、国民生活センターの方が尽力してくださった結果、御相談者さまは、初めに請求された20万円を支払わなくても良くなったばかりか、6万円の返金を受けたそうです。御相談者さまは国民生活センターに行くのに、2,3日仕事を休まれたそうですが、仕事を休んだ分以上の額が返ってきて、喜んでらっしゃいました。このように契約書に書いてあっても、諦めるのはまだ早いと言うわけです。もちろん、いつでも返金されるわけではありませんが、ちょっとでもおかしいと思ったら、とりあえず国民生活センターに相談してみてはいかがでしょうか。仮に返金が無かったり、解約金が安くならなかったとしても、相談料は無料ですし、少なくとも「苦情があった」と言う事実は国民生活センターに残りますので、少しは一矢報いた気分になれるでしょう。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2008年04月06日

破産法編 第6章 債権者平等の原則前回は、破産申立についてお話しました。ちゃんと申立さえすれば、あとは問題が無い限り破産手続が進みますから、今後は破産手続に問題があった場合についてお話します。そして、破産手続の問題を解決するにあたって需要なのは、債権者(=お金を貸した人)をどう保護するかということです。破産者(=お金を借りた人・破産した人)の保護だけ考えれば良いというわけではありません。以前,破産手続は債権者のためにあると申し上げました。法律っぽいことばで言うと,破産法では「債権者平等の原則」が実現されるというわけです。では,どのように「債権者平等の原則」が実現されるのでしょうか。まず,破産手続が開始されると,債権者は破産手続によらなければその債権を行使できませんし,債権者の個別執行も出来ません。(破産債権の行使) 第百条 破産債権は、この法律に特別の定めがある場合を除き、破産手続によらなければ、行使することができない。 (以下省略)(他の手続の失効等) 第四十二条 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行又は企業担保権の実行で、破産債権若しくは財団債権に基づくもの又は破産債権若しくは財団債権を被担保債権とするものは、することができない。 (以下省略)そして,同じ順位の債権者は平等に配当を受けます。(配当の順位等) 第百九十四条 配当の順位は、破産債権間においては次に掲げる順位に、第一号の優先的破産債権間においては第九十八条第二項に規定する優先順位による。 一 優先的破産債権 二 前号、次号及び第四号に掲げるもの以外の破産債権 三 劣後的破産債権 四 約定劣後破産債権 2 同一順位において配当をすべき破産債権については、それぞれその債権の額の割合に応じて、配当をする。 また,賃借人が破産した場合の賃料など,破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた債権は,「破産債権」と言います。そういう破産債権は,127条所定の破産債権の確定を求める訴訟となるべきものであり,127条・126条・128条に基づく必要があり,個別に訴訟を続けてはいけません。(破産債権査定申立てについての決定に対する異議の訴え) 第百二十六条 破産債権査定申立てについての決定に不服がある者は、その送達を受けた日から一月の不変期間内に、異議の訴え(以下「破産債権査定異議の訴え」という。)を提起することができる。 (中略)第百二十七条 異議等のある破産債権に関し破産手続開始当時訴訟が係属する場合において、破産債権者がその額等の確定を求めようとするときは、異議者等の全員を当該訴訟の相手方として、訴訟手続の受継の申立てをしなければならない。 2 第百二十五条第二項の規定は、前項の申立てについて準用する。 (主張の制限) 第百二十八条 破産債権査定申立てに係る査定の手続又は破産債権査定異議の訴えの提起若しくは前条第一項の規定による受継に係る訴訟手続においては、破産債権者は、異議等のある破産債権についての第百十一条第一項第一号から第三号までに掲げる事項について、破産債権者表に記載されている事項のみを主張することができる。 法律の理念は以上の通りですが,実際に破産手続を行ってくれる人がいないと困ります。そこで,破産管財人が財産の管理をしてくれます。(破産管財人の権限) 第七十八条 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した破産管財人に専属する。 普通,破産管財人は弁護士からなり,管財人は裁判所の監督に服します。(破産管財人の選任) 第七十四条 破産管財人は、裁判所が選任する。 2 法人は、破産管財人となることができる。 (破産管財人に対する監督等) 第七十五条 破産管財人は、裁判所が監督する。 (以下省略)このように、破産法は、債権者平等の原則を実現させるべき規定が多いのです。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。【参考本】倒産処理法入門第2版補訂版この本は、倒産法をはじめて学ぶ方に最適の本です。量も少なく、とっつき易いです。
2008年04月06日

第5章 2申立2支払停止前回は,破産法15条の「支払不能」についてお話しました。今回は,「支払を停止」つまり,支払停止についてお話します。(破産手続開始の原因) 第十五条 債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。 2 債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。 支払停止は,条文には定義がありませんが,弁済能力の欠乏のために弁済期が到来した債務を一般的かつ継続的に弁済することが出来ない旨を外部に表示する債務者の行為を言います。そして,支払停止は,支払不能にあるものと推定されます。支払停止の具体例として一番有名なのは,手形不渡りです。普通、手形は何としてでも払うものですから,手形を払えない以上は,もう支払能力が無いものとして支払停止になります。また,夜逃げをすればもう払う気が無いということですから,夜逃げも支払停止です。ちなみに,破産について弁護士に相談しただけでは,他に特段の事情が無い限り,いまだ内部的に支払停止の方針を決めただけにとどまり,債務の支払をすることが出来ない旨をまだ外部に表示する行為をしたとすることは出来ないので,支払停止には当たりません。さて,実は法人にはもう一つ破産申立の要件があります。債務超過です。(法人の破産手続開始の原因) 第十六条 債務者が法人である場合に関する前条第一項の規定の適用については、同項中「支払不能」とあるのは、「支払不能又は債務超過(債務者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態をいう。)」とする。 2 前項の規定は、存立中の合名会社及び合資会社には、適用しない。 債務超過とは,債務額の総計が,資産額の総計を超過している場合を言います。おや?とおもわれるかも知れません。会社は,銀行から融資を受けて投資をして,事業を発展させていきますので,債務超過の会社は珍しくありません。特に設立直後の会社のほとんどは債務超過だと言われています。ですから,債務超過だからといって,何でも破産させて良いわけではありません。こんな条文があります。(破産手続開始の決定) 第三十条 裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、破産手続開始の決定をする。 一 破産手続の費用の予納がないとき(第二十三条第一項前段の規定によりその費用を仮に国庫から支弁する場合を除く。)。 二 不当な目的で破産手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。 2 前項の決定は、その決定の時から、効力を生ずる。 「不当な目的で破産手続開始の申立て」をすることが禁じられています。つまり,たとえ債務超過であっても,嫌がらせ目的で破産の申立をしてはいけないということです。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。【参考本】倒産法概説この本は、破産法のみならず、民事再生法・会社更生法といった倒産関連の法律を横断的に解説してくれます。破産法・民事再生法・会社更生法を比較して学べます。執筆者は学者の先生ですが、あまり固くなく、比較的読みやすい本です。
2008年04月05日

破産法編第3章 申立1支払不能前回まで破産者がどうなるか申し上げましたので、破産申立に移ります。破産手続申立は15条に基づいて行います。(破産手続開始の原因) 第十五条 債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。 2 債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。 破産手続の申立は,債権者(=お金を貸した人)でも,債務者(=お金を借りた人。つまり破産しようとする人)のどちらでも出来ます。(破産手続開始の申立て) 第十八条 債権者又は債務者は、破産手続開始の申立てをすることができる。 2 債権者が破産手続開始の申立てをするときは、その有する債権の存在及び破産手続開始の原因となる事実を疎明しなければならない。 ここで,債務者が破産の申立をすることを「自己破産」と言います。「自己」が「破産」の申立をするからです。近年,自己破産が多いと聞きますが,何度も申し上げている通り,破産は本来債権者のためにあるので,債権者も破産の申立が出来るのです。さて,15条で分かりづらいのは,「支払不能」と「支払停止」ですね。まず,「支払不能」は条文に定義があります。(定義) 第二条 この法律において「破産手続」とは、次章以下(第十二章を除く。)に定めるところにより、債務者の財産又は相続財産を清算する手続をいう。 (中略)11 この法律において「支払不能」とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう。(以下省略)ここで「支払能力」とは財産・信用・労力の3要素を言うとされていますが,まあ,財産が無い状態を言うと思って良いでしょう。重要なのは,「一般的かつ継続的」が重要です。「一般的」と言うのは,総財産の弁済について債務者の資力が欠けていることを言います。つまり,ある特定の債権だけ返せない場合は除かれると言うわけです。「継続的」というのは,一時的な手元不如意を排除する意味です。例えば今日は給料日前で,一切の債務が払えない状態であっても,明日給料が入って債務が払える状況であれば除かれると言うわけです。とりあえず,支払不能については以上です。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。【参考本】倒産処理法入門第2版補訂版この本は、倒産法をはじめて学ぶ方に最適の本です。量も少なく、とっつき易いです。
2008年04月04日

光市事件の弁護人が懲戒請求を受けていた件について、広島弁護士会は懲戒請求を棄却したそうです。つまり、これで全ての弁護士会が懲戒請求を棄却したことになるでしょう。ま、妥当な結論ですね。今枝先生のブログに掲載された議決理由によりますと、弁護人らが「死者を復活させる儀式」と主張した事実は認められるが、それ以外の事実は、懲戒請求者が書いた内容の事実が見当たらないと言うことです。つまり、懲戒請求者の言っていたことのほとんどが事実誤認であり、事実上の根拠を欠くわけですから、以前御紹介した、平成19年判決の「事実上又は法律上の根拠を欠く場合において,請求者が,そのことを知りながら又は通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに,あえて懲戒を請求するなど,懲戒請求が弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし相当性を欠くと認められるとき」に引っかかる恐れが出てくるわけです。私も、個々の懲戒請求者が何を書いたか知る由も有りませんが、懲戒請求をした人のうち、事実誤認していた方は、ちょっと注意した方が良いかも知れません。また、議決理由によりますと、「弁護人らの行為は被害者らを侮辱したり死者の尊厳を傷つけるものでもなく、また、意図的に裁判を遅延させるものでもないことはもちろん、これを行うことは刑事弁護人としての義務である」ともされています。私も以前指摘した通り、弁護人の方々は弁護人としての義務を果たしただけだと言うわけです。もちろん、懲戒請求棄却が不当だと思うのは自由ですが、ちゃんと良く調べてから行動に移すことをおすすめいたします。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2008年04月03日

2 破産者の行為能力さて,ちょっと間が開いてしまいましたが、前回は破産者が破産するとどうなるかを申し上げました。今回は,その続きです。破産者の財産は,34条3項に定められた差押禁止財産(自由財産)を除き,全てが破産財団となって,破産管財人の管理下に置かれます。ということは,逆に言うと破産者は破産財団については管理権を失うので,そういう意味では制限行為能力者のような感じになります。例えば,破産手続開始決定後は,破産者が破産財団についてした処分は,破産手続において効力を主張できません。(開始後の法律行為の効力) 第四十七条 破産者が破産手続開始後に破産財団に属する財産に関してした法律行為は、破産手続の関係においては、その効力を主張することができない。 2 破産者が破産手続開始の日にした法律行為は、破産手続開始後にしたものと推定する。 ちなみに,破産者の破産手続開始決定時に存在する財産が破産財団になるのであって,破産手続開始決定後に取得した財産は,破産財団にはならず,自由につかえます(これを固定主義といいます)。例えば,破産手続開始後に働いて得た給料は,破産者の自由にしてかまいません。破産債権者にとっては,1円でも配当が欲しいので,破産手続開始決定後に働いた給料も破産財団に加えてほしいところですが(これを膨張主義と言います),そうすると,破産財団がどこまでになるのか分からず,破産手続が複雑化してしまいますし,破産者に誰も物を売ってくれなくなります。第一,もし破産手続後の給料まで破産財団にされると分かれば,破産者は働く意欲を失い,再出発の芽を摘みかねません。そんなわけで,固定主義が取られています。なお,固定主義を悪用して破産手続を利用すると,犯罪になる可能性がありますので,悪用はやめてください。このように,自由財産というのは,自然人(個人)のためにあります。法人については,自由財産が存在しません。なぜなら,破産手続をすれば絶対に法人は消滅し,生活や再出発を考慮する必要は無いからです。では,問題です。法律上,差押禁止財産とされている簡易生命保険(簡保)の保険金の受取人が法人だった時,その法人が破産した場合,保険金は自由財産でしょうか,それとも破産財団になるでしょうか。難しいところですが,自由財産の趣旨は,破産者の最低限の生活を保障する点にあります。この趣旨は,法人破産の場合にはあてはまらないので,そもそも自由財産がありません。ということで,いくら差押禁止といっても,自由財産の必要が無い以上,破産財団に組み込まれると考えるべきです。判例(最判飽和60年11月15日)も同様です。法人が破産宣告を受けて解散した場合には、簡易生命保険法三九条の規定に基づく還付金請求権は破産財団に属するものと解するのが相当である。けだし、同法五〇条が還付金を受け取るべき権利は差し押さえることができないものとした趣旨は、これを保険金受取人の債権者の一般担保としないことによつて、保険金受取人の最低生活を保障することにあると解されるところ、保険金受取人が破産宣告を受けた場合においては、それが自然人であるときには、その最低生活を保障するために破産法六条三項を適用して還付金請求権を自由財産として残すことが要請されるのに対し、保険金受取人が法人であり、破産宣告を受けて解散したときには、還付金請求権を破産財団から除外して破産法人の自由な管理処分に委ねるべき合理的根拠はもはや存在しないものといわざるをえないから、同規定は適用されないというべきである。また,名誉権侵害に基づく損害賠償請求権も,金額が客観的に定まるか,相続が開始しない限りは,行使上の一身専属性があり,差押え出来ませんから,自由財産になるとされています(この辺は難しいので,スルーして下さっても結構です)思うに、名誉を侵害されたことを理由とする被害者の加害者に対する慰藉料請求権は、金銭の支払を目的とする債権である点においては一般の金銭債権と異なるところはないが、本来、右の財産的価値それ自体の取得を目的とするものではなく、名誉という被害者の人格的価値を毀損せられたことによる損害の回復の方法として、被害者が受けた精神的苦痛を金銭に見積つてこれを加害者に支払わせることを目的とするものであるから、これを行使するかどうかは専ら被害者自身の意思によつて決せられるべきものと解すべきである。そして、右慰藉料請求権のこのような性質に加えて、その具体的金額自体も成立と同時に客観的に明らかとなるわけではなく、被害者の精神的苦痛の程度、主観的意識ないし感情、加害者の態度その他の不確定的要素をもつ諸般の状況を総合して決せられるべき性質のものであることに鑑みると、被害者が右請求権を行使する意思を表示しただけでいまだその具体的な金額が当事者間において客観的に確定しない間は、被害者がなおその請求意思を貫くかどうかをその自律的判断に委ねるのが相当であるから、右権利はなお一身専属性を有するものというべきであつて、被害者の債権者は、これを差押えの対象としたり、債権者代位の目的とすることはできないものというべきである。しかし、他方、加害者が被害者に対し一定額の慰藉料を支払うことを内容とする合意又はかかる支払を命ずる債務名義が成立したなど、具体的な金額の慰藉料請求権が当事者間において客観的に確定したときは、右請求権についてはもはや単に加害者の現実の履行を残すだけであつて、その受領についてまで被害者の自律的判断に委ねるべき特段の理由はないし、また、被害者がそれ以前の段階において死亡したときも、右慰藉料請求権の承継取得者についてまで右のような行使上の一身専属性を認めるべき理由がないことが明らかであるから、このような場合、右慰藉料請求権は、原判決にいう被害者の主観的意思から独立した客観的存在としての金銭債権となり、被害者の債権者においてこれを差し押えることができるし、また、債権者代位の目的とすることができるものというべきである。 応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。【参考本】倒産法概説この本は、破産法のみならず、民事再生法・会社更生法といった倒産関連の法律を横断的に解説してくれます。破産法・民事再生法・会社更生法を比較して学べます。執筆者は学者の先生ですが、あまり固くなく、比較的読みやすい本です。
2008年04月03日
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