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2007/02/26
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カテゴリ: カテゴリ未分類
非常に有名なニームです。


名前だけは知っていましたけれど、日本のHPは、検証されていない割りに効果を誇大に宣伝するものが多く、ニームの効果も半信半疑でした。

こういう、 不思議の木 NEEM とか、ミラクルニームなどという万能の効果などは、自然の摂理からしてありえない、と思っていたからでもあります。
ニームに関するQ&A にある
『捕食性昆虫や受粉昆虫などにソフトな対策資材です。ニームが他の化学農薬と異なるところはこれら有益な虫などを殺さないところにありますので安心してお使いいただけます。』
というような、いい加減なでっち上げを書いているサイトが非常に多いことも一因でした。


今回、ニームを取り上げたのは、アメリカのペット用品ショップを見ていてNeemがEPAに殺虫剤として登録されていることを知ったことと、 植物油(ニーム・オイル、Neem Oil)



まず、ニームの特性ですけれど、 日本ニーム協会 の ニームの効果 では

・散布や塗布により効果的に害虫を駆除(有効成分アザディラクチンが卵の孵化を妨げ、食欲を減退させ、変態を防ぐ)
・ヒトには無害で安全(哺乳類には殆ど無毒とされている)
・優れた薬効性があり、ヒトのための万能薬として、様々な可能性が研究されている

とあります。


昆虫の忌避・駆除作用に付いては、EPAの Azadirachtin (121701) Clarified Hydrophobic Extract of Neem Oil (025007) Fact Sheet にある通り、多くの昆虫類に効果がある様です。

環境リスクとしては、目標以外の有機体には無害であるけれど、直接水に使用したり、廃液(使用済液)で水を汚染してはならない、また、ミツバチが受粉活動している時使用してはならない、としています。

PANの殺虫剤データベース Azadirachtin
しかし、中毒症状として

・皮膚と消化器官への刺激作用
・中枢神経系への刺激と抑うつ状態が見られた

と言うことがあげられています。( Biologicals and Insecticides of Biological Origin (PDFです))


Toxicity Studies for Azadirachtin on Amphibians に示されています様に、レポートも数多く出ています。
例えば、 THE EFFECTS OF AZADIRACHTIN ON LARVAL STAGES OF THE OAK TOAD, BUFO QUERCICUS (HOLBROOK) はオタマジャクシの(生育の各ステージに於ける)LC50(半数致死濃度)を測定したレポートです。
最も死亡率が高かったのは、ステージ12(44%)が0.50 mg/L のアザディラクチンに曝された時で、0.30 mg/Lではどのステージでも何らの影響も見られなかった、そして、0.40 と 0.50 mg/L では目立った影響が出たとあります。


Extension Toxicology Network の Azadirachtin もほぼ同内容ですけれど、小型哺乳類の生殖に対する影響が記載されています。
雄のマウス、ラット、ウサギ、モルモットへの影響として、葉からの抽出物(水溶液)を毎日口径摂取させた場合、雄のラットで生殖力の減退が6週目には66.7%、9週目には80% 、そして11週目では 100% 見られた、とあります。
この間、体重の減少も毒性を示す何らの兆候も見られず、精子の量や生殖意欲にも変化は見られないけれども、精子の死亡率が顕著に上昇した事が原因のようです。
この生殖力の減退は4~6週で反転した、ともあります。
この反転効果はマウスでも同様であったが、モルモットとウサギの場合は、4週目と6週目の終わりにはそれぞれ66.6% と 74.9% 、 80% と 90% の死亡率という毒性を示した、ということです。

尚、このレポートは、雌では影響ないことが既にインド医療評議会で研究されていたので、雄の場合を試験した、とありました。


この様に、作用としてはメトプレン( カリフォルニア州で使用が認められた農薬の知られている健康と環境への影響 の殺幼虫剤参照)やイミダクロプリドのような、『昆虫にのみ強い毒性を持つ』とされる殺虫剤と同じような性格を持っています。
大きく異なる点は、アザディラクチンが光や水中での分解が速い(約100時間以内)ということです。

それ故、上記の様な問題点を抱えながらアメリカでは農薬としても認可されたのだと思いますけれど、日本では農薬としては認可されていません。
この点は ニームオイルについての考察 が解説しています。


この様に、ニームは、比較的安全に忌避・殺虫剤として使用できるように思われますけれど、一定の注意は必要だと思います。
ニーム樹について によりますと、ニームはセンダン科ということで、 センダン には中毒症状があり、 栴檀 (せんだん) には、『漢方では、実、樹皮、根皮が駆虫に用いられる』とあります。
ニームも注意が必要かも知れません。
尤も、日本ニーム協会の ニームの木 によりますと、
『ニームには多くの種類があり、害虫に効く種類と効かない種類がある。』
とのことで、 NEEM SQUARE の様にブラジル産のニームを扱うところもあります。



もう一点、ニームで気をつける必要があるのは、ニームが万能薬であるかの様な誇大広告・虚偽の広告が非常に多いことです。

例えば、植物用の ジックニーム という『ニーム・オイル』が販売されているようです。
如何にも論文から引用してきたかのような説明をしていますけれど、虚偽の内容が多く含まれています。
例えば、

『5.目的外の生物に対する効果
 ニームエキスは目的外の生物に対して「ソフト」であることが分かっている。
 以下はその事例である。

 クモや蝶、花粉を媒介する昆虫、アブラムシを食べるテントウムシ、様々な害虫に寄生する寄生蜂などに対してニームエキスは驚くほど「ソフト」である。
 これはニームが効き目を発揮するためには、かなりの濃度が必要なためと考えられる。

 植物の組織を餌にする害虫は作用を受けるが、果汁や害虫を餌にする昆虫はニームの高い濃度に触れることがないためであろう。』

と言う記載があります。
これは、農薬として売るためには、害虫にだけ効果があって、益虫には無害だと書く必要があったと思われます。

これだけでも、殺虫剤として売る方からして見れば飛んだ言い掛りですけれど、これは捏造です。(論理的に考えてもおかしいということはお分かりと思います)
原文は上記EXTOX NETの Azadirachtin にある「Azadirachtin is relatively harmless to spiders, butterflies, and insects such as bees that pollinate crops and trees, ladybugs that consume aphids, and wasps that act as parasites on various crop pests. This is because neem products must be ingested to be effective. Thus, insects that feed on plant tissue succumb, while those that feed on nectar or other insects rarely contact significant concentrations of neem products.」です。

『relatively harmless(比較的無害)』という部分を『驚くほど「ソフト」』と書き換えています。

『100%天然成分だから人体、動物、植物、魚介類に無害で、散布時に防護服は不要だ。』というのも欺瞞であることは言うまでもありません。
天然成分だから人体に無害なのではなく、何千年も掛けて有害なものと無害なものに(命を掛けて)選別してきて、現在は無害な天然成分のみを日常的に摂取しているから無害なのであることは、人体に有害な毒物などを考えれば自明の理です。
例えば、無人島に漂流して、廻りが皆見知らぬ植物や動物・魚類ばっかりだったら、みんな天然のものだから安心だ、といきなり食べるでしょうか?

基本的には自然は弱肉強食の生存競争の世界です。
動物も植物も、食べられないように色々な仕組みを持っていたり工夫したりします。
毒を持つ生物は珍しくありませんけれど、植物も同様です。( 食べられるのを防ぐしくみ )
牛が草を食べることが出来るのも、共生という仕組みを身に付けたが故のことです( 反芻動物 )

寧ろ、自然(天然)は危ない、といった方がいいのかも知れません。



ニーム自体の効果は明確であっても、こういった業者が販売する自称『ニーム』は気をつけた方がいいかも知れません。
『農薬ではありません』といいながら、環境農業新聞の記事を広告の全面に押し出している点も要注意だと思います。




2chの農薬ネットで印象に残っているレスです。
『私はニームを一度も使ったことがないのですが、ニームが農薬として登録されたら良いと思っています。その理由は植物由来の農薬は消費者うけするのです。合ピレより除虫菊剤のほうが消費者のイメージがとても良いと私は思います。
 除虫菊と全く同じ成分の純粋な合ピレと天然の除虫菊剤を比較した時、どちらが人に害が少ないかと言えば、おそらく合成したほうが不純物が少ないことから害が少ないです。しかし、消費者にそのような知識を期待できるものではありません。極端な表現をすれば、消費者は安心できれば安全でなくても良いのです。』


(最近PC環境が不安定になってしまいました。
いきなりWindowsが落ちる事象と、ネット接続が不安定になる事象の2つが起きて、色々試行錯誤していますけれど暫く更新は不定期になるかも知れません。)





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最終更新日  2007/02/26 04:38:00 PM
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