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蛍の光窓の雪でおなじみの中国の苦学の徒、晋の車胤(しゃいん)をからかった川柳があります。私の好きな句なので、二句紹介してみます。★ 学問の邪魔だと蛍一つやり 車胤は貧しくて灯火の油を買うことができなかったので、夏、蛍をたくさん捕まえてきては籠に入れ、その蛍光の下で書物を読んで勉強したと言われていますね。じゃあ冬はどうしたんだと言う声があがりそうですが、冬は冬眠していたんじゃないかな、なんて言ったら漢学の先生に鞭でしばかれそうですね。ちなみに、冬雪明りで勉強したのは孫康という別人。 「ねえねえ、車胤の兄ちゃんよお、蛍一匹おくれよお」「おいらも蛍欲しいでよ。一緒に捕りに連れてってよお」と近所のがき子供たちのうるさいことと言ったらありゃしない。「兄ちゃんは今受験勉強やってんだよ。一匹だけやるから、もう帰ってくれよ。それにな、お前ら子供がこんな夜遅くまでおもてうろうろしてちゃ、子捕りにさらわれちゃうんだぞ」★ 註を読む時に蛍はゆすぶられ 本文を読むにはこの程度の明るさで充分なのだが、左註や傍註は字が小さいのでもっと明るくする必要がある。そこで籠を両手で持ってゆっさゆっさ揺するんですな。蛍怒って光増えますな。(桂朝丸の動物いじめやがな) さて前回の問題、難しかったですか。 殺されし全長を見せ( )流る 全長というのですから、長細いものですね。「殺される」から、人が嫌がるものを連想してください。入る言葉は二音です。答は蛇でした。そう言えば川を流れていく蛇の死体なんて、一回くらいは見ているんじゃないでしょうか。 問題4 次の川柳の空欄に入る言葉を答えて下さい。 月に投げ草に捨てたる( )の( ) ヒント 月と草から、夜の野外。投げと捨てからある動作を想像してください。実際には投げても捨ててもいませんが、そのように見えると言うんですね。前が三音、後ろが一音です。本当はにぎやかな場面なのですが、音を消して視覚にだけ訴えるように工夫した句です。※ 答はメールでお願いします。 今日の画像は和歌山の貴志川町のマスコット、ホタ郎くん。
2006年08月29日
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二日続けてビデオで映画を観ました。偶然にも同じジョン・アヴネット監督の作品でした。正直に打ち明けますと、一作目の作品解説でこの監督の他作品のタイトル紹介があり、録りためていたビデオの中にたまたまあったので続けて観たというのが本当のところ。どちらも最近深夜放映していたものです。 先に観たのが「8月のメモワール」(1995年)。例によってあらすじは書きませんが、アメリカの良心と言われるケヴィン・コスナーと「ロード・オブ・ザ・リング」の主人公役イライジャ・ウッドの若き日の作品です。 不良っぽいいじめっ子連中(この映画では女の子も含んだ兄弟)に、勇気を持って挑むというシチュエーションはスティーヴン・キングの「IT」を思い起こさせましたが、ITのようなホラーっ気はなく、ベトナム帰還兵の父親の戦争後遺症を絡めて、この世のあらゆる暴力の無意味さを訴えた映画と言えるでしょう。この監督の作品には、ほどほどというか、抽象的というか、そういうきれいごとがなく、とことん見せて、頭にではなく心に直接語りかけて揺さぶる力が潜んでいるようです。 対立する二つのグループ、どちらもがアメリカ片田舎の貧しい家庭の子ども達というのが哀れです。胸を打たれる場面がいくつもありました。ややお薦め。 翌日観たのが「フライド・グリーン・トマト」(1991年)。これは観ごたえのある映画でした。貧しい黒人達に暖かいまなざしを向けた監督の心が感じられる佳作です。こちらも私の好きな俳優、キャシー・ベイツ、ジェシカ・タンディなどを狂言回しに配して、魅力的なキャラクターの主人公、イジー(メアリー・スチュアート・マスターソン)の物語を紡ぎます。特薦映画です! 二作とも、黒人差別反対を言うならこういう風に描かなきゃという見本のような作品です。頭にではなく心に響きました。 余談ですが、CGを駆使した映画が大嫌いという井筒監督はきっとこんな映画を高く評価されるのでしょうね。これぞ映画の醍醐味といった感想を持ちました。
2006年08月27日
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太陽系の惑星の数が正式に8個に決定したそうですね。76年前に発見された冥王星が惑星の座から矮惑星の座に転落。地球人の都合で勝手に上げたり下げたりするな~と冥王星は迷惑そう。76年とは奇しくもハレー彗星の周期ですがな。それにしても、プラネタリウム関係者や教科書会社などは大童でしょう。お察しします。 このブログでは故あって音楽ネタは書かないつもりでしたが、天文ネタということでまあいいでしょう。 平原綾香さんのお陰で英国の作曲家ホルストの「惑星」が随分有名になってしまいましたが、この作品が初演されたのは1919年。私が天文や音楽に興味を持ち出した1965年当時、この曲のレコードというのは初演指揮者のボールト、ロンドン・フィルハーモニーのものが唯一と言ってもいいくらいでした。その頃知り合った私より一つ歳上の天文少年が、「間もなくカラヤンの『惑星』が出るから待っとき」と教えてくれました。 今も一番気に入ってるカラヤン/ウィーン・フィルの『惑星』です。それ以後、カラヤン/ベルリン・フィルの新録音も含めて『惑星』ブームとも呼べるほどにどの指揮者もがこぞって『惑星』を振り、録音するようになります。楽譜通りに演奏しようとすればパイプオルガンや女声合唱が必要な曲なので、なかなかアマチュアの演奏会ではお耳に掛かれませんが、他方ブラスバンドではしょっちゅう耳にすることができます。 さて、ホルストが『惑星』を作曲した頃はまだ冥王星が発見されておらず、したがってこの組曲には地球を除く天王星までの7曲しか入っておりません。因みに、ホルストは各惑星の天文学的特徴などには関心がなく、あくまで多神教の神々のイメージによって作曲しております。例えば、火星はマルス、戦いの神です。木星はジュピター、快楽の神です。 長らく冥王星が仲間外れだったので、同国の作曲家コリン・マシューズが2000年に「再生の神(再生の紙ではありませんよ)」として作曲して追加しました。1000円以下で買えるナクソスからCDが出ています。 ところが今回の惑星騒ぎで、せっかくのマシューズの冥王星が惑星の軌道をはずれて広大無辺の宇宙を漂いさ迷うことになったのは、何とも滑稽で皮肉な運命であるとしか言いようがありません。マシューズさん、どこかで苦笑いしていることでしょう。
2006年08月25日
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先日、伯母の四十九日法要でのこと。ご住職がおみえになって、座にお着きになるや何やらお一人で作業を。小ぶりのピザぐらいのお餅をまな板に載せて包丁で切っていく。いかにも作法通りに進めているようだが、刃物、餅、切り刻むというのが、どうも私の中では仏教の法要と相容れないように思われ違和感があった。 家人にお盆を借りると、遺族の目の前で、まるでいろんな形の積み木を平面に並べて物の形を作るように手馴れた動作で、その中に人形(ひとがた)を作ったのだ!(下の画像参照) 居並ぶ親族めいめいが感嘆の声。別に傘餅(傘の餅)というのも傍に供えられ、これも珍しいものらしく誰もが初めて見たと言った。 その家の宗旨は融通念仏宗(大念仏宗)だが、帰ってから検索してみると浄土宗や日蓮宗でも同じような人形のお餅を四十九(日)餅と称して用いるようだ。ただし関西が本場らしい。さらに驚いたことに、大阪府下の某神社がやはりお餅でよく似た人形を作って神事にお供えしているというのだ。 画像を見ていただくとおわかりのように、この人形、実は笠をかぶり杖を突いたお遍路さんのような旅装束なのだ。あの世への旅立ち。故人が具体的なイメージとなって眼前に現れている。よく出来た装置だなあなどと無宗教の私は冷ややかに感心してしまう。ここからは各宗派によって違うのだが、故人の故障のあった部位(優れて健康だった部位)のお餅を遺族が分け合って食べるとか、翌日笠の部分を軒先に投げ上げるとか。笠餅の方にも、これは故人の大骨と血肉をかたどったものだとか色々いわれがあるらしい。 民俗学の研究ではきっと面白い仮説があれこれ用意されているんだろうな。↓ 下の画像、立ててあるように見えますが、真上から撮ったものです。
2006年08月22日
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突然大きな写真ですみません。先日の我が家の食卓に現れた梅うどん(と水餃子)です。暑い日は、こういった涼味のあるあっさり系か、カレーや焼肉のようなどっと汗呼び系かのどちらかがいいですね。 なんぜんたろうさんお薦めの「チルソクの夏」、やっと観ました。佐々部清監督の山口三部作の一つです(他の二作は共に2005年制作の「四日間の奇蹟」「カーテンコール」)。佐々部監督と言えば、あの話題になった「半落ち」もそうですね。 チルソクというのは韓国語で七夕という意味です。ひとことで言ってしまえば、下関に住む女子高生と釜山に住む男子高校生の恋物語なのですが、ひとことで片付けられない日韓のわだかまりと無理解が周囲に満ち満ちていて、その中で純粋に相手のことを想い、またその時期特有の悩みを抱えながら友情も育んでいくという、切なくも心温まる作品です。 時代は今から約30年前、まだ携帯電話もパソコンもなかった文通時代。そうそう、カラオケがスナックなどに導入され始めた頃で、ギター流しの歌手が仕事を失っていく時代でもありました。父親役の山本譲二さんは、ご自分の経験を重ねて役作りされたものか、迫真の演技で映画に花を添えています。 私はこの映画をどうしても自分の高校時代にだぶらせて観ずにはおれませんでした。私もこの主人公たちと同じ2年生の時、母親の無理解によってガールフレンドと無理やり引き裂かれた苦い経験があります。指一本触れまいと決めて付き合っていただけに、心の傷はあまりにも深く残ってしまいました。 でもこの映画のお陰でというと少々嘘っぽいですが、世間ではこういう親は決して珍しくないのかもしれない、と思えたことで、心の奥底でどろどろ渦巻いていた澱(おり)がいくらかでも溶解したような気持ちになれたことが嬉しかったです。
2006年08月18日
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去年の今日、生まれて初めてブログなるものに手を染めました。はじめの頃は、半年も続けられないのではと思っておりましたが、見に来てくださるお客さんのお陰で何とか一周年を迎えることができました。さて、来年の今頃はどうなっていますことやら。 夏は冷やしあめとわらびもち。今日はスーパーで抹茶わらびもちを買って来ました。大阪ではどこのスーパーに行っても山積み。1パック100円以下で買えます。黄な粉を口にするのもわらびもちにまぶす時だけになってしまいました。 パズルの応募がいまいちなので、今日はお休みさせていただきます。正解も次回に。
2006年08月11日
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暑いときは辛いものが欲しくなりますね。で、我が家の今日の夕食はこれ。麺類、特にラーメンにうるさい奥さん自慢の韓国風冷麺です。キムチで口の中が火事になったら、甘~い缶詰の桃やみかんで消火します。 さて前回の問題、難しかったですか? 最後に黄色で正解を出しておきますね。 問題3 次の川柳の空欄に入る言葉を答えて下さい。 殺されし全長を見せ( )流る 関としを作 ※ 答はメールでお願いします。 正解 問題1 風呂 問題2 君
2006年08月10日
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今日は立秋。暦の上での話です。暦の下の下界ではまだまだこれからが夏本番。暑くて暑くて。エアコンも効かない暑さですね。お幽さんでも出て来てくれないかな。 台風が3つも重なって。連れもて行こら(紀州弁)で来られてはたまりません。大雨で災害の被害に遭われた所には追い討ちをかけないでほしいものです。 暑さのせいで脳みそも半分死んだようになっていますので、いっちょ大脳皮質に活を入れますか!ということで、むりやりの問題です。答がわかった方はメールでお知らせ下さい。自信のない方はコメントにそれとなくお書き下さい(答をいきなり書かないでね)。2問完答でなくてもけっこうです。問題1 次の川柳の空欄に入る言葉を答えて下さい。 水遊び大好きな子の( )嫌い 伊能ひさし作問題2 次の短歌の空欄に入る言葉を答えて下さい。 地図帳にこっそりひいたマーカーペン同じ名の地に( )を重ねて 現代学生百人一首より※ ( )の大きさは文字数に関係ありません。
2006年08月07日
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小松左京さんの中短篇はたくさん読みましたが、「日本沈没」は読んでいません。ベストセラーになって騒がれると読む気がしなくなるという天邪鬼な性格のせいでしょう。(「ダヴィンチ・コード」などは好鬼神が天邪鬼に打ち克った稀な例です) 藤岡弘、いしだあゆみ主演の「日本沈没」(1973年制作/今月18日関西でのみ深夜放映)は、どういう経緯、心境だったのか覚えていませんが、大学生の私が母を連れて劇場に観に行きました。遅かれ早かれ日本が日本海溝に飲み込まれていくというイメージが私の中で定着したことは確かです。 翌年1974年、TBS系でテレビドラマとして放送。主演は村野武範と由美かおる。26話という連続物で半年間楽しませてくれた番組でした。このドラマの最後は、日本人は誰でも他国で生きていけるのかを問いかけていましたね。五木ひろしが歌っていた2曲の主題歌いまでも歌えますよ 五木ひろしのものまねで それはさておき、今回の映画。まあよく出来ていたのではないでしょうか。国が亡びるかというレヴェルの天災地変の前では、人間なんてちっぽけなものです。政府や自治体は出来るだけ犠牲者を少なくしようと懸命になるのは当然のことです。じゃあ誰を救って誰を死なすのかとなった場合、これはもう哲学的な命題ですね。 愛する者すべて失って生きていけるのか。愛する者と自分だけが助かれば、それでいいのか。 石坂浩二ふんする首相のせりふ。何もしないのが一番いいのではないのか。私にもその思いが一番説得力ありました。辛い思い痛い思いをして、逃げて逃げて逃げ惑って、やっと助かったかと思った瞬間、我先にと飛び出した男に突かれて頭を固い物にぶつけて割られてしまうなんて、とってもイヤですね(すごい被害妄想!)。 実際そういうカタストロフィーに出くわしたら、理性であれこれ考えるよりイキモノとしての自分に忠実になったほうがいいのかなとも思います。でも出来ることなら、静かに瞑想しながらお陀仏したいものです。考えてみれば、今すぐ答を出す必要のないことでした。 画像は我が家の百日紅。うちのは白い花です。後ろは槙。
2006年08月05日
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小学校の時、クラス会になると最も安直なクイズやなぞなぞでお茶を濁す連中がいた。かく言う私もその一人。出題するのも答えるのも好きだった。テレビでもクイズ番組はそのシステムがユニークかつシンプルであれば、長寿番組になりうる。 クイズに似たものにパズルというのがあります。一般的には、知識を試すのがクイズ、知恵を試すのがパズルと言われます。「徳川第6代将軍は誰でしょう」がクイズ、「嘘つき村には嘘つきはいません。なぜでしょう」がパズル。 ところが定義は違うのに、同じ質問がクイズになったりパズルになったりする場合があります。例えば「子子の子子子子子子の子子子子」はなんて読む? という問題が出た時、初めから答を知っている者にとっては(けっこう有名な問題ですからね)これはクイズです。答を知らない者にはパズルです。 つまり、答を導き出すのに記憶を手繰り寄せるのか、それとも記憶には頼らないで無手勝流で(昔のラジオ講座経験者には懐かしい響き?!)何とかこじつけようと悪戦苦闘するのかによって、クイズになったりパズルになったりします。クイズは周りに他人がいないと正解の時、満足感は半減しますね(笑) パズルは他人が「すごぉい!」と言ってくれなくても、自力で答がわかった時の喜びには格別なものがあります。 余談ですが、以上の話から「クロスワード・パズル」はパズルでありながら、多分にクイズの要素があることがおわかりでしょう。ある程度の知識がなければ、答の導きようがないからです。 きのうの日記では川柳は謎解きが面白いという話をしましたので、ネタが切れたときには俳句や川柳や短歌を使って遊んでみたいと思います。お楽しみに。あ、「子子子・・・」の答が気になりますか?では答です。子は「こ・し・ね」と読みますので ねこのここねこ ししのここじし(猫の子子猫獅子の子子獅子) ]
2006年08月03日
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蝉が啼き出すとお世話になりましたけっこう有名な古川柳(江戸時代に作られた)です。自分ではあまり作りませんが、川柳の謎解き要素(パズル的と言ってもよろしいかな)が好きで、授業でもよく取り上げました。さて、上に挙げた川柳ですが、もう少し解説しましょうか。これは句またがりの句なので、二通りに読むことができます。五七五に重きをおいて、「蝉が啼き/出すとお世話に/なりました」と読むのと、意味に重心をおいて、「蝉が啼き出すと/お世話になりました」と読むのと。どちらで読むのが良いかではなく、両方で読んで初めて音の連なりの面白さが実感されるのです。さて、授業では生徒にこの句の解釈を試みてもらいます。こういう作業こそグループ学習でやると効果が倍増します。正解はまず出ませんが、彼らはいろいろ想像力を駆使して面白い場面を作り上げていきます。一番多く出る解答の例。蝉が啼く頃になるとお中元のことを思い出すのだ。それは違うと言下に否定しないで、生徒の間で起こるやりとりを皆で楽しみます。「蝉って言ってもハルゼミやニイニイゼミは早いんでないかい」「セミの種類、関係あるのか?」「昔はお中元よりお歳暮の方が大事だって聞いたことあるで」ひと段落着いた頃合いを見計らって、じゃあヒントを出そう。キーワードは「夕立」。すると教室は一瞬静まり返ったあと、蜂の巣をつついたみたいな喧騒になって、納得した生徒の満足げな表情が教室の隅々にまで伝わっていきます。言わずもがなの物語「おや、啼き出しましたなあ」「あれ、ほんに。まだ乾いていませんじゃろ」「いやいや、この暑さじゃ。帰るまでには乾きますわいな。それにしても助かりました。冷たい麦茶までご馳走になってしまいました」「こんな時だけやのうて、通りがかりにまた寄っとくなされ」「そうしたいが、貧乏暇なしというやつでな。でもまた冷たいぶぶ呼ばれに来ますで」「気いつけてな」「はい、ほんにお世話になりました」外に出てみると、はす向かいのお宅からも小間物屋が礼を言いながら出てくるところ。軽く会釈を交わして、蝉の啼く大木を見上げると、幹も枝も葉もすべてのものが今蘇ったかのような輝きをたたえていた。
2006年08月02日
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昨日は久しぶりに奥さんとビデオ鑑賞会ということになり、観たいと思うものを邦画6点の中から選んでもらいました。私としてはがっくりなのですが、興味のあるものは一つしかないというので、それ以上迷うことなく「ミラーを拭く男」に決定! ストーリーも出演者も知らず、奥さんはタイトルだけで選びました。ミラーを拭くからには、何か面白そうな理由があるのだろうと。 公式サイトに出演者へのインタビューが掲載されています。ある回答に、タイトル聞いた時ホラー映画かと思いました、というのがありましたが、たしかにスティーブン・キングが付けそうな題名です ストーリーは単純ですが、人生や人間関係、社会の機微を描いた映画と言えそうです。主演の緒形拳の演技に釘付け。ややうつ気味の寡黙な中年男性役ですが、脚本のト書きをぜひ見てみたいものです 脇役がまた憎いぐらいに巧い。大滝秀治、岸辺一徳、津川雅彦・・・ 家族役の栗原小巻、辺土名一茶、国仲涼子の演技も自然で好感がもてました。 どこにでもいそうな登場人物の言動も、社会の歯車からちょっとだけ逸脱した者の眼から見ると、こんなにもコミカルに見えてしまうものなのか、と再認識させてくれるこの若い監督の描き方もたいしたものです
2006年08月01日
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