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前回までで漢字の頻出事項の解説はほぼ終わりました。今回はリクエストがありましたので、いよいよことばのきまり(文法)をお話しようと思います。とはいっても敬語法は教科書ではメインで扱われることはないのですが。敬語は小学校でも、中学校でも必ず扱うことになっています。面接試験でも必須の知識です。◎ 敬語の種類 敬語は相手を尊重する気持ち(敬意)を表すために使われる言葉遣いです。 まず、大まかに3種類を押さえて、高校受験用にはさらにもう一種類を理解してください。まず、最初の三つ。1 尊敬語(そんけい語) 「相手を敬って(うやまって)いう言い方」なんてよく参考書などに書いてありますが、「目上(相手)の動作」を言うときに用いられると押さえた方が実践的です。主語を見るとちゃんと目上の人に使っています。 例)おっしゃる(言う) いらっしゃる(行く・来る) お客様のおっしゃる通りです。 先生はどちらにいらっしゃるのですか。2 謙譲語(けんじょう語) これも「相手を高めるためにへりくだっていう言い方」なんて解説がつきますが、「自分自身や自分の身内の人の動作」を言うときに用いると押さえます。 例)申す・申し上げる(言う) 参る・伺う「うかがう」(行く・来る) お客様に申し上げます。 こちらから先生のお宅に伺います。3 丁寧語(ていねい語) 「ていねいにいう言い方」と説明されることが多いのですが、実際は次の三つを覚えておけば足りてしまいます。 例)です・ます・ございます → この三つは覚えてしまって下さい。 失礼致します。 この服がお似合いでございます。高校受験ではもう1つ。4 美化語 美しくいう言い方。「お・ご+名詞」 お茶 お水 ご飯 お味噌汁 お金【注1】「お話になる」の「お話」や、「ご研究になる」の「ご研究」などは「尊敬語」です。相手への敬意が含まれるからです。一方、「お勧めする」の「お勧め」や「ご報告する」の「ご報告」など自分の行為を言うときは「謙譲語」です。相手への敬意は直接含まず、上品に美しくいう言葉を「美化語」といいます。そうした改まって言うときに用いる「美化語」は、動作そのものを表すよりも「お・ご+名詞」の形になることが多いので覚えておきましょう。例えば、「お紅茶・お机・おかばん・おビール」とまで言われると私とは縁のない上流階級の方のお話。【注2】中学受験では尊敬語・謙譲語・丁寧語を漢字で答案を書けなくても減点とはされないでしょうが、高校受験では漢字で書けるように努力して下さい。◎ 敬語の種類のポイント1 尊敬語 (そんけい語)「目上(相手)の動作」を言うとき。 2 謙譲語(けんじょう語)「自分や身内の人の動作」を言うとき。3 丁寧語(ていねい語) 「です・ます・ございます」 高校受験ではもう1つ。4 美化語 美しく言う「お・ご+名詞」さらに、ぜひ覚えておいてほしいことは実際の敬語の使い方です。◎ 尊敬語と謙譲語の区別 もっとも間違いが多いのは、尊敬語と謙譲語の区別で、次の表からまず確実に覚えておきましょう。この表は超重要です!!! 尊敬語(お客様が) 謙譲語(私(の母)が)言う おっしゃる 申す(申し上げる)見る ご覧になる 拝見する食べる 召し上がる 頂く・戴く(いただく)行く・来る いらっしゃる 参る・伺う(うかがう)する なさる 致す(いたす)【注3】「戴く(いただく)」は「もらう」の謙譲語としても使います。【注4】 よく出る質問が、「来る」は「来られる」「おいでになる」を尊敬語としてはダメなんですかとか、「行く」は「お出かけになる」を尊敬語としてはいけないんですかという質問です。もちろん敬語として正解です。出題者のほうも書き換えや敬語の正誤問題のとき、このあたりのことに注意して、助動詞の「れる・られる」を使うなとか、「お・ご~(接頭語)」を使うなと条件をつけたりしますが、何か不自然な気もします。採点が煩雑(はんざつ)になるからといって無理に答えの範囲を絞ろうとするのは問題の方が悪い。むしろ、この場合の「いらっしゃる」を普通の言い方に直すとどうなりますかと問う方がすっきりすると思います。そうでなければ、適切な表現の解答であれば全て正解とするとしてよいのではないでしょうか。【注5】高校受験(中3のみ) 次のような尊敬語・謙譲語の表現も押さえておきましょう。お宅「相手の家」 ⇔ 拙宅(せったく)「自分の家」貴社・御社(おんしゃ)⇔ 小社(しょうしゃ)「相手の会社」 「自分の会社」ご子息 ⇔ 愚息(ぐそく)弊店(へいてん)「自分の店をへりくだって言うとき」 粗茶・粗品「自分の家で出したお茶や品物をいうとき」【注6】中学受験・高校受験ともに必要です!!! 自分の身内であれば、相手に対して尊敬語は使いません。電話などで、相手に「お父さんはいらっしゃいますか。」と聞かれて「お父さんは……。」と答えてはいけません。「父は外出中です。」「母は買い物に出かけております。」と「父は…」「母は…」と答えます。学校の面接のときも同じですよ。 また、会社でも「村上部長はおられますか。」と聞かれて「村上部長は……。」とは言いません。「村上はただいま席をはずしております。」と、たとえ上司であっても相手に対しては、身内である場合、役職とか敬語を使わないのです。 以上、敬語の種類のお話でしたが、教室に向かうとき、「先生がいらした。」と言われるよりは、子どもたちに「先生が来た!」といわれた方が気持ち悪くないのは私だけでしょうか。……今日はここまで。 【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/05/31
過日、国字のお話のときに、「働」という字が国字であるにもかかわらず音読みの「ドウ」を持ち、日本で作られて中国に逆輸入されたと考えていいのかどうかわからないというお話をさせていただきました。それは私の未解決の疑問であったわけですが、たまたま「ジテンフェチさん」という方のご訪問があり、行ってみたらびっくり。国字研究の大家でいらっしゃいました。楽天内にもブログを持っておられます。書き込みさせていただいたお返事を頂戴した上に、記事まで書いてくださいました。以下、ぜひ参照なさってみてください。【書き込み(BBS)をさせていただいたブログ】楽天ブログ漢字・雑学サイトのカリスマへジャンプ【「働」についての解説を載せていただいたブログ】 今日の漢字と四字熟語…学研『新漢和辞典』執筆協力者が漢字の薀蓄を語るブログ5/31/10:09号へジャンプ 結論としては、日本で作られた文字が中国でも使われるようになったことは確かだということでした。「ジテンフェチさん」と呼ばせていただくには畏れ多いのですが、本当にありがとうございました。
2005/05/31
常用漢字が1,945文字それに人名漢字約500字。生活上とりあえずそれだけ知っていたらまず十分、いや、おつりがきます。常用漢字だけでも新聞はほぼ読めることになっています。英語に比べても、中学3年間で英単語は約1,000語だから、小学校からやっている常用漢字約2,000字なんて不当ではないという意見もあります。しかし、漢字の方は熟語として用いられるのが普通で、単純な組み合わせだけを考えても計算したくないほど膨大な数になるでしょう。それをいちいち辞書で意味を確認して覚えていくなんてやってられません。 しかし、こうした漢字が組み合わさってできている熟語の意味を辞書を引かなくても分かるということは、中学・高校受験段階では語彙力という点でとても大切なことです。熟語(漢語)はどのように漢字が組み合わさっているのか代表的なパタンについてまとめておきます。こうした組み合わせがあると知っていれば辞書を引かなくても、おおよその意味をつかめるようになります。中学受験・高校受験でも超重要項目です。◎ 熟語(漢語)の組み立て。1 似たような意味の漢字を重ねたもの 〔A=B〕教育 「教える」と「育てる」増加 「増える」と「加わる」絵画 前後とも「え」という意味憎悪・嫌悪は以前にも説明しました。「悪」という字は「にくむ」という意味なのでした。ですから、憎悪・嫌悪、共に似た意味の字を重ねたものです。2 反対語や対義語を並べたもの 〔A⇔B〕善悪・男女有無 「ある」と「ない」(「うむ」と読みます。)3 二つの漢字が主語・述語の関係にあるもの 〔AがBする〕地震 「地(面)が震える」雷鳴 「かみなりが鳴る」(「らいめい」と読みます。)人造 「人が造った」日没 「日が没する」(日が沈むということ)4 前の字が後の字を修飾(説明)しているもの 〔A→B〕曲線 「曲がった線」青空 「青い空」予知 「予め(あらかじめ)知る」(前もって知ること)再会 「再び会う」「曲線」や「青空」を「線が曲がる」「空が青い」と考えてしまう間違いが多いので注意が必要です。曲線は曲がった「線」のことであるし、青空は青い「空」のことだとしっかりつかんで下さい。5 後の字が前の字の目的語になっているもの 〔A←B〕 後の字に「~を・~に」をつけ、前に戻って読むと考えてもよい。読書 「書(本)を読む」 後の字から読んでみるのがコツ。登山 「山に登る」開会 「会を開く」就職 「職に就く(つく)」6 前に打ち消しの接頭語がついているもの 〔×-〕 最初の文字が「非・不・未・無」のもの。漢字は別々だが、全部「~(で)ない」という打ち消し(否定)意味を表す。「未」のみ「まだ~ない」の意味。「非・不・未・無」(ヒ・フ・ミ・ム)は同じグループと覚えましょう。非常 「常(つね)ではない」(いつもとちがうという意味)不足 「足りない」未来 「まだ来ない」無理 「理くつが通らない・すじみちがたたない」 (今では、単に「できない」の意味になっていますね。)7 後の字が接尾語になっているもの 〔-○〕 最後の文字が「的・化・性・然」とつくもの。漢字は別々だが、全部「ものごとの性質・状態・変化」などの意味を表す。前の字が意味の中心になる。「的・化・性・然」(テキ・カ・セイ・ゼン)は同じグループと覚えましょう。病的 「病気のようだ、病気の状態だ」悪化 「悪くなる」 進化「進む様子」(向上・発達するのがホントの意味)酸性 「酸の性質」 個性「一人一人の性質」当然 「当たり前の様子」 平然 「平気な様子」自然 「自ら(みずから)ある様子」(人の手が加わっていないということ)憤然 「憤っている(いきどおっている)状態」(怒っているということ)8 長い熟語を二文字に省略しているもの原発 「原子力発電所」特急 「特別急行」入試 「入学試験」国体 「国民体育大会」 ◎熟語の組み立てのまとめ 熟語の横に〔 〕に示した記号を自分でつけて調べるようにしてみて下さい。うまく記号がつけられるようになったら卒業です。1 似たような意味の漢字を重ねたもの 〔A=B〕2 反対語や対義語を並べたもの 〔A⇔B〕3 二つの漢字が主語・述語の関係にあるもの 〔AがBする〕 (「が」を漢字の間に入れるだけでよい)4 前の字が後の字を修飾(説明)しているもの〔A→B〕5 後の字が前の字の目的語になっているもの 〔A←B〕 後の字に「~を・~に」をつけ、前に戻って読むと考えてもよい。6 前に打ち消しの接頭語がついているもの 〔×-〕 「非・不・未・無」(ヒ・フ・ミ・ム)は同じグループ。7 後の字が接尾語になっているもの 〔-○〕 「的・化・性・然」(テキ・カ・セイ・ゼン)は同じグループ。8 長い熟語を二文字に省略しているもの以上、中学受験・高校受験ともに超必出事項でした!!! 今日はここまで。【「自動」は修飾とも主述とも受け取れるため、用例が正しいか怪しいので改変しました。】
2005/05/30

人気ブログランキング・にほんブログ村(教育)でも活躍しておられるSachi(学習塾講師のブログ通信Sachi-net)さんのご提案により、先日から教育関係ブログのいくつかとつながりを持とうという試みに管理人xenoも参加しておりました。まだ回覧しきれていないブログもあるのですが、sachiさんからのお返事はもちろん、他のブログを運営されておられる方からもお返事を頂きました。学習塾講師のブログ通信Sachi-netさん日刊 塾講師、吼える!!塾講師『雪蛍』さんedu[塾・家庭教師・予備校指導日記☆]さん『杏壇』-kyodan-さん(今後も増える可能性があります。) それぞれの立場で教育を真剣に考えておられます。ぜひ人気ブログランキングまたは、にほんブログ村(教育)より訪問してみてください。→ と せっかくブログを持ったのですからこうした試みには大賛成です。これはと思うブログにはコメントを残そうと少し積極的になる勇気を与えてもらいました。また、『部首カルタ』を教えてくださった「みゆきままさん」にも大変感謝致します。 アフィリエイトサイトをお持ちの方もよくいらして下さっているのですが、営業なのか、個人的ご関心なのか判断がつきません。できれば書き込みいただければ、楽天内でつながることもできます。また小学生・中学生・高校生の方も来てくださっています。訪問返しでいきなり相手のサイトに書き込んできては警戒されてしまうので、こちらからのコメントは差し控えさせていただいております。 書き込みを頂いた方には書き込みで、初めて訪問のみして頂いた方のところへは訪問返しでお伺いいたしますので、よろしくお願い致します。また、私が先に書き込みをさせて頂いた方は、それだけ私が強い関心を持ったのだとご理解いただいて、ご訪問の際にはお返事を頂けるとありがたいと思います。 ブログ立ち上げから2週間ほど経過しました。上記のような行動基準で活動しておりますので、閲覧者の皆様今後ともよろしくお願いいたします。 今日は運営の連絡をさせていただきました。 管理人 xenoゼノ
2005/05/29

中3の国語教科書(教育出版版)の巻末付録を参考に、今日は熟字訓のお話をしましょう。まず、ストレートに問題です。 次の漢字を「熟字訓」で読んでください。1小豆 2意気地 3田舎 4伯父 5伯母6叔父 7叔母 8為替 9五月雨 10時雨11竹刀 12太刀 13芝生 14白髪 15相撲 16草履 17足袋 18梅雨 19凸凹 20名残21雪崩 22日和 23下手 24土産 25眼鏡26紅葉 27木綿 28最寄り 29行方 30若人31数珠(解答はこの記事の中段に付します。) 以前、漢字の音読みと訓読みの区別(4)までお話をしました。その訓読みのうち、熟語になったときだけに使う訓読みがあります。それを「熟字訓」といいます。 例えば、「今日」の訓読みと音読みは分かるでしょうか。「きょう」が訓読みで、「コンニチ」が音読みです。「きょう」のほうは、「今」という字の訓読みをいくら調べても「きょ」という読みはありません。また「日」のほうに「う」という読み方もありません。「今日」という熟語になったときだけ「きょう」と読むのです。こうした『『特別な訓読みを熟字訓』といいます。しかも、「きょう」と読んだときは「今日一日」のことで、「コンニチ」と読めば、「現代」のことですね。読み仮名によって意味が違うので、中学受験の段階でも必ず教えます。すでに中学生の人は古文で「けふ」と書いて「きょう」と読むなんてことも思い出すかもしれません。 他の例を挙げて見ましょう。人事(ジンジ・ひとごと)風車(フウシャ・かざぐるま) これも音読みと訓読みでは意味が変わってしまいますが、次のような例はどうでしょう。紅葉(コウヨウ・もみじ)梅雨(バイウ・つゆ)白髪(ハクハツ・しらが)眼鏡(ガンキョウ・めがね) 「もみじ」は狭い意味で「かえでの木」を指すこともありますが、ほぼ同じ意味で使えます。「熟字訓」で答えなさいと言われたら、訓読みの方を答えるのです。理科では「梅雨前線(バイウゼンセン)」と習うのに、国語では「梅雨(つゆ)」と読むのは誤りなのではなくて、音読みか訓読み(熟字訓)かということだったのです。では、先ほどの答え合わせ。意味も確認してください。答えは「熟字訓の読みかた」でなければいけません。1小豆 あずき 2意気地 いくじ 3田舎 いなか4伯父 おじ 5伯母 おば 6叔父 おじ7叔母 おば 8為替 かわせ 9五月雨 さみだれ10時雨 しぐれ 11竹刀 しない 12太刀 たち13芝生 しばふ 14白髪 しらが 15相撲 すもう16草履 ぞうり 17足袋 たび 18梅雨 つゆ19凸凹 でこぼこ 20名残 なごり 21雪崩 なだれ22日和 ひより 23下手 へた 24土産 みやげ 25眼鏡 めがね 26紅葉 もみじ 27木綿 もめん 28最寄り もより 29行方 ゆくえ 30若人 わこうど 31数珠 じゅず4~7は解説が必要ですね。伯父・伯母 父母の兄姉、または姉・兄の夫・嫁のおじさん・おばさん叔父・叔母 父母の弟妹、または妹・弟の夫・嫁のおじさん・おばさんというふうに使い分けます。年上と年下とすると微妙に当てはまらないケースもあるかもしれませんので上記のように表現しましたが、簡単にいってしまうと、ふつう自分の両親より年上なら「伯父・伯母」年下なら「叔父・叔母」です。8「為替」は大人になるのに絶対必要です。「手形・小切手」などお金と同じように使える書類のことです。例えば、30億円支払いますといっても、持って歩くわけにはいかないので、充分な預金や貯金のある人は書類(手形・小切手)の額面に金額を書いておいて相手に渡し、受け取った相手は、それを銀行や郵便局で換金できるという仕組みになっているのです。9と18「五月雨」と「梅雨」は同じ意味です。五月なのになんで?と思った人は、昔の暦(こよみ)では1月~3月までが春、4月~6月までが夏とされていたので、今の暦では6月~7月初旬前後にあたり、ちょうど梅雨の時期とちゃんと一致します。15「相撲」は「さがみ」ではありません、「すもう」です。「さがみ」は「相模」と書きます。19「凸凹(でこぼこ)」ってこれもちゃんとした漢字です。書き順もちゃんとあります。トップページでリンクしてある『漢字の書き順サイト』で確認してみてください。「凸凹(でこぼこ)」を逆にした「凹凸」は「ぼこでこ」ではなくて「オウトツ」と音読みをします。22「日和(ひより)」は天気・空模様のこと。『小春日和』(こはるびより)なんて、冬なのに暖かい日のことをいう冬の季語もあります。23「下手(へた)」は「上手(じょうず)」の対義語ですが、「したて・しもて」と読んでは熟字訓ではなくて、ただ訓読みをしたことになりますので不正解です。ちなみに、「拙い(まずい)」を一文字で「拙(へた)」と読ませることもあるようです。24「土産」は「どさん」じゃなくて、「みやげ」です。中3の人なら修学旅行がありますから、お店の看板が読めません。ちゃんと読めるようにして下さいね。29「行方」は「いくえ」とはしません。「ゆくえ」です。 途中、飛ばしたところの解説は解答よりも前に説明があったと思いますのでもう一度読み直してみて下さい。 今日はここまで。注】誤解される恐れがあったため「伯父・伯母」「叔父・伯母」の意味の表現を改めました。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/05/28

前回は漢字の部首を考えるときは、漢字のもともとの意味(原義)までさかのぼって考えないと間違えることがあるというお話でした。漢字の部首の記事を書くにあたり、改めて漢和辞典を読み返しながら書いていますが、漢字の意味の変遷は正直よく分からんです。なんでそう変わったのか納得いかないことが多い。以下、前回に続き、残りの注意する部首を取り上げておきます。のぶん・ぼくづくり・ぼくにょう(三つとも同じもの) 改 攻 政 敢 うつ・使役する・強制するちなみに、「牧」は意味から考えても「うしへん」です。 かいへん 買 貨 貧 購 お金に関係するおおがい 頭 額 顔 頂 容姿・頭部を表す。(貝に似ているだけで、「おおがい」という) こざとへん 阪 防 険 陵 高台や盛り土、丘という意味。おおざと 郊 郡 都 郷 集落・まち・都市という意味。 右側に来るのは「おおざと」左側「へん」の位置に来るのが「こざとへん」です。大きさも違いますね。「険」を「こざとへん」だから、小高い山のイメージで考えると、「険しい(けわしい)」という意味もなんとなくわかります。一方、「おおざと」を使う「郊外」とは「郊」が「まち」だから「まちのそと」ということです。 るまた(ほこづくり)殺 殴(なぐる) なぐる・こわすという意味。 うかんむり 家 宅 守 室 家の屋根を表す。あなかんむり 究 空 突 窮 あな・くぼみなどの状態「空・究」をうっかり「うかんむり」と答えて失敗する子がいます。正しくは「あなかんむり」です。 こころ(したごころ) 思 想 恋 心の働き・状態を表すりっしんべん 悟 情 快 同じく心の働き・状態を表す。「りっしんべん」は漢字で「立心偏」と書き、「心」という字が立ち上がった部首です。「恋」という字は「したごころ」。なんて覚えてください。れんが(れっか) 熱 燃 煮 焦 火や炎を表す。ふるとり 雀 集 雄 雑 鳥を表す。「集まる」は木の上に鳥の群れが集まっているところからできた。 にんにょう(ひとあし)兄 児 先 人を表す。 がんだれ 厄 厚 原 がけ・岸・石を表す。まだれ 広 床 店 庭 屋根や建物を表す。やまいだれ 疫 病 疲 痛 療 病気を表す。 「がんだれ」「まだれ」「やまいだれ」と画数順に押さえておきましょう。 ちなみに、「がんだれ」は「雁(がん)」という鳥の名でも使われますが、「雁」の部首は「ふるとり」で「がんだれ」のほうは読みを表すそうです。「雁(がん)」という字に使うから「がんだれ」って覚えた方がラクです。しんにょう(しんにゅう) 道 遠 近 送 道路や進退を表す。えんにょう 延 建 引く・引き伸ばすという意味。 はこがまえ 区 匹 医 はこを表す。かくしがまえ 匿 かくす・かくれるの意味。うけばこ 画 函 凶 口を開けた入れ物の意味。 常用漢字では「はこがまえ・かくしがまえ」の区別がなくなっていますが、「匿」は「匿す(かくす)」と読んで、投稿はがきなどを送った時に匿名希望(とくめいきぼう)「名前をかくしてほしい」という意味で使う漢字です。今でも「特名希望」と書き間違える人が多いとか。 以上、漢字のイメージをつかむために理解しておくとよい部首とその意味をまとめてみました。もとの意味とは変わってしまっているものもありますので漢和辞典で調べてみるといいでしょう。しかし、意味の変わり方は私自身が納得のいかないものも多数あります。漢字の部首の歴史をきちんと調べるというだけで「博士」になれます。ただし、有名なものは漢字の部首を知らないと、電話などで相手の名前や住所の漢字がわからなかったり、自分の名前や住所を伝えられなかったりするはめになりますね。今回の記事はホント書くのがしんどかった。どうせならアニメやカルタで楽しく覚えてください。 …… おしまい。 【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/05/27

今回は漢字の筆順に続いて、漢字の部首についてのお話。 分数の計算と同じく、漢字を覚えるのだけは苦手だというお子さんは結構いらっしゃいます。しかし、複雑な漢字も、その一部となるような基本的な漢字や部首をいくつかしっかり身につけておけば、認識できるという発想があります。前回、漢字の成り立ちでお話したとおり、会意や形声で成り立つ文字は結構たくさんありますので、そういう意味で漢字の部首は早い段階で覚えておくと楽だとも言えます。ただし、漢字の形がぱっとわかるというのは本当はすごいことで、私たちが当たり前のようにやさしい漢字だと思っているものも、子どもたちにとっては、形をとらえることはなかなか難しいのだと分かっている必要があります。例えば、以前お話した「夢」という字は活字からはどう書いたらよいか判断しがたいですし、「競う」という字も左右対称ではありません。私などは今でも年齢の「齢」の字の左右が入れ替わってしまう癖があります。 今回の記事のためにネット上で役に立ちそうなものを拾って見ました。 商業用途のみ連絡要とあった『学習アニメの館』(部首のなりたちをアニメで見ることができます。受験にすぐ役立つとはいえませんが、ほっと一息。)→『部首のなりたちアニメ』トップページへジャンプ 『部首カルタ』(部首をカルタで覚えてしまおうという遊具が世の中に存在するそうです。私も四字熟語カルタや俳句カルタは持っております。)→楽天ブックス『部首カルタ』紹介のページへジャンプ コメント欄にも新着情報があります! 『漢字の説明』(手間をかけて漢字の説明を行う工夫があるサイトなのですが、このサイト内の掲示板によると、どうやら管理人さんがサイト自体を放棄してしまったようです。更新もずっと止まっており、もったいないサイト。幽霊でも出そうで少し怖い。)→『漢字の説明』TOPへへジャンプ 部首の一覧を作ろうと試みましたが、内容は膨大で短時間で作るのは無謀であることに気づき、断念しました。そこで、受験国語で取上げられる代表的な「部首の問題」を例に挙げながら、漢字の部首にまつわる問題点をお話しすることとします。代表的な「漢字の部首」は、お手元の参考書か漢和辞典、もしくは上記サイトで確認してください。なお、上記サイトの閲覧は自己責任でお願いします。細部の内容の誤り等、こちらでは責任が持てませんのでご了承ください。 さて、漢字の部首の勉強するときに気をつけておかなければいけないことがあります。上記の『漢字の説明』サイトにあった例題ですが、次の漢字の部首を正確に言えるでしょうか。例)開 閉 聞 問すべて「もんがまえ」でしょうか?「開・閉」は「もんがまえ」でいいのですが、意味をよく考えると……。確認しに行ってみてください。こうしたことは私の経験でも、子どもたちと漢字遊びをしていて気がつきました。 「今日は体の一部を表す漢字を集めてみよう!」と「にくづき」を使って漢字を検討させたとき、前もって漢和辞典を持ってくるようにいってあったのでいっぱい出てきました。脳のう 肩かた 脇わき 腕うで 肘ひじ 脈みゃく 胸むね 肺はい腹はら 胴どう 胃い 肝きも 腸ちょう 肌はだ 股また 脚あし膝ひざ 背せ 臀しり 膿うみ 脂あぶら 服 ふく(?) 「最後の『服』は体の一部じゃないだろ。それは『つきへん』。」「なんで“つき”なの?」「……。」絶句。 辞典で調べてみると、「服」の着物の意味はあとになってできたもので、最初は「服従」「屈服」「服役」などの意味で用いられる「したがう」が、原義(もともとの意味)で、「月の動きに従う」というところからできたのだそうです。どうして今の着物の意味になったかは手持ちの漢和辞典ではわからないままです。 また、「利」の部首はなんでしょうか。左側の「のぎへん」?それとも右側の「りっとう」?正解は「りっとう」です。植物の実りを「刈り取る」ことから「刀」を表す「りっとう」の方が部首になります。「初」も、うっかり「ころもへん」としてしまいそうですが、「かたな」の方が正解で「布を断ち切るところからものごとの初めとした」ということです。以前に「夢」の部首は「くさかんむり」ではなくて「夕・ゆう」だと説明したことがありましたね。 こういうのが部首の問題に出されたら、ホント意地悪です。「初」とか見せられたら「ころもへん」って答えますよね。ふつう。「子どもに漢字で部首遊びをさせましょう。」あるいは、「この部首を使っている漢字を集めてみよう。」などと勧めている本は多いのですが、こうした注意点について書かれている参考書類に出会ったことがありません。今の漢和辞典は、漢字の部首ではない一部分からも調べることができるようになっているものも多く、気づかれないのかも知れません。「漢字で部首遊びをしましょ」って安易にやり始めたら授業でウソを教えるか、収拾つかなくなるに決まっています。前もってよく準備しておかないと、漢字遊びは恐ろしいという私の失敗談でした。 「漢和辞典は漢字をよく知っていないと使いこなせない。」とよく言われますが、子どもに漢字遊びをさせようとしたら、漢字をよく知っていなければいけないということです。漢字の原義までさかのぼって部首の名前を考えなければいけないなんて、小学校の先生方は国語だけを教えているわけではありませんから大変です。こういう突っ込んだ中学受験の部首の問題があったりするのはあまり正当だとは思えないのですが……。 そのほかの漢字の部首についての注意するところを見ていきましょう。漢字の部首は大きく分けて、へん(偏)・つくり(旁)・にょう(繞)・あし(脚)・たれ(垂)・かんむり(冠)・かまえ(構)があります。 にんべん 休 仲 作 住 人に関係するぎょうにんべん 行 往 後 道を行くという意味 ぎょうがまえ(ゆきがまえ)は「行・術・街」などがあり、意味は「ゆく・おこなう」ですが「ぎょうにんべん」と間違いやすいので注意。「行」の一文字でも部首は「ぎょうがまえ」といって「ぎょうにんべん」としてはいけません。さんずい 海 湖 泳 河 水に関係するにすい 冷 凍 氷に関係する「さんずい」と「にすい」の意味の違いに注意しましょう。ちなみに「次」は「にすい」ではなく、右側の「あくび」が部首。「あくび」は「大きく口をあけること・不足する・欠ける」という意味。「にすい」と間違われる部分はもともと「二」で並んでいることを表す。二つあわせてつぎつぎと休むということからできたということです。しめすへん 神 礼 祈 祝 神様に関係するころもへん 補 被 裸 複 ころも・着物に関係する「しめすへん」と「ころもへん」はしっかり区別できるようにしましょう。「チョン」がつく「ころもへん」の書き順は「衣」の書き順がそのまま残っています。最後に「チョン」をつけるのではありません。書き順サイトなどで確認してください。 【参考】旺文社 漢和辞典 つづく。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/05/26

漢字が伝わったのは中国からだというのは常識ですが、じゃあどうやって、古代中国の人たちは漢字を作ったのかというお話。 中国から漢字が伝わってくるまで日本には文字というものがありませんでした。奈良時代になって、ずっと暗誦口伝(口伝え)されてきた神話が、漢字によってようやく書き残されるようになったのでした。「古事記」とか「日本書紀」ですね。二つあわせて『記紀』といったりします。ここのところ日中関係はよくないのですが、中国から漢字が伝わったことが、日本の文化が育つきっかけとなったともいえるわけです。 その中国では文字をどのように作ったのでしょうか。「甲骨文字」なんて社会の得意な人は知っているかもしれません。その文字を作ったときの方法を見ていきましょう。漢字の作り方は直接、文字を作る方法として四通り、さらに使い方で文字を増やす二通りを加えて六通りの作り方がありました。これを『六書(りくしょ)』といいます。漢字を作るのに並々ならぬ智恵と努力があったろうと思います。その六通りとは、次の六つです。1 象形文字 絵から作った文字 象はもともと中国にはいない動物だったので、象を知らない人に絵を描いて形を説明したところから象形文字といいます。象という字は「象る(かたどる)」とも読みます。例) 山 川 日 月 馬 羊 牛 女 人 大など (板書でイラストを書いて説明したいのですが、ここではムリ。) 2 指事文字 形のないものを記号のように表した文字 指(示)文字ではありません。指(事)文字です。例) 上 中 下 一 二 三 など形のないもの 本 末 (「木」に一本加えて位置を表す) 小 (もとは小さな点を三つで小ささを表した。) ここまでで「大」は象形文字だけど、「小」は指事文字だということを押さえておいて下さい。突っ込んだ問題では問われます。また「本」はもともと書物という意味でできたのではなくて、「もと」という位置を表す指事文字から始まりました。「末」も同様です。いずれにせよ、姿・形のあるものは「象形文字」になり、姿・形のないものは「指事文字」だという大まかなとらえ方は忘れないで下さい。 3 会意文字 二つ以上の漢字を組み合わせて作った合体文字例) 林 森 岩 鳴 など文字が組み合わさっているのがわかります?4 形声文字 音を表す部分と意味を表す部分からできている。 悪魔の「魔」はなぜ「マ」と読むのかというと、「魔」はよく見ると「麻」と「鬼」でできている。「麻」が読みで「鬼」の方が意味というわけ。大麻(タイマ)の読みを知っていたらわかる。この例は危ないですな。(笑)こうした文字の一部で漢字の読み方の見当をつける方法はぜひ知っておいて下さい。全漢字の九割はこの形声文字でできていると言われています。 あとの例)に三つずつ挙げるように同じ音読みになるわけは、目で見て判断できるとおり、同じ部分が共通して入っているから、同じ音読みになるのです。そして残りの部分が意味を表しています。例)全て音読みは「フン」で、部首が違うところで意味を表している。 墳 古墳として使うように「つち」の意味。 噴 噴火として使うように「口からふきだす」意味。 憤 怒っているという「こころ(りっしんべん)」を表す。 全て音読みは「セイ」で、部首が違うところで意味を表している。 晴 お日さまに関係する「はれ」という意味。 清 「さんずい」で水のきよらかさを表す。 精 「お米」の中心の一番大事なところを表す。5 転注文字 本来の意味が変化したもの例)楽 長 悪など「楽」 最初は音楽の曲の意味だった。そこから、曲を聞いていると楽しい、楽(らく)という意味でも使われるようになった。「長」 年寄りという意味から、おさめる意味での「長(おさ)」という意味でも使われるようになった。意味の変遷(へんせん)は、長ずる(年をとる)→大きくなる→身のたけが長いとなって最後に「長い」の意味で使われるようになった。「悪」 もともと「わるい」の意味だったが、みんな「悪」を「にくむ」という意味で用いられるようになった。現在でも使う「嫌悪(けんお)」「憎悪(ぞうお)」などは「きらう・にくむ」「にくむ・にくむ」と同じ意味で使われる字が重なってできた熟語というわけです。「嫌悪」「憎悪」ともに「悪」は「悪い」という意味ではありません。大学受験の漢文では、「悪む」と書いて「にくむ」と読みます。大学受験では結構常識。 余談です。何年も前に自分の子どもに「悪魔」という名前をつけ、ニュースなど世間から非難を浴びた父親がいましたが、「魔を“にくむ”と読んで『悪魔』です。」なんて言えば、世間に言い訳できたかも知れません。6 仮借文字 漢字の音だけ借りて使うようになった字 「かしゃく」または「かしゃ」と読みます。「珈琲」って読めますか?「コーヒー」ですね。漢字一字一字に意味はありません。「加・非」の部分で音を表そうとしています。こうした音だけを借りて表そうとした使い方が仮借です。これは他にもいろいろあって漢字で音を表しているだけで意味を考えてはいけません。例)英吉利(イギリス) 亜米利加(アメリカ) 仏蘭西(フランス) 伊太利(イタリア) 濠太剌利(オーストラリア) 倫敦(ロンドン) 華盛頓(ワシントン) 紐育(ニューヨーク) 巴里(パリ) 基督(キリスト) 亜細亜(アジア) など、明治維新前後、西洋文化が大量に入ってきたときにも多く使われるようになりました。パソコンのワープロで外国名や都市名を変換すれば、カタカナ以外に漢字表記があることに気がついていましたか。ぜひ、やってみて下さい。今でもイギリスを英国、フランスを仏国というのは、こうした漢字の使い方の頭文字を取っていたということだったのです。アメリカは「亜」と表すと亜細亜とかぶったりするので、2文字目の米で表されていますね。 ここまで説明してきた「六書」以外にも、日本独自で作られた「国字(こくじ)」というものもあります。例) 畑 峠(とうげ) 躾(しつけ) 辻(つじ 十字路のこと) 麿(麻呂が合体して、まろ) 匂う(におう) 働(はたらく) など、日本独自の漢字は音読みがないのが普通ですが、「働」のみ音読みを持ち中国でも使うようです。中国に逆輸入されたのかなあ。私はまだ詳しいことを知りません。漢字学者でないとわからないことはいっぱいあります。 今日の漢字の成り立ちは、1~4までは中学受験レベル、1~6の六書・国字を含めて高校受験レベルでした。もちろん中学受験段階で全部知っていても損はありません。 今日はここまで。【追記】05/05/31付 国字は訓読みしか持たないと考えるのは誤りだと国字研究の大家、大原望先生からのご教示を頂きました。『働』は日本で作られた国字に間違いないが、音読みを持ち中国でも使われるようになった字であるのは確かだということです。大原先生のブログ 楽天ブログ漢字・雑学サイトのカリスマをぜひ、参照なさってみてください。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/05/25

今日はエッセイ。心中告白です。このブログを立ちあげてから、あちこち先行の方のHP やブログを訪問させていただいては、ネット上での国語の指導はどうしたらよいのか勉強させて頂いております。漢字や語句、文法なら書き下ろしたものを閲覧してもらうのは可能なのですが、文章素材を載せるというのは著作権の保護上、抵抗感があります。いくら、教育上の使用といっても、やはり著作者の権利があります。 特に今年は大学受験の赤本から出題された問題の掲載が一部なくなったこともあって、塾教材を編集する仕事に携わっておられる方は大変だと思います。このブログでも読解問題をどう扱うかということはまだ解決がついておりません。著作権は作者の死後50年ということですから、古典なら扱えるのか?と考えたりもしますが、それでは一番やりたい現代文の読解の方法を伝えることはできないなあと感じています。メルマガで文章読解を扱われているものも拝見しましたが、いい内容なのに、著作権上はグレイゾーンかなあという印象です。個人レベルで著作権料を支払うことは運営上も無理があります。何かよいお知恵はありませんかねえ。 次世代を担う子どもたちのため、著作権を放棄して国語の読解問題用に読んでもらうための文章を投稿してもらうサイトなんて立ち上げても、どれだけ投稿があるかわかりませんね。やってみる値打ちはあるかなと考えてみたりしますが、最近の受験国語と著作権の問題はそうした危機的状況に発展する可能性があります。「子どもたちのためなら、俺の文章を煮ても焼いてもいいぞ。」と書き下ろしして下さる文筆家の方がいらっしゃったらぜひ教えてください。自分で書けというアドバイスを下さる方もあるかも知れませんが、かつてやった時の経験上、自分で作った文章で作問すると、たいてい主観に満ちたひどい問題になります。小説など書いてやったら、もう顔から火が出るほど恥ずかしいので生徒にやらせる前に廃棄しました。 さて、もともとこのブログ立ち上げのきっかけは幾つかあります。学習塾の国語というのは隅に追いやられた存在で、英語・数学をメインに理科や社会までは面倒を見るけれども、国語は一番後回しになりがちです。それでも、国文法や古典などは生徒のニーズも高く誰か教えてやれということになり、「んじゃ、おまえ。」ということで国語担当を始めました。もちろん、文学部志望でもありましたから、特に大学受験浪人の時は並々ならぬ情熱で取り組みました。そうした経験もあって国語を担当することにはある種のこだわりがあったわけです。ところが、塾講師として働き始めた当時、受験国語の指導法などというのは確立されていたわけではなく、受験国語の一貫した読解法、指導法は大学受験レベルから始まったばかりで、中学・高校受験レベルではなかなかなかったのです。せいぜい過去問を集めて解答・解説を付しただけの問題集やテキストが幅を利かせていました。今でこそ、大学受験レベルの読解法が中学・高校受験レベルにも降りてきて、「一貫した読解法を提示しつつ、解説・解答を行う本」も見かけるようになってきました。昔の国語の問題集では、論説文であれば同じことが書いてあるのにどうしてこの部分を使わなくては解答にならないのか、さっぱりわからない。小説・随筆は「心の中にイメージを思い浮かべよ」と言われても浮かばないから答えられないのにといちいち引っかかりを覚えたものです。しまいには、「情景を絵にしてみよう。」とか、「場面の雰囲気をつかめ。」とか、そんなあいまいな解説に出会い、それをテストでホントにやっている奴はいないだろと感じていました。 学校での国語の授業で、きちんと文章に取り組むということをまじめにやってきた現役大学生でも、国語科塾講師として「一人で文章と向き合う、あるいは、国語のテストに取り組む方法」を子どもに伝えなければならないといった段階で立ち往生してしまうことがよくあります。例えば、車の運転はできるが、車の運転を人に教えるのは難しい。(←この例えは最近お話を伺った方の受け売りです。)どうしたら車を正しく運転できるのかを教えるときと同様に、どうしたら文章を読めるようになるのかを教えるためには、その手順や指導法をきちんとまとめ、そのまま子どもと共有できるようにしなければならないのではないかと考えました。さらに、勉強しなくても国語ができるという人の無意識の頭の働かせ方を、国語のできない子にも共有できる形で提示できなければ、国語の成績を伸ばすことなんて不可能ではないかと考えるようになりました。後に心理学で学んだ言葉で言えば、 文章理解のための「認知の枠組み」をきちんと提示し、読解力を養成する国語の指導 とでもいえばよいでしょうか。 それを国語講師育成の段階で伝えるにはやはり、受験参考書をもう一度読めと言うだけでは無理で、実践を通じて一緒に考えたり、悩んでみたりしなくてはいけない。先輩である自分が無意識にやっている国語の指導をことばにしなければいけない。そして、自分のやっていることはホントに正しいのか、毎回、新人講師の育成にたずさわるうちに自省し、若い講師たちと一緒に考えたこと、それらを何らかの形で残しておきたい、そして、塾内だけでなくさまざまな方から批判も受けて鍛錬しなくてはいけないと、そのようにも考えてきました。それがブログ立ち上げのきっかけのひとつ。 一方、私の在住する北海道は都市間距離が長く、札幌以外から塾や予備校を探して通うというのは時間的になかなか困難なことです。中学受験のお正月の特別授業を担当していても、留萌や寿都、遠くは様似や北見、稚内から、朝の5時に起きて親に車で送ってきてもらう方、札幌に泊りがけの方などがおられるわけです。夏期講習でも札幌は転勤族の方が多いこともあって、海外から夏休みに帰省のため札幌にいる間、受講される方もおられます。台北、上海、ロンドン、アメリカの各都市など日本人学校に普段、通われている生徒に、2学期からうちの塾に来ないかなどと無茶な勧誘をしてしまうこともありました。しかし、インターネットであればその後もある程度フォローもできることがあるのではないかと考えました。また、学習塾の中で国語のコースを持たないところに通っている方も少なくない。さらに、私の専門分野のひとつであった不登校や引きこもりで、学習の機会を得られない子ども達も少なからずいます。こうした方の役に立てることもあるだろうと。これがブログ立ち上げのきっかけのふたつめでした。 どこまでやれるかまだ未知数ですが、とりあえずボチボチ行きますので、どうぞよろしくお願いいたします。もし、お子さん、ご父兄の方など、このブログをご覧の方でご意見・ご質問等ありましたら、BBS(掲示板)にどうぞ。『目安箱』とはそういう趣旨で設けたものですから。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/05/25

前回3回にわたって漢字の字体や筆順と、間違えて覚えてしまっているかもしれない漢字を特集しました。今回は漢字の字形のお話。 ここでは、字体は、漢字を表記するためのあるまとまった体系、字形をそれぞれ1つ1つの漢字の形(例えば「良」の上部の点はどちら向きに打つかなど)と考えてお話を進めます。 小学校のうちから、漢字テストのあるたびに、「先生、どうしてこの漢字を書いたのに×なの?合ってるやん。」というやりとりがあります。「こことここがくっついていない。」とか、「ここは突き出ないとダメだ。」とか、どなたでも先生とやり取りをして悔しい思いをされた経験が一度や二度はあるでしょう。最近はかなりうるさいことをいう先生も少なくなりましたが、生徒が学校のテスト答案を持ってきて「どうして×なの?」と聞かれ、「これは許容範囲でしょう。」と思わず言いたくなることもあります。(いいませんけど。) 書き順であれば、学校の指導は、今も『筆順指導の手引き』(昭和33年 旧文部省)に則って(のっとって)指導されていますが、一般に認められている漢字の筆順と学校で指導される漢字の筆順とはまるで違うことが少なからずあります。美しい字を書くために習字やペン字を習った経験のある人はなおさらでしょう。要するに、学校で指導される筆順はあるが、絶対に正しい筆順なんてないということです。前々回正しい筆順を特集記事にしておいて、なんだ!と叱られそうですが、あくまでも「学校指導の筆順」だということを、一応ちゃんと説明しておかなければいけないと思った次第です。 また、字形についても、学校のテストは楷書とはいえ、常識的にきちんと書けているものは正解として認めてもよいのではないかと思うことがあります。「目」という字の横画が全部くっついていないから×にされたと怒っている子がいました。判読できない、あるいは誤解のおそれがある字は正解とはできませんが、まず生徒の利益を考えた採点をしたいものだと考えています。しかし、前回取り上げたような間違って覚えてもらっては困るという字もあって、そこは譲れません。 どういう字形が許容範囲かというと、インフォシークで「漢字 許容範囲」と検索をかけて頂ければ、ヒットした大手の塾、通信添削、書写教室のコンテンツで実例入りの字形が説明されています。参考になさって下さい。やはり、これらのコンテンツを拝見しても、さまざまなパタンがあり、結論はどんな字形を丸とするかは指導者の判断に委ねられるという印象を持ちました。 最後に。いつも、漢字テストってその場の結果が出て、ハイおしまいというものではないなあと感じます。ちゃんと後からフォローが必要です。また、普段から字形については注意点をちゃんと言っておかないといけないと思います。「てへん」は、「はねる」、「きへん」は、「はねない」等、明確にそれぞれ担当の先生が基準を示しておかなくてはいけない。最低なのは大量の漢字プリントだけ与えておいて、テストだけでチェックするやり方です。言葉を教えるときもそうですが、文字も指導者が書いてみせる、子どもの書いたものをみるというやり取りで伝えるものだと思います。 覚えるためだけの漢字のプリントでは伝わらない部分があるというのは採点の段になって気がつき、残念な思いに駆られたことが、指導経験のある方ならあるはずではないでしょうか。そんなことを言われても時間がないという反論も出てきそうですが、学習の「質と量の問題」ともからんできますので、機会を改めてお話しすることにします。今日はここまで。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/05/24

前回の宿題の答え合わせです。カタカナの部分を実際に書いてみてください。(2箇所のものもあります。全17問)1 家族をヤシナう。「養う」ですが、下は「食」そのままではありません。よく見ると『八』のように開いてつけます。漢字の得意な方の中にもうっかり書いている人いるかも知れません。2 新鮮な タマゴ 。3 子どもを ムカえに行く。「卵」と「迎え」 真ん中の一本を「迎え」のほうにつけて間違える人が多いようです。「仰ぐ(あおぐ)」「抑える(おさえる)」も同様です。 4 真剣ショウ負。5 入場ケン。「勝つ」と「券」の違いです。「券」は「勝」の月を取ったものではありません。「券」の下の部分は「刀」であって「力」ではありません。「力」を使うのは「募る(つのる)」です。駅員さんの手書きのポスターでよく間違いを見つけます。6 絵画のテン覧会。7 恋人を失ったソウ失感。「展」「喪」はよく見ると、左下に「はらい」はありません。また「レ」の部分で一画になります。注意しましょう。8 最近、体のオトロえを感じる。9 自然破カイによるカン境問題。「衰え」と「破壊」の「壊」は、左下が「はね」です。一方、「環境」の「環」の左下は「とめ」です。「還」・「遠」なども「とめ」です。10 残ギャクな仕打ち。「残虐」の「虐」は「ギャクヨ」(笑)「ヨ」の向きを間違えていませんか。11 神社への参パイ。12 ユウ便局。「参拝」の「拝む(おがむ)」は横画3本ではなくて4本です。逆に、「郵便局」の「郵」に余分な横画1本を入れていませんか?13 ボウ子をかぶる。「帽子」の「帽」の下側は「日」ではなくて「目」です。ワープロだと確認しづらいかも知れません。14 ユウ通がきかない。「融通」の「融」の左下は「丁(チョウ)」のようにはねるのではなく、アルファベットの「T」のようにとめて書きます。15 試ケン日の変コウ。「試験」の「験」は最後の一画は真ん中につけますが「変更」の「更」は交わります。交わるのは「使う」と「更に(さらに)」ぐらいなのに、「険・剣・検・験」などを、交わる形で書いてしまう子が多いのはどうしてでしょうか? 以上、如何(いかが)でしたか。17問中15問以上の正答者はかなりの強者です。いずれも高校入試レベルで学校の国語がたとえ「5」の評定の子であってもコロコロ間違えてくれる漢字でした。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/05/23

前回の宿題。次の漢字の画数をそえぞれ数えてみてください。道12 延8 防7 都11 糸6 比4 以5 子3 己3 乙1 収4叫6 蒸13 離19 夢13 右に添えてある数字が画数です。間違いなく一致したでしょうか。若干、解説を加えておきます。(参考 旺文社 漢和辞典)道 延 「しんにょう」「えんにょう」はともに3画です。防 都 左側の「へん」の位置にあるのは「こざとへん」で、 右側の「つくり」の位置にあるのは「おおざと」どちらも3画。糸 明朝体だと左肩が突き出して見えますが「いとへん」は6画。比 これも明朝体だと5画に見えますが、左足は曲げるだけで4画です。知らないと、昆・皆・階などすべて間違って書いていることになります。 以 「比」は4画でしたが、こちらは5画で正しい。子 2画ではありません。途中で切って3画です。己 乙 「己」は3画。「乙」は一気に書く1画です。収 明朝体の「収」は書き順・画数ともに問題のある字。部首は「又」。書き順は左から順ではなくて縦画からです。4画が正しい。 叫 「収」と同じ部分が入っているのにこちらは6画。「収」の左側と「叫」の右側はもともと同じ字源なのですが、「収」は、画数が別になってしまった謎のある字。蒸 中央にあるのは「水」の形で書きます。「丞(ジョウ)」とした方が正確でしょうか。「率」「摂」のように「ちょんちょん4つ」ではありません。13画。離 左側中にあるのはカタカナの「ム」ではありません。19画。夢 明朝体では上部が「西」と見間違えるばかりにくっついて見えますが、草かんむりのように分けて書きますね。小学校中学年で習う字ですが、ちゃんと見てあげないと書けません。ちなみに、部首は「夕(ゆう)」で、草かんむりではありません。夢は夜見るものだから。13画。夕は「日暮れ」の意味もありますが、「夜」の意味でも使います。 次は、書き取り問題で勘違いしている漢字はないかチェックしてみましょう。カタカナの部分を実際に書いてみてください。(2箇所のものもあります。)1 家族をヤシナう。2 新鮮なタマゴ。3 子どもをムカえに行く。4 真剣ショウ負。5 入場ケン。6 絵画のテン覧会。7 恋人を失ったソウ失感。8 最近、体のオトロえを感じる。9 自然破カイによるカン境問題。10 残ギャクな仕打ち。11 神社への参パイ。12 ユウ便局。13 ボウ子をかぶる。14 ユウ通がきかない。15 試ケン日の変コウ。以上 17問です。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/05/23

前回の漢字の筆順の続きで、今回はつい間違って覚えているかも知れない漢字を特集します。画数のお話とからめて、字体の話にも触れていきます。レベルは中学受験よりも少し難しい高校受験レベルの漢字も含みます。 さて、お恥ずかしい話ですが、高校になるまで「孤独」を平気で「狐独」と書いていました。どうしてそうなったのか、後に実家の整理をしていると中学時代の国語の定期テストが出てきて「狐独」と書いて丸をもらっていました。「狐が独り」ではシャレになりません。国語の担任の先生の見落としだったのでしょうが、教えるということは怖いことです。他にも高校になるまで「幻」の右側を「包」と同じく「ノ」をつけて覚えていました。 漢字は通常、一般の本では「明朝体」という字体を使っていることをご存知の方も多いかと思います。しかし、国語の漢字テストの答案は、たいてい一点一画を省略しない「楷書体(かいしょたい)」で書くことになっていますから、「明朝体」とは字画にズレが出てくる漢字が幾つかあります。教科書は、そのあたりのことが配慮されていて「教科書体」という一点一画が明確に分かる字体です。ですから、ワープロなどで作られた漢字のプリントで学習していると、主に「明朝体」が使われているため、知らないうちに間違った字画で漢字を覚えてしまうことがあります。それ以外にも、活字からは判断しづらいために勝手な思い込みの字画で漢字を覚えてしまうことがあります。 塾教材でもよく漢字の画数の問題が取上げられているのですが、次のような漢字は大丈夫でしょうか。それぞれ画数を数えてみてください。道 延 防 都 糸 比 以 子 己 乙 収 叫 蒸 離 夢注)楷書体は「手書き」の字体で、教科書体は教科書の「活字」の字体のことを言います。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/05/22

すごくいい漢字の筆順サイトが見つかったので、今日は漢字の筆順のお話。 書けさえすれば筆順なんてどうでもいいと考える人もいますが、国語を教えるほうとしてはそうもいきません。筆順も漢字の歴史にもとづいて培われてきた立派な文化です。日常生活ではパソコンのワープロで一発変換ですが、案外自分の手書きで相手に言葉を伝えなければいけないことも多いはず。受験国語でも、少数ではありますが出題されることがあります。今日はよく出る漢字の筆順をまとめてやっつけてしまおうという記事です。楷書(教科書体)で、学校で指導される筆順を基準としています。自信のないものは筆順サイトや漢和辞典で確認してください。(参考 旺文社 漢和辞典)右 有 左はらいが先 (後に書く横画の方が長い)左 友 横画が先 (後に書く左はらいの方が長い) 右はひらがなの「み」で斜めから入るイメージをつかめばOK。左はその逆。女 くノ一の順で書く。女忍者の「くのいち」で覚える有名な筆順。必 心を先に書いてはいけない。超頻出。飛 口では説明できないので筆順サイト等で確認を! 真ん中の、たてぼうをいつ書くかがポイント。その他耳 世 度 席 無 衆 服 片などは頻出。ぜひ筆順サイト等で確認して下さい!馬 巨 臣 縦画が最初。上 同じく一画目は縦画。非 兆 まず左側から中から外へ、次に右側を同じく中から外へ。不 下側は真ん中から書くのではなくて左から順に書く。水 氷 真ん中から書いて左右の順で完成。火 外の点から書く。万 方 力 刀 左はらいは最後。九 丸 逆に左はらいが先。可 何 口を先に書いて囲むのは最後。区 医 匹 最初に横画を書き、中身を書いて囲むのは最後。成 感 一画目は左はらいが先。十 横画が先。田 町 男 ところが、真ん中の十は縦が先。性 悟 「りっしんべん」は「てんてんぼう」と覚える。発 「はつがしら」超頻出。右側は「ちょん、はらい、ちょん」です。被 複 「ころもへん」超頻出。口では説明できない。「しめすへん」と区別して下さい。犯 獲 「けものへん」は上につく左はらいから書く。最後に為 私のお気に入りの筆順を持つ漢字。 途中が段々畑を書いているみたいで面白い。 国語を教えるようになって筆順は改めて勉強しなおしました。他の科目を教えている方にも参考になるかもしれません。漢字の筆順は小学生のほうが厳しくチェックされます。板書をしていても先生間違っている!と指摘され恥をかくこともありました。自分の癖を直すのに数年かかったと思いますが、ここに取上げた漢字は筆順問題の8、9割はカバーしていると思います。取上げたもの以外の出題はそんなに見かけたことはないので、ぜひ、ご活用ください。 【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/05/22

国語のができない原因と指導の着眼点について五回にわたってお話をしました。五日間で下書きも含め、一気に二万字以上、原稿用紙にして五十枚以上書きましたので推敲も不十分なまま意味が分かりにくかったところがあるかもしれません。少しずつ訂正・加筆をいたしますのでご容赦ください。 今回の「国語ができない原因を考える」で、話の元になった5つの領域をもう一度、掲げておきます。1 読みレベル2 意味レベル3 文章構成と文脈把握レベル4 表現レベル5 生活経験と興味・関心レベル それぞれどの段階に躓き(つまづき)があるのかを考えることにより、「本や新聞のコラムを読みなさい」とか「問題集を買ってきて解きなさい」「漢字や言葉を覚えなさい」「塾の予習復習をしっかりやろう」などの一般論のアドバイスよりも一歩突っ込んで考えていただける視点や材料を提供できたのではないかと思います。 少し注意していただきたいのは、「読みレベル」と「意味レベル」に分けて、「漢字」と「語句」というふうに分けなかった点です。読みと意味の力をつけるために漢字と語句のドリルに力を入れればよいのだと受け取っていただくと困ります。「読み」と「意味」とに分けたのは、実際の文章を読むときに出会う困難のレベルに応じて分けたのであって、漢字・語句ドリルで単純に埋められるものではありません。漢字・語句ドリルより、実際の文章の方がはるかにいろいろな言葉が出てきます。もちろん、漢字・語句ドリルをやるのは推奨すべきことですが、それだけでは十分ではないのです。ちょうど、英語で英単語と英熟語を覚えれば英文が読めるようになるかというと、そうでもない。英文読解は英文を読まなければ力がつかないのと同じように、国語の読解力は実際の文章を読んで、一緒に言葉の読みや意味を確認していってこそ力がつくのです。 このシリーズのお話を終えるにあたり、「受験国語」と「教科としての国語」の違いについて私見を述べておきたいと思います。「受験国語」はペーパーテストの得点を上げるために勉強するものですが、「教科としての国語」は自分の考えや思いを相手に正しく伝え、また相手の考えや思いを正しく受け取るために学ぶものです。それは「教科としての国語」がコミュニケーションのための「読む・聞く・話す・書く」という4つの領域で表されることからもわかるでしょう。 では、本当に受験国語とはテストの得点を上げるためだけでよいのでしょうか。既にこれまでのシリーズの話の途中に出てきましたが、受験国語を勉強するメリットは、テストの点を上げる以外に、文章について自分なりの「読み」を立てるための勉強だということです。大学受験の国語では、選択肢の切り方に重点をおく参考書が多く見受けられますが、その必要悪は認めるにしても、うまい選択肢の切り方だけ知りたいという姑息な姿勢でいると、いずれ大学に入ってから、あるいは社会人になってから、専門書を読む段になって通用しないと考えています。せめて中学受験や高校受験の段階ではまず、「自分の読み」をしっかり立てるという姿勢で文章に接した方がよろしい。選択肢で消去法を用いなければならない場合があったにせよ、基本姿勢は自分なりの「読み」を立てることです。そして、そのためには、大人や指導者の先生、同級の子たちとの「対話」を通じて、「自分の読み」を確かめていくことです。 最後に一つ。少し文章が読めるようになると、納得がいかない部分や答えが出てくることがあります。自分の答えの方が絶対正しいと思い込む子も出てきます。実は自分もそうした自信過剰のうぬぼれの強い生徒でした。大人や指導者に食い下がっても食い下がっても、どうしても納得が行かないことは大人になるまでの宿題にしておきましょうよ。そうして、私は国語を教える側になりました。オチがついたので。……おしまい。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/05/21

記述問題で解答が書けないとき、「みつける」「つなぐ・まとめる」「ととのえる」のうちどこで自分が引っかかっているのかチェックしてみることが大切だということを前回述べました。また、表現力を高めるには、対話を通じて言葉を紡ぐこと。まずは思いを口に出して言ってみることが大切だということ。さらに、表現することはゼロからではなくて、真似ることから始まるというお話をしました。 今回は、生活経験や興味・関心レベルと国語力の関係について考えます。5 生活経験と興味・関心レベル 文章を読むときに以前読んだことのある話に似ていることであれば、当然、読解の質も高まります。昆虫にまつわる話なら、カブトムシなどを飼った経験がある子の方が食いつきがよいのです。宇宙の始まりや生物の進化、生態系などの環境問題など枚挙にいとまがありません。また、国語ではありませんでしたが、大人になったら運転士になりたいと考えている中学生がいました。英数国どの科目もパッとしなかったのですが、家ではいつも桃太郎電鉄というゲームをやっていて日本全国の駅名や特産物にはやたら詳しい。だから、社会の地理の範囲になると成績がトップクラスなのです。工業高校の機械科に進んでホントに運転士になる道を選んだと聞きます。国語という教科も個人の生活経験や興味・関心に負うところが大きいようです。ただ、経験・興味・関心が直接得点に結びつくのかというと、なかなかそういうわけには行かないでしょうが、潜在的な効果は十分期待できます。 国語の成績アップについて同僚の講師(学生)がしてくれた話を紹介してみましょう。「塾の国語は読解法などと言うけれど、RPG(ドラクエやファイナルファンタジーなどのロールプレイングゲーム)に例えれば、武器屋で武器を買うようなものだ。しょぼい経験値レベルでは使い物にならないだろう。」と。これは読解法を身につけたとしても読書経験が少なければ宝の持ち腐れで使いこなすことができないだろうという意味です。確かに武器を持てば、武器を持たないときよりも強くはなるでしょうが、それにふさわしい経験値レベルになっていなければ、やっぱり敵に負けてしまう。そういう意味で読解法を学ぶだけでなく、読書などの経験値を高めておくというのは大切なことです。読書経験のみならず、学校での国語の学習も大切です。問題を解くのではなくて、段落をまとめたり、小見出しをつけたり、主人公の気持ちを時間の制約などなしにうんと考えてみる。こうした言語経験は教科の国語という枠を超えて、数学や理科の科学的なものの見方や社会科での学習活動も含みます。また、友人関係や初恋など社会経験が読みの深さを決めることもあります。実際そうした対人関係をテーマとした物語や小説も入試問題でもよくみかけます。 逆に、老人が主人公で死に直面するお話を国語の模擬テストで読み、実祖父のお葬式を経験していたために感情移入し、かえって深読みして失敗してしまったという女の子の話を聞いたこともあります。ホントはそういう子にこそ合格をつかみとってほしいと思うのですが、前経験が読解に主観的な深読みをさせてしまうということがあるのは否定はしません。しかし、多くは持続的によい影響があると考えられます。受験国語での成功という目先の利益があるにせよ、一回のテストの失敗に左右されることなく経験値を高めてもらいたいと思います。受験国語で読んだ文章が人生の宝物になることさえあるのですから。 私の予備校時代の漢文の先生はその日に扱う問題以外に「論語」や「世説新語」、またそれ以外の雑談もよくしてくださったものです。おかげで私立大の漢文は満点だった記憶があるのですが、最近の生徒はそういう雑談を嫌うようですね。塾では問題にまつわる雑談程度までにしておかないとクレームがきたりすることがあります。自分も気をつけるようにしていますが、講師の立場からするとその教科の面白さを伝えたくてついやってしまうこともあるのです。わかってください。子どもにそれとなく教科のおもしろさを伝え、興味・関心を引き出すというのも講師の重要な仕事だと考えています。言い訳がましくなりました。 今日はこの辺で……。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/05/20

前回は、漢字も読めるし言葉の意味も大体わかる。でも、文章の内容がよく分からないというときは、文章の全体の組み立てや細部の文脈からどこが大事なのかつかんでいく方法を身につけてもらいたいというお話でした。と、そこまでは与えられた文章をどう読むか、情報をとらえる(インプット)段階の話です。次のステップはどう解答を表現(アウトプット)するかという点での困難や問題について考えてみようと思います。4 表現レベル 受験国語で表現レベルの問題というと、記述問題をどう書くかということになります。記述問題の代表的なパタンを拾ってみると1 書き抜き問題 本文中から答えを書き抜いて答える2 説明問題 本文中に使われている言葉を使って説明する (理由説明を含む)3 条件記述問題 指定語句を使って本文の内容に即して答える4 要旨・要約問題 本文全体または一部の要旨・要約をまとめる5 自由記述問題 本文に即して自分の意見や感想をまとめる6 作文問題 指定された語句を使う条件作文や自由作文【6の作文問題は今回は除外し、本文の読解に基づく記述問題を扱います。】1~5の記述問題に答えるには次のような3つの段階があると考えられます。1 設問の意味をとらえ、答えになる部分を本文中からを見つける(読解力)2 答えになるように見つけてきた部分をつなげる・まとめる(作文力) 必要があれば、自分の言葉で言い換える・説明する(語彙力)3 字数制限に合うように削る・つけ足す(作文力) 設問の答えにあうように「~こと・~から」など文末をととのえる(注意力) 答案が書きあがったら読み返して確かめる 1~3の段階を「見つける」「つなげる・まとめる」「ととのえる」と生徒に伝え、どこの段階で引っかかっているのか明らかにし、どうしてできなかったのか問題ごとにチェックし反省するように言います。答えになりそうなところが見つからなかったら、それは読解力の不足ですし、まとめられないのであれば作文力、置き換える言葉がうまく思い浮かばないのであれば語彙力、設問に対して文末のまとめ方がきちんと守れないなら注意力が足りないということです。 記述問題の答えが白紙答案だったりすると、どこでつっかえたのだろうという思いに駆り立てられます。子どもたちにとって、記述問題は作文のように感じられ、面倒くささが先にたち、なかなか取り組もうとはしてくれません。1~3の段階以前にやる気ゼロの段階も想定する必要があるかもしれませんね。それでも、書き抜き問題までは比較的早い段階で取り組めるようになります。書き抜き問題は答えを「見つける」だけの読解レベルでほぼ解決できるからです。しかし、答えになりそうなところを見つけられるというのはすごいことで、「つなげる」ことができるようになれば、いずれ説明問題までクリアできるようになります。まず読解力のレベルで「見つける」ところまでいけたら道半ば越えたことになります。 ところが、その次の第2段階が最大の難所で、自由度の高い問題であればある程、自分の言葉に置き換えたり、言い換えたりして説明する言葉がなかなか出てこない。どこをつないだり、まとめたりたりすればいいのか判断に迷う。一人ではなかなか解決のつかないことがらです。子どもには書けそうもない模範解答を書き写させるだけでは授業の値打ちがありません。登場人物の気持ちを自分の言葉で書く問題なら「悲しい、うれしい、怒っているのどれだろうか。」などと一語で気持ちを表す言葉を提示し、素直な言葉で言い表せるよう一緒に探っていくわけです。そして、「どうしてそんな気持ちになったのだろうね。」とたずね、「お父さんが戦死した知らせをきいて、悲しい気持ち」など「状況説明+気持ちを表す言葉」の典型的なまとめ方で答案を書き表してみることができます。 授業のいいところは口数の少ない子もいますが、口数の多い子もいて、出てきた言葉をみんなで共有できることです。子どもたちはなんて言おうかいろいろ考え、言ってくれます。(中学生になるとだんだん口が重くなるのは世の常ですが。)「ああ、そう言えばいいのか。」と感じてくれればしめたもの。口に出して言えるようになった言葉はいずれ答案に書ける可能性が高まります。大人が教える言葉より同級の子がいう言葉の方がずっと力があったりします。最初は「~けど」「しちゃった」などの話し言葉で構わないので口に出して言ってみることが大切です。そこから書く訓練を重ね、添削してもらううちに、いずれ答案の「書き言葉」に慣れて行きます。 ご父兄の中には静粛な授業を望まれる方も多いのですが、言葉を紡ぎ出すにはこうした「対話」は欠かせない言語活動です。ときには、子どもがとんでもないことを言い出して脱線することもありますが、たとえ、ペーパーテスト対策の国語であってもこうした「対話」による言語活動は必要なのだとご理解いただきたい。何より考えたことを口にして発表できる雰囲気は大切です。 さて、もっとも自由度の高い問題・自由記述問題は厄介です。何を書いたらよいかさっぱりわからないということが多い。こうした問題に対応する裏技として解説の詳しい問題集や過去問(一問ごとにしっかりした解説のついたもの)を集めてきて集中的に解答を読んでみるという方法があります。答案に必要な、意味のわからない語句は辞書で意味調べすれば語彙力もつきますし、何よりどんなことを書けばよいか見当もつけられます。表現するということは、何もゼロから始めるのではなくて、既にある型を真似てみればよいのです。真似て書いたものは添削を受けたりすれば作文力もつきます。模範解答は、授業では子どもの言葉で書けるように探っていきますが、自習の場合にはお手本として使えばよいのです。 余談ですが、奈良で何年も隣人に嫌がらせをしていたおばさんの「引越し!引越し!今すぐ引越し!!」というニュースを見ました。このフレーズは、みにくい苛立ちを表すのに、ちゃんと三三七拍子になっているのですね。表現するというのは既にある型を利用したり真似てみればよいのだなあと変な感想を述べて今回は終わりにします。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/05/19

受験国語の文章を読めない原因の1つに「書き言葉」を知らないことがあります。そういう場合、文章で出会った分からない言葉の意味を集中的に辞書調べをするのは有効です。しかし、辞書を引くだけでは不十分で、大人や指導者との対話が欠かせないこと。また、辞書をひく以外にもふだん語彙を増やすのに文脈や用例によって学んでいる言葉が多いのだというお話を前回しました。 次は、読めない漢字はないし、言葉の意味も一つ一つは大体分かる。でも、文章全体が何を言っているのか内容をつかめないという段階についてです。書かれている漢字や語句の意味は大体わかるのに文章の内容が読みとれないときは、文章のどこが大事なのか見当がついていない場合が多いのです。また、細部の読み取りも不十分なことが多い。文章のどこが大事なのか、大事とはどういうことなのか考えてみることが必要です。 文章の大事なところというのは著者が読者に一番伝えたかったことです。それを説明したり表現するために大まかな型というものがあります。今回はそのとらえ方を見て行きましょう。3 文章構成と文脈把握レベル1)文章構成の把握 文章構成を理解していないために著者の言いたいことがつかめきれないということはよく起こります。塾で国語を習ったことがある子はまず大丈夫なのですが、学校だけでずっとやってきた子の中には、中学生になっても分かっていないことが多いようです。a)説明文・論説文なら 話題(序論)→説明(本論)→まとめ(結論) はじめ なか おわり 説明文・論説文は普通、最初のほうで話題を示し、これから何についての説明をするかを明らかにします。真ん中にさしかかるあたりで、具体例を出したり、理由を述べたりして自分の考えの正しさを述べます。そして最後のほうで、自分の考えをまとめ、主張して終わることが多いのです。そうしたもっとも典型的な尾括式(まとめが最後にある)の文章の場合、言いたいことは文章の最後のほうをしっかり読むことが大切です。しかし、文章によっては双括式(まとめは最初と最後の2回)や頭括式(まとめは最初だけ)があって、頭括式の文章なのに文章の最後の方だけ読んでうーんとうなっていたりする子もいます。頭括式なら最後にまとめがないと気づいたら文章の最初に戻って確認することが必要です。文章の大まかな組み立てを見抜く力がないと、どこが重要なのかなかなか気がつかない。そうした文章を巨視的に(マクロに・大きく)つかむ力を養っておかないと、使われている言葉の難しさばかりに気を取られて読解に失敗することになります。公立高校の問題には尾括式のものが多くそんなに厄介ではありません。むしろ、中学受験の方が意地悪だったりします。最初に話題をつかんで結論(筆者の主張)を押さえるという読み方は読解の王道だということは肝に銘じておいて下さい。b)随筆なら 意見・感想の部分と具体例(事実)の部分があって、具体例(事実)の部分は切り捨て、意見・感想の部分をつかんでいくといった方法で読みます。中には何でもかんでも線を引いてしまう子がいるので、具体例(事実)の部分というのはどういうことか説明してから意見・感想の部分に線をひくようにします。c)物語・小説は いつ・どこで(背景)・だれが(登場人物)・どうした(できごと)を使ってあらすじをつかみ、気持ちを表す言葉(心情語)に注目・線を引きながら、人物の気持ち(心情変化)をとらえていくというのが基本形です。物語・小説は、論説文や説明文のようにきちんとした論理展開でお話が進むのではないので、あらすじさえつかめれば、取りかかりやすい反面、微妙な心理描写や文学的表現のために卒業するには難しいといわれています。2)文脈把握レベルa)主語と述語の対応をきちんとつかむ。 一文が長ければ長いほど主語と述語をとらえることが難しくなります。読解の基本中の基本は「何がどうした。何がどんなだ。」という文章の骨組みをきちんとつかむこと。文の長さにごまかされて意味がつかめなくなってしまう子がいます。意味のわかりにくい長い文に出会ったときは、主語と述語をチェックするようにします。そうすれば途中に知らない言葉があっても案外、意味は通じることが多いのです。b)指示語(こそあど言葉)で文脈を追う。 指示語は指し示している内容を補いながら読んでいかないと迷子になってしまいます。正しく補充できるかを問う問題は中学受験でも高校受験でもよく出ます。指示語で躓き(つまづき)のある場合は問題集などで集中的に練習すればほぼできるようになります。c)接続語(つなぎ言葉)を目印にして文脈を追う。 接続語をマーカー(目印)として文章を読むという方法は中学受験・高校受験でもずいぶんメジャーになりました。「つまり・要するに・このように」などがあったら直後にまとめがくることが多いので印をつけて読むようにします。「しかし」などの逆接も直後に意見を強調して述べてあることが多いので、マーカー(目印)として使えます。接続語は論説文・説明文・随筆で論理展開をつかむためにものすごーく便利です。接続語は読解上、最強の武器という先生もおられるくらいです。詳しい活用のし方についてはいずれ説明する機会があると思いますので後日。d)論理展開のパタンをつかんでおく。 接続語をマーカー(目印)として読むというのが便利だとc)で述べましたが、接続語もそんなに万能ではありません。実際、接続語がほとんど使われていない、あるいは全くない文章にも出会います。そんな時はどうしたらよいのか。文の最初に接続語がなくても、ものごとの説明のしかたには幾つかのパタンがあります。代表的なものを挙げてみましょう。 1 問いと答えのセット Aは何か・どうしてか。Bである・Bだから。 2 言い換え AとはBである。(定義文ともいう) 3 対比・逆接 AはBであるが、CはDである。 4 具体例(事実)と意見感想 具体例AからBである。 Bだ。それには具体例Aがある。 (具体例はカットして読み取る) 5 項目列挙 AにはB、C、Dの3つがある。 6 原因・理由と結果・結論 AだからBである。 以上、受験国語の論説文・説明文によく使われる論理パタンを挙げてみました。こうした文が大切なのだと理解して、出会ったときには線を引く癖をつけることです。受験国語の論説文・説明文のほとんどの文章はこの6個の論理を使ったり、その組み合わせで説明を進めているにすぎません。たとえ、接続語がなくてもこうした説明に出会ったときには印をつけて読むようにしましょう。 文脈のとらえ方を大まかに述べてみました。文章の組み立てをとらえる読み方を巨視的な(マクロな)読み方というなら、文脈を丁寧に追う読み方は微視的な(ミクロな・細かい)読み方ということができます。その両方がきちんとできるようになれば、初めて出会う文章であっても根拠にもとづいた自分なりの「読み」を立てていけるようになるのではないでしょうか。 つづく。 【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/05/18

まず、音読すること。大人がそばにいて読みをチェックしてあげること。その際に読めない字にはフリガナをふる習慣を子ども自身が身につけることが肝心だと前回述べました。しかし、「読書百遍、意おのずから通ず」といった音読至上主義に陥ることがあってはいけません。言葉の音やリズムに慣れることは言語学習の基礎となり得るものでしょうが、意味との対応をおおまかにでも行う必要があります。今回は意味レベルでの躓き(つまづき)について考えます。2意味レベル とりあえず大体声に出して読めるけど、言葉の意味がわからないから文章がよくわからないという段階があります。1つの解決策は辞書を使っての意味調べで語彙(ごい)を増やすことです。義務教育で特に小学校では意味調べノートを先生に作らされた経験のある方も多いでしょう。日常会話では「がっかりした」「怒った」というのに、文章では「落胆した」「憤然とした」などとなっていることがあります。そうした「書き言葉」に慣れていないために文章が読めないということが起こります。教え子の小学生で、ホントに国語が苦手な子がおりまして、毎日、新聞のコラムを読みながら、わからない言葉を片端から調べてはノートを作り、お父さんにみてもらうという学習を3ヶ月以上続けました。塾の予習以外に取り組んでいたのですからすごいことです。夏前に始めて秋風の吹く頃にはかなり国語の成績も安定してきました。 この逸話でコラムを読んでただ辞書を引きさえすればよいとは考えないで下さい。大事なことはその辞書引きにお父さんが付き合ったことです。文章を読みながら辞書を引いても、辞書に意味のわからない言葉が出てきて、さらにそのわからない言葉の意味を引いて……の堂々巡りでいやになってしまう、そんな経験を持っていらっしゃる方も多いと思います。また、大人用の辞書を使っているために余計な苦労をすることもあります。辞書はよくよく選ばないと子どもは苦労します。辞書を引いても意味がわからないとき、子どもの経験に応じて、もう一度意味をかみ砕いてくれるそんな大人、もしくは指導者との対話を通じた関わりが必要なのです。その役割をお父さんが果たされたということでしょう。授業でも子どもたちが調べてきた意味をとりあげてめいめいに発表してもらう機会がよくありますが、とんでもなく大人びた意味をノートに書いて来る子がいます。そんなときは少しかみ砕いて板書することにしています。 余談ですが、前記の「書き言葉」に関して、主観と客観、具体と抽象、絶対と相対、創造と模倣など論説文の読解で説明しなければいけないような言葉がわかっていたら、その子はもう受験国語を勉強する必要もないレベルだと思ったりもします。 ところで、言葉の意味をつかむために私たちはそんなに頻繁に辞書を引くでしょうか。さらに、大人は言葉の意味をそんなに明確に説明できるでしょうか。新聞を大人が読んでも使われている言葉を100パーセント理解している人はいないでしょう。新聞には結構、専門用語が使われていて自分の専門以外はなかなかわからないことが多い。それでも内容の7,8割は理解し新聞の内容がわからなかったとこぼす人はいないのではないでしょうか。大人と子どもの違いは語彙力の違いもさることながら、文脈にそって意味は大体こうなのだろうと類推が働くことです。辞書を引くよりも文章を読んだり耳で聞いて、文脈での使われ方を学びながら身につけた言葉のほうが圧倒的に多いのです。 「イガイ」という漢字を書きなさいと言われて子どもなら学校で習ったばかりの「以外」を思いつくかもしれませんが、大人は少し戸惑う。「意外」も「遺骸」もあるし、文脈で判断するしかないと。ですから、漢字や言葉の学習で例文と一緒に練習することはとても大切です。「意外」を例文を見ずに10回書き取り練習したとしても漢字は書けるようになるかもしれませんが、「以外」との区別はわからずじまい。あとは辞書を引くしかありません。用例で言葉の意味を確認する、または日常生活の中で意味をおぼろげながら確かめていくというのは大切なことではないでしょうか。 最後に一例。授業で「切ない」という言葉の意味を子どもと考えたことがあります。辞書を使わず、例を出してもらいながら意味をとらえようとしたのですが、「切ない恋の物語」というのが挙がりました。その「切ない」ってどういうことと聞くと、その子は「恥ずかしい」という意味だというのです。なるほど、そういう意味でとらえることもあるのかと感心しましたが、「悲しい」を中心に「しんどい」とか「つらい」とかも出てきました。辞書の意味は「悲しくてつらいこと」ですから、子どもたちは生活の中で聞いた使い方で意味をほぼ捉えていたことになります。 言葉の意味が分からなくて文章が読めないとき、辞書を引いたり漢字の勉強で語彙を増やしておくのは1つの手ですが、語彙の多くは日常生活の言語体験によるものです。いちいち辞書を引かなくても語彙力がつくことは変に子どもを追い詰めないためにも知っておいたほうがよい事実です。国語という教科だけで国語力がつくと考えていると足元をすくわれます。私が漫画を読んで覚えた言葉がたくさんあるということの言い訳になるかもしれませんが。 つづく。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/05/17

国語が苦手だから何とかしたい、あるいは何とかしてくれという相談を子ども本人から、またはご父兄から受けることがたびたびあります。一般論として「本や新聞のコラムを読みなさい」とか「問題集を買ってきて解きなさい」「漢字や言葉を覚えなさい」「塾の予習復習をしっかりやろう」などのアドバイスがありますが、それらは国語の問題に「慣れ」ることをアドバイスしているだけで、その子が国語がどうしてできないのか詳細な検討をしてみた上でのアドバイスではありません。「国語は勉強してもすぐには効果が現れにくい」ために「慣れ」以外に有効な学習法はないものか、もう少し突っ込んで、国語ができない原因と指導の着眼点について自分なりの考えを提案してみたいと思います。 国語の指導上、生徒に国語力をつけてもらうために、私は次の5つの領域を想定しています。1 読みレベル2 意味レベル3 文章構成と文脈把握レベル4 表現レベル5 生活経験と興味・関心レベル1読みレベル 私は音読を重視します。小学生には句点ごとに交代して」読みあう「マル読み」や、中学生には形式段落ごと、あるいは小場面ごとに声に出して読んでもらいます。これは学校の先生もやっていて別段目新しいことではありません。子どもの読みをチェックすることで、子どもがテキストの文字情報をどう受け止めているかが如実にわかります。読めさえすれば意味もわかる漢字が読めなかったり、ひらがなが連続するところで文節の区切れ目がわからず言葉を捉えきれていなかったり、言葉の取り違え、読み飛ばしなど「読み」がおかしいところは、必ずその子が引っかかっているところです。誤りを指摘し模範読みをしてから続きを読んでもらいます。黙読を推奨し音読を取り入れない授業もあるでしょうが、テストを受けるときと力をつけるときの方法はやはり違います。どこで引っかかっているのか、文章を読めているのかをチェックするためにしっかり音読することが、まず最初のとっかかりです。 こういうわけで「漢字や語句を勉強しなさい」という一般論のアドバイスが成り立つのですが、実際の文章を読むときに出会う言葉は、問題集に載っている言葉ばかりではありません。やはり大人が、できれば指導者がそばにいて大人と対話しながら読みをチェックすることが一番でしょう。その際、読めない漢字にはフリガナをふるという習慣をつけることが肝心です。国語がかなり苦手な子はまず例外なくこのフリガナをふるという習慣が身についていません。友達が本読みに当たっているとき、ぼんやりしていたり、ここぞとばかりイラストをノートに書いて遊んでいたり。ある程度文章を読める子どもは文章に自分なりの情報を書き込む習慣を持っています。読めない漢字にはフリガナをふるという習慣をつけることが他の対策を講じる前に真っ先にしておかなければならないことです。 文章が読めるかどうかの第一段階は音読です。最近、声に出して読む国語がはやっていますが、言葉の持つリズムや表現の型を学ぶという意味では反対する理由はありません。また、小さい頃に読み聞かせをするということも情緒発達の上で注目されるようになっています。しかし、……。 つづく。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/05/17

専 恵 穂 博 薄 簿のうち点をつけるのはどれ?前回までの音訓の区別の最終回として、大人でも点を打つのかどうか迷う6つの字について見分け方を紹介してみます。まず、6つの字について音読みと訓読みをを挙げて整理すると、 専 セン・もっぱ-ら 恵 ケイ・エ・めぐ-む 穂 スイ・ほ 博 ハク・ひろい・ひろし 薄 ハク・うす-い 簿 ボとなります。右肩に点を打つ博 ハク薄 ハク 簿 ボの共通点を考えると、音読みがハ行・バ行であることがわかります。音読みして「ハ行・バ行」は点を打つという覚え方が迷わないコツ。これはまだ私が若かりし頃、旺文社のラジオ講座が健在で、そのときの漢字指導にあたっておられた山田先生の受け売りです。 今でもセンモン家の「センモンに点なし口なし」と教えることにしています。門も問と書き間違える子が多いので呪文のように授業でつぶやきます。 お知り合いに恵子さんや美穂子さんというお名前の方もいらっしゃるとは思いますが、その方のお名前をうっかり書き間違えませんように。 ……おしまい。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/05/16

前回は「本 ホン 肉 ニク 絵 エ・カイ」などが日本語として意味が分かるから、うっかり訓読みだと思われがちだというお話でした。 次は、音読みと訓読みの区別を使って、熟語の読み方のお話。熟語の読み方は原則的に 上の漢字を音読みで読んだら下の漢字も音読み (音+音の法則) 上の漢字を訓読みで読んだら下の漢字も訓読み (訓+訓の法則)で読みます。 高校時代にモーツァルトの「魔笛」を「まぶえ」と読んでみんなの失笑をかった子がいました。「マ」は音読みなので、次の「ふえ・テキ」は音+音の法則で読み、「マテキ」というのが正しい。どうしてそう読まなくてはいけないのか、その子は納得いかないようでしたが、一応、音音・訓訓のどちらかで読むのが約束です。 ところが、言葉は法則性を破るのが特性というか、音音・訓訓の法則を破る読み方があります。それが下記の2つ。 1)重箱読み 上の漢字は音読みで下の漢字は訓読み「音+訓」「ジュウばこ」 2)湯桶読み 上の漢字は訓読みで下の漢字は音読み「訓+音」「ゆトウ」 重箱読み 例〉縁側 本場 台所 毎朝 湯桶読み 例〉場所 見本 身分 夕刊 重箱は説明すればすぐわかってくれる子が多くて、お正月のおせち料理や花見のお弁当、うな重などに使われる漆器の箱のこと。 ところが、湯桶の方は説明しておかないと勘違いされます。湯桶を「ゆおけ」と読んでお風呂で使う「おけ」のことだと思う子が多い。湯桶は蕎麦(そば)屋で、ざるそばなどを食べたあと、おつゆを薄めて飲むためにそば湯を運んでくれることがありますが、そのそば湯を入れる器のこと。最近ではそば湯を運んでくれる老舗のお蕎麦屋さんも少なくなりました。 なんて話をしても子どもたちはピンとこない様子。ホント湯桶なんて死語なんです。それならいっそ重箱読みと湯桶読みなんて、具体例で呼び名をつけるのは止めて「音訓読み」と「訓音読み」と名称変更してくれれば良いのに。指導する側もこういう呼び名があるから覚えておけでは済まされない部分があります。…つづく 【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/05/15

前回、例)に挙げた漢字の音読みをカタカナで、訓読みをひらがなで表し、整理してみると 例)本 ホン・もと 野 ヤ・の 場 ジョウ・ば 屋 オク・や 夕 セキ・ゆう 夜 ヤ・よ・よる 普段送り仮名をつけない漢字の音訓の区別はかなり厄介だ。ひらがな一文字の読み方で判別しなければならない「野」に至っては、知っていないとお手上げ。夕については、夕べ(ゆう-べ)という訓読みの使い方や「わずかな時間」という意味の『一朝一夕』(イッチョウイッセキ)という四字熟語で音読みの使い方を思いつくかも知れない。 こうした音訓の区別に対応するために整理しておくと、1)音読みか訓読みかで迷う字 本(ホン・もと)など前記の例2)音読みしか持たない字 地 チ・ジ 絵 エ・カイ 肉 ニク 3)訓読みしか持たない字 箱 はこ 届 とどけ 峠 とうげ 畑 はたけ などの国字 大人でもいちいち辞書で確認しないと判断できないものが、中学入試や高校入試で問われることがある。こうした整理のし方は学校では習わなかったなあ。規則性も法則性もないことを1つ1つ覚えるなんて教える方も習う方もつらいので、客 キャク 宿 シュク 場 ジョウ本 ホン 間 カン など1)「ヤ・ユ・ヨ」など小さく書くのが入るのは音読み(拗音ともいう)2) 最後に「ン」がつくのも音読み(撥音という) という音読みのイメージを作るポイントだけ示して終えます。(訓読みになる 御 おん とか例外も、もちろんあります。トホホ。) ……つづく。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/05/15

国語の塾教材の最初の方にまず間違いなくついている音訓の区別の問題。最初だから易しいかというと、実はこれがなかなか厄介だ。 音読みは、中国から伝わったときの漢字の音がそのまま残っているため、聞いただけでは意味まではわかりにくい読み方。辞典ではカタカナ表記になっている。 訓読みは、もともと日本にあった言葉に漢字を充てた読み方。送り仮名をつけて使うものが多いので意味がわかりやすい。辞典ではひらがな表記になっている。例)食 という漢字はどうだろう。ショク ショク ショック!! 誰も「食」という字を思いつかないだろう。それでこれが音読み。訓読みは、送り仮名をつけて読む「た‐べる・く‐う」など。牛が草を食む(は-む)なんて読み方も訓読み。 ここまでが公立の小学生には知っていて欲しいこと。ところが、中学受験や高校受験になると判断しづらいものが混じってくる。例)本 野 場 屋 夕 夜これらの音訓の区別はなかなか難しいのではないだろうか。 …つづく。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/05/14

今月は何日まであるの?と聞いてもすぐ答えられない子がいる。ん?何してんの? 指で手の甲をなぞって数えている。へこんだところにきたら短い月で、指の山のところに来たら長い月。 へえ。指で数える方法があるのか。私はやり方を教えてもらっても途中でうまく行かなくなる。生活にまつわる知識だけれども、北海道の子たちはこう習っているのか。胆振地方に教えに行ったときも机の上に手を出して指で手の甲をなぞり始めた。小さいころ、短い月の 二 四 六 九 十一 を並べて 最後の十一は縦書きすると武士の士になるから「サムライ」「西向くサムライ」って覚えるんだよと聞いた。後に聞くと関東の出身の人でも指で数える人がいた。地域性はどうなっているのだろう? …… おしまい。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/05/14

北海道に来て初めて子どもたちに古典を教え始めた頃のお話。 旧暦には異名というのがあって…。睦月、如月…。で、大晦日って何月何日?12月31日。でも、旧暦では12月30日を大晦日っていってたんだ。 どうして12月31日はなかったの? 昔の暦では太陰暦といって月の満ち欠け一回りで1ヶ月を決めていたんだって。今でも月齢は29.6日までしかないんだ。だから、2月以外は毎月30日まであるのが基本だったというわけ。 でも、30日×11ヶ月+28日=358日 今の太陽暦では1年365日だから昔の暦は7日ばかり1年が短かった。それで4年に1度は閏年(うるう年)をもうけて、7日×4年で28日の2月が2回ずつある年を作って調整したと云われているんだ。厳密にいうとそれでもズレが全部なくなるわけではないからさらに調整を…。 へえ、閏年の2月は2回あったの。 今の太陽暦も大きなずれが起きないように31日までの月、30日までの月、2月の28日ってあるでしょう。今月は何日まで? ……。 つづく。【今回の記事が役に立ったと思う方はクリックお願いします。】→ と
2005/05/13
今日はパソコンスクールで.com.Mateに合格。エクステンション問題まで行ったが、やっぱりまだシングルスター取得には程遠い。トホホ。HTMLでHP作る夢まであと何ヶ月かかるやらと思っていたところへ帰りに寄った書店で初めてブログの存在を知る。やってみたら何だ。簡単に作れちゃうのか。感動です。XMLはえらい! さて、HPを立ち上げたら、受験国語と受験英語についての記事を書き、質問受付を実施する予定でしたが、このブログでやっちゃいます。さらにその先のEラーニングプログラムの開発までたどり着けたら最高です。
2005/05/13
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