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年々、年賀状とお節の準備が億劫になってきました。有名店のお節もおいしそうですが、塩分が気になります。来年はもうお重に詰めるのはやめて、おいしそうなものを買ってお皿に盛り合わせでいいか、と考えています。 母が元気で実家でお正月を迎えていた頃は、わいわいと料理して、詰めるのが楽しみでした。隙間にみかんやチーズを詰め込んでみたり。 ひとりで作っても楽しくないです、お母さん。
December 31, 2021
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クリスティーと並ぶ英国のミステリーの女王が、ドロシー・L・セイヤーズ。セイヤーズは、女性でオックスフォードの学位を持った最初のグループのひとりです。 コピーライターとして勤務後『誰の死体?』で作家デビューしました。 ピーター・ウィムジイ卿を探偵役にした小説中の最高峰が『ナイン・テイラーズ』だと言われます。ピーター卿は、デンヴァー公爵家の次男で、長男のように家に縛られず、財産はあるという境遇。 作者自身はお金に困っていたので、せめて探偵役はお金に困らず探偵活動ができるようにという考えから貴族探偵が誕生したそうです。 『ナイン・テイラーズ』 大晦日の夕方4時過ぎ、ピーター卿は雪深い小村フェンチャー・セントポール村付近で、車が溝にはまり立ち往生してしまいました。 親切な教会の教区長に招かれ泊まることになりますが、たまたま流感で倒れた村民の代わりに鐘を鳴らすことになります。「一五八四〇転座のケント高音跳ね八鐘」でした。 そして春、ピーター卿は教区長から手紙を受け取ります。故レディー・ソープの墓から見ず知らずの男の死体が出てきたと、手紙は告げます。 ピーター卿は死体の謎を解くために再び村を訪ねます。ソープ家には、盗まれてまだ発見されていないエメラルドの首飾りの謎も残っていました。 「一五八四〇転座のケント高音跳ね八鐘」は、8人がそれぞれ音程の異なる鐘を受け持ち、決められた順番に鳴らします。ハンドベルの演奏をイメージして読みました。題名の「ナイン・テイラーズ」は、村に男性が亡くなったことを知らせる鐘です。続けて年齢の数だけ鐘を打ちます。 特別凝ったトリックが使われているわけではありませんが、犯人の意外性は、さすがに女王のミステリー。ピーター卿の従僕バンターが、なかなかのワトソンぶり(ワトソン以上か)を示して、思わずにやりとしてしまいました。 参照元:ドロシー・L・セイヤーズ 浅羽莢子・訳『ナイン・テイラーズ』創元推理文庫
December 31, 2021
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今年も残すところ2日になりました。 歳をとればとるほど時間の流れが速く感じられます。 それは、今までの人生で過ごしてきた時間が関係するそうです。10歳の子どもにとって1年は人生の10分の1、60歳のばあばの1年は人生の60分の1。60分の1のほうが断然少ない、短い時間ですものね。 まだ10年しか生きていない子どもに対して、60年生きてきたばあばは、時を6倍のスピードに感じるというわけです。 これからの時間がどれだけあるかわかりませんが、時が経つのは速いなあと言いつつ、ゆっくり過ごせたらいいと思います。 お節は年々手抜き足抜きで、既製品をお重に詰めています。昔と違って1日からスーパーがやっている時代です。保存ということを余り考えなくてもよくなりました。 今年は、気になる塩分・糖分を控えようと思います。
December 30, 2021
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『ジョーカーゲーム』は、ミステリー・スパイ小説。 昭和12年に、大日本帝国陸軍の結城中佐の進言により、〝情報勤務要員養成所〟すなわちスパイの養成学校が設立されました。その、通称D機関の学生たちが活躍する連作短編集の1作目が『ジョーカーゲーム』です。 「ロビンソン」 ロンドンで諜報活動に関わっていた伊沢は、英国諜報機関のスパイの元締めのひとりマークス中佐に捕らわれ尋問を受けました。 伊沢はD機関で学んだ内容を実践し、英国のための二重スパイに志願します。その結果…。 結城中佐から渡された餞別の『ロビンソン漂流記』の意味は? 伊沢が捕まった裏には、大きな意図が働いていました。一筋縄ではいかない話なのです。 潜入スパイでは、正体を暴かれた時点で任務は失敗ですが、結城中佐の教えは、「殺人、及び自決は、スパイにとって最悪の選択肢だ」。 任務の失敗は自らの死を持って償う、または相手と差し違えるのが当たり前だった戦前の陸軍組織で、「死ぬな、殺すな」は異世界の教えでした。 スパイとは見知らぬ土地に溶け込んで〝見えない存在〟にならなければなりません。死によって衆目を集めてはならないのです。 中佐は、何物にもとらわれないことを教えます。神格化された天皇制さえ否定してみせます。 徹底した無名性、真っ黒な孤独の中で、任務を遂行するのに必要なものは、自分の頭の中で考えたことだけ、外から与えられた虚構などではないと説く中佐です。 想像していたよりずっと読みやすいミステリーです。 参照元:柳広司『ジョーカーゲーム』角川文庫
December 28, 2021
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研修医として各科を回って研修している諏訪野は、次々に不思議な行動をする患者に出会います。 定期的に睡眠薬を多量に服用しては自分で救急搬送を要請する女性、内視鏡でできる手術を、来週にでも開腹手術でやって欲しいと言う男性、入院してから火傷が広がってしまう女性…。 諏訪野は、一見道理に合わない患者の言動の裏にある真意に気づきます。どんなおかしな行動も、患者のまごごろから出たものでした。 『胸に嘘を秘めて』 連作短編の最終話。 突発性拡張心筋症にかかった女優の愛原絵里は、アメリカで移植手術を受けるまで、人工心臓を付けています。家族とは折り合いが悪く、病院スタッフに対しても横柄な態度です。 マスコミに病気が知られてしまった絵里は、〝愛原絵里募金〟を募り、数億円を集めました。世間には否定的な意見もありました。 絵里の傲慢な態度の裏にあったのは…。 絵里との出逢いから、諏訪野は自分の進む科を決めます。 患者の心を深く察し対応できる諏訪野は、どの科でも評価されますが、外来の忙しさには合わないだろう、患者に寄り添いすぎて精神を病むかも、と言われてしまいます。 精神科の実習指導ドクターに、「そのときはきっちり診てあげる」と言われて「割引料金でお願いします」と返す諏訪野。ユーモラス&ハートフルな短編集です。 参照元:知念実希人『祈りのカルテ』角川書店
December 26, 2021
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2年ぶりですか…、昨日は新宿御苑に出かけてきました。温室は閉館が早いので、まずはここから。年の瀬と言うことを忘れそうな温かさ。いや、汗ばむくらいでした。ツリー状のポインセチアがクリスマスらしい丸々としたレモンです。赤いパフのような花は「オオベニゴウカン」白は、園芸種で「カリアンドラ アルビフロラ」という名前だそうです。豆科の植物だそうで、葉の付き方に納得でした。これも形が楽しい「ベニヒモノキ」おなじみの「アンスリウム」 左「コルデュリネ」右は「バニラ」です。ウツボカズラ出口には豪華な「ビカクシダ」が。まるでオブジェのようです。 温室から外へ。幼稚園の子ども達が芝生で遊んでいましたが、人出がなく、とても「疎」でした。名残の紅葉オオツワブキかりんの実真っ白な水仙「ペーパーホワイト」冬の薔薇花壇。「ラ フランス」「十月桜」が咲いていました。こちらは「子福桜」小ぶりですがかわいい桜の花です。 このあたりは、内藤野菜の産地でした。こちらは隣の新宿高校の生徒が栽培したとうがらしだそうです。ちなみに私が入学した高校。(父の転勤で転校したので卒業はしていないのです)
December 25, 2021
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ガニメデは、木星の第三衛星。太陽系に存在する衛星の中では、半径・質量とも最大です。 ガニメデ物産で働くオラフは、原住民のオストリ人を相手に、何気なく地球のサンタクロースの話をしました。オストリ人たちは、自分たちのところにもサンタが来なければ仕事をしないと、ストライキを始めてしまいました。 困った地球人たちは何とかサンタ・トナカイ・橇らしきものを造ろうと奮闘します。 ガニメデにあるもので何とかそれらしく見せようと苦労する様子、橇に乗ったサンタの姿…、笑わせてくれます。ザ・SFの最後のオチも効いています。 参照元:アイザック・アシモフ初期短編集『ガニメデのクリスマス』から 『ガニメデのクリスマス』
December 25, 2021
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松山は財布を落として困っている青年に電車賃の300円を貸しました。「きっとお返ししますから」 後日、鈴木と名乗る青年は家まで300円を返しに来ますが、松山には受け取るわけにはいかない理由がありました。その日、松山は人を殺した帰りだったのです…。 上司の北村、妻と娘は〝悪〟に迷い、戸惑いながら最終的に松山の善意を信じます。彼らはもっと松山を責めることもできたはずですが、自分が悪かったのではないか、自分にできることは何だろう、と考えられる人たちです。 今の世の中、人を落とすことで自分を主張したり、自分の存在を正当化することが多いように思います。赤川作品に出てくる人たちは、ほっとさせてくれます。 鈴木は言います。「人の善意を信じているんです。」 クリスマスイブ、松山は300円を受け取ります。 クリスマスには、性善説を信じたくなります。 参照元:赤川次郎『素直な狂気』角川書店
December 24, 2021
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シャルロットの散歩の途上で、わたしは「小夏」と呼ばれる犬に出会いました。ある日、生け垣越しに小夏にスカートを破られ、その家で着替えを貸してもらいました。小夏をいつも散歩させているのは、彼女の義姉でしたが…。 小夏のおもちゃになっていたぬいぐるみと甘い匂いから、わたしは危険に気づきます。口に出さない悪意から恐ろしい行動が生まれます。 幸いなことに、小夏は男の子3人兄弟の家に引き取られ、朝晩兄弟の誰かがリードを持って走っています。スポーツマン一家にしっかりしつけられているようです。 初めて出会った時、シャルロットに対して警戒心むきだしで吠え立てた小夏が、いまはすっかり澄まし顔です。 参照元:日本推理作家協会・編『喧噪の夜想曲(ノクターン)』光文社 から 近藤史恵『シャルロットと猛犬』
December 22, 2021
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鮎川哲也・編のアンソロジー『犬のミステリー』に収録された一編、樹下太郎『無能な奴』は疑心暗鬼のミステリー。 退社後、傘を忘れて取りに戻った弓田は、上司の山名課長と専務の会話を聞いてしまいました。「…怠け者だし、なにか教えるには歳をとりすぎているしね」「どこかよそへやったら…。志村君のところなんか」「よそでももてあますでしょうよ」「困ったもんだな」 その日、弓田は遅刻し、会議資料ができていないことを山名からとがめられていました。人事異動があり、弓田は新しくもうけられた企画部に回されました。上司は他と兼任の志村。弓田の心に殺意が芽生え…。 怪しいと思うととことん疑ってしまう弓田。上司たちに犬っころのように扱われたと感じる弓田、その気持ちは殺意にまで至ってしまいます。殺人計画を立てる頭を仕事に使いなさい、と言いたいところ。結末は皮肉です。 参照元:鮎川哲也・編『犬のミステリー』河出文庫 から 樹下太郎『無能な奴』
December 21, 2021
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脱サラ探偵、仁木と助手の美少女、安梨沙のシリーズの一編です。 二人は安梨沙の伯母、八重子を訪ねていました。八重子に主婦道を習うべく集まっていた近所の主婦たちは、仁木所長の話を聞きたいと望み、メンバーのひとりが出す謎を解いてもらうことになります。 謎解きより、仁木がつけた、本人には内緒のニックネームや、主婦たちの会の名前の方がずっと面白く感じました。 ミセス・ダイヤ←大きなダイヤの指輪をしているから。 ミセス・ハート←顔の輪郭がハート。 ミセス・スペード←やや険がある。 ミセス・ジョーカー←陽気で朗らかだが細かい配慮には欠ける。という具合です。 「珊瑚の会」「苺の会」「虹の会」「おやつママ」このネーミングが何だかわかったら、仁木より探偵力があるかも…。 参照元:日本推理作家協会・編『名探偵を追いかけろ』光文社文庫 から 加納朋子『虹の家のアリス』
December 19, 2021
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12月の第3土曜日(今年は18日)は、暮れに向けてカーテンや布団カバーなどの大きな物を洗濯する日だそうです。大掃除や暮れの準備がこのころ始められるからです。 我が家は基本的に暮れの大掃除はしません。カーテンなど大物も夏に洗ってしまします。 職業柄夏休みがある夏の方が時間のゆとりがあったのと、夏の方が乾きやすいので、夏の大掃除・大洗濯習慣になりました。 天井が高いタイプのマンションが流行った時期に購入した我が家は、バルコニーに出られる窓高が高く日当たりは抜群です。その分カーテンは特注、外すのも付けるのも大変で、息子の出番です。 和室からベランダに出る窓も高くて障子でした。初めは暮れに障子張りをしていましたが、破れないので張り替えなくて済むプレスチック製のものにしてしましました。 両親が健在だった頃は、年末に一家で実家の大掃除をしたものです。窓ふきの高い所は息子がやってくれました。今となっては暮れのいい思い出です。 何でもないことですが、子どもの頃、大掃除行事は次に来るお正月が思われて、結構好きでした。今は面倒!ですが。 大がかりな掃除はしませんが、少しずつ、浴室をきれいにしたり、壁のほこり取り、床の拭き掃除などしていこうと思います。
December 18, 2021
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そろそろ遠出がしたいなと思っていたのですが、あいにくの雨。東横線の直通運転が中止になってしまったので、あきらめました。 雨がやんだ後の二か領用水沿いに石蕗が咲いていました。葉がつやつやなので「石蕗(つわぶき)」という名前になったとも言われます。 石蕗の花言葉は「困難に負けない」だそうです。二カッパ君はサンタさんになっていました。二カッパ君の足元には、常に区の花、パンジーが咲いています。小豆色のようなこの花の色、好きです。
December 17, 2021
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赤川次郎作品が安心して読めるのは、一読して悪役に見える人物が思いがけず人情に篤かったり、関係が薄いと思われた人物が救いの手をさしのべてくれるから。 人生って、人間って捨てたもんじゃないな、と思わせてくれるからです。 この一編も例外ではなく、初めははらはらさせられますが、最後はさりげないやさしさに満ちた作品です。「ニャー」ホームズは尻尾をピンと立て、すました顔で自分の席へと戻って行った。 おなじみの石津、片山刑事、晴美と一緒に新幹線に乗ったホームズは、暴力団部下に絡まれる夫婦を助けました。護衛されていた組の幹部は、部下をしかりつけて謝ります。 そのうち幹部は殺人容疑で逮捕されそうになり逃走劇に。 最後は、落ちつくべきところに話が落ちつきます。ホームズは全てお見通しという顔。 引用および参照元:日本推理作家協会・編『名探偵を追いかけろ』光文社文庫 から 赤川次郎『三毛猫ホームズの遺失物』
December 17, 2021
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H大生の恵麻は、学生係から紹介されて、複合施設の忘れ物センターでアルバイトをすることになりました。 中年女性から靴べらをなくしたという連絡がありましたが、それらしき物は届きません。しかし、社員の凜は「みつかりましたよ」と答えます…。 「人の思い一つでものの価値は変わる」と、凜は言います。 なりたかった自分になれなかった恵麻は考えます。自分が価値があると思った場所は、自分のための場所ではなかったんだと。手元に残った大切な物を見つめてみようと決心したとき、恵麻の視界は開けます。 参照元:日本推理作家協会・編『沈黙のラプソディ』光文社 から 乾ルカ『妻の忘れ物』
December 15, 2021
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実相浩二郎は、ひとり息子の死を契機に刑事をやめ、「思い出探偵社」を立ち上げました。 お世話になったのにどこの誰とも判らない人、時が経ってしまってどうしているか判らない人、でも会いたい、お礼を言いたい相手を、わずかな手がかりを頼りに探し当てるのが仕事でした。 『温かい文字を書く男』 連作短編の一編。 金銭的な価値はないが自分にとって大切なペンダントを落として、四日間探し回っていたとき、みつけてくれた男性をさがしてほしいという依頼を受けます。 実相は、男性が残したメモの達筆ではないが、運筆には独特の味がある筆跡から男性を捜し当てます。その過程で男性の人生も浮き彫りになり、単なる人捜しに終わらない話です。 短編一つ一つに、依頼者の人生があり、探し出される人の人生があり、その向こうに実相が知りたかった息子の死の事情も現れてきます。 こんなにうまく見つからないだろうと思う場面もありますが、全体に温かいトーンの物語です。 引用および参照元:鏑木蓮『思い出探偵』PHP文芸文庫
December 13, 2021
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二か領用水沿いに歩いて、中原平和公園を散策してきました。抜けるような青空が気持ちのいい日でした。 平和公園は、戦後米軍の出版センターになっていた土地が返還されたのを受けて、近隣の木月住吉公園と中原公園を合わせ、大きな公園に整備されました。 平和をテーマにした展示のある中原平和館。 平和館の前の「被爆アオギリ2世」は、昭和48年に広島平和公園に移植された親木の種から育てられました。 元木は、爆心地側の幹半分が熱線と爆風によりえぐりとられたにもかかわらず、焦土の中で芽を吹き返し、被爆者に生きる希望を与えた木だそうです。 屋外彫刻広場に並ぶ彫刻。 休日は親子連れでにぎわい、ジョギング、サイクリングをする人の姿も多く見られます。 彫刻広場の先には、イベント広場があり、野外ライブやフリマなどの催しがありました。(コロナ前)春は桜、夏は子どもが裸足で遊べるじゃぶじゃぶ池が人気です。 道路を挟んで向かいが関東労災病院です。最寄りは、東急線の元住吉駅。
December 11, 2021
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高橋克彦の「記憶」をテーマにしたシリーズの中の一編から。 私は六年前に亡くなった妻の秋子に対して屈折した思いを抱えていました。仕事が忙しいことにかまけて、秋子の淋しさを知りながら時間を割くこともしなかったのです。 秋子はもしかして自殺したのでは、と私は考えていました。 私はかつて一緒に住んだ盛岡へ出かけます。 お互いに伝えたいことを伝えきれずに離れてしまった夫婦。残された夫は後悔に苛まれます。 死期がわかっていて見送っても後悔は残るものなのに、突然の事故で逝ってしまった人への思いは行き場を失ってしまいます。 人は思い出だけで生きていくことはできません。ですが、愛し愛されたという思い出が生きる力になることも事実です。 聞こえるはずのない声、見られるはずのない光景が、愛の真実を伝えてくれます。それは、妻からの最後の贈り物。 幻想的な美しい一編です。 日本推理作家協会・編『M列車(ミステリー・トレイン)で行こう』カッパノベルズ から 高橋克彦『愛の記憶』
December 11, 2021
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葉山の富裕層向け療養型病院へ研修に来た医師の碓氷蒼馬(うすいそうま)は、頭に爆弾を抱えるユカリさんに出逢います。 ユカリさんの病気は膠芽腫(こうがしゅ)、最悪の脳腫瘍でした。 若くして近いうちに命を奪われる運命の彼女は窓を開け放って絵を描いていました。「潮騒を聞くとね、残された時間が波に浸食されていく気がするんだ。」 蒼馬とユカリさんは惹かれ合うのですが、研修期間が終わるとユカリさんは「私は幻なの」と告げます。 ラブストーリーのような話の運びですが、蒼馬の父が借金を残して愛人と駆け落ちした謎、消えたユカリさんの謎、遺言状など、ミステリーの結末もしっかりついています。 伏線の張り方も、回収もきちんとしていて気持ちいい作品です。 与えられた限りある時間、この奇跡のような時間 私たちは生まれた瞬間から、死に向かって歩み始めます。…生命科学者の柳沢桂子氏の言葉です。 誰にとっても、人生は限りある時間です。何かをすること、心通う誰かと過ごすことで、その時間はより濃密な意味あるものになるでしょう。 命を見つめ続けたドクターならではのきらりと光るミステリーです。 引用および崩れる脳を抱きしめて崩れる脳を抱きしめて』実業之日本社
December 9, 2021
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21歳の私は、人目もはばからず電車の中で泣いていました。デュークというムク毛の犬を亡くしたばかりだったのです。 見かねたように19歳くらいの少年が席を譲ってくれました。さりげなく見守ってくれた少年に、私はコーヒーをごちそうすることにしました。 ペットは飼っていませんが、家族を亡くしたことに置き換えてみるとしっくりきます。残された者は、ちょっとしたしぐさや、エピソードを思い出すたびに涙があふれます。 大人のメルヘン。ファンタジア。クリスマスソングが流れる夕暮れ、最後のシーンが胸を打ちます。 飼い始めたペットは、その命に責任を持って、天寿を全うさせてあげてほしいと思いました。 参照元:北村薫・宮部みゆき・編『読まずにいられぬ名短編』ちくま文庫 から 江國香織『デューク』
December 7, 2021
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法務省のHPに同和問題についての調査結果が載っています。 相談件数などから見ると、関東より関西の方がまだ差別が残っています。東京法務局内では、郷里の長野県の相談件数ほかが多いというデータでした。 大学時代、長野市立図書館を利用したとき「同和問題」についてのコーナーが特設されていました。 出身地を話すとき、ある女子は「あの部落に近いところではあるけれど、私の村落は部落の中ではない」と言いにくそうに説明していたことを考えると、1970~1980年代はまだ同和問題が厳然として存在したのだと思います。 現在でも件数は減少してはいても、結婚を筆頭に、就職などで同和地区への差別が行われています。 川崎市では、在日韓国人への差別があります。国籍、貧困、障がい、差別の根になるものは多く存在します。 『竹田の子守唄』は大好きな歌です。『赤い鳥』の山本(新居)潤子さんのメロディーに、後藤(平山)泰代さんのハイトーンが重なる2番を初めて聴いたときの感動は言葉にできません。 『赤い鳥』解散後、『ハイファイセット』を経てソロになった山本潤子さんの『竹田の子守唄』も染みます。 惚けても『竹田の子守唄』は忘れられないかもしれません。最期に歌いたい歌がこの曲。学ぶことも、遊ぶこともできなかった少女のかなしみを、最期まで忘れないでいこうと思います。 参照元:法務省HP
December 5, 2021
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かつて大ヒットしたものの、10年間にも亘ってテレビ・ラジオから消えてしまった曲があります。フォークソング・グループの『赤い鳥』の『竹田の子守唄』です。 『竹田の子守唄』原曲は、京都府伏見区竹田地方に伝わる守り子唄=子守として奉公に出された貧しい家庭の10歳くらいの少女の心境を歌った歌で、単に子どもを寝かしつける『江戸子守唄』(♪ねんねんころりよ~)などと異なる内容を持つ歌。 同和問題をテーマにした、住井すゑの『橋のない川』の舞台音楽を手がけることになった尾上和彦が、被差別部落であった竹田地方に赴いて聞かせてもらった歌をアレンジした歌が、広く知られる『竹田の子守唄』です。 アレンジ後の『竹田の子守唄』は、伝承歌と歌詞も曲も全く異なります。(YouTubeで原曲も確認できます) 赤い鳥も、被差別部落の曲であるという事実を知らず歌ってヒットしたのですが、後にこの事実から、テレビ・ラジオでは自粛されるようになったのです。 歌詞にあるような貧困が過去のものになりつつあり、被差別部落であったことも忘れられようとしているのに、「寝た子を起こす」ような歌を歌われるのは困るという竹田地区の在住者の意見もありました。 歌詞に出てくる「在所」が被差別部落を指す用語だとも言われましたが、「在所」は広く「郷里・田舎」の意味で使われる言葉であり、誤りだと思われます。京都府在住のかたも、在所=被差別部落という使い方を知らないと、YouTubeでコメントされています。 『竹田の子守唄』は、1990年代に入ってやっと自主規制が緩和され、多くの歌手によってカバーされるようになりました。 重い歴史を負った歌です。今、歌詞からは、貧困層の子どもが学校にも行けず遊ぶことも許されず、富裕層に使われるという別の「差別」が見えてきます。この曲は、そのかなしみをストレートに伝えてくれます。
December 4, 2021
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試験中の教室で、法界は天井に貼り付いたトランプのカードをみつけます。さらに帰りの電車でも天井にカードを発見。この社会的流行現象を起こした人をたどっていくうちに、ある殺人事件の謎に行き着いてしまいました。 紋章上絵師であり、アマチュア・マジシャンでもある泡坂氏の短編です。遊び心満載で、被害者が「谷」容疑者が「岡」「谷岡」「岡谷」の3人などという言葉遊びが散らされています。 大体ダイイングメッセージものは無理があると思っているので、遊びに振り切った話のほうが好きです。手品の種明かし、カードの意味も面白く読みました。 12月3日は奇術の日、今日にふさわしいミステリーです。 参照元:日本推理作家協会賞受賞作家傑作短編集6『探偵の誇り』双葉文庫 から 泡坂妻夫『天井のトランプ』
December 3, 2021
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亡き妻典子は、子どもの頃の事故のせいで左半身に麻痺がありました。 独り身になった私は身辺を整理し、典子の納骨を済ませると、ふたりが子ども時代を過ごした馬場町を訪れました。 あの日と同じような豪雨が降り、私はあの日の出来事を思い出します。胸に重いしこりを残したあの出来事を。 盛岡から遠く離れた都会で仕事をしていた私は、たまたま同窓会に出席して典子に会うことがなければ、そのまま一生会わなかったかもしれません。 典子が亡くなって再び盛岡を訪れなければ、屈折した記憶を修正することもなかったでしょう。 時間を越えた不思議な出来事によって、私は原点に帰ります。〈典子が必要だったんだ〉その思いがすべてのはじまりなのである。うらやましい愛、温かい話です。 参照元:高橋克彦『蒼い記憶』文藝春秋社から『水の記憶』
December 2, 2021
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12月に飲みたくなる紅茶の1つが、ルピシアのロゼ・ロワイヤルです。 そして、ダージリン。紅茶の中でもダージリンは特別です。 カシスの香りがする「ファルファローネ」。イメージはすてきな男性だとか。ルピシアのマルシェ限定の紅茶でした。 「フランボワーズ・ショコラ」。ラズベリーとチョコレートの甘い香りがします。シャトレーゼのクリスマス仕様のクランチチョコと。 「キャラメルラム」はミルクティーにして。甘さ控えめのガトー・オー・ショカラに合います。
December 1, 2021
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