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岡本太郎作「誇り」
東急田園都市線の二子新地駅からほど近くの、二子神社。
この境内に、岡本太郎が母かの子のために建てたモニュメントがあります。

「誇り」(多摩川の測から)
神社側から
築山と台座の部分は彫刻家、丹下健三の設計。
モニュメント部分が太郎の制作です。
ふもとには、かの子の業績をたたえる亀井庄一郎の文章を、
川端康成が直筆で刻んだ碑があります。
なんとも豪華な顔ぶれです。(*_*)
昭和37年の制作。
多摩川をこよなく愛した父、一平と母、かの子を懐かしんで
この地に建立したそうです。
これは川の生命を身にあらわし、たくましく生きぬいた人間のアカシ
として作った。かの子の文学碑であると同時に私の気持ちでは、
純粋に戦い、生きた、破れながらもついに貫く人間像を象徴した
つもりである。
かの子はたった一人ではないからである。
引用元:岡本太郎『一平・かの子 心に生きる凄い父母』
「女の原点」の項から チクマ秀版社
かの子だけのモニュメントではなかったんですね。
自分にも「破れながらも貫く」ものがあるだろうか、と少し
考えてしまいました。

モニュメントと共に歌碑もあるのですが、なんと残念 (?_?)
緑に隠れて歌が見えないんです。
刻まれている歌は、
年々(としどし)にわが悲しみは深くして いよよ華やぐ命なりけり
小説『老妓抄』の結びの歌です。
『老妓抄』は、老妓の園子が若い電気技術者を自邸に住まわせ、援助する話。
淡々と話が進むうち、クライマックスで老妓の思いが出てくるのですが…。
「悲しみ」は男女間の悲しみ。その思いは深くなるにつれて、
生きるバネになっていく。
もちろん老妓は、かの子そのものではありませんが、りんとした生き方、
そこに内包された純粋さは、かの子のものかもしれません。

二子神社から溝の口へ続く、大山街道です。
木のあたりが、かの子の実家でしょうか。
本名、大貫カノは大和屋大貫家の生まれ。名家です。
一平は二子の渡しを渡って東京からかの子に会いに来たのですが、
川を泳いできたこともあったそうです。
一平は『かの子の記』で、「年々に わが悲しみは深くして…」
の歌を想いつつ、眠りに入ったかの子が目覚めるのを待っている、
と記します。
普通に言うところの、よき母、よき妻ではなかったかもしれませんが、
一平にも太郎にも、それ以上の存在であったんですね。
「誇り」
参照元:『神奈川の文学碑をあるく』石川一成ほか著 有斐閣新書
『かの子の記』岡本一平 チクマ秀版社
『一平・かの子 心に生きる凄い父母』岡本太郎 チクマ秀版社
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