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指数関数や三角関数は複雑で、そのままの形でだいたいの値を計算するのも大変です。そこで、計算しやすいxのn乗の多項式に置き換えられないか、と考えられたのが、テイラー展開(0の周りで展開する特殊な場合がマクローリン展開)です。 そんなことができるのかい、と思ってしまいますが、xの一次式で近似、二次の項を加え、三次の項を加え…と項を増やしていくことで、元の関数に近づけることができます。 どんな関数でもテイラー展開できるわけではなく、条件もあります。条件にあてはまる関数なら、公式にあてはめて展開できます。 関数f(x)をある点aで微分して、傾きを求めることをしました。こうして得られた接線はもとの関数を近似します。 点aにおいては、f'(x)の値はf(x)に一致します。が、点aから離れるにつれて、f'(x)の値はf(x)と異なっていきます。もっとf'(x)の値に近づこうと思ったら、直線から、2次関数の曲線、3次関数の曲線へ…にしていく必要があります。 f(x)とf'(x)の誤差が剰余項といわれる部分になります。二次、三次と近似する関数の次数が上がると、誤差は小さくなっていきます。先に公式をあげてしまいましたが、基本は、微分と0の代入を繰り返して多項式の係数を求めることです。テイラーの定理によって、剰余項は定数cを使って表されることがわかります。どんなに微分していっても、より小さいcが存在します。 ラグランジュが、テイラーが曖昧にしていた剰余項を、cを使って表せるようにしたので、この形をラグランジュの剰余項と言います。 剰余項は、積分の形で表すなど表し方はほかにもあります。 平均値の定理を再掲します。
June 12, 2024
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積分には定積分と不定積分があります。関数の中のある区間だけを取り出し、その間のf(x)を積み重ねた値が定積分です。不定積分は、微分したらf(x)になる関数です。 定数を微分すると全て0になってしまうので、微分したらf(x)になる関数は定数項が1つに定まりません。その部分を積分定数Cと表しています。 不定積分、定積分にはこのような性質があります。これらの性質を利用して、より簡単に積分をすることが可能になります。 微分が接線の傾きを表すのに対し、積分は面積を表すのでした。 参照元:吉田武『オイラーの贈り物』東海教育研究所
June 5, 2024
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指数が自然数であるべき乗の微分公式は、二項定理によって証明されます。 指数が0やマイナスの整数になると二項定理は使えません。nが0の場合はx⁰=1なので(0乗すると全ての数は1になる)その微分は定数の微分なので0です。べき乗の微分公式に0を代入しても成り立ちます。 n(負の整数)を-m(mは自然数)と置き換えて、商の微分公式を使うことで、負の整数が指数になっても、べき乗の微分公式が使えることがわかります。 指数が有理数であってもべき乗の公式が使えます。難しいのですが、有理数は分数で表せること、合成関数の定理を使って証明できます。 実は、実数全体について、べき乗の公式が使えるのですが、頭がついていけないので、もっと勉強してから考えることにします。
May 9, 2024
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三角関数の微分に必要な極限について見ていきます。sinx、cosxの値は最大が1、最小が-1で、その間の値を行ったり来たり(振動)するので、xを無限大に大きく、あるいは-無限大に小さくしたときの極限は存在しません。xを0に近づけていったときのsinxの極限は0、cosxの極限は1です。xを0に近づけていったときのsinx/xの極限は大事で、sinの極限公式と呼ばれます。 単位円上で、x軸から+方向にxラジアンの角度をとります。半径を等辺とする二等辺三角形と、扇形と、半径を延長してできる直角三角形の面積を比較します。面積の大きさは明らかに違うので、不等式が成立します。xを0に近づけたときの極限にも不等式が成立します。三者の両脇が同値なので、中央の値も同値になるという「はさみうちの原理」から、極限が1になることがわかりました。 xを0に近づけていったときのx/sinxの極限も、1の逆数なので1になります。sinの極限公式から、cosの極限公式とtanの極限公式も導かれます。 極限公式と加法定理、商の微分公式を使って、sinx、cosx、tanxの微分ができます。sinxとcosxは、無限階の微分ができますが、くるくる回り続けて、4階微分で元に戻ります。巡り巡る四季のようです。 グラフを描いてみるとわかりますが、1回の微分で、x軸方向にπ/2だけ位相(周期的な動きの状態)がずれていきます。sinxもcosxも2πが1サイクルなので、π/2を4回繰り返すとちょうど2πになり、元に戻るわけです。 tanxの2階微分、3階微分…については周期性はなく、どんどん複雑になっていきます。 参照元:「Head Boost」 アニメーションを使った解説がわかりやすいです。 「高校数学の美しい物語」「おいしい数学」「Try IT」
May 7, 2024
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f'(x)とf'(a)の意味をもう一度確認します。 f'(a)はある点での微分係数=接線の傾きの値を、f'(x)は、接線の傾きの変化=関数を指します。 関数グラフ上のある点での接線の方程式、外の点からの接線方程式はそれぞれ接線公式を使って求めることができます。 そして、指数と対数の微分。 微分しても変わらない指数関数を求めてeが発見されたので、自明のことですが、eのx乗はeです。このeの定義を使って、指数・対数関数の微分が可能になります。
April 28, 2024
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導関数の定義には、⊿xを使って書く方法もありますが、hを使う書き方をとりました。 定義に従って計算すると、定数関数は微分すると0になります。グラフを書くとx軸に平行で、ずっと傾きは0ですから納得です。 冪(べき)数の微分公式は重要です。冪の部分が自然数のとき、x¹、x²、x³…をまず考えます。xの多項式の微分はこの公式を使って解けます。 まだ修行中で理解不十分なので、後日改めて、冪が整数、有理数の場合も考えたいと思います。ちなみに冪が実数の範囲で、冪の微分公式は成り立ちます。和と差の公式、商の公式、合成関数の公式は、そのままでは微分が難しい関数を、分けることで簡単に微分するツールになります。 参照元:吉田武『オイラーの贈り物』東海教育研究所 いろいろなYouTubeを拝見し、参考にさせていただきました。
April 26, 2024
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やっと微分まで行き着きました。微分は「変化の割合」「傾き」を求めることです。 日常生活で「微分して○○がわかる」という場面に遭遇することはまずないのですが、熱いお茶を室温に置いていつ飲み頃になるかというのは、微分方程式で答えが出ます。ピッチングマシンンから発射される球の軌道も計算できます。 自分で微分していなくても、知らず知らずのうちに微分の恩恵を受けていることがありそうです。 株価の動向などでも微分を使って予想を立てるようなので、微分は未来を知る方法とも言えそうです。傾き ある区間で連続し、微分できる関数には、区間内で必ず微分係数が0になる点が存在します。 区間abで、f(a)=f(b)の場合を考えます。 もし、関数f(x)が定数関数なら(xがいくつでもyは一定)どの点を取っても微分係数は0です。グラフを見ればわかるとおり、傾き=微分係数が0です。 定数関数ではない場合は、f(a)とf(b)の間に、最大値または最小値が存在するはずです。その点の微分係数は0になります。これが「ロルの定理」です。 ロルの定理から、f(a)≠f(b)の場合の「平均値の定理」が言えます。abを結ぶ割線と同じ傾きをもつ点が、ab間に必ず存在するという定理です。その点の左右で傾きは変わります。 この定理は、導関数の傾きから、元の関数の増減を知ることができることを示してくれます。 導関数f´(x)が+の範囲にあるとき、元の関数f(x)は増加し、導関数f´(x)が-の範囲にあるとき、元の関数f(x)は減少します。 増減表を使って、関数の形を知り、グラフが書けるようになります。
April 25, 2024
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数Ⅱで微分を習う前置きで出てくるのが「極限」の考え方です。数列でも極限を考えますが、ここでは関数の極限を考えます。 高校数学の範囲では、「限りなく近づける」という曖昧な表現が使われますが、より正確に「極限」を定義するためには「イプシロン・デルタ論法」の考え方を使います。ここまで行くと大学数学の範囲で、おばばの文系頭では、証明までは理解できないので、考え方だけあげておきます。 「無限に小さくする」のではなく「有限な値で、条件に合う小さい数がどんどん存在していく」ということを言っています。 関数が微分できるためには、「連続」である必要があります。 関数 f(a)が、ある点aで連続とはどういうことでしょうか。3つも条件があるのです。 aより大きい数からaに近づいても、小さい数からaに近づいても、同じ目標値が存在することが1つ目です。目指す値(極限値)があっても、f(a)ジャストの値だけ関数 f(x)から外れているという、意地悪?な関数もあるので、2つ目の条件は、f(a)が存在すること。そして、この2つの値が一致することが3番目の条件です。 区間内の任意の点でf(x)が連続していれば、その区間で関数f(x)は連続していると言います。連続している関数が全て微分できるわけではありませんが、微分できる関数は全て連続しています。 関数の「連続」が微分できるための第一歩でした。微分に行き着くまでに、文系頭は混乱の極限に至りそうです。 参照元:吉田武『オイラーの贈り物』東海教育研究所
April 24, 2024
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3次関数のグラフはちょっと複雑になります。y=x³のグラフは単調に増加(y=xと同様ですが、曲線です)y=-x³のグラフは単調に減少(これもy=-xと同じ)します。ということは、グラフは必ずx軸と交点を持つので、3次関数は実数根を1個は持つことがわかります。 導関数の値域(yの値の範囲)が正なら微分前の関数は増加、負なら微分前の関数は減少するので、導関数の2次関数から、3次関数のグラフの形がわかります。単調増加・減少ではない3次関数です。極大点・極小点を1つずつ持つグラフになります。導関数から単調増加・減少でないとわかれば、増減表の出番です。 x軸との交点は3(実数根3個)か2(1点は接点。実数根2個のうち接点の1個が重根)か1(実根1個と複素数根2個)のどれかです。 極大点と極小点は1個ずつあるので、そこで増加と減少が入れ替わります。結局グラフは、x³の係数が+なら、増→(極値)→減→(極値)→増になり、x³の係数が-なら、減→(極値)→増→(極値)→減になります。いずれの場合でも、必ずx軸と交差することから、実数根が1個以上はあることがわかります。 参照元:吉田武『新装版・オイラーの贈り物』東海教育研究所
March 20, 2024
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二次関数のグラフは、x²の係数の正負によって凸の向きが決まります。グラフのどの部分をとってもその向きは変わることがありません。 そのことをきちんと考えると割線を引いて次のように考えることになります。 中学校ではグラフを描いて、こうなんだと覚えていたことでした。どうしてそうなるのか丁寧に考えていくと結構難しいのですが、より納得できます。 二次関数のグラフは凸の向きが変わらないので、変曲点(グラフの凸の向きが切り替わる点)が存在しませんが、三次関数になると変曲点が登場します。 三次関数のグラフも面白いので、次回見ていきます。 参照元:吉田武『新装版・オイラーの贈り物』東海教育研究所
March 19, 2024
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ある数が決まったときに対応する数も一つに決まる関係を「関数」と言います。ある数の2乗は1つしか考えられないので、y=x²は関数です。が、2乗してxになる数は+√2と-√2の2つが当てはまるのでy²=x(x=y²)は関数になりません。 中学校では放物線(カップとその逆さバージョン)の二次関数のグラフが登場します。 二次関数のグラフは下向きに凸か上向きに凸の曲線を描きますが、上下を決めるのはx²の係数の正負です。x²の係数が+なら下に凸、係数が-なら上に凸です。 二次関数は、定義域全域では、最小値か最大値のどちらかしかありません。x²の係数が+なら最小値、係数が-なら最大値を持ちます。 y=ax²のグラフは、係数aの絶対値が大きいほどy軸に近づき(傾きが急になり細身の?グラフになり)絶対値が小さいほどx軸に近づき(傾きが緩やかになりふくよかな?グラフになり)ます。 xの項が入ってくると、グラフはx軸の方向に平行移動し、定数項が入ってくると、グラフはy軸の方向に平行移動します。 参照元:吉田武『新装版・オイラーの贈り物』東海教育研究所
March 18, 2024
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ωと相反方程式の解き方を見ていきます。 1のn乗根、つまりn乗したら1になる数を求めます。当然n=1が根になることを利用して、n=5までは求められます。がんばって計算していくとn=17も出てくるそうです。 代数学的にではなく、複素数の極形式を使って求める方法も使われます。 1の1乗根は当然1、2乗根は-1と1です。4乗根は-1と1、iと-iで、これもわかりやすいです。 1の3乗根の中でも、複素数の2数は面白い性質を持っています。2乗すると相手の数になります。 1以外の1の3乗根をω、ωの2乗とします。この2つの数はaの3乗根を求めるときに使います。 ある数の三乗根は、みつけた1つの根×1、×ω、×ωの2乗の3つになることがわかりました。カルダノの公式もこの性質を使っています。 ここで、相反方程式が登場しました。特別に、相反方程式の形をした方程式は解けます。x+1/x=tと置くことで次数を下げられるからです。2次方程式にできれば解の公式を使って答が出せます。あとはtをもとにもどすだけ。 3次方程式になると、根を求めるためにはど根性が必要ですね。根じゃなかった音を上げそうです。 参照元:吉田武『新装版・オイラーの贈り物』東海教育研究所 YouTubeの Masaki Koga[数学解説]チャンネルが大変参考になりました。
February 27, 2024
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複素数の範囲で、n次方程式はn個の根を持つことがわかっています。かといって、方程式の解き方がわかっているわけではありません。根はあるけど、みつかるかどうかは知らないよ、と言われているようです。 実は、3次方程式と4次方程式の解の公式は発見されていますが、5次以上の方程式には、代数学的な解の公式がないことが知られています。中にはうまく解ける方程式もありますが。 2次方程式の解の公式は暗記できる範囲でしたが、3次方程式の解の公式は、きちんと書くと、ノートの1ページを埋めてしまいそうです。当然かぼちゃ頭には覚えられません。 4次方程式になると頭から煙が出そうなので考えないことにします。 3次方程式の根を求めるときに登場する、1の三乗根であるω(オメガ)、相反方程式の解き方については次回学習します。 参照元:吉田武『新装版・オイラーの贈り物』東海教育研究所 YouTubeの[予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」]チャンネルが大変参考になりました。
February 25, 2024
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オイラーの公式は恒等式です。θ(xと書かれることもあります)がどんな値をとっても成り立つ式です。 同じ等式でも、ある特定の値を代入したときだけ両辺が等しくなる式は、方程式です。方程式の中でも中学校から習った、一次方程式、二次方程式は代数方程式と呼ばれます。未知の数の寞(累乗)の多項式で表された方程式で、未知数の最高の次数によって、一次、二次、三次、…n次方程式になります。 二次方程式の根の公式、根と係数の関係を復習します。 一次方程式は実数の範囲で必ず解けます。ですが、二次方程式は実数の範囲では解けない(解なし)ものがたくさんあります。教科書や問題集には、うまくお膳立てされた、解ける方程式しか出てこなかったのですね。 高校数学になると、複素数が登場し、複素数の範囲で全ての二次方程式が根を持つことになります。解の公式のルート内、判別式と言われる数の正負から、この方程式の根の様子がわかります。実数根×2、実数根×1(重根)、複素数根×2(互いに共役な)のいずれかになります。 共役な複素数というのは、実部が等しく、虚部の符号が異なる複素数のことです。 参照元:吉田武『新装版・オイラーの贈り物』東海教育研究所
February 23, 2024
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無限級数の「和」が考えられるのは、級数が収束するとき(ある一つの値にどんどん近づいていくとき)でした。無限級数が収束するかどうかは、どうわかるのでしょう。 等比級数の場合は特別に、公比が-1<r<1のときだけ収束することがわかっています。1+1/2+1/4+1/8+1/16+…という等比数列は、公比が1/2なので収束します。前に見てきたように2が極限値になります。どんなに小さな数でも無限に足していけば、無限に大きくなりそうな気もしますが、どうがんばっても2よりは大きくなりません。 一般に、無限級数の部分和が収束して極限値を持つとき、無限級数も収束して、部分和の極限値を級数の和であると定義します。 数列の第n項のnが大きくなるにつれて、各項が0に収束しないと、無限級数は収束しません。各項が0に近づいていかなかったら、項の和はどんどん増えていってしまいますから、一定の値には近づかないことになります。 数列の各項が0に近づいても、無限級数は必ずしも収束しません。1+1/2+1/3+1/4+1/5+…という無限級数は発散してしまいます。項が進むにつれ、伸びはものすごく緩慢になりますが、確実に大きくはなっていくんですね。1+1/2+1/4+1/8+…の等比数列は伸びが緩慢になって、頭打ちになります。2より上には出られません。かと思うと、1-1/2+1/3-1/4+1/5+…と、符号が変わった数列は収束します。+と-方向に振れながら中央の極限値を目指して進むイメージです。 ややこしいですが、面白い。 そして、収束する無限級数のひとつが、(1+1/n)のn乗。ネイピア数eに結びつく無限級数の登場です。複利計算から生まれたこの級数は、収束します。 利息計算の期間をどんどん短くしていくと、(1年複利→半年複利→1ヶ月複利→1日複利→…)確かに元金+利息は増えていきますが、無限に増え続けることはありません。増え方が緩慢になって頭打ちになります。 オイラーが捜していた、微分しても変わらない指数関数の底と、(1+1/n)のn乗が結びついた先に、オイラーの等式があります。 参照元:吉田武『新装版 オイラーの贈り物』東海教育研究所
February 10, 2024
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吉田武氏の『新装版・オイラーの贈り物』をテキストに、少しずつ数学をかじっていきます。 パスカルの三角形は上の手順で作られる自然数のピラミッドです。左右対称で、横の並びは二項係数に等しくなります。 n段目の横の並びは、nから0個を取り出す組み合わせの数(つまり1通り)、nから1個を取り出す組み合わせ(n通り)、nから2個を取り出す組み合わせ(n×(n-1)通り)……となります。 次の段の数を導き出す仕組みです。 パスカルの三角形のそれぞれの段の和を計算すると、2の累乗になっています。2の0乗は1です。(どんな数も0乗すると1と定義されます)n+1段目の和は、n段目の和の2倍になっていることが確かめられました。 従って、パスカルの三角形の各段の和の数列は、初項1公比2の等比数列になります。 今度は段ごとの和の数列の和を求めます。等比数列の和には公式があって、初項と公比から求められます。 第n段までの和という有限の数列の和は求められますが、無限に足していったときはどうなるのでしょう。 無限級数の和は、+方向に無限に大きく、または-方向に無限に小さくなっていってしまう場合や、揺れ動いて一定の値に近づかない場合は「和」を考えません。無限に足していった先がある一定の値に限りなく近づいて行く場合だけ「無限級数の和」というものを考え、その一定の値を「和」と呼びます。 有限級数の和と無限級数の和は、全く違います。大体人間には「無限に足す」ことができないので、有限の数を足したときと同じような和が出せるわけがありませんね。 「和」という呼び方に混乱してしまいますが、無限級数の「和」は「収束先」の意味合いです。 パスカルの三角形の各段を数列とした無限級数は、見た目からもわかるとおり、+方向に無限大に発散してしまいます。なので、和はありません。 等比数列については、-1<r<1、rは公比のときだけ、無限級数が収束し、和が出せます。パスカルの三角形はrが2ですから、収束しません。 参照元:吉田武『新装版 オイラーの贈り物』東海教育研究所
February 4, 2024
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鷗外の『雁』で、雁を外套に隠して持ち帰る場面があります。交番の前を通るとき、さりげなさを粧って、石原が「円錐の体積の求め方」を知っているかと連れのふたりに話を振ります。 考えてみれば、円錐の体積を求める公式は知っていますが、1/3の意味が今ひとつわかりません。角柱、角錐、円錐の体積について見てみました。 YouTubeの「環耀」さんのチャンネルがわかりやすかったので、参考にさせていただきました。 三角形の面積を求めるとき、合同な三角形を2個組み合わせて四角形を作るか、または三角形を切り貼りして四角形に変形させて、面積を求めることをしました。全ての三角形ははさみで切り、位置を移動することで、長方形(正方形含む)に変形することができます。 同様に、三角柱は、切り取って移動という手段で直方体(立方体含む)に変形でき、そこから三角柱の体積が計算できます。 全ての角柱は三角柱に分割できるので、三角柱の体積がわかれば、角柱全般の体積がわかります。こうして、V=Sh(体積は底面積×高さ)という小学校で習う角柱の体積公式が証明されます。 次に角錐の体積を考えます。残念ながら、角錐の場合は中学校数学の範囲では公式の証明ができません。厳密には微積分の考えを使います。 小・中学生にもわかる範囲では、立方体を6等分して四角錐を作り、その特殊なケースの体積が底面積×高さの3分の1であることを示すことが多いのです。 次に「断面積の比が常に一定である立体の体積の比は、その断面積の比に一致する」という原理を用いて、ほかの角錐、円錐の体積も、底面積×高さ×1/3だというように導きます。 もっと簡単に「立体の体積は底面積と高さによって決まる」とすることもあります。 カヴァルエリの原理は積分以前に提唱されていました。現代では、微積分の裏付けがあって成立しています。 円錐の体積は、カヴァリエリの原理を認めてしまって、高さの等しい角錐との底面積の比から算出する方法と、積分を使って算出する方法があります。 高さが微小な円柱を、大きさを変えて底面から頂点まで積み上げたものが円錐だと考えます。π・(r/h)の2乗・xの2乗を積分するので、xの3乗に係数の1/3が出てきます。 YouTubeの、鈴木貫太郎さんの動画からわかりやすく教えていただきました。 ちなみに、円柱だとπ・rの2乗を0からhまで積分するだけでxの項がないため1/3の係数も現れません。 さらに、直角三角形を軸の周りに回転させた回転体が円錐であると見て、積分する方法もありますが、私の頭が回転しないのでパスさせていただきます。 同じ高さ、底面積の円柱と比べて、円錐なら大体3個分か~と目分量でしか理解してこなかった1/3の謎が解けました。
January 12, 2024
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「平均的な」と言うと、「ごく普通の」とか、ある集団の中で「例外でない」という意味になります。「平凡」と言い換えられる場合もあります。 数学の世界では、ただ「平均」というと、全ての値の和をデータ数で割った「相和平均」を指します。クラスの生徒の身長の平均、テストの平均点といったように学校在学時はおなじみの数値でした。「相和平均」は、一番「普通の」「例外でない」代表値になることが多いのですが、データの値によっては代表値といえないことがあります。「日本人の年収」は平均すれば、けっこう高いじゃないかという印象を受けます。ですが、これは少人数の億万長者が平均値を押し上げているので、平均値が代表的な数値であるとはいえません。 貧富の差がもっと大きい国では一層「こんなにみんなの収入が高いなんて嘘だろう」と思える数値になります。 たとえばこの平均値を元に、「これだけの収入があれば税金上げてもいいよね」と言われたら納得できませんね。平均値のマジックです。 「平均」その2は「相乗平均」です。 ある値が変化していく変化率の平均は、足し算ではなくかけ算で計算します。 たとえば前年度に対して今年度はどのくらい(○倍になった、○%伸びた)というデータは、かけ算(割り算)で算出します。そのデータを足し算の相加平均で出すのは誤りで、かけ算の相乗平均を使います。相加平均と相乗平均の間には、相加平均≥相乗平均の関係が成り立ちます。この関係を使うと、不等式を解く場合や証明が容易になります。「行きに時速○km、帰りに時速△kmで移動したときの平均の速度は?」と聞かれると、(○+△)÷2で計算したくなるのですが、誤りです。 時速○kmと△kmで同じ時間進んだ場合は相加平均でいいのですが、進んだ時間が違う場合は、時間差も計算に入れないといけません。 正答は、調和平均で簡単に計算できます。 調和平均は仕事算にも使います。同じ仕事を、Aさんは1時間、Bさんは2時間かかって仕上げます。ふたりで一緒にやったらどのくらいの時間で終わる?という計算です。もちろん、(1+2)÷2で1.5時間なわけないですね。 調和平均は、音楽の平均律と関係が深いそうです。
November 29, 2023
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人生で1番初めに必要になる割り算が「分け算」、兄弟や友だちとおやつを同じ数ずつ分けることができないと困る!これが割り算の原点だったと思います。 次に行き着く問題が、たとえば薬を買うときに「この1箱で何日分になるか?足りるかな?」「夏休みの宿題ドリルが計90Pあるんだけれど1日何Pやれば終わるかな?」(もっとも、この計算はやっても無駄なことが多い。その通りに実行しないから。) つまり、同じ数ずつ分割すると「いくつ分?」何回分?や、どのくらいずつ?を考える計算の割り算です。 3番目は比べる計算。これは「比」の形のほうがわかりやすいかもしれません。「割り算」の答は「分数(整数も含む)」になり、「比(の値)」になります。 歴史的に、分数が考え出された経緯は、整数だけだと割り算ができなかったから。 0と負の整数があれば、加法・減法・乗法までは問題ないのに、除法は割りきれなくて答が出なくなってしまいました。そこで登場したのが分数。割り算の答えをb/aとそのまま書いた数です。 これで、有理数内の四則演算が可能になりました。 小学校では、分子が分母より大きい分数として、仮分数と帯分数を習います。帯分数は、5と2/3のように整数と分数の部分を分けて表します。5より大きく6より小さい数だとすぐわかるのは便利ですが、中学校以降使うことはありません。 表し方は違いますが、比も割り算、分数とつながっています。
November 11, 2023
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関数eのx乗のマクローリン展開を考えます。 まず、x=0のあたりで近い1次式を探します。eの0乗は1なので(0乗は全て1と定義されています)1次関数y=ax+bも、微分したy′=aも(0,1)の点を通るように考えると、a=1からb=1でy=x+1がみつかります。 直線だと元のeのn乗からすぐ離れてしまうので、次は2次式をさがしてみます。これも同様に考えて係数を見つけられます。 こうして3次式、4次式、5次式…といくほど、eのx乗と重なる部分が、x=0からどんどん広がっていきます。項数が増えるほどeのx乗全体に近づいていきます。 無限に式をつなげることはできませんが、無限に続ければ一致すると考えられます。 指数の関数、それもeという無理数の関数が、整数だけの多項式で表されることが不思議に思えます。 複素関数になっても、指数関数は同じようにマクローリン展開が可能であることが知られています。微分できない(従ってマクローリン展開もできない)関数ももちろんあります。たとえば、ある複素数を共役の複素数(x軸に対して対称な複素数)に変えるような関数があります。2方向から近づけるときの極限が一致しないので微分はできません。 オイラーは、微分できる複素関数、sinx、cosx、eのix乗のマクローリン展開を使って、かの有名な公式を示しました。 まず、マクローリン展開に目をつけ、複素数に応用し、全く関係ないと思われていた指数関数と三角関数を結びつけてしまうのが凡人では思いもつかないことです。 オイラーに先立って、ロジャー・コーツという人が対数の形で公式を提示していたのですが、対数関数は多価関数(1つに決まらない)なので、正確な形で公式を証明したのはオイラーになります。 魔法のようなマクローリン展開によって、オイラーの公式の左辺と右辺が等しいことがわかりました。
October 2, 2023
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命が尽きるまでに、私がどうしても知りたいのがオイラーの等式です。等式は、オイラーの公式(上記)のθ=πの時なので、ない頭を振り絞って公式の証明に出てくるマクローリン展開を学んでいきます。 マクローリン展開からオイラーの定理に至る途を探します。まずは微分、テイラーの定理から。n回微分できるある関数をn回微分すると、n-1次式と誤差が生じます。簡単に考えると、関数2x+5も2x+10000も微分すれば2になってしまうので、微分から出た誤差(剰余項ともいいます)です。 nをどんどん大きくして∞にまで近づけていくとき、誤差が0に近づく(収束する)なら、誤差を0とみなして関数を多項式の形に表すことができます。ある関数のx=aの微分から多項式を得るのが、x=aにおけるテイラー展開になります。この中でも特にx=0の展開はマクローリン展開と呼ばれます。 実数関数では、x=aで微分が可能というのは、x軸の+方向からaに近づいても、-方向からaに近づいても同じ微分係数が得られるということです。 複素関数では、四方八方、ぐるぐる回転してきても、あらゆる近づき方の微分係数が一致しないと微分できません。複素関数のほうが微分のハードルがぐんと高いということになります。 実数の関数ではxを入力してある実数の値が1つ出てきます。数直線上の2次元的な動きに思えます。複素関数はa+biという二つの要素を入力してそれがc+diというやはり2つの要素で出てくるので、4次元的な動きであり、3次元の図式化が限界である私たちには目で見ることもできず、難しい動きだと思えます。 私の頭には難しすぎて証明は示せませんが、複素数まで広がっても、指数関数・三角関数・多項式で表せる関数は微分できることが証明されています。しかも、複素数の世界では、1回微分できると言うことは無限に微分できることであり、テイラー展開も可能です。 実関数では、1回微分できても2回目の微分ができるとは限りませんし、無限に微分できてもテイラー展開できない関数もあります。複素関数は1回微分のハードルが高い代わりに、1回微分できれば一気にテイラー展開まで行けてしまいます。 なぜ、こんなテイラー展開、マクローリン展開が考えられたかというと、関数の中には数値を出しにくいものがあるからです。 たとえば関数sinx。x=1/2πならf(x)=1(90°のときのsinなので)とすぐ出ます。xが30°、45°、60°などすぐわかるものもありますが、x=10だったら??もちろん近似値を出すのですが難しいです。 そこで、三角関数などが多項式で表せれば、計算がぐんと楽になります。無限に計算し続けるわけにはいかないので、何項かで切って近似値を出すことができます。この近似値が、日常で必要になることが多いのです。
October 1, 2023
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三角形の内心は角の二等分線の交点、外心は辺の垂直二等分線の交点です。内心は角、外心は辺から決まるんですね。 内心は必ず三角形の内側にきますが、外心は違います。直角三角形の場合は斜辺を二等分する点に重なり、鈍角三角形では斜辺側の外部にきます。 三角形の5心のうち4心がそろいました。5つめは「傍心」ですが、省略します。 今まで見てきた重心・垂心・内心・外心のうち二つが重なる三角形は正三角形で、他の二つも重なります。正三角形は4心が重なるわけです。 正三角形以外の三角形は、外心・重心・垂心が一直線上に並ぶことが知られています。この線を発見者のオイラーに因んで「オイラー線」と言います。もちろん「オイラーの公式」のレオンハルト・オイラーです。
September 22, 2023
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三角形には「5心」というものがあります。重心・内心・外心・垂心・傍心がそれです。 日常「重心」というと、重さのバランスがとれる点位の意味ですが、三角形の「重心」はこんな定義です。 垂心のおもしろいところは、円に内接する四角形ができること。三角形は必ず円に内接しますが、四角形は条件を満たさないと四角形に内接しません。 重心はどんな三角形でも内部にありますが、鈍角三角形の垂心は三角形外部にあります。直角三角形の垂心は斜辺以外の2辺の交点です。
September 20, 2023
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三角形の合同条件とか相似の比だとか、昔暗記した記憶があります。 合同条件の「3辺がそれぞれ等しい」はまず納得です。作図してみれば三角形が1つに決まるのはわかります。 「2辺とその間の角がそれぞれ等しい」はどうでしょう。「その間の角」ではない角が等しいだけでは合同にならないのか、今更ですが疑問でした。三角形の形状によっては2種類の三角形ができることがわかりました。 直角三角形では、斜辺が等しければ直角以外のもう1角が決まれば、三角形の形は1つに決まります。 「2角とその間の辺がそれぞれ等しい」こそ変だな、と思いました。2角が決まれば内角の和が180°なんですから、あとの1角も決まってしまいます。結局3角が等しいので、等しい辺はどの辺でもいいのでは?? これも「2角とその間にない1辺がそれぞれ等しい」も合同条件に入ることがわかりました。 相似では辺の比が条件に入ってきます。面積の比は、辺の2乗同士の比になります。底辺も高さも2倍になれば面積は4倍になるので納得できます。中点連結の定理と内角の2等分線の定理は多く応用されます。昔習ったかな、位の記憶しかありませんでした。 今更建設や設計、デザイン関係など、三角形の知識が必要な職業を目指すわけではありませんし、日常生活で知らなくても何の支障もないことですが、昔、疑問に思いながら通り過ぎてしまったことが納得できました。落とし物を回収できた気分です。
September 13, 2023
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三角形の面積と言えば「2分の1×底辺×高さ」が一般的な公式です。では、高さがわからないときはどうしたらいいでしょう?高さがわからないけれど、2辺と間の角がわかっていればsinを使って高さを表すことができます。 3辺がわかっているときは、余弦定理と、正弦・余弦の関係からsinが出せます。 内接円・外接円の半径から三角形の面積を出すことはほとんどなく、反対に内接円・外接円の半径を求めるのに、(4)と(5)の公式が多く使われます。ほかにもベクトルを使って面積を出す方法もあります。(難しいのでパスします) 多角形は、三角形に分けることで面積を出します。三角形を知ることは、幾何の基本、三角形を侮るべからず。 正三角形と直角三角形の場合は、直角を利用して三平方の定理を使うことで、高さがわからなくても面積は求められます。 正三角形を2分の1にした直角三角形と、正方形を2分の1にした2等辺直角三角形(三角定規の形)は、cos,sinの値がわかりやすいので、いろいろ応用されます。
September 7, 2023
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小学校から慣れ親しんだ三角形、日常でもいろんなところで見かけます。その、三角形が成り立つためには辺の長さに条件が付きます。 角の大きさによって「鋭角三角形」「直角三角形」「鈍角三角形」が決まります。最大角以外は鋭角。鋭角三角形と直角三角形は、最大角が90°以下なので、ほかの、より小さい2角も当然鋭角です。鈍角三角形は最大角が90°より大きいので、ほかの2角が90°より小さくないと、内角の和が180°を越えて三角形が成立しなくなります。あ、失敗 それぞれどの三角形になるかは、cosが-1から+1のどの値をとるかで表せます。cos>0のときは角度は90°より小さく(鋭角)、cos=0のとき直角、cos<0の時90°より大きく(鈍角)なります。 sinは角度が鋭角でも鈍角でも正の値になってしまうのでsinで区別することはできません。(角度が0~π=180°の範囲では正の値をとります) 余弦定理を用いて、cosC(Cを最大角とする)を辺の長さの関係に置き換えて条件を出しています。 直角三角形の場合はピタゴラスの定理そのものになります。
September 6, 2023
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「幾何学」は、図形や空間の性質について研究する数学の分野で、古代エジプトに始まります。土地測量の必要性から研究されてきたのです。「代数」「解析」「幾何」は数学の3大分野とも言われます。 小学校の算数「図形」から高等学校の数学まででおなじみの、古典的なユークリッド幾何学の大前提になる「公準」を見てみます。「ユークリッド幾何学」は、エウクレイデスの『原論』に基づく幾何学の体系です。 どれも当たり前のことですが、この前提が崩れると、定理が導けません。この中の公準5は込み入っていてもう少し単純な表現にならないのか、あるいは定理とする内容ではないかと、長年数学者たちに検討されてきました。その結果、公準5が成り立たない幾何学の体系が考え出されました。それらが非ユークリッド幾何学と呼ばれるものです。 ユークリッド幾何学の全てが古く、学ばなくてよくなったかというと全くそんなことはなく、高等学校の幾何学までは、幾何学といえばユークリッド幾何学です。 背理法による公準5の証明です。背理法は、初めに「○○ではない」と仮定し、最後にその仮定と反する結果になることから、初めに立てた仮定が誤りであって「○○である」ことが証明された、とする方法です。 ここでは、「平行線の同位角が等しくない(どちらかが大きい)」と仮定し、どちらが大きくても平行線ではなくなることを示します。これは「平行線の」の仮定と矛盾するので、「平行線の同位角が等しくない」と仮定したことが誤り、即ち「平行線の同位角は等しい」ことが証明されました。 プレイフェアの公理は、公準5の置き換えです。こちらの方がすっきりしていますね。ある点を通って、ある直線に平行な直線は1本しか引けないことが認められると、ある点を通ってある直線に平行な補助線が引けるようになります。補助線は証明に不可欠です。 「三角形の内角の和は180°である」という有名な定理も、平行線の同位角、錯角が等しいことから証明できます。平行線の錯覚が等しいことは、平行線の同位角と、一般に対頂角が等しいことから導かれます。 三角形にはいろいろな性質があります。次に見ていきたいと思います。
September 2, 2023
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小学校の算数で「約数」「倍数」が出てきます。分数の約分・通分に必要で覚えた記憶があります。そんなに重要なことだと思っていませんでしたが、数学の「約数」は奥が深いのです。 1から数えることから始まった自然数は10進法が当たり前のように使われますが、時間に関する数は12進法、60進法です。 初めて算数を習ったときは、100分が1時間だったらもっと簡単に計算できるのにと思いました。 でも、1年を月に分割する、1時間を分に分割することを考えたら、確かに約数が多い12、60のほうがきれいに分けられますね。「分ける」ことから始まった数なので12、60進法なのでした。 小川洋子氏の『博士の愛した数式』で、博士が「完全の意味を真に体現する貴重な数字だよ」と、家政婦である「私」に教えてくれた完全数は、とても稀な数字です。 整数のほとんどは不足数で、完全数は現在、51個しか発見されていません。最後に見つかった完全数は4900万桁(数自体ではなく、桁数がこの大きさです!)です。 あとで完全数につながってきますが、素数も見てみます。メルセンヌ数のうち、素数であるメルセンヌ素数は特別な性質をもっています。 途方もなく大きい数になった完全数は、メルセンヌ素数と完全数の関係から見つかっています。それにしても大変な作業です。 完全数には、「1から連続した自然数の和になる」=「三角数である」という性質もあります。また、6を除く完全数は「奇数の3乗和で表される」という性質も持っています。 まだまだ奥は深いのですが、私の頭でついていけるのはここまででした。 参照元:村上雅人『はじめての整数論』海鳴社
August 15, 2023
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アシモフの『6千4百京の組み合わせ』に出てくる「ゴールドバッハ予想」を調べてみました。「5より大きい任意の自然数は、3つの素数の和で表せる」と、ゴールドバッハは予想したのですが、証明しないうちに亡くなってしまいました。 ゴールドバッハの予想は、一般に「すべての2よりも大きい偶数は、2個の素数の和として表せる」という形で知られ、2つの予想は同値(同じ事を言っている)です。アシモフの短編にも出てくるように、補題の解決は進んでいますが、未だ証明はされていません。 前提となる偶数・奇数について見てみます。偶数・奇数は負の数も含みますが、ゴールドバッハの予想の範囲は自然数(正の整数)に限られます。 素数も、無限個あることは照明されていますが、分布は一様ではなく、桁数が大きい数は素数であるか、ないかを見分ける事が困難です。 というわけで、「ゴールドバッハ予想」はシンプルな予想なのに、世界中の数学者を悩ましめる問題になっています。
July 26, 2023
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確率の考え方はギャンブル必勝法から生まれました。確率に伴ってどれだけのもうけが期待できるかが「期待値」になります。 サイコロを振って出た目の数だけトリュフチョコがもらえるとします。サイコロを振って出る目の期待値は、1から6までの数の平均で、3.5です。 もちろん3.5なんて目はありませんし、1から6までのどの目が出るかは運次第ですが(いかさまサイコロは使いません)、多くの試行を繰り返して出る目の平均が3.5なので、3.5個のトリュフチョコがもらえると期待できます。 よく、ランダムで何種類かのおまけが封入されているお菓子があります。2種類のおまけだったら、3個お菓子を買えば両方手に入ると期待できるんですね。 おまけの種類が増えたり、中が見えないカードセットでレア度が異なる場合などは、何百買っても揃えられないことになります。はまると大変なことになりそうです。
May 21, 2023
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『スキップ』で、17歳から時をスキップしてしまった真理子が、元に戻れる確率は…、と話す場面があります。口にはしませんが、確率は限りなく0に近いと二人は認識していました。 文学上の「確率」と違って数学の「確率」には、推量(このくらいかな)や概数(大体こんなものかな)の概念が入りません。「降雨確率」も数学上の確率とは異なります。 前提として、同じように起こる可能性のあることのが並ぶ中で、あることがどれだけ起こり得るかというのが数学上の「確率」です。 中学校の数学から習う「確率」ですが、もともとはギャンブルの必勝法をみつけるために研究されました。 コインを投げて表が出るか、裏が出るかの確率は2分の1ずつです。何回か投げると続けて表が出たり、裏が出ることもありますが、十分な回数を重ねると次第に2分の1に近くなります。 2枚のコインを投げるとき、コインの組み合わせは(表と表)(表と裏)(裏と裏)の3種類になりますが、確率は3分の1づつではありません。2枚のコインを100円と10円にするとわかるように、(表と裏)には、100円が表の場合と10円が表の場合があるからです。 ここまでが確率の大前提です。 表が出るまでコインを投げ続けるとき、運が悪ければずっと裏が出て、永遠にトスし続けることになります。1回目で2分の1、2回目で4分の3、3回目で8分の7、4回目で16分の15の確率で表が出て終了になるはずなので、5,6回以上裏を出し続けるのは、かなりの凶運、いや強運かもしれません。 確率の応用問題ではeやπも登場してきます。ギャンブルをやる人はもちろん?やらない人も確率の基礎を知っておくとだまされないかもしれません。
May 20, 2023
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『最後の事件』によると、モリアーティ教授は21歳にして二項定理に関する論文を書き、大学教授の職を得て世間に認められたとあります。 実際は二項定理については、アイザック・ニュートンが任意の有理数寞(べき、同じ数を掛け合わせる、○乗)について成り立つ一般化された二項定理を示しており、これ以上の論文は現れ得ないといわれます。 モリアーティ教授の論文はフィクションですが、二項定理はノンフィクション。冪乗が有理数まで広がると文系おばばにはお手上げですが、正の整数の場合を考えてみます。 二項定理は、冪数が大きくなったときの(x+y)の冪乗式の展開に便利で、展開したときの係数も簡単に求められます。集合論とも関わってきますが、高校数学の範囲ではとりあえず、ここまでです。
May 5, 2023
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安部公房の『人間そっくり』に《トポロジー理論による人間悲劇の究明》なる言葉が出てきます。奇妙な男が主人公に向かって、トポロジー理論を展開します。 大学数学になるので、文系おばばには難しい理論になると??ですが、何も判らないのは悔しいので、「トポロジー」の入り口だけ訪ねてみました。 ちなみに、安部公房は医学部卒のばりばり理系人です。 私たちが、高等学校までに習う幾何学は、ユークリッド幾何学です。 現代数学は、古代エジプトや古代ローマの時代に研究された体系の上に発展してきたものです。 古代エジプトのギリシャ系数学者・天文学者のエウクレイデスは、それまでの数学を集大成し、厳密な証明を与えた『原論』を著しました。 この完成度の高い幾何学は、エウクレイデス(英語読みでユークリッド)に因んでユークリッド幾何学と名付けられました。 ユークリッド幾何学は、現実社会で直感的にとらえられる平面的、空間的な幾何学です。直線はどこまでも伸ばせるであろう、平面はどこまでも続くであろう、平行線はどこまで行っても平行線であろう、という現実に即した内容が前提です。 19世紀に至って、果たしてそうだろうかという疑問から非ユークリッド幾何学の考えが生まれました。非ユークリッド幾何学は、曲面やゆがんだ平面の図形を研究する幾何学です。 ユークリッド幾何学の平行線公準、そのバリエーション(同値の命題)になる「三角形の内角の和は180°である」などが成り立たないのが、非ユークリッド幾何学の世界です。 トポロジー(位相幾何学)は、図形の連続的なつながりだけを考える幾何学です。ユークリッド幾何学では、三角形と円は全く違う図形ですが、輪ゴムで形を作ったと考えれば、ぐにゃぐにゃ形を変えると「同じ」ということになります。星形も四角形も、十二角形も「同じ」位相です。 『人間そっくり』では、「野球のバットもボールも同じ形」と出てきますが、粘土でできたバットを丸める動作を想像してみれば理解できます。粘土で自由に形を変えていいのですが、ちぎって細かく分けたり、穴を開けたり、つなげたりしてはだめです。「連続的な位置関係」が変わってしまうからです。 湯飲みは、茶筒の上面中央を押してへこませていくとできます。茶筒はくるっと丸めるとボールになるので位相が同じと言えます。同じように取っ手つきのマグカップは輪になっている部分があるので、ドーナッツと「位相が同じ」ことになります。 湯飲みとマグカップは位相が同じではありません。 この先の話は集合論になります。文系おばばの頭脳が崩壊するので、ひとまずここまでとしておきます。
March 8, 2023
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文系頭の「極限」は、「ぎりぎり」「限界一歩手前」のこと。数学の「極限」は、ぎりぎりまで迫るところは同じですが…。「限りなく近づきながら、そのものの値はとらない」っていうところがわかりにくいところです。 数列の極限は一方向。関数では、二方向からの近づき方があるので、右からと左から両方向の極限が一致しないと「極限が存在する」ことになりません。(複素数の世界では二方向どころか無限の近づき方があるので、どんな近づき方をしてもある一つの値に収束しないと極限が存在することになりません。) ネイピア数eは、数列の極限として定義されます。もともとは、対数関数と指数関数の微分の便宜を図るために定義された数です。 中学から高校の数学では、対数より指数を先に習いますが、歴史的には対数の方が早くから使われていました。計算機のない時代、桁数の大きい数の複雑な計算を簡単にするため、対数が有効だったからです。 底をeに置き換えることで、全ての指数・対数関数の微分が可能になります。無理数であり超越数である、何だかとらえどころのないeですが、大きな役割をもって現れてきたんですね。
June 18, 2022
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eとπは無理数です。無理数と有理数の区別をもう一回確かめてみると… 数には、代数的数と超越数という分け方もあります。方程式の解になる数が代数的数、ならない数が超越数です。eとπは超越数です。 有理数の中には超越数は存在しません。有理数は分数の形で書けますから、必ず1次方程式の解になります。 ax=bの解は x=a/b(a分のb)なので、たとえば 221/400000は、221x=400000の解になります。 無理数の中には、二次以上の方程式の解になる代数的数と超越数の両方が存在します。実は代数的数より超越数のほうがずっと多いことが知られているのですが、ある数が超越数であることを証明するのがとても難しいため、現代知られる超越数は限られています。 eのπ乗は超越数であることが証明されていますが、πのe乗は証明されていないのでわからないといった具合です。 無理数は普通の分数では表せませんが、無限連分数という形にはできます。思いがけないきれいな形になりますね。 下記のように、お、有理数か?と思わせて無理数だったという数もあって、油断はできないですね。 実数には連続性という約束があって、0.99999999999…=1という直観を裏切る結果も導かれます。あくまでも0.99999999…(無限に9が続く)=1であって、0.999999999999(有限に多く9が続いても)=1ではありません。無限の世界は不思議に満ちています。eもπもその不思議世界の住人なのです。
June 10, 2022
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正弦はsin、余弦はcosです。正弦と余弦の性質を見ていきます。 直角三角形の3辺の長さはピタゴラスの定理から、斜辺の長さの2乗=他の2辺の2乗の和でシンプルに表せます。余弦定理は、直角三角形から拡張して、鋭角三角形または鈍角三角形の3辺の長さの関係を余弦cosを使って表したものです。 この余弦定理は三角関数の加法定理を証明するのに使います。前回の幾何的に加法定理を確かめる方法より一般的です。加法定理の1つだけを取り上げましたが、ここから他の定理も導けます。 また、オイラーの定理を認めると、加法定理は簡単に導かれてしまいます。ただ、実数で成り立っていた指数法則を複素数にも用いるのですが、指数法則が複素数でも成り立つかどうかには、厳密には別の証明が必要なようです。オイラーの公式と加法定理から、複素数にも指数法則が成り立つとする本もあって、どっちが先か?卵か?鶏か?という疑問も出てきます。 複素関数になると、実数で成り立っていた定理がそのまま成り立つものと、成り立たないものがあります。まだまだ奥は深いです。
June 3, 2022
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三角関数にもどってきました。 三角関数、y=sinxとy=cosxのグラフは、2πの周期で無限に1の山と-1の谷の間を動く曲線を描きます。 y=sinxのグラフの曲線は正弦波(サインカーブ)と呼ばれます。 y=sinxとy=cosxのグラフは2分のπのずれで、輪唱のように同じ値をとります。 角度が2分のπ(90°)を超えたときのsin、cosの値は、2分のπ-θやπ+θ(0≦θ≦2分の1π)と考えると分かります。 また、sin、cosの値を求めるのに、加法定理、2倍角公式などが使われます。加法定理は最低限覚えておきたいところですが、なぜこうなるんだろうという疑問符が頭の中にぴょん、ぴょん。 作図して確かめてみると頭に入ります。 結城浩氏の『数学ガール秘密ノート』シリーズの『丸い三角関数』が、図を幾つも使って詳しく説明してくれているので、とてもわかりやすかったです。文系脳にもお勧めです。 高校時代は、定理をなぜ?と思ったことがありませんでした。定理は覚えるものとしか考えていませんでした。だから頭に入らないんですね。 納得するまで、手を使って頭を使って覚えたことは身につきます。 おばばの頭ではまだ複素関数まで行き着きませんが、複素関数としての三角関数は、実数世界の三角関数のとる値を遙かに超えて自由に動き、多角的・立体的な動きをするようです。 三次元の図では表現しきれないんですね。何だかわくわくします。 複素関数の三角関数は複雑ですが、オイラーの公式によって指数関数に置き換えられるようになったことで、格段に扱いやすくなったということです。 参照元:結城浩『数学ガールの秘密ノート 丸い三角関数』東京S・B・クリエイティブ
May 29, 2022
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写像は、集合と集合との間の対応のあり方の1つです。集合の元(要素)が数の場合「関数」ということになります。 集合Aの元を1つ決めたら、必ず対応するBの元が1つに決まることが「写像」の条件です。Bの元が余っても、Aの複数の元がBの同じ元と対応してもかまいません。 複数の人から告白されるケースは別に責められませんが、1人が2人に告っちゃうのはモラル違反ですね。告られる経験がない人だっています。 写像の対応の仕方に「単射」(または単写)「全射」(または全写)「全単射」があります。 全単射は1対1対応になるので、合コン成功というところ。 写像の合成は、加法・乗法のような結合法則が成り立ちますが、特別な場合以外、交換法則は成り立ちません。具体的な関数で考えてみるとわかります。 恒等写像は、演算の単位元と同じようなものですね。 全単射の写像に限って「逆写像」が考えられます。写像でx→f(x)に写されたf(x)をfにもどす写像(関数)が逆写像です。たとえばf:y=X+2だったらg:y=x-2で元に戻ります。
May 24, 2022
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集合論は現代数学の基礎言語だそうです。 集合と言えば、キャップ∩だとかカップ∪、そしてベン図が頭に浮かびますが、もう一歩だけ進んだ集合の世界を見てみます。 数は自然数、整数、有理数、実数そして複素数へと拡張されてきました。自然数は整数の部分集合、整数は有理数の部分集合…という関係になります。四則演算、方程式は複素数内で完結しました。 中学校の数学は、当たり前のように関数や方程式は実数の範囲で考えられるものでしたが、複素数の世界が広がる高校数学以上になると、数の範囲、つまりどんな集合の中で考えているのかが大事になります。 実数の集合の中では「解なし」になる方程式も、複素数の集合の中では解を持ちます。 「写像」(関数)は集合と集合の対応のしかたの1つです。2次方程式・3次方程式といった代数関数も、三角関数・指数関数といった超越関数も「写像」になります。それぞれの関数の特徴と共に、集合、写像としての共通する性格も持ちます。 中学校からおなじみのベン図。「ベン」はベン図を発明した数学者の名前です。視覚から入るので、ノン理系の頭にも入りやすい。 集合の和・共通部分もベン図とカップ・キャップで覚えた昔がなつかしい。カップは足し算に近く、キャップはかけ算に近い、集合の演算と考えられるんですね。引き算に当たるのが、補集合・差集合。 集合の集合、べき集合、元が行列の集合などなどまだ奥は深いのですが、脳細胞が溶けそうなので写像を見に行きます。
May 16, 2022
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加法の単位元は0です。0も不思議な数。長い間数学者の間でも数として認められなかった位、0は扱いが難しい数です。 1から順に自然数をかけていく階乗、0!=1というのはびっくり!です。数学では「こう定義しておくと、拡張できて都合がいい」ことから定義されることも多いのですね。 数学というのは必ず理由がはっきりしているものだと思っていました。そのレベルの数学しか知らなかったということ。 まだ証明されていないこと、わかっていないことも多いし、便宜上考えられてきた定義も多いのです。 0の0乗は思わず0と言いたくなりますが、これまた難しい問題でした。基本的には定義されないが、ある数式を成り立たせるために必要なときには「便宜上1と定義する」なんです。 小学校の算数から見慣れてきたはずの1や0が、多面的な顔を持つ数であることがわかりました。自然数や整数の中で大きな役割を持つ0と1は、オイラーの等式に登場するにふさわしいミステリアスな数でした。
May 12, 2022
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1は自然数の始まりの数。小学生でも知ってるよ、と思うかもしれませんが、自然数とは何か、改めて説明せよと言われると急に難しい話になります。 「ペアノの公理」は自然数を定めたもので、数論の基礎になります。ここから認めていかないと次へ進めないという公理。 1は乗法についての単位元。加法についての単位元である0と共に最も基本となる数と言えます。その2つの数が、虚数や無理数と組み合わされて出てくるのがオイラーの等式でした。1も0も奥が深い数です。 どんな数に1をかけても元の数は変わらず、どんな数のべき乗も1乗は元の数そのままです。 1の2乗根、3乗根、4乗根…n乗根は全てn=1を解にもちますが、複素数まで範囲を広げたときの、1以外の解はどうなっているのでしょう。 単位円上に解が正○角形を作って並ぶのですね。きれいですね。虚数解は必ず、共役の複素数同士のペアになります。ちょっと楽しいなと思えた複素数平面上の話でした。
May 8, 2022
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オイラーの公式は、両辺が複素数の指数関数と三角関数。関数とは何か、同じような形をした方程式とも比較してみます。 関数は元は「函数」と書きましたが、「函」の漢字が常用漢字に入っていないため、「関数」と書かれるようになりました。何かを入れると対応して何かが出てくるような、ブラックボックス?変換器?を想像していましたが、現代では、「関数」は集合の「写像」として捕らえるのが一般的だそうです。 似たような形の関数と方程式ですが、関数がxに対してyの値がどうなるかを見るのに対して、方程式は未知数xをみつける式です。関数のグラフと、方程式の解は親密な関係があります。 n次方程式の解は、二重解を2,三重解を3…とカウントすると必ずn個になります。2次以上の方程式の虚数解は、互いに共役な複素数のペアになります。(1つの虚数解がみつかればその共役複素数も必ず解になる。) 指数関数の底には1を除く正の数という約束があります。試しに負の数を入れてみたら関数にはなりそうもありませんでした。オイラーの公式・等式の左辺の底eも、e≠1、e>0です。指数は虚数が入っていますが。 単調減少の指数関数のグラフって、失われつつあるわが脳機能を見るようで怖いです。
May 3, 2022
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アキレスと亀のパラドックスは、ちょっと聞くともっともなような気がしてしまいますが、どう考えても、亀より速いアキレスが亀を追い抜けないわけがありません。 有限の距離を無限に区切る話なので、有限の距離内でアキレスは追いつきます。 2分の1を初項として、その2分の1また、その2分の1…を加えていく数列は、いくらたしても1を超えることはありません。無限にたしても無限大にはなりません。下の正方形を区切っていく図をみればイメージできます。限りなく1に近づくだけです。 無限級数は、たす順番を変えてはいけないなど、有限の世界の常識が通じない(有限の演算なら交換法則が成り立ちます)こともあります。たす順番を変えると、和の値が変わってしまう数列が存在します。 一度はまると抜け出せない、無間地獄ならぬ無限地獄です。 まだまだマクローリン展開まではほど遠い道のり…、無限を離れて、関数へとんでみます。
April 29, 2022
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数列の世界へやってきました。入り口は有限数列。1,2,3,4,5,… という数列は、素直に考えれば自然数列です。(ひねくれて考えると5の次が4,3,2,1になっているかもしれませんが)前の数より1ずつ増える、差が一定なので「等差数列」と言います。2,4,8,16,32,64,128,…だったら、前の数に2をかけて出てくる数列で「等比数列」(前の数との比が一定です)。「ファイナルファンタジー」に「32ページ」「64ページ」「128ページ」「256ページ」というモンスターが出てきたなあ、なんて思い出しました。中途半端な数だと思いましたが、初項32、公比2の等比数列だったんですね。 数列の和はΣシグマの記号で表せます。公式もあってn項までの和を求められます。 ですが、無限数列の和になるとどう考えたらいいのでしょう。有限の世界で暮らすわたしたちにとって「無限」は未知の世界です。 無限の項を全部たすわけにいきませんから、部分和を考えるんですね。無限級数は、ある一定の値に収束する(その数ぴったりになることはないが限りなく近づく)時しか和が出せません。 級数が収束するかどうかはとても難しい問題になりますが、等比級数については、r(公比)の絶対値が1より小さいときに収束することがわかっています。 eが収束することも証明されていますが、証明を読んでも??しかでてこないおばばです。頭がパンクする前に、無限級数をもう少し見ていきます。
April 25, 2022
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微積分の壁の高さはまず記号でしょうか。どこの文字じゃ~という記号が出てきたり、割り算もどきの記号が出てきたり、まずここからつまづきました。 数Ⅰの内容も忘れている位なので、自然数以外が指数になったべき乗だとか√計算だとかにも、こけて慌てて手がかりになる公式を探すという次第。 ごく初歩の微積分の仕方がわかっただけですが、実生活で応用される広さは少しわかったような気がします。その中でも、eは活躍していました。 身の回りにeは隠れています。お風呂のお湯やわかした湯の冷め方、落下の速度、放射性物質の半減期などなど。 ここで、eの定義に関わる「極限」「級数」を探しに「数列」の世界へ行ってみようと思います。 参照元:大村平(ひとし)『今日から使える微積分』講談社ブルーバックス 中村亮一氏のニッセイ基礎研究所レポート(web)
April 21, 2022
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微分はよく速度にたとえられます。 自動車は速度を変えながら走ります。微分では、ある瞬間の速度に着目し、その瞬間瞬間の速度がどう変わっていくのかを見るのです。 積分は、この細かく分けられた一つ一つを積み重ねて合計を出すこと。くねくね曲がった図形を極極細い長方形や台形に分けてたすことで、公式で求められない面積を求めることにもなります。 微分は瞬間を捕らえ、積分はこつこつ積み上げます。 微分・積分は逆演算の性格を持つのですが、面積や体積を求めるための積分の方が先に誕生し、微分は微分で別に考えられてきました。 この二つを確立したのがニュートンとライプニッツでした。 ニュートンは微積分の手法を物理学に適用して、天体の軌道、サイクロイド曲線上をすべる錘の動きなどを解明しました。 ライプニッツは極小の量を操作する規則を明確にし、今日も使われる記法を開発しました。 微分法は速度・加速度の計算や最適化問題の解決に使われます。積分は面積・体積の計算、重心、仕事、圧力などの計算に必要です。 そして、スペースシャトルの軌道計算などをもたらしたのが微積分です。 微分の基本は「限りなく小さくして」見ることなので、「極限」の定義が基礎になります。これは厳格な定義があるのですが難しいです。後に数列の勉強もしようと思います。 YouTubeで数2Bの微分を教えてくれる動画がたくさんあがっているので、見て勉強?してみましたが、いやいや計算力はない、因数分解も忘れている、うっかりミスだらけで、数学力のなさに笑うしかありませんでした。 それでもある程度は自分で微分できなければ、説明を聞いても本を読んでも何のことかわからないので、悪戦苦闘の脳活します。 eという数は前々から知られていたようですが、それをはっきり定義し、指数・対数の微積分が楽にできるように道を開いたのがオイラーでした。微分しても形を変えない指数の底は何かと考えて、オイラーが定義したのがeでした。 数学は、神がそのノートにあらかじめ記していることを探り当てていく学問だと言った数学者さんがいたようですが、なるほどと思います。eは、オイラーにみつけてもらうのを待っていたような気がします。 参照元:吉田武『オイラーの贈物』東海大学出版会 大村平(ひとし)『今日から使える微積分』講談社ブルーバックス
April 17, 2022
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複素数平面上にもどってきました。複素数は、実数軸から反時計回りにみた角度と絶対値(原点からの距離)を使っても表せます。 この「極形式」によって、乗法は視覚的にわかりやすくなります。 オイラーの公式の右辺は極形式で表した絶対値1の複素数でした。偏角θがπ(パイ)のときは、cosπ=1,sinπ=0から、虚数は0になり、右辺は実数の-1になります。 問題は左辺。 eのπ(パイ)乗は近似値を出すことができますが、iが加わった複素数乗がどういう意味を持つのか、私の脳では理解できません。 結局高校数学の範囲では証明も難しいので、「以下のように定義する」と考えるしかなさそうでした。 定義された複素数乗の中で、iπ(パイ)乗は純虚数(a+biのa部分がなく、b=π(パイ))乗になります。定義に当てはめるとオイラーの公式が出てきます。 オイラーの公式はこれで証明されたわけではなく、マクローリン展開などというものを使うらしいのですが、数列を勉強してみないとわかりません。 文系脳には常識外の、けれど新鮮な複素数の世界をちょこっと覗くことができました。 実数世界ではお互い離れた場所にある、指数関数と三角関数がダイレクトにつながった式にもびっくりです。 複素数平面を通してある程度は視覚的に捕らえることができますが、複素数の関数などは視覚化が大変難しいそうです。 複素数の四則演算は答えが複素数になりますが、i乗が実数になって返ってくるなど、べき乗については想像を超える不思議さがあります。 オイラーの等式には、無理数の虚数・無理数乗が整数になるというマジックとしか思えない関係が出てきましたが、複素数の世界はいくらでも不思議が起こる世界なのかもしれません。 数学は一つの答えをきちんと出す、こちこちの学問だというイメージがありましたが、豊かな想像力と創造力が必要な分野なのでしょう。 いつかもっと、オイラーの等式に近づくために、微分・積分の扉をたたいて、eに会ってこようと思います。 参照元:中村亮一氏のニッセイ基礎研究所レポート、 YouTube「とある男が授業をしてみた」「予備校のノリで学ぶ数学・物理」 「高校数学の美しい物語」チャンネル 大村平(ひとし)『今日から使える微積分』講談社ブルーバックス
April 12, 2022
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eはネイピア数。ネイピアは人名です。オイラー数とも言います。 ジョン・ネイピアはスコットランドの貴族。発明家、数学者で、「ネイピアの骨」と呼ばれる計算を楽にする道具を考案しました。対数の考案者として有名で、対数の発見は天文学者の寿命を倍に延ばしたと言われるほどです。 ネイピアの考案した対数表は現代の底が10のものではなく、後にeと言われる数の近似値を底とするものでした。 その後、底が10の対数表を、同じ志を持ったブリッグズと共同で作成するつもりでしたがその前に亡くなりました。底が10の対数表はブリッグズが完成させ、今に生きています。 ネイピア数が発見されたのは、複利計算からで、この無理数をeと名付けたのも、ネイピアの使っていた対数の底の重要性に気がついたのも、オイラーでした。 オイラーはe、ネイピア数を使って、ニュートンとライプニッツが確立した微積分の技法的な完成に寄与しました。eのおかげで微分方程式が解け、解がeを用いて表されます。eの真価は微積分を学習してみないと分からないだろうと思います。 ネイピア自身は、自分の名前が付いた数が、現代社会でこんなに活躍しているとは思ってもいないでしょう。 eの対数螺旋(指数螺旋と言った方が合っていますが)は、自然界の中にも見られ、eという数の不思議さを教えてくれます。 次はまた複素数平面にもどってみます。
April 8, 2022
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べき乗は、指数が自然数の範囲では累乗と言われるもので、自然数から整数、有理数にまで拡張されてきました。 べき乗は、指数が自然数の場合だったら、同じ数を何回かかけることと理解できます。が、指数が負の数、さらに分数になると、-3乗って何だ?3分の2乗って結局何回かけることなんだ??となります。 自然数の世界での常識は通用しませんが、有理数全体のべき乗も、自然数のべき乗の定義を壊さないように、指数法則が成り立つように定義されています。 同じく、有理数から実数に指数が広がります。 指数が無理数のべき乗は定義からして難しくなってきます。「限りなく近い有理数のべき乗を近似値とする」というような定義(厳密には数Ⅲ以上の学習が必要なので明言できません)です。実数全体についてべき乗が定義されて、関数が成り立つ(数が有理数だけだとスカスカでになります)ことが必要なことからきた定義です。 指数と対になるのが対数です。「プラチナチケットを贈ったら彼女が大感激した」ことと「彼女が大感激したのは、プラチナチケットを贈ったからなんだ」というのは言い方は違いますが事実としては同じことです。(ニュアンスが若干違う気もしますが) 指数と対数も言い方を変えただけで同じことを言っています。対数は「プラチナチケット」を求める、じゃなかった「何乗したら?」を求める形の式です。 指数関数と対数関数のグラフです。実数の範囲までべき乗を定義したため、グラフがかけるようになりました。 「指数関数的な勢いで増加する」「指数関数的な成長」などと聞いたら、1<aのときの指数関数グラフを思い浮かべると意味が分かります。急激に伸びていくグラフです。 底が10だと10進法の数の計算には一番便利です。「対数を取る」「戻す」ことで、大きな数のべき乗はかけ算に、かけ算は足し算に、より簡単な計算ですむようになります。電卓で表示できる桁を超えるような数は対数を取って概数を知る、計算結果で近似値を出すのが便利だということはわかりました。 底がeの対数は、数Ⅲになってから出てくるので文系おばばには無縁でした。次はeを訪ねてみます。
April 3, 2022
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オイラーの公式の右辺は三角関数。記憶の底に眠っている実数の世界の三角関数を起こしてみます。 天文学者たちの天体観測から、直角三角形の角度と辺の比の関係を調べることが始まりました。計測可能な距離と角度から、直接計測できない距離を計算で求めようという試みでした。 三平方の定理、別名ピタゴラスの定理は、最もシンプルで最も有名な定理です。 この三平方の定理が出発点になって、三角比が考えられました。三角比は、土地の測量、正確な地図の作成などに役立ってきました。 単位円を使って角度と三角比の値を見ていきます。単位円は半径1の円。ピタゴラスの定理は必須です。 三角関数も、単位円を使って定義されます。関数は、ある値xをf(変換器のようなもの)に入れるとただひとつのf(x)が出てくるy=f(x)のような規則を言います。三角関数も角度θ(シータ)を入力すればcosθ、sinθ、tanθはただ一つの値に決まるので、関数になります。直角三角形の角度を離れて、θは90°以上の値もとれるように拡張されます。 小学校のとき、分度器で角度を測る算数の勉強があり、中学校まで、角度は2本の半直線の開き具合のように考てきました。 ですが、三角関数を考えるときは、角度は回転の量になります。 そして、いよいよ角度としてのπ(パイ)が登場しました。オイラーの等式に出てくるπは、3.14…という数ではなく、180°という角度を表すということがわかりました。(1つ謎が解けた) オイラーの公式でθ=π(パイ)のとき、cosθが-1になること、sinθが0なのでisinθが0になることは納得しました。次はeを調べてみます。
March 31, 2022
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