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1月31日の満月はSuper Blue Blood Moonだった。 2週間ほど前にその名を聞いたときにはなんて大仰なネーミングなんだろうと思った。「特別に蒼い血の月」だなんて、あまりに魅惑的で怪しげで想像力を掻き立てられるゴシックな響きではないか。ドラキュラ伯爵だってちょっと気後れしちゃいそうだ、とか。 それは、特別な満月の3要素を同時に満たすトリプル・スペシャルな満月のことだった。月が地球に近づいて大きく見える、スーパームーン。加えて、一月に満月が2度ある、ブルームーン。更に、皆既月食で月が赤く見える、ブラッドムーン。 なんでも北米では150年ぶり、日本やオーストラリアでも36年ぶりの、珍し~い満月なんだそう。私の住むメルボルンでも深夜12時ごろには夜空に大きく浮かぶ赤い満月―スーパーブルーブラッドムーンを楽しめるということで。 そんなにレアな満月ならば見てみたいところだけれど、真夜中っていうのはなぁ… ここビクトリア州では、1月末から1学期が始まる。うちの子たちも1月31日から長~い夏休みを終えて学校に戻る。情況的には二人ともホリデーぼけしまくっているうえに、長かった日本滞在で体内時計は未だに日本時間のまま。時差でメルボルンの方が2時間早くなってしまうので二人とも未だに朝起きられずにいるのだった。なのに、学期明けから深夜まで起きているっていうのは…。 「いやだ、絶対に見る!今度いつ見られるかわからないんだってよ。珍しい月なんだから、何が何でも見たいよ~~~!!!」けれど子どもたちは見る気満々、深夜まで起きている気満々だった。 この神秘的な月夜のイベントを前に周囲もちょっと色めき立っていた。チベ仏仲間のメリリン(仮名)など、皆既月食は、パワフルな行ができる特別な夜だからとスペシャル行メニューを計画していたし。そのうえ断食断飲で浄化の行まで敢行すると張り切っていたし。 う~む、皆既月食に断食断飲、密教行―なんだか素敵だ。せっかくのレアなトリプル満月―自分も何か心にきらきら響くようなスピリチュアルな時間を過ごしたいかも…。とはいえ子どもたちは学期明けだし…。 当日、メルボルンはあいにくの曇り空だった。これじゃあ、月なんか見えないだろって、空模様。 それでも子どもたちは絶対に見たい!と言い張るので、結局、いつものように就寝して、深夜、雲が晴れて皆既月食を見ることができそうだったら、私が起こすということになった。そうして私もせめてものスピ行を。夜は地元のチベット仏教センターで開催される無料の瞑想セミナーに参加することにした。 センターは未だホリデー中だったれど、思った以上に人が来ていた。懐かしい友達の顔を見たとたんに心が躍ってしまった。日本に一時帰国していたので友達に会うのも、ゴンパでゆっくり瞑想するのも久しぶりだったから。 1時間ほど「Chenresig Sadhana」の瞑想行を。チベット仏教の慈悲の仏陀を観想し、真言を唱え、瞑想した。 心が洗われるというよりも、フェザーのように軽くなって、ふわふわと浮き立ってどこかに消えてしまいそうだった。あまりに心地良かったせいか、瞑想する皆やゴンパのエネルギーが安らか過ぎるせいか、はたまた寝不足からか疲労感からか、気を抜くと、一瞬で爆睡してしまいそうだった。 セミナーの後、久しぶりに会ったスピ友たちとお茶をした。自然、話題は「Super Blue Blood Moon」のことに。空模様が気になっていたので外へ出てみたのだけれど、センターの中庭からでは月は見えなかった。夜空の半分は未だ雲に覆われていた。 中に戻って、みんなとお喋りを続けた。お茶とケーキを頬張りながら、それぞれのクリスマス休暇やホリデー中の出来事、行や神秘体験の話なんかをして盛り上がっていた。 だけど話が今年オーストラリアで予定されているリトリートの話題になったとき、メアリンさん(仮名)が言ったのだった。「ダライラマ法王の事務所が法王のオーストラリアツアーを中止することを発表した」、と。 一瞬、耳を疑ってしまった。今年6月にシドニーとメルボルンで、法王の講義と講演が予定されていた。ダライラマ法王が最後にオーストラリアを訪れたのは2015年の6月だったから、実に3年ぶり。私も楽しみにしていたのだった。 それが今日、突然中止が発表されたのだという。オーストラリアだけでなく海外ツアーは法王の体力的に難しいからと今年予定されていた海外訪問は全てキャンセルになったのだった。 「え、私もうチケット買っちゃったけど…」と、ヘレさん(仮名)が呆然とした顔で呟いた。 私は、残念な予感が的中したような気もしていた。というのも、いつもなら1年前にはツアーの詳細が発表されチケットも発売されるのに、今回は半年前になっても法王のオーストラリア事務所から何の連絡もなかったから。唯一詳細が決まって一部チケットが発売されたのはメルボルンの講義だけだった。それに去年11月の日本訪問も法王の体力的理由から中止になっていたので、大丈夫なのかな?と心配していたのだった。 ふと思った。もしかして、3年前のリトリートが法王の最後のオーストラリアツアーだったのかな?と。 空気が重くなった、気がした。長くて一気にアップできなかったので、続きは「スーパーブルーブラッドムーンの夜に(後編)」で。写真は1月31日10時半ごろの月です。にほんブログ村に参加しています。よろしければクリックのサポート、お願いいたします。 にほんブログ村
2018.01.31
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「Super Blue Blood Moonを見に行こう」と腰を上げたたのは、オェインさん(仮名)だった。さっき中庭から見たときはまだ月の位置が低すぎて見えなかったので、センターの2階から見ようと提案した。ヘレさんとリリン(仮名)とベベン(仮名)と私と、5人が月見ツアーに加わった。 オェインが案内したのは非常階段の踊り場だった。ドアを開けて出た非常階段の踊り場は真っ暗で、空中に立っているような気がして、一瞬くらっとしてしまった。2階と言っても、19世紀に建てられたマンション(日本のマンションの意味ではなく豪邸のことね)で天井が非常に高く、そのうえ近隣より高い位置に建てられているので、通常の3階か4階くらいの高さがある。そんなことより建物が古いせいで、足元はみしみし軋むし、鉄の手すりは錆付いて危うげだし、壊れそうで滑り落ちそうでゾッとしてしまった。 それでも夜空に月は、見えた。雲はもうほとんど消えていた。ただ方角的に、センターの巨大なユーカリの木が月を覆ってしまっていたけれど、1段下の踊り場からならなんとか見えた。 見えたけど、オートロックで締め出されしまわないようにベベンはドアを押さえていなくてはならなかったし。リリンは、こんな階段降りたくないよと動かなかったし。あまり快適なお月見とは言えなかった。誰かが近所の公園の方に行ってみよう!と提案した。セミナーの後ゴンパで一人行をしていたティナリン(仮名)も加わって、みんなで公園にまで繰り出した。「あんな場所まで行かなくても大地からでも見えるじゃない」と、リリンさん。 公園から見上げた夜空には、目映いばかりの丸い月が浮いていた。皆既月食が始まったのかは、肉眼ではまだよくわからなかったけど、言われてみると、満月の右端が少し消えかかっているような気もした。 スーパーブルーブラッドムーンは、確かに、スーパームーンだった。 他に人影もない公園で、私たちはその神秘的な輝きに見惚れていた。写真を撮るたび、写る月の姿がそれぞれ違うので、UFOだとか、オーブだとか、心霊写真だとか言い合って笑い比べていた。スーパーブルーブラッドムーンのエネルギーか、高校生にでも戻ったような気分だった。 そろそろ10時半になろうとしていたけど、ティナリンが買い物に行かなくちゃと言い出した。それで皆既月食が本格的になる12時ごろにまたセンターのダイニングで、ということになったけど、私は子どもたちを起こして皆既月食を見せるという約束があったので家に戻ることにした。街灯も疎らな薄暗い通りの真ん中を夜空を見上げ5人でぶらぶら歩きながらふっと短編小説の1篇でも書きたくなった。 皆と別れて家に帰ったときには11時近かった。「メルボルンは11時51分」だと聞いたので、それまで一人、書斎で行をすることにした。ダライラマ法王の前回のリトリートで法王から託された、グルーとの絆を培う行をすることにした。 行をしながら、2015年のリトリートのことを思い出していた。もし誰かから、人生で最高の出来事は?と尋ねられたら、私は真っ先にあの1週間を思い出すだろう。 今でもあの時間は心の真ん中できらきらと輝いている。この光は、輝き方を変えても色を変えても、一生、消えることはないと思う。 自分にたくさんの教えやインスピレーション、イニシエーションや行を与えてくれた、ダライラマ法王のことを思った。グルーへの感謝で心が満たされてゆく。 法王がオーストラリアに来られないのなら、次は私がインドに行こう。 深夜20分前くらいに子どもたちを起こした。二人とも寝惚け眼で起き出してきたが、裏庭から夜空を見上げるや歓声を上げた。 赤く、まぁるい月が浮かんでいた。 「ダディにも見せてあげなきゃ!」と息子が夫を起こしに走った。娘がカメラを構え、写真を撮り始めた。 ダディンは眠かったらしく起きてこなかったので、3人でSuper Blue Blood Moonを見上げていた。2時間前に見たときはまだ「スーパームーン」だったけど、今は確かに「スーパーブラッドムーン」になっていた。 「こんなお月様を見たのは初めてだよ」と、ムゥ。「私も、写真でしか見たことない…」と、娘。 ほんとうに、美しく赤い満月だった。朝から曇っていたからこんなにくっきりと見ることができるとは思っていなかった。 幸運を噛みしめながら夜空を見上げていた。こうして自分の家の裏庭で、娘と息子と寄り添って、特別な月を見ていられるなんて。 「そろそろベッドに戻らなきゃ明日の朝、起きられなくなっちゃう」と娘が呟いた。「うん、眠い。でも見れて良かった」、と息子。 「そうだね。スーパーブルーブラッドムーンの夜だから、特別な夢見も楽しめるといいね」 子どもたちをベッドに送り出してからも、暫く一人、怪しく輝く月空を見上げていた。日付は変わって、既に2月になっていた。 こうして2018年の1月も早くも終わってしまいましたが、 皆様の2018年が素晴らしい年になりますように。 今年もよろしくお願いいたします。 にほんブログ村
2018.01.30
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