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2025.07.19
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カテゴリ: 浮世見聞記
橫濱市歴史博物館の開館30周年記念特別展「横浜の文化財」を、Part1 修復(4/26~6/1)とPart2を通して觀る。



Part1では、かつての所有者が生きた時代や環境による価値觀から、その文化財の形が改變されてゐたことが修復作業より發見されることがあり、それを本来の形に戻す復元作業も修復作業のうちに入ること、また文化財はその土地の歴史と結びついた“証言者”であることから、どこかの時代で諸事情により土地から引き離される(移転や移動)とその証言を聞き取れなくなり、かと云って無縁物として粗略にも出来ず、後世で取り扱ひに困ることになるなど、歴史ある古い物だからとただ保存すればよいと云ふものでもないことを知る。

興味深いのは、本来の目的を終えた文書──いはゆる反故紙がほかの目的に転用されて殘った結果、“正史”では謎とされてゐた事情がたまたま發見されたその反故紙の文言から解明の手がかりを得られる例のあることで、有名なのは紙背文書だが、今回の展示では古刹の襖の下張り、また着物を包むたとう紙にも転用された例が紹介され、


(※フラッシュ無しで展示物の撮影可)

それは初めて知っただけに、「ほう……」としばし見入る。

もうひとつの見ものは經歴不詳の近代画家笠木次郎吉による「明治期庶民風俗図」、繪巻物とやうに橫長なのはもともと1905年に加國で開業したデパートのエレベータードアの上に飾るために制作されたからで、その經緯については笠木次郎吉らしく不明、その後は海外で所有者を転々としたが、昨年に當博物館が購入し本邦初公開云々、



ほかの洋画家にはない風合ひの作品世界に私も惹かれる一人ゆゑ、これはいいものに出逢へたと嬉しくなる。


Part2では地域の行事や風習、藝能など、人によって“形”が表現され、「伝承」されてきた文化財を考察する。

つまり、「人」と云ふ担ひ手を失なふとたちまち消滅するものであり、あとは殘された道具類から往年を推測するしかない。




(※道中繪図に見る鶴見橋)

件の橋は神君家康ゆかりの橋であることを理由に、修繕などの諸費用は地域住民の負担ではなく全て「御普請」(公費)で賄はれた云々。


(※かつて鶴見橋だった現在の鶴見川橋)

しかしこの傳承は當時から地元民が村の負担回避と權益を守るために創作したものであり、江戸幕府が瓦解すると神君家康の威光も消え、橋と地名の謂れ因縁もいつしか地元民からも忘れ去られ、わずかに當時の文書だけが、



歴史を知る手がかりとなる。


もうひとつは人が演じることで傳承される“藝能”で、演者を失ひ道具だけが殘された場合、それらの価値は殘念ながら低くなる。

道具は、人に使はれ續けることで、真の歴史の証言者となり得るからだ。

七月十九日には關連企画として、橫濱市の無形民俗文化財となってゐる“佐相社中”の神代神樂が博物館内のホールで演じられ、私が觀たのは「天孫降臨」、



藝能はその場ですぐに形が消えてしまふまさに“一期一會”、觀た人が記憶することで、その藝能がそれぞれの心に記録されると云った實体験を味はふ。

神樂も演じる形態はさまざまであり、時には歌舞伎芝居から取材し、演技もそれに近い曲目もあったやうで、過去には神樂師がそのまま歌舞伎役者に転向した例もあった云々、


(※神樂師から転向した“市川蓮之助”)






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最終更新日  2025.07.20 11:45:49
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