ビストロフの橋

ビストロフの橋

October 24, 2005
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テーマ: 連載(82)
カテゴリ: カテゴリ未分類
 キングクロス駅には十時前に着いていた。発車は十一時だから早すぎるような感じだが、ウィルにはちゃんと思惑があった。
 『ホグワーツに来る前に知っておくべきこと』に書いてあったことを思い出す、魔法族にも見えない魔法がかかっているがそこまでいけば通り抜けられられる。ただし、通り抜けるときにはマグルに気付かれないように注意すること。
 もうじき電車が入ってくる。そして降りた乗客たちがホームから改札へと向かう列が壁になるのを見計らって、滑り込むのがベストだろう。
 通り抜けられないのでは? という疑惑は感じていなかった。ダイアゴン横町で魔法は経験済みだ。必ず通り抜けられる。 
 カートに『七つ鍵のトランク』とトムじいさんの弁当を乗せ、タイミングを待つ。電車がホームに入ってくる音がして、旅行者の群れがワンサカとあふれてきた。いまだ。
 9番線と10番線からの客が交差する中、その中間の柵に向かって真っ直ぐ歩く。壁に接触した途端、カートが消えた。次に腕が消えて、壁が目の前に現れる。思わず目を閉じた。どれだけ歩けば出られるんだろう?
 そう思いはじめたところで突然無数の人声が聞こえてきた。なんというか、気圧変化で耳がおかしくなっていたのが急に治ったような感じだ。ウィルは目を開けた。
 紅色の蒸気機関車が、乗客でごった返すプラットホームに停車していた。ホームの上には『ホグワーツ特急11時発』と書いてある。振り返ると、改札口のあったところに91/4と書いた鉄のアーチが見えた。
 汽車があるのとは反対側に、発券所があった。入学許可証を手に、歩いていくと年寄りのしわくちゃな駅員が愛想よく微笑んで切符をくれた。

 機関車の煙がおしゃべりな人混みの上に漂い、色とりどりの猫が足下を縫うように歩いている。おしゃべりの声と、重いトランクの擦れ合う音をくぐって、ふくろうがホーホーと不機嫌そうに鳴き交わしている。
 先頭の二、三両はもう生徒でいっぱいだった。窓から身を乗り出して家族と話したり、席の取り合いでケンかをしたりしていた。ウィルは空いた席を探して、カートを押しながらホームを歩いた。 
 まだ時間があるからだろうか、発券所の前の人混みを越えてしまうと、思ったほど混み合ってはいない。前方から少し打ちのめされた感じの一家がやってきてすれ違ったぐらいだ。老夫婦とその息子夫婦だ、おじいさんと息子は同じダークブラウンの髪をしていた。





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Last updated  October 24, 2005 08:36:48 PM
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