ビストロフの橋

ビストロフの橋

October 25, 2005
XML
テーマ: 連載(82)
カテゴリ: カテゴリ未分類
 四両目を過ぎたあたりからコンパートメントにも空きが見えるようになってきた。
 「あー・・・もう!」五両目ほどまで来たとき、ダークブラウンの髪の女の子が一人、イライラした様子で自分より大きなトランクを蹴っているのに出くわした。
 蹴った足ではないほうの足をさすっている。車内にトランクを入れようとしてうまくいかず、足に落としていたのだろう。
 「手伝おうか?」ウィルは杖を取り出した。答えを聞くこともなく、魔法を掛ける。オリバンダー翁に聞いた軽量化の魔法だ。
 取っ手をつかみ、片手で持ち上げて車内にいれてやったー珍しいことに一発で成功したのだー女の子は、目を皿のようにしてみていたが、何かを思い出したように息を呑みウィルの顔と杖を見比べている。
 「もしかして・・・『オリバンダーの店』にいなかった? わたしに杖を選んでくれたわよね」
 それで思い出した。この子はウィルの前に杖を買った子だ。店中の箱をひっくり返して杖をばらまいた。
 「一角獣のたてがみ、柊の木、十八センチ。だったよね」
 「そうそう、ごめんね。あのままでいなくなっちゃって、箱とか杖とかバラバラにしてしまって。大丈夫だった?」

 「面白いこと?」怪訝そうに聞き返してきたのに答えようとしたウィルだったが、答えることはできなかった。
 「話すんなら、中に入ったら? 他の人の迷惑よ」後ろから来た女の子が冷たく言い放ったのだ。
 汽車の乗車口で話し込むのは、確かに常識外れだったかも知れない。ウィルたち三人は、同じコンパートメントに一緒に入った。一番近かったし、何より誰もいなかったから。
 「僕、ウィリアム・ゴールドマン。ウィルでいいよ」
 女の子に名前を聞くときは、まず自分から名乗るのがエチケット・・・。『紳士のためのエチケット集』より抜粋。重い本を続けて読んだ後に目安めのつもりで読んだ薄っべラな本でも、役に立つときはあるようだ。
 「わたし、ルビーよ。ルビー・ジャンクソン。よろしくね」『オリバンダー翁の店』で会ったダークブラウンの髪にヘイゼルの瞳の女の子。
 「・・・キャロル・ベランジャー・グラフトン」後から来た子、薄く煎れた紅茶色の髪にアイス・ブルーの瞳がすごく奇麗に映えている。
 汽車が滑り出した。安物の手巻き式時計をチラッと見ると十時四十二分だった。・・・さすがは安物、遅れていたらしい。時間に余裕を持っていなかったら乗り遅れていたかも。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  October 25, 2005 05:37:38 PM
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

クラッシュのHP クラッシュ2569さん
まいけるのお部屋 名前のないうさぎさん
凛。きまぐれホーム… RURIKAさん
し ん じ て る 。 沙羅 憐霞さん

Comments

通な俺@ 愛 液ごちそうたまでしたw <small> <a href="http://hiru.kamerock…
ヒゲメタボ@ クマたんと呼ばれてます(^^; 最近はこれが流行ってるって聞いたので …
ディック橋本@ ギリ3人です(笑) <small> <a href="http://iikoto.chorie…
大岩井@ 目覚めたら巨チンってぉぃ あの女ー・・昨日チソコが痛くなるくらい…
ビャルヒ@ あのコスwwwww コ ス プ レセ ク ロ スって思った以上に…

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: