ビストロフの橋

ビストロフの橋

November 14, 2005
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テーマ: 連載(82)
カテゴリ: カテゴリ未分類
 図書館には初日に道に迷ってたまたま行っただけだが、ウィルにとってはどこよりも身近に感じられる場所だったから、場所はしっかり覚えている。その場所まで行くための階段と扉を探すのには苦労したが、迷うことなくたどり着けた。
 静寂と整理、整頓に支配された空間。
 誰もいないだろうというウィルの予想に反して、先客がいた。ウィルと同年らしい女の子がいる。栗色の髪がフサフサしてるのだけがはっきりと目に付いた。他のとこはみんなお揃いのローブなんだから当然だけど。
 なにか探しているらしく、ウィルが入ってきたことにも気付かずに、本棚の隅から隅まで目を走らせている。
 あまりに真剣な様子なので、ウィルは少し離れたところで本を探し始めた。マグルの図書館のようにジャンルごとに分けてあるなら探しやすいのに、閲覧禁止の棚との区別がはっきりしている割りに、そういった区分は曖昧な感じなので目当ての本を探すには勘と運が頼りなのだ。
 「『魔法薬の材料ーその所在と利用法』って本見なかった?」
 探しはじめて数分、後から声を欠けられウィルはあわてて振り向いた。さっきの女の子が少し疲れた顔で立っていた。
 「夜中に気になって探しに来て、ずっと探してるんだけどないの。図書館の蔵書リストに載っていたし、貸し出された記録もないから絶対にあるはずなんだけど・・・」
 そんなこと言われても、自分が探しているわけでもない本のタイトルなんて、見ていたとしても覚えているわけが・・・ある。

 『魔法薬の材料ーその所在と利用法』大判だけど、厚みはそれほどでもない。ちょっとくたびれた感じの革表紙の本。この本だ。
 「これだね」本を持っていってフサフサ髪の女の子に渡す。
 女の子は飛び上がって喜んだ。一瞬抱きついて来そうになったのだけど、本を抱えていたので思い止まったようだ。
 「ありがとう。私、ハーマイオニー・グレンジャー。グリフィンドールよ。あなたは?」 疲れた感じの顔に微笑みを浮かべて、女の子が言った。前歯が少し大きかった。
 「ウィリアム・ゴールドマン。レィブンクロー。ウィルでいいよ。あのさ、『禁じられた森』に棲む動物に関して書かれた本ってないかな? ちょっと調べたいことがあるんだけど」あれだけ熱心に本棚を見ていたなら、心当たりがあるかも、そう思って訊いてみる。
 答えはyesだった。早速、その本がある棚に案内してもらう。少し奥まったところだ。
 「これなんかいいと思うわ」ハーマイオニーが指し示したのは薄い細長の本だった。
 『ホグワーツ城ーその森の住人たち』そのものズバリのタイトルが打たれている。
 「ホグワーツのことが知りたくて、読んでみたの。結構詳しく書いてあったわ」
 「ありがとう」
 どういたしまして、ウィルが礼を言ったのにそう応えると、ハーマイオニーはフサフサの髪がウィルの頬を掠めるほどの勢いで振り返った。ちょうど司書のマダム・ピンスが入ってきたところだった。





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Last updated  November 14, 2005 08:09:02 AM
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