ビストロフの橋

ビストロフの橋

December 3, 2005
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テーマ: 連載(82)
カテゴリ: カテゴリ未分類
 「なんなの?」目の前にできた小包の小山に目を丸くして、キャロルが尋ねる。
 「へへへ。予言者新聞に連絡して、あの事件の記事を全部送ってもらったの。何かヒントがあるかも知れないでしょ? 本当は図書館の借りようとしたんだけど、マダム・ピンズが新聞は貸し出し禁止だっていって貸してくれなかったから」
 包みを開け、新聞の束を取り出すルビー。その様子を見ていたウィルは妙なことに気がついた。
 送られてきた新聞は全て一枚ずつになっている。一面とか二面とかに関わりなく記事の書いてある紙面だけ抜き出してあるのだ。それも記事のところだけを赤い線で囲ってある。一読者のために、こんなことまでするものだろうか。
 「ルビーのおじいちゃんがね、元予言者新聞の記者なの。今の編集長を育てたのは俺だ、っていつも自慢してるんだよ」ウィルの無言の疑問に応えた、というわけでもないだろうがルビーの自慢げに話すのを聞いて、ウィルも新聞を一枚手にとり記事に目を向けた。

   最高は再考すべきか

  フェルモント魔法力学研究所所員、フレ デリック・サンディス氏の家が襲撃された 事件で、命を繋ぎ止めるため石化されたま まの氏の長女サマンサ・サンディスの治療 が魔法界でも最高と言われる癒者が集まる 聖マンティコア病院で行なわれた。
  治療を行なった癒者の一人、トーマス・ レイモンド氏に本紙記者キャシー・エドワ ーズが聞いたところによると『ハッキリ言 ってお手上げです。体には何の傷害もない。 なのに精神が・・・いったいどうすればこ んな状態になるのか』とのこと。魔法界最 高の病院の癒者とは思えない発言に各界か ら失望と非難の声が上がりそうな情勢だ。

 やはり、と言うべきか。新聞というのは元来予測や推測は記事にしない。裏の確認が取れたものだけが紙面を飾る。となればウィルたちに必要なことが書いてある可能性は低いと言うしかない。

 白黒でもハッキリとわかる新築の建物、その横で慣れない営業スマイルを浮かべる若い店主夫婦。
 「もしかしたら・・・」囁くと同時にウィルは立ち上がっていた。あまりにも急に立ち上がったので椅子が悲鳴を上げた。
 「手紙を出してくる。もしかしたら、薬の情報が手にはいるかも知れないよ」自分を見つめる二つの顔に笑顔を返して、ウィルは寮に駆け戻った。
 『七つ鍵のトランク』を引っ張り出し三番目を開ける。基本的な魔法薬の材料セットの下になっていた数枚の紙をつかみ取った。
 羽根ペンとインク壺を引き寄せ、トランクを台にして手紙を書き始めた。紙の一番上に印刷されていた「注文書」の文字を線を引いて消し、「調査依頼」と書き直すと考え考え文字を書き込んでいく。

 私はウィリアム・ゴールドマン。先日、『水になる水薬』の実験に使われたものです。早速ですが、取り急ぎ確認したいことがあって手紙を送らせていただきました。
 二十年ほど前の話なのですが、あなたのお父上が開業したばかりの頃にホグワーツの一年生サマンサ・サンディスが薬を注文しなかったかどうかを知りたいのです。
 できれば、薬の種類も。・・・資料が残っていれば、ですが。
 突然のお願いで申し訳ないのですが、なるべく早く返事をいただけると助かります。
 宛、マゼンダ・グリフィス様。

 手紙を書き終わると、その紙は勝手に折り畳まれ、紙飛行機に姿を変え、すごいスピードで飛び去った。







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Last updated  December 3, 2005 09:33:16 AM
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