ビストロフの橋

ビストロフの橋

December 4, 2005
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テーマ: 連載(82)
カテゴリ: カテゴリ未分類
 もう広間に戻ってる時間はなかったので、まっすぐ変身術の授業に向かう。まだ誰も来ていない教室で席に着いて待った。
 キャロルとルビーがすぐにやってきて、キャロルが素早くパイを一切れ差しだしてくれた。ウィルはそれを一口で口に押し込んだ。それがウィルにとっては唯一の朝食になった。
 すぐに席が埋まり、待っていたかのようにマクゴナガル先生が教壇に立つ。
 残念なことに、ありがたいことに?、今日の授業は実技なしの先生の講義を聴きながらのノート取りだけだった。
 こんな複雑なノート取らせるぐらいなら、始めから冊子にでもまとめてくれればいいのに。と、内心毒突きながらウィルは懸命に書き込んでいく。
 この作業も、ほんの二カ月前までならこんなに苦労はしなかったはずだった。
 中性紙の大学ノートにシャーペンと蛍光ペンで書くだけなら。でも今はゴワゴワした羊皮紙にインクに浸した羽根ペンで書き込まなくてはならない。これが思いのほか手間のかかる作業なのだ。
 何がつらいって、間違えても消せないこと。上から線を引くしかない。もちろん、インクを消すことのできる消失消しゴムとかも売ってるし、杖で魔法をかけるって手もある。なんだけど、ハッキリ言って普通の消しゴムの値段を知っていると消失消しゴムは高価すぎたし、ウィルにはまだ文字を消し去るなんて高度な魔法は使えない。
 結局、二時間もの労働の末に得られるのは黒い染みだらけのノートということになる。あまり面白くはない。

 魔法界の子たちにしてみれば、これが普通なのだから不便とも思わないらしく、ルビーでさえ面倒だとは言いつつも、染みなしのノートを取っている。
 「そのうち慣れるわよ」ため息交じりに染みだらけの羊皮紙をしまうウィルにキャロルが気休め以上ではない言葉をかけた。ウィルとしては肩をすくめて苦笑いするしかない。
 次の授業は妖精の魔法だ。ウィルにとっては一番得意な授業だ。オリバンダー翁が教えてくれた杖を振るちょっとしたコツ、がとても役に立つ。翁自身はあまり魔法を使わないようなのに、さすがと言うべきか杖の扱いは一流の人なのだ。
 ルビーも割と得意な分野らしく、とても楽しそうに杖を振っている。もっとも彼女の場合は授業の成果というのではなく生来の感性の賜物であるらしい。
 逆に、キャロルはとても下手だ。ウィルもなんとか教えてあげようとするのだけど、手を動かすより先に頭の中だけで処理ししまうので、なかなかうまく杖を振ることができないようなのだ。
 「そのうち慣れるよ」授業が終わり少しうなだれたキャロルに今度はウィルが声をかける。
 さっき自分が言ったとまったく同じ言葉に、キャロルは軽く微笑みを返しウィルのまねをした。
 肩をすくめ、苦笑したのだ。






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Last updated  December 4, 2005 09:23:49 AM
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