ビストロフの橋

ビストロフの橋

December 22, 2005
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テーマ: 連載(82)
カテゴリ: カテゴリ未分類
 どっちへ行けばいいのかと辺りを見渡していると、あの大きな目がウィルたちを見つけてくれたらしく、すぐにゴーストが二人迎えに出てきた。
 いつものように覗き屋トムが頭上を旋回し、風穴テリーが温室の向こうの林でウィルたちを手招いている。
 テリーの後ろについて行くと林の奥に続く小路があって、その先に苔むした石造りの、教室の半分くらいあるかどうかな小さな建物があった。
 半分朽ちかけた木の扉を開けると、大方の予想通り、地下へと伸びる階段が黒々とした闇の中でウィルたちを待っていた。
 「ルーモス、光よ」三人同時に杖を取り出し、呪文を唱える。依然とは段違いに明るい光が足下を照らし出した。
 三人は互いに無言のまま階段を下りはじめ、口を開かなかったのが正解なことを実感した。
 黴臭く埃っぽい、湿って淀んだ空気が顔や髪にまとわりついてくる。口を開けていたら、咳き込むことになったであろうことは確実だった。
 さして長くもない階段を下り切ったのとほぼ同時に沈痛とは無縁そうな声が、精一杯沈痛な面持ちで挨拶するのが聞こえてきた。
 「本日は私、レイチェル・クラッグのため、多数の来席を賜り光栄の至り、まこと感謝の言葉もございません。今宵は思う存分、歓談をお楽しみください」

 ほかになにをすることもできない。なにやら食べ物らしきものがテーブルに載せられてはいたが、ゴーストたちが食べたり飲んだりできないことは周知の事実だ。
 「ノックス、消えよ」つけたときと同じく、三人は同時に杖先の明かりを消した。会場内は所々にろうそくが灯され、何かにつまづいたりしなくてすむ程度には明るかった。
 ようやく会場内に足を踏み入れたウィルたちは、会場の広さにまず驚いた。城の大広間とほぼ同じだけの広さに何百ものゴーストが思い思いに浮遊している。





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Last updated  December 22, 2005 09:36:24 PM
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