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喜八っち

喜八っち

2006年09月27日
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カテゴリ: 打撃の真髄
バッティングにとって、、、

非常に興味深い文章だったので、引用ですがね。。。

結構長いけど、書いときます。



さて、とはいえ「軸足」というのはおそらくバッティングの奥義に近いような話で、私ごときにその実際はわからない。そこで、一本の補助線を登場させることにする。前田智徳である。
 ご承知のように、前田は両脚のアキレス腱を傷め、長く故障と戦ってきた。今年は久しぶりに足の具合がいいそうで、今のところ全試合に出場を続けている。それだけでも今季の広島カープの試合は見るに値するのだが、前田の打席を観察していると、面白いことに気づく。それは、見逃したり、空振りした後の姿である。およそ他の打者ではありえないくらい、大きく体勢が崩れ、打席を飛び出すこともしばしばだ。申し訳ないが、ぶざまである。それでいて、ボールをとらえたときは、本来の実に美しいスイングに戻る。

 これは一体どういうことなのだろう。あくまでも想像だが、前田は構えてから、右足をステップしてスイングに入るギリギリまで、体重が軸足に乗っているのではないだろうか。ステップする右足を見てみると、フワッといかにも柔らかく動く。右足にはステップが着地するくらいまで体重がかかっておらず、極端に言えば、軸足だけで回転してスイングする感覚なのではないか。
 ただし、ボールをとらえたときには、当然ステップした右足が軸足から送られるパワー(体重移動)を受けとめなければならない。だからこそ、きれいな形のスイングが現出する。しかし、ボールをとらえない空振りや見逃しのときは、軸足が回転しかけても、右足が体重をひき受けないままだから、大きく体勢が崩れるのではないか。

 これは、両足に不安をかかえる特殊事情でもあるだろう。少しでもスイングによって足にかかる負担を軽くすませたいから、ボールを打たないときは、軸足に乗った姿勢を崩さず、無意識に体重移動を抑えているのではないか。もう1つ、むしろこっちのほうを重視したいのだが、それくらい、軸足に体重を乗せたままの回転でスイングをするのが、究極のバッティングの姿なのではないか。前田のフォームは、それを体現しているのである。
 今年はこれまでに何本も見せてくれたのだが、前田がライトスタンドへ完璧な当たりをしたときの両足の形というのは、本当に美しい。軸足のヒザと右足のヒザが連動して(ヒザを送ると表現するのでしょうか)ボールをスタンドに運び去る。私は、これこそがバッティングのイデアだと思う(イデアは、まあ「理想形」でしょうか。詳しくはプラトンを読んでください。たまにはタイトルに合わせて「哲学」しないとね。プラトンの対話篇って、けっこう面白いですよ)。


「これにより、バットが速く、最短距離でボールをとらえることができる」(「スポーツニッポン」6月29日付「五つ星」)。

 ところで、前田がまだ足を故障する前のこと。かれこれ12~3年前に実現したインタビューが忘れられない(何度か書いたことですが)。インタビューが終わって帰り際にこう言ったのである。
「ところで、あのゴジラとかいう人、何なのですか。バッティングは力ですか。イチローはなんであんなに内野安打が多いんですか」
 若き日の前田は、まだ故障の苦悩を知らず、日南のキャンプ地でひたすらバッティングのイデアを追い求めていた。自らを孤高の求道者に追い込まないとバッティングのイデアには届かない、という若い確信にあふれていた。その高みから見ると、松井のバッティングは力まかせのものとしか映らなかったのだろうし、内野安打もまたヒットと恬然としているイチローも許しがたかったのだろう。

 今年34歳になる前田が、今でも同じ批判を口にするとは思えない。その後、若々しい志は故障に挫折を余儀なくされ、一方、松井とイチローは海を渡ってメジャーを代表する打者に成長した。
 それでもなお、現在の松井とイチローに対しても、若き日の前田の批判は有効だと私は考える。松井は故障をきっかけに、たしかに化けた。いまや、ものすごい打者である。しかし、ではそれまでの不振は何だったのか。もともと故障後のバッティングができるだけの能力があるのに、それでもバッティングを力で解決しようとする側面があるから、これまで、いつも好調と不振が背中合わせになってきたのではないか。あるいは、外の厳しい球はレフト前でいい、という割り切りがなかったか。もちろん、ヤンキースでレギュラーを不動のものにするためには、そのくらいの戦略は必要だっただろう。それはわかるが、その上でなお、全部ライトにホームラン、という志は秘めておいてほしいじゃないですか。そのときに必要なのは、前田が喝破したように、力ではなく、イデアへの意志だ。

 イチローについては、もはや誰も批判できないくらいの領域に入っていってしまった。そりゃ、すごいとしかいいようがない打者ですよ。だけど、バッティングのイデアはそこにはないよ、ライトスタンドに突き刺さる打球にこそあるんだ、とささやく脳内物質を、少なくとも私は抱えて生きている。かつての前田智徳のように。

 イチローに関しては、メジャーに移籍して2年目だったと思うが、新井宏昌さんのテレビ解説が忘れられない。新井さんは、イチローに破られるまで、日本のシーズン最多安打記録を保持していた、オリックス時代の打撃コーチですね。弟子に当たるイチローのフォームを分析しながら、こうコメントした。
「バッティングの軸は、どんなバッターでも、少しだけ前に出ます。軸が前に出ないと打てません。バリー・ボンズでもそうです。ステップしたところが、自分の軸なのです」
 これも、バッティングの核心にかかわる、重要な指摘だ。
 つまり、これまで述べてきた「軸回転」に関して、新井さんは、その場で回る感覚が重要だが、それでも実際には軸はわずかに前に体重移動したところでつくるべきものだというのである。イチロー、バリー・ボンズという、という当代の究極の強打者を素材にこう解説するところがすばらしい。


(『剣の思想』甲野善紀・前田英樹著、青土社)
 共著だが、この部分は前田英樹さんの文章である(余談だが、この本の前田さんの文章は圧倒的におもしろいです)。
 想像はつくと思うが、これは宮本武蔵の『五輪書』を論じた箇所である。バッティングと共通するものを感じるでしょう。王貞治の伝説を持ち出すまでもなく、太刀を振る動作とバットを振る動作には、根底で通じる境地があるのだ。

 軸は、たしかに軸足で回転する感覚でいいのである。しかし、より厳密に奥義に迫るならば、軸は「わずかな前進」を必要とするのだ。これが、新井さんがテレビで強調してやまなかったポイントであり、前田でいえば、ボールをとらえたときに、両膝でスタンドまで運び去る感覚である。
 新井さんによれば、イチローもボンズも、これができているということなのだろう。


 前回、『打撃の神髄-榎本喜八伝』(松井浩著、講談社)という本にふれた。榎本喜八は「昭和の安打製造機」と異名をとった強打者で、1000本安打達成はイチローよりも早かった(2000本はイチローが歴代一位)。師匠の荒川博によれば、ボールをキャッチャーミットに入る直前まで引きつけて、すべての打球をライトに向けてフルスイングした、という。レフトに流すなんて考えもしない打者だったそうだ。
「合気打法」と名づけるその打撃理論は独特で、なかなか理解しがたい面もある。しかし乱暴に要約してしまえば、体の内側に1本の線を意識し、究極の軸回転を実現することで、最後にはタイミングさえ不要の境地に到達した、ということだ。ここには、きっとバッティングのイデアが宿っているにちがいない。


ちなみに こちらからの引用です。


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最終更新日  2006年09月27日 15時40分53秒
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コメント新着

GawRiku @ ほほう アニキが言っていましたか。。。
喜八っち @ どーも 懐かしいでしょ。
ナガえもん @ そう言えば やってましたねえ、特命リサーチ200Xで…
ナガえもん @ ところで いよいよ明日ですねえ、センバツの出場校…
ナガえもん @ よくぞ 見つけましたなあ。 なかなか楽しめます。
ナガえもん @ あらら やはりご存じなかったのね。 教えようと…
不平等を考える@ スポーツ 成果にばかり目がいき、その背景を考慮し…
hieco@ お! 喜八っちさん、久しぶりの更新ですねー。…
花華@ がんばァ☆ 茉莉さん!!!!!! 私も同じ気持ちで…
侭云@ がんばってぇ… そうですね!! 勝っても負けてもずっと…

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