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著者の『楽園』以来となる3年ぶりの現代エンターテインメント。最近は時代小説やファンタジー、社会派ミステリーが目立っていたが、新作は家族、友情、恋心…と様々な要素が詰まった青春ミステリーとなった。家族や周囲の人間たちとのきずなや人の想いに重点が置かれた作品だ。 高校生・花菱英一(愛称:花ちゃん)の両親は、昔写真館だった中古住宅を購入する。「小暮写眞館」という写真屋の外観をそのままに、花ちゃん、小学生の弟の4人は新たな暮らしを始めた。だが、その古家にはかつての主人・小暮さんの幽霊が出るという噂も…。 「殺人はもう書きたくない」宮部みゆき 青春小説『小暮写眞館』asahi.comこのミステリがすごい2011年版 国内編 第8位ひさびさに読んだ宮部さん現代小説は、爽やか青春ミステリー。学園内に留まらず、主人公英一の家族、友人、知人をちりばめて、心霊味が利いてました。高校生の英一一家は、新しい町新しい家に引っ越してきたばかり。古い写真館だった「小暮写眞館」を、そのまま改築して住み始めます。両親の物好きな趣味に呆れながらも、古い家に馴染んでいく様子も微笑ましいです。ひょんなことから心霊探偵と称せられた英一は心霊写真の謎を解明したり、家族が抱える悲しみ、気になる年上の女性、友人達との掛け合いをしたり、と、沢山の温かいものが詰まった本でした。700ページと厚いですが、各章ごとによめます。心霊事件は、あっさりしすぎて蛇足化してるという評価もあるようですが、宮部さんは、無駄話的ゆるい話の運びをしたかったそうですし、もう辛くなるような殺人事件は書きたくない心境とのこと。この本は家族の再生、高校生の青春、と笑えて泣けて、謎も解明して、と、てんこもりな感動本でした。一番傑作だったのは、”手頃な俺”を噛み締めるシーンが、爆笑でした。kの単語に最初はショックな英一だけど、再三噛み締めるうちに、やがてこれはなかなかいいポジションだぞと、受け入れる心境の変化。彼の前向きな強さがうかがわれます。いや自分で自分を慰めてのことかもしれないケド、こういう謙虚さというか、自分を知る瞬間と言うか、、面白すぎてゲラゲラ笑えたのは、母親の立場で英一を見て読んでいるからでしょうか。英一みたいな真面目で優しい高校生がウチもいるんで。(こんな優秀ではないけどネ)英一はとても大人びた高校生ですが、でも、きっと心に封をしている記憶、ソレが潜在的に弟ピカや両親への優しさになっている。その気遣いと背負っているものの重さが、彼を大人にしているんだよね。英一の4歳で亡くなった妹の死は、家族の核ともいえる重い記憶で、本の始まりではちょっとしか触れていないけど、宮部ワールドは、このちょっとした伏線が、実は大きな本流であり、最後の最後にドド~っと解決していく。それこそ、英一の封印していた記憶の「解凍」「雪崩れ」「雪解け」状況とともに。いいよね、青春。一杯悩んで、考えて、いいおとな、いい男になって欲しいね。
2011年04月30日

11人もの女性をレイプして殺した挙げ句、死に顔に化粧を施すことから“ドールメイカー(人形造り師)”事件と呼ばれた殺人事件から4年―。犯人逮捕の際、ボッシュは容疑者を発砲、殺害したが、彼の妻が夫は無実だったとボッシュを告訴した。ところが裁判開始のその日の朝、警察に真犯人を名乗る男のメモが投入される。そして新たにコンクリート詰めにされたブロンド美女の死体が発見された。その手口はドールメイカー事件と全く同じもの。やはり真犯人は別にいたのか。人気の本格ハードボイルドシリーズ第3弾。ハリー・ボッシュ・シリーズ第3弾 このミステリーがすごい海外編 第4位 1996年版法廷シーンが中心です。リーガル・ミステリといえばスコット・トゥローやリチャード・ノース・パタースンがいますが、まったく遜色ないです。4年前の「ドールメイカー事件」と呼ばれる連続殺人事件。丸腰の容疑者を射殺したとして、ボッシュが左遷の憂き目にあった事件です。ボッシュは、ある男の部屋を急襲したところ、男が枕の下に手を伸ばしたのを見て射殺。ところが、枕の下にあったのは、カツラだった。結果的に、その男は事件の犯人と判明しますが、内務監査課IDAにとっては、ボッシュを追放する格好の”餌”となりました。やがてボッシュは22日間の停職処分ののち、エリート部門、ロス市警の強盗殺人課RHDから、ロス市警の下水と呼ばれるハリウッド署殺人課刑事へと飛ばされる事になりました。今回「ドールメイカー事件」裁判で、犯人の家族が、本ボッシュを訴え裁判シーンが満載。ピンチなボッシュ。さらに新たな「ドール・メイカー事件」かというような殺人事件が起こり、犯人は死んだ筈なのに何故?ボッシュの殺した犯人は無実だったのか?新たな事件は模倣氾なのか?それとも真犯人なのか? 過去の「ドール・メイカー事件」の裁判を受けながら、新たな「ドール・メイカー」事件の捜査にも駆け回るという忙しいボッシュ。裁判所と現場を行ったり来たり。同時進行でいくつもの事項が進行するというのは、コナリーさんの手腕の見せ所で、おもしろいです。しかもボッシュ側弁護士は頼りなく、相手側弁護士はやり手と名高い人物。彼女の法廷手腕につい感心しているボッシュは、彼女が自分の弁護士だったら良かったのにとつい思うのです。法廷では、ボッシュの生い立ちも取り上げられ、相手の勝ち点になるかと思いきや意外にボッシュに有利に働いたり、法廷対決はおもしろかったです。緊迫の雰囲気でした。裁判の決着と事件の終着点と、ボッシュの考える容疑者も二転三転どんでん返し。正直、結末はちょっとどうかと思ったんですけど。これじゃ誰でも有りなんジャンと。ボッシュに関係の深い人物だっただけに、また関係者かと。ちなみに、これまでボッシュを警察から追い出そうとしてきたアーヴィン・アーヴィングが、自作からどう関わってくるかが楽しみです。「このミステリーがすごい!」の 1996年版海外編のランキングは以下のとおり、1位ミネット・ウォルターズ『女彫刻家』2位ロバート・R・マキャモン『少年時代』が、従来ではわたしの好みで、過去に読んでます。スコット・トゥローいますね。弁護士視点の小説でなく、被告それも刑事がというので、この年はマイクル・コナリーに軍配だったかな?1位 女彫刻家 2位 少年時代 3位 死者との誓い 4位 ブラック・ハート 5位 第二の銃声 6位 有罪答弁 7位 マエストロ 8位 殺戮のチェスゲーム 9位 ただ一度の挑戦 10位 パパはビリー・ズ・キックを捕まえられない ミネット・ウォルターズ ロバート・R・マキャモン ローレンス・ブロック マイクル・コナリーアントニイ・バークリー スコット・トゥロー ジョン・ガードナー ダン・シモンズ パトリック・ルエル ジャン・ヴォートラン ブラック・ダリア原作本 エルロイ ブラックダリア映画感想
2011年04月27日

モーテルで発見された麻薬課刑事ムーアの死体。殺人課のボッシュはなぜか捜査から外され、内務監査課が出動した。興味を持ったボッシュは密かに事件の裏を探る。新しい麻薬ブラック・アイスをめぐる麻薬組織の対立の構図を知ったボッシュは、鍵を握る麻薬王ソリージョと対決すべくメキシコへ。『ナイト・ホークス』につづくシリーズ第2弾。ハリー・ボッシュシリーズ第2弾このミステリーがすごい!海外編 第9位 1995年版ハリー・ボッシュはどういう人なのでしょう。第一作目から、上司に「警察という組織に当てはまらない要注意人物。警察から追い出したい奴の筆頭」とにらまれています。でも、彼は腐敗警官ではありません。腐敗を嫌い不正を正すことを信条としているようです。『我が心臓の痛み』のマッケイレブの様に、善なるものを持ち続けている。それでいて、この『ブラックアイス』の結末から言えば、必ずしも真実を明るみに出せばOKという事でもないらしい。この場合は彼が惹かれた未亡人の幸せを守るという小さな?ことの為に真実は自分の胸ひとつに納めてしまった。悪は自分の手で断罪し。全てを明るみに出して法にゆだねる事よりも、個人の小さな幸せの為に自分で断罪、秘密は闇に。これって、クリントイーストウッド的、カウボーイ的解決ですよねぇ。結末のどんでんがえしは、圧巻でした。映画スター・ウォーズの「お前は父の仇だ!」「お前の父はわたしだ!」「ガーン!!」こういう展開があるわけではありませんが、主要人物の始まりと終わりでは名前が違っているという点で、こんなくらいの衝撃度があるということです。メキシコ。全然イメージできないくらい遠い国です。麻薬王が、法王なみにありがたがられる国。それくらい、産業が無く貧しい国なので、麻薬王が麻薬で儲けた金で町が潤う。マフィアが暴力や犯罪で儲けた金で、ファミリーや町が潤うみたいな構図。コナリーさんは、広く長く記者生活をされているから、社会の暗や負や腐や仕組みをよく知っておられる。警察という組織についても。ハリーの今回の彼女は、検察官。<検察官>シリーズのように検察庁長官を狙うキャリアアップをはかる彼女。彼女から情報を得たり、それを新聞記者のお友達に漏らして彼女の逆鱗に触れたり、事件の行方次第で結果的に彼女のキャリアアップも助ける。キャリアアップの道を進む彼女とよろしくやりつつ、同僚の未亡人からの秋波にもときめいてるし。女性にもてるんですねぇ。前回の『ナイト・ホークス』の彼女は、牢屋送りにしちゃうし。ハリーの女性の趣味と、付き合い方は波乱万丈です。父親探しを回想するシーンがありました。1970年頃、除隊し、ロスに戻り、自分探しをおこなった結果、癌で死期間近だった実の父親であり一流の弁護士だったJ・マイクル・ハラーにギリギリ対面。「お前はもしかしたらハリー・ハラーになっていたかもしれないな」と言われます。ヘッセの本の登場人物ハリー・ハラーは、人生に幻滅した孤独な男、まともなアイデンティティをいっさい持っていない男でした。父親は、人物ではなく一流弁護士で、義理の兄に当たる人物も弁護士。時折法廷で見かける事があるが、一切言葉はかわさない。それでも、ボッシュの頭脳は父親譲りの優秀さなのが分かるし、血のつながりのある人が世の中のどこかにいるというのは、救いだったのではないでしょうか。父親の亡くなった年の8月に、ボッシュはロス市警にされました。ボッシュの自分探しがひとつ実ったようです。
2011年04月27日

ハリー・ボッシュはかつてロサンゼルス市警本部の強盗殺人課の敏腕刑事で、その活躍はマスコミにもてはやされ、TVの刑事ドラマのモデルにもなったこともあった。しかし、女性を絞殺しては化粧を施すドールメイカー事件で、武器を持っていない犯人を射殺したことで、ロス市警の下水といわれているハリウッド署に左遷された。彼は、まわりのやっかみと一匹狼的な性格から、署内でも浮いた存在となっていた。そんな彼の管轄下で、ベトナム戦争時代の友人が殺害される事件が起きた。未だヴェトナム戦争の悪夢に悩まされ、眠れぬ夜を過ごす刑事ボッシュにとっては、20年前の悪夢が蘇る。事故死の処理に割り切れなさを感じ捜査を強行したボッシュ。だが、意外にもFBIが介入。メドーズは、未解決の銀行強盗事件の有力容疑者だった。孤独でタフな刑事の孤立無援の捜査と、哀しく意外な真相をクールに描く長編ハードボイルド。ハリー・ボッシュシリーズ第1弾1993年MWA最優秀処女長編を受賞マイクル・コナリー「ハリー・ボッシュ」シリーズついに映画化?いよいよ読み始めました。マイクル・コナリーの本流<ハリー・ボッシュ>シリーズ。ハリー・ボッシュは、立派にハードボイルド主人公のスタイルを持ってます。仕事は出来るのに、周囲とそりが合わずひとり浮いた存在、べトナム帰りで何らかの後遺症(心理的外傷)を負っている。べトナムでは陸軍に入隊し、工兵(トンネルネズミ)として従軍した。後遺症は不眠症という形で、彼の心理に深い影響を与えています。出生も暗い影があり、母親は街娼でボッシュが11歳のときに通りで殺害されています。父親は名前も知らない。マスコミや政治家への対面を気にする上司、上司に追従するイエスマンたち。彼等にはすこぶる評判が悪い。 「お前は組織に適していない。お前がいると組織が崩壊する」けれども、ボッシュ自身の生い立ちは、常に組織に属してきました。共同体で生きる術は、充分持っている筈です。養護施設、軍隊、警察、。ボッシュという人物は、何か善なるものに近づきたい、目的意識が高く強いタイプのようです。それが、警察という組織と対立するのではないでしょうか。このシリーズを読み進めれば、ボッシュについて、このシリーズについて、もっといろいろ知る事になるでしょうね。ガチガチのハードボイルドよりは、とっつきやすいという印象でした。それまでのハードボイルドの主人公達に比べると、孤独で一匹狼、ベトナム戦争の後遺症、正義感、という特徴は、ほどほど、まあまあという位置づけのようです。この普通さが、最近のハードボイルドのようです。今は酒や麻薬に溺れすぎない、ダークすぎない等身大のヒーローが良いようです。時には自分の言動に顔を赤らめる、というかわいらしさ、等身大の人としての面があるハリー・ボッシュは、まだまだお知り合いになったばかりですが、これからさらにお近づきなれるのが楽しみです。日本ではいまいち大ブレークといかないようだと、解説にありましたが、そのとっつきにくさはなんだったんでしょうね。ジェイムズ・エルロイやジェフリー・ディーヴァーらのような奇抜さや特徴的なものがない、地道な捜査やボッシュの内面を掘り下げる、というのが、目を惹かない理由かもしれません。でも、読んでみて分かります。地道なものほど、筆力がなければ続かないのだと。一定の人気を誇り、シリーズ刊行本も17冊?となれば、その筆力は疑いようが無いですね。邦題『ナイトホークス (夜ふかしをする人たち=夜の鷹)』とは、作中登場の絵画の題名。FBIの女性捜査官エレノアの所持する絵で、ハリーとエレノアが絵の人物に自分を重ねるエピソードがあります。絵師のエドワード・ホッパーは、自ら孤高を保ちながら、人間の孤独感、疎外感を描き続けた米国の画家で、酒場、オフィス、アパートの居間など、都会のありふれた生活を描いた絵画に、それを強く感じさせる作品を多く書描いてるそうです。原題の”The Black Echo(ブラック・エコー)”は、ベトナムでトンネル堀りに従事した兵士の息づかいのこと。ベトナム戦争の”トンネルネズミ”と呼ばれた兵士を象徴する単語から、『ナイトホークス』というのに題名が変わったのは、日本人向け邦訳本としては、ベトナム戦争の落とす微妙な暗い影より、ハリー・ボッシュという人となりを紹介するのにふさわしいのは、絵画のイメージの方という判断だったのでしょうか。アメリカではベトナム戦争の傷跡が、すぐに理解されるでしょう。 大きな普遍的なテーマとして『夜ふかしをする人たち』の邦題にしたようですね。出版社が、いろいろ違うので、戸惑いました。扶桑社より出版は、ハリー・ボッシュシリーズ初期作品『ナイトホークス』『ブラック・アイス』『ブラック・ハート』『ラスト・コヨーテ』 『トランク・ミュージック』『エンジェルズ・フライト』その後は講談社のようです。ハヤカワからも一冊出てます。『シティ・オブ・ボーンズ』マイクル・コナリー著 感想わが心臓の痛み
2011年04月26日
連続殺人犯担当だったFBI捜査官テリー・マッケイレブ。心筋症を患っていた彼は心臓移植を受け、早期引退していた。病院から退院した彼のもとにある女性が現れる。その女性グラシエラによると、いまマッケイレブの胸のなかで動いている心臓はコンビニ強盗に遭遇して絶命した彼女の妹グロリアのものだという…。因縁の糸に導かれ、事件の解決にのめり込んでいくマッケイレブが到達した真相とは?『ナイトホークス』でのデビュー以来、ミステリーの最前線を疾走するコナリーが、テーマ、プロット、キャラクター…それらすべてに趣向をつくして、現代ハードボイルドのさらなる可能性を拓いた意欲作。 このミステリがすごい!海外編 2001年版 第6位 1998年アンソニー賞 マカヴィティ賞 フランス推理小説大賞今頃マイクル・コナリー?とハードボイルド通の方には鼻で笑われそうですが、そうです、やっと読む事が出来ました。図書館や書店でも必ずズラリと並んでいる人気のシリーズ本ですよね。90年代を代表するハードボイルド作家という評価が高いマイクル・コナリー。『わが心臓の痛み』の主人公テリー・マッケイレブは、珍しい血液タイプで、自分が心臓移植の手術を受けられ、生きながらえた意味を事件を追ううちに知っていきます。心臓提供者の女性の姉妹が、事件の捜査を依頼しにきますが、初めは体調のこともあり乗り気でなく、また、FBIを退職した自分が乗り出せば、管轄のロス市警ときっと摩擦をおこすだろうと予想されました。案の定、事件の担当刑事は最初からマッケイレブを軽視したりライバル視します。単細胞マッチョタイプ風で、この男の事件の犠牲者に対する姿勢や事件への取組み方の軽さに、マッケイレブが強烈な批判精神で対峙していく様子も、読んでて良い感じでした。はじめは、あんまり乗り気でない気分が徐々に事件にはまっていく、というのに釣られて読む側だんだん引き込まれていくのです。やがて「心臓移植=事件そのもの」という真相が明かされ、犯人の正体や動機に、あっと驚かされました。ひとつひとつの証言や状況分析も、警察小説らしくておもしろいです。マイクル・コナリーのシリーズ本は、が代表作ですね。事件そのものと、私生活の部分がうまいバランスで絡んでくるのが読み心地の良さでした。本書『わが心臓の痛み』は<ハリー・ボッシュシリーズ>のいずれか作品の数年前に起こった事件とのことで、まずは本書を読んでみました。これから、多作なシリーズを読むのが楽しみです。2001年の海外編ランキングは以下の通り1位 ポップ1280 ジム・トンプスン 2位 Mr.クイン シェイマス・スミス 3位 ハンニバル(上・下) トマス・ハリス 4位 囮弁護士 スコット・トゥロー 5位 ジョン・ランプリエールの辞書 L・ノーフォーク? 6位 わが心臓の痛み マイクル・コナリー 7位 夜の記憶 トマス・H・クック 8位 闇よ、我が手を取りたまえ トマス・H・クック 9位 子供の眼 トマス・H・クック 10位 コフィン・ダンサー ジェフリー・ディーヴァー <刑事 ハリー・ボッシュ> シリーズ 『ナイトホークス』『ブラック・アイス』 『ブラック・ハート 』 『ラスト・コヨーテ 』『トランク・ミュージック 』『堕天使は地獄へ飛ぶ』『夜より暗き闇』 『シティ・オブ・ボーンズ 』『暗く聖なる夜 』『天使と罪の街 』『終決者たち 』『エコー・パーク』『死角 オーバールック 』“Nine Dragons” “The Reversal” その他『ザ・ポエット』 『わが心臓の痛み』『バッドラック・ムーン』 『チェイシング・リリー 』 『リンカーン弁護士』
2011年04月18日
戦争が終わってちょうど十年目、いまだ空襲の跡が残る大阪の下町に生まれた作田又三。高度経済成長、六十年安保闘争、東京オリンピック、大阪万博、よど号ハイジャック事件、日本列島改造論、石油ショック―激動の昭和の時代、生まれながらの野生児、作田又三は、人生という荒海を渡っていきます。いざ、海図なき嵐の海へ。さあ、錨を上げよ。疾風怒濤の2400枚。圧倒的青春小説です。2011年本屋大賞 第4位本よみうり堂 書評大感動だった『永遠の0』以来、百田尚樹さんの本を読むのは2作目です。戦争、戦闘シーンがメインだった『~ゼロ』と対照的だった『錨~』でした。ずいぶん女性が出てきます。妻というひとりの女性の為に戦争を生き抜こうとした男の姿を追った『~ゼロ』。ストイックさカッコよさ、、切なさでは『~ゼロ』に軍配ですが、女性を愛する時だけ、真に人生に価値を見出す時となる、という意味では、ある意味同じテーマが流れてるのかな?又三の回り道、道草だらけの生き方は泥臭い。同じような失敗の繰り返し、おばかさんで面白いです。現代に、こんな人はもういないように思います。高校時代までは、『クローズ』や『ドロップ』のごとき不良少年。ケンカがめちゃくちゃ強く、背も高く、一匹狼。ただ、彼には彼の不満や怒りの行動理由があるみたいですね。勉強の為の勉強は出来ない、高校も留年を入れて4年かかっている。就職もするが、興味の持てない仕事や、高卒人間の将来の展望のなさに気付いたとき、猛烈に大学受験を目指す。目的意識を持てば猪突猛進、見事大学に入学しちゃうのが凄いです。育った環境で、自分は知的人物には程遠いと、何度か文面に書かれてますが、芸術や知識について関心が高く、芸術人知識人を尊敬する気持ちに嘘偽りはない。やはり頭のよさを伺わせます。戦後の高度成長時代に生きた人物を描いた小説として、とても優れていると思います。随所で政治運動が関わってくるのが時代の特徴でしょう。佐々木譲さんの『警官の血』の2代目が政治運動で消耗していった様が思い出されました。2代目はそれにがんじがらめにされ精神もやんでしまいますが、又三はしたたかで何ものにも囚われない。自由に生きますが、自分の性格が招く災難に囚われる根無し草。大阪、京都、東京、北海道、バンコク、、場所も職も転々とし、一箇所に落ちつくことのない作田又三。これほど人生にロマンを追い求める人は、幸せに生きれるのか?彼が、錨をおろす場所は何処なのか?それにひっぱられてずっと読んでました。彼のような破天荒でへこたれない、問題意識の高い人は、ジャーナリストになればいいのに、と思いました。 こんなインパクトの強い人物は、他には何と言っても宮本輝さん著『流転の海』シリーズの熊吾だけです。
2011年04月14日
植物状態になった患者と、コミュニケートするための医療器具「SCインターフェース」が開発された日本。少女漫画家の淳美は、自殺未遂を起こして数年間意識不明に陥っている弟の浩市と対話を続けている。「なぜ自殺を図ったのか」という淳美の問いかけに、浩市は答えることなく月日は過ぎていた。そんなある日、謎の女性からかかってきた電話によって、淳美の周囲で不可思議な出来事が起こりはじめる…。『このミステリーがすごい!』大賞第9回(2011年)大賞受賞作虚構と現実がテーマの作品というと、映画ではよくあります。アレハンドロ・アメナバール監督の『オープンズ・ユア・アイズ』、『アザーズ』が顕著。シャマラン監督の出世作『シックス・センス』、ジョニー・デップ主演の『シークレット・ウィンドウ』アレックス・プロヤス監督『ダーク・シティ』、、。最近だと、デニス・ルヘインの『シャッター・アイランド』やクリストファー・ノーラン監督の『インセプション』とか。チョット前なら、断然『マトリックス』かな。『アイデンティティ』もよかった。こうしてズラズラあげると、映画ばっかり。映画のほうが表現しやすいし、見ごたえがありそう。虚構と現実のテーマのオチは、いろいろで、夢オチ、SFオチ、心霊オチ、人格障害オチ、などなど。手法を変えて、形を変えて、何度も様様々な作品が生まれるのは、なぜか。どうしても夢と現実の境目で彷徨うことに、私たちは惹かれてしまうからなのでしょう。淳美の弟は、夢の中でも繰り返し自殺する。何故なのか、結末は? このオチは?「SFスリラー」、巻末の講評にも「インセプション」や「マトリックス」などが引き合いに出ている。
2011年04月12日
アイダホ州北部の小さな町。12歳のアニーと弟のウィリアムは森で殺人事件を目撃してしまう。犯人はロサンジェルス市警の元警官四人で、保安官への協力を装い二人の口封じを画策する。途方に暮れた姉弟が逃げ込んだ先は、人手に渡る寸前の寂れた牧場だった。老牧場主のジェスは幼い二人を匿い、官憲を味方につけた犯人一味との対決を決意するが……雄大な自然を舞台に、男の矜持を賭けた闘いを描く、新たなサスペンスの傑作 2009年 MWA賞(アメリカ探偵作家クラブ)受賞子供が、偶然殺人を目撃したことで起こる冒険、成長、苦悩、救い、痛み、欺瞞、真実。2011年なら、 キャロル・オコンネル著『愛おしい骨』 ですね。スティーブン・キングの『IT』 とか、トマス・クックも十八番じゃないですかね。でも一番すぐ思い浮かんだのはマキャモンの『少年時代』。読み逃しているジョン・ハートの『ラスト・チャイルド』もこんな感じかな。こういうテーマは、欧米では古典的手法と言っても良いんではないかと、思いますね。キングの『スタンド・バイ・ミー』とかね。子供の、子供時代の姿が、遊びや好奇心や秘密を抱えた眼差しが、どれだけ輝かしいか、魅力的か、で、こうした本は、良し悪しが分かれるのかも。子供らに忍び寄る<死>がその輝きをより輝かせるようだ。その測りでいうと、『ブルー・ヘブン』は、手ごたえは軽かった。それだけに読みやすいのだけど、<猟区管理人>ジョー・ピケットシリーズの方が、好きです。良い人ばかりが揃っているのはつまらない。頭の悪そうな母親にもイライラ。
2011年04月07日
経験豊富な同僚が44マグナムをくわえて、引き金を引いた!?猟区管理官の鑑ともいえる男に何があったのか。後任としてジャクソンに赴任したジョーの前には、未知なる大自然が危険と美しさを湛えて広がっていた。家族とホームタウンを愛する男が新天地での犯罪に挑む、MWA賞受賞作家の好評シリーズ第4弾。今回ジョー・ピケットにチャンスが巡って来ました。出世コースである花形地区に代理として臨時赴任する事になりました。ワイオミング州ジャクソンホールーーグランド・ティートン国立公園、イエローストーン国立公園の入口に当たるアメリカでも有数の観光地。そこはセレブが集まる最先端リゾートであり、何処よりも広大で荒々しい自然を擁しています。そして現代西部が直面する様々な問題のルツボ、過激な動物保護運動、極端なロハス志向の住宅開発、違法な狩猟、ジョーはその渦中に投げ込まれながら、タフだった同僚を追いつめて死に至らしめたものはなんだったか、探ろうとします。家に残された家族を謎の電話が執拗に悩ませます。慣れ親しんだ小さな町を離れたジョーを待受けていたのは、非協力的な地元の保安官、伝説的なアウトフィッター、強引で高慢な開発業者、彼を誘惑する美しい人妻、そして愛する家族との別離のような溝。雄大な山岳地帯を舞台に、著者は、独創的かつクラシックな男の冒険譚を繰り広げてくれました。ジョー・ピケットが人気なのは、”アメリカの良心”と呼ばれる精神を彼が体現してるからなのかもしれませんね。ジョーをおびやかす、老練な実力者たちビッグ3が印象深かったです。ドン・エニス・・・・・・・・傲慢な開発業者、セレブな住宅地建設を計画スモーク・ヴァン・ホーン 地元の古顔、伝説的なアウトフィッターのボスO・R・”バド”・バーナム 引退した元保安官、ジョーを恨んでるこの中でも、スモークの複雑で厳しい自然を知り尽くした威厳と哀愁の漂おう男との対立の行方は息詰まるものがありました。そして、一作目からの因縁深かった元保安官との対立も一応の決着の形がつきます。元保安官の着地点は、ちょっとびっくりでした。シリーズはすでに10作品、毎年執筆刊行されているそうですね。翻訳はシリーズ中4作品。続編が待ち遠しいです。 今年2011年7月にも刊行か?ジョーや彼の家族の様子が早く知りたいです。C・J・ボックス <猟区管理官> ジョー・ピケット・シリーズ 『沈黙の森』 『凍れる森』 『神の獲物』 『震える山』ノン・シリーズ『ブルー・ヘヴン』 MWA賞受賞 『さよならまでの三週間』【ミレニアム】シリーズ【海洋冒険】 ダーク・ピットシリーズ【検視官】 ケイト・スカーペッタシリーズ
2011年04月03日
まるで外科手術のような鮮やかさで切断されたへら鹿の死体が発見された。次に家畜。ついには人間にも凶行が及び、森に現れたジャック・ザ・リッパーは、小さな町をパニックに陥れる。ワイオミングの大自然と家族をこよなく愛する猟区管理官ジョーが「自分の力を超えた」相手と対決する好評シリーズ第3弾。デビュー作『沈黙の森』では絶滅危惧種法。2作目『凍れる森』では官僚組織と反政府主義者の対立、とC・J・ボックスは現代西部が直面する大きな問題をこのシリーズで取り上げてきました。今回のテーマはエネルギー開発。自身のサイトで語るように、ブームとなっているメタンガス採掘によって景観が変わるほど西部の自然が荒らされている状況に注目。リサーチ中、モンタナで家畜が切り裂かれる”キャピトルミューティレーション”が発生。1970年代に起きた同様の事件と、死因不明、周囲に足跡がない、外科的正確さの部分切り取り、捕食動物に荒らされていない、などの奇妙な特長が共通していた。現実に起きた家畜惨殺事件にヒントを得て、オカルト風味を取り入れた含蓄深いスリラー・サスペンスを描き、さらに作品世界を広げました。作中では、動物の次の犠牲者が人間で、カウボーイと水質検査業者の二人が同様に切り裂かれ死体となって発見されたことで一帯は大騒ぎとなるます。カルト教団、変質者、政府の新兵器、テロリスト、未知のウィルス、エイリアン、鳥、、さまざまな犯人説が飛び交うが一番耳目を集めたのはエイリアン説。観光客は激減、メタンガス採掘によるエネルギー・ブームに沸いていた一帯の土地価格は風評被害で急落。急遽対策本部が設置されますが捜査は難航、無能な保安官事務所を向こうに回し、ジョーは解決に奔走する。さらに、ネイトと娘シェリダンの見る不思議な夢と、ジョーの担当区域に侵入してきた灰色熊のシグナル。このシリーズには、パトリシア・コーンウェル<検視官>シリーズの最盛期を思わせる充実感を感じました。主人公の造形はまったく違いますケド。猟奇殺人、リーガルもの、ハードボイルド、、ジャンルはいろいろありますが、探偵役がタフでクールかそうでないか、といえば、、<猟区官>シリーズのジョーは、ぱっとしない等身大の男です。一応役人ですが、どこにでもいそうな良心的な男。保安官でも検事でもないから、事件に積極的に関わる立場ではありません。自然を愛し、動物を愛し、仕事を愛し、家族を愛する。ところがここ一番!というときには、カウボーイさながらの気概が噴出する。人物間の緊張感が、物語を面白くしているように思います。C・J・ボックス <猟区管理官> ジョー・ピケット・シリーズ 『沈黙の森』 『凍れる森』 『神の獲物』 『震える山』ノン・シリーズ『ブルー・ヘヴン』 『さよならまでの三週間』
2011年04月03日
広大なワイオミング州の自然と家族を愛する猟区管理官ジョー・ピケットはエルクの大量殺戮現場に遭遇。違法ハンターを追い詰めるも、死体で発見する。森林局のキャリアウーマンと好戦的なFBI捜査官は、森でキャンプを張る反政府グループに目を付けるが。新人賞独占のデビュー作を超えた<猟区管理官>ジョー・ピケットシリーズ第2弾。冒頭ジョー・ピケットが遭遇するエルクの大量殺戮現場。犯人はあっというまに惨殺され、ジョーはなんとか遺体を山から運びます。雪山での奮闘が見ものでした。犯人を逃すという失態に悔やむジョーの心情にも同情。そしておはなしがどんどん進みます。前作『沈黙の森』よりさらに読みやすくなった気がしました。惨殺された犯人の上司森林局の役人のキャリア・ウーマン容疑者の鷹匠の男森に移住してきた反政府グループジョーを敵対視する保安官。前作『沈黙の森』関連で里子にした少女の母親反政府グループ対策にきたFBI様々な人物らと、相関関係が話をフル回転させてます。ジョーは、保安官が逮捕した鷹匠の男にネイト・ロマノウスキに無実を証明してくれと頼まれます。ジョーの誠実さ、真っ当さがある種の人を惹きつけるようです。逆に、ソレを嫌う人々がいる。ジョーが独自の考え、方法で真相を見つけてしまう事を最も嫌っているのが保安官です。一見すると犯人逮捕、事件を解決する、という同じ側に立つ者同士なのに、同じ陣営でも協力し合えないものなのですね。同時期に。森に移住してきた反政府グループと対峙する森林局の役人やFBI。しかも反政府グループのメンバーには、ジョー里子エイプリルの実の母がおり、エイプリルを取り戻そうと揺さぶりをかけてきます。エイプリルを捨てていった事を反省もしない、面倒をみているジョー一家への感謝もない。あるのは、自分から奪っていくばかりの周囲への怒りのみ。読んでいて凄く思うのは、海外小説、特に米モノによく感じることなのですが、主人公に敵対する人物は誰か。こいつは味方は敵か?です。誰が善か悪か。敵か味方か。損か得か。好きか嫌いか。正しいか間違っているか。話の全てがこれに支配されているみたいだな~と。登場人物が全員それを念頭に行動してる。米社会は特に、立場や主張をハッキリさせるのが顕著。まあ、社会生活というのは多かれ少なかれ、ほとんどそういうことなのかもしれないませんが。日本はこうまでハッキリ主義主張ってないから、読んでいてジョーが大変そうだわ~と感じてばかりです。 主人公ジョー・ピケットが幸せなのは、家族がとにかく健全で、彼を愛してる、砦であること。絶対的味方、善、愛、癒しの場所である事がゆるがないこと。あとはとにかく自然、動物。ネイトに誉められる「あんたはいい奴だ」というシーン。妻と二人の娘とラブラドルリトリヴァー。ジョーは良き家庭人。C・J・ボックス <猟区管理官> ジョー・ピケット・シリーズ 『沈黙の森』 Savage Run (2002)『凍れる森』 『神の獲物』 『震える山』 In Plain Sight (2006) Free Fire (2007) Blood Trail (2008) Below Zero (2009) Nowhere To Run(2010) Cold Wind (2011)ノン・シリーズ『ブルー・ヘヴン』 『さよならまでの三週間』
2011年04月03日
<猟区管理官>ジョー・ピケットシリーズ開幕ワイオミング州猟区管理官ジョー・ピケットは、気持ちは優しいが不器用な男。ある日裏庭で死体を発見。かつて彼の銃を奪おうとした密猟者だった。犯人を逮捕するも、ジョーが研究所に送った動物の”糞”のサンプルが消えた。「新ヒーロー誕生」と全米で絶賛され、主要新人賞を独占した、大型新人登場。アメリカ史上初の新人賞4冠(アンソニー賞・マカヴィティ賞・バリー賞・ガムシュー賞)に輝いた作品。雄大で広大な自然の国アメリカならでは職業ですね、猟区管理官。猟区管理官とは?訳者の造語とのことですが。野生生物の保護、管理、密猟者を取り締まる権限をもつ法執行機関者。猟シーズンには、担当の国立公園やキャンプ場をパトロールしハンター達の許可証や獲得頭数の確認などする。野生動物を、趣味や食の為に獲物とする習慣が色濃く残る地域ならでは。猟区管理官は単独で担当地域などを巡回し、さまざまな場面に遭遇し対処を迫られる独特な職業。野生動物の不当な大量殺戮、不審な死、時には人間の殺害事件に発展することも? 主人公のジョー・ピケットは、野生生物の保護・管理をする新米のワイオミング州猟区管理官。就職面接の日を勘違いしてすっぽかしたり、許可証なしで釣りをしていた男を新知事とは知らず検挙したり、密猟者に違反切符を切っている最中に自分の拳銃を奪われたりと、物語冒頭では、かなり不器用な人物として描かれてます。でも、ここ一番というシーンで現代のカウボーイと化す。映画化の版権獲得という話もあるようでジョー役をブルース・ウィルスっていうのは、正直がっかりです。ありきたりな冒険アクションになっちゃいそう。ブルース・ウィルスみたいなタイプが亡羊として懐の深い男性の典型なんでしょうか。「ダイハード」イメージとジョー・ピケットはちょっと違う気がしますが。こうしたレンジャー?が登場する本は自然が魅了し、事件にも興味を惹かれます。・アーロン・エルキンズ<スケルトン探偵>シリーズ人類学者ギデオン・オリヴァーは遺された骨から推理する。ギデオンの妻ジュリーが国立公園森林保護管理官パークレンジャーです。・ネヴァダ・バー<アウトドア・ミステリ>シリーズ自身が36歳で国立公園のパークレンジャーとなり、ミシガン州、コロラド州、ミシシッピ州などの国立公園に勤務し、その体験をもとにミステリを執筆。『山猫』でアガサ賞、アンソニー賞をダブル受賞。 この主人公の行く末をまだまだ見たいって思えるシリーズですね。C・J・ボックス <猟区管理官> ジョー・ピケット・シリーズ 『沈黙の森』 『凍れる森』 『神の獲物』 『震える山』ノン・シリーズ『ブルー・ヘヴン』 『さよならまでの三週間』
2011年04月03日
国による中央集権的なデータ管理が進み、他者との接触はほとんどがモニター上で行われる。現実と仮想の境界があいまいとなった21世半ば、14~15歳の少女のみを狙った連続殺人事件が発生します。「美少女」「バトル」「友情」といった、アニメやコミックの物語要素を盛り込んで描かれた近未来ミステリーです。この物語の主人公の14歳の少女たちは、21世紀半ばの清潔無機的均一化した社会で、現実感は希薄で、モニタの中だけで世界を認識し、端末につながれています。ところが連続殺人事件を発端に、少女たちが、仮想の世界から飛び出し、少女たちは闘います。その闘いの果てに見出したのは?ルー=ガルーとは、中世ヨーロッパにおける狼憑き、狼男の一種という意もあります。16世紀フランスの伝説「ジェヴォーダンのベート」は、獣による14~15歳の少女惨殺を機に、3年間で80人の子どもや女性が殺された事件です。中世ヨーロッパの狼伝説を近未来を舞台に蘇らせ、現代の子どもたちへの警鐘を鳴らしているのかもしれない。(中島正敏) オフィシャルウェブサイト 2010年8月28日より新宿バルト9ほか全国ロードショー超映画批評『ルー=ガルー』10点(100点満点中)映画化されていたとは、びっくり。読み終わって知りました。映画の出来は、あまり良くないみたいです。ちょっと古い?人と人とのコミュニケーションを嫌がるようになったら人間の世は滅びるんじゃないかなという、気になる話です。こんな思いを抱かせるのは、アイザック・アシモフを読んで以来です。ここまで無機質に暮せるように、人間が実際なれるのか?は、疑問です。そんなにキッチリ生きてうまくいくわけない。一億総人口すべて病気でしょう。京極先生の近未来ものは、ちょっとな~、、でした。
2011年04月02日
京極節の真骨頂、直木賞受賞シリーズ第五弾舞台は上方、主役を張るは靄船の林蔵。人が生きて行くには痛みが伴う。そして、人の数だけ痛みがあり、傷むところも、傷み方もそれぞれちがう……様々に生きづらさを背負う人間たちの業を、林蔵があざやかな仕掛けで解き放つ。「これで終いの金比羅さんや」。 『西巷説百物語』web.kadokawa【内容】「桂男」廻船問屋の一人娘の縁談「遺言幽霊「水乞幽霊」両替商の次男坊が後を継いだ。ある日目覚めると記憶を無くしており。「鍛冶が嬶」土佐の刀匠が上方に相談にきた内容は、「女房の中身が狼に入れ替わった」「夜楽屋」浄瑠璃名人愛用の人形の首(カシラ)がある朝、割れて使い物にならなくなり。夜の楽屋で”人形争い”があったという噂。8年前の事件とそっくりな展開。「溝出」疫病で滅びかけた山里を救った男。10年後、村人は死者の供養を願うが。「豆狸」酒蔵の主人と客の会話。狸が子供に化けて酒を買いに来ると、釣銭が足らなくなる。主人は、かつて家族を亡くし悲痛な思いを乗り越えてきたが、子供が怖かった。「野狐」 妖怪先生、京極さんの人気シリーズ最新作です。大好きなシリーズですが、正直読むのを先延ばしにしてきたのは、ちょっと重いし厚いから。。けれど、今作品はものすごく読みやすかったです。文字数が少なくなったのか、蘊蓄が減っているのか。又市も再登場しうれしい限りです。「鍛冶が嬶」編から引き込まれ度合いが強まりました。「溝出」は凄惨で感慨深く、どれも良かったデスケド、「豆狸」が泣きそうでした。シリーズも5作目となり、時系列や人物相関図など整理したくて関連サイトを見に行きました。このシリーズは、晴らせぬ恨み、あちら立てればこちらの立たぬの困難な問題を金で請け負い、妖怪になぞらえて解決する小悪党たちの活躍を描く。人の心の綾を妖怪の仕業に仕立てることで解決する、というもの。シリーズの続きはまたあるのでしょうか。まだまだ続編が書かれますように。京極先生よろしくお願いします。京極夏彦 『姑獲鳥の夏』 『 魍魎の匣』 『狂骨の夢』 『鉄鼠の檻』 『絡新婦の理』 『塗仏の宴 宴の支度』 『塗仏の宴 宴の始末』 『陰摩羅鬼の瑕』 『邪魅の雫』 『巷説百物語』 『続巷説百物語』 『後巷説百物語』 『前巷説百物語』 『西巷説百物語』 『嗤う伊右衛門』 『かぞえずの井戸』 『死ねばいいのに』 『厭な小説』
2011年04月01日
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