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陰湿なネットいじめに遭った孤独な少年。連続殺人犯は彼なのか? 交通事故を起こしたとして有名ブログで糾弾された高校生トラヴィス。個人情報はたちまち暴露され、ブログは炎上、彼の家に投石する者まで現われた。死を予告する十字架が発見されたのはその頃だった。命を狙われたのはネットいじめに加担した女子高校生たち。ほどなくしてトラヴィスは姿を消し、エスカレートする犯行はついに死者を出してしまう。少年の行方を追うのは、いかなる嘘も見破る尋問の天才キャサリン・ダンス。トラヴィスは孤立したオタクで、オンラインゲームでは非常な殺人者としてふるまっていたという。やはり彼が真犯人なのか?一方、困難な捜査のさなか、ダンスの母親が安楽死に手を染めたとして逮捕されてしまった。幾重にも張り巡らされた欺瞞。それが隠す悪辣な完全犯罪。捜査に介入する捜査局本部。妨害をしりぞけ、ひとつずつ嘘を見破り、ダンスがたどりついた驚愕の真相とは?このミステリーがすごい! 2011年版 海外編 第9位キャサリン・ダンスシリーズ 第2弾『ウォッチメーカー』からスピンオフしたカリフォルニア州捜査局の女性捜査官キャサリン・ダンスの物語も、この『ロードサイド・クロス』で2作目。ライムものと並行して、いよいよ本格的にシリーズの道を歩み始めたようだ。異名の人間嘘発見器は、彼女の得意とする、キネシクスの技術(人の仕草からさまざまなことを読み取る)からきており、ネットの仮想空間における陰湿ないじめが事件の鍵となる本作でも、本領を発揮する、一方、家族が事件の容疑者とされるサブストーリーでは、苦悩する等身大のヒロイン像が浮かび上がる。最後に待受けるお約束の多重解決の釣瓶撃ちまで、今回も一気読みは必須。 (このミステリがすごい より)今度のキャサリン・ダンスってどうでしょう?『スリ-ピング・ド-ル』 より、ダンスがぐっと面白くなりましたよね~。あわや銃激戦か?というシーンはあぶなかっしくて、ハラハラものです。キネシクスの天才として捜査課の期待の星のダンスですが、やっぱり体力勝負は苦手のよう。素敵な靴に何日もウットリし、運良くセールでゲット出来て幸せ気分、ダンナを亡くして2年の微妙な心理や、両親と子供たちとの日常的で温かいやりとり、(今回は母親と緊張関係になるケド)とても身近に感じられます。それに、今回は両手に花ならぬ、両手にイケメン? ひとむかし前のヒロインとは、だいぶ違いますね。最近のでさえ<検視官>シリーズのケイ・スカーペッタは独身で、いつもギリギリな精神状態で、男性社会でシャカリキに仕事してます。料理はうまいけど。 キャサリン・ダンスは料理は下手だけど、子持ち。ダンナを亡くしてるけど、言い寄ってくる男性にはこと欠かないみたいだし。等身大で無理のない仕事ぶり。ミステリに登場するヒロインは、無個性なタイプか多いので、女性受けが悪いでしょうが、ダンスは、共感を感じるキャラクターです。これからもダンスのシリーズが楽しみです。<リンカーン・ライムシリーズ> 『ボーン・コレクター』 『コフィン・ダンサー』 『エンプティ・チェアー』 『石の猿』 『魔術師』(イリュージョニスト)『12番目のカード』 『ウォッチメイカー』 『ソウル・コレクター』 <キャサリン・ダンス・シリーズ> 『スリ-ピング・ド-ル』 『ロードサイド・クロス』 短編集『クリスマス・プレゼント』 "More Twisted" ノンシリーズ『眠れぬイブのために』 その他
2011年05月30日
科学捜査の天才リンカーン・ライムのいとこアーサーが殺人の罪で逮捕された。自分はやっていない、とアーサーは主張するも、証拠は十分、有罪は確定的に見えた。しかしライムは不審に思う―証拠がそろいすぎている。アーサーは罠にかかったのではないか?そうにらんだライムは、刑事アメリア・サックスらとともに独自の捜査を開始、同様の事件がいくつも発生していることを知る。そう、姿の見えぬ何者かが、証拠を捏造し、己の罪を他人になすりつけ、殺人を繰り返しているのだ。犠牲者を監視し、あやつり、その人生のすべてを奪い、収集する、史上もっとも卑劣な犯罪者。神のごとき強大な力を持つ相手に、ライムと仲間たちはかつてない苦戦を強いられる…。 このミステリーがすごい! 2010年版 海外編 第5位リンカーンライムシリーズの第8弾一作毎に新機軸を打ち出しつづけるモンスター・シリーズの数えて八作目。今回、ライムとサックスのコンビが敵に回すのは、人呼んで”すべてを知る者”、情報化社会が生んだ悪魔の申し子である。少年時代以来、疎遠が続いていた従兄弟が殺人犯として逮捕されるが、それは濡れ衣だった。彼を陥れた真犯人をあぶりだそうとするライムに対して、敵は盗み出した個人情報を武器に悪辣な逆襲に展示、捜査陣を翻弄する。本作で作者のディヴァーが目を向けたのは、近年盛んな顧客情報の収集、解析といった企業のデータマイニングの世界だ。しかし、その利便性の裏側に潜むリスクの深刻さに、読者はおぞけをふるうにちがいない。(このミステリーがすごい より)今まで全く登場しなかった、リンカーン・ライムの従兄弟。新たな身近な人物としてこれからも、たまに出てくるのかな?それにしては、そっくり過ぎるし、疎遠すぎる。もう一人のライムみたい。先日も、個人情報の漏洩が某大手企業で起こったとニュースで観ました。この本では、想像をはるかに超える個人情報が、どこかで管理されていて、一つ間違えると大変な事になりそうだという恐怖を味わいました。買った覚えもない家や車の請求書、おこしてもいない犯罪の犯人にされる、、覚えのないことで、人生が破滅する。電気に依存しすぎる生活を見直そうという、2011年の猛暑の夏を目前にしてる日々ですが、電気と同様に、現代人のインターネットへの依存を、警告する話でしたね。
2011年05月27日
ハリー・ボッシュシリーズ 第12弾このミステリーがすごい! 2011年版 海外編 第6位 連続殺人事件を自供した男はボッシュが追う未解決事件の犯人なのか?シリーズ最高傑作デビューから間もなく20年。しかし、作家マイクル・コナリーに衰えの兆しはない。女性のバラバラ死体を車に乗せていた男が逮捕され、過去の犯行を司法取引の材料にした事から、事件の捜査に加わる事になった未解決事件班のハリー・ボッシュ。しかし、彼が真犯人と確信していた男とは別の人物が犯行を自供したことにボッシュは苦悩し、相棒のキズミンも現場検証のさなかに予期せぬトラブルに見舞われ心身に傷を負ってしまう。ボッシュとは縁浅からぬFBI捜査官レイチェル・ウォリングの再登場まであるこの『エコー・パーク』だが、終盤に待受けるミステリーとしての鋭い切れ味は、読者に末永く記憶されるに違いない。 (このミステリがすごい紹介文より)キズミンが!ボッシュがキズミンを救おうとがんばる姿が感動でした。彼女は、絶対死なないで欲しいキャラクターです。レイチェル・ウォリング、また出てきました。 本作ではちょっとイメージ上がりましたが、ボッシュに「女は男に安らぎを求めるものなの」って、彼女にはそぐわない言葉というかんじだわ~。
2011年05月27日
深夜、ロスの展望台で発見された男の射殺体。後頭部に二発。怨恨か処刑か。殺人事件特捜班での初仕事に意気込むボッシュだが、テロリストが関与している可能性が浮上。FBIの捜査介入に阻まれながらも、ボッシュはひたすら犯人を追う。十二時間の緊迫の捜査を描く、スピード感溢れる傑作サスペンス。ハリー・ボッシュシリーズ 第13弾『エコー・パーク』から半年、ボッシュは、未解決事件担当班から、殺人事件特捜班に移動になったばかり。新しい上司、新しいパートナー、最初の事件。作中、事件解決まで12時間足らず。ページ数はいつもより少なめでも、内容は凝縮され、ボッシュを取り巻く、事件や政治的駆け引き、登場人物とのあれやこれや、期待を裏切らない充実さでした。本作は、 「ニューヨーク・タイムズ・マガジン」の拡販企画で、当代人気ミステリ作家による連載小説でした。執筆には、マイクル・コナリー、パトリシア・コーンウェル、エルモア・レナード、スコット・トゥロー、マイケル・シェイボン、イアン・ランキンなどの、錚々たる顔ぶれ。紙面の制約で3000語前後、連載回数15,6回と制限があり苦労があったようです。入念な書き込みより物語を動かす力、次回への興味をつなぐ、各章で盛り上げて終わる「切れ場」の演出、連載用の演出は単行本には向かない為に改訂もされたそうです。コナリーさんは、毎回3000語に苦心されたそう。楽しんでは書けなったそうですが、深みには欠けても矢継ぎ早に展開が変わるみごとな「新聞小説」に仕上げられたようです。単行本の際の増筆は三割前後分量を増やし、登場人物や、描写、サブプロットも増やし、いつものシリーズらしい読み応えを生み出したそうです。「イジーと呼んでくれ」新しいパートナー、イグナシオ・フェレス30代。ボッシュより20歳も年下。警察のエリートコースを歩む、8ヶ月の身重の新妻持ち。ボッシュはイジーという気安い呼び方を嫌ってます。年下のパートナーに丁寧に指導にあたりつつ、頑固にイグナシオと呼び続けます。FBIとの縄張り争い、本部長との直接談判、立ち入り禁止現場への入り方、ボッシュのボッシュらしいやり方にイグナシオは目を白黒。ボッシュとパートナー関係は維持できるのかな?かつてのパートナーたち、ジェリー・エドガーも、キズミン・ライダーも、部署は違えど良好な関係。守護天使とも言える、そんな関係に新しい人ともなるといいですね。次作は、いよいよ、ボッシュとミッキーの共演作。今年夏には、刊行されるでしょうか?
2011年05月26日

高級車の後部座席を事務所代わりにロサンジェルスを駆け巡り、細かく報酬を稼ぐ刑事弁護士ミッキー・ハラー。収入は苦しく誇れる地位もない。そんな彼に暴行容疑で逮捕された資産家の息子から弁護依頼が舞い込んだ。久々の儲け話に意気込むハラーだが…警察小説の名手が挑む迫真のリーガル・サスペンス。 新シリーズ登場 リンカーン弁護士ミッキー・ハラーこのミステリーがすごい 海外編 2010年版 第10位国際ミステリ愛好家クラブ最優秀賞アメリカ私立探偵作家クラブ最優秀賞警察小説の第一人者マイクル・コナリーのリーガル・サスペンスです。すでに『ブラック・ハート』と『夜より暗い闇』で、その筆力は実証済みですね! 本職のリーガル作家さんと全く遜色ない迫力で、いずれもボッシュ・シリーズでしたが、今作では新シリーズ。刑事弁護士が主人公です。ミッキー・ハラーという名前でピンと来る方は、ボッシュ通。『ブラック・アイス』で登場する人物&ボッシュと深い関わりがある人です。スコット・トゥロー:リーガル・サスペンスの大御所のことば「コナリーは、捜査官や警官の領域に広い識見をこれまで発揮してきたのとおなじように、刑事弁護士の世界にもみごとに精通していることを明らかにした。とても素晴らしい書き手によるとても素晴らしい本がまた新たに生み出された」スティーブン・キング:モダン・ホラーの帝王 ミステリー業界の神のことば「マイクル・コナリーの驚くべきところは、本を書くごとに、語りの技術をおおいに学び続けているところにある。どの本も、そのまえの本よりも優れているのだ。そして、本書はあえてこう呼ばせていただくと、(リンカーンではなく)本物の極上品キャデラックだリンカーン弁護士とは?大型高級車ブランドのリンカーン。第16代大統領エイブラハム・リンカーンにちなんで名づけられた。この車の後部座席を事務所代わりに、ロサンジェルス郡に点在する40数ヶ所の裁判所を飛び回り、こまめに事件を拾って弁護報酬を稼ぐ刑事弁護士だそうです。主人公ミッキー・ハラーもそんな刑事弁護士のひとり。離婚2回、娘1人。中盤までは、弁護士や法廷関係の仕事の目まぐるしさ、複数の案件や、専門用語や独特の仕事内容に、頭がついていけず、ページ繰りが停滞しました。刑事弁護士は、刑事に憎まれ蔑まされる。刑事の正義で起訴した犯罪者を、自由にしたり軽刑にする。依頼人からも、弁護料はふんだくるし感謝される事はまれだったりする。刑事弁護士は刑事からも依頼人からも、嫌われて大変な商売のよう。。この商売を何故ミッキーは選び、続けているのか。ハッキリ分かったわけではないけれど、幼い頃に死別した父への思いや、彼なりの正義感を感じつつ読んでました。「無実の人間こそ恐ろしい依頼人はいない。無実の人間ほどこちらに傷あとを残していく依頼人はいない。」ラストのほうでミッキーが自分につぶやく言葉です。今作も一人称だったんですよね~。この新シリーズが今後も定着して続くのかは、わかりませんが、続編『The Brass Verdict』(2008)はすでに刊行され、翻訳待ち状態。欧米ではとにかく爆発的大人気作品だそうですから。続編ではボッシュと早速の共演だそうですし。楽しみです。それにしても。新シリーズ一発目でいきなり、弁護士業界において、最悪な2ケースが紹介されたんじゃないでしょうか?弁護士にとっては、どちらも悪夢の依頼人ケースに思えました。以下ネタバレ有り↓ まず、ミッキーら刑事弁護士は、依頼人が無実であるという可能性はほぼゼロという前提で動いてます。必ずなんらかの有罪を受ける立場の人たちを弁護するのだと。その人たちをミッキーは”社会の弱者”としています。どんな重罪犯も軽犯罪者も、等しく彼らはそこに流れ行き着いた人々で、誰もが等しく弁護士を必要としている。じゃあ自分がそれをやりましょう、と。刑事たちに憎まれ蔑まれても、自分の商売にふと嫌気が指しても、荒稼ぎばかりが目的でも、、。本作の悪夢の究極パターン2つというのは次のとおり・冤罪 自分が刑務所に送った依頼人が、真実無実だったとしたら。 「お前は、俺に、やったのか?と聞きもしなかった。」依頼人より憎悪の言葉・シリアルキラー 自分が弁護してる依頼人が、真実シリアルキラーだったとしたら。 「お前の娘は、かわいいじゃないか」勝手に家に入り込んだ依頼人の言葉 生きている限り悪夢にうなされそう~。正義のあり方、弁護士の良心というシリアスな主題が主目、うまい話には裏があるごとく、おのれの弁護士としての職業生命および自分や周囲の命そのものまで、危険にさらされるハメとなる、お話でした。映画化【スタッフ・キャスト】[監督]ブラッド・ファーマン [出演]マシュー・マコノヒー/ライアン・フィリップ/マリサ・トメイ/ウィリアム・H・マッキー/ジョシュ・ルーカス 公開: 米2011年 3月 18日上映時間: 1時間 59分ジャンル: スリル・法廷・ドラマ原題: The Lincoln Lawyer【制作】マイクル・コナリーの同名サスペンス小説(2005年)をブラッド・ファーマン監督が映画化。 【ストーリー】高級車リンカーンをオフィスにする弁護士マッキー・ハラーは軽犯罪の弁護で生計を立てているが、ある時、婦女暴行と殺人未遂容疑をかけられた資産家の息子ルーレイを弁護する大きな仕事が舞い込む。ハラーはルーレイが悪党と知りながらも法廷で無罪を主張する... マシュー・マコノヒーさんは、クライブ・カッスラー原作の<サハラ 死の砂漠を脱出せよ>(2005)の主人公ダーク・ピット、ジョン・グリシャム原作の『評決の時』(1996)で人種差別と戦う正義感あふれる若き弁護士役など、演じています。良い役ばかりやってますね~。<リンカーン弁護士>では、屈折した金勘定にうるさい中年親父の弁護士ですが、やっぱりカッコよくやっちゃいそうですね。(*^.^*)マイクル・コナリー原作の映画化は、『わが心臓の痛み』クリント・イーストウッド監督・主演の<ブラッド・ワーク>以来の2作目です。
2011年05月22日
3年間の私立探偵稼業を経てロス市警へ復職したボッシュ。エリート部署である未解決事件班に配属された彼は、17年前に起きた少女殺人事件の再捜査にあたる。調べを進めるうち、当時の市警上層部からの圧力で迷宮入りとなっていた事実が判明。意外な背後関係を見せる難事件にボッシュはどう立ち向かうのか。 ハリー・ボッシュ・シリーズ 第11弾市警に復職したボッシュを、過去の難事件が出迎える一時は警察を離れ、私立探偵をしていたハリー・ボッシュがロス市警へ復職しました!配属先は、ロス市警未解決事件班。パートナーは以前にコンビを組んでいたキズミン・ライダーです。 『天使と罪の街』ラストで、私立探偵ではやれることに限りがあると悟り、かねてからのキズミンの誘いを承諾、やっぱりボッシュは刑事が一番似合ってますね。復職したボッシュチームが担当するのは、17年前の「少女殺害事件」です。事件当時から時代が進み、捜査は科学的解明が可能になりました。DNA鑑定が採用されるようになり、凶器の銃に付着していた血液から、ひとりの容疑者が浮上したのです。少女は16歳、自宅から連れ去られ自宅の裏山で、父親が遺体を発見。捜査は、途中で打ち切られていました。しかしDNAが一致した容疑者は、少女との接点が無く真犯人とは思えない。ボッシュとキズミンは真犯人のあぶりだしに、マスコミを利用しようと画策します。その一方で、当時の担当者から話を聞こうとしますが、捜査の担当の人物は自殺しており、当時の捜査状況が判然としない。やがて、家を出て行方不明となっていた被害者の父親を探し当てたボッシュは当時の被害者家族が市警から圧力をかけられていた事を掴みます。だが、ボッシュの発案で進められたマスコミを使っての真犯人探しは最悪とも思える展開を見せます。それに負けまいと自らを奮い立たせながら、ぎりぎりの捜査を進めていくボッシュ。その孤独な姿が強く印象に残ります。ミスター・クリーン アーヴィングは、とうとう市警の中心から追い出され、本部長の信頼厚いボッシュに、「再生タイヤ」と揶揄します。アーヴィングは、ボッシュの母親が何者かを知って以来、市警の体質に合わないボッシュを追い出すのを緩めていたようでしたが、作品が進につれ、どんどん宿敵に戻ってきてます。アーヴィングはロス市警の隠蔽体質そのもので、しょせんボッシュとは方向性が違う人物。警察トップが一新され、左遷の憂き目にあっていますが、組織はトップの交代が日常茶飯事、ボッシュもボヤボヤしてられないですね。というか、ボッシュら現場の人間の功績次第でトップの運命も変わるんだね。本部長とボッシュは一蓮托生のよう。<刑事 ハリー・ボッシュ> シリーズ 『ナイトホークス』 『ブラック・アイス』『ブラック・ハート 』『ラスト・コヨーテ 』『トランク・ミュージック 』『エンジェルズ・フライト』 『夜より暗き闇』 『シティ・オブ・ボーンズ 』 『暗く聖なる夜 』 『天使と罪の街 』 『終決者たち 』 『エコー・パーク』 『死角 オーバールック 』 “Nine Dragons” “The Reversal”ノンシリーズ『ザ・ポエット』『わが心臓の痛み』 『バッドラック・ムーン』 『チェイシング・リリー 』 『リンカーン弁護士』 マイクル・コナリーのランクイン履歴
2011年05月21日
悪魔からの挑戦状 探偵ボッシュと猟奇殺人犯の息詰まる頭脳戦 『暗く聖なる夜』に続く超一級犯罪サスペンス元・ロス市警刑事の私立探偵ボッシュは、仕事仲間だった友の不審死の真相究明のため調査を開始する。その頃ネヴァダ州の砂漠では多数の埋められた他殺体が見つかり、左遷中のFBI捜査官レイチェルが現地に召致された。これは連続猟奇殺人犯、"詩人(ポエット)"の仕業なのか?そしてボッシュが行き着いた先には。ハリー・ボッシュシリーズ 第10弾このミステリーがすごい 海外編 2007年版 第7位シリーズ10作目となる『天使と罪の街』は、<ハリー・ボッシュ・シリーズ>の一作であると同時に、シリーズとリンクする重要な作品、 『ザ・ポエット』と『わが心臓の痛み』の後日談でもあります。警察を翻弄するような予告状とともに、ネヴァダの砂漠地帯で不審な死体が発見され『ザ・ポエット』事件との関連からFBI捜査官のレイチェルが現地に派遣されます。一方、ボッシュはかつて一緒に仕事をした心理分析官マッケイレブの不審死について調査を行うことになります。ふたりの捜査は、やがて交叉し、死んだ筈の連続殺人犯の存在を浮かび上がらせていきます。テリー・マッケイレブの死から始まる物語というのがショッキングだし、詩人事件で左遷されていた女性捜査官レイチェルが、再び表舞台に戻ってくるというセンセーションもあり、これはコナリー・ファンだったらたまらないお膳立てといえるでしょう。しかし、そんな賑やかさもさることながら、ボッシュが連続殺人犯をあぶり出していく過程の推理と捜査は例によって密度が高く、読み応えがあります。ボッシュは、前作で衝撃の事実と向かい合い、エレノアや家族と対峙しなければならなくなった。そんな主人公の人生を垣間見せるコナリーの小説作法にも怠りはない。版元がめまぐるしく変わったり、紹介の順序が入れ替わったり、マイクル・コナリーのの翻訳紹介はさんざんな荊の道を歩んできましたが、ここにきてややや落ち着きを見せつつあります。ソレと同時に立ち上がってきたのが、このシリーズの年代記的な面白さではないでしょうか。ご存知のように、 『ナイト・ホークス』で読者の前に登場したボっシュは、一作ごとに出生やベトナム経験にまつわるトラウマを克服し、警察内における自分のあり方に苦悩し、運命の女性エレノアとの波乱にみちた出会いと別れを経験してきました。さらには、紹介の不幸に加えて、スピンオフの作品も少なくない事から、これまではなかなか掴みづらかったボッシュの人生というバックグランドが、昨年の『暗く聖なる夜』や、今年の本作を通じ、ようやくわが国読者にも明らかになりつつあるのは喜ばしい事でしょう。 (「このミステリーがすごい 2007年」より 紹介文抜粋 )<刑事 ハリー・ボッシュ> シリーズ 『ナイトホークス』 『ブラック・アイス』『ブラック・ハート 』『ラスト・コヨーテ 』『トランク・ミュージック 』『エンジェルズ・フライト』 『夜より暗き闇』 『シティ・オブ・ボーンズ 』 『暗く聖なる夜 』 『天使と罪の街 』 『終決者たち 』 『エコー・パーク』 『死角 オーバールック 』 “Nine Dragons” “The Reversal”ノンシリーズ『ザ・ポエット』『わが心臓の痛み』 『バッドラック・ムーン』 『チェイシング・リリー 』 『リンカーン弁護士』 マイクル・コナリーのランクイン履歴
2011年05月16日
ハリウッド署の刑事を退職し、私立探偵となったボッシュには、どうしても心残りな未解決事件があった。ある若い女性の殺人と、その捜査中目の前で映画のロケ現場から奪われた200万ドル強盗。独自に捜査することを決心した途端にかかる大きな圧力、妨害…事件の裏にはいったい何が隠されているのか。ハリー・ボッシュシリーズ 第9弾このミステリーがすごい海外編 2006年版 第2位 文春ミステリーベスト10 2005年版 第1位 ハリー・ボッシュ・シリーズで、初の一人称語りでした。ハード・ボイルドの典型的叙述手法ですが、ボッシュの一人称は違和感この上なかったです~ボッシュが、「わたしは、云々かんぬん・・」と語るのを読むことになるとは、ホントに刑事を辞めちゃったのね、私立探偵になっちゃったのね~。『シティ・オブ・ボーンズ』 の衝撃的なラストから約1年後、ボッシュは、”彼の使命=死者の代弁をすることである”という姿勢を改めて強く自覚しています。テリー・マッケイレブもそうでしたが、ある種の警察官・捜査官には引退しても、忘れられない事件があるようですね。事件ファイルを持参しての引退。ボッシュは、政治的理由で捜査できなかったり、迷宮入り事件など、制約のない新たな立場の強みで、独自の調査に乗り出します。ところが捜査開始早々、早速LA市警本部からストップがかかります。最初に現われたのは、かつての部下キズミン・ライダー。一足先に本部栄転していた彼女は、ボッシュのハリウッド署からロス市警本部捜査課への移動を画策していた矢先、ボッシュにあっさり引退されておかんむり。彼の引退に無念を感じており、現在は本部長付きの補佐官というエリートコースを歩んでます。その彼女が、ボッシュへ捜査から手をひくようにというメッセージを携え現われます。さらに、FBI、合衆国対テロ組織が、次々と立ちはだかります。911同時テロ後、VSテロという新たな時代が到来、警察組織を大きく変えつつあるのが、背景に感じられます。私立探偵となったボッシュは、警官のバッジを持たない無力さをつくづく思い知らされてます。それでも、捜査を進める手腕、経験と実力と慧眼ぶりには、惚れ惚れします。ボッシュほどの捜査ができる人材はいないでしょう!でも、刑事じゃないボッシュは、やっぱり物足りないわね。元チームメイトのキズミン・ライダー、FBI捜査官ロイ・リンデル、元検事言弁護士ジャニス・ラングワイザーといった今回登場のボッシュの知己人物らが、支持してくれてはいますが、いわば非公式の協力で、組織に属さないというのは心細い存在だというのが浮き彫りになります。ボッシュが、今回掘り起こす事件の、かつて担当した刑事二人は、ひとりは死亡、ひとりは首から下が全身麻痺。一日中テレビを見て過ごす元警官ロートンの生活を気遣うボッシュ。このロートンは、大変な障害者でありながら、すべての鍵を握る男?だったですね。合衆国対テロ組織上層人物とボッシュが、たったひとりの殺人事件と、大勢が犠牲になるテロ事件ではどちらが優先されるべきかを議論するシーンがありますが、それぞれの立場で各自の事件をがんばるしかないだろうね。同じ警察内でも利害が反することもあるでしょう。ボッシュの熱き使命感に気持ちは傾きますけどケド。ところで、この年のランキングでは、本作は堂々の2位。一体1位は?というと、あの『クライム・マシン』でしたね。この年話題だったジャック・リッチーでした。せっかく1位に摂関したのに、残念~。このミステリーがすごい! 2006年版 †海外編1位 クライム・マシン ジャック・リッチー 2位 暗く聖なる夜 マイクル・コナリー3位 無頼の掟 ジェイムズ・カルロス・ブレイク 4位 輝く断片 シオドア・スタージョン 5位 獣たちの庭園 ジェフリー・ディーヴァー 6位 百番目の男 ジャック・カーリイ 7位 カリフォルニア・ガールT・ジェファーソン・パーカー 8位 世界探偵小説全集38マイクル・イネス?9位 ジーヴズの事件簿 P・G・ウッドハウス10位 最後の一壜 スタンリイ・エリン <刑事 ハリー・ボッシュ> シリーズ 『ナイトホークス』 『ブラック・アイス』『ブラック・ハート 』『ラスト・コヨーテ 』『トランク・ミュージック 』『エンジェルズ・フライト』 『夜より暗き闇』 『シティ・オブ・ボーンズ 』 『暗く聖なる夜 』 『天使と罪の街 』 『終決者たち 』 『エコー・パーク』 『死角 オーバールック 』 “Nine Dragons” “The Reversal”ノンシリーズ『ザ・ポエット』『わが心臓の痛み』 『バッドラック・ムーン』 『チェイシング・リリー 』 『リンカーン弁護士』 マイクル・コナリーのランクイン履歴
2011年05月15日
丘陵地帯の奥深く、犬が咥えてきたのは少年の骨だった―20年前に殺された少年の無念をはらすべく、ハリウッド署の刑事ハリー・ボッシュは調査を始めた。まもなくボッシュは現場付近に住む児童性愛者の男に辿りつくが、男は無実を訴えて自殺を遂げる。手掛かりのない状況にボッシュは窮地にたたされ…深い哀しみを知る刑事ボッシュが、汚れきった街の犯罪に挑む。ハードボイルド界屈指のベストセラー作家が放つ感動作。 ハリーボッシュシリーズ第8弾このミステリーがすごい 海外編 2004年版 第18位 シリーズ最大の転機、現代ハードボイルドの傑作、英米では発売前から話題騒然翻訳家 古沢嘉通さん2002年1月1日、ハリウッドの丘陵地帯で、人骨らしきものが発見されます。散歩中の犬がくわえてきたもので、鑑定の結果、骨は12歳くらいの少年のもので、死亡時期は20年近く前、死因は頭部を鈍器で殴られたことによるものと判かり、ハリウッド署のボッシュとエドガーのチームが殺人事件として捜査にあたることになりました。骨には、生前何度も骨折した形跡があり、死亡した少年は虐待の被害者であった事が判明します。チームは、とりわけ自らも父親であるエドガーは、非道な犯人をなんとしても突き止めようと色めきたちます。まもなく、現場付近に住む逮捕暦のある男が捜査線上に浮かび上がります。ボッシュは取り調べにあたるが、男の前歴が外部に漏れ、容疑者としてマスコミに報道されてしまいます。男は無実を訴え、不当な取調べを糾弾する遺書を残し、自殺してしまいます。有力容疑者の志望と言う最悪の事態に、警察内部にはボッシュを早期解雇にとの不穏な空気が流れ始め、窮地に立たされます。そんな時、ある女性から骨に費えの新しい情報が入り。。天使の街(ロサンジェルス)の実体は、骨の街(シティ・オブ・ボーンズ)なのか。捜査上の不手際から市警最高幹部アーヴィン・アーヴィングズ副本部長に最後通牒をつきつけられ、退職を勧告されたハリー・ボッシュは、限られた時間の中で、刑事生命を賭けて事件の真相に迫ります。『夜より暗い闇』と前後が混乱した本作でした。シリーズ中、単発ものの雰囲気がありました。ボッシュの過去のトラウマや前後作品との関連があまりなかったです。運命の女性エレノアはどうなったんでしょうか。エの字も出てこず、新しい恋人婦人警官が登場。著者が男性の時、警察小説やクライム小説で往々にして感じることですが、ボッシュの彼女たちも、あんまり共感を覚えないタイプが多いです。グラシエラしかり、レイチェルしかり。テレサしかり。キズミン・ライダーはいい。エレノアもまあまあ。そこで、題してボッシュの彼女たちワーストランキング独断と偏見で。ワースト1 グラシエラ 『わが心臓の痛み』グラシエラは、妹を強盗殺人で亡くし、妹の心臓移植先が、FBIの有名プロファイラー:テリー・マッケイレブと知り、心臓移植という大手術後の危険状態のマッケイレブを無理やり事件に引き込む。『わが心臓の痛み』のちに結婚して自分の人生に引き込む。マッケイレブFBI時代の同僚が夫に仕事を依頼してきた時には、良い顔をしない。『夜より深い闇』 そしてマッケイレブの死後は、ボッシュに「夫の死に疑問があるので調べて欲しい」と依頼します。 『天使と罪の街』なんというか傲慢で自分勝手ばかりを感じる女性。結果的にはマッケイレブと妻となったのだから当然の発言権ですけど。ワースト2 レイチェル・ウォリング 『ザ・ポエット』レイチェルは、FBI捜査官。新聞記者ジャック・マカヴォイが、双子兄の自殺から、警察官連続殺人の証拠を固め、レイチェルの所属するFBI捜査チームに異例の参加をします。事件関係者でチームメンバー、警察とは利害の相違がある新聞記者マカヴォイと、ささっとベットインしちゃうレイチェルに、マカヴォイだけでなく周囲の男性が大分振り回されます。 ”魔性の女”的な設定だったのでしょうが、FBI捜査官がそれでいいのか?という疑問を感じずにはいれません。当然左遷と言う憂き目に合うようです。FBI捜査官といえども人間で、恋愛は自由なんでしょうが、職場恋愛は何かとトラブルの元だよと、つい言ってあげたくなりました。ワースト3 テレサ・コラソン 『ブラック・アイス』 ボッシュと出会った頃は検事局長代理でしたが、 『ブラック・アイス』キャリアアップをしてく途中でボッシュとはサヨナラ。 前作では、裁判でボッシュにそっと声をかけるという思慮深くて有能そうなのに『夜より暗い闇』、今作ではガラリと変わってます。TV出演するなどすっかり有名人となり、傲慢ぶりで恥を撒き散らしてます。犯罪の被害者へ哀悼や、自身の職務への使命感も無くしているみたい。言動が鼻につき、ボッシュは昔の彼女を懐かしみます。ボッシュのパートナーのエドガーに野外トイレに閉じ込められたり、現場でカメラ写り優先のヒールの足元が、彼女の残念さをあらわしてます。ボッシュとは完全に袂を分かつのか?『シティ・オブ・ボーンズ』今作でのボッシュの新恋人フランシス、この人は粗忽タイプのようです。彼女は30代。弁護士というキャリアを男でつまずき、放浪の旅の末警察官に。新人警官で、仕事上の悩みもあり仲間関係でギクシャクしていたらしい。彼女の職務中での亡くなり方も、スッキリしません。仲間の警官たちが、ちょっと胡散臭さを漂わせていました。そんなに毎回、ロマンスを盛り込まなくてもいいのじゃないかと、思いますけど、シリーズの人気の面なんでしょうから、仕方ないか。骨事件そのものは、20年前の骨とはいえ、地道な捜査で解明されていくのが面白く、ハードボイルドの傑作とされるのも納得でした。ですが、これまで警察内でIDAににらまれ告発されたりという危機的状況に比べたら、今回は余裕のよっちゃん。いつものコナリー作品の十八番、複数事件の進行という緊迫感がない。シンプルに一つの事件の解明です。<刑事 ハリー・ボッシュ> シリーズ 『ナイトホークス』 『ブラック・アイス』『ブラック・ハート 』『ラスト・コヨーテ 』『トランク・ミュージック 』『エンジェルズ・フライト』 『夜より暗き闇』 『シティ・オブ・ボーンズ 』 『暗く聖なる夜 』 『天使と罪の街 』 『終決者たち 』 『エコー・パーク』 『死角 オーバールック 』 “Nine Dragons” “The Reversal”ノンシリーズ『ザ・ポエット』『わが心臓の痛み』 『バッドラック・ムーン』 『チェイシング・リリー 』 『リンカーン弁護士』 マイクル・コナリーのランクイン履歴
2011年05月15日
心臓病で引退した元FBI心理分析官テリー・マッケイレブは、旧知の女性刑事から捜査協力の依頼を受ける。殺人の現場に残された言葉から、犯行は連続すると悟ったテリーは、被害者と因縁のあったハリー・ボッシュ刑事を訪ねる。だが、ボッシュは別の殺しの証人として全米が注視する裁判の渦中にあった。殺人現場に置かれていたフクロウ像の意味は何か?捜査を進めるうち、テリーはすべての手掛かりがボッシュを犯人と名指ししていることに気付く。一方、裁判で苦戦中に殺人容疑をかけられ、窮地に陥ったボッシュは思いがけない行動にでる。現代ミステリーの雄コナリーが、人の心の奥深くに巣くう闇を抉る。 心の闇を覗く者はそこで迷い、闇に取り込まれる――。見立て殺人の嫌疑を受け、ボッシュ刑事大ピンチ。ハリー・ボッシュシリーズ第7弾このミステリーがすごい 海外編 2004年版 第20位今作は、『わが心臓の痛み』から3年後の大晦日の夜、ひとりの男が自宅アパートで殺され、テリー・マッケイレブのかつての同僚ジェイ・ウィンストンが彼にプロファイルを依頼してきます。心臓移植手術後、毎日54錠の薬を飲みながら、最新医療技術によって”生かされている”という事実と向き合い、なんとか普通の暮らしを営んでいたマッケイレブにとって、その誘いは魅力あるものでした。彼は反対する妻を説得し、早速「エドワード・ガン殺害事件」の捜査にとりかかります。同じ頃、ハリー・ボッシュは、ハリウッドの有名監督による「女優殺害事件」で、法廷に証人として、捜査責任者として立っていました。マスコミの注目度も高く、ボッシュら検察側は犯人を有罪に追い込もうと必死です。しかし、なぜか容疑者は狡猾、かつ自信に溢れています。やがて、マッケイレブは「エドワード・ガン殺害事件」容疑者を、ハリー・ボッシュと結論づけます。・現場に残されたラテン語の宗教的言葉・猟奇的な殺害方法・フクロウの置物これらが、中世の画家ヒエロニムス・ボッシュへと結びついた為です。ハリー・ボッシュの本名はヒエロニムス・ボッシュ。さらに、かつてボッシュがガンを逮捕できなかった経緯(『ラスト・コヨーテ』)や、殺害前夜に留置場のガンを訪れていたこと、ハリーの生い立ち等から、マッケイレブはハリーを一種の使命をおびた、心に深い闇を持つ”復讐の天使”というプロファイル結果を出すのです。やっぱりな展開、マイクル・コナリーの十八番、複数事件が絡み合いながらの物語進行です。マッケイレブの「エドワード・ガン殺害事件」とハリー・ボッシュの「女優殺害事件」裁判が、どのように関係していくのかが、物語の核です。本作には『ザ・ポエット』の新聞記者ジャック・マカヴォイも脇役として登場しますが、記者根性丸出しで、事件を追って、マッケイレブとボッシュの両名に迷惑がられる、残念な立場でした。コナリー作品のボッシュ・シリーズ、ノンシリーズの主役達が勢揃いするので、楽しみな作品ですが、3人が仲良しこよしで事件を解決するわけじゃありません。そしてボッシュとマッケイブのふたりの行方が、第10弾『天使と罪の街』へと続きます。マッケイレブの目を通して描かれるボッシュは、”善意の悪”とも言うべきヴィジランティズム(私刑主義)を体現しているようです。(解説より)注目だったのは、ハリーの名前の由来、ヒエロニムス・ボッシュの絵でした。題名の『夜より暗い闇』は何作かある絵画のひとつ。レオナルド・ダ・ヴィンチと同時代の画家で、しかも出生年は2年違い。ダ・ヴィンチのような有名画家ではありませんが、まったく対照的な地獄絵がモチーフの絵画は、見た人に強い印象を与えるようです。本作『夜より暗い闇』と『シティ・オブ・ボーンズ』がどっちを先に読むべきか、とまどうかもしれません。先に出版されてるのは『シティ~』ですが、話の流れでは本作が先です。先に『シティ~』を読んでしまったので、アレッと思う箇所がありました。出版元が違うせいかもしれません。本作は講談社、『シティ~』はハヤカワです。<刑事 ハリー・ボッシュ> シリーズ 『ナイトホークス』 『ブラック・アイス』『ブラック・ハート 』『ラスト・コヨーテ 』『トランク・ミュージック 』『エンジェルズ・フライト』 『夜より暗き闇』 『シティ・オブ・ボーンズ 』 『暗く聖なる夜 』 『天使と罪の街 』 『終決者たち 』 『エコー・パーク』 『死角 オーバールック 』 “Nine Dragons” “The Reversal”ノンシリーズ『ザ・ポエット』『わが心臓の痛み』 『バッドラック・ムーン』 『チェイシング・リリー 』 『リンカーン弁護士』 マイクル・コナリーのランクイン履歴
2011年05月15日
LAのダウンタウンにあるケーブルカー、“エンジェルズ・フライト”の頂上駅で惨殺死体が発見された。被害者の一人は、辣腕で知られる黒人の人権派弁護士ハワード・エライアス。市警察の長年の宿敵ともいえる弁護士の死に、マスコミは警官の犯行を疑う。殺人課のボッシュは、部下を率いて事件の捜査にあたるが…。緻密なプロットと圧倒的な筆力で現代アメリカの闇を描き出す、警察小説の最高峰“ハリー・ボッシュ”シリーズ第6弾、ついに待望の文庫化。単行本『堕天使は地獄へ飛ぶ』改題。 ハリー・ボッシュシリーズ第6弾 猛烈な緊迫感の中期代表作このミステリーがすごい 海外編 2002年版 第30位ハリー・ボッシュが、これまでの作品で敵対してきた組織や、因縁深い人物がいろいろ登場し、勢ぞろいの感があり、豪華です。それぞれの思惑が錯綜する中、ボッシュが真相に辿りつく様子が、冴え渡ってます。まず、あのロス市警察内務監査課(IAD)のジョン・チャステインが因縁深く登場してます。IADとは警察を取り締まる警察。ボッシュはこれまで二度監査の取り調べを受け免れてきました。チャスティンとは『トランク・ミュージック』で絡んでます。同作品登場のFBI捜査官のロイ・リンデルは、最初は敵対しましたが、ラストの方でお互い認め合い犯人逮捕で協力し合った仲。IADやFBIと合同捜査をしていかなくてはならなくなり、めんどくさ~い展開に、ボッシュじゃなくてもイライラしそう。特に、IAD、それもあのチャステイン。それでも、ボッシュは協力しようぜ、的な態度で臨みますが、、。途中で何度もチャステインに疑わしい目を向けざるを得ません。 やっぱり仲良くなんて出来そうもないわね。その他にも、ボッシュがハリウッド署に左遷される以前、エリート部門ロス市警本部強盗殺人課(RHD)時代のパートナー、フランシス・シーアンが登場してます。更に、せっかく前作『トランク・ミュージック』で幸せムードだったボッシュですが、妻のエレノアは不安定で、ボッシュを苦しめてます。エレノアを妻としてゲットした時の喜びはどこへやら。エレノアは、知っているのです。自分もボッシュも中毒を求めるタイプだと。ボッシュには捜査がそれであり、自分もかつてそれを持っていたけど失った。ボッシュが差し出すものでは幸せになれないのです。世の中うまくいかないものです。せっかくピッタリな二人のようなのに。殺害されたハワード・エライアスは、 「ステーシー・キンケイド殺害事件」という近々始まる注目の裁判を控えていました。依頼人のマイクル・ハリスは、この裁判でロス市警本部強盗殺人課(RHD)の15人の課員を訴えていました。ハリスは、住居侵入と暴行の罪で有罪判決を受けた前歴のある洗車場の従業員。著名な資産家一家の12歳の少女を誘拐し死に至らしめたという証拠をRHDのメンバーが捏造したとして、1千万ドルの損害賠償金を求めていました。ハリスの主張は、刑事たちが失踪した少女の行方と自白の強要のためにハリスを拉致拘束し3日間拷問したというもの。訴訟では、刑事たちはハリスが犯罪の関与を認めないことにいらだち、ハリスの頭にビニール袋をかぶせ、窒息させようとし、ひとりの刑事に鉛筆を耳に突っ込まれ鼓膜を破られたとも主張していました。事件は、少女が誘拐された寝室で見つかったハリスの指紋と、死体遺棄現場がハリスの住居に近かったという証拠のみに基づいて、裁判にかけられるというもの。指紋は少女の教科書の一冊についているものだけでこれは刑事の捏造であり、死体遺棄現場は偶然であるというのがハリス側の弁護士の弁論でした。しかも、ハリスの暴行に加わった警察官に、ボッシュのかつてのパートナー、シーアンが関わっている。殺害された少女は、代々ロサンジェルスという町を作り貢献してきた、市民に人気のキンケイド一家の子供であることで注目を集めた事件でしたが、ロドニー・キング殴打事件以来警察の信頼は揺らいでおり、ハリスは黒人、キンケイド家も警察も白人であるという図式により、刑事裁判では陪審員はハリスを無罪放免としていました。ハワード・エライアスは、続く民事裁判での弁護士として依頼を受け、準備中でした。ハワード・エライアス殺害事件の捜査は、本来ならロス市警本部殺人課が担当するべき事件でしたが、上記のような事情で、訴えられている当の組織が事件の捜査をするには利害の相違がありすぎるため、ハリウッド署のボッシュのチームが捜査を担当する事になり、アーヴィン・アーヴィングに直々呼び出しを受けたのでした。捜査は、エライアスの身辺調査から始まりますが、エライアスの手帳や留守番電話が消えたり、免許証や腕時計が奪われていたり、という状況には、すべて警察関係者の思惑がからんでおり、それらをひとつひとつボッシュの勘が冴え渡り、解きほぐしていくのが、必見です。また、ボッシュは結局、エライアスの殺人犯人を捜査しながら、 「ステーシー・キンケイド殺害事件」にもどっぷりはまり、捜査していくようになります。いつものようにあれよあれよと、どれもこれも事件は解決。警察の隠蔽体質や、シーアンとの件はボッシュの苦しい立場や悲哀こもごも。刑事としての正義も感銘をうけつつ、驚愕のラストを向かえます。愛情関係の崩壊、市警上層部や内務察監査課IADとの確執が増し、暴動で炎上するロサンジェルスの街中で、あらたな原罪をまたしてもボッシュは背負ってしまいます。<刑事 ハリー・ボッシュ> シリーズ 『ナイトホークス』 『ブラック・アイス』『ブラック・ハート 』『ラスト・コヨーテ 』『トランク・ミュージック 』『エンジェルズ・フライト』 『夜より暗き闇』 『シティ・オブ・ボーンズ 』 『暗く聖なる夜 』 『天使と罪の街 』 『終決者たち 』 『エコー・パーク』 『死角 オーバールック 』 “Nine Dragons” “The Reversal”ノンシリーズ『ザ・ポエット』『わが心臓の痛み』 『バッドラック・ムーン』 『チェイシング・リリー 』 『リンカーン弁護士』 マイクル・コナリーのランクイン履歴
2011年05月09日
ハリー・ボッシュが帰ってきた!ハリウッド・ボウルを真下に望む崖下の空き地に停められたロールスロイスのトランクに、男の射殺死体があった。「トランク・ミュージック」と呼ばれる、マフィアの手口だ。男の名はアントニー・N・アリーソ、映画のプロデューサーだ。どうやら、彼は犯罪組織の金を「洗濯する」仕事に関わっていたらしい。ボッシュは被害者が生前最後に訪れたラスヴェガスに飛ぶ。そこで彼が出会ったのは、あの『ナイトホークス』で別れた運命の女性、エレノア・ウィッシュだった。<ハリー・ボッシュ>シリーズ第5弾「このミステリーがすごい!」1998年 海外編 第20位「いつ殺人課に戻ったんだ?」同僚に問われ、嬉しそう。懲戒処分が解け、久しぶりにハリウッド署の殺人課に復帰したボッシュ。しかも、上司やふたりの部下に恵まれてもう一匹狼じゃない!一匹狼で尖り、上司を殴っちゃったりとキレキレで、不眠症と孤独に悩んでいた彼は、本作では自分のやりたい仕事に戻れ充実感に溢れています。相変らず彼と敵対する警察組織ににらまれますが、今回はチームが彼を固めている。孤立感はあまり感じられません。それに運命の女性エレノア・ウィッシュとの再会。解説で本書と『ナイト・ホークス』とが比較されています。どちらも懲戒免職が解かれ仕事に復帰する所からスタートします。二作とも、遺体の目の近くに特徴があり、銀行が犯罪に関わり深いです。エレノアと、彼女の『夜更かしする人(ナイト・ホークス)』の絵も再登場します。孤独に終わった『ナイトホークス』でしたが、その後の数年も自身に関わりのある事件に翻弄され、最大の傷だった母親の死の事件を解決でき(『ラスト・コヨーテ』にて)、ボッシュの刑事としての成熟度が増したように思えます。殺人事件そのものは、ラスヴェガスの犯罪組織のマネーロンダリングをしていた人物が殺され、組織に殺されたのだという前巻の捜査展開が、後巻で一気にひっくり返っていきます。ボッシュが、こいつが殺人犯人だと、めでたく逮捕した相手はなんとFBI潜入捜査官。その逮捕はボッシュの演出だとFBIから疑いをかけられ、またあの内部監査課IADとやりあいます。あの組織は、警察を取り締まる為に必要なんでしょうが、とにかくボッシュを天敵のように目をつけ続けてるね。 機会があれば放り出そうとしてる。相変わらす複雑な展開です。 一連の出来事もひとつの要素が加わる事で全く違う様相を帯びる、という視点の切替、論理の切替が凄いです。てっきり犯人だと逮捕したFBIの潜入捜査官が、また良い感じでした。「あんたのスタイルが気に入ったぜ」と、なんか意気投合してません?ボッシュとしても嬉しかったりして。全体的に幸せ感が漂ってましたね。本書は一時的に主人公およびシリーズに救済を与え、一種の幕間の役割を果たしている作品と、位置づけられているそうです。<ボッシュ・サーガ>に必要な緩急をつけたというところのようだと、訳者の古沢氏は述べてらっしゃいます。でも、そんな幸せ感が、ミステリー・ランキングの上位進出を鈍らせたのかもしれません。扶桑社ミステリーから出版しているのが、次の『エンジェルズ・フライト(堕天使は地獄へ跳ぶ改版)』までで、次の『シティ・オブ・ボーンズ』辺から講談社に切り替わってます。扶桑社時代の『ナイト・ホークス』など一連のものは、図書館でも全部は無くて飛び飛びでした。書店など回ってかき集めました。講談社出版時代からは、入手が簡単そうです。翻訳ミステリは、絶版を阻止する為になるべく書店購入した方が良いようですね。 ハリーが、ブルース・ウィリスのイメージだと、ネットで読みましたが、それだけは、止めて、と思います。マッチョすぎるでしょう。もっと線の細いイメージなんですけど~。<刑事 ハリー・ボッシュ> シリーズ 『ナイトホークス』 『ブラック・アイス』『ブラック・ハート 』『ラスト・コヨーテ 』『トランク・ミュージック 』『エンジェルズ・フライト』 『夜より暗き闇』 『シティ・オブ・ボーンズ 』 『暗く聖なる夜 』 『天使と罪の街 』 『終決者たち 』 『エコー・パーク』 『死角 オーバールック 』 “Nine Dragons” “The Reversal”ノンシリーズ『ザ・ポエット』『わが心臓の痛み』 『バッドラック・ムーン』 『チェイシング・リリー 』 『リンカーン弁護士』 マイクル・コナリーのランクイン履歴
2011年05月08日

デンヴァー市警察殺人課の刑事ショーン・マカヴォイが変死した。自殺とされた兄の死に疑問を抱いた双子の弟で新聞記者であるジャックは、最近全米各所で同様に殺人課の刑事が変死していることをつきとめる。FBIは謎の連続殺人犯を「詩人」(ザ・ポエット)と名付けた。犯人は、現場にかならず文豪エドガー・アラン・ポオの詩の一節を書き残していたからだ。FBIに同行を許されたジャックは、捜査官たちとともに正体不明の犯人を追う…。エドガー賞受賞の鬼才、マイクル・コナリーが犯罪小説の極北に挑む野心作。アンソニー賞受賞 米・独・仏のミステリー賞5冠に輝く ノンシリーズこのミステリーがすごい 海外編 1998年版 第15位本書は、アンソニー賞をはじめ、米・独・仏のミステリー賞5冠に輝く、コナリーにとっての出世作であると共に、長編5作目にして初のノンシリーズものです。 締め切り間際というハンデがありながら、1997年、「このミステリーがすごい!」海外編第15位にランクインしています。 <ハリー・ボッシュのシリーズ>を離れ、今回の主人公は新聞記者。作者のコナリーはもともとは記者の経歴の持ち主。スクープ合戦、一流新聞社の席、本の出版というジャックの野望や、ライバル記者同士の競争もリアルです。今回は、新聞記者がFBIの捜査に参加するという、異例の設定です。それも警官殺し、幼児虐待と犯罪そのものもかなり重いものがあります。<ハリー・ボッシュシリーズ>でも、『ナイトホークス』ではベトナム戦争カラーを出し、『ブラック・アイス』では麻薬王との戦い、『ブラック・ハート』ではシリアルキラー&リーガルミステリ、『ラスト・コヨーテ』では過去の母親殺しの謎を解く、、とコナリー作品は毎回、飽きないお話です。題名であり、犯人の命名でもある「ザ・ポエット」は、”自殺”した警官たちの現場に同様の詩句のようなメッセージが残され、すべてがエドガー・アラン・ポオからの引用である事をジャックは見つける。全米で警官を自殺に見せかけて殺し、ポオの言葉を残す「ザ・ポエット(詩人)」を追ってジャックは取材を続け、デンヴァーからシカゴ、シカゴからワシントンへ、そしてワシントンではFBIの捜査チームに加わり、最後にはLAへたどりつく。 いっぽうグラッデンという謎の男の三人称記述がこうした「わたし」(ジャック)の物語の間に挿入され、進行する。こいつは児童の写真を撮ってまわっているらしい。それだけではなく・・・。ハリー・ボッシュ・シリーズの登場人物も顔を出すなどあるし、ラストの犯人との対決となる場所は、もしかしてハリーんち、じゃない?ハリーが追い出されちゃった家。地震で傾いた、眺望が素晴らしい家って書いてるんで。『天使と罪の街』にレイチェルとザ・ポエットが登場するようなのでそれも楽しみ。<刑事 ハリー・ボッシュ> シリーズ 『ナイトホークス』 『ブラック・アイス』『ブラック・ハート 』『ラスト・コヨーテ 』『トランク・ミュージック 』『エンジェルズ・フライト』 『夜より暗き闇』 『シティ・オブ・ボーンズ 』 『暗く聖なる夜 』 『天使と罪の街 』 『終決者たち 』 『エコー・パーク』 『死角 オーバールック 』 “Nine Dragons” “The Reversal”ノンシリーズ『ザ・ポエット』『わが心臓の痛み』 『バッドラック・ムーン』 『チェイシング・リリー 』 『リンカーン弁護士』 マイクル・コナリーのランクイン履歴
2011年05月07日

ロサンジェルスを襲った大地震は、ボッシュの生活にも多大な影響を与えた。そんななか、重要参考人の扱いをめぐるトラブルから、上司につかみかかってしまったボッシュは強制休職処分を受ける。精神分析医とのカウンセリングを続ける彼は、ずっと心の片隅に残っていた自分の母親マージョリー・ロウ殺害事件の謎に取り組むことにこのミステリーがすごい!海外編 1997年版 第7位ハリー・ボッシュシリーズ第4弾順番通り読み進んで、ようやく初期の3作品を完了しました。『ラスト・コヨーテ』は初期作品の締めの作品のようです。ボッシュの自分探しの旅、33年前の母親が殺害された事件がひも解かれます。作風も、ボッシュシリーズはこの辺から油が乗り出しているようです。初期作品は『ナイト・ホークス』ではベトナム時代の回想、 『ブラック・アイス』では父親との対面場面が回想、『ブラック・ハート』では4年前の「ドールメイカー事件」が明らかとなり、本書『ラスト・コヨーテ』ではなんと、33年前の母親の事件にまで遡ります。どんどん過去へと主人公は遡っていきます。ハードボイルド小説の主人公が過去を引きずっているのはめずらしくないようですが、このように、初期作品では主人公ボッシュが、過去に支配されており、この『ラスト・コヨーテ』でそれが、終了するようです。本書『ラスト・コヨーテ』ではボッシュがカウンセリングを受けるシーンから始まります。”強制ストレス休暇”。ボッシュは上司に暴行を働いたとされ停職処分になっています。ボッシュシリーズには、主人公が職を失いかねない危機がいつも充満しています。第1作『ナイト・ホークス』では、ロサンジェルス市警副警視正アーヴィングが、ボッシュを警察から追い払う為に、内務監査課IADのルイスとクラークに、しつこくボッシュを調査させてました。第3作『ブラック・ハート』は、過去の「ドールメイカー事件」で容疑者を射殺したボッシュが、告訴され裁判にかけられます。何故ボッシュはいつも警察を追われかねないぎりぎりのところにいるのか?何故いつも警察を追われるようなことになるのか?ボッシュシリーズを解く鍵がここにあるようです。何故アーヴィングは、内務監査課IADを使ってしつこくボッシュを調査するのか。それはいくら有能でも、組織に一匹狼はいらないとアーヴィングが考えているから。つまりボッシュは組織に馴染めない。なぜならいつも怒りが身内に充満しているから。何故いつも孤独で怒りが充満しているのか。それはボッシュの生い立ちに関係がある。。本名ヒエロニムス・ボッシュは、1950年、ロサンジェルス市クイーン・オブ・エンジェルス病院で生まれました。母親は、マージョリー・フィリップス・ロス。父親不詳。息子の名前は、十五世紀のオランダの幻想画家ヒエロニムス・ボッシュにちなんで、母親がつけました。anoymous(匿名の、だれでもない)とおなじ韻を踏むんだと他人に説明する場面がシリーズ中、何度も繰り返されるが、自分はなにものなのか、と終わる事の無い自問をボッシュに迫るじつに象徴的な名前でしょう。若くしてボッシュを韻だ母親は、娼婦をして、息子を育てるが、母親不適格を理由にボッシュは十歳のとき、養護施設に入れられます。 61年10月31日、母マージョリーは何者かに殺され、ハリウッドの路地で発見されます。ボッシュ11歳のとき。 その後、10歳になるまで(17歳という記述もあり)、養護施設と里親の間を転々とします。初期のボッシュはとにかくトゲトゲしてますね!ハードボイルド小説の主人公的香りが、プンプンしてます。女性ではちょっとハードルが高いように思うかもですね。本書『ラスト・コヨーテ』でちょっと、印象が変わってきたように思います。結構、常連キャストと思っていたような人物も、あっさり犯人だったり死んだりしちゃうのでマンネリ化がないのかも。新聞記者の情報屋が消えたし、ロマンス相手もコロコロ変わり、あまつさえ犯人だったりする。今回もボッシュに関わりの深い人物の死があり、びっくり。今回無くなる人物については、ボッシュは重い原罪をひとつ背負い込む事となったようです。題名の『ラスト・コヨーテ』は、今はあまり見かけなくなったという意味で、ボッシュのこと。刑事として貴重な?タイプということのよう。なによりも正義を重視しているボッシュ。今回も、孤独です。でも、彼と人物を形成する根っことなってる母親の死の謎を、今回は究明できるので、今後幸せになれるといいなと思いました。『夜より暗き闇』は『わが心臓の痛み』の続編的な扱いで、『天使と罪の街』も『ザ・ポエット』の続編になってる。ボッシュ・シリーズ以外の作品も含めて、可能な限り 順番通りに読むほうがいいようです。
2011年05月06日
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